資料17 一般社団法人日本経済団体連合会 資料

平成28年7月25日

スポーツ審議会
スポーツ基本計画部会 御中

                                一般社団法人 日本経済団体連合会
オリンピック・パラリンピック等推進委員会
企画部会長 山本 一郎

「第2期スポーツ基本計画」の策定に向けて

2017年度からの「第2期スポーツ基本計画」策定にあたっては、スポーツを通じた経済活性化という視点を是非取り入れていただきたく存じます。とりわけ、「日本再興戦略2016」において、GDP600兆円に向けた「官民戦略プロジェクト10」の1つに位置づけられたスポーツの成長産業化は、誠に時宜を得たものであると考えます。
スポーツ人口の増加、障がい者スポーツの一層の普及、東京オリンピック・パラリンピック等の開催を契機とした様々なレガシーの形成などは、国民の心身両面における健康を増進し、日本をより良い成熟国家にするとともに、スポーツビジネスの拡大と成長産業化においても重要な役割を果たすものです。
経団連のオリンピック・パラリンピック等推進委員会企画部会では、スポーツ関係者との意見交換や、参加企業間での議論の成果を踏まえて、2015年2月、「企業によるスポーツ支援」に関する基本的な考え方を取りまとめました。このうち、「第2期スポーツ基本計画」の策定にあたってご考慮いただきたい点を、以下にご紹介いたします。

1.「スポーツが持つ力」を活かすための基本的方向性
(1)スポーツ支援を通じて目指す社会の姿
・トップ・アスリートの活躍が、人々の勇気と自信、応援を通じた一体感をもたらすとともに、スポーツの裾野拡大に貢献する。
・東京オリンピック・パラリンピックを契機に、スポーツ人口が増加し、スポーツの裾野が一層拡大する。裾野の拡大がトップ選手のレベル向上につながり、選手の活躍による一層の裾野拡大という好循環が生まれる。
・スポーツが、障がいを持つ方々が社会でいきいきと活躍する大きなきっかけとなり、健常者と障がい者の「心のバリアフリー」が実現される。

(2)現状ならびに解決すべき課題
・競技によっては、国内トップレベルの選手でも、競技活動上の困難やセカンドキャリアへの不安に直面している。
・成人の大半は運動不足で、子供の運動機会も減少している。幼少期に取り組んだ競技が中学校や高校の部活動にないため断念するケースもある。
・障がい者スポーツの体制が不十分で、多くの選手・指導者がスポーツで生計を立てられない状況にある。社会やメディアの関心もまだまだ薄い。

(3)企業によるスポーツ支援の方向性
・トップ・アスリートを取り巻く環境を改善する。具体的には、いわゆるマイナースポーツや障がい者スポーツの支援強化、選手の雇用・セカンドキャリア支援などに取り組む。
・スポーツの魅力を伝える機会を提供する。そのため、企業アスリートが小中学校で各競技の魅力を伝える企画を実施するとともに、スポーツ大会や障がい者スポーツイベントを支援する。
・障がい者スポーツのイメージ一新と健常者の意識改革を促す。そのため、企業CMなどでの障がい者スポーツ選手の起用、メディアへの働きかけ、障がい者スポーツ大会における社員ボランティアなどに取り組む。

2.スポーツをめぐる諸課題への対応
(1)2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功を目指した取り組み
・「オリンピックで25~30個の金メダル獲得」などの目標達成に向けて、いわゆるマイナースポーツを含め、日本人選手・チームの活躍に向けたアスリート支援が不可欠である。また、球技などは開催国特権として予選免除でオリンピックに出場できるケースが増えるため、他国に伍して戦うには、日本代表のレベル向上が重要となる。
・東京パラリンピック大会は、障がい者スポーツへの理解・関心を大きく高めるとともに、多くの障がい者が身近な場所で日常的にスポーツに取り組める環境、トップ・アスリートを育てる環境を整備する絶好の機会となる。パラリンピックは重要なユニバーサル・イベントであり、バリアフリー化の推進を含め、日本を成熟した先進国家とする取り組みが不可欠である。

(2)オリンピック・パラリンピックを契機としたスポーツ人口の拡大
・アマチュア・スポーツでは自主参加型のクラブが増えており、練習・試合の場所確保などが大きな制約となっている。将来有望なアスリートの競技レベル向上のためには、地域社会・企業などとの連携が課題である。
・障がい者がスポーツを始めようとしても、必要な手続き、準備や支援体制などに関する情報を容易に得られず、スポーツを楽しめる施設も限られている。用具や競技施設の使い勝手、競技大会の運営面などにおいても、障がい者アスリートの視点を尊重して改善すべき点は多い。
・子供の体力・運動能力の低下傾向には歯止めがかかっているものの、「運動する子供」「しない子供」の二極化が顕著な状況にある。学校教育においても、教員に依存した部活動の運営が難しくなるなど、スポーツに取り組む環境は厳しくなっている。企業の人材、ノウハウ、施設を活用することも重要な課題である。
・国民が生涯にわたり心身とも健康に過ごすうえでも、スポーツは大きな役割を担うものである。とりわけ、高齢化が一層進むなかで国民の健康増進や介護予防に取り組むにあたり、スポーツを通じたノウハウ、知恵は重要である。短時間の運動でも効果があることを政府・企業などが改めて啓蒙し、身近なところからスポーツに取り組むよう促す必要がある。

以上


お問合せ先

スポーツ庁政策課

(スポーツ庁政策課)