刑法等の一部を改正する法律による侮辱罪の法定刑引き上げ及びアスリートへの写真・動画による性的ハラスメント防止に向けた競技団体の取組事例等について

事務連絡
令和4年7月23日

公益財団法人日本オリンピック委員会
公益財団法人日本スポーツ協会
公益財団法人日本パラスポーツ協会
一般社団法人大学スポーツ協会     御中
公益財団法人全国高等学校体育連盟
公益財団法人日本中学校体育連盟
独立行政法人日本スポーツ振興センター


スポーツ庁競技スポーツ課
 

刑法等の一部を改正する法律による侮辱罪の法定刑引き上げ及びアスリートへの写真・動画による性的ハラスメント防止に向けた競技団体の取組事例等について        


 

 このたび、刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号) が成立し、そのうち、侮辱罪の法定刑の引上げに係る規定は、令和4年7月7日に施行されました。
 今般の改正に含まれる侮辱罪の法定刑の引上げは、アスリートを標的にしたものを含め、インターネット上での誹謗中傷の抑止等を目的とするものですので、その改正内容について周知いたします。
 また、スポーツ大会において、アスリートが性的意図を持って写真・動画を撮影されたり、アスリートの写真・動画がインターネット上に性的意図を持って掲載されたりする事案(以下「アスリートへの写真・動画による性的ハラスメント」という。)について、競技会場において対策を講じている競技団体の取組事例を御紹介いたしますので、各スポーツ団体におかれては、取組事例を参考に、競技の特性に応じて必要な対策を講じて頂きますようお願いします。
 あわせて、SNS等における誹謗中傷や写真・動画による性的ハラスメントの被害にあわれたアスリートが活用できる相談窓口について改めて周知いたします。
 宛先の各統括団体・機関におかれては、下記の内容を加盟・登録団体等に対して周知下さるようお願いします。その際、中央競技団体に対しては、加盟・登録の都道府県競技団体等への周知についても依頼くださるようお願いします。

 


 
1.刑法改正による侮辱罪の法定刑引き上げについて【別添1】
 近時、インターネット上の誹謗中傷が特に社会問題となっていることをきっかけに、非難が高まり、抑止すべきとの国民の意識が高まっています。
 近時の誹謗中傷の実態に鑑み、侮辱罪(刑法231条)について、厳正に対処すべき犯罪であるという法的評価を示し、これを抑止するとともに、悪質な侮辱行為に厳正に対処するため、侮辱罪の法定刑が引き上げられることとなりました。
侮辱罪の法定刑は、これまで「拘留又は科料」とされてきましたが、今回の改正で、「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げられました。
 改正法は、令和4年7月7日から施行され、その後に行われた行為に適用されることになります。
 詳細は法務省の以下のウェブサイトを御覧ください。
【侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A】
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00194.html#Q1
 
 
2.アスリートへの写真・動画による性的ハラスメント防止に向けた競技団体の取組事例について
 写真・動画による性的ハラスメントからアスリートを守るためには、一般の観客がアスリートを撮影する機会の多い競技大会等の場において、スポーツ団体や大会主催者が被害防止に向けた取組を進めることが重要です。
 競技会場において様々な対策を講じている日本陸上競技連盟、日本バレーボール協会、日本トライアスロン連合の取組事例を御紹介いたしますので、各スポーツ団体におかれては、下記の取組事例を参考に、管轄の警察署等とも連携し、競技の特性に応じて必要な対策を講じて頂きますようお願いします。
 
中央競技団体等の競技会場における取組事例
(1)都道府県警察との連携について
・都道府県警察と連携し、盗撮禁止ポスターに管轄警察署名を記載するとともに、管轄警察署に競技会場の巡回の協力を依頼。〈日本陸上競技連盟〉

 〈写真提供:日本陸上競技連盟〉

(2)競技会場内での見回りについて
・大会関係者が、盗撮禁止やカメラ使用の注意点等を呼び掛けるプレートを持って観客席等を巡回し、注意喚起を実施。〈日本バレーボール協会〉〈日本陸上競技連盟〉
・警備員や大会関係者が定期的に巡回し、不自然なアングルでの撮影など、不審な行動をとっている者がいないか監視。〈日本バレーボール協会〉
・大会関係者がトイレや更衣室(控室含む)に不審な物がないか定期的に巡回し確認。〈日本バレーボール協会〉
・ 不審者に対する対応について、大会関係者の共通認識を図るため、見回りや声掛けに関するマニュアルを作成。〈日本陸上競技連盟(日本学生陸上競技連合)〉
 
(3)競技会場における迷惑撮影防止ポスターの掲示、アナウンス等について
・場内アナウンスで盗撮防止について呼びかけを実施。
〈日本トライアスロン連合〉〈日本陸上競技連盟〉
・迷惑撮影防止に関するポスターを大型ビジョンで投影するとともに、競技会場内に掲示。〈日本陸上競技連盟〉

 〈写真提供:日本陸上競技連盟〉
  
(4)通報フォームの作成、競技会場での掲示について
・観客やアスリート関係者が不審な人物を見かけた際に大会主催者に通報できるよう、QRコード入りの通報フォームを作成し、競技会場内に掲示。〈日本陸上競技連盟〉

 〈写真提供:日本陸上競技連盟〉
  
(5)カメラ持込の制限について
・過剰に特定の部位をズームにした撮影を防ぐため、カメラの持ち込みを禁止。ただし、携帯電話やスマートフォン付属カメラでの撮影のみ、申請後に撮影を許可。〈日本バレーボール協会〉
・競技会場内での撮影は主催者の許可制。特に、ジュニアの大会では、家族以外の撮影は、正式のメディア以外は許可しない運用としている。〈日本トライアスロン連合〉
・競技会場内での撮影は主催者の許可制。申請者にはリボン・ビブスなど申請済であることがわかるものを着用するよう依頼。また、撮影許可の条件として「主催者が撮影した写真の開示を求めた際は必ず応じる」旨の同意書にサインするよう求めている。〈日本陸上競技連盟(各加盟団体)〉

〈資料提供:日本実業団陸上競技連合〉
 
(6)競技会場における撮影禁止エリアの設定について
・撮影禁止エリアを設定するとともに、撮影の方向(角度)を種目ごとに細かく設定。〈日本陸上競技連盟(日本学生陸上競技連合)〉

 〈資料提供:日本学生陸上競技連合〉
  
(7)アスリートへの注意喚起について
・選手に対して競技大会の注意事項等を説明する説明会の中で、盗撮被害について注意喚起を実施。〈日本トライアスロン連合〉
 
(8)競技大会における表彰式等でのアスリートの服装について
・撮影機会が設けられている表彰式等においては、選手はユニフォームではなく、ジャージやTシャツ着用で参加するよう呼びかけ。〈日本陸上競技連盟〉
 
 
3.SNS等での誹謗中傷や写真や動画による性的ハラスメントに係る相談窓口について
 アスリート等の権利を侵害するインターネット上の違法・有害情報に関する相談窓口については、令和3年3月23日付事務連絡「アスリートへの写真・動画による性的ハラスメントに係る相談窓口等について」【別添2】において、アスリート等への周知を依頼させて頂いたところですが、改めて加盟・登録団体やアスリート等への周知をお願いします。
 
 <参考>
○違法・有害情報相談センター【総務省】(https://www.ihaho.jp
 相談者自身がサイト管理者・プロバイダ等に対して削除依頼を行う場合に、インターネットに関する専門知識や経験を有する相談員が、削除依頼の方法などをアドバイスします。
○人権相談【法務省】(https://www.moj.go.jp/JINKEN/index_soudan.html
 アスリート等の名誉毀損やプライバシー侵害等の人権侵害の疑いのある事案について、相談に応じます。相談者自身がサイト管理者・プロバイダ等に対して削除依頼を行う方法等の助言に加え、法務局において違法性を判断した上でプロバイダ等に対する削除要請を行います。
 ※全国の法務局における面談による相談のほか、以下の窓口からも相談可能です。
 ・「みんなの人権110番」 0570-003-110
 ・「子どもの人権110番」 0120-007-110
 ・「女性の人権ホットライン」 0570-070-810
 ・「外国語人権相談ダイヤル」(10言語対応) 0570-090911
 ・「インターネット人権相談」 https://www.jinken.go.jp

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