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スペシャルレポート


奥村副大臣 平成24年2月28日、神田一橋中学校で文部科学省と松竹配給「おかえり、はやぶさ」の共同企画による、中学3年生を対象とした宇宙体感型スペシャル授業が行われました。 冒頭、奥村文部科学副大臣から、卒業を間近に控えた生徒たちに向けて「皆さんの夢の実現のために文部科学省としてしっかりとした環境を作り上げていきますので、皆さんもチャレンジ精神を持って頑張ってほしい」との挨拶がありました。

澤井分団長 授業は2部構成で行われ、第1部ではJAXA宇宙教育センターの馬渕さん、小島さんと宇宙少年団相模原分団の澤井分団長を講師に迎えて、映画のシーンを見ながら宇宙についての講義や実験が行われました。

最初に相模原分団の澤井さんから「これからの世の中をリードしていくために宇宙ということを考えた人間になってほしい。現在の宇宙だけでなく、宇宙の成り立ちを勉強してその上で人間はどうしたらいいかを考えるような人間になってほしい」とのメッセージをいただきました。

小島さんの実験風景 続いて、ロケット打ち上げの音響体験や宇宙飛行士が実際に行っているコミュニケーション訓練、水素と酸素を利用したアルコールロケット燃料の実験を通して、普段の生活ではなかなかできないことを生徒たちに体感してもらいました。

実験に参加する生徒

藤原達也さん 第一部終了間際に、サプライズゲストとして映画「おかえり、はやぶさ」主演の藤原竜也さんが登場すると大歓声に会場が包まれました。
藤原さんから、「中学生のときは、サッカー選手になりたくてサッカー一筋の生活だった。気がつくと演劇の世界に引っ張られていたので、皆さんも常にアンテナを張りながらも楽しく生活してほしい」「いろんな経験をして失敗もしてそれが次につながることがあると思う。決して意欲を失わないでほしい」「今回の映画撮影にあたりJAXAの方ともお話して、日本の宇宙開発技術は1位でなければダメだということを感じた。大変な状況の中で国民に希望を与えたはやぶさなわけですから、はやぶさ2に対しても心から応援したい。」といったメッセージをいただきました。

藤原達也さんと奥村副大臣

第二部では、引き続き藤原竜也さんも参加して、第一部で仕組みを学んだアルコールロケットの発射セレモニーが行われました。  

ロケット発射実験の写真/藤原達也さん 


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スペシャルレポート


平成24年2月10日、東映東京撮影所に地元練馬区の中学生約150人を招いて、東映「はやぶさ 遥かなる帰還」と文部科学省のタイアップによる試写会&トークイベントを行いました。

トークイベント出席者:
神本美恵子文部科学大臣政務官、
瀧本智行監督、
阪本善尚撮影監督、
若松孝市美術監督、
野口光一CGアーチスト

コーディネーター:
山根一眞さん(「はやぶさ 遥かなる帰還」原作者)

山根:
今日は中学生に見ていただきましたが、若い人たちへの思いを込めて、この映画を作られましたか。
瀧本監督:
JAXAの若い職員の方と話したときに、最初に宇宙に興味を持ったきっかけが「宇宙戦艦ヤマト」と聞きました。この映画をみて第二の川口淳一郎が現れたら監督冥利につきるので、ぜひ若い人に見てもらいたいという思いはあります。
山根:
相模原の深宇宙管制室、臼田にはパラボラアンテナがありますが、東映撮影所のセットを見たときは本物そっくりでした。どうしてセットを作ろうと思われたのですか。
若松美術監督:
はやぶさは実際にあった話なので、どこまで忠実にやるかというところですごく悩みました。やるからには本物のJAXAに負けない物を作ろうと思い、ドキュメンタリー映画ではないので、実際のJAXAとだいぶ設定を変えて、台本に沿ってセットの設定を行いました。映像になったときにいかにもJAXAに見えるということをねらいました。
山根:
映画で使われた機械は、2003年なので今だと古い機械が結構多いですが、メーカーの担当者もどうやって見つけたのか驚いていたそうですが。
若松:
2003年は今のような液晶のパソコンが出ていないので、ブラウン管のパソコンを探すのは本当に苦労しました。苦労した分だけJAXAが使用していたようなパソコンが見つかったんですよ。全て今回の映画のために創意工夫で1から作ったものです。
山根:
阪本監督、今の若松さんのお話だと、映像化される際にだいぶ注文されませんでしたか。
阪本:
若松監督が作ってくれる「器」に空気を満たすのが僕の役割です。映画の空気が何かというと、例えば好きな人に告白するときにとても綺麗な浜辺で夕日を見ながらするのと、ガード下のようにガーガー音がするときに告白するのでは、同じ言葉であっても観客にとっては違う意味となってきます。監督が思っている方向にどういう風に空間を考えるかが撮影監督の仕事です。
山根:
本来の管制室には窓がないのですが、わざわざセットには窓を付けて外から朝の光、昼の光、夕方の光というふうに時間の移り変わりを表現されたのですよね。
坂本:
JAXAのコントロールルームは窓が無く蛍光灯のみで夜も昼も変わらないので時間が出ません。そこで若松監督と相談して、ダウンライトを備え付けて、昼は蛍光灯の光を夜はダウンライトのタングステンの赤い光を強くして、時間の流れを表現しました。
山根:
若松さん、こういうことはよく普通に行うことですか。
若松:
今回の仕事は1年間という長期間でしたので時間の経過を表現することを考えました。
山根:
そこには瀧本監督の思いもだいぶ入っているのですか。
瀧本:
思いというか、今のは映画の基本なんですけれど、その基本をきっちりやっているかいないかで映画を見ている最中にはわからないけれど、見終わってなのか無意識のうちなのか、そういうことを丁寧に作り込んでいる仕事と、時間も無いし金も無いし適当にやっちゃえという風な仕事を見比べたら全く違う感想になると思います。我々の仕事は本当に細かいことの積み重ねなんです。
山根:
映画ではいかにも私たちが宇宙にいるように描いてくれました。野口さん、コンピュータで描くということは、今の映画界では当たり前のことですか。
野口:
CGというのはイマジネーションがあれば何でもできます。僕たちは実際に見えていないはやぶさを絵にしなければならないので、阪本監督と相談してどういうふうに見えていたかを想像して決めました。
山根:
阪本さん、見えるようにしなければいけないという時に皆さんでだいぶ議論されましたか。
阪本:
例えば、月までのはやぶさの軌道は見ることができますが、月より先のディープスペース(深宇宙)は誰も行ったことがないので想像するしかありませんでした。そこを総称すると暗くしてくださいというしかなかったんです。
野口:
例えば、スターウォーズは明るいですが、宇宙空間は本来それほど明るくありません。阪本さんから暗くしたいと言われて暗くしました。人の真似をしたくない、差別化したいということで、アメリカのハリウッド映画でもやっていないように暗くしました。
山根:
宇宙をはやぶさが動いている姿だとか打ち上げてはやぶさが飛び立っていく姿だとか、あれは模型だと思う人もいるかと思いますが、野口さんいかがですか。
野口:
僕の仕事は美術さんができない仕事をやってくださいと言われ、撮影用にはやぶさの模型は作ってもらいましたが、映画で使われたうち99%はCGで作りました。見たことのないものを作るのは非常に苦しいです。説得するには10年、20年かかると思ったんです。模型を作ることで、スタッフとこう見えるからこう作りましょうというふうに話し合いながら撮影しました。
山根:
坂本さん、どうして模型の撮影ではダメだったんでしょうか。
坂本:
やっぱり重力のある地球上で撮影することはとても難しいことです。何かにつけて下に向けて引っ張られていますからね。もし模型で撮るとしたら、真空状態であればいけると思います。
山根:
神本政務官、制作者とは違う立場でいらっしゃられて、映画に出てくるはやぶさは模型だと思いましたか。CGだと思いましたか。
神本政務官:
人間だと思いました。コンピュータで作ったとか模型があったとかではなく、はやぶさが地球に帰ってきた映像を見たときには涙が止まりませんでした。おかえりなさい、良く帰ってきたねこんなにボロボロになって、というふうに感じさせるものでした。
山根:
野口さん、人のように命を吹き込むということなのでしょうか。
野口:
CGというのは命を吹き込むというのは難しいけれども、色々な人の手を借りていて、そういっていただけるのはありがたいことです。はやぶさが壊れて落ちてくるシーンは119回スタッフがやり直して、やっとできています。
山根:
瀧本監督、何がダメだったのですか。
瀧本:
映画って理屈じゃないんですよ。皆さんの前に僕が一番最初に感動したいんです。俳優さんの芝居やセットも映像もCGもそうだし、まず僕を感動させてくれというのがすごくみんなにあるんです。僕が感動しないものにはなかなかOKが出せないというのがあります。
山根:
映画の最初に、はやぶさのレンズが出てくるんですが、いかにも人のように見えるんですけれども、監督のアイディアと伺いましたが、実物のはやぶさにはあのようなレンズはないかと思いますが。
瀧本:
ないですね。その辺は創作です。カメラは付いているのでレンズはもちろん付いています。どこかポイントを作るしかないというところで、はやぶさの目を作りました。
山根:
はやぶさには表情がありますよね。
若松:
レンズはどういうものだったかということを勉強しました。それよりも今回作っていて一番つらかったのは、はやぶさの内部です。内部は見たこともないですし資料もない中で、相当悩みました。
山根:
はやぶさの内部のシーンから映画が始まっていますが、どなたのご提案でしょうか。
阪本:
そのために僕の助手は大変だったんです。要するにあの内部を実際にカメラで撮ろうと思ったら巨大なものを作らないといけないわけです。そのために、実際に狭いリアリティを出すため、工業用のシュノーケルを利用して、リアルな大きさで作った模型の中に入れて撮影しました。
山根:
神本政務官、最後に本日会場に来ていただいた中学生にメッセージをお願いします。
神本:
若い人たちに宇宙の映画を見てもらうことはとても良いことだと思いました。みんなそれぞれ感動するところは違うと思います。感動することが日本の宇宙開発に限らず、様々な研究や学問に皆さんがきっと引き継いでくれるということを期待しながらやってきました。  皆さん方にぜひお願いしたいのは、古川宇宙飛行士の言葉ですが、「夢をもってほしい。夢は一つのことではなくいろんなことに関心を持って、感動したことには夢を持ち続けて欲しい。持ち続けて努力をすれば必ずかなえられる」という話を伺いました。それは宇宙飛行士一人で成し遂げられることではなく、はやぶさでも色んな人が力を合わせて、たくさんの人が力を合わせてやっと成し遂げることがわかったと思います。この映画をきっかけに自分の夢を持ち続けて、かなえられるまで努力してほしいです。


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スペシャルレポート


ゲストプレゼンターを務める佐野史郎さん 平成23年9月24日、日本科学未来館で平成23年度「宇宙の日」記念全国小・中学生作文絵画コンテスト表彰式が行われました。
本コンテストは、宇宙開発の普及啓発を図るとともに子どもたちの好奇心・創造力を育成することを目的に、平成8年から毎年実施しています。

今年のテーマは「さぁ出発だ!宇宙への冒険旅行」。
全国82館の科学館や博物館において作文・絵画を募集したところ、作文・絵画部門合わせて22,052点の応募があり、その中から主催者賞・特別賞を受賞した32作品の表彰が行われました。

入選作一覧

文部科学省からは奥村展三副大臣が出席し、文部科学大臣賞を受賞した子どもたちに賞状を授与しました。

そして、今年はこの表彰式を10月1日公開の映画「はやぶさ/HAYABUSA」とのタイアップイベントとして実施し、同映画で川口淳一郎JAXA教授役を演じた俳優の佐野史郎さんをゲストプレゼンターとして招き、映画の予告編の上映や佐野さんと川口教授ご本人との対談を行いました。

川口教授からは、「はやぶさプロジェクトで一番苦労したことは精神力であり、なでしこジャパンも同じだと思うがあきらめない心と強い意志が大切」、子どもたちに向けて、「小さい頃夢見ていたことがずっと尾を引いて、何十年かするとつながっていたなと思う。きっとそうなるんじゃないかと頭の隅にでも入れていただければ、自分の将来とか考え方を決める時に役に立つと思う」というメッセージをいただきました。

佐野さんからは、「子どもの時の思いというのは大人になってからもずっと大切に育んでいくもの。この日の思い出を大切にしてこれからも日本のために頑張ってください。」というメッセージをいただきました。

川口JAXA教授(左)と佐野史郎さん