平成14年度「子どもの学習費調査」 調査結果の概要

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1   学習費総額

(1)    学校種別の学習費総額及び構成比(表1及び図1−1・2参照)

   幼稚園は,公立23万3千円(対前回調査伸び率△2パーセント),私立51万9千円(同4.5パーセント),小学校は公立のみ調査しており,29万2千円(同0.7パーセント),中学校は公立43万7千円(同△1.7パーセント),私立123万2千円(同△0.9パーセント),高等学校(全日制,以下同じ。)は公立52万8千円(同3.8パーセント),私立103万1千円(同△1.3パーセント)となっている。
   「学習費総額」の「学校教育費」,「学校給食費」及び「学校外活動費」の構成比は,授業料を必要としない公立小学校及び公立中学校においては「学校外活動費」の構成比が高く,それぞれ60パーセントを超えており,私立幼稚園,私立中学校及び公私立高等学校では「学校教育費」が高く,私立幼稚園及び公立高等学校で60パーセントを超え,私立中学校及び私立高等学校で70パーセントを超えている。

(2)    学校種別の公私比較

   幼稚園では私立が公立の2.2倍(前回調査2.1倍),中学校では2.8倍(同2.8倍),高等学校では2.0倍(同2.1倍)となっている。

表1 学校種別子どもの学習費総額

図1−1 学校種別にみた学習費総額

図1−2 学習費総額に占める学校外活動費の割合

(3)    学年別の状況   (表2及び図2参照)

   学年別にみると,公私立を問わず最も高いのは,私立中学校第1学年の155万7千円(対前回調査伸び率0.2パーセント)であり,公立のうち最も高いのは,高等学校第1学年の59万1千円(同△0.6パーセント)となっている。

表2 学年別の学習費総額

図2 学年別にみた学習費総額

(4)    人口規模別の状況(学習費の地域的な特性)(表3及び図3−1〜3参照)

 
1    学校教育費

   公立中学校では,人口規模が大きくなるほど,低くなっている。

2    学校外活動費

   公立小学校及び公立中学校では,いずれも人口規模が大きくなるほど高くなっている。

表3 市町村の人口規模別子どもの学習費総額

図3−1 人口規模別にみた学習費総額

図3−2 人口規模別にみた学校教育費

図3−3 人口規模別にみた学校外活動費



2   学校教育費   (表4及び図4参照)

(1)    幼稚園   

   幼稚園の「学校教育費」は,公立12万4千円(対前回調査伸び率△0.5パーセント),私立34万6千円(同6.3パーセント)となっている。
   この内訳の構成比で最も高いのは,公私立とも「授業料」(公立:59.5パーセントの7万4千円,私立:67.6パーセントの23万4千円)であり,次いで公立は「通学用品費」の8.2パーセント(1万円),私立は入学金等が含まれる「その他の学校納付金」の12パーセント(4万2千円)となっている。

表4−1 幼稚園の学校教育費の支出構成

図4−1 幼稚園の学校教育費の支出構成

(2)    小学校

   公立小学校の「学校教育費」は5万3千円(対前回調査伸び率△4.9パーセント)となっている。
   この内訳の構成比で最も高いのは,「学用品・実験実習材料費」の31.2パーセント(1万7千円)であり,次いで「通学用品費」の19.4パーセント(1万円)となっている。学年別では,第2学年から第5学年は全学年平均と同様に「学用品・実験実習材料費」が最も高くなっているが,第1学年は「通学用品費」の39.6パーセントが,第6学年は「修学旅行・遠足・見学費」の27.4パーセントがそれぞれ最も高くなっている。

表4−2 公立小学校の学校教育費の支出構成

図4−2 小学校の学校教育費の支出構成

(3)    中学校   

 
1    公立中学校の「学校教育費」は12万9千円(対前回調査伸び率△0.2パーセント)となっている。
   この内訳の構成比で最も高いのは,「修学旅行・遠足・見学費」の20.7パーセント(2万7千円)であり,次いで「教科外活動費」の19.4パーセント(2万5千円)となっている。
   学年別では,各学年共通して「教科外活動費」及び「学用品・実験実習材料費」が比較的高い比率を示しているが,最も高いのは第1学年が「制服」の25.1パーセント,第2学年が「教科外活動費」の24.8パーセント,第3学年が「修学旅行・遠足・見学費」の37.6パーセントとなっている。

2    私立中学校の「学校教育費」は92万9千円(対前回調査伸び率1.7パーセント)となっている。
   この内訳の構成比で最も高いのは,「授業料」の42パーセント(39万円)であり,次いで「その他の学校納付金」の24.3パーセント(22万6千円)となっている。

表4−3 中学校の学校教育費の支出構成

図4−3 中学校の学校教育費の支出構成

(4)    高等学校   

 
1    公立高等学校の「学校教育費」は33万9千円(対前回調査伸び率0.1パーセント)となっている。
   この内訳の構成比で最も高いのは,「授業料」の32.6パーセント(11万1千円)であり,次いで「教科外活動費」及び「通学費」の12.2パーセント(4万1千円)となっている。学年別では,どの学年も「授業料」が最も高くなっているが,次いで第1学年は「教科外活動費」の14パーセントが,第2学年は「修学旅行・遠足・見学費」の16.7パーセントが,第3学年は「通学費」の14.3パーセントがそれぞれ高くなっている。

2    私立高等学校の「学校教育費」は78万6千円(対前回調査伸び率0パーセント)となっている。
   この内訳の構成比で最も高いのは,「授業料」の44.1パーセント(34万7千円)であり,次いで「その他の学校納付金」の21.3パーセント(16万7千円)となっている。この傾向は学年別でも同様である。

表4−4 高等学校の学校教育費の支出構成

図4−4 高等学校の学校教育費の支出構成



3   学校外活動費

(1)    「補助学習費」と「その他の学校外活動費」の構成   (表5及び図5参照)

   「学校外活動費」は,幼稚園では公立9万4千円(対前回調査伸び率△2.5パーセント),私立14万6千円(同△0.2パーセント),公立小学校は20万円(同3.1パーセント),中学校では公立27万4千円(同△2.9パーセント),私立29万9千円(同△8.6パーセント),高等学校では公立18万9千円(同11.1パーセント),私立24万5千円(同△5.5パーセント)となっている。
   公立学校について学年別にみると,「補助学習費」は,小学校第1学年を除き,幼稚園4歳児から中学校第3学年まで学年とともに高くなっており,「その他の学校外活動費」は,幼稚園4歳児から小学校第3学年までは学年とともに高くなっているが,第4学年以降中学校第3学年まで学年とともに低くなっている。
   また,「学校外活動費」に占める「補助学習費」と「その他の学校外活動費」の割合についてみると,前回調査と同様,公立は小学校第6学年を境にして「補助学習費」の割合が,「その他の学校外活動費」の割合を上回っている。

表5 学年別学校外活動費の内訳

図5−1 公立学校の補助学習費とその他の学校外活動費の状況

図5−2 私立学校の補助学習費とその他の学校外活動費の状況

(2)    学年別にみた「補助学習費」の状況   (表6及び図6参照)

   公立幼稚園の4・5歳及び公立小学校第1学年では「家庭内学習費」が最も高く,公立小学校第2学年以上の学年段階では「学習塾費」が最も高くなっている。なお,公私立とも高等学校第3学年は,公開模擬テスト代等が含まれる「その他」が,他の学年に比べて高くなっている。

 
1    「家庭教師費等」(通信教育を含む。)
   「家庭教師費等」を学校種別にみると,幼稚園では公立2千円(対前回調査伸び率21.3パーセント),私立3千円(同0.2パーセント),公立小学校では8千円(同△18.7パーセント),中学校では公立3万4千円(同△9.3パーセント),私立4万5千円(同△13.6パーセント),高等学校では公立2万3千円(同△10.7パーセント),私立2万9千円(同△2.3パーセント)となっている。
   学年別にみると,どの学年も公立より私立の方が高くなっており,公立学校については,幼稚園4歳児から中学校第3学年まで,学年が進むにつれてほぼ高くなっている。なお,公私立を問わず最も高いのは,私立中学校第3学年の4万9千円(同△21.5パーセント)となっている。

2    「学習塾費」
   「学習塾費」を学校種別にみると,幼稚園では公立9千円(同10.6パーセント),私立1万9千円(同44パーセント),公立小学校では5万1千円(同16.2パーセント),中学校では公立16万1千円(同△0.8パーセント),私立10万6千円(同△3.7パーセント),高等学校では公立7万3千円(同10.8パーセント),私立10万9千円(同2.6パーセント)となっている。
   中学校では私立より公立が高く,幼稚園,高等学校では公立より私立が高くなっており,公立学校については,幼稚園4歳児から中学校第3学年まで,学年が進むにつれて高くなっている。なお,公私立を問わず最も高いのは,公立中学校第3学年の23万2千円(同3.9パーセント)となっている。

表6 学年別にみた補助学習費の状況

図6−1 学年別にみた補助学習費の支出構成(公立)

図6−2 学年別にみた補助学習費の支出構成(私立)

(3)    学年別にみた「その他の学校外活動費」の状況   (表7及び図7参照)

   高等学校以外では,「芸術文化活動費」が最も高く,幼稚園では公立2万2千円,私立3万7千円,公立小学校では4万1千円,中学校では公立2万2千円,私立5万円となっている。
   この「芸術文化活動費」を学年別にみると,公私立を問わず最も高いのは,私立中学校第1学年の6万7千円(対前回調査伸び率△4.1パーセント)となっている。
   高等学校では,「教養・その他」が最も高く,公私立とも2万4千円となっている。

表7 学年別のその他の学校外活動費の状況

図7−1 学年別にみたその他の学校外活動費の支出構成(公立)

図7−2 学年別にみたその他の学校外活動費の支出構成(私立)

(4)    支出した金額の状況(実際に支出した金額の分布)   (表8及び図8参照)

 
1    補助学習費

<家庭教師費等>(通信教育を含む。)

   どの学校種においても「0円」が最も多く,60パーセント以上を占めている。経費を支出している場合,すべてにおいて「1万円以上5万円未満」が最も多く,次いで,公私立の幼稚園及び公立小学校では「1万円未満」が,公私立の中学校及び公私立の高等学校では「5万円以上10万円未満」がそれぞれ多くなっている。
   「家庭教師費等」(通信教育を含む)を支出した者の平均額は,幼稚園では公立1万7千円(対前回調査伸び率13.4パーセント),私立2万7千円(同26.9パーセント),公立小学校では3万2千円(同△18.1パーセント),中学校では公立9万9千円(同2.9パーセント),私立13万円(同△2.8パーセント),高等学校では公立8万9千円(同△12.1パーセント),私立11万5千円(同5.3パーセント)となっている。

表8−1 家庭教師費等の金額分布の状況

図8−1 家庭教師費等の金額分布の状況

       <学習塾費>

   どの学校種においても「0円」が最も多く,中学校を除き50パーセント以上を占めている。経費を支出している場合,公私立の幼稚園及び公立小学校では「1万円以上5万円未満」が最も多くなっている。中学校及び高等学校では公私立ともに,教科数や週当たり通塾日数など,個々の状況により支出金額が広い区分に分布しているが,公私立の中学校及び公立高等学校では,「10万円以上20万円未満」が,私立高等学校では「40万円以上」が最も多くなっている。
   「学習塾費」を支出した者の平均額は,幼稚園では公立5万7千円(対前回調査伸び率△4.3パーセント),私立11万4千円(同63.5パーセント),公立小学校では13万円(同9.2パーセント),中学校では公立21万5千円(同0.4パーセント),私立19万3千円(同△2.6パーセント),高等学校では公立19万1千円(同6.9パーセント),私立24万1千円(同2.7パーセント)となっている。

表8−2 学習塾費の金額分布の状況

図8−2 学習塾費の金額分布の状況

    2    その他の学校外活動費

<芸術文化活動>

   どの学校種においても「0円」が最も多くなっている。経費を支出している場合,すべての学校種において「1万円未満」が最も多く,次いで公立幼稚園及び公立小学校では「5万円以上10万円未満」が,その他の学校種では「1万円以上5万円未満」がそれぞれ多くなっている。
   「芸術文化活動費」を支出した者の平均額は,幼稚園では公立4万7千円(対前回調査伸び率△22パーセント),私立6万6千円(同△15.9パーセント),公立小学校では6万7千円(同△11.5パーセント),中学校では公立4万9千円(同△18.3パーセント),私立7万4千円(同△26.1パーセント),高等学校では公立5万3千円(同16.6パーセント),私立4万3千円(同△47.1パーセント)となっている。

表8−3 芸術文化活動の金額分布の状況

図8−3 芸術文化活動の金額分布の状況

    <教養・その他>

   公私立の幼稚園,公立中学校及び私立高等学校では「1万円未満」が,公立小学校及び私立中学校では「1万円以上5万円未満」が,公立高等学校では「0円」がそれぞれ最も多くなっている。
   「教養・その他」を支出した者の平均額は,幼稚園では公立2万5千円(対前回調査伸び率24.4パーセント),私立3万5千円(同46.9パーセント),公立小学校では,3万5千円(同△6.8パーセント),中学校では公立2万3千円(同△10.7パーセント),私立2万9千円(同△22.1パーセント),高等学校では公立3万8千円(同11.7パーセント),私立3万4千円(同△2.3パーセント)となっている。

表8−4 教養・その他の金額分布の状況

図8−4 教養・その他の金額分布の状況



4   幼稚園から高等学校卒業までの14年間の学習費総額   (表9参照)

   幼稚園4歳から高等学校第3学年までの14年間について,各学年ごとの「学習費総額」をケース別に単純合計すると,ケース1のすべて公立の場合は511万1千円(対前回調査伸び率1パーセント)となっている。また,ケース2の幼稚園だけ私立の場合は570万1千円(同2.1パーセント),ケース3の高等学校だけ私立の場合は661万1千円(同△0.8パーセント),ケース4の幼稚園及び高等学校が私立の場合は720万1千円(同0.2パーセント)、ケース5の小学校だけ公立の場合は958万6千円(同△0パーセント)となっている。

表9 幼稚園4歳から高等学校第3学年までの14年間の学習費総額

-- 登録:平成21年以前 --