付録3
平成19年8月27日
宇宙航空研究開発機構
本資料は、平成19年8月7日に開催された第6回推進部会における次期固体ロケットプロジェクトの事前評価に関する構成員からの質問に対し、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))の回答をまとめたものである。
質問番号 | 内容 |
---|---|
1−1 | P6で小型科学衛星が16候補選定されているが、そのワーキンググループの意義について具体性が乏しい。 |
1−2 | 後継機が必要であり、その搭載重量、打上げ費用の目標値などについては理解できるが、それを実現するためにJAXA(ジャクサ)が取り組むキー技術の開発要件が明確でない。むしろ、ロケットの開発ではなく、コマンド系のTCP/IP化、射場の整備、などロケット以外の部分の開発がほとんどの様に見える。 との違い(ロケットを含め)をもう少し明確にしてほしい。 |
質問番号 | 内容 |
---|---|
2−1 | 例えば、P10にある文言は、P16にあるとH−Aとの比較にあるような技術的視点での表現が出来ないだろうか。ロケット自身開発要素はないのか。 |
質問番号 | 内容 |
---|---|
3−1 | 今後の科学衛星を含む様々な小型衛星の打上げに対応した我が国の自律性確保の観点から、その即応性(即時打上げ要求に対応)が極めて重要と思料される為、開発方針に大きな項目立てを設け、開発研究段階においてその実現性を徹底的に追求する様要望したい。 |
質問番号 | 内容 |
---|---|
4−1 | P15において、従来からの一般的な実施体制の組織図が示されているだけであるが、本プロジェクトの特質を考えて、実施体制を構築する上で特に配慮した点が何かあるはずである。その点の説明がほしい。 |
質問番号 | 内容 |
---|---|
5−1 | 1段および2段モータは既存のシステムをベースとする構想となっているが、飛行時の加速度、荷重等で無理な設計とはならないか?加速度パターン、最大動圧等はどの程度か?或いはスラストパターン等の変更を行う計画か? |
5−2 | 3段モータは新規開発の計画か?3段は比較的小型のようだが、3軸制御かスピン安定か?従来に比較して衛星に新たな制約が付けられることはないか? |
5−3 | 今後開発するロケットではUser FriendlinessとFlexibilityが重要と思う。そのためにはそれぞれのミッションに適合し易いように、打上げ能力、衛星とのインタフェース(機械的インタフェースのみでは無く、最大加速度、姿勢安定方式、速度調整機能等)に複数のバージョン或いは発展構想があると良いかと思う。そのあたりの考え方はどのようになっているか。 |
5−4 | 外国の技術動向を見ると、人工衛星打上げ用ロケットの場合でも誘導制御系には冗長性が取入れられてきているように思う。次期固体に冗長系が適切かどうかは別として、将来基幹ロケットにも採用されることを視野に入れた場合にはそのあたりも考えた上での開発が望ましいと思うが、どのような考え方になっているか。 |
5−5 | 前回の会議で説明のあったように、打上げコスト低減のためには地上設備を簡単にすることが重要であると同時に、その維持費用を低減することがより重要である。詳細検討は今後の検討課題としても、構想立案時にそのあたりの検討は行ってあるか?(誘導方式、射点の機械系設計等) |
5−6 | システムの選定として一番重要なアビオニクス技術の革新だが、この導入によりネットワーク化とインテリジェント化され設備・運用が負担軽減するというが、どのくらいの効率性が見込まれるのか具体的な説明がほしい。 |
5−7 | 具体的な資金計画がなされていないが、200億円という数字の妥当性についてもう少し詳細に説明がほしい。 |
5−8 | すでに現時点で高速シリアルバス化の開発の遅れが予想されるのであるなら、徹底したスケジュール管理の強化を打ち出すべきであり、最初からリスク管理の項目に入れ込むのは問題有り。 |
5−9 | 次期固体ロケットでは何が最重要課題か。打上げ能力、打上げコスト、固体ロケットであること、いずれか。全体に目標の設定が漠然としており、資料にある上記課題を解決するロケットはメーカーが自主開発できるのではないか、と思ってしまう。JAXA(ジャクサ)が担当する「他に譲れない開発課題」があるはずでそれを明確にすべきではないか。 |
5−10 | 従来は、新しいシステムを設計する際、先にコンポーネントが決まり、それを前提としてシステム設計が行われる例もあったが、効率の良いシステムの設計を行うためには、まず全体システムの設計を行い、そこを出発点としてコンポーネントの仕様を固め、設計を進めていく必要がある。この点について、どのように考えているか示してほしい。 |
5−11 | これまでのMuシリーズのロケットの技術作業は、通常の航空宇宙の作業標準とは異なった方式で実施されて来たと思われる。機械的に全てを航空宇宙の標準に合わせる必要は無いにしても、良いところは積極的に採り入れるべきである。その意味からもプロジェクトの最初からSystem Engineering手法に基いて作業を行い、航空宇宙の技術標準の良いところ活用して行くことを考慮すべきである。この点について、どのように考えているか示してほしい。 |
5−12 | 小型科学衛星の候補リストを見ても、衛星のミッションは多様のようであり、ロケットが単一のコンフィギュレーションで対応出来るのか多少の疑問が残る。今回の開発で何処まで進めるかに関しては今後の議論であるとしても、計画決定段階でもう少し幅広い検討を実施し、将来のGrowthポテンシャル或いはバージョンを考慮に入れた上で具体的な開発に進むべきでは無いかと考える。この点について、どのように考えているか示してほしい。 |
P6で小型科学衛星が16候補選定されているが、そのワーキンググループの意義について具体性が乏しい。
推進6−3−2 P6
JAXA(ジャクサ)
宇宙科学研究本部には宇宙工学委員会および宇宙理学委員会の下に小型衛星専門委員会が設置されている。当該委員会は宇宙科学研究本部の教職員だけでなく、外部評価委員(主として大学)も含めて構成されている。
提案されたミッションの候補は、小型衛星専門委員会に諮られ、厳正なる審議に基づいてその意義が評価されている。さらに各ミッション提案は、宇宙工学委員会および宇宙理学委員会(外部評価委員を含む)の審議を経て、ワーキンググループの提案として承認を受ける。したがって、いずれのワーキンググループも外部評価を経て精選された意義のあるミッションであると言える。
後継機が必要であり、その搭載重量、打上げ費用の目標値などについては理解できるが、それを実現するためにJAXA(ジャクサ)が取り組むキー技術の開発要件が明確でない。むしろ、ロケットの開発ではなく、コマンド系のTCP/IP化、射場の整備、などロケット以外の部分の開発がほとんどの様に見える。
との違い(ロケットを含め)をもう少し明確にすべきではないか。。
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
打上げシステムの次世代化(低コストで運用性の良い打ち上げシステムの構築即応化)という観点では、搭載系のネットワーク化・インテリジェント化や射場の整備(究極のコンパクト化)も重要な研究課題であるが、能力と費用の目標を満足させるロケットシステム構築のためには、それを支える推進・構造技術の研究開発が不可欠である。1段についてはH−Aロケットのブースタ(SRB−A)を適用する計画であるが、上段モータはロケットで確立した技術をベースとした新規設計になり、高性能低コストモータの開発や低コスト構造、低衝撃分離機構、音響衝撃低減の開発などが必要である。これらもJAXA(ジャクサ)が取り組む重要技術の開発要件である。
例えば、P10にある文言は、P16にあるとH-Aとの比較にあるような技術的視点での表現が出来ないだろうか。ロケット自身開発要素はないのか。
推進6−3−2 P10、P16
JAXA(ジャクサ)
1段はH−Aロケットのブースタ(SRB−A)を適用し、上段モータはロケットで確立した技術をベースとした新規開発である。
ロケット開発までの固体推進系研究は、主に性能(比推力と構造効率)の究極を目指してきた。今後の開発は、固体ロケットシステムで要求される性能とコストのバランスを取るなどサブシステム全体の最適化を図ることが一つの方向性で、システムに感度の高い指標を抽出した上で適切な改良を施す検討をしている。例えば、高度化した汎用材料の適用による軽量化や低コスト化が一つの方策である。これにより固体推進技術を洗練させ、同時に、目標(能力・コスト・運用性)を達成するロケットシステムを構築すべく研究を進める予定である。
(参考)現計画の次期固体ロケットとロケットの諸元比較
次期固体ロケット | ロケット | ||
---|---|---|---|
全段 | 全長 | 約24メートル | 約31メートル |
直径 | 2.5メートル | 2.5メートル | |
全備質量 | 約91トン | 約138トン | |
1段 | 推進薬質量 | 約66トン | 約72トン |
2段 | 推進薬質量 | 約11トン | 約33トン |
3段 | 推進薬質量 | 約2トン | 約11トン |
キックモータ(参考) | 推進薬質量 | 約1トン |
上段モータ設計変更(構想) |
今後の科学衛星を含む様々な小型衛星の打上げに対応した我が国の自律性確保の観点から、その即応性(即時打上げ要求に対応)が極めて重要と思料される為、開発方針に大きな項目立てを設け、開発研究段階においてその実現性を徹底的に追求する様要望したい。
推進6−3−2 P14
JAXA(ジャクサ)
小型科学衛星等のニーズ及び固体ロケットの特徴を生かしたシステム技術の維持・発展の観点から即応性は極めて重要と考えている。その観点で、P14の開発方針1(3)「短期間・高頻度打上げに対応したシステムにすること」のもと、以下を目標に掲げてその実現性を追及している。
P15において、従来からの一般的な実施体制の組織図が示されているだけであるが、本プロジェクトの特質を考えて、実施体制を構築する上で特に配慮した点が何かあるはずである。その点の説明がほしい。
推進6−3−2 P15
JAXA(ジャクサ)
特に配慮した点として、ロケットまでに培ってきた技術の継承という観点で、ロケット開発・運用メンバーとの連携(宇宙科学研究本部の連携・支援)が挙げられる。具体的には、各サブシステムのワーキンググループを設置し、宇宙基幹システム本部のメンバーに宇宙科学研究本部のメンバーを加えて検討を進めている。
1段および2段モータは既存のシステムをベースとする構想となっているが、飛行時の加速度、荷重等で無理な設計とはならないか?加速度パターン、最大動圧等はどの程度か?或いはスラストパターン等の変更を行う計画か?
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
1段モータは推力方向制御装置(TVC)の改修以外はほぼ既存のまま適用し、2段モータはロケット3段モータ(M-34b)をベースとした新規設計になる。現在検討中ではあるが、点火方式の変更に伴い推進薬グレイン形状を見直すため、スラストパターンを変更する。2段モータは、高い推進薬充填率の確保と共に、上段モータとして適切なスラストパターンを与えるための最適化設計の検討を実施している。2段機軸最大加速度は8.21G程度を想定しており、最大動圧は1段制御性を考慮して現在の検討では64kPa(キロパスカル)を見込んでいる。1段のSRB-Aについては、モータケースの構造強度について検討を実施し、設計余裕があることを定量的に確認している。
3段モータは新規開発の計画か?3段は比較的小型のようだが、3軸制御かスピン安定か?従来に比較して衛星に新たな制約が付けられることはないか?
推進6−3−2 P16
JAXA(ジャクサ)
3段モータはロケットのキックモータKM-V1をベースとした新規開発であり、スピン安定である。ロケットでも最終段スピン安定でスピン衛星と3軸衛星を打ち上げた実績があり、従来(ロケット等)と比較して、衛星に対して新たな制約がつけられることはないと考えている。
今後開発するロケットではUser FriendlinessとFlexibilityが重要と思う。そのためにはそれぞれのミッションに適合し易いように、打上げ能力、衛星とのインタフェース(機械的インタフェースのみでは無く、最大加速度、姿勢安定方式、速度調整機能等)に複数のバージョン或いは発展構想があると良いかと思う。そのあたりの考え方はどのようになっているか。
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
次期固体ロケットでは、ロケットについて詳しく理解していないユーザも乗りやすいクリーン・インタフェース設定を目指し標準インタフェースを設定する予定である。一方、ユーザの様々な要求に対応できる柔軟性を有するロケットとしてオプショナルなインタフェースも準備することで、User FrendlinessとFlexibilityを高める予定である。具体例として以下を考えている。
外国の技術動向を見ると、人工衛星打上げ用ロケットの場合でも誘導制御系には冗長性が取入れられてきているように思う。次期固体に冗長系が適切かどうかは別として、将来基幹ロケットにも採用されることを視野に入れた場合にはそのあたりも考えた上での開発が望ましいと思うが、どのような考え方になっているか。
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
次期固体ロケットのアビオニクスは、「打上げシステムの革新的向上、次世代標準技術に向けた開発」を目指しており、その一つに高速シリアルバス化(ネットワーク化)がある。ネットワーク化でインタフェースの標準化(共通化)が図れ、機器拡張の容易性が実現できると考えている。また、将来のロケットで誘導制御系の冗長化が必要となった場合には、次期固体ロケットで開発・実証を計画しているネットワーク技術を利用することで対応できると考えている。
前回の会議で説明のあったように、打上げコスト低減のためには地上設備を簡単にすることが重要であると同時に、その維持費用を低減することがより重要である。詳細検討は今後の検討課題としても、構想立案時にそのあたりの検討は行ってあるか?(誘導方式、射点の機械系設計等)
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
地上設備の維持費用を低減することはライフサイクルコスト低減において重要であると認識しており、以下のような方向で検討している。
これまで、地上支援装置として非常に多くの装置を保有し、維持してきたが、次期固体ロケットでは搭載機器の自律点検機能を持たせるなどにより、地上側機器を大幅に少なくする。また、機械系の組立てについても、射場作業を出来る限り少なくすることを目的とした機体のシンプル化により、治具や作業用機器を最小限にする。射点設備についても、機体の風雨からの保護等に必要な最小限の規模とする。このように維持対象を最小化することで、維持費用の低減に繋げていく。
点検や管制に使用する機器は、これまでのような専用のラックや卓方式ではなく、汎用のPC相当で構築する。汎用機器の維持費用は専用・特殊な機器より低いのが一般的であり、経年劣化等により換装が必要になった場合でも費用低減が可能となる。
次期固体では搭載機器を基幹ロケットと共通化することにより、射場系設備等を共通化する。これにより維持費用の低減が可能となる。
なお、ロケットはそれまでに実績を有する電波誘導方式(機器)を適用してきたが、次期固体ロケットでは基幹ロケットとの機器の共通化も踏まえ慣性誘導方式を適用する構想である。従って、これまで維持してきた電波誘導用の地上設備については、今後は使用しないこととなる。
システムの選定として一番重要なアビオニクス技術の革新だが、この導入によりネットワーク化とインテリジェント化され設備・運用が負担軽減するというが、どのくらいの効率性が見込まれるのか具体的な説明がほしい。
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
次期固体ロケットでは、アビオニクス技術の革新を中核として、システムのネットワーク化・インテリジェント化、システムの簡素化等により、設備・運用を効率化することを目指しており、以下のような方向で検討している。
電気系点検の効率化だけでなく、機械系の組立て作業の効率化も含め、射場における作業量を大幅に低減する。具体的には、射場作業の日数についてロケットの約42日から7日へ、射場作業の人工数についてロケットの約2,000人日から150人日へと低減することを目標に構想を検討中。
打上げ時のカウントダウン作業における打上げ管制作業要員数(飛行安全に関する要員は除く)について60〜70人()から十数人程度へと低減することを目標に構想を検討中。
具体的な資金計画がなされていないが、200億円という数字の妥当性についてもう少し詳細に説明がほしい。
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
開発資金のうち、モータ、構造系・姿勢制御系についてはメーカからの見積もりを研究チームとして精査済みである。アビオニクスシステムについては、暫定的に開発コストとして実機の6倍強の設定をしているが、システム要求と実現可能性について考慮中である。
すでに現時点で高速シリアルバス化の開発の遅れが予想されるのであるなら、徹底したスケジュール管理の強化を打ち出すべきであり、最初からリスク管理の項目に入れ込むのは問題有り。
推進6−3−2 P24
JAXA(ジャクサ)
現段階におけるリスク管理は、内在するリスクを初期段階から顕在化させ、適切に対処することで開発段階にリスクを持ち込まないことを目的としている。「高速シリアルバス」については、その発生可能性は小さいと評価しているが、開発研究段階にてリスクを充分に低減して開発に移行する計画である。
次期固体ロケットでは何が最重要課題か。打上げ能力、打上げコスト、固体ロケットであること、いずれか。全体に目標の設定が漠然としており、資料にある上記課題を解決するロケットはメーカーが自主開発できるのではないか、と思ってしまう。JAXA(ジャクサ)が担当する「他に譲れない開発課題」があるはずでそれを明確にすべきではないか。
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
輸送系の観点から見たときの最重要課題は「固体ロケットシステム技術」の維持・発展、すなわち、固体ロケットであること。一方、ユーザの観点から見た場合の最重要課題は、「適正な打上げ能力を適正な打上げコストで提供すること」、すなわち、「打上げ能力」と「打上げコスト」。次期固体ロケットでは、両方の観点を併せ持つことが必要で、「打上げ能力」、「打上げコスト」、「固体ロケットであること」の全てが最重要課題と考えている。
このロケット研究の目的は、上記を満足するロケットをただ単に一過性的に開発するだけにとどまらず、将来のロケットにも繋がるシステム技術の開拓も展望に研究を進めることにある。ロケットに依存しないアビオニクスや射点に依存しない管制系は、次期基幹ロケットにも反映できるものである。JAXA(ジャクサ)としての最重要課題は、ロケット・設備・運用から構成される打上げシステムの次世代化(低コストで運用性の良い即応的打ち上げシステムの構築)にあり、これを液体ロケットに比べて開発期間が短く開発コストも安い小型の固体ロケットで実現し、大型の液体ロケット(次期基幹ロケット)にもその次の段階で反映しようということである。このような目標設定、その目標からシステム要求への展開、さらに、そのシステム要求を満足する機体・設備形態の選定と打上げシステムの設計とりまとめがJAXA(ジャクサ)の役割と考えている。
従来は、新しいシステムを設計する際、先にコンポーネントが決まり、それを前提としてシステム設計が行われる例もあったが、効率の良いシステムの設計を行うためには、まず全体システムの設計を行い、そこを出発点としてコンポーネントの仕様を固め、設計を進めていく必要がある。この点について、どのように考えているか示してほしい。
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
システムの目的を実現するための工学的方法論である「システムズエンジニアリング(SE)」手法に基づき作業を実施している。具体的には、目的(ミッション要求)からこれを実現するシステムを定義しこのシステムを構成する個々の要素への要求や技術的仕様に段階的に「分割」することと、個々の要素をシステムへと「統合」し運用に供すという一連の活動を実施している。
これまでのMuシリーズのロケットの技術作業は、通常の航空宇宙の作業標準とは異なった方式で実施されて来たと思われる。機械的に全てを航空宇宙の標準に合わせる必要は無いにしても、良いところは積極的に採り入れるべきである。その意味からもプロジェクトの最初からSystem Engineering手法に基いて作業を行い、航空宇宙の技術標準の良いところ活用して行くことを考慮すべきである。この点について、どのように考えているか示してほしい。
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
サブシステムごとの講座制により人を育てる過程で技術は直接人から人へ伝授され、信頼性会議等の場でシステム及びサブシステムをクロスチェックするといったようなことに代表されるまでの伝統のいい部分は継承し、かつ、5−10の回答の通り「システムズエンジニアリング」手法を取り入れて設計を行う予定である。
小型科学衛星の候補リストを見ても、衛星のミッションは多様のようであり、ロケットが単一のコンフィギュレーションで対応出来るのか多少の疑問が残る。今回の開発で何処まで進めるかに関しては今後の議論であるとしても、計画決定段階でもう少し幅広い検討を実施し、将来のGrowthポテンシャル或いはバージョンを考慮に入れた上で具体的な開発に進むべきでは無いかと考える。この点について、どのように考えているか示してほしい。
推進6−3−2
JAXA(ジャクサ)
小型科学衛星候補を分析した結果、3段式の全段固体ロケットにより小型科学衛星計画の大半のミッションに対応可能であるが、最終段に液体ステージを搭載することで軌道投入精度の向上や軌道変換など、さらにミッション対応能力の多様性・柔軟性が向上する。今後、この小型液体ステージのオプション搭載についても検討する。
以上