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教科書制度の改善について

2002/07/31
教科用図書検定調査審議会

教科書制度の改善について(検討のまとめ)
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はじめに

第1部  教科書検定の改善について

1  教科書に「発展的な学習内容」等の記述を可能とすることについて

2  教科書記述をより公正でバランスのとれたものとすることについて

3  教科書検定手続等の改善について

第2部  教科書採択の改善について

1  調査研究の充実に向けた条件整備について

2  採択手続の改善について

3  その他


参考資料

○ 検討の経過

○  委員名簿


検討のまとめの概要



教科書制度の改善について(検討のまとめ)

はじめに

  教科書は、「教科課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材」として、児童生徒の教育に極めて重要な役割を果たしている。このように「主たる教材」として重要な役割を果たす教科書は、民間による著作・編集、文部科学大臣による検定、教育委員会等による採択等の手続を経て学校で使用されるものであり、児童生徒により良い教科書を提供するためには、これらの各手続が円滑かつ適正に行われるとともに、それぞれの段階について、制度や運用の充実・改善が図られる必要がある。
  このような考えに立って、これまでも、教科書制度について、適時、様々な改善が図られてきており、特に検定制度については、平成元年に検定手続の大幅な簡素化・重点化が図られたほか、11年には、新しい学習指導要領の実施に対応した検定基準、検定手続等の改善が図られている。
  しかしながら、平成12年度以降の新しい学習指導要領に基づく教科書の検定・採択の結果等を踏まえ、各方面から様々な指摘もなされている。もとより、教科書については、より良いものを児童生徒に提供するため、関係する制度について不断の見直しが求められるものであり、こうした観点から、本年2月18日に文部科学省初等中等教育局長より、本審議会に対し、教科書制度について、検定・採択の双方にわたってどのような改善が可能であるか検討するよう要請が行われた。
  この要請を受け、本審議会では、1教科書に発展的な学習内容等の記述を可能とする方向での教科書検定基準の見直し、2教科書の公正でバランスのとれた記述の在り方、3教科書採択に関する調査研究の充実に向けた条件整備、4採択手続の改善、5その他関連する制度の改善について、総会及び各部会で審議し、検討を行ってきた。関係団体や国民から寄せられた意見も参考としながら検討を行い、今回、その結果をとりまとめた。
  この「検討のまとめ」で指摘した検定基準の改正等の諸方策については、文部科学省において、平成15年度以降の検定・採択に向け、速やかに実施するとともに、各教科書発行者や教育委員会等の各採択権者においても、必要な対応を行うよう希望する。


第1部  教科書検定の改善について

1  教科書に「発展的な学習内容」等の記述を可能とすることについて

(1) 現状及び基本的な考え方について
 
  教科書は、すべての児童生徒が共通して使用する教材であり、学習指導要領に示された各教科・科目、学年、分野、言語(以下「各教科等」という。)の内容を児童生徒に確実に定着させるものとなっていることが必要である。平成10年11月の本審議会建議「新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善について」においても、14年度から実施される新しい学習指導要領の趣旨を踏まえつつ、教科書に求められる内容・記述の在り方として、枝葉末節の知識を扱うのではなく、学習指導要領に定める教科の内容等に基づき、基礎・基本の確実な定着を助けるものであること、知識、技能の詰め込みに陥ることなく、「何を学べばいいのか」、「いかにして学ぶのか」など、学び方、考え方の習得が図られるものであることなどの指摘を行った。
  同建議を踏まえ、文部科学省において、義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校教科用図書検定基準を改正し、平成12年度以降、改正後の検定基準により検定を実施しているが、こうした教科書の在り方に関する基本的な考え方は今後とも重要であると考える。

  一方、新しい学習指導要領では、すべての児童生徒が共通に学ぶ内容を厳選し、これによって生まれる時間的・精神的なゆとりを活用して、これまで以上に児童生徒一人一人の理解や習熟の程度に応じた教育を行うことが可能となっている。本年1月に文部科学省から示された「確かな学力向上のための2002アピール『学びのすすめ』」においても、各学校においては、学習指導要領の内容を十分理解している児童生徒に対し、学習指導要領の内容のみにとどまらず、理解をより深めるなどの発展的な学習に取り組ませ、一人一人の個性等に応じて児童生徒の力をより伸ばす取組を一層充実させることが求められている。

  これらの発展的な学習の指導については、従来から、各学校の判断により、適宜、適切な副教材を活用するなどして実施されているが、本審議会における審議や関係団体等から寄せられた意見の中では、新しい学習指導要領の下、教科書においても、学習指導要領に示された内容以外の記述も認めるべきではないかとの指摘がなされている。
  他方、義務教育、特に小学校段階において、学習指導要領に示された内容以外の内容を教科書に記述することについては、基礎・基本の確実な定着を図るという教科書の基本的な性格を踏まえ、慎重な意見も出されている。

  本審議会において、教科書の基本的な性格や様々な指摘等を踏まえて検討した結果、教科書に、児童生徒の理解をより深めたり、興味・関心に応じて学習を拡げたりする観点から、学習指導要領の各教科等の内容に示された内容以外の記述を行うことが基本的に認められていない現在の検定基準のままでは、今後の新しい学習指導要領の趣旨を踏まえた特色ある学校教育活動を展開する上で、必ずしも十分な対応を行うことが難しい面もあると考えた。このため、学習指導要領の各教科等の内容に示されていない内容について、記述上の留意点等一定の条件を設けた上で、教科書に記述することを可能とすることが、多様な教科書を求めていく上で適当であるとの結論を得た(これらの教科書に記述を可能とする学習指導要領に示されていない内容としては、(2)に述べるように、学習指導要領に示された学習内容を更に深める発展的な内容や、興味・関心に応じて拡張的に取り上げる内容など多様なものが考えられることから、以下においては、これらを「『発展的な学習内容』等」と記述することとする。)。

  なお、これらの「発展的な学習内容」等については、当然のことながら、各教科書に一律に記述することが求められるものではなく、教科書本来の目的である学習指導要領に示された内容を確実に定着させるための創意工夫が施された上で、記述され得るものである。

(2) 教科書に記述を可能とする「発展的な学習内容」等の考え方
 
1   教科書においては、その基本的性格を踏まえ、以下のような考え方に基づき、「発展的な学習内容」等の記述を可能とすることが適当である。
  学習指導要領の目標、内容の趣旨を逸脱するものでないこと
学習指導要領総則においては、学校において学習指導要領に示していない内容を加えて指導する場合には、学習指導要領に示す各教科等の目標や内容の趣旨を逸脱しないようにしなければならない旨定められている。教科書に、学習指導要領に示されていない「発展的な学習内容」等を記述する場合にも、その内容については、当然、この学習指導要領総則の定めに沿ったものであることが必要である。
  児童生徒の心身の発達段階に適応しており、負担過重とならないものであること
「発展的な学習内容」等は、児童生徒の一人一人の理解の程度に応じて指導されるものであるが、すべての児童生徒が共通して使用するという教科書の基本的な性格を踏まえれば、教科書に記述される「発展的な学習内容」等については、児童生徒の全般的な心身の発達段階に適応したものであることが必要である。また、学習指導要領総則においては、学校において学習指導要領に示していない内容を加えて指導する場合には、児童生徒の負担過重となることのないようにしなければならない旨定められており、教科書の「発展的な学習内容」等の記述についても、この定めに沿ったものであることが必要である。
  主たる学習内容との適切な関連を有するものであること
教科書は、(1)で述べたとおり、すべての児童生徒が共通して使用する教材として、学習指導要領に示された各教科等の内容を児童生徒に確実に定着させるものであることが必要である。したがって、「発展的な学習内容」等を記述する場合にも、それらの内容は、あくまで、主たる学習内容である学習指導要領に示された各教科等の内容や内容の取扱いに示す事項との適切な関連を有し、それらの内容の理解を一層深めたり、児童生徒の興味・関心に応じて、主たる内容の学習に資するものであることが必要である。
2   1の考え方に基づき、「発展的な学習内容」等として、以下のような内容について、記述を可能とすることが適当である。
  学習指導要領において、当該学年、科目、分野又は言語(以下、「学年等」という。)の学習内容とされていない内容
  (ただし、「発展的な学習内容」等自体の詳細な理解や習熟を図る扱いとなっていないこと)
  学習指導要領上、隣接した後の学年等の学習内容(隣接した学年等以外の学習内容であっても、当該学年等の学習内容と直接的な系統性があるものを含む)とされている内容
  (ただし、当該学年等の学習内容を押さえた上で導入的に取り上げていること)
(※) なお、当該学年等の学習内容を説明するために導入的に前の学年等の学習内容に触れたり、前の学年等の学習内容を復習的に記述することについては、従来の検定でも許容されており、これらの記述については、今後とも、「発展的な学習内容」等としてではなく、許容することが適当である。
  学習指導要領上、当該学年等では「扱わない」とされている内容
  学習指導要領上、どの学年等でも扱うこととされていない内容
  学習指導要領において扱い方が制限されている内容
  学習指導要領の内容の取扱いにおいて、「…程度にとどめる」、「…深入りしない」、「…平易に扱う」、「…簡単に扱う」、「定性的に扱う」など、当該内容を扱うことを前提にした上で、その扱い方を制限する規定(いわゆる「はどめ規定」)が設けられているものについて、それらの制限を超えた内容
3   他方、教科書は、学習指導要領に示された内容を児童生徒に確実に定着させることを主眼とするもので、「発展的な学習内容」等は、それらの主たる学習内容の理解を一層深めるなどの観点から記述されるものであること、「発展的な学習内容」等はすべての児童生徒が一律に学習する必要があるものではないことから、教科書に「発展的な学習内容」等を記述する場合には、以下のような点に留意することが必要である。
  本文以外での記述とし、他の記述と明確に区別すること
「発展的な学習内容」等を記述する場合には、本文以外の資料等において記述するとともに、囲み記事等とするなど、学習指導要領に示された内容に関する記述と明確に区別することが必要である。
ただし、その場合においても、「発展的な学習内容」等をその他の記述と区別して記述することによって、その他の記述自体の系統性が損なわれるなど、「発展的な学習内容」等を履修しない児童生徒にとって学習上の支障が生ずることのないよう留意する必要がある。
  「発展的な学習内容」等であることを教科書上明示すること
「発展的な学習内容」等を記述する場合には、実際に学習する上で誤解等の生じることのないよう、それらの内容が学習指導要領に示されていない「発展的な学習内容」等であり、すべての児童生徒が一律に学習する必要があるものではないことを教科書上明示することが必要である。
  一定の分量以下の記述とすること
「発展的な学習内容」等の記述の分量は、各教科書全体の中の一定割合以下の適切な分量とする必要がある。また、この割合については、特に、義務教育の教科書については、学習指導要領に示された内容を確実に定着させることを主体とすべきであり、「発展的な学習内容」等を記述する場合であっても、その分量は少量に止めるべきであるとの意見があることなどを踏まえ、児童生徒の発達段階に照らし、義務教育と高等学校教育の間などで、適宜、差異を設けることが適当である。

(3) 検定基準の改正について
  教科書において以上に述べたような「発展的な学習内容」等の記述を行う
とともに、記述上の留意点等の条件を規定するため、以下のような検定基準の改正を行う必要がある。
1   すべての学校段階を通じて、学習指導要領の各教科等の内容及び内容の取扱いに示していない内容を記述することを可能とするための改正
2   「発展的な学習内容」等を取り上げる場合に関して、学習指導要領の内容の取扱いで扱い方を制限した規定(いわゆる「はどめ規定」)に照らして不適切なところがないこととの基準の例外を設けるための改正
3   「発展的な学習内容」等以外の記述と区別することや、学習指導要領に示されていない内容であることを明示することを条件とするための改正
4   「発展的な学習内容」等の分量は適切であることを条件とするための改正

(4) その他
 
1   事例数等が規定されたものの扱い
  学習指導要領の内容において学習する語数、字数を規定したり、内容の取扱いにおいて、「2種類又は3種類扱う」など扱う事例数を規定したものについては、扱いを変えるなどの配慮がなされていれば、従来の検定上の運用を改め、「発展的な学習内容」等としてではなく、それらの制限を超えた語数、字数、事例数を記述することを可能とすることが適当である。
2   入学者選抜における扱い
  「発展的な学習内容」等の内容は、学習指導要領に示された内容でなく、すべての児童生徒が一律に学習する必要があるものではない。従来から、入学者選抜における学力検査については、文部科学省より、学習指導要領に示された内容を出題範囲とするよう求めてきているところであり、教科書に記述された「発展的な学習内容」等の内容についても、当該学校段階の学習指導要領上扱うことができないものについては、入学者選抜における学力検査の問題作成に当たっては、出題対象としないよう十分留意する必要がある。


2  教科書記述をより公正でバランスのとれたものとすることについて
(1) 現状及び基本的な考え方について
 
  教科書は心身の発達過程にある児童生徒が学習する上で使用する図書であり、正確かつ公正で、学習内容を理解する上で支障がないなど適切な配慮がなされていることが必要である。平成10年の本審議会建議においても、教科書の内容は児童生徒の心身の発達段階を考慮し、適切な教育的配
  慮の下、正確かつ公正なものでなければならないこと、教科書の著作・編集に携わる者は、教科書が正確で適切な内容であるか、一面的な見解に偏らず、広く受容されている内容となっているか、公正な内容となっているかなどの観点から十分な吟味を行わなければならないことなどを指摘した。

  このような観点から、現在の検定基準においても、教科書の記述の公正さやバランスに関する諸規定が設けられており、これまでの検定においても、申請図書の内容に、それらの規定に照らして、公正さやバランスに欠けると認められる記述があった場合には、検定意見を付し、修正を求めるなど、この点に関し留意してきている。

  本審議会に対し関係団体から寄せられた意見においては、今後とも教科書記述の公正さ等を確保することが重要であるとするもの、これまでの検定基準に基づいた公正さ等の確保の方向を支持するものに加え、特に、教科書が心身の発達過程にある児童生徒のための主たる教材であることを踏まえ、児童生徒の発達段階に応じ、その理解力や判断力に即した内容となっていることが必要であるとするものが多く見られた。具体的には、例えば見解が分かれている内容を取り上げる場合には、児童生徒の発達段階等を踏まえ、断定を避けるだけでなく、異なる見解の内容にも触れるなど、児童生徒が見解が分かれていることを理解でき、多面的・多角的に判断できるようなバランスのとれた内容となっていることを求める意見が多く寄せられた。

  このような指摘も踏まえ、現在の検定基準の基本的な在り方を踏まえつつ、必要に応じ、児童生徒が使用する上で公正さやバランスを更に求めることが可能となるよう、検定基準の関連する規定の改正を行い、これらの観点からの教科書記述のより一層の改善を図ることが必要である。

(2) 検定基準の改正について
 
1   話題や題材の選択・扱いの調和に関する規定
  話題や題材の選択及び扱いについて、特定の事項、事象、分野などに偏ることなく、全体として調和がとれていることを定めた規定について、児童生徒が学習内容を理解する上で支障が生ずるおそれがないよう、従来以上に調和を求めることも可能となるような観点から改正を行うことが必要である。
2   事柄や見解の取扱いに配慮等を求めた規定
  図書の内容に、特定の事柄を特別に強調し過ぎていたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするところはないことを定めた規定について、児童生徒が学習内容を理解する上で支障が生ずるおそれがないよう、従来以上にバランスのとれた記述を求めることも可能となるような観点から改正を行うことが必要である。



3.教科書検定手続等の改善について
(1) 現状及び基本的な考え方について
 
  検定手続等については、平成元年に検定基準及び検定手続の大幅な簡素化・重点化が図られたが、更に11年には、より一層の簡素化・透明化等を図る観点から、検定意見の文書化等の改善が行われ、12年度の教科書検定から適用されている。
   
  今後、更に審査手続について一層の簡素化・透明化を図るとともに、申請図書の完成度の一層の向上、静ひつな審査環境の確保等を図る観点から、遅くとも平成15年度の検定から適用できるよう、検定手続等の改善を図ることが必要である。
   
(2) 改善の具体的な内容について
 
1   審査手続の一層の簡素化・透明化
申請図書の審査手続のうち、決定を留保せずに、直ちに不合格の決定を行うか否かの判定については、現在は、本審議会の決定により、いわゆる「評点方式」(各申請図書の欠陥ごとに、その欠陥の程度に応じた欠陥点を付し、それをもとに各図書の頁数も加味した観点ごとの評点及びその合計を算出し、それらが所定の点数に満たない場合に不合格とする方式)をとっている。しかしながら、この方式については、全体として判定方法が複雑で必ずしも透明性の観点から十分とはいい難いなどの指摘もある。このため、審査手続の一層の簡素化・透明化を図る観点から、この合否の判定方法について、現在の「評点方式」から、より簡素で透明な、頁当たりの欠陥箇所数の多寡等によって判定を行う方式に改める必要がある。
2   申請図書の完成度を高めるための方策
著作者・編集者によって申請図書の段階から完成度が一層高められるべきことについては、平成10年の本審議会建議でも指摘したところであるが、12年度・13年度の小・中・高等学校教科書の検定における検定意見の約6割が誤記や誤った事実の記載等の正確性に関するものであるなど、申請図書の完成度が依然として高いとは言えない状況にある。このような現状に鑑み、各申請者において申請図書の完成度を高めるために内部の編集チェック体制を一層強化すべきであるとともに、文部科学省において以下のような方策を講ずる必要がある。
  ア.誤りや不正確な記述が特に多い申請図書について、申請者に対し改善方策について説明を求めること
  イ.過去の検定における、誤りや不正確な記述例のデータベースを構築し、今後の申請図書の編集等の参考に供すること
3   訂正手続等の見直し
平成11年の検定手続の改正において、本審議会の建議も踏まえ、手続の簡素化を図るとともに、申請図書の完成度を一層高める観点から、それ以前に認められていた検定意見に従った修正以外の修正の仕組が廃止された。しかしながら、この改正後も、申請図書の完成度は必ずしも高まっておらず、従来この仕組によって行われていた誤記等の修正が、検定決定後の見本提出前の訂正により行われることとなり、短期間に膨大な訂正が申請され、審査の適切・円滑な実施に支障を生じかねない状況となっている。このため、改めて申請図書の完成度を高めることを各申請者に促すとともに、見本提出前の訂正について、審査が適切・円滑に行われるよう、申請手続等の改善を行う必要がある。
4   検定済図書の訂正要件の追加
検定済図書の訂正について、訂正要件を緩和する観点から、現行の「誤記」等に加え、色刷りやレイアウトの変更などの体裁の訂正についても要件を追加する必要がある。
5   供給済教科書の訂正内容の周知
供給済教科書の記述を訂正した場合には、現在、各発行者は、当該教科書を使用している学校の校長に訂正内容を通知することとされている。今後、教科書への信頼を更に高める観点から、供給済教科書の訂正事項のうち誤記・誤植・誤った事実の記載に係るものについては、この通知に加え、各発行者のホームページ等で周知させることが必要である。
6   静ひつな審査環境の確保
検定審査中に、申請図書、検定意見、修正表等に関する情報が外部に漏出した場合、本審議会における中立、公正で円滑な審査に支障を生ずるおそれがある。このため、表現の自由などに留意しつつ、静ひつな審査環境を確保するため、申請者に対し、検定決定が行われるまでは審査中の申請図書等に関する情報を外部に漏出しないよう改めて求めるなどの方策を講ずることが必要である。また、本審議会としても、今後、仮に円滑な審査を行う環境が確保できない事態が生じた場合には、審議会の審査を一旦停止することとするなど、静ひつな環境の中で円滑な審査が行われるよう適切な対応を講ずることとしたい。



第2部  教科書採択の改善について

1  調査研究の充実に向けた条件整備について
(1) 現状及び基本的な考え方について
 
  教科書の採択は、児童生徒により良い教科書を提供する観点から、各採択権者の権限と責任のもと、教科書の内容についての十分かつ綿密な調査研究によって公正かつ適正に行われるべきものである。
   
  しかし、採択のための調査研究期間の不足や、調査研究のための教科書見本の部数が十分でないなど、調査研究の充実に向けた更なる改善を求める声が出されているところであり、こうした意見を踏まえ、教科書の調査研究の充実に向けた条件整備を図っていくことが必要である。
   
(2) 改善の具体的な内容について
 
1   十分な調査研究期間の確保
  教科書内容について適切な調査研究を行うためには、十分な調査研究期間を確保することが必要である。
  このため、多くの市町村教育委員会が都道府県教育委員会の指導を待って調査研究を開始しているという現状を改め、今後は、教科書見本が送付され次第速やかに調査研究に着手することにより、これまで以上に調査研究期間を確保することが可能となる。
また、義務教育用教科書の採択期限については、新学期までに各学校に確実に教科書を供給するため、各教科書毎の必要部数の集計や印刷・製本等に必要な期間を勘案し8月15日までと定められているが、今後は、需要数集計事務の電算化等によって事務の効率化を図ることにより、この期限を2週間程度延長し、調査研究期間を確保していくことが望まれる。
2   調査研究のための資料の充実
  教科書の採択は、教科書内容の調査研究を十分に踏まえて行われるべきものであり、宣伝活動によって左右されるべきものではない。このため、現在、教科書見本の送付部数等に一定の制限を設け、発行者の過当な宣伝行為を抑制している。
  しかしながら、現状では、例えば市町村教育委員会に対して教育委員分の教科書見本が送付されない、全ての高等学校に教科書見本を送付することができないなど、採択関係者に十分な教科書見本が送付されず、教科書内容の適切な調査研究に支障が生じるおそれがあることなどが指摘されている。
  このため、各採択権者等に送付する教科書見本の送付部数制限を見直していくことが必要である。
  また、都道府県教育委員会が市町村教育委員会等を指導するために作成している義務教育用教科書の選定資料について、各都道府県の教育方針と合致しているか、学習指導要領の内容等のどの点を重視しているかなど、各採択権者においてより参考となるよう内容の一層の工夫・充実を図るとともに、各教育委員会は、高等学校用教科書の採択のための調査研究資料の充実に努めていくことが望まれる。
  将来的には、保護者も含め、より多くの教育関係者が、同時に教科書の内容に触れ、調査研究ができるよう、印刷・製本された教科書見本とは別に、電子媒体を活用した教科書内容の展示(電子展示会)に関する検討を進めることが適当である。
3   保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実
  教科書の採択は、教科に関する専門的な観点からの調査研究が必要なことはいうまでもないことであるが、同時に、児童生徒が使用する教科書を選ぶに当たって、学校教育に保護者が何を期待するかなど保護者の広い視点からの意見を踏まえて検討していくことは、調査研究を充実していく上で大切なことである。
  このため、教科用図書選定審議会等への保護者の参画をより一層促進していくための方策を講じていくとともに、高等学校では、学校長のリーダーシップのもと、例えば、各学校に置かれている学校評議員の意見を聞くなど、より広い視野からの意見も参考にするよう努めていくことが必要である。


2  採択手続の改善について
(1) 現状及び基本的な考え方について
 
  教科書の採択は、各採択権者の権限と責任のもと、適切な手続により行われるべきものである。
   
  しかし、複数市町村が共同で採択を行っている地区では、採択権者である市町村教育委員会と採択地区との関係が明確でない、市町村教育委員会の意向が適切に反映されにくいなど、採択手続に関して更なる改善を求める声が出されているところであり、こうした意見を踏まえ、採択手続を改善していくことが必要である。
   
(2) 改善の具体的な内容について
 
1   市町村教育委員会と採択地区との関係の明確化
  公立の小・中学校で使用する教科書の採択権限は市町村教育委員会にあるが、一方、複数市町村で採択地区を構成する場合は、地区内で同一の教科書を使用することとされているため、市町村教育委員会と採択地区との関係について、不明確であるなどの指摘がある。
  このため、市町村教育委員会は、採択権限は各教育委員会にあり、採択地区協議会は地区内の構成市町村で同一の教科書を採択するための協議を行う場であることを十分踏まえ、次のような取組を行うことが適切であると考える。
  例えば、採択地区協議会等他市町村の教育委員会との協議に臨む前に、それぞれの教育委員会としての採択の方針等を予め決めておくことや、協議が一度で整わないことも想定し、再協議が可能なスケジュールで採択事務を進めるとともに、再協議の場合の手続を定めておくなど、採択事務に関するルールをそれぞれの地区で定め、予め公表することにより、採択手続を明確にしておくなどの取組が考えられる。
  なお、市町村教育委員会間の協議が整わない場合には、都道府県教育委員会が適切な指導・助言を行い、採択の適切な実施を図っていくことが必要である。
2   市町村教育委員会の意向を的確に踏まえた採択地区の適正規模化
  教科書の採択地区は、地域の実状等を踏まえ、適切な範囲に設定することが必要である。このような観点から、近年、採択地区の小規模化が進みつつあるが、現行制度上、市又は郡単独でも採択地区を設定できることとなっているのに対し、実際にはより広い区域に採択地区が設定されており、制度上、必要があれば更に小規模化することも可能な状況にある。都道府県教育委員会は、今後とも、各市町村教育委員会の意向等を的確に踏まえ、採択地区がより適切なものとなるよう不断の見直しに努める必要がある。
3   静ひつな採択環境の確保
  教科書の採択は、採択権者の権限と責任のもと、公正かつ適正に行われなければならないものである。一方、地域で使用される教科書について、地域の人々が関心を持ち、自らの意見を表明すること自体は大切なことであると考えるが、それが社会通念に照らし行き過ぎたものとなって、児童生徒が使用する教科書について誹謗・中傷等が行われる中で採択がなされたり、外部からの不当な働きかけ等により採択が歪められたなどの疑念が抱かれるようなことがあるとすれば、適切な調査研究や審議を行う上でも、また児童生徒への教育上の配慮の観点からも好ましくない。そうしたことのないよう、静ひつな採択環境を確保していくことが重要であり、都道府県教育委員会及び各採択権者は、それぞれの地域において、このことについて広く関係者の理解を求めるよう努めることが望まれる。
  また、仮に様々な働きかけにより円滑な採択事務に支障をきたすような事態が生じた場合や違法な働きかけがあった場合には、採択権者は関係機関と連携を図りながら、毅然とした対応を取ることが必要であり、各採択権者は、次のような取組を行うことが適切であると考える。
  例えば、採択に係る教育委員会の会議を行うに当たっては、採択を巡るそれぞれの地域の状況を踏まえ、適切な審議環境の確保等の観点から検討を行い、会議の公開・非公開を適切に判断するとともに、会議を公開で行う場合には、多くの教育委員会で既に定めているように、傍聴者が私語や議事に対する批判・賛否の表明等の会議の妨害となる行為を行った場合には速やかに退場させることなど、傍聴に関するルールを明確に定めておくことが必要である。また、会議の円滑な実施に具体的な支障を生じるおそれがある場合や、教育委員会等採択関係者への働きかけなどにより適切な調査研究に支障を生じるおそれがある場合には、必要に応じ関係機関の協力を得るなどし、適切な採択環境の確保に努めることが有効と考える。
  なお、各地域における採択について、当該地域の住民以外からの様々な働きかけによって、仮に採択事務やその他の教育委員会の事務の円滑な遂行に支障を生じるおそれがある場合には、地域の教育に対する信頼に応えるという観点からも、各採択権者は毅然とした対応をとることが必要である。
  文部科学省や都道府県教育委員会は、市町村教育委員会等各採択権者に対し、静ひつな採択環境の確保に向けたこのような取組を適切に行うよう促すとともに、必要に応じ個々の相談に応ずることなどにより、その取組を支援していくことが必要である。
4   開かれた採択の一層の推進
  教科書や教科書の採択に対する国民の高い関心に応えるため、現在、各教育委員会では採択結果や理由等の情報の公表に努めているところであるが、今後とも、ホームページ等を活用し、より積極的な情報の公表に努めることが望まれる。また、先に、調査研究の充実の観点から述べたところであるが、開かれた採択を推進するという観点からも、教科用図書選定審議会等への保護者の参画をより一層進めていくことが必要である。


3  その他
  保護者や地域住民の教科書に対する関心は、採択によって終わるものでなく、実際に教科書が学校で使用され始めてからも引き続き高いものである。また、教員や児童生徒にとっても、自ら使用している教科書のみでなく、他の種類の教科書や異学年・異学校種の教科書を手に取ることは、教員による教材研究や児童生徒による学習の深化・発展に資するなど、大変意義のあることである。
  このため、保護者や教員、児童生徒が、採択の時のみならず、常時、様々な種類の教科書を手に取り得る環境を整備していくことが大切であり、各教育委員会は、今後、各学校の図書館や公立図書館に多数の教科書を整備していくよう努めていくことが必要である。


参考資料

○  検討の経過

成14年
2月18日 教科用図書検定調査審議会総会(第1回)
  ○検討の依頼
  ○自由討議
   
4月3日までの間 各部会における自由討議
   
4月  9日 教科用図書検定調査審議会総会(第2回)
関係団体からのヒアリング及び意見紹介
  【ヒアリング団体】
・全国都道府県教育委員会連合会
・全国市町村教育委員会連合会
・社団法人教科書協会
【その他意見を紹介した団体】
・全国連合小学校長会
・全日本中学校長会
・全国高等学校長協会
・全国特殊学校長会
・社団法人日本PTA全国協議会
・社団法人全国高等学校PTA連合会
自由討議
   
4月10日〜5月7日   教科書制度の見直しに関する一般からの意見募集
   
6月14日 教科用図書検定調査審議会総会(第3回)  
  ○意見募集に寄せられた意見等の紹介
  ○論点の整理及び討議
   
6月26日 教科用図書検定調査審議会総会(第4回)
  ○「検討のまとめ案」について審議
   
7月31日 教科用図書検定調査審議会総会(第5回)
  ○「検討のまとめ」のとりまとめ及び報告


○  委員名簿

教科用図書検定調査審議会委員名簿

  安  藤  英  義 一橋大学教授
  井  出  祥  子 日本女子大学教授
  伊  理  武  男 電気通信大学副学長
  出  雲  朝  子 青山学院女子短期大学教授
  井  上  辰  雄 城西国際大学教授(平成14年3月31日まで)
  大  泊      巌 早稲田大学教授
  大  野  照  文 京都大学教授
  岡  本  民  夫 同志社大学教授
  尾  田  幸  雄 お茶の水女子大学名誉教授(平成14年3月31日まで)
  笠  原  順  路 明星大学教授
  門  村     浩 東京都立大学名誉教授
  神  谷  傳  造 慶應義塾大学名誉教授
  菅  野  俊  子 文京区立駕籠町小学校長
  佐  野  光  一 国学院大学教授
  袖  井  孝  子 お茶の水女子大学教授
  戸  川  芳  郎 二松学舎大学大学院教授
  徳  丸  吉  彦 放送大学学園教授
会    長 内  藤  喜  之 大分大学長
  中  村     洋 東京理科大学教授
  長  津  美代子 群馬大学教授
  長  沼  秀  世 津田塾大学教授
  沼  田      哲 青山学院大学教授(平成14年4月1日から)
  羽  入  佐和子 お茶の水女子大学教授
  林      英  輔 麗澤大学教授
会長代理   日  暮     眞 東京家政大学教授
  馬  渕  明  子 日本女子大学教授
  村  木  逸  子 東京都立調布北高等学校長(平成14年4月1日から)
  茂手木  潔  子 上越教育大学教授
  森  川      靖 早稲田大学教授
  森  地  敏  樹 前日本大学教授
  薬師寺 泰 蔵 慶應義塾大学教授(平成14年4月1日から)
  和  田  秀  男 上智大学教授
 
五十音順:敬称略)
(職名は平成14年7月現在)



教科書制度の改善について(検討のまとめ)の概要

はじめに
  本審議会は、1教科書に発展的な学習内容等の記述を可能とする方向での教科書検定基準の見直し、2教科書の公正でバランスのとれた記述の在り方、3教科書採択に関する調査研究の充実に向けた条件整備、4採択手続の改善、5その他関連する制度の改善について、総会及び各部会で審議し検討を行い、その結果を以下のようにとりまとめた。

第1部  教科書検定の改善について

1  教科書に「発展的な学習内容」等の記述を可能とすることについて
(1)   教科書は、すべての児童生徒が共通して使用する教材であり、学習指導要領に示された内容を確実に定着させるものとなっていることが必要。一方で、新学習指導要領では、児童生徒が共通に学ぶ内容を厳選し、一人一人の理解や習熟の程度に応じ、発展的な学習で力をより伸ばすことが求められている。
  このため、教科書の基本的性格等を踏まえて検討した結果、学習指導要領に示されていない「発展的な学習内容」等について、記述上の留意点等一定の条件を設けた上で、教科書に記述することを可能にすることが、多様な教科書を求めていく上で適当。
  なお、「発展的な学習内容」等については、各教科書に一律に記述することが求められるものではないこと。
(2)   教科書においては、以下のような考え方に基づき、「発展的な学習内容」等の記述を可能とすることが適当。
1   学習指導要領の目標、内容の趣旨を逸脱しないこと
2   児童生徒の心身の発達段階に適応し、負担過重とならないこと
3   主たる学習内容との適切な関連を有すること
(3)   この考え方に基づき、以下の内容について記述を可能とすることが適当。
1   学習指導要領で、当該学年等の学習内容とされていない内容(「発展的な学習内容」等自体の詳細な理解や習熟を図る扱いとなっていないこと)
  学習指導要領上、隣接した後の学年等の学習内容とされている内容
  学習指導要領上、当該学年等では「扱わない」とされている内容
  学習指導要領上、どの学年等でも扱うこととされていない内容
2   学習指導要領で、「…程度にとどめる」「…深入りしない」など、扱い方を制限する規定が設けられているものについて、それらの制限を超えた内容
(4)   「発展的な学習内容」等の記述の際は、以下の点に留意することが必要。
1   本文以外での記述とし、他の記述と明確に区別
2   「発展的な学習内容」等であることを教科書上明示
3   記述の分量は各教科書全体の中の一定割合以下の適切な分量(義務・高校で分量には差異)
(5)   以上のような「発展的な学習内容」等の記述をすべての学校段階を通じて可能とし、記述上の留意点等を規定するため、検定基準の改正が必要。
  なお、学習指導要領において扱う事例数等を規定したものについては、扱いを変えるなどの配慮がなされていれば、「発展的な学習内容」等としてではなく、それらの制限を超えた記述を可能とすることが適当。
(6)   教科書に記述された「発展的な学習内容」等の内容のうち、当該学校段階の学習指導要領上扱うことができない内容については、入学者選抜における学力検査の出題対象としないよう十分留意する必要。

2  教科書記述をより公正でバランスのとれたものとすることについて
(1)   教科書は、正確かつ公正で、学習内容を理解する上で適切な配慮がなされていることが必要。現在の検定基準上も記述の公正さやバランスに関し規定が設けられ、これまでの検定でもこの点に関し留意。
  本審議会に対し関係団体から寄せられた意見においては、これまでの検定基準に基づいた公正さ等の確保の方向を支持するものに加え、特に、教科書が心身の発達過程にある児童生徒のための主たる教材であることを踏まえ、児童生徒の発達段階に応じ、その理解力や判断力に即した内容となっていることが必要であるとするものが多く見られたところ。
  このような指摘も踏まえ、現在の検定基準の基本的な在り方を踏まえつつ、必要に応じ、児童生徒が使用する上で公正さやバランスを更に求めることにより、教科書記述のより一層の改善を図ることが必要。
(2)   このため、現在の検定基準における、1話題や題材の選択・扱いの調和に関する規定、2事柄や見解の取扱いに配慮等を求めた規定について、児童生徒が学習内容を理解する上で支障が生ずるおそれがないよう、従来以上に調和やバランスのとれた記述を求めることも可能となるような観点から改正を行うことが必要。

3  教科書検定手続等の改善について
(1)   検定手続等については、審査手続の一層の簡素化・透明化を図るとともに、申請図書の完成度の一層の向上、静ひつな審査環境の確保等を図る観点から、遅くとも平成15年度の検定から適用できるよう、更に改善を図ることが必要。
(2)   具体的には、以下のような改善を図ることが必要。
1   審査手続の一層の簡素化・透明化のため、決定を留保せずに、直ちに不合格の決定を行うか否かの判定については、現在の「評点方式」から、より簡素で透明な、頁当たりの欠陥箇所数の多寡等によって判定を行う方式に改めることが必要。
2   申請図書の完成度を高めるため、申請者内部の編集チェック体制を一層強化するとともに、文部科学省において、誤り等の特に多い申請図書について申請者に対し改善方策について説明を求めたり、過去の検定における誤り等の記述例のデータベースを構築するなどの方策を講ずることが必要。
3   改めて申請図書の完成度を高めることを各申請者に促すとともに、見本提出前の訂正の審査が適切・円滑に行われるよう、申請手続等の改善を行うことが必要。
4   検定済図書の訂正要件に関して、色刷りやレイアウトの変更などの体裁の訂正についても要件を追加することが必要。
5   教科書への信頼性を更に高めるため、供給済教科書の誤記・誤植・誤った事実の記載の訂正について、各発行者のホームページ等で周知させることが必要。
6   静ひつな審査環境を確保するため、申請者に対し、検定決定までは申請図書等に関する情報を漏出しないよう改めて求めるとともに、本審議会としても、円滑な審査を行う環境が確保できない場合には、審査を一旦停止するなど適切な対応を講ずることが必要。


第2部  教科書採択の改善について

1  調査研究の充実に向けた条件整備について
(1)   教科書採択は、児童生徒により良い教科書を提供する観点から、各採択権者の権限と責任のもと、教科書の内容についての十分かつ綿密な調査研究によって公正かつ適正に行われるべきものであり、調査研究の充実に向けた条件整備を図っていくことが必要。
(2)   教科書内容についての十分な調査研究期間を確保するため、多くの市町村教育委員会が都道府県教育委員会の指導を待って調査研究を開始している現状を改め、今後は、教科書見本が送付され次第速やかに調査研究に着手することが必要。
  また、需要数集計事務の電算化等によって事務の効率化を図ることにより、採択期限を2週間程度延長することが必要。
(3)   調査研究のための資料の充実を図る観点から、各採択権者の調査研究に支障の生じないよう、送付する教科書見本の送付部数制限の見直しが必要。
  また、都道府県教育委員会等が作成する調査研究資料の充実が必要。
  将来的には、電子媒体を活用した教科書内容の展示(電子展示会)に関する検討の推進が必要。
(4)   保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実を図る観点から、教科用図書選定審議会等への保護者の参画の促進や高等学校における学校評議員の活用などが必要。

2  採択手続の改善について
(1)   教科書採択は、各採択権者の権限と責任のもと、適切な手続により行われるべきものであり、市町村教育委員会と採択地区との関係の明確化など採択手続を改善していくことが必要。
(2)   市町村教育委員会と採択地区との関係の明確化を図る観点から、採択事務に関するルールを定め、予め公表するなどの取組を行うとともに、市町村教育委員会間の協議が整わない場合には都道府県教育委員会が適切な指導・助言を行うことが必要。
(3)   都道府県教育委員会は、市町村教育委員会の意向を的確に踏まえ、採択地区がより適切なものとなるよう不断の見直しに努めることが必要。
(4)   静ひつな採択環境を確保していくため、都道府県教育委員会及び各採択権者は、それぞれの地域において、広く関係者の理解を求めるとともに、仮に様々な働きかけにより円滑な採択事務に支障をきたすような事態が生じた場合などには、採択権者は関係機関と連携を図り、毅然とした対応を取ることが必要。
  また、文部科学省や都道府県教育委員会は、静ひつな採択環境の確保に向けた各採択権者の取組を支援していくことが必要。
(5)   開かれた採択の一層の推進を図るため、採択結果や理由などの採択に関する情報のより積極的な公表に努めるとともに、採択への保護者の参画をより一層進めていくことが必要。

3  その他
  保護者や地域住民の教科書に対する関心に応えるとともに、教員による教材研究や児童生徒による学習の深化・発展に資する観点から、各教育委員会は、各学校の図書館や公立図書館に教科書を整備していくことが必要。

-- 登録:平成21年以前 --