論点整理メモ
1.教科書検定手続きの透明性の一層の向上
○ 審査過程の公開について
- 教科書検定において、審議会や教科書調査官がどのような形で関与し、審議会において、どのような過程によって検定意見を付すこととされたかなどの、一連のプロセスを透明化していくことについて、具体的に検定審査の過程のどのようなプロセスを公開していくべきか。
- また、公開の時期・方法についてどう考えるか。
(参考)検定の手続き
1. | 教科書発行者からの申請図書の提出。 |
2. | 審議会委員、教科書調査官等による調査 |
3. | 審議会による申請図書の審査 ※会議においては、教科書調査官が作成した検定意見書の原案である調査意見書を基に審査 |
4. | 教科書発行者へ検定意見書を通知 ◎合否判定に不服がある場合は反論書を、検定意見に不服がある場合は意見申立書を教科書発行者は提出することができる。 |
5. | 教科書発行者から検定意見を踏まえた修正表の提出。 |
6. | 審議会による修正表の審査を行い検定決定を行う。 |
7. | 教科書発行者から見本本の提出。 |
注: | 下線のものについては、毎年4月下旬~7月下旬頃まで実施している検定公開の事業(全国8箇所)において、公表している資料である。 |
○ 議事概要の作成・公表について
- 審議会における審議で、何が意見として付議され、それぞれの会議で何が決定されたのかについて分かるような議事の概要を作成・公表することについてどう考えるか。
- 現状では、部会・小委員会については、「議事録」として、期日、会場、出席委員、検定申請に係る各教科書の合否の判定等の内容を記載した文書を作成しているが、今後は、どのような内容について、議事の概要に示していくべきか。
- また、公表の時期・方法についてどう考えるか。
(参考)
昨年度の日本史小委員会の議事の概要では、開催日、主な議事、主な審議内容が記載されている。(別紙参照)
○ 議事の公開について
- 現状においては、検定申請された図書を対象として行政処分の前提となる審査を行うという審議会の性格上、会議を公開した場合、委員の自由闊達な議論を通じて合意形成を図っていく上で支障が生じるおそれがあるとの理由により、会議を非公開としているが、このことについてどう考えるか。
○ 部会・小委員会の委員の分属の公表について
- 公表の時期・方法についてどう考えるか。
- 仮に、検定審査終了後に公表する場合、委員が継続する場合の影響をどのように考慮すべきか。
○ 検定意見の伝達方法について
- 検定意見の伝達については、発行者側に審議会の検定意見の趣旨がうまく伝わっていないと感じられるという意見がある。より丁寧な伝達を行うためにはどのような方法が考えるか。
2.専門的見地からのきめ細やかな審議の確保
○ 検定の審議にあたって特に慎重な判断を要する事項についての審議のあり方
- どのような事項について、よりきめ細やかな審議を行うのかについては、誰がどのように決めるのがよいか。
例えば、何が重点事項なのかについては、それぞれの部会・小委員会で判断や決定を行い、更に、審査するに当たって、専門委員の増員などが必要なのかについても、それぞれの部会・小委員会の判断で行うということでよいか。
- 特に慎重な審議を行う事項についてのメルクマールについて、どのように考えるか。
3.静ひつな環境における公正・中立な審議の確保
○ 審議過程における情報管理について
- 静ひつな環境における公正・中立な審議を確保するため、申請図書の情報管理や調査審議の一時停止措置については、既に制度的に担保されているが、このことについてどう考えるか。
- 申請者の情報管理については、申請図書にかかる規定であって、訂正申請については、明確でないのが現状であるが、このことについてどう考えるか。
- 調査審議に支障があると認められる時は、調査審議を一時停止できる規定については、どのような場合に、調査審議に支障があると認めるかについて、例えば、申請図書の情報が検定決定終了前に流出した時など、審議会としての方針は必要ではないか。
(参考)
●教科用図書検定規則
(申請図書の公開)
第17条 文部科学大臣は、検定審査終了後、別に定めるところにより、申請図書を公開することができる。
●教科用図書検定規則実施細則
第5 申請図書の公開(規則第17条関係)
2.申請者は、申請図書の検定審査が終了するまでは、当該申請図書並びに当該申請図書の審査に関し文部科学大臣に提出した文書及び文部科学大臣から通知された文書について、その内容が当該申請者以外の者の知るところとならないよう適切に管理しなければならない。
●教科用図書検定調査審議会運営規則
第3条第3項 会長は、調査審議に支障があると認めるときは、調査審議の一時停止その他必要な措置を講ずることができる。
4.教科書記述の正確性の確保
- 前回の会議で意見があった「客観的に明白な誤記・誤植等について、検定基準の条項上、明確に定義し、当該条項に該当した検定意見数について公表することにより、発行者に対して、ペナルティになり、完成度の高い申請図書の作成に対するインセンティブが働くのではないか」についてどう考えるか。
- その場合、当該状況に該当した検定意見数については、検定決定後に公表するということでよいか。
(参考)検定基準
3 正確性及び表記・表現
(1)図書の内容に、誤りや不正確なところ、相互に矛盾しているところはないこと
※ 現状においては、客観的に明白な誤記・誤植と記述の正確性については、同じ1つの意見である。
- 客観的に明白な誤記・誤植等について、検定基準の条項上、明確に定義した場合、当該条項に該当する検定意見の審議については、他の審議とは分けて審議するなど、記述の正確性や専門性が十分審議できる環境を確保することについてどう考えるか。
5.審議会委員や教科書調査官の役割・選任の改善等について
- 審議会と大臣との権限関係や、審議会の調査審議における教科書調査官の役割について、明確にすることについてどう考えるか。
- 審議会委員の選任については、各年度において検定で実施される学校種なども勘案しつつ、各分野ごとのバランスにも配慮しながら、学識、経験に優れた者を選任していることに加え、「児童生徒の発達段階や教育現場の状況に鑑みた「教育的配慮」という観点から、学校現場の経験豊かな人材も活用」といった意見があるが、選任についてどのように考えるか。
- 教科書検定において重要な役割を果たす教科書調査官の選考については、前回、「より幅広く適材を確保する観点から、現在の「選考基準」の見直しや、より一層教科書検定の信頼性を高めるため、検定に携わった教科書調査官の氏名や最終学歴(職歴)なども公表すべき」との意見があったが、どのように考えるか。
(参考)
総務省からの本省課長級の職歴公表の通知である「国の行政機関における幹部公務員の略歴の公表の在り方」において、国の行政機関における本省課長級については、「行政の適正・公正な遂行に対する国民の信頼を得るためには、どのような者であるかを国民に対して明らかにすることは重要」との観点から、最終学歴や職歴等の略歴について公表するように通知が発出されている。
(別紙)
※ 「平成18年度検定決定高等学校日本史教科書の訂正申請に関する意見に係る調 査審議について(報告)」 平成19年12月25日 教科用図書検定調査審議会第2部会日本史小委員会 |
(3) 今回の訂正申請に関する調査審議の経過等
本小委員会においては、平成19年11月5日以降計7回の会議 を開催し、調査審議を行った。それらの主な議事や審議内容等は以 下のとおりである。
○第1回小委員会(11月5日)
■主な議事
- 小委員会開催の趣旨及び平成18年度検定の経緯
- 訂正申請制度及び委員の守秘義務
- 沖縄における集団自決に関する記述についての検定意見の趣旨等
- 開催日現在において申請されている訂正文の内容及び訂正理由
- 沖縄戦集団自決に関する文献等
- 今後の審議の進め方
- 審議終了後の公表の扱い
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■主な審議内容
- 沖縄における集団自決に関する記述について、検定意見が付
された背景、経過、趣旨を改めて確認した。
- 教科書調査官を通じ、発行者に申請のあった訂正文の内容及
び訂正理由に関する典拠資料を求めるとともに、訂正の趣旨に
ついて確認を行うこととなった。
- 教科書調査官の調査の一環として、調査審議の参考に資するため、沖縄戦等の専門家に対し、意見聴取を行うこととし、専門家の人選、調査方法については委員から推薦のあった者を含め、小委員長に一任することとされた。
- 審議会の議事については、従来の審議会と同様の扱いとすることとし、静ひつな環境を確保する観点から、会議は非公開とし、議事内容、やりとりの詳細を記した文書は作成しないこととした。
- 審議終了後においては、説明責任を果たすという観点から、審議の経過や内容の概要等について公表すること、特に専門家から意見聴取した資料については、氏名とともに公表すること、ただし、本人が匿名を希望した場合には例外とすることとなった。
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