令和2年度教科用図書検定調査審議会総会(第4回) 議事録

1.日時

令和3年3月30日(火曜日)14時30分~16時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 東館 3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 令和2年度教科用図書検定の実施状況・審議結果等について
  2. 「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議中間まとめ」について
  3. 会長代理の選出等について
  4. その他

4.出席者

委員

   安達委員,荒川委員,荒木委員,家近委員,五十嵐委員,井川委員,大池委員,岡崎委員,小野寺委員,金子委員,黒沢委員,上沼委員,川窪委員,氣多委員,河野委員,斎藤委員,鈴木委員,高山委員,東委員,松井委員,宮本委員,森委員,森下委員,柳委員,山内 進委員,山内 豊委員

文部科学省

   塩見初等中等教育局審議官,神山教科書課長,高見教科書企画官 ほか

5.議事録

【五十嵐会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、教科用図書検定調査審議会総会を開会いたします。本日は、お忙しいところ審議会総会に御出席をいただきまして、ありがとうございます。
本日の出席者は、お配りしております座席表のとおりであり、定足数である過半数を満たしておりますことを御報告させていただきます。
本日の審議会につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の防止を図るため、一般の方の会場での傍聴は御遠慮をいただいております。そして、その代わりとしてオンラインでの傍聴をお願いしております。また、報道関係者については、あらかじめ申出のあった方に限り会場での傍聴を許可しております。併せて録音の申出につきましても許可をしておりますので、御承知おき願いたいと思います。なお、カメラ撮影につきましては、議事の冒頭まで許可をしております。
また、本日は議事の最後に会長代理の指名がございますが、人事に係る案件につきましては、非公開となっております。人事案件の審議の際には、報道関係者、一般傍聴者の方々には御退席をいただくことになっていますことを、あらかじめ御承知おきお願いいたします。
続いて、委員の皆様への御案内となります。本日御出席の委員の皆様は、既に御承知のことと存じますけれども、自由濶達な議論を行うため、教科用図書の調査審議に係る案件につきましては、各部会の審議を含め、非公開とされております。
オンライン出席の委員の方々を含め、本会議において御発言なさる際には、部会の審議における個々の意見のやり取り内容が明らかになることのないように御留意をお願いしたいと思います。
それではまず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【高見教科書企画官】 配付資料につきましては、お配りをさせていただいております議事次第の2枚目にございますとおり、資料1から3、参考資料1、2、机上配付資料と書いてございますが、特に、オンラインの先生方にはホームページのアドレスをお送りしていると思いますが、教科書検定基準と検定規則、それから検定規則の実施細則、審査要項、この辺りを参考資料としておつけしております。御確認いただければと思います。
【五十嵐会長】 ありがとうございます。資料に不足等がありましたら、事務局にお申出をいただきたいと思います。
それでは、塩見初等中等教育局審議官から御挨拶をお願いいたします。
【塩見審議官】 失礼いたします。初等中等教育局担当審議官の塩見と申します。
本日、総会開催に当たりまして、初等中等教育局長の瀧本のほうから御挨拶申し上げる予定でございましたが、急遽、国会での用務が入りましたために、私のほうから御挨拶をさせていただきます。
委員の皆様方には、日頃から教科書検定の実施に多大なる御尽力をいただきまして、誠にありがとうございます。令和2年度の検定におきましては、新学習指導要領に基づく初めての検定となる高等学校の主として低学年用の図書と、令和元年度検定で不合格となった図書の再申請図書につきまして、御審議をいただきました。
その結果、高等学校地理歴史科歴史総合で1点、中学校社会科歴史的分野で1点の計2点が不合格となり、最終的に297点の図書について合格の決定がなされたところでございます。合格図書につきましては、8月末までに各教育委員会等において採択事務が進められ、令和4年度から使用されることになります。
この検定を経た新しい教科書を用いて、各学校で新学習指導要領の目指す資質能力の育成に向けた主体的・対話的で深い学びが実現されることを期待しております。
また、本審議会におきまして、昨年の12月にお取りまとめいただきました教科書検定制度の改善について報告を受けまして、教科用図書検定規則及び教科用図書検定規則実施細則につきましては、既に必要な改正を行ったところでございます。今後さらに、教科用図書検定基準の改正作業を進めてまいります。
さらに、デジタル教科書につきましては、今月、デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議におきまして、中間まとめが取りまとめられたところでございまして、後ほど皆様にもその内容を御説明いたします。
委員の皆様方におかれましては、今後ともよりよい教科書づくりに向けまして、専門的・学術的な知見に基づいて、御審議くださいますようよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
【五十嵐会長】 ありがとうございました。それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
議題1
【五十嵐会長】 次に、令和2年度における教科用図書検定の実施状況・審議結果の報告に移りたいと思います。委員の皆様には、資料1の令和2年度教科用図書検定結果の概要を御覧ください。全体の概要について事務局から御報告をお願いいたします。
【高見教科書企画官】 失礼いたします。皆様におかれましては、資料1を御覧ください。令和2年度教科用図書検定結果の概要でございます。
今年度におきましては、令和4年度から、主として高等学校低学年において使用される教科用図書298点及び令和元年度検定の再申請図書2点に係る検定の実施をいたしました。検定申請された300点のうち297点が合格、高等学校の地理歴史科の歴史総合、中学校の社会科歴史的分野で各1点、合計2点が不合格となりました。不合格となった2点につきましては、翌年度に再申請が可能となっております。
教科・種目別の検定実施結果は、別紙といたしまして、資料1の2枚目以降におつけをしてございます。
先ほど審議官の御挨拶にもありましたとおり、新しい学習指導要領に基づく高等学校の教科書の初めての検定ということでございまして、別紙にございますように、各教科の中の科目の構成が異なっておりまして、これまで改まっておりまして、国語の「現代の国語」、「言語文化」、それから地理歴史・公民の「地理総合」、「歴史総合」、「公共」、それから外国語の「英語コミュニケーションⅠ」、「論理・表現1」、家庭の「家庭基礎」、「家庭総合」、それから理数の「理数探究基礎」、情報の「情報Ⅰ」と、こういったあたりが新しい科目になってございます。
それぞれの受理点数と合格、不合格、取下げも一番右の欄に記載しておりますけれども、ここにありますとおりでございます。
最後の4ページのところには、中学校の再申請図書の状況についてもおつけしておりますけれども、受理点数が合計2点ありましたが、1点が合格、1点が不合格という結果になってございます。
私のほうから、1点、委員の皆様にお伝えをさせていただきたいことがございます。本日の午前中に、文部科学省のほうで記者会見を行いまして、高等学校の発行者の株式会社第一学習社による教科書採択に係る不公正な行為の隠蔽虚偽報告についてということで、記者会見を行いました。
事案の概要といたしまして、今年の2月の末ですけれど、教科書課に匿名の通報がありまして、事実関係を確認した結果、平成28年に文部科学省が行いました高等学校用教科書採択の公正確保のための緊急調査というのを行ったのですが、こちらにおいて、第一学習社が虚偽の報告を行っていたというものでございます。教科書採択関係者に対する利益供与を行っていた事実を隠蔽していたということが明らかになったものでございます。
これまで明らかになっているところの事実関係といたしましては、少なくとも28校46件分の件数、事例が報告されていなかったというところまでは特定をされておりまして、文部科学省といたしましては、今後も第一学習社や、あるいは都道府県教育委員会を通じまして、学校サイドのほうにも調査をしていくということを予定してございます。それによって、不公正な行為の実態というものをきちんと明確にした上で、対応を行ってまいるということを考えてございます。
こうしたことがあったわけでございますけれども、当該事案、確認された事案というのが平成27年、28年のことでございまして、ただいまの検定規則の中に不公正な事案があったときには、次の検定審査において不合格とするという規定が第7条第2項にございますけれども、当該規定が定められる前に起きた話であったことから、遡及適用はできませんので、今回の件をもって、当該発行者からの申請が不合格になるということはできない、いたしませんという状況でございます。
その意味で、先ほど御紹介申し上げました、今年度の申請に関する結果には影響はないというものなんですけれども、そうした事案がございましたので、この点につきまして補足で説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
【五十嵐会長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして各部会から部会の概要について御報告をいただきたいと思います。初めに第1部会、国語の大池委員から順番にお願いしたいと思います。大池先生、お願いいたします。
【大池委員】 よろしくお願いします。
では、国語第1部会の審議状況について報告をします。令和2年度は、新しい学習指導要領における一巡目の検定で、国語小委員会を計5回開催し、申請された高等学校、現代の国語17点、言語文化17点の合計34点の図書について審議いたしました。
現在の国語では、教材に付された学習の手引き、活動の手引きの中に学習指導要領に示す内容の取扱いにおける書くこと及び読むことに関わる言語活動の扱いが適切でないものがあり、意見を付しました。
言語文化では、学習指導要領に示す常用漢字の読み書きの扱いが適切でないもの、内容の取扱いにおける日本漢文、近代以降の文語文や漢詩文の取扱いが不適切なものがあり、それらに対して意見を付しました。
また、現代の国語、言語文化ともに全体に単純な誤記の類いや誤解するおそれのある記述、理解し難い記述が見られ、意見を付しました。
慎重な審議の結果、高等学校、現代の国語、言語文化全34点について、合否の判定を保留し、必要な修正を求めました。
その後修正された内容について、再度審議し、その結果、34点全点について合格と判定いたしました。
以上でございます。よろしくお願いします。
【五十嵐会長】 どうもありがとうございました。
では、続きまして、第2部会、社会から、山内委員、御説明をお願いいたします。
【山内(進)委員】 第2部会より報告いたします。令和2年度は地理小委員会4回、歴史小委員会10回、公共小委員会6回、第2部会を7回開催し、検定申請のあった中学校社会科歴史的分野2点、高等学校地理歴史科25点、公民科12点、合計39点の申請図書の審議を行いました。
審議はまず地理総合及び地図、中学校社会歴史的分野及び歴史総合、公共の各科目の小委員会において行われ、その後、部会で最終的な合否の判断をいたしました。
慎重に審議した結果、地理総合、地図、公共の全点、中学校社会歴史的分野の2点のうち1点、歴史総合13点のうち12点については、いずれの申請図書についても、検定意見に該当する箇所が認められましたので、合否の判定を留保し、必要な修正を求め、その後、申請者により修正された内容を再度審議いたしました。
その結果、検定意見に沿った適切な修正がなされたと判断いたしました。その結果37点全てを合格と判断いたしました。
また、中学校社会歴史的分野において1点、歴史総合において1点は不合格と判定しました。中学校社会については、欠陥箇所の数が著しく多く、教科用図書として基本的な構成に重大な欠陥があるとして不合格と判断いたしました。また、歴史総合については、教科用図書として基本的な構成に重大な欠陥があるとして、不合格と判定いたしました。
次に、各科目について今年度の検討の概略を報告いたします。地理総合では、学習指導要領に照らして事例の設定等、内容が適切に取り扱われていないとして意見を付しました。また、日本列島の位置と領域をめぐる記述や自然災害について、生徒が誤解するおそれのある表現に意見を付しました。
地図については、縮尺や単位、凡例等、生徒にとって理解し難い図に意見を付しました。
中学校社会歴史的分野では、近代の日本をめぐる記述について、誤解するおそれのある表現や理解し難い表現に意見を付しました。
歴史総合では、領土の確定に関する記述について、学習指導要領に照らして適切に取り扱われていないとして意見を付しました。また、戦後補償や沖縄戦、アイヌに関する記述について、生徒が誤解するおそれのある表現に意見を付しました。
公共では、竹島、北方領土、尖閣諸島に関して我が国の立場や現況など、学習指導要領に照らして扱いが不適切な記述に意見を付しました。また、戦後の赤字国債の発行時期や預金準備率操作の位置づけについて、生徒が誤解するおそれのある表現に意見を付しました。いずれの箇所につきましても、適切な修正がなされました。
以上です。
【五十嵐会長】 どうもありがとうございました。続きまして、第3部会、数学から高山委員、御報告をお願いいたします。
【高山委員】 第3部会より御報告いたします。令和2年度は、審議会を6回開催し、申請された高等学校の数学Ⅰ、17点、数学A、17点、数学Ⅱ、14点の合計48点の申請図書について審議いたしました。
今回は、新しい学習指導要領による高等学校低学年用の一巡目の検定となりますが、学習実態に合わせて中学年用の数学Ⅱも検定対象となっております。なお、数学Ⅱは来年度も検定受付予定となっております。
全体的な図書の特徴といたしまして、数学Ⅰ及び数学Aが2社、2点、数学2が1社、1点を新たに分冊形式にし、解答や既習事項を分冊にまとめる工夫が見られました。
意見の約7割は、正確性や表記・表現に関するものでしたが、扱いに関する意見を付した図書もございました。また、発展の区別や位置づけに関する意見を付したものも1割強ありました。
慎重な審議の結果、全ての図書について合否の判定を留保し、必要な修正を求めました。その後、留保した48点について、修正された内容を再度審議し、全て合格とし、その結果、申請図書全48点が合格となりました。
以上でございます。
【五十嵐会長】 ありがとうございました。続きまして、第4部会、理科から重原委員に御報告をお願いいたします。
【重原委員】 第4部会より報告申し上げます。令和2年度は、高等学校の科学と人間生活、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎、理数探究基礎の審議を行いました。それぞれについて報告いたします。
高等学校理科の申請図書について、まず御報告させていただきますが、高等学校理科につきましては、科学と人間生活5点、物理基礎10点、化学基礎12点、生物基礎11点、地学基礎5点が申請されました。これらの申請図書の審議を行うため、申請図書の審査及び修正表の審査として、科学と人間生活小委員会を計4回、物理小委員会を計2回、化学小委員会を計9回、生物小委員会を計7回、地学小委員会を計4回開催いたしました。本年度は、学習指導要領改訂後の一巡目の検定となります。
観点2の扱いの意見も付されましたが、意見の大多数は観点3の正確性及び表記・表現の意見でした。具体的には、観点2に関しては、理科は物理、化学、生物、地学とも上位科目が置かれており、その内容を基礎科目で扱う場合には発展となりますが、この点に関わる意見が見られました。
また、観点3に関しては、教科の特性として科学的、専門的知識の記述が多く見られるものの、生徒が理解しやすい内容になっていないものが多数見受けられ、意見が付されました。
慎重な審議の結果、申請図書全てにおいて判定留保とし、申請者に対して検定意見を鑑みた修正を求めることにしました。その後、申請者から修正表が提出され、修正内容について、各小委員会において審議した結果、全ての図書について適切な修正がなされたとして合格と判定いたしました。
引き続きまして、理数探究基礎について御報告いたします。この科目は、今回の学習指導要領改訂で、新たに共通教科の理数が設けられ、当該教科に属する新規科目となります。
内容としましては、様々な事象に関わり数学的な見方・考え方や、理科の見方・考え方を組み合わせるなどして働かせ、探求の過程を通して、課題を解決する力の育成を目指すことを目的とした科目になります。
2社、2点が申請され、申請図書及び修正表の審査として、理数小委員会を2回開催しました。新しい科目ですので、観点3の正確性及び表記・表現として、不正確などの意見が比較的多く付されました。
慎重な審議の結果、2点とも合否の判定を留保し、必要な修正を求め、その後修正された内容を再度審議した結果、2点とも合格といたしました。
以上で第4部会の報告を終わります。
【五十嵐会長】 ありがとうございました。続きまして、第6部会、芸術から河野委員に御報告をお願いいたします。
【河野委員】 第6部会から御報告いたします。令和2年度は音楽の小委員会を2回、美術・工芸の小委員会を2回、書道の小委員会を2回、計6回開催し、高等学校用の図書12点について審議いたしました。
内訳は音楽Ⅰ、4点、美術Ⅰ、3点、工芸Ⅰ、1点。書道Ⅰ、4点です。検定意見を付した箇所としましては、音楽Ⅰでは、音楽に関する用語などに生徒にとって理解し難い箇所、美術Ⅰや工芸Ⅰでは、図書中の記載に誤りや矛盾する箇所、書道Ⅰでは学習指導要領の内容の取扱いに示す事項を取り上げていない箇所や、学習指導要領の内容に照らして扱いが不適切な箇所などの欠陥が見受けられました。
慎重な審議の結果、12点全点について、合否の判定を留保し、必要な修正を求めました。その後、修正された内容については再度審議し、その結果、12点全点について合格と判定いたしました。
以上でございます。
【五十嵐会長】 どうもありがとうございました。
続きまして、第7部会、外国語から斎藤委員に御報告をお願いいたします。
【斎藤委員】 御報告いたします。令和2年度は、高等学校用図書、英語コミュニケーションⅠを25点、論理・表現Ⅰを18点の合計43点が申請されましたが、英語コミュニケーションⅠで1点が取下げになったため、最終的には42点について、合計11回の部会を開催して審議を行いました。
令和2年の7月から10月にかけて、申請図書の審査に関する部会を開催して審議を行いました。その結果、いずれの図書についても欠陥箇所が指摘され、修正が必要であるとの審議結果となりました。したがって、本部会では合否の判断を保留し、検定意見の通知を行い、それに従った適切な修正を求めることとしました。検定意見に従った修正内容に関する修正表審査は、令和2年12月から本年2月にかけて行いました。その結果、42点全ての図書について、修正内容が適切であると認めましたので、合格と判定いたしました。
本年度は、新しい学習指導要領における第1巡目に当たる検定であり、学習指導要領や検定基準に基づき、申請図書が適切な内容であるかを検討しました。学習指導要領に示された文構造及び文法事項について、言語活動と効果的に関連づけて取り上げられていなかったり、図書の内容と領域別の目標との関係が明示されていなかったりしたため、検定意見を付したものが多くありました。
その他の意見箇所の多くは正確性に関わるもので、スペリング、発音表記などについての誤りが見られるものもありました。
以上、御報告いたします。
【五十嵐会長】 どうもありがとうございました。
続きまして、第8部会、保健体育から安達委員に御報告をお願いいたします。
【安達委員】 第8部会より御報告いたします。令和2年度は、高等学校、保健体育科3点、福祉科より社会福祉基礎1点、介護福祉基礎1点の計2点が申請され、保健体育小委員会を2回、看護・福祉小委員会を2回開催し、審議を行いました。
検定意見を付した箇所としては、保健体育、福祉の両教科共に、正確性及び表記・表現について、誤りや不正確な記述、理解し難い表現等の欠陥が見受けられました。また、選択・扱い及び構成・排列について、保健体育では学習指導要領の内容に照らして扱いが不適切な箇所や発展的な学習内容の扱いが誤っている箇所、福祉では最新の図を用いておらず、学習上の支障を生ずるおそれのある箇所などの欠陥が見受けられました。
慎重な審議の結果、5点全ての合否の判定を留保し、必要な修正を求めました。その後、修正された内容について再度審議し、その結果、5点全点について合格と判定いたしました。
以上でございます。
【五十嵐会長】 ありがとうございました。
それでは、第9部会から松井委員に御報告をお願いいたします。
【松井委員】 第9部会の審議状況について報告します。
当部会では、家庭、情報、農業、工業、商業、水産の各小委員会がそれぞれ担当する種目の審査に当たり、合否の判定も各小委員会で行うこととしております。なお、今年度の農業、工業、商業、水産の一部種目につきましては情報小委員会で審議されております。本年度は各小委員会を計29回開催しまして、検定申請のあった高等学校の32種目、74点の申請図書について、それぞれ審査を行いました。
以下、各小委員会における審議状況を報告申し上げます。
家庭小委員会では、小委員会を計7回開催しました。共通教科、家庭基礎及び家庭総合の2種目、6点の審査を行いました。申請図書において、正確性及び表記・表現について正確な記述や理解し難い表現、誤解するおそれのある表現等、多数の欠陥が見られました。また、申請図書によっては、選択・扱い及び構成・排列について、学習上必要な出典や年次が示されていない等の欠陥が見られました。
情報小委員会では、小委員会を計6回開催しまして、共通教科情報の情報Ⅰ、1種目、12点と専門教科農業、工業、商業、水産、情報の情報関連科目、6種目、10点の審査を行いました。申請図書において、正確性及び表記・表現について、誤りや不正確な記述、理解し難い表現等の欠陥が見られました。
農業小委員会では、小委員会を計3回開催しまして、専門教科農業の農業と環境、植物バイオテクノロジー、食品製造の3種目、3点の審査を行いました。申請図書において、正確性及び表記・表現について、誤りや正確な記述、理解し難い表現等の欠陥が多数見られました。また、選択・扱い及び構成・排列について、出典が明示されていない箇所等の欠陥が見られました。
農業小委員会では、小委員会を計8回開催しました。専門教科工業の工業技術基礎、電気回路、製図など14種目、18点の審査を行いました。申請図書において、正確性及び表記、・表現について、誤りや不正確な記述、理解し難い表現、誤解するおそれのある表現等、多数の欠陥が見られました。また、申請図書によっては、選択・扱い及び構成・排列について、全体として、有効的に構成されていない箇所等の欠陥も見られました。
商業小委員会では、小委員会を3回開催しまして、専門教科、商業のビジネス基礎、簿記、財務会計Ⅰ、ビジネスコミュニケーション、ビジネスマネジメントの合計5種目、14点の審査を行いました。申請図書全般に、正確性及び表記・表現について、誤りや不正確な記述、理解し難い表現等の欠陥が見られました。また、申請図書によっては、選択・扱い及び構成・排列について、特定の企業の宣伝になるおそれのある箇所、発展的な学習内容であることが明示されていない箇所等が見られました。
水産小委員会では、小委員会を計2回、開催しました。専門教科水産の水産海洋基礎、1種目1点の審査を行いました。申請図書において、正確性及び表記・表現について誤解のおそれのある表現、理解し難い表現や選択・扱い及び構成・排列について、図が主たる記述と適切に関連づけられていない箇所等の欠陥が見られました。
各小委員会において、申請図書を慎重に審議した結果、いずれの図書も申請図書の審査におきましては合否の判定を留保しまして、必要な修正を求め、修正された内容については再度審議し、最終的に全ての図書を合格と判定いたしました。
第9部会における審議状況は以上のとおりでございます。
【五十嵐会長】 どうもありがとうございました。
それでは、1から9までの部会の御報告につきまして、御質問等ございましたら、声を出して御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
特に御質問等がないようですので、次に、令和2年度の教科用図書検定結果の公開に関する議事に移らせていただきます。資料2につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【高見教科書企画官】 お手元の資料2を御覧ください。
令和2年度の教科用図書検定結果の公開についてということでございます。今年度実施をいたしました教科書検定の結果につきましては、本審議会総会をもちまして公表という扱いになります。今後、文部科学省において実施する検定公開事業につきまして、御説明を申し上げます。
本公開事業におきましては、資料1にございますように、公開会場における公開というものと、2枚目にございます、2ポツといたしまして、文部科学省のウェブサイトにおける公開、それから、3ポツの通年公開の3つの方法により、公開を実施しております。
1枚目の公開会場における公開ですけれども、令和3年度は、こちらにございますように、東京会場、それから地方会場といたしまして、青森県、栃木県、富山県、滋賀県、山口県、大分県の全国7つの会場におきまして、各県の教育委員会とも連携協力しながら、5月下旬から7月中旬にかけて実施することを予定しております。7会場においては、おおむね2週間程度、1週間から2週間程度の期間、検定意見書や修正表、それから申請図書、こういったものが公開をされまして、国民の皆様に検定の内容につきまして公開をさせていただくという目的で実施をいたします。
当該7会場における公開が終了いたしましたら、引き続き、通年公開という3ポツのところに書いているものでございますけれども、公開資料を国立教育政策研究所教育図書館、それから、江東区にございます教科書研究センターにおきまして、通年の公開を行っていくという流れになってございます。
この公開とも並行をいたしまして、文部科学省のウェブサイトにおいても、4月以降、申し上げました検定意見書や修正表等の検定関係資料の公開を行ってまいります。
文部科学省といたしまして、こういった取組を通じて、引き続き国民の皆様への検定手続の透明化に取り組みまして、教科書への信頼確保に努めてまいる所存でございます。なお、これらのほかにも、教科書採択のために各都道府県教育委員会が設置をいたします、教科書展示会場におきましても、教科書の見本が展示される予定となっております。
公開につきましての御説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
【五十嵐会長】 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして、何か御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。よろしいですか。

議題2
【五十嵐会長】 次の議題に移りたいと思います。デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議、中間まとめにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【神山教科書課長】 それでは、デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議の中間まとめについて、お手元の資料3番に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
資料3の一番後ろにまとめた1枚の紙にしているものを入れておりますので、そちらを御覧いただければと思います。検討会議が昨年、7月から議論を行っておりまして、今年の3月に中間まとめをまとめたものが、こちらの概要になってございます。
1のところでは、デジタル教科書をめぐる現状といたしまして、各教科の授業時数の2分の1未満とする基準を撤廃するといったことのほか、現状の使用の状況としまして、普及状況が8%といったことにも触れてございます。
また、2ポツのところで、デジタル教科書導入の意義についても触れておりまして、1つ目の白丸にございますように、デジタル教材と連携させて活用することで学びの幅を広げたり、内容を深めたりすることができるといったこと。また、2つ目の白丸、GIGAスクール構想を通じて学習環境を改善し、学校教育の質を高めていくためには、デジタル教科書の活用を一層推進する必要があるということ、今後、次の小学校用の教科書の改訂時期である令和6年度を、デジタル教科書を本格的に導入する最初の契機として捉え、着実な取組を進めるべきであるといったことに触れられてございます。3つ目の白丸では、一方で、紙の教科書につきましても、主たる教材として、学校教育の基盤を長年支えてきたといったことですとか一覧性に優れている、あるいは書籍に慣れ親しませる役割があるといったことも踏まえまして、今後の教科書制度の在り方について、デジタル教科書と紙の教科書の関係ですとか、検定等の制度面も含めて十分な検討を行う必要があるといったことに触れてございます。
これを踏まえまして、3ポツのところでは、今後、本格的な導入に向けて必要となる取組といたしまして、(1)にございますように、まずは、全国規模で実証的な研究を通じて、改善や効果的な活用の検討をしていくべきであろうということでございまして、具体的には、共通に求められる機能ですとかデジタル教材との連携、また、障害のある児童生徒や外国人児童生徒等への対応、また、健康面の配慮、それから教師の指導力の向上、学校や家庭の環境の整備といった点につきまして、来年度、予算事業で22億ほど用意をいたしまして、全国の学校、約半数の学校で使っていただきながら、実証を進めていきたいと考えてございます。
それから、(2)のほうでございますけども、今後の教科書制度の在り方についての検討ということで、最初のところでは、デジタル教科書にふさわしい検定制度の検討ということでして、動画ですとか音声などを取り入れることも将来的には考えられると、デジタル教科書の中に教科書として動画や音声を取り入れることも考えられると。そのための検定の在り方の検討も求められておりますが、先ほど申し上げた、令和6年度の改訂につきましては、教科書の編集、検定、採択のサイクルを考えますと、今の紙の教科書の内容をデジタル化するという今の制度を維持したまま、本格的な見直しは次々回の検定サイクルを念頭に検討することが適当ということになってございます。
それから、紙の教科書とデジタル教科書との関係でございますけれども、令和6年度からデジタル教科書の本格的な導入を目指すに当たりまして、紙の教科書との関係については、全国的な実証研究や関連分野における研究の成果等を踏まえて、あるいは、さらには財政負担も考慮しながら、今後、詳細に検討する必要があるということでございまして、どうするかについては、来年度以降の検証を踏まえながら、さらに議論が必要だということになってございます。
したがいまして、こういった形でまとまりました中間まとめについて、意見募集をした後、夏頃までに報告をまとめる予定ではございますけれども、その後も、来年度の検証などを踏まえた議論を継続していくということで考えてございまして、さらに専門的な課題等をワーキングで議論をしながら進めていくということでございます。
中間まとめにおきましては、先ほど申し上げたように検討の視点ですとかを(1)のようにお示しをいただきながら、紙とデジタルの教科書との関係については、さらに実施を踏まえて検討していくという内容になってございます。
私のほうからは以上でございます。
【五十嵐会長】 御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関しまして、何か御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。特にございませんか。どうぞ、お願いします。
【山内(豊)委員】 今の御説明について質問なんですけれども、資料3のデジタル教科書の検討会議の中間まとめの13ページのところを見ますと、デジタル教科書と教科書検定の関係について書かれているわけですが、この12ページから13ページのところに、令和6年度では紙の教科書の内容と同一であることを維持する。ですので、本格的な見直しというのは次の次の検定サイクルで行う、つまり令和6年までは現状のままで、令和6年以降で対応していくということが中間まとめに書かれていると思います。
ただ、一方で、現在、GIGAスクール構想が推進しておりまして、ICTの発展というのは大変急速で目覚ましいものがあります。このような状況で、令和6年以降で対応するということになりますと、これは教科書検定のほうが後手後手に回ってしまわないかということを心配しております。令和6年度までは紙の教科書の内容と同一とするとしても、今後、デジタル化への対応というのを十分考えて、準備する必要はないのかという観点から質問させていただきます。つまり将来的にデジタル化に対応した検定を行う準備として、どのようなことを、どのような工程やどのような日程で教科書課として考えておられるのか、これは将来のことですので、変更もあり得るでしょうし、予算的なこともあるかと思いますので、差し支えない範囲で、展望的なことを教えていただければありがたいんですが、よろしくお願いいたします。
【神山教科書課長】 御質問ありがとうございます。今、御質問のあった点につきましては、まず、デジタル教科書の大きな変更、動画などを取り入れるという話については、次々回を念頭にということで申し上げましたけれども、中間まとめの中で、いわゆるデジタル教材、動画ですとか音声といったところは、今の定義でいきますとデジタル教材に当たるわけですが、そうしたデジタル教材との連携というところはさらに進めていく必要があると言われておりまして、仮に令和6年の段階で、狭い意味でのデジタル教科書という部分が紙の教科書と同じ内容であったとしても、デジタル教材との連携を進めることで、動画、音声などを利用したデジタルのよさというものを活用できるような形、在り方というのは模索し得るのではないかと考えてございます。
一方で、現状におきましては、先ほどの普及状況のところで8%ということを申し上げましたけれども、そのような状況でございますので、まずは、来年度の予算事業などを通じて、広くデジタル教科書を使っていただき、来年度の事業の中で検証もしていく中で、紙とデジタル教科書との関係というのがどのような在り方がよいのかといったことを、さらに実証に基づいた議論というのを進めていく必要があるかと考えてございます。
そういう意味では、そうした部分、紙やデジタル教科書の在り方そのもののほうが決まらないと、なかなか検定をどうするかというところを大きく決めることは難しいわけでございますが、一方で、おっしゃるように、デジタル化に対応していくそのスピード感というのを求められてございますので、例えば、今の検定を前提にしながらデジタルのデータで提出いただくことができそうなものについては、そうした方向を考えていくといったことはやってまいりたいというふうに考えておりまして、その一方で、そうした先ほど申し上げたようなデジタル教科書と紙の在り方のような議論を、実施を踏まえながらやっていくということと、今の検定の中でもデジタル化できる部分についてはデジタル化をしていくということを両方進めながら検討していく必要があるかなというふうに考えてございます。
以上でございます。
【五十嵐会長】 よろしいですか。
【山内(豊)委員】 どうもありがとうございました。第7部会外国語部会は英語ですので、英語を教えるときには、音声であるとか英語表現が使われる場面を動画で提示する、そういうことが非常に重要ですので、質問させていただきました。どうもありがとうございました。
【五十嵐会長】 大変重要な御指摘と思います。検定をする側も、これに対応すべく勉強も必要ではないかと思います。文科省としては検討していただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。


議題3
会長代理の指名について,以下のように議事が進められた。
1. 会長から教科用図書検定調査審議会会長代理については,教科用図書検定調査審議会令で会長が指名することとされている旨の説明がされた。
2. 会長代理に氣多委員が指名された。

議題4
【五十嵐会長】 最後に、その他の議題に移らせていただきます。まずは、次年度の審議予定について、事務局から御説明をお願いいたします。
【高見教科書企画官】 令和3年度は、令和5年度から使用される高等学校の、主として中学年用の教科書の検定を実施する予定でございます。高等学校の教科書検定は受理種目が多岐にわたりますので、受理点数も多数となりますので、一部の種目については、本年度中に前倒しの受理が行われておるところでございます。こちらにつきましては、順次発送をさせていただいているところです。
一方、4月以降の申請受付分につきましては、新型コロナウイルス感染症の流行による編集作業の遅延等の実態に配慮いたしまして、申請期間を4月26日から5月28日に変更をしております。このため、委員のお手元に申請図書が届くのが5月以降となりまして、最も遅いもので6月上旬ぐらいになってしまう見込みでございます。採択ですとか使用開始の時期の変更ができないので、委員の先生方には短い期間の中で集中的に調査、御審議をお願いすることとなり、大変恐縮でございますけれども、御理解、御協力のほどをぜひよろしくお願いを申し上げます。
また、本年10月以降、来年度の後半ですけれども、新学習指導要領に基づく高等学校の、主として高学年用の申請図書の前倒し受理が始まりますので、こちらは、令和4年度検定、次々年度検定にかかるものとなりますが、その多くは専門学科において開設される教科科目となります。11月以降、関係の委員の先生に順次発送してまいりますので、こちらにつきましても、調査御審議のほど、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
【五十嵐会長】 ありがとうございました。

【委員の分属について】
・令和3年度における部会に属すべき委員・臨時委員・専門委員の分属について五十嵐会長から指名があった。

 【退任者の紹介について】
・令和2年度末までに退任する以下の委員について,五十嵐会長から紹介があった。
 山内 進委員(第2部会長)
 小野寺 淳委員(第2部会地理小委員長)
 清水 順子委員(第2部会)
 高山 晴子委員(第3部会長)
 重原 淳孝委員(第4部会長)
 河野 克典委員(第6部会音楽小委員長)
 柳 和久委員(第9部会工業小委員長)
 上沼 克德委員(第9部会商業小委員長)
 荒木 惠美子委員(第9部会水産小委員長)
・退任する委員より挨拶があった。

【五十嵐会長】 それでは、以上をもちまして本日の議事は全て終了いたしました。最後に、委員の先生方から何か御意見等ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の御審議、誠にお疲れさまでした。これをもちまして、令和2年度の総会を終了いたします。どうもありがとうございました。
 

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