新教育課程に対応した教科書改善について

教科書改善に当たっての基本的な方向性に関する論点整理(案)の関連部分とワーキンググループでの主な意見

1.教育基本法で示す目標等を踏まえた教科書改善

  •  教育基本法や学校教育法改正で明確に示された教育の理念や目標を達成し、新学習指導要領の総則に示された教育課程編成の一般方針や各教科の目標・内容等を適切に反映した教科書の作成
  •  教育基本法、学校教育法、新学習指導要領についての周知を十分に行い、教科書発行者における教科書の著作・編集の改善を推進するとともに、教科書検定の基準等の改善を図る

<WG及びヒアリング等における主な意見>
(教育基本法で示す目標等を踏まえた教科書の改善)
  •  今回の学習指導要領の改訂は、教育基本法や学校教育法の改正により、共通教養としての義務教育の目標が示されたことを踏まえたものとなっている。発展的な学習に対する意見や各教科に関する意見も重要だが、この強調されている義務教育の目標をどれだけおさえているか、といった観点が重要である。

    (教科書改善WG)

  •  教育基本法が改正され学校教育法に義務教育の目的が明示されたことを踏まえ、関係者一同が自覚して教科用図書にかかわる業務を遂行することが大切。

    (全国連合小学校長会)

  •  教科書が教育基本法の改正や学校教育法の改正を踏まえたものとなるのは当然のことである。

    (合同WG)

  •  教育基本法や学校教育法の改正は、教科書も含め、我が国の教育全般において非常に大きな意味を持つものであり、そうした認識を持って教科書そのものの見方、あり方も議論すべきである。

    (合同WG)


2.知識・技能の習得、活用、探究に対応するための教科書の質・量両面での格段の充実

  •  個々の子供たちの理解に応じ、きめ細かい指導ができるよう、補充的な学習や発展学習に関する内容の充実
  •  幅広い教養・豊かな情操と道徳心、伝統と文化を尊重する態度などの教育基本法、学校教育法に示された目的・目標等の達成に資するような内容や話題・題材の充実
  •  基礎的・基本的な知識・技能が着実に習得されるよう、既に学習した内容の系統的な反復学習や、練習問題などによる繰り返し学習に関する記述の充実
  •  知識・技能を活用する学習活動が取り入れられるよう、観察・実験やレポートの作成に関する記述の充実
  •  子供たちの学ぶ意欲を高め、探究する力を育むよう、他教科の関連する内容も取り入れ、学習内容が実生活・実社会に関連付けられるような記述や話題・題材の充実
  •  課題解決の喜びを得るような練習問題や、なぜ学ぶのか目的意識を取り入れた話題・題材の充実

<WG及びヒアリング等における主な意見>
(知識の習得・活用・探究など新教育課程に対応した教科書の充実)
  •  知識・技能を習得させることはもちろん、それを活用させるような教科書、さらには、探究する態度を育てるような教科書が作成されるようになれば、学習指導要領の趣旨を生かすものになるのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  基礎的・基本的な知識・技能の習得と活用を図り、児童が探究できる内容・記述・体裁にしてほしい。また、若手教員の増加に対応して、指導しやすい教科用図書としてほしい。

    (全国連合小学校長会)>

  •  学校の授業を「知識注入型」から「探究型」に大きく転換する必要があり、それに伴い学習活動を支える教科書も転換が必要である。

    (全国高等学校長協会)

  •  これからの時代に必要な「生きる力」を育成するため、子供が学びやすい教科書とするため、質・量の充実が必要である。

    (日本PTA全国協議会)

  •  発行者の創意工夫により、各教科において知識・技能を活用する学習活動に資する記述の充実や教科書のページ数の増加等が考えられる。

    (全国都道府県教育長協議会)

  •  国語教材について、言語活動の充実を図るため、文章に親しみやすくなるようリズム感のある文章を多く学習内容として取り上げ、表現力を高める教材を取り込むべきではないか。

    (全国特別支援学校長会)

  •  教育内容の主な改善事項例として、各教科等において、記録、説明、論述、討論といった「言語活動の充実」が示されており、これを教科書作成場面と教科書検定場面にどのように取り入れていくかについて検討すべきと考える。

    (教科書改善WG)

  •  習得・活用・探究など新教育課程の趣旨に対応した教科書の作成については、理解力や学習段階、学習方法について様々な個性をもった子供たちがいるので、それぞれに応じて知識・技能を習得し、活用、探究していけるような教科書が望ましい。

    (教科書改善WG)

  •  これまでの知識注入型から探究を重視する方向に変化していくという学習について、現場ではどのように探究する学習を進めていくのか、といった点に懸念がある。教科書において探究する資質や態度が充足されるような記述が工夫されるよう、強調する必要があるのではないか。

    (合同WG)

  •  発展的な学習内容について、学習指導要領改訂の狙いである習得・活用・探究の過程にどのようなインパクトが与えられるのか、議論を深めるべきである。

    (教科書改善WG)

  •  授業時数の増の趣旨として、教科書の改善にも受け止めながら改善することが大切である。一般的な理解としては内容の増と授業時数の増は関連しているが、今回の指導要領改訂においては習得・活用・探究や小・中学校の円滑な接続などが授業時数増の主な趣旨として盛り込まれた。内容の増はある程度確保しつつ、授業の工夫の充実を図るという観点が中教審の答申にも盛り込まれていたと思うが、その点を教科書編集の際にどういう形で盛り込まれるか、教科書発行者に受け止めてもらえるかという点が重要である。

    (教科書改善WG)

(発展的な学習に関する記述の充実)
  •  教科書の質・量両面での充実や発展的な学習の充実が指摘される中で、現行の検定基準の見直しに当たっては、「はどめ」的な規定について見直すべきである。

    (教科書改善WG)

  •  発展的な学習を、今まで以上に教科書に組み込むことが必要。基礎的・基本的な学習内容と発展的な学習内容を、教科書の構成上よりわかりやすくするべきである。

    (全国市町村教育委員会連合会)

  •  教科書には、発展的な学習に関する記述の一層の充実が図られることなどが求められているが、発展的な学習の分量を増やすことには運用上制約があることから、発展的な学習の充実と運用について議論を行うべきではないか。

    (教科書改善WG)

  •  現在、発展的な学習については1割から2割という運用上の制限があり、教科書発行者はこの制限以内に留めている状態である。この制限については、具体的な議論を行ってもよいのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  発展的な学習の上限については、これまでは検定における運用の中で扱われてきたと認識している。今後、質・量の充実ということで、学年を超えた内容や学習指導要領の範囲を超えた内容が申請され、量が増えた場合には、質・量の充実ということで弾力的な運用を行ってもよいのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  幅広い文章が入ってくる発展的な学習に関する記述も含めて一冊の教科書ということになるので、教科書調査官や検定審議会が審議をしなければ、検定済みの教科書ということにはならないのではないか。発展的な学習内容を含めて、検定審議会が教科書の水準を保つこと、学習指導要領の範囲から逸脱しないということをしっかり審査する必要があるのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  発展的な学習の内容について、科目によって学習指導要領の範囲の中なのかどうか、がわかりにくい面があるので、扱いに差が出ると考えられる。教科・科目によって相当な違いがあることを念頭に置く必要がある。

    (教科書改善WG)

  •  科目によって発展的な学習内容の記述があり、例えば理科では、ある段階で逆に上からアプローチを行うなどにより、生徒の興味関心を引き付けることができる。そのことから、理科では教科書に発展的な学習内容の記載が重要になってくる。

    (教科書改善WG)

  •  すべての児童生徒が一律に学習する内容ではないことがしっかり明示されることが前提だが、発展的な学習内容の分量は教科書発行者の良識に委ねてよいのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  新しい学習指導要領下では教科書の充実という方向にあると理解しており、本文として記述することについても検討が必要ではないか。その際は発展的な学習内容であるということがしっかりわかる形で記載されるべきである。

    (教科書改善WG)

  •  入学者選抜の観点については、児童生徒が一律に学習する内容ではないということを考えると、発展的な学習内容は引き続き出題対象にしないなどの配慮が必要なのは当然である。

    (教科書改善WG)

  •  検定基準上に「不必要なものは取り上げていないこと」「不必要に重複」という記載があるが、不必要とはかなり主観的な判断で、新しい学習指導要領には教科間の連携を重視するような方向性でもあり、この部分は削除するのがよいのではないか。

    (教科書改善WG)

(反復学習・補充学習の教科書への反映)
  •  新学習指導要領で示されている「反復による指導」の視点を教科書に生かし、教科書検定に反映させていくべき。

    (教科書改善WG)

  •  学校あるいは家庭学習での反復練習を児童生徒が主体的に重ねることができるような練習問題等の増加及び発展的学習へと続く内容への配慮が必要である。

    (全国特別支援学校長会)

  •  繰り返し学習については、単に数を増やすだけでなく、児童・生徒の意欲や学習効果を考慮し、段階や系統を踏まえて取り入れる必要がある。

    (全国市町村教育委員会連合会)

  •  発展的な学習だけでなく、遅れている子供に対する課題や追加的な学習というものもある。ややもすると、これまではできる子に対しての発展的学習をイメージしがちであったが、教育の充実を考えると、学習について行けない子供たちに対する補充的な学習という目配りが必要なのではないか。

    (教科書改善WG)

(その他)
  •  社会に役立つなどといった社会・実生活と関連する概念を補充していくことは新しい内容であるのでとても良い。

    (教科書改善WG)

  •  今後は、個の力に応じた基礎学力定着や上位課題への挑戦促進を目指すことが求められるだろう。学習課題のレベルに配慮しながら、教科書記述の総量を増やし、多様なレベルに対応する必要があるのではないか。

    (全国高等学校長協会)

  •  資料や演習問題についても教科書に盛り込まれていることが望ましい。

    (全国高等学校PTA連合会)

  •  検定基準には「児童又は生徒が当該活動することができるよう」と記載があるが、この点については児童生徒、学校、家庭に限定することなく、地域活動などを含む考え方もあってもいいのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  新しい学習指導要領において授業時間数増となっているが、内容の増だけでなく、この学習過程の工夫を目指すことや、小学校・中学校間の円滑な接続がその趣旨として掲げられている。この点を十分に打ち出してもよいのではないか。

    (教科書改善WG)


3.公正・中立で、多面的・多角的な考察に資する教科書

  •  教育基本法において示された教育の目標等や学校教育法に示された義務教育の目標、目的を達成するため、教師が自信と確信を持って子どもたちの思考力・判断力・表現力等を育成することに資する、公正・中立でバランスの取れた教科書記述
  •  一面的・断定的でない多面的・多角的な考察に資するよう、公正・中立でバランスの取れた話題・題材の選定や記述

<WG及びヒアリング等における主な意見>
(公正・中立な教科書)
  •  教科書の記述は、学問的な成果の上に立って公正・中立に記述されるべきものである。

    (全国連合小学校長会)

  •  国家・社会の形成者としての資質を養うという調和のとれた義務教育を目指すことが教育基本法等に再定義されたが、教科書も公共の精神や社会の一員としての資質育成の視点から考慮されるべきである。争いのあることはそれぞれの立場で検証すればよいが、教科書としてはあくまでも義務教育の目的に沿って公正・中立なものをつくるべきだし、採択も公正・中立に行うべきである。

    (全国連合小学校長会)

  •  実際に教科書をつかう現場の声が採択の場に適正に反映されることを担保してほしい。様々な団体がその価値基準にかなったものを採択につなげようと働きかけることも見受けられる。採択に至っても公正・中立性が担保されるべきである。

    (全国連合小学校長会)

  •  教科書記述における中立性の確保に関連して、著者の一面的な主張が目立つ場合や、学説が錯綜していたり、多様な説がある場合は、両説併記や多角的な記述を認めるような方向で、検定基準の見直しに反映できればよいのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  教科書記述が中立・公正であるべきという点は当然のことである。その際、いわゆる「通説的見解」が重要な役割を果たすが、何が通説的見解なのかは審議会において慎重に議論することが重要である。

    (教科書改善WG)

  •  公正・中立の問題について、例えば音楽で地域の音楽を学ぶ際、祭囃子と神社との関わりや寺・神道と芸能の関わりについて、教師が取り上げるのを躊躇する場合がある。宗教の観点について、教科書にどこまで記載したらよいか。また、その記載については慎重に審議する必要がある。

    (合同WG)

  •  何が「公正・中立」なのかは時代や事象によって変わっていくものであるが、教科書の記述は実際に子供たちに教える教師に自信と確信が持てる記述となっていることが望ましい。この意味でも検定において公正・中立な観点を十分に踏まえた論議をし、それをきちんと示していくということが今回の議論の方向性として大切であり、教師にとって確信を持てることにつながる。

    (合同WG)

  •  公正・中立という観点がどのような観点であるか、その前提となる立場を明確にする「学問上の観点」という趣旨を加えるのがよいのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  学問的、という限定をつけるということだが、この公正・中立という文言の中には政治的や社会的中立という意味合いも含まれ、あまり限定せずに書かざるを得ないのでないか。

    (教科書改善WG)


4.子供たちが意欲的に学習に取り組むよう、教科書編集上  の配慮・工夫の促進

  •  学習指導要領に示す内容を不足なく、丁寧にかつわかりやすく記述した上で、個々の子供たちの理解の程度に応じて発展学習や補充的な学習を指導しやすいような教科書構成上の配慮・工夫。その際、記述全てを教えるのではなく、発展学習など個々の子供たちの理解の程度に応じて学習する内容について、編集上区分がなされていること
  •  子供たちが興味関心を持って読み進められるよう、話題や題材の創意工夫
  •  子供たちが家庭でも主体的に自学自習できるよう、丁寧な記述、練習問題、文章量の充実。また、子供たちが学びやすいよう、学習内容を踏まえた教科書の体様への適切な配慮
  •  本文記述の適切な関連付けがなされたイラスト・写真などの活用、これらの多用によって子供たちの想像力が阻害されないような配慮
  •  障害の有無にかかわらず、すべての子供にとって学習しやすいレイアウト等の適切な配慮の研究

<WG及びヒアリング等における主な意見>
(教科書を使用する立場からの教科書の充実)
  •  教科書は、学習のプログラムとして、子供たちにとって明確にわかる記述、構成等にするべきである。

    (全国市町村教育委員会連合会)

  •  教科書に単元や学習の目標が記載されると、子供たちが学習する上で理解しやすいのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  教師が全員に共通して教える部分と生徒の学習状況に応じて教える発展部分とに分けて教科書に示し、子供たちが見てもわかるようにできれば、子供たちが学びやすく、家庭でも学習できるような教科書となるのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  家庭学習など、子供たちが学校の授業以外でも学ぶことができる教科書が必要ではないか。発展的な学習についても、基礎基本と分けて明記した教科書を学ぶことで意欲がわき、関心が広がる教科書であるべきではないか。

    (教科書改善WG)

  •  現状では、教科書の学習内容に系統性が不足しているのではないかという意見もある。学ぶ者の立場に立つ、好奇心や学ぶ意欲を刺激する教科書であることが必要ではないか。

    (全国高等学校長協会)

  •  習得・活用・探究について適宜授業の時間が配分されることが重要であるが、教科書記述の配列も、教師が適宜時間の配分を行いやすく、授業づくりに配慮されるような書き方になっても良いと思う。

    (教科書改善WG)

  •  教科書は基本的に生徒のためのものであり、生徒が読んでわかるものが必要である。また同時に、教師の指導内容を規定してしまうものであるので、その点は望ましい方向、生徒の理解の妨げにならないような工夫があっても良いのではないか。

    (教科書改善WG)

(教科書に求められる多様な役割)
  •  中教審でも教科書については、薄い、教師がいないと学べない、といった議論が出ている。現在の薄い教科書ではなく、子供たちが家に持ち帰り、家庭でも学習ができるような教科書が望ましい。

    (教科書改善WG)

  •  教科書に書き込みができるように工夫したり、児童・生徒が自主的に学習できるページを掲載したり、図式化したものを提示するなど、指導内容や資料、ノートなどの要素が織り込まれた、新しい教科書を検討してもよいのではないか。

    (全国市町村教育委員会連合会)

  •  学校現場では、保護者も含めて、教科書の内容は全て教えるものであると捉えている。教科書の厚さや内容等、国民の教科書観について議論してもよい。

    (検定手続きWG)

(イラスト・カラーなどの使用上の留意点)
  •  大型化や、写真、紙質の向上、グラビア頁の増大、カラー頁の増大などによって、教科書の体様が大きく変わってきているが、それがストレートに「質的向上」に結びついているかは議論の余地がある。キャラクターやマスコットや挿絵があることによって、本当に理解の助けになっているか検証する必要がある。

    (全国市町村教育委員会連合会)

  •  最近の教科書は子供の興味・関心を引きつける手段として、イラストや漫画を多用し、子供に媚びているように感じる。教科書は学問の書であるとの認識をしっかり持ってほしい。

    (教科書改善WG)

  •  学習内容に関係がないと思われるイラストやマンガが多すぎると感じる。多用して理解しやすくなるのか疑問に思う。

    (教科書改善WG)

  •  イラストやカラーについては、煩雑になるだけでなく、図や絵を掲載することにより、児童生徒が想像できる範囲を限定してしまうことになることにも留意してほしい。

    (教科書改善WG)

  •  イラストの扱いについては、分野によって違う。理科では、例えば地学における地球の内部など、内容の説明・理解のために必要不可欠なイラストがある。ただ単に子供たちの興味関心を引き付けるためのイラストとは区別して考えなければならない。

    (教科書改善WG)

  •  学ぶ目的、内容に対する興味・関心を高めることと、関係のないイラストは必要ないということではないか。

    (教科書改善WG)

  •  目立たせようとする余りに過度に色を使った教科書もある。イラストを使用するのであれば、発行者はカラーコーディネーターを置くなど、見やすい教科書編集に向け、きちんと対応すべきであると考える。

    (教科書改善WG)

(教科書の分冊)
  •  教科書の質量両面での充実は重要であるが、量の充実については、単に頁数を増やすことだけではなく、選択肢(冊数・種類)を増やすことも考えられるのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  教科書の重量を考慮し、分冊等の工夫をするなど、生徒が持ち運びしやすくなるようにしてほしい。

    (全日本中学校長会)

  •  子供たちが毎日持ち帰るという、日本の教科書の特徴を考えると、分量が増えた場合の対応策として分冊にするなどが考えられるのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  分量が多くなった場合の措置として分冊のことがあるが、繰り返し学習を行う際に前の記述を参照にする際などに不都合が生じないよう配慮をするべきではないか。

    (教科書改善WG)

(その他)
  •  新学習指導要領の趣旨を教科書に反映させるために、文部科学省は教科書発行者に対し、しっかりと周知を図ることが重要である。

    (教科書改善WG)

  •  発行者としては、「充実した」教科書を作成することに全力を傾注する。教科書が分厚くなった場合、学校ないしは学級の児童・生徒の実態に応じて、教科書の記載内容を選択的に取り扱ってよいという教科書観への転換が重要になってくる。その際教育現場や執筆者に周知を図る必要がある。

    (教科書協会)

  •  特に高等学校に言えると思うが、教科書に記載された単元全てを教えるのではなく、ある程度選んで教えるという観点や、教科書観、教科書のとらえ方を盛り込めないか。

    (合同WG)

  •  教科書発行者に対しても、発展的な学習の時間に対する共通認識を持たせるにはどうしたらよいか、ということについても議論を行うべきである。図書を申請する際に発展的な学習内容の記述があることはよいことであると思うが、やみくもに発展的な記述内容を入れるようなことも考えられるので、教科書発行者にも理解してもらうような手立てが必要である。

    (教科書改善WG)

  •  教科書観の問題について、「児童生徒が一律に学習する内容ではないこと」という徹底が重要である。学習指導要領に示されたことはきちんと指導し、余裕があったり個別学習を行う際などは、自宅学習もできるという方向性になったので、教科書観も変わったという点をアピールすべきなのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  教科書記述の分量が増加したときに教師が全て教えなければいけないというプレッシャーが生じるという点について、教科書記述が増加しても全て教えるという概念は薄れつつある。保護者についても、教科書の記述を増やしてその中から教師が内容を選択することについても理解が得られているのではないか。

    (教科書改善WG)


5.教科書記述の正確性の確保

  •  著作・編集、検定の過程において、教科の主たる教材としての正確性が一層確保される仕組み、申請段階において、明白な誤記・誤植等をなくすための仕組みの整備
  •  発行後においても、明白な誤記・誤植等が速やかに修正され周知されるような取組の推進

<WG及びヒアリング等における主な意見>
(教科書の正確性の確保)
  •  単純な誤記・誤植については、採択者に情報を提供することとし、編集がずさんな発行者は結果として自然淘汰されてもしょうがないのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  教科書発行者に対して申請図書提出前までに不正確な記述について、きちんとチェックするように求めておくのは大切である。

    (教科書改善WG)

  •  誤植について、申請図書には編集段階で普通に見ていればあり得ないような間違いが多い。このような発行者に対しては何かしらのペナルティが必要なのではないか。

    (教科書改善WG)

  •  教科書協会等での研修会等によって誤記・誤植の数が少なくなることを期待する。

    (教科書改善WG)

  •  誤記・誤植については、発行者側に検定審議会でチェックしてもらおうという姿勢が見受けられる。審議会において誤記・誤植について指摘するのではなく、発行者に対して誤記・誤植の件数を伝え、再提出を求めるということを徹底することで良いのではないか。教科書の質の確保という点で発行者側にも責任を持ってもらうというスタンスでよい。

    (教科書改善WG)

  •  校正に関しては、自らの著作物に責任を負うという意味で、著者自身による校正が少ないのではないか。このような審議会における議論の内容を著者まで伝えなければならない。

    (教科書改善WG)

  •  著者校正等を教科書作成のワンステップとして要求し、それを手続き的に担保にしてはどうか。

    (教科書改善WG)


6.教科書検定の信頼性を一層高めるための検定手続きの改善

  •  申請図書に対し、審議会や教科書調査官がどのように関与し、結果としてどのような過程によって検定意見が付され、合否判定がなされたかなど審議結果に至る一連のプロセスを一層透明化する
  •  検定手続きの透明性の向上に当たっては、静ひつな環境における専門的かつ自由闊達な審議の確保との十分な両立を図る
  •  審議に当たって特に慎重な判断を要する事項を審議会が選定し、より専門性の高い重点的な審議を行う

 ※教科書検定手続き改善ワーキンググループにおいて審議。

お問合せ先

初等中等教育局 教科書課