総括部会 新教育課程に対応した教科書改善に関するワーキンググループ(第9回) 議事要旨

1.日時

平成20年11月12日(水曜日)10時~12時

2.場所

霞が関ビル33階 東海大学校友会館 「阿蘇の間」

3.議題

  1. 新教育課程に対応した教科書改善について
  2. その他

4.出席者

委員

秋山委員、安彦委員(主査)、伊藤委員、浦野委員、栗田委員、甲田委員、杉原委員、髙倉委員、谷坂委員、富岡委員、長谷川委員

文部科学省

德久審議官、伯井教科書課長、高橋教育課程課長、串田教科書企画官、森山教科書検定調整専門官、佐々木教科書課課長補佐、藤原教育課程企画室長補佐 他

5.議事要旨

(1)安彦主査から、資料1について確認の依頼があった。
(2)資料2から資料3について、事務局より説明を行った後、資料3「新しい教育課程の実施に対応した教科書の具体的な改善方策について(案)」を中心に議論を行った。

主な意見等は以下のとおり。

<教育基本法で示す目標等を踏まえた教科書改善について>
【委員】
  教育基本法、学校教育法、学習指導要領をしっかりと踏まえた教科書が作成されることを期待する。

  【委員】
  教育基本法や学校教育法の目標・目的が教科書に反映されているかを申請書類において確認できるよう整備する、というのは発行者に改めて注意を促すという面があり、有効と思う。一方で、細かな対応を求めることによって、編集における創意工夫の意欲を削ぐことがないように注意する必要がある。

<知識・技能の習得、活用、探究に対応するための教科書の質・量両面での格段の充実について>
【委員】
  「検定基準見直しの視点」に記載されていることは重要であり、記述内容が格段に充実することは歓迎すべきである。その場合、分量の問題があるが、審議会としてはその問題に触れず、出版社の創意工夫に任せるということでよいか。費用負担との関係も出てくる。一方、厚くなった場合、生徒の持ち運びの負担もある。欧米のように教室に置いておくということも考えられるが、その場合は家庭学習をどうするのかという問題につながる。基準改正による対応には馴染まないが、こうした具体的な課題についても考慮する必要があるのではないか。

【委員】
  学校教育法30条にあるとおり、基礎基本、判断力、学習意欲の形成が必要であり、学習意欲そのものを学力としてとらえることが大事。学習計画を立案する力の育成などを教科書にも反映させるか、指導の問題とするか、議論が必要。

【委員】
  「教科書の内容をすべて教えるという従来の教科書観が変わってきている」という点については、教員がどこまで認識しているのか。入試との関連もあり、教科書に記載があれば指導する教師も多いのではないか。抑制的な規定を外して記述内容を充実させることに異論はないが、学校にとって負担が重荷にならないようにするべき。

【委員】
  教科書観については、教科書に記述されている内容をすべて教えるわけではないという考えは浸透してきていると思う。

<多面的・多角的な考察に資する公正・中立でバランスの取れた教科書記述について>
【委員】
  多面的・多角的な考察に資する公正・中立でバランスの取れた教科書記述、というのは非常に重要である。教科書は単なる読み物ではない。公正・中立で信頼性のある資料から、思考力、判断力の育成がなされる。子供達に信頼性のある資料の提供がなされることを望む。

  【委員】
  教科書の個々の資料に、信頼性だけではなく、公正・中立性を求めることについては、多様な資料を用いて多角的なものの見方や考え方を身につけさせることに反する面もあるので、十分な配慮が必要である。

   【委員】
  政治・宗教の扱いについて、教育基本法で宗教に関する一般的な教養について尊重するといった文言を盛り込む修正がなされたことを踏まえ、基準を改正することは必要なことである。

<教科書記述の正確性の確保について>
【委員】
  客観的に明白な誤記・誤植等と判断された箇所を検定終了後公表することは、必要だとは思うが、結局審議の手間は変わらないのではないか。もっと本質的な対応策が必要。

   【委員】
  誤記・誤植の公表程度のペナルティは必要。手続き的にいえば、あまりにも欠陥箇所数が多ければ不合格になる。

【委員】
  責任ある教科書の著作・編集を求めるために、著者の担当箇所や役割を教科書上に記載させることには賛成である。

【委員】
  終了後公表する「客観的に明白な誤記・誤植」の整理は難しい。どこまでが客観的に明白な誤記・誤植なのか、よく考えなければならない。

<子供たちが意欲的に学習に取り組むための、教科書編集上の配慮・工夫の促進について>
【委員】
  紙質を上げ、カラー化を図ることは見栄えはよくなるが、質についてはどうなのか。色使いや体裁の専門家の指導の下、慎重に取り扱ってほしい。

   【委員】
  例えばイラストが多すぎる、というのは誰が判断するものなのか。教科によって扱いも違う。これについては、モデル事業、調査研究が必要なのではないか。

<教科書検定の信頼性を一層高めるための検定手続きの改善について>
【委員】
  小委員会からの検定審査に関する報告に対しては、専門的な事項ということもあり、部会では意見を述べることが難しい。専門的な審議の方法や、慎重な判断の仕方についてはどのような議論がなされているのか。部会でも、小委員会の報告を尊重しながらも、意見を言うべき所は言わなければならない。

    【委員】
  専門的な審議や慎重な判断、というのは部会や小委員会の判断を前提とし、その上で専門家に聞いたり専門的な委員会を設置したりするということ。

<その他>
【委員】
  これまでの審議は、義務教育段階について、新しい教育課程に対応した検定基準をどうするかという議論をしている。高校については、新しい指導要領が出た際に、改めて議論をするのか。

   【文部科学省】
  高校については指導要領が出た段階で改めて議論することになると思うが、基本的な方向性は、現在審議いただいている義務教育段階のものと共通する部分が多いと考える。高校教育のものについて御議論していただくことになるのではないか。

                                                                                                                                                以上

お問合せ先

初等中等教育局教科書課

電話番号:03-5253-4111(内線2396)