総括部会 新教育課程に対応した教科書改善に関するワーキンググループ(第7回) 議事要旨

1.日時

平成20年8月19日(火曜日)10時~12時

2.場所

霞が関コモンゲート西館37階 霞山会館 「牡丹の間」

3.議題

  1. 新教育課程に対応した教科書改善について
  2. その他

4.出席者

委員

安彦委員(主査)、伊藤委員、浦野委員、栗田委員、倉委員、富岡委員、西沢委員、濱口委員、広瀬委員、廣部委員

文部科学省

伯井教科書課長、串田教科書企画官、森山教科書検定調整専門官、佐々木教科書課課長補佐、藤原教育課程企画室長補佐 他

5.議事の概要

(1)安彦主査から、資料1について確認の依頼があった。

(2)資料2から資料5について、事務局より説明を行った後、資料3「新教育課程に対応した教科書の改善について」を中心に議論を行った。

主な意見等は以下のとおり。

<知識・技能の習得、活用、探究に対応するための教科書の質・量両面での格段の充実について>
(「発展的な学習内容」・「練習問題や話題の充実」について)

【委員】
 一つ目の項目で、発展的な学習の充実を一番上に持ってきた点は議論の流れに沿っており良いと思う。その際、検定審議会の立場で心配なのは、教科書の質・量を充実させるには発展的な学習の記述を増やすことになるだろうが、充実させる発展的な学習に関する記述の検定をどうするのか、という問題である。この点について議論する必要がある。

【委員】
 発展的な学習や補充的な学習に関し、各教科の具体的な内容について、現段階のワーキンググループでどの程度詳細に議論することができるのか。中教審の教育課程部会では、発展的な学習については現行の考え方を前提として議論を行ってきた。検定においても現行制度の考え方を下敷きにして議論を行えばよいのではないか。

【委員】
 発展的な学習に関する現行の検定基準は、従来の学習指導要領の中で定められたものである。新しい学習指導要領では発展的な学習の内容は特に変更されていないが、全体的に「はどめ規定」を廃止する方向となっている。本ワーキンググループで討論しているのは、新しい検定基準をどうするか、といったことであり、この点についてもう少し踏み込んだ議論があってもいいのではないか。

【委員】
 発展的な学習の上限については、これまでは検定における運用の中で扱われてきたと認識している。今後、質・量の充実ということで、学年を超えた内容や学習指導要領の範囲を超えた内容が申請され、量が増えた場合には、質・量の充実ということで弾力的な運用を行ってもよいのではないか。

【委員】
 幅広い文章が入ってくる発展的な学習に関する記述も含めて一冊の教科書ということになるので、教科書調査官や検定審議会が審議をしなければ、検定済みの教科書ということにはならないのではないか。発展的な学習内容を含めて、検定審議会が教科書の水準を保つこと、学習指導要領の範囲から逸脱しないということをしっかり審査する必要があるのではないか。

【委員】
 発展的な学習の内容について、教科・科目によって相当な違いがあることを念頭に置く必要がある。科目によって学習指導要領の範囲の中なのかどうなのか、がわかりにくい面があるので、扱いに差が出ると考えられる。発展的な学習の記述が教科書発行者の責任として自由な記述を認めた場合、検定のあり方そのものが問われる状態になる。

【委員】
 中教審の教育課程部会で発展的な学習内容を議論していたのは平成15年であるが、その議論の際には学習指導要領と全く無関係に自由に考えていたわけではない。あくまでも共通の学習内容があり、その上での発展的な学習ということである。この考え方は変わっていないのだから、当然発展的な学習も今までどおり検定の対象になるという方向で議論を進めるのがよいのではないか。

【文部科学省】
 「発展的な学習内容」の資料において、現行の教科書検定基準における発展的な学習内容の規定を示しており、これに従って現在も検定をしていただいている。
 発展的な学習については分量について現在の基準上一般的な規定があり、具体的な分量の上限については運用により対応している。現行の検定制度における発展的な学習内容の取扱いについては、主たる教材としての教科書の性格上、学習指導要領に示してある内容であるか、という「範囲・程度」や具体的な内容についての正確性、学習指導要領との関連性などについて、検定基準に基づいて検定の対象としている。
 中教審等では子どもたちの学習内容の充実という観点から発展的な学習内容を増やすべきだと議論され、答申に盛り込まれた。発展的な学習内容の記述内容や取扱いは従来と同様、教科書検定の範疇に入りうるという前提で、教科書改善方策としてどのように取り扱うかについて、議論を進めていただきたい。

【委員】
 一番最後の項目「練習問題や話題・題材の充実」について、話題・題材の充実というだけではどういう内容でもよいのかという印象を受けるため、話題・題材の内容が具体的にわかるよう、例えば、「段階的」「発展的な」という言葉などが必要ではないか。

(「教科書の質・量の充実」について)

【委員】
 質・量両面での格段の充実については、数量的に具体的な目安を出すということか。「質・量の充実」という項目が記載されていれば、執筆者が受け止めて充実させればよいのではないか。

【委員】
 現在、発展的な学習については1割から2割という運用上の制限があり、教科書発行者はこの制限以内に留めている状態である。この制限については、具体的な議論を行ってもよいのではないか。

【委員】
 子どもたちが毎日持ち帰るという、日本の教科書の特徴を考えると、分量が増えた場合の対応策として分冊にするなどが考えられるのではないか。

<多面的・多角的な考察に資する公正・中立でバランスの取れた教科書記述について>

【委員】
 公正・中立という観点がどのような観点であるか、その前提となる立場を明確にする「学問上の観点」という趣旨を加えるのがよいのではないか。

【委員】
 学問的、という限定をつけるということだが、この公正・中立という文言の中には政治的や社会的中立という意味合いも含まれ、あまり限定せずに書かざるを得ないのでないか。

【委員】
 数学の立場では、社会に役立つなどといった社会・実生活と関連する概念を補充していくことは新しい内容であるのでとても良いと思うが、この観点は数学的には学問的なものではない。学問的なものに限らず、客観的で大きな視点に立って、国民や社会からみて公正・中立であるべきではないか。

【委員】
 「教育基本法や学校教育法で示された教育目標に沿って」という記載であるが、教師が自信を持って、というところは除いても意味が通じるのではないか。教師のために何か自信を与えるような記述をしなさい、と記載されているように感じる。資料3では「教師に自信と確信が持てる記述」となっているが、こちらの方が分かりやすい表現ではないか。

<子どもたちが意欲的に学習に取り組むための、教科書編集上の配慮・工夫の促進>

【委員】
 4つ目の柱について、「発展学習など必ずしも教える必要のない記述」という記載について、もう少し表現を工夫できないか。

【委員】
 発展的な学習だけでなく、遅れている子どもに対する課題や追加的な学習というものもある。ややもすると、これまではできる子に対しての発展的学習をイメージしがちであったが、教育の充実を考えると、学習について行けない子どもたちに対する補充的な学習という目配りが必要なのではないか。

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