総括部会 教科書検定手続き改善に関するワーキンググループ(第8回) 議事要旨

1.日時

平成20年9月11日(木曜日)10時~12時

2.場所

虎ノ門パストラル 新館6階「アジュール」

3.議題

  1. 教科書検定手続きの改善方策について
  2. その他

4.出席者

委員

秋山委員、安彦委員、小幡委員、勝方委員、榊原委員、髙倉委員(主査)、高橋委員、西沢委員、濱口委員、広瀬委員

文部科学省

德久審議官、伯井教科書課長、串田教科書企画官、森山教科書検定調整専門官、佐々木教科書課課長補佐 他

5.議事要旨

 ○主査から、前回の第7回ワーキンググループにおける議事の概要案の確認依頼があった。
 ○資料2から資料5について、事務局より説明を行った後、資料4の「論点整理メモ」を中心に、教科書検定手続きの改善方策について議論を行った。
  主な意見等は以下のとおり。

1.教科書検定手続きの透明性の一層の向上

(審査過程の公開について)
【委員】
  検定審査の過程の透明性を向上するためには、検定終了後に様々な情報を公開する必要がある。審議途中で公表すると外部からの圧力が考えられ、静ひつな環境を確保できない可能性がある。例えば、審議会に提出される資料のうち、現在は公開していない、検定意見書の原案である調査意見書も公開する必要がある。

    【委員】
  一方で、プロセスを公開すれば全て解決するわけではない。そのプロセスが正しいのかという論議がこれまで以上に巻き起こる可能性はある。そうした議論に耐えられるよう、審議会としての結論に至るまでの審議内容について、議論をより深く求めていく必要があると考える。その点からも、誤記・誤植審査に時間をかけるのは避けるべきである。

(議事概要の作成・公表について、部会・小委員会の委員の分属の公表について)
【委員】
  議事録にも様々あり、審議会によっては発言者名や話し言葉をそのまま載せるものもあるが、これは意見のやりとりを把握するという点ではあまり意味がない。審議会で何が議論され、何が決まったのかということがわかるという意味では、まずは資料4に示される、昨年の日本史小委員会の議事概要のように、日程、主な議事、主な審議内容をまとめた「議事概要」を作成する必要がある。公開のタイミングとしては審議が終了した後がよい。部会・小委員会の分属がはっきりしていれば、本審議会の性格を踏まえれば、個々の発言者名まで明確にする必要はないと考える。ただし、会議の出席者は明記する必要がある。

    【委員】
  資料4で例示された項目や内容を「議事概要」において公開すれば、何が議論され、どんな意見が出たかということがわかる。

(議事の公開について)
【委員】
  これまでの議論では、本審議会の性格から、会議そのものを公開するという方向にはなっていなかったと思う。事後的に議事概要を公開することが適当である。

(検定意見の伝達方法について)
【委員】
  現在は、検定意見書が発行者に渡され、補足説明の必要があればその場で発行者が質問し、調査官もその場で応じなければならないという状況から、どうしても十分に質疑応答ができないという指摘があったと思う。このため、事前に検定意見書を発行者へ渡し、内容を確認してもらった後に補足説明の場で質疑応答するという形がよいのではないか。

    【委員】
 現行制度をより丁寧にしていくことは必要である。反論書や意見申立書という正式な手続きに至る前に、検定意見の趣旨を発行者に対し調査官からしっかり説明することは重要である。その際、主要なものについては文書で伝えることも考えられるのではないか。

    【委員】
 本審議会は行政処分を行う審議会であり、検定基準に照らして教科書記述にふさわしくない場合に検定意見を付すという方法をとっている。文書できめ細かい伝え方をするということになると、どうしても慎重な記述にならざるを得ない。文書によって検定意見の趣旨を伝えるには限界があるのではないか。

     【委員】
 文書で示した検定意見について補足説明を求められた際、口頭のみで行うと、言った言わないという問題が起こる可能性があり、ある程度書面に残すことも考えられるのではないかと考える。

     【委員】
 検定意見の趣旨を正しく理解してもらうために、事前に検定意見書を渡し、口頭での補足説明がより充実するようにすべきである。

2.専門的見地からのきめ細やかな審議の確保

(検定の審議にあたって特に慎重な判断を要する事項についての審議のあり方)
【委員】
  部会・小委員会ごとに専門的見地や視点も異なるので、具体的な事項については全体としては決めず、部会ごとにあらかじめ慎重な手続きをとる必要がある事項等を決めておく方法がよいと考える。

3.静ひつな環境における公正・中立な審議の確保

(審議過程における情報管理について)
【委員】
 情報管理については、教科用図書検定規則実施細則上は申請図書についてのみ規定されており、訂正申請についての扱いが不明確になっているということであれば、訂正申請に関してもしっかり盛り込むことが重要である。

    【委員】
 審議の一時停止措置については、教科用図書検定調査審議会運営規則では「支障があると認めるとき」という抽象的な文言で示されており、具体的な手がかりがない。基準が明確でないと実際に適用できないこともあるので、例えば、申請図書等が流出したとき等が具体的なケースとして考えられると思うが、そうした基準を設けて適用しやすくするという方向は望ましいと思われる。

4.教科書記述の正確性の確保

【委員】
  「客観的に明白な誤記・誤植」についての定義は難しいという意見があったが、検定決定後に客観的に明白な誤記・誤植について公表することを積み重ねていくことで、明確になる部分もあるのではないか。

【委員】
  本来であれば、客観的に明白な誤記・誤植の割合が2年連続で一定以上あれば不合格というような厳しい制度も考えられるが、発行者にとって一番ソフトなインセンティブとして、まずやってみるということであれば、客観的に明白な誤記・誤植についての検定意見数を公表する案でよいと思う。

【委員】
  現在、頁あたりの欠陥箇所数の多寡によって合否の判定を行っているが、この結果を公表することも考えられるのではないか。

5.審議会委員や教科書調査官の役割や選任の改善等について

【委員】
  調査官の役割については、教科用図書検定審査要項に具体的に明記されているが、審査要項は審議会決定という内部規程であり、組織法令上の根拠としては若干弱いところがある。文部科学省組織規則等で規則できるかについては法制的に議論があると思うが、可能であればきっちり位置づけた方がよい。

【委員】
  審議会と調査官の役割関係について、調査官は職務上検定意見書の原案を作る立場であることは理解しているが、その原案に対して審議会委員が自由に議論できるようになっているのか。審議会が独立して機能し、また独立性が担保されていることが重要である。審議会委員の選任についても、このような視点が必要ではないか。

【委員】
  審議会委員については、専門分野などのバランスを見ながら選任されていると思う。選ばれた委員は、専門を問わず申請された図書を全て読んだ上で審議会に臨み、その場で、調査官が作成した調査意見書について、それぞれの立場から自由に指摘をし、議論を経て検定意見書がまとめられている。審議会委員の選任は現状のとおりで問題はないと感じている。

【委員】
  検定審査における調査官の役割は大きいので、透明性向上の観点から、氏名や職歴等の情報は公表した方がよいと考える。

【委員】
  審議の場では、教員の立場から意見を求められることがあるので、審議会委員には、実際に教科書を使う立場の者が入ることは必要である。

以上 

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