総括部会 教科書検定手続き改善に関するワーキンググループ(第7回) 議事要旨

1.日時

平成20年8月20日(水曜日) 14時~16時

2.場所

霞が関ビル33階 東海大学校友会館「富士の間」

3.議題

  1. 教科書検定手続きの改善方策について
  2. その他

4.配付資料

  • 資料1 教科用図書検定調査審議会総括部会教科書検定手続き改善に関するワーキンググループ(第6回)・新教育課程に対応した教科書改善に関するワーキンググループ(第6回)議事の概要(案)
    (※教科書検定手続き改善に関するワーキンググループ(第6回)新教育課程に対応した教科書改善に関するワーキンググループ(第6回)議事概要・配付資料へリンク)
  • 資料2 教科書改善に当たっての基本的な方向性に関する論点整理(案)
  • 資料3 教科書検定手続きの検討課題とこれまでの主な意見
  • 資料4 委員の選任や公開状況についての他の審議会との比較
  • 資料5 審議会委員と教科書調査官の役割や選任について

5.出席者

委員

 小幡委員、勝方委員、榊原委員、高倉委員(主査)、高橋委員、富岡委員、西沢委員、波多野委員、濱口委員、広瀬委員、廣部委員、山本委員、若井田委員

文部科学省

 徳久審議官、伯井教科書課長、串田教科書企画官、森山教科書検定調整専門官、佐々木教科書課課長補佐 他

6.議事の概要

(1)たか倉主査から、資料1について確認の依頼があった。

(2)資料2から資料5について、事務局より説明を行った後、資料3「教科書検定手続きの検討課題とこれまでの主な意見」を中心に、教科書検定手続きの改善方策について議論を行った。
 主な意見等は以下のとおり。

教科書検定手続きの透明性の一層の向上

議事等の公開のあり方、検定結果の公開のあり方

【委員】
 検定が終わった段階で、何らかの形でプロセスを公表するのが望ましいと考える。それが教科用図書の審査に対する審議会としての説明責任を果たすことになると考える。

【委員】
 検定結果の公開の更なる充実として、反論書や意見申立書を公表していくという意見があるが、どのように検定意見が形成されたのかというプロセスを示すという意味からも、これらに加えて、教科書調査官が作成している検定意見書の原案である調査意見書も公表する必要がある。

【委員】
 委員の分属を公開することはもちろん、検定に携わった教科書調査官の氏名や経歴も公表すべきである。学習指導要領の解説書では、作成協力者だけでなく担当の教科調査官の名前も入っている。

【委員】
 仮に調査意見書を公表したとしても、検定意見は審議会において検討して付すものであるので、調査意見書をどの教科書調査官が作成したのかというところまでは公表する必要はないと考える。また、審議会の場で誰がどのような意見を出したのかまで公表する必要はないと考えるので、検定意見への意思形成がある程度わかるように議論をまとめたものを公表するのがよい。

【委員】
 審議会情報を公開する場合の原則としては、国民から要望があれば、誰がどのような発言をしたかということまでわかる方がよいと思うが、検定調査審議会は行政処分を行う審議会でもあり、個々の発言と委員の名前を結びつけるところまでは公開しなくてもよいと考えている。

【委員】
 議事の概要については、全教科において、従来と見解が変わったときや新しいことをつけ加えたりした際など、具体的な内容については各部会で判断して公表すべきである。そうしたことを通して、教科書の記述内容について教師が自信を持って指導できるようにすべきと考える。

各部会・小委員会の委員分属の公開のあり方

【委員】
 小委員会の分属については、少なくとも審議を終えた後に公開すべきである。公開により、なり手がいなくなるのではという意見もあるが、非公開の場合、憶測も招きかねず、また委員の職名などからその専門は推測できることから、どういう委員が選ばれているのかを示し、国民にとっての透明性の向上を高めるべきと考える。

【委員】
 議事の公開のあり方については、その内容やタイミングなどの論点をはっきりさせた方がよい。例えば、まず議事概要のような会議の基本情報を示し、意思決定後の報告の段階で議事録等を公表すべきと考える。その段階で小委員会の分属についても公表するのが適当である。

【委員】
 分属については検定後に公開すべきである。検定自体は一年ごとに完結している訳であるから、翌年度に引き続き委員となるケースがあるとしても、どの委員がどの小委員会に分属しているかということについては、検定終了後の公開まではあくまで推測に過ぎない。

静ひつな環境における公正・中立な審議の確保

審議過程における情報管理のあり方

【委員】
 分属については公開すべきという方向性になっているが、同時に静ひつな環境における公正・中立な審議の確保ということも課題となる。申請図書など審議内容そのものが教科書会社からマスコミに漏れてしまった場合、分属がわかっていると、委員に意見や取材が殺到するという問題が課題としてある。その問題が解決できれば、両方とも問題なく進められるのではないか。

【委員】
 情報管理については、制度の面から言えば、審議会の委員には守秘義務がある。また、教科書会社と執筆者については仮に情報が出てしまった場合、資料3にあるとおり、審議の一時停止措置という一種の不利益を与える制度的な担保が既にあり、制度としては十分措置されていると考えられる。

教科書記述の正確性の確保

正確性の確保を重視した検定手続きのあり方

【委員】
 正確性については、内容的な問題と、誤字・脱字など記述上の問題の2種類がある。審議会としては内容についての正確性を審議するという建前だと思うが、教科書会社に正確性を求める際には、この2つを分けて議論をすべきと考える。

【委員】
 誤記・誤植の審議に時間を割かれているという現状から、放置はできない。内容の正確性についての審議に集中できる体制にもっていくためにも、仮に教科書会社として無責任と思えるような数の誤記・誤植があれば、機械的に不合格とすることも考えられるが、中間的な案として、審査を保留し、修正させて再申請させるという方法もあり得ると考える。

【委員】
 正確性に関して、用語の使い方などでも、誤植のレベルなのか、内容の正確性に関わるところなのか、その間にあって切り分けが難しいものもある。

【委員】
 何が明白な誤記・誤植なのかということについては、例えばスペルミスなどがあるだろうが、明確な定義が必要である。定義が明確にできれば、誤記・誤植による検定意見がいくつ付されたのかがわかり、それを発表すれば、発行者に対してある程度ペナルティになるので、インセンティブが働くのではないか。

その他

文部科学大臣と審議会との関係

【委員】
 諮問・答申の手続きについては、中央省庁再編の際に審議会の役割の整理ということで全省庁横並びで整理されたものと思うが、大臣と審議会の関係について、文部科学省が独自に省令で手当をするということはできるのか。

審議会委員と教科書調査官の役割や選任について

【委員】
 現在審査要項で示されている教科書調査官の権限や職務内容を、省令レベルで規定して明確にすることはいいことだと思うが、他の審議会との横並びを考えずにできるのか、精査した方がよい。

【委員】
 教科書調査官の役割について省令等に明記するのはいいことである。審議会の審議にどんな教科書調査官が関わったのか明確にすべきと考えるが、それも教科書調査官の役割を明確にするということにつながっている。基本的に、「顔の見える検定」というものをイメージしているので、教科書調査官がどんな人であるのか、知ることができるようにした方がよい。

【委員】
 資料5の「教科書調査官選考基準」は、他の選考基準などと横並びにみて年代的に古いのか、中身の文言等が古いということか。

【事務局】
 昭和44年に定められ、年代的に古いということと、内容的にも、昭和30年・40年代の時代背景が反映されたものであることから中身が古いことも考えられる。

【委員】
 学歴や年齢、用語など、定めた当時の制度などが背景にあるので、今日的な状況に照らしてどうか、という視点から具体的に改めた方がよい。

以上

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初等中等教育局教科書課