総括部会 教科書検定手続き改善に関するワーキンググループ(第6回)・総括部会 新教育課程に対応した教科書改善に関するワーキンググループ (第6回)合同会議 議事要旨

1.日時

平成20年7月25日(金曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎7号館(東館)3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 教科書改善にあたっての基本的な方向性について
  2. その他

4.出席者

委員

秋山委員、安彦委員(新教育課程WG主査)、伊藤委員、浦野委員、小幡委員、勝方委員、栗田委員、甲田委員、榊原委員、杉原委員、倉委員(手続きWG主査)、谷坂委員、富岡委員、西沢委員、濱口委員、廣部委員、茂手木委員

文部科学省

徳久審議官、伯井教科書課長、串田教科書企画官、森山教科書検定調整専門官、佐々木教科書課課長補佐、藤原教育課程企画室長補佐 石塚学校教育官 他

5.議事の概要

(1)審議に先立ち、合同ワーキンググループの進行は高倉主査が行うこととされ、高倉主査から、資料1-1、1-2について確認の依頼があった。

(2)資料2から資料7について、事務局より説明を行った後、資料4の「教科書改善に当たっての基本的な方向性に関する論点整理(案)」を中心に議論を行った。

主な意見等は以下のとおり。

<教科書改善に当たっての基本的な方向性に関する論点整理(案)について(資料4)><全体>

【委員】
 この論点整理では、基本的方向性という言葉の中に検定手続きの改善の観点が盛り込まれているかがわかりにくい。両ワーキンググループにまたがっている議論などについて齟齬はないと思うが、検定の進め方として、この論点について各ワーキンググループにおいてある程度議論を行った上で全体として意見を合わせた方がよいのではないか。

【委員】
 正確かつ公正・中立で、多面的・多角的な考察に資する教科書であるために、どういう教科書検定が必要なのか、ということについて、もう少し踏み込んでまとめなければいけない。この部分については、現在の記述では検定の規制を緩めるのか否かについて見えて来ないので、特に、教科書協会の意見である「不必要なものは取り上げていないことという規定は見直しが必要」という意見などについてはきちんと話し合い、いい方向性を示していくべきである。

【文部科学省】
 文部科学大臣からの審議要請は、教科書検定の見直しの観点は、一つは教科書検定手続きの見直しの観点から、もう一つは新しい教育課程の実施に対応した教科書改善の観点であり、この二つの観点をご審議いただいている。今回示した基本的な方向性に関する論点整理は、具体案に引き出す視点や両ワーキンググループに共通するような基本理念を整理したものである。

【委員】
 文部科学大臣の審議要請は、教科書検定の改善を図るための切り口として、検定手続きの改善方策と新教育課程の実施に対応した教科書の改善の二つについてなされたものである。この二つの切り口から、教科書検定は初等中等教育分野における影響力が大きいため、より完全なものにしてほしいという趣旨の要請であると考えている。この審議要請と論点整理については、合同ワーキンググループの意見が四つの柱で集約されており、違和感を感じない。四つの柱の中では、一つ目の「教育基本法で示す目標等を踏まえた教科書改善」が基本となり、その上で二つのワーキンググループのまとめの視点を示すということではないか。

【委員】
 教科書が教育基本法の改正や学校教育法の改正を踏まえたものとなるのは当然のことである。

【委員】
 基本的な方向性として、国際化の観点も盛り込んでほしい。これは学習指導要領にも反映されていることであるが、教科書にも更に反映させるべきではないか。例えば、理科では特に用語や単位について、古い学術用語集が基準となって教科書が作成されているが、国際的に齟齬が生じないようにする必要がある。

【委員】
 一つ目の柱に含まれている「教科書検定の基準・手続等の改善を図る」の箇所について、ワーキンググループでも様々な議論が出たところであり、一つ目の柱に入れ込むのではなく、独立した柱立てとして前面に出した方が分かりやすいのではないか。また、検定の在り方を「基本的な方向性」のどこに位置づけるのか。その際の視点としては、国民に見える形で公正な検定手続きを確保していくということではないか。

<知識・技能の習得、活用、探究に対応するための教科書の質・量両面での格段の充実について>

【委員】
 これまでの知識注入型から探究を重視する方向に変化していくという学習について、現場ではどのように探究する学習を進めていくのか、といった点に懸念がある。教科書において探究する資質や態度が充足されるような記述が工夫されるよう、強調する必要があるのではないか。

<正確かつ公正・中立で、多面的・多角的な考察に資する教科書について>

【委員】
 教育基本法や学校教育法というよりも、実際の検定では学問的観点からのチェックを重視している実態がある。

【委員】
 公正・中立の問題について、例えば音楽で地域の音楽を学ぶ際、祭囃子と神社との関わりや寺・神道と芸能の関わりについて、教師が取り上げるのを躊躇する場合がある。宗教の観点について、教科書にどこまで記載したらよいか。また、その記載については慎重に審議する必要がある。

【委員】
 何が「公正・中立」なのかは時代や事象によって変わっていくものであるが、この点について、教科書の記述は実際に子どもたちに教える教師に自信と確信が持てる記述となっていることが望ましい。この意味でも検定において公正・中立な観点を十分に踏まえた論議をし、それをきちんと示していくということが今回の議論の方向性として大切であり、教師にとって確信を持てることにつながる。これまで検定審では行政処分を下すということで結論に至るプロセスを明らかにしてこなかったが、なぜこの結論に至ったのかを教師も含め、広く示していく必要がある。こうした点も踏まえ、公開することにどのようなメリットがあるのか、をこの論点整理に入れてほしい。

<子どもたちが学習しやすいよう、配慮・工夫がなされた教科書づくりについて>

【委員】
 特に高等学校に言えると思うが、教科書に記載された単元全てを教えるのではなく、ある程度選んで教えるという観点や、教科書観、教科書のとらえ方を盛り込めないか。

【委員】
 教育基本法や学校教育法の改正は、教科書も含め、我が国の教育全般において非常に大きな意味を持つものであり、本部会においてもそうした認識を持って教科書そのものの見方、あり方も議論すべきである。

<その他>

【委員】
 審議会委員の在り方として、教科書調査官が作成した検定意見の原案の考え方を踏まえつつも委員が自らの知見により独自に判断し、検定意見を決定するという姿勢が必要ではないか。

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初等中等教育局教科書課