総括部会 教科書検定手続き改善に関するワーキンググループ(第5回) 議事要旨

1.日時

平成20年7月3日(木曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館 3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 教科書検定手続きの改善方策について
  2. その他

4.出席者

委員

秋山委員、天笠委員、小幡委員、勝方委員、榊原委員、高倉委員(主査)、高橋委員、西沢委員、濱口委員、広瀬委員、山本委員、若井田委員

文部科学省

伯井教科書課長、串田教科書企画官、森山教科書検定調整専門官、佐々木教科書課課長補佐 他

5.議事の概要

  •  高倉主査から、資料1について確認の依頼があった。
  •  資料2及び資料3について、事務局より説明を行った後、教科書検定手続きの改善方策について議論を行った。

主な意見等は以下のとおり。

1.教科書検定手続きの透明性の一層の向上

<1.議事の公開のあり方>

【委員】
  審議会の透明性の向上を図ることは、非常に重要なことと考えるが、検定審議会のすべての部会・小委員会について、今回の日本史小委員会のような詳細な報告を作成することは実務的には極めて困難であろう。
 議事概要的なものを作成し、議論の内容や会議の開催回数などの基本的な情報は伝える必要がある。他方、説明責任を果たすことが必要な論点がある場合は、事後で説明していくことは重要である。
 議事の公開方法などについては、審議会全体としての目安となるものを作成し、各部会特有の事情については各部会において検討するのも一つの方法であるのではないか。

【委員】
  検定のプロセスを明らかにすることが求められているが、すべてについてではなく論点や論争があるものや、配慮が必要なものなどについて、議事の内容を審議終了後に公表することが必要と考える。

【委員】
  誤記・誤植の審議にとらわれるあまり、審議に支障が生じていることから、明確な誤記・誤植などについては審議を行う前に、その対応について部会・小委員会ごとに合意しておくことが必要ではないか。

【委員】
  これまでの議論を踏まえると、審議過程中での公表はせず、審議が終わった後に公表するのがいいと考える。部会からの報告にもそのような意見が多いと思う。
 また、他の審議会の例を見てみると議事要旨の作り方については、一言一句細かく記載しているものや、そうでないものなど様々である。行政施策のあり方等を審議するのではなく、申請図書の合否について審査する審議会の性格上、各委員の具体的な発言を公表することは、自由闊達な議論を妨げることから難しいと思われるので、申請図書に対して、どのような意見が出されたのかがわかる議事の要旨を公表するのが良い方法ではないか。

【委員】
  議事の公開については、全般的な公開を求められているのではなく、「反論書」や「意見申立書」が提出されるなどして、問題になった部分についてのプロセスを公開することが求められているのではないか。

【委員】
  国民の信頼を確保するために議事を公開していくという観点から考えると、現在公開資料としていない、例えば、教科書発行者から提出された合否についての反論書や検定意見に対する意見申立書などにかかるプロセスについても、公開していく方法が考えられる。

【委員】
  静ひつな環境の確保と透明性の確保については、相反するところがある。

【委員】
  検定意見や修正表は公開しており、透明性については最低限のことは確保していると考えられるが、意見申立書についても公開することが可能と考える。今後はイレギュラーな事柄が起きた場合に、どのような対応をするのかが課題。実際の議論は検定終了後に公開するとしても、説明責任を果たすことができるよう積極的なプロセスの公開を行う必要があるのではないか。

【委員】
  審議会委員による審査については、審議中は静ひつな環境が確保されるようにすべきである。ただ、審査終了後は審議会の委員による審査によって検定意見がどのように付されたかということがわかるよう公表のあり方を検討すべきである。

<2.各部会・小委員会の委員分属の公開のあり方>

【委員】
  検定を行った以上は説明責任があるので、分属については検定が終わってから公開するのが適当ではないか。

【委員】
  委員名が公開されているのであれば、その委員の略歴や専門分野はホームページで検索すればわかるので、説明責任を果たす観点からも分属は示す方がいい。
 どのような教科書検定が行われたかについては、社会科に限らずどの科目でも国民の関心事であり、どのような委員において、どのような過程で教科書が検定されているかについて、できるだけ透明にしていくことが国民の要請であると考えられる。

【委員】
  実際問題として委員が毎年代わるわけではなく、継続して関わっている。分属を事後で公表したとしても、翌年度以降の静ひつな環境が確保されないのではないか。

【委員】
  委員の分属に関する透明性の確保と静ひつな環境の確保については、適切なバランスを考えるという発想が必要ではないか。

【委員】
  情報公開に関する法律があるので、行政機関は様々な情報を基本的には公開していくべきである。ただ、法律の中に、率直な意見の交換が損なわれる場合は公開しなくてもいいという根拠もある。小委員会の分属を公開する場合は、翌年度以降についてその影響を考える必要がある。

【委員】
  委員の専門についてホームページ等で調べてわかるのは、大学や研究所の先生の場合である。学校の先生などは専門分野はわからない。それも考慮の上、議論すべきではないか。

【委員】
  審議終了後に委員分属を公開する場合でも、審議終了後すぐに公開するのか、少し時間をおいて公開するのかについて、検討する余地があるのではないか。

【委員】
  委員の部会・小委員会への分属の公開については、本質的な問題ではない。静ひつな環境を妨げるのは、組織的な運動がなされた場合である。そうしたことを行う関係者は、委員名から専門分野を調べてしまうので、分属を発表する、発表しないというのはあまり大きな問題ではない。検定プロセスの公開とリンクして考えるべきであって、プロセスを事後に概要としてまとめ発表するのであれば、委員についてもその時に明らかにすればよい。

【委員】
  委員名の公開の仕方によっては委員の選出が困難になるといったような問題が生じる可能性があるのであれば、より慎重な対応が必要ではないか。
 社会科が問題になることが多いようだが、他の部会・小委員会については、事後において公表するのは当然とし、その上で社会科の特殊性についての検討が必要になると考える。

<3.検定意見の伝達方法等のあり方>

【委員】
  より良い教科書の編集・作成のためには、検定意見の伝達に当たって、調査官と発行者とのコミュニケーションについて工夫し、やりとりの中で改善に向けて反映させていくことができれば良いのではないか。

【委員】
  実際の検定を行う審議会では、教科書調査官が提出したすべての事項を審査しているが、審議会委員も各々の観点から議論を行っている。それらを議論した上で、審議会としての最終的な意見を出しており、審議会委員と教科書調査官との役割については、ある程度明確になっている。
 単純な教科書記述の誤りについての指摘が多いことが問題。こうした誤りがなくなれば、審議会の議論はしっかりとしたものになる。
 国会においても委員や調査官の選定の在り方について問題が指摘されたことについて、検討の視野に入れるべきである。

【委員】
  調査審議において特別な手続きを行った場合については、発行者に対する説明の仕方などについて検討が必要ではないか。

2.専門的見地からのきめ細やかな審議の確保

<1.検定の審議にあたって特に慎重な判断を要する事項についての審議のあり方>

【委員】
  議事の公開と関連するが、何を重点的に審議するかは部会ごとに状況が違うと考えられるので、抽象的な共通の基準を作成し、それを基に部会毎に判断するのが一般的ではないか。

3.静ひつな環境における公正・中立な審議の確保

<1.審議過程における情報管理のあり方>

【委員】
  審議会委員である以上、守秘義務があるのは当然。守秘義務を守れないのであれば、委員の再任をしないなどが考えられる。発行者側が情報漏洩した場合の対応については、調査審議に支障がある場合の手立ては、現行制度において担保されていると考えられる。

【委員】
  採択する立場からは、どの教科書についても検定を経たということで信頼性が確保されていることが重要。また、審議中は審議会が十分に審議できる静ひつな環境が確保されるべきである。
 国民の信頼を保つためには、調査官や委員が主体的に審議したということを事後であっても示していくことが必要である。

【委員】
  静ひつな環境の確保が必要であることをどう理解してもらうのかが重要であると考える。静ひつな環境の確保は透明度を下げるということではない。

4.教科書記述の正確性の確保

【委員】
  検定済みである以上はどの教科書を採択したとしても、信頼性が確保されている必要がある。誤記・誤植は教科書会社の問題であり、その数を公開してもいいと考える。教科書会社は努力すべきである。
 審議会委員が誤記・誤植に審議の時間を取られていることの方が問題である。

【委員】
  誤記・誤植が多いという理由だけで教科書を不合格にするのは厳しすぎる措置である。中間的な対応は考えられないのか。例えば、審議前に一度チェックして、誤記・誤植が多い場合は申請を留保し、修正したものを再申請させるということも考えられるのではないか。そうすれば、実質の審議が遅れることにより、発行者に対してインセンティブが働くのではないか。

【委員】
  不合格については何らかの点数化をして、来年の申請に向けて、教科書会社に対して条件を付加する方法も考えられるのではないか。この審議会で誤記・誤植を正すのは本来の役割としては違うと考える。

【委員】
  編集体制の透明性と検定手続きの透明性は連動して位置付けられるのではないか。今後、編集体制の透明性を求めていくということになれば、監修者の責任やそれぞれの編集体制のあり方について公開し、ユーザーに公表していくということも必要なことではないか。

【委員】
  編集体制の基準を作成して、それを各発行者に遵守してもらうということも考えられるのではないか。

以上

お問合せ先

初等中等教育局教科書課