教科書検定手続きの現状

1.教科書検定手続きの透明性の一層の向上

○議事等の公開のあり方

1.会議は非公開とする
<理由>
 本会議は、主として、検定申請された図書を対象として行政処分の前提となる審査を行うものであるが、会議を公開した場合、委員の自由闊達な議論を通じて合意形成を図っていく上で支障が生じるおそれがある。
2.議事録については、原則として公開する。ただし、行政処分の前提となる審査については、議事録、議事要旨ともに公開しない。
 議事録は、匿名とし、会議終了後、事務局案を作成し出席委員・臨時委員に確認した上で公開する。
<理由>
 検定申請された図書を対象として行政処分の前提となる審査を行う会議の議事録又は議事要旨を公開した場合、委員の自由な意見交換が制約され、円滑な運営が妨げられるおそれがあり、検定を公正、円滑に実施する上で支障が生ずる。
【平成13年1月15日教科用図書検定審議会決定】
教科用図書検定調査審議会の議事内容の公開について

<現状>

  •  会議については、上記審議会決定により、総会、部会、小委員会とも非公開としている。
  •  議事録については、上記審議会決定により、総会について、発言者を匿名として議事の内容の概要について記載した文書を作成し、検定決定後にホームページで公開している。
  •  部会・小委員会については、「議事録」として、期日、会場、出席委員、検定申請に係る各教科書の合否の判定等の内容を記載された文書を作成している。

 なお、平成13年以前については、行政処分の前提となる審査を行うことなどを理由に、会議、議事録、議事要旨については非公開としていた。

○各部会・小委員会の委員分属の公開のあり方

<現状>

  •  発令時において氏名及び職名をホームページで公表。ただし、分属は示していない。
  •  検定結果の報告を行う総会議事録の参考資料として、部会別の委員一覧を公表。 (ただし、静ひつな環境における公 正・中立な審議の確保が特に求められる場合は、小委員会を含む全ての部会の分属について非公開とした。)

○検定意見の伝達方法等のあり方

(申請図書の審査)
第7条 文部科学大臣は、申請図書について、検定の決定又は検定審査不合格の決定を行い、その旨を申請者に通知するものとする。ただし、必要な修正を行った後に再度審査を行うことが適当である場合には、決定を留保して検定意見を申請者に通知するものとする。
【教科用図書検定規則】
第2 申請図書の審査手続
1.検定意見の通知(規則第7条関係)
 検定意見の通知は、別紙様式2の「検定意見書」を交付することにより行う。
【教科用図書検定規則実施細則】

※平成11年に教科用図書検定規則実施細則を改正。

<現状>

  •  平成12年度検定から、これまで口頭で行っていた検定意見の通知を文書(検定意見書)により通知。
  •  検定意見の通知後、申請者において補足説明の希望がある場合には、教科書調査官から口頭で補足説明(検定意見の趣旨)を行っている。
  •  補足説明について、テープレコーダ等により録音を希望する場合は、申請者・教科書課双方で録音をしている。

○検定結果の公開のあり方

(申請図書の公開)
第17条 文部科学大臣は、検定審査終了後、別に定めるところにより、申請図書を公開することができる。
【教科用図書検定規則】
第5 申請図書の公開(規則第17条関係)
1.申請図書は、検定審査終了後初等中等教育局教科書課長の指定する場所と日時において閲覧することができる。
【教科用図書検定規則実施細則】

※平成元年に教科用図書検定規則を改正。

<現状>

  •  平成2年度の検定に係る図書について、検定結果終了後(平成3年度)に、全教科の申請図書、見本本を公開。現在は、申請図書、見本本に加え、検定意見書、修正表などを公開(全国8会場)。
  •  教科書展示会場において、全教科の見本本の他、小・中・高等学校の歴史分野の検定意見書、修正表を展示(全国約840箇所)。
  •  小・中・高等学校の歴史分野の検定意見書、修正表については、ホームページでも公表。

○供給済教科書の訂正内容の公開のあり方

(検定済図書の訂正の手続)
第14条 
3.前条第1項若しくは第2項の承認を受けた者又は同条第3項の訂正を行った者は、その図書の供給が既に完了しているときは、速やかに当該訂正の内容を、その図書を現に使用している学校の校長に通知しなければならない。
【教科用図書検定規則】
第3 検定済図書の訂正(規則第14条関係)
(4)訂正内容の通知
 訂正の承認を受けた発行者又は届出により訂正を行った発行者は、図書の供給が既に完了しているときは、速やかに訂正の内容を、その図書を現に使用している学校の校長並びに当該学校を所管する教育委員会及び当該学校の存する都道府県の教育委員会に通知するとともに、訂正内容のうち誤記、誤植、脱字又は誤った事実の記載に係るものについては、この通知に加え、インターネットの利用その他適切な方法による訂正内容の周知に努めなければならない。
【教科用図書検定規則実施細則】

※当該図書を使用している校長等への訂正通知に加え、インターネットの利用等によっても誤記、誤植等の訂正内容の周知を行うよう、平成14年に教科用図書検定規則実施細則を改正し、同年10月から実施(発行者による努力義務規定)。

2.専門的見地からのきめ細やかな審議の確保

○専門委員等の活用のあり方

(組織)
第1条
2.審議会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
3.審議会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。
【教科用図書検定調査審議会令】

※審議会等の整理合理化に関する基本計画(平成11年4月27日閣議決定)を受け、それまでの「調査員(検定申請のあった教科用図書の原稿を調査)」、「専門調査員(専門の事項を調査)」から、「専門委員(専門の事項を調査)」へ審議会令を改正。

<過去の事例>

  •  平成13年の中学校歴史教科書問題を受け、世界史小委員会に臨時委員を発令。

○検定の審議にあたって特に慎重な判断を要する事項についての審議のあり方

<過去の事例>

  •  平成18年度検定高等学校日本史教科書の沖縄における集団自決に関する訂正申請を受け、日本史小委員会において、専門的見地から慎重かつ丁寧に調査審議を行った。また、専門家から文書により意見を聴取(9人:沖縄戦、沖縄史、軍事史等の専門家)。
  •  平成12年度検定中学校歴史教科書に関して、中国、韓国からの修正要求に対し、専門家の意見を聴取(18人:教科書審議会第2部会歴史小委員会のうち修正要求事項に関連する委員、及び外部の歴史学者)。

3.静ひつな環境における公正・中立な審議の確保

○審議過程における情報管理のあり方

第5 申請図書の公開(規則第17条関係)
2.申請者は、申請図書の検定審査が終了するまでは、当該申請図書並びに当該申請図書の審査に関し文部科学大臣に提出した文書及び文部科学大臣から通知された文書について、その内容が当該申請者以外の者の知るところとならないよう適切に管理しなければならない。
【教科用図書検定規則実施細則】

※平成12年の検定過程において、申請図書(白表紙本)が事前に流失したことを受け、「申請図書の情報管理」について、平成14年に教科用図書検定規則実施細則を改正。

(議事)
第3条
3.会長は、調査審議に支障があると認めるときは、調査審議の一時停止その他必要な措置を講ずることができる。
【教科用図書検定調査審議会運営規則】

※平成12年の検定過程において、申請図書(白表紙本)が事前に流失したことを受け、「調査審議の一時停止その他必要な措置」を講ずることができよう、平成15年に教科用図書検定調査審議会運営規則を改正。

4.教科書記述の正確性の確保

○正確性の確保を重視した検定手続きのあり方

1.教科書発行者における編集体制について

<過去の事例>

  •  「教科書記述の再確認等について(依頼)」平成18年3月課長通知及び平成15年2月課長通知において、各発行者に対し、編集・校正体制の現状と今後の改善・充実方策について報告を依頼。
  •  教科書協会主催による「教科書編集研修会(平成19年7月)」、「教科書ミス防止研修会(平成18年7月)」を開催。

2.著作者名等の提出及び公開について

第1 検定の申請
1.「検定審査申請書」の提出(教科用図書検定規則(平成元年文部省令第20号。以下「規則」という。)第5条第1項関係)
(3)添付書類
 申請図書の著作編修に関与したすべての者の氏名、職業などを記載した別紙様式1による「著作編修関係者名簿」1部を添付する。
【教科用図書検定調査審議会運営規則】

※平成元年教科用図書検定規則実施細則において、「検定審査申請書」の添付書類として、申請図書の著作編修に関与したすべての者の氏名、職業などを記載した「著作編修関係者名簿」の提出を規定(それ以前は、教科用図書検定規則の実施の細目で規定)。

<現状>

  •  平成17年度の検定結果の公開から、検定審査申請書及びその添付書類などについても公開。

3.正確性の確保を重視した評点方式について

<現状>

  • 頁当たり検定意見(相当箇所)数方式。
    →頁当たりの欠陥箇所数の多寡等によって判定を行う方式
    なお、以前は、評点方式を採用。
    「評点方式」
    →欠陥の程度に応じた欠陥点を求め、各図書の頁数も加味した観点ごとの評点及び合計点を算出し、それらが基準に満たない場合に不合格とする方式

※平成15年教科用図書検定審査要項を改正し、同年の検定から実施。

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初等中等教育局教科書課