宗教法人審議会(第151回) 議事録

1.日時

平成18年3月9日(木曜日) 午後1時30分~

2.場所

東京會館本館 「シルバールーム」

3.議題

  1. 小委員会の設置について
  2. 宗教法人氣多神社の規則変更認証処分に係る審査請求(2件)について
  3. 最近の宗務行政について
  4. その他

4.出席者

委員

大石会長、池端委員、清重委員、黒住委員、氣多委員、齋藤委員、佐藤委員、鈴木委員、滝口委員、田中(佐和)委員、栃尾委員、野崎委員、長谷川委員、山岸委員、力久委員

オブザーバー

(文化庁)
 河合長官、寺脇文化部長、藤野宗務課長、塩見宗教法人室長、その他関係官

5.議事録

1.開会

○ それでは、ただいまから、第151回宗教法人審議会を開会いたします。
 まず、開会に当たりまして、河合長官から一言ごあいさつをお願いしたいと思います。

○ 文化庁長官
 第151回宗教法人審議会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。
 委員の先生方におかれましては、本日は大変お忙しい中をご出席くださいまして、まことにありがとうございます。
 本日は、宗教法人の規則変更認証処分にかかわる審査請求が2件、文部科学大臣あてに出されておりますので、その件に関する諮問を行わせていただきたいと存じます。
 委員の先生方、それぞれのお立場からの貴重なご意見、ご助言を賜りまして、十分なご審議をお願いしたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

○ ありがとうございました。
 それでは、審議に入ります前に、事務局の方から、本日の配付資料の確認をお願いしたいと思います。

○ 宗務課長
 本日の配付資料を確認させていただきたいと存じます。

(事務局から配付資料の確認)

○ まず、定足数の確認をいたします。
 宗教法人審議会規則第6条によりますと、総委員の5分の3以上の出席がなければ議事を開き議決することができないというふうにされております。
 本日は20名の総委員中15名の出席でございまして、定足数を充足しているということを確認申し上げます。

2.議事

議題(1)

○ まず、議題(1)小委員会の設置について審議いたしたいと思います。
 先ほどの資料の説明にもありましたけれども、小委員会の設置に関する規定の整備内容について、事務局の方から、まず、ご説明願います。

○ 宗務課長
 小委員会の設置に関する規定につきまして、ご説明を申し上げたいと存じます。
 資料2をお開きいただき、2ページ目の(参考)と書いてございますところをご覧下さい。
 これは、本審議会におきまして既にお決めいただいております「不服申立て案件に関する宗教法人審議会の運営方法について」の図でございます。
 確認させていただきますと、審査請求等があった場合には、諮問のための審議会を開催して、小委員会を設置し、小委員会でご審議を行っていただいた上で答申のための審議会を開催するということになります。
 なお、軽微な案件等につきましては、事前に事務局において裁決書案を作成し、主に法律家の委員の先生方等と調整させていただいた上で、宗教法人審議会における諮問と同時にご審議をお願いし、答申をいただくこととなっております。
 前回の審議会でご審議いただきました宗教法人龍光寺に関する審査請求につきましては、軽微な案件ということで、小委員会を設置せずにご審議いただいたものであります。
 今回の議案でございますが、この小委員会の設置に関しまして、所要の規定を整備しようとするものでございます。
 それでは、規定内容についてご説明を申し上げたいと存じます。
 1ページ目をお開きいただきたいと存じます。まず、1に、趣旨・目的といたしまして、宗教法人審議会規則第12条の規定に基づきまして、会長は、必要があると認めたときは、特別な事項を調査審議させるため、小委員会を設置することができること。2でございますが、構成として、小委員会は会長が指名する委員で構成することを規定しております。
 これらの規定でございますが、宗教法人審議会規則第12条に、会長は必要があると認めたときは、委員のうちから若干名を指名し、特別な事項を調査審議することができるという規定があり、これに基づくものでございます。
 次に、3に、座長に関する規定を置いております。1点目は、小委員会に座長を置く。2点目といたしましては、座長は小委員会の委員が互選した者とする。3点目は、座長は会議の議長となり、議事を整理するということで規定をいたしております。
 なお、小委員会の議事に関しましては、「宗教法人審議会の議事等について(申合せ)」の第7項に、宗教法人審議会の手順に準ずるという旨が規定されておりますので、この申し入れに基づいて行うこととなっております。
 また、必要な資料の提出要求、小委員会に関する事務というものにつきましては、13条、14条に基づいて行われることとなります。
 以上、ご説明とさせていただきます。

○ ありがとうございました。
 ただいま、事務局から資料2、都合3ページにわたるものに基づいて説明がございましたけれども、この点について、何かご質問等ありましたらお願いいたします。
 構成のところですが、会長が指名する委員で構成するということだけ書いてありまして、特に何人という定数は設けておりません。事案によって少しずつ異なってくることもあろうかと思いますので、そこは弾力的に考えたいという趣旨でございますね。
 よろしゅうございますか。

○ それでは、小委員会の設置に関する規定につきましては、ここに日が入っておりませんけれども、本日付で当審議会において決定するということにいたしたいと思います。
 ありがとうございました。

議題(3)

○ 続いてでございますが、その次第によりますと、議題の2、宗教法人氣多神社の規則変更認証処分に係る審査請求についてということになっておりますけれども、議事の都合上、私の判断によりまして、議題の3及び4を先に行わせていただきたいと存じます。
 その点はご了解願ったという前提で次にまいりたいと思います。
 それでは、最近の宗務行政について、事務局の方から報告をお願いいたします。

○ 宗務課長
 最近の宗務行政につきまして、宗務行政に関連する裁判の動向についてということでご説明を申し上げます。資料7をお開きいただきたいと存じます。
 2件ございます。
 1件目でございますが、宗教法人日香寺による公文書開示決定取消訴訟の鳥取地裁判決でございます。
 訴訟の概要でございますが、平成17年5月10日、鳥取県が情報公開条例に基づく宗教法人日香寺からの提出書類に関する開示請求に対しまして、文化庁の定める処理基準とは異なる基準で財産目録等の非公知の事項を含めました内容の部分開示決定を行いました。これに対しまして、宗教法人日香寺が部分開示決定を不服として公文書開示決定取消を鳥取地裁に訴えたものでございます。
 この裁判につきまして、平成18年2月7日に鳥取地裁で判決がございました。
 その判決の要旨でございますが、鳥取県が行った公文書部分開示決定のうち、責任役員名簿及び財産目録並びに通常会計収支計算書の開示した部分を取り消すというものであり、宗教法人日香寺側が全面勝訴いたしております。
 判決の理由の要旨でございますが、1点目といたしましては、提出書類の取り扱いについては、宗教法人法上、宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることのないように、特に留意しなければならないこと、また、事務所備え付け書類等の公開が信者その他の利害関係人に限定されていること等を考慮して、慎重に処理されるべきものであること。
 2点目といたしまして、文部科学大臣等は、地方自治法第245条の9第1項、これは処理基準の根拠となる規定でございますが、この規定に基づきまして、法定受託事務と密接に関連する提出書類の公開に関する事務につきましても、「法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準」の一部として法的拘束力を有する一般的基準を定めることができると解することが相当であること。
 3点目といたしまして、登記事項等の公知の事実を除き、原則として不開示の取り扱いとしている処理基準は、鳥取県情報公開条例第9条2項1号にいう「実施機関が従わなければならない各大臣等の指示その他これに類する行為」に該当し、本件開示決定は本規定に違反するという旨の判示がなされております。
 なお、この裁判でございますが、現在鳥取県知事から控訴が行われているところでございます。
 続いて、2ページをお開きいただきたいと存じます。
 こちらの方は2件目ということでございますが、宗教法人天理教による名称使用禁止等請求訴訟の最高裁判決でございます。
 この天理教豊文教会の名称に関します案件につきましては、平成16年4月の第147回の審議会でご審議いただき、答申をいただいたわけでございます。その関係につきましては、長野県知事を被告とした規則変更認証処分の取消請求訴訟が提起されておりまして、これにつきましては、前々回でございます、昨年8月の第149回の審議会におきましてご説明を申し上げております。
 今回の案件ですが、これは、長野県の知事を被告としたものではございませんで、当事者間の訴訟ということでございますが、ご審議いただいた案件に関連するということで、ご説明を申し上げたいと存じます。
 訴訟の概要でございますが、宗教法人天理教の被包括法人であった宗教法人天理教豊文分教会が、平成15年4月16日に長野県知事の認証を受け、被包括関係を廃止し、名称を宗教法人天理教豊文教会に変更して宗教活動を継続的に行っていたということでございます。
 これに対しまして、宗教法人天理教が、1点目といたしましては、当該行為が不正競争防止法の不正競争に該当するということ、2点目といたしましては、宗教法人天理教の名称権を侵害するということで、天理教を含む名称の使用差し止め等を求めたものでございます。
 訴訟の経過でございますが、平成16年3月30日の東京地裁判決におきましては、宗教法人天理教が勝訴したわけでございます。平成16年12月16日の東京高裁判決におきましては、逆に宗教法人天理教が敗訴しております。平成18年1月20日に最高裁判決がございまして、宗教法人天理教の上告が棄却され、宗教法人天理教の敗訴が確定したわけでございます。
 その判決の理由でございますが、1点目といたしましては、宗教儀礼の執行や教義の普及伝道活動等の本来的な宗教活動に関しましては、営業の自由の保障のもとで自由競争が行われる取引社会を前提とするものではなく、不正競争防止法の対象とする競争秩序の維持を観念することはできないものであるから、同法の適用の対象外であること。
 宗教活動と密接不可分の関係にある事業についても、本来的な宗教活動と切り離すことは適切でないから、同法の適用の対象外であること。
 宗教法人豊文教会の活動は、本来的な宗教活動にとどまり、不正競争に当たらないこと。
 2点目といたしましては、宗教法人の名称を冒用されない権利を違法に侵害する否かは、名称の同一性または類似性だけでなく、名称の周知性の有無、程度、名称の識別可能性、名称を使用するに至った経緯、その使用態様等の諸事情を総合考慮して判断されなければならないこと。
 宗教法人豊文教会は、80年にわたってその教義を示す「天理教」を含む名称を使用していること、その信奉する教義は天理教にほかならないこと、名称の周知性を殊さらに利用しようとする不正な目的をうかがわせる事情もないことなどから、名称にその教義を示す「天理教」を冠したことには相当性があり、名称を冒用されない権利が違法に侵害されたということにはできないことが判示されたわけでございます。
 なお、各訴訟の判決文も添付しておりますので、ご参照していただきたいと存じます。
 以上でございます。

○ ありがとうございました。
 この1件目の鳥取地裁の関係は、この当審議会でも、議論がちょっと出たところでありますし、質問も多分出たかと思います。
 2件目の最高裁判決につきましては、まさしくその審議会の答申が関連しているものでございまして、最高裁まで行ったという事案です。第二小法廷の判決ということになりますね。
 さて、ただいま事務局から報告がございましたけれども、この2件の動きについて、何かご質問等ありましたらお願いしたいと存じます。
 よろしゅうございますか。もし何かございましたら、一番最後でまた全体のご質問をお受けしますので、そのときに挙げていただければと思います。

議題(4)

○ それでは、その他、事務局からございましたらお願いしたいと思いますが。

○ 宗務課長
 宗教法人法の一部改正を含みます公益法人制度改革の動きにつきまして、途中の状況につきまして簡単にご紹介させていただきたいと存じます。
 現在、民法34条に基づきます社団法人、財団法人並びに中間法人を対象といたしました公益法人制度の改革が進められているところでございます。
 簡単にポイントを申し上げますと、1点目といたしましては、準則主義、登記ということでございますが、これによって簡便に設立できます一般社団法人、一般財団法人の制度が創設されるということでございます。
 2点目といたしましては、有識者からなる合議制の機関による公益認定が行われ、それが認められますと、税制上の優遇措置が受けられる公益社団法人、公益財団法人になれるという制度が創設されるということでございます。
 また、このような2つの制度が創設に伴いまして、3点目といたしまして、民法及び非訟事件手続法が改正され、宗教法人法の第51条の第1項で準用規定がございますが、その準用しております民法及び非訟事件手続法の関係規定がすべて削除されるということになります。
 このため、宗教法人法につきましても、基本的には、今まで準用しておりました民法及び非訟事件手続法の規定をおおむね同じ趣旨で宗教法人法に規定するという旨の改正が行われることとなります。内容的には、基本的に形式的な改正となるわけでございます。
 また、4点目といたしまして、今申し上げましたように民法の改正が行われまして、現行の民法の34条、これは、ご承知のように祭祀・宗教を公益と明示した規定ですが、34条につきましても改正されますが、祭祀・宗教を公益とする趣旨を盛り込んだ規定は別途設けられることとなります。
 法律案につきましては、近く政府といたしまして決定いたしまして、現在開かれております国会に提出される予定でございます。
 本件につきましては、次の審議会におきましてご説明申し上げたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○ ありがとうございました。
 この点については、新聞報道等でもなされておりまして、法案の名称もほぼ決まったように聞いておりますけれども、それぞれ委員におかれてはある程度の情報はお持ちだと思いますが、もし今の説明に関連して何かございましたら、ご質問等お願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、今のご報告については、これで閉じさせていただきます。

議題(2)

● 宗教法人氣多神社の規則変更認証処分に係る審査請求(2件)についての議事要旨は以下のとおりである。
 宗教法人氣多神社(石川県知事所管)の規則変更認証処分の取消しを求める審査請求について、文部科学大臣に代わり文化庁長官から諮問を行った。
・栃尾委員より、審査請求人の役職に就いていた関係上、利害関係を有するとして退室の申し出があり、了承された。
・大石会長から、本日欠席の田中恆清委員についても、同様の考え方で対応したいと考える旨発言があり、了承された。

(栃尾委員退室)

・審査請求の内容等について、事務局より説明を行った。
・本件は、複雑な案件であること、当事者の主張も入りくんでいることから、小委員会を設け、そこで調査検討を行うこととされた。また、大石会長から、小委員会の委員として、大石眞委員、井田良委員、佐藤典子委員、長谷川正浩委員、山岸敬子委員が指名された。

3.閉会

○ それでは、閉会ということになりますけれども、その前に、この案件今申し上げたようなことですので、次回の審議会の日程を少しお話ししていただくことが適当だと思いますが、今申し上げた小委員会の点も含めて、おおまかな流れをちょっと紹介していただけますでしょうか。

○ 宗務課長
 ただいま会長の方から小委員会で審議すること、それから、小委員会の委員といたしまして5名の方のご指名いただいたわけですが、小委員会につきましては、4月26日に開催させていただきたいと思います。なお、小委員会にお願いする委員の5名の方には、改めましてご通知申し上げたいと思います。
 また、全体の審議会でございますが、現在、日程等を調整させていただいておるところでございますが、事務局といたしましては、できますれば5月中旬ごろを目途に開催できればと思っております。日程が確定し次第、おって開催通知を発出させていただきたいと存じます。

○ それでは、特にご発言もないようですので、本日はこれにて閉会にしたいと思います。
 どうもお疲れさまでございました。

お問合せ先

文化庁文化部宗務課宗教法人室

(文化庁文化部宗務課宗教法人室)

-- 登録:平成21年以前 --