宗教法人審議会(第150回) 議事録

1.日時

平成17年11月10日(木曜日) 午前11時~

2.場所

東京會館本館 「エメラルドルーム」

3.議題

  1. 宗教法人「龍光寺」の規則変更認証申請に係る審査請求について
  2. 最近の宗務行政について
  3. その他

4.出席者

委員

大石会長、池端委員、井田委員、清重委員、氣多委員、小林委員、齋藤委員、佐藤委員、島薗委員、鈴木委員、滝口委員、田中(佐和)、田中(恆清)委員、野崎委員、長谷川委員、山岸委員、力久委員

オブザーバー

(文化庁)
 河合長官、藤野宗務課長、塩見宗教法人室長、その他関係官

5.議事録

1.開会

○ ただいまから第150回宗教法人審議会を開会いたします。
 まず開会に当たりまして、河合長官から一言ごあいさつをお願いしたいと存じます。

○ 文化庁長官
 第150回の宗教法人審議会の開催に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。
 委員の先生方には、大変お忙しいところ本日はご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、宗教法人の規則変更認証申請にかかわる審査請求が文部科学大臣あてに出されておりますので、その裁決につきましてご審議いただきたいと思います。
 文化庁といたしましては、今後とも委員の先生方それぞれのお立場からの貴重なご意見、ご助言を賜りまして、円滑かつ適正な宗務行政を遂行してまいりたいと考えておりますので、よろしくご指導くださいますようにお願いいたします。

○ ありがとうございました。
 次に、前回から第27期が発足いたしましたけれども、前回ご欠席でありました池端委員、井田委員、清重委員、佐藤委員の方から簡単に自己紹介をお願いできればと思います。

○ 東京外国語大学の池端でございます。前期に引き続いてということですが、なかなかこの会の性格がのみ込めなくて、時々間違った発言を繰り返しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 井田と申します。慶應義塾大学の法科大学院というところで刑法と医事法を教えております。何とぞよろしくお願いいたします。

○ 九州ルーテル学院大学に勤めております清重でございます。本当に小さな学院です。26期に続いて引き続き委員を賜りまして光栄でございます。よろしくお願いします。

○ 佐藤でございます。このたび初めて委員になりました。弁護士をしております。よろしくお願いいたします。

○ 4人の委員の方ありがとうございました。また、田中恆清委員及び栃尾委員におかれましては、9月末で任期が満了となりまして、10月1日付けで再任されております。
 それでは次に、文化庁の方にも異動がありましたので、事務局の方からご報告願います。

○ 宗務課長
 宗教法人室長佐藤安紀でございますが、本年10月1日付けで異動になりまして、文部科学省生涯学習政策局政策課生涯学習企画官に異動となっております。後任でございますが、塩見みづ枝が就任いたしておりますので、ご挨拶させていただきます。

○ 宗教法人室長
 失礼いたします。塩見と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○ それでは、審議に入ります前に、事務局の方から本日の配布資料の確認をお願いしたいと存じます。

(事務局から配布資料の確認)

○ それでは、議事に入ります前に定足数の確認をいたします。宗教法人審議会規則第6条によりまして、総員の5分の3以上の出席がなければ議事を開き議決することができないとされております。本日は20名の総委員中17名の出席がございますので、定足数を充足しているということを確認いたします。

2.議事

議題(1)

● 宗教法人「龍光寺」の規則変更認証申請に係る審査請求についての議事要旨は、以下のとおりである。

  • 宗教法人龍光寺(千葉県知事所轄)の規則変更認証申請を受理することができないとした処分の取り消しを求める審査請求について、文部科学大臣に代わり文化庁長官から諮問を行った。
  • 長谷川委員より、別件ではあるが、宗教法人龍光寺の代理人を務めている関係上、今回の審議についての発言並びに議決への参加を控えたい旨の申し出があり、了承された。
  • 審査請求の内容等について、事務局より説明を行った。
  • 審議の結果、棄却する旨の裁決をすることが適当と認める旨の答申が行われた。

議題(2)

○ それでは、議題の(2)に入りたいと思います。
 最近の宗務行政につきまして、事務局の方から報告がございます。

○ 宗務課長
 最近の宗務行政ということで、本審議会の答申をいただいた案件についての経過についてご報告させていただきます。お手元の資料5をご参照していただければと思います。
 宗教法人「天理教水京分教会」の規則変更認証処分に係る案件についてでございます。この案件につきましては、前回の審議会におきまして8月30日に判決言い渡しが予定されていることをご報告したわけでございます。8月30日に水戸地裁から判決が出されております。その内容は、相手方の請求を棄却する旨の判決となっております。審議会答申の結果が踏襲されておりますので、ご報告させていただきます。
 その理由でございますが、2点掲げておりますが、1点目といたしましては、責任役員会において規則変更が決定された後に個々の責任役員が同意を撤回したとしても法人の意思決定には影響はないこと、原告である包括法人が極めて強い支配力と影響力を有している法人の同意は要しないこと。2点目といたしまして、人格権侵害については、所轄庁に実質的審査権はないこと、不正競争防止法違反につきましては、違反の前提となる対等な営業者間の競争がないことなどが指摘されたわけでございます。
 なお、現在は控訴中でございます。控訴審判決が出されましたら、また報告させていただきたいと思います。裏面以降に判決文もつけておりますので、後ほどご確認いただければと思います。
 以上、ご報告とさせていただきます。

○ ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの報告につきまして、何かご質問がありましたらお願いしたいと存じます。いかがでございますか。
 それでは、この件につきましてはこれでよろしゅうございますでしょうか。

議題(3)

○ その他ということが議題の第3に設けてございますが、何かご意見等特にございましたらお願いしたいと存じます。

○ 宗務課長
 事務局の方からお話しさせていただきたいと思います。
 資料6を用意させていただいております。文化庁の方で宗教法人制度の運用等に関する調査研究を実施することといたしておりますので、ご報告させていただきたいと思います。
 資料6の趣旨のところに掲げてございますように、昨今の社会情勢を見てみますと、公益法人制度の改革、或いはそれに関連する税制の見直しでございますとか、地方分権の進展、情報公開制度の普及定着など、宗務行政を取り巻く情勢には様々な変化、それも非常に大きな変化が見受けられるわけでございます。文化庁といたしましては、これらの社会情勢の変化を踏まえまして、信教の自由と政教分離の原則を基本とした現行の宗教法人制度を適切に運用していく参考とするため、宗教法人制度の運用等に関する調査研究を実施することといたしております。
 調査研究の内容といたしましては、宗教法人制度の運用に関する諸課題及びその他関連する事項となっております。
 実施方法でございますが、大石会長をはじめ学識・実務経験者及び宗教関係者の皆様にご協力をお願いいたしますが、その構成については4のところに書いてございます。まずは宗教法人の公益性でございますとか、透明性などに関するお考えをお聞かせいただく所存でございます。
 なお、本日午後に第1回目の協力者会議を開催することとしております。
 また、本調査研究の進捗状況につきましては、宗教法人審議会の委員の皆様にも適宜情報提供をしてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○ ありがとうございました。
 この宗教法人審議会の委員の方からも私を含めて協力者で入っておりますが、今日の午後に1回目を予定しております。場合によってはこの委員の中からも特にご意見を求めるということがあろうかと思いますけれども、そのときにはぜひご協力を賜りたいと存じます。
 また、運用等に関する調査研究ということでございまして、特定の結論事項を得るというものではございません。したがって、もしいろいろなご意見がございましたら、お伝えくだされば、それなりに本調査研究に反映させることができるというふうに思います。
 今のご説明について何かご質問等がございましたら承りますが、いかがでございましょうか。

○ 個人的な質問なんですけれども、政教分離の点をしっかりとご審議いただけたらと思います。

○ その点につきましては、政教分離という場合に、いろいろなレベルの議論がございまして、少なくとも憲法で語られる場合の政教分離というのは、国そのものと宗教団体との結びつきということについて語られるわけですね。したがって、政党と宗教団体の関係がどうかということは、直ちにはその原則に違反するという問題にはならないというのが通説的な考えです。ただ、その場面を離れてもう少し広い視野で、そういう憲法原理だけではなくて、その他の方面からよく言われる場合の政教分離という意味合いもあります。
 もし何かほかの入っておられる委員の方で何か補足がありましたらお願いしたいと思いますが。事務局の方で何かこの点でございますか。

○ 宗務課長
 政教分離の政府としての解釈は基本的には言われたとおりでございまして、宗教団体が政治活動をしたからといって直ちに政教分離に当たらないというのが政府の見解でございます。この調査研究は、幅広い形で検討するわけでございますので、さまざまな見地から宗教法人制度の運用等につきまして検討してまいりたいと考えております。

○ 調査研究をされるということが主目的なことだと思いますが、そのことが宗教法人制度の今後の何かの改革といいますか、そういったことに具体的に反映をされていくのか、或いは単に調査研究だけを行う機関だとか、その辺はいかがなんでしょうか。

○ 先ほどちょっと申し上げましたように、特定の結論の方に導こうということではないというふうに承知しております。ただ、宗教法人制度が発足してから、この間かなり長い日々がたちまして、その間にもちろん、一度大きな改正がございましたけれども、さらに昨今の情勢でありますと、いわゆる法人制度全般についての改革、あるいは見直しということが日程に上るような形になっている一方で、その点を踏まえて宗教法人制度という面から具体的に検討するところが全然ないわけですね。
 具体的な結論を導くというのではなくて、外に向けていろいろなことを答えなければいけないという場面が、事務局としてはあるわけです。場合によっては私どもも意見を求められるということがあるかもしれません。なかなかこういう場ではそういう議論をすることができませんので、そのための場を設けて、いろいろな議論があるとすればどういう議論があるかということを論点として整理をしようというのが主な目的であります。したがって、毎年度ごとに委嘱をするわけでありまして、ここで宗教法人制度に関して一定の方向を出すつもりは全くないというふうに承知しております。いかがでございましょうか。

○ 宗務課長
 基本的に言われたとおりでございまして、私どもの方で今後活用させていただくための意見の整理でございますとか論点の整理をしていただこうというものでございます。
 宗教法人制度の理論的なバックボーンというものについて、現在の状況等に即して必ずしも詳細な詰めた議論がなされていないところもありますので、外に向かって私どもがお話ししていくに当たって、なかなか理論的に整理されていない部分もございます。したがいまして、そのような議論も行っていただきたいと思っております。
 今も言われましたように、今回は宗教法人は入っていないわけでございますが、公益法人改革の動きがございます。或いは、これに伴う税制等の動きもございますので、外に向けて何かお話をするような場合がもしありましたら適切に対応をするための理論的なバックボーンとさせていただきたいと思います。
 以前の宗教法人審議会でございましたら、このようなことも宗教法人審議会で議論させていただくということになると思いますが、この審議会は、省庁再編に伴いまして政策審議機能がなくなったわけでございますので、このような調査研究を実施して、やっていこうということでございます。
 また先ほど申しましたように、その進捗状況につきましては委員の皆様方にも情報提供をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

○ 先ほどの話の政教分離の制度というのはどうしても国教分離なんですけれども、これから憲法がいろいろ動こうとするときに政教分離という言葉が続いていくということになってくると、そもそも言葉に対しても少し研究しなければいけないなということを思いました。それから、昔はいわゆる人物像本位で選挙しようではないかということがあったのが、今は政党を選ぶという形になりました。しかしながら、宗教者がいわゆる政治に対してどういうものを言うかということも大事ですね。その意味では国と宗教ということについてもやっぱりもう少し研究され、論議になっていくというふうになりますと、政教分離に対する考え方も大分変わってくるんじゃないかというふうに思いました。

○ ありがとうございます。諸外国の場合ですと、必ず国家と教会、チャーチ・アンド・ステートの問題として考えますが、日本では政教の問題として、政治一般の問題、宗教一般の問題とはどうかという、やや拡散した議論になっているところが多うございますね。そのような点も踏まえた議論があってもよいと考えております。
 多分皆様方それぞれに相当ご関心が深い分野であると思いますので、ぜひご意見を寄せていただきまして、できるだけ調査研究の論点整理の参考にさせていただければ幸いであるというふうに思っております。
 機会があればまた皆様方にも調査の内容の方向につきましてご報告を申し上げたいというふうに思います。
 今の点、よろしゅうございますでしょうか。
 特にご意見、ご質問等がなければ、本日の議事というのは以上で終わりたいと思いますが、最後に全体を通しまして何かご発言等がありましたら、お願いしたいと存じますが、いかがでございましょうか。

3.閉会

 ないようですので、本日はこれにて閉会としたいと思います。お疲れ様でした。

お問合せ先

文化庁文化部宗務課宗教法人室

(文化庁文化部宗務課宗教法人室)

-- 登録:平成21年以前 --