宗教法人審議会(第149回) 議事録

1.日時

平成17年8月2日(火曜日) 午後3時4分~

2.場所

東京會館本館 「ロイヤルルーム」

3.議題

  1. 宗教法人審議会会長の選任
  2. 最近の宗務行政について
  3. その他

4.出席者

委員

大石会長、黒住委員、氣多委員、小林委員、齋藤委員、島薗委員、鈴木委員、滝口委員、田中(佐和)委員、田中(恆清)委員、栃尾委員、野崎委員、長谷川委員、山岸委員、芳村委員、力久委員

オブザーバー

(文化庁)
 河合長官、加茂川次長、寺脇文化部長、藤野宗務課長、佐藤宗教法人室長、その他関係官

5.議事録

1.開会

○ 宗務課長
 ただいまから第149回宗教法人審議会を開催いたします。
 第27期宗教法人審議会の初会合ということで、会長が空席でございますので、会長を選出していただくまでの間、私、宗務課長の藤野が進行役を務めさせていただきます。
 初めに、河合長官から一言ごあいさつを申し上げます。

○ 文化庁長官
 第149回宗教法人審議会の開催にあたりまして、一言ごあいさつ申し上げます。
 委員の先生方におかれましては、本日はお忙しい中ご出席いただきまして誠にありがとうございます。
 また、佐藤委員、山岸委員及び力久委員には、本年4月1日付けで新たに就任していただきました。ご多忙の折りにご快諾くださいましたことを心から御礼申し上げます。
 現在、政府では公益法人制度改革が検討されております。この背景には公益法人に対する国民の目がより一層厳しくなっていることがあると思います。今回、宗教法人制度は改革の対象とはされておりませんが、引き続き適正な法の執行が求められていると考えております。
 文化庁におきましては、今後とも委員の先生方それぞれのお立場からの貴重なご意見、ご助言を賜りまして、円滑かつ適正な宗務行政を期してまいりたいと考えておりますので、よろしくご指導のほどをお願いいたします。
 本日は、第27期宗教法人審議会委員による最初の審議会ということで、まず会長をご選出いただき、その後、最近の宗務行政についてご報告をさせていただきたいと存じております。
 以上、簡単でございますが、ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○ 宗務課長
 続きまして、今回、新しく宗教法人審議会の委員に就任された方もおられますので、大変恐縮でございますが、委員の先生方から簡単に自己紹介をお願いできればと存じます。

(委員自己紹介)

○ 宗務課長
 どうもありがとうございました。引き続き、文化庁側を紹介させていただきます。

(文化庁側紹介)

○ 宗務課長
 引き続き、定足数の確認をいたします。宗教法人審議会規則第6条により、総委員の5分の3以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができないこととされております。本日は20名の総委員中16名の出席をいただいており、定足数を充足していることを確認いたします。

2.議事

議題(1)

○ 宗務課長
 それでは、議事に入ります。
 お手元に「次第」がございますが、議題1、会長の選出についてでございます。
 宗教法人法第74条第2項に「会長は、委員が互選した者について、文部科学大臣が任命する。」とございますので、互選をお願いしたいと思います。
 なお、参考までにこれまでの例を申し上げますと、学識経験者の委員の中から推薦で選出されております。
 それでは、どなたかご推薦ございませんでしょうか。

○ 今、ご説明がありましたように、学識経験者の委員から選出されているということを鑑みまして、幅広い研究活動をされ、また、前期会長をお務めいただきました京都大学教授の大石委員がよろしいかとご推薦させていただきます。

○ 宗務課長
 大石委員に会長をお願いしてはとのご発言があったわけでございますが、皆様いかがでございましょうか。

(賛成者拍手)

○ 宗務課長
 異議がないようでございますので、大石委員が会長に互選されたものとさせていただきたいと思います。
 それでは、大石委員には会長をお願い申し上げます。

○ 会長に推挙されたということで、一言ごあいさつをする慣行になっておりまして、こんな格好で大変失礼かと思いますが、とりあえずクールビズに貢献するということでございまして、一言ごあいさつ申し上げます。
 ただいまご推挙いただいたばかりなのですが、皆様方のご協力を得まして、会長の責務を全うできますように努めますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 改めて申すまでもなく、この審議会は宗務行政の適正を期するために設けられている文部科学大臣の諮問機関でございまして、不服審査等の案件の諮問を受けて審議する、いわば法施行型の審議会として位置づけられているところであります。
 今期の審議会からは、より一層慎重な審議を行うために、案件が諮問されました場合、必要に応じて小委員会を設置し、そこでの審議を踏まえた上で答申を行うように運営方法が改善されたところでございます。このことを踏まえまして、職責の遺憾なき遂行を期したいと存じますので、皆様方、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議題2に入ります前に、本日の配付資料の確認及び本審議会に関する法令、あるいは、所掌事務についての説明を事務局からお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

(事務局から配付資料の確認)

○ 宗務課長
 引き続きまして、宗教法人審議会に関する法令・所掌事務についてご説明申し上げたいと存じます。資料2をご覧いただきたいと思います。
 1ページ目でございますが、宗教法人法における宗教法人審議会に関する規定を抜粋したものでございます。
 第71条第1項で、文部科学省に宗教法人審議会を置くとし、以下、委員、任期、会長等について規定がございます。
 第77条で、この章に規定するものを除くほか、宗教法人審議会の議事の手続その他その運営に関し必要な事項は、文部科学大臣の承認を受けて、宗教法人審議会が定めると規定しております。
 これを受けまして、宗教法人審議会規則が定められております。2ページ目をご覧いただきたいと存じます。
 第6条で、先ほど申し上げましたが、総委員の5分の3以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができないと定められております。
 また、第7条におきましては、出席委員の過半数で議事を決するとされております。
 飛びまして、第12条では、会長が必要があると認めたときは、委員のうちから若干名を指名し、特別な事項を調査審議させることができるとの規定がございます。
 3ページ目をお開きいただきたいと思います。これは宗教法人法の規定によりまして、宗教法人審議会の意見を聞かなければならないとされている事項がございますが、これを一覧としてまとめたものでございます。
 1から6までございますが、所轄庁たる文部科学大臣による規則等の不認証の決定、所轄庁による報告徴収・質問、所轄庁による公益事業以外の事業の停止命令、所轄庁による規則等の認証の取消しをしようとするときには、本審議会の意見を聞かなければならないとされております。また、5番目でございますが、不服申立て、すなわち審査請求又は異議申立てについてでございます。不服申立てに関しまして、文部科学大臣が却下以外の裁決又は決定しようとするとき、すなわち認容とか棄却の裁決又は決定をしようとするときにも、本審議会の意見を聞かなければならないとされております。
 なお、宗教法人審議会と所轄庁、宗教法人との関係を図示したものが4ページ目にございます。
 次に、5ページ目をお開きいただきたいと思います。本審議会の議事等についての申合せでございます。1におきまして、本審議会の議事録は、原則として公開することとしております。
 しかしながら、2におきまして、行政処分及び不服審査に係る審議については、原則として議事要旨を公開するということを申合せております。
 また、3におきまして、会議については、自由闊達な討議を確保し、信教の自由に配慮して、非公開という扱いにしております。
 4におきましては、議事録、議事要旨につきまして、(2)にございますように、自由な討議を確保するため、委員の意見は匿名といたしております。
 また、(3)にございますように、信教の自由に配慮して、個別の宗教法人名は議事録等には記載しないこととされております。ただし、本審議会の答申の中に記載された法人名及び公開される会議資料に記載された法人名については、この限りではないとされております。すなわち公開されることとなります。
 6におきましては、会議資料についてでございますが、行政処分及び不服審査に係る資料を除き、原則として公開するものとしております。しかし、検討中の答申・報告書の原案等、本審議会において非公開とすることが適当であると認めるものについては、非公開となります。
 最後に、6ページ目をお開きいただきたいと存じます。不服申立て案件に関する宗教法人審議会の運営方法についてでございます。これは、本審議会の運営方法の改善のため、前回、昨年9月22日の第148回審議会に提案され、合意されたものでございます。
 下の(参考)に書いてございますように、宗教法人法第80条の2第2項は、不服申立てに対する裁決又は決定は、申立てがあった日から4月以内にしなければならない旨を規定しております。
 そこで図示しておりますように、審査請求等があった場合には、早い時期に一度審議会を開催させていただき、諮問及び案件の説明等を行います。あわせまして、会長より宗教法人審議会規則第12条に基づきまして小委員会を設置していただきます。
 次に、小委員会で審議を行い、再度、審議会を開催し、小委員会での審議結果報告に基づいて審議を行った上で、答申をいただくという流れになるわけでございます。
 なお、前回の審議会でも意見が出されましたように、第1回目の審議会につきましては、最大限調整して開催できるよう努めたいと存じますが、定足数が5分の3ということでございますので、定足数がそろわないような場合には、4月以内という裁決までの期限もございますので、正式な審議会から懇談会に切り替えて開催することも視野に入れて運営してまいりたいと考えております。この場合でも、小委員会の委員が選任された場合には、その旨を必ず全委員にお知らせしたいと存じております。
 さらに、右の方にございますように、軽微な案件等、会長と相談した上で小委員会で審議する必要性が乏しいと判断された案件につきましては、事前に事務局において裁決書案を作成し、主に法律家の委員の先生方と調整させていただいた上で、宗教法人審議会における諮問を行い、同日に答申をいただくというようなことも考えていきたいと考えております。
 以上、ご説明をいたしました。

○ ありがとうございました。
 法令及び所掌事務についてのご説明がございましたが、何かわからないところがありましたら、今出していただければ幸いでございます。
 「議事等についての申合せ」の中で、委員の意見を匿名とするという部分がありますが、資料7をご覧いただきますと、前回の審議会の議事録があります。そこには出席等の名前は出ておりますけれども、具体的な審議の中身をごらんいただきますと、長官あるいは宗務課長等の発言はそのままありますが、議題に入ったところでの各委員の発言は単に丸印がつけてあるだけでございます。具体的にはこういう形で匿名性を確保するという配慮がなされているところであります。
 これは会長の部分も丸になっていますね。読めばすぐわかるんですけれども。
 そのほか、よろしいでしょうか。

議題(2)

○ もしないようでしたら、少し急ぎますけれども、最近の宗務行政についてということで、議題2に入りたいと思います。最近の宗務行政につきましては、事務局から報告事項が4件ほどございます。
 まず、答申案件の経過についてご報告願いたいと思います。

○ 宗務課長
 それでは、答申案件の経過について説明させていただきます。資料3をご覧いただきたいと思います。
 過去3回の審議会におきまして答申をいただきました宗教法人「天理教豊文分教会」、宗教法人「天理教水京分教会」、宗教法人「圓光寺」の各案件につきまして、その後の経過を順次報告させていただきます。
 表紙をめくっていただきまして、1ページ目をご覧いただきたいと存じます。宗教法人「天理教豊文分教会」の案件についてでございます。
 本案件につきましては、平成15年10月1日の第146回審議会におきまして、棄却裁決相当との答申をいただきました。
 その1週間後の10月8日に、審査請求人である宗教法人天理教に対しまして、文部科学大臣より棄却裁決を行いました。
 これに対し、宗教法人天理教は、同年12月29日に、処分庁である長野県知事を被告として、処分取消請求訴訟を長野地裁に提起いたしております。
 この訴訟は、昨年10月29日に長野地裁におきまして、また、本年4月28日に東京高裁におきまして、それぞれ人格権侵害又は不正競争防止法違反にはあたらず、また、包括離脱に関して、訴外法人の同意も要しないとして、それぞれ棄却する判決が出されております。
 なお、現在は、上告がなされております。
 続きまして、2ページ目でございます。宗教法人「天理教水京分教会」の案件についてでございます。
 本案件につきましては、昨年4月26日の第147回審議会におきまして、棄却裁決相当との答申をいただいたわけでございます。
 その翌日の4月27日に、審査請求人である宗教法人天理教に対して棄却裁決を行いました。
 これに対し、宗教法人天理教は、同年7月20日に、処分庁である茨城県知事を被告として、処分取消請求訴訟を水戸地裁に提起いたしております。
 この訴訟は、先ほどの「天理教豊文分教会」とほぼ同じ内容の案件でございますが、本年8月30日に判決の言渡しが予定されております。
 続きまして、3ページ目をお開きいただければと思います。宗教法人「圓光寺」の案件についてでございます。
 本案件につきましては、昨年9月22日の第148回審議会において認容裁決相当との答申をいただきました。
 その2日後の9月24日に、審査請求人である宗教法人臨済宗建長寺派に対し、認容裁決を行いました。
 これを踏まえて、処分庁である神奈川県知事が同年10月1日、宗教法人「圓光寺」に対して認証できない旨の決定を行ったわけでございますが、これに対しまして宗教法人「圓光寺」側は、同年12月21日に文部科学大臣を被告として裁決取消請求訴訟を東京地裁に提起したわけでございます。
 この訴訟は、本年6月17日に、1つは、宗教法人「圓光寺」の訴えにつきましては、代表権限のない者からの訴えであるから不適法であるということ、2つ目に、代表役員個人の訴えにつきましては、原告適格がないということで却下するという判決が出されております。
 なお、この訴訟は、原告が控訴せず、確定しております。
 以上のとおり、各案件とも本審議会において答申いただいた結果が判決においても踏襲されてきているという状況でございます。
 なお、3ページ以降に各判決文を添付しております。
 以上でございます。

○ ありがとうございました。
 答申案件の経過について、(1)から(3)でご説明いただきました。
 最後におっしゃったとおり、(2)は間もなく出るということですが、(1)の豊文分教会に関しては、裁判所の判決文が2通添えられております。最後の圓光寺に関するものについても、最後のところに綴じてございますので、ご参照いただければと思います。
 今、ご報告いただいた件につきまして、何かご意見、ご質疑等ありましたら、お願いいたします。
 よろしゅうございますか。
 それでは、引き続き、資料4ないし資料6に基づきまして、会社法制定に伴う宗教法人法の改正につきまして、さらに、宗教法人書類提出状況等について及び情報公開に対する対応状況について、ご報告願いたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○ 宗務課長
 それでは、まず、会社法制定に伴う宗教法人法の改正についでご説明したいと存じます。資料4をご覧いただきたいと思います。
 本年6月29日、「会社法及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」が成立いたしまして、7月26日に公布されております。これによりまして、宗教法人法の準用規定の改正等を含む関係法律の所要の整備が行われておりますので、報告させていただきます。
 1ページ目に会社法制定の趣旨等について掲載してございます。(会社法の骨子)と書いてございますが、会社類型の整備ということで、株式会社と有限会社の両会社の類型を新たな株式会社として統合するということ、また、新たな会社類型として、合同会社を創設するということ、それから、会社制度の改正といたしまして、最低資本金制度を撤廃することなどが骨子となっております。
 2ページ目をお開きいただきたいと存じます。会社法制定に伴う宗教法人法の改正の内容でございます。こちらに掲げておりますように、改正内容といたしましては、会社法制定による非訟事件手続法や商業登記法の改正に伴う準用規定の整備、あるいは、登記所における公告規定の廃止、また、「事務所」を「事務所の所在地」、あるいは、「仮処分」を「仮処分命令」に改めるなどの用語の整理が主となるわけでございます。
 これに加えまして、3の(3)にございますように、過料に関する規定の改正もあわせて行われたわけでございます。この会社法の制定に伴いまして、整備方針を政府全体でつくったわけでございますが、その整備方針では、貨幣価値の変動等を踏まえ、下線で引いてございますように、過料の上限額が1桁万円台であり、かつ、当該規定そのものが整備の対象となるものについて、同種の規定を参考にして最低レベルを10万円に引き上げるとされております。これに基づきまして、宗教法人法につきましても、過料の金額が整備方針上の最低額である10万円以下に改められたわけでございます。
 参考までに下の※に他の公益法人等の過料の上限額を掲載させていただいておりますが、民法法人は50万円以下、医療法人、社会福祉法人、学校法人、更生保護法人は20万円以下となっております。
 なお、現在の宗教法人法における過料の上限額が1万円以下となっておりますのは、昭和26年の法律制定当時の一般の公益法人等の例によったものであるとされております。しかしながら、今回は他の法人が50万円、20万円と分かれたわけでございます。今回、宗教法人につきましては、最低レベルの10万円の過料上限額となったわけでございますので、結果的に他の公益法人よりも低い過料上限額となったわけでございます。
 また、詳細な宗教法人法の新旧対照表をそれ以下に添付させていただいております。
 この法律の施行は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において、政令で定める日から施行されると規定されております。まだ、その政令が出ておりませんので、いつからということは出ておりませんが、1年6月以内に政令で定めた日から施行されることになるわけでございます。
 引き続きまして、宗教法人書類提出状況について説明させていただきます。資料5をお開きいただきたいと思います。
 事務所備付け書類の提出率でございますが、文部科学大臣所轄は97.8パーセント、都道府県知事所轄は95.3パーセントと、前年同様高水準を維持しております。書類提出制度が導入されてから10年が経過したこともあり、相当程度定着した感もございますが、引き続き制度の適正な執行に努めてまいりたいと存じます。
 続きまして、情報公開に対する対応状況についてご説明申し上げます。資料6をお開きいただきたいと存じます。
 表1の1にございますように、文化庁では、宗教法人法第25条4項に基づいて提出される書類は、一般的に公にされていないものであり、また、公にすると憲法で保障された信教の自由に基づく当該法人の権利を害する恐れがあるということから、登記事項等の公知の事実を除き、不開示として取り扱っております。
 表2は文部科学省・文化庁全体の開示請求件数、表3は不服申立て件数を示しているものでございます。
 2ページ目をご覧いただきたいと思います。先ほど申しましたように、文化庁では宗教法人法第25条第4項に基づく提出書類につきましては不開示として取り扱っており、各都道府県に対しましても、昨年2月19日付けで発出いたしました「宗教法人法に係る都道府県の法定受託事務に係る処理基準について」におきまして、提出書類については不開示として取り扱うよう通知しております。
 これに対しまして、鳥取県が平成15年11月以降、独自の判断基準に基づいて提出書類を一部開示しております。
 このような状況において、昨年11月、鳥取県から構造改革特区に係る第6次提案募集におきまして、宗教法人が所轄庁に提出する書類の簡素化特区が提案されております。これにつきまして、文化庁と鳥取県が何度かやりとりをしたわけでございますが、文化庁といたしましては、<文化庁の意見>ということで4点掲げております。
 1つ目は、書類提出制度は所轄庁が現行法上期待されている責任を適正に果たし、宗教法人制度の適正な運用を図るために設けられたものであること、2つ目は、所轄庁変更等を考えると、全国統一的に扱う必要があること、3つ目は、宗教法人が提供する書類は必要最小限であること、4つ目は、提出書類は、事務所備付けの書類の写しであるため、宗教法人の負担軽減にはならないこと、などを勘案いたしまして、本年2月、特区としては対応不可ということで結論づけられたところでございます。
 以上、3点につきまして説明させていただきました。

○ ありがとうございました。
 資料4から資料6までの説明をしていただきました。
 まず、資料4、過料の引き上げの問題でございますが、これは宗教法人だけの問題ではなくて、過料全体についての見直しの一環というご説明でございました。資料4の2ページに、他の公益法人等との比較がございまして、民法法人についてはかなり重い過料になっておりますけれども、医療法人、ここにはNPO法人も入るんですね、20万円のところに。

○ 宗務課長
 そうですね。

○ 社会福祉法人等が書いてございますが、NPO法人もここに含まれます。それらについても20万円以下と。それに比して宗教法人については10万円ということでございまして、これは法の改正の説明ということになります。
 この点についてはよろしゅうございますか。
 それでは、資料5、宗教法人書類の提出状況でございまして、総数、あるいは、提出率。提出率をごらんいただきますと、ほとんど変わっておりません。現実はこういうことでございまして、できるだけ適正な執行を行っていただきたいということは、全員の総意であろうかと思います。
 これについては特によろしいですね。
 最後に、資料6、情報公開の対応状況でございます。1ページ目は従来の対応状況でございますけれども、2ページの問題は扱い方によっては深刻な問題になり得るところでございまして、今、ご説明ありましたように鳥取県の従来の立場と、文化庁、宗教法人法の適正な執行という観点からいきますと、問題があるということで、いろいろなやりとりをやってこられたところでございます。それを背景にして特区申請が出たけれども、それは認められないというのが、今のご説明であったように思います。
 この点、何かございますか。

○ 鳥取県のことにつきまして、2つばかり教えていただければと思いまして質問をいたします。
 1つは、鳥取県のある宗教法人が、鳥取県知事を相手にして処分が無効だというのか、具体的にはよくわかりませんけれども、訴訟を起こされているようでございます。私も基本的には文化庁のご意見に賛成するものでございますので、この訴訟で宗教法人の方が負けることになると、宗務行政に与える影響も大きくなるのではないかと思っているわけで、どういう状況なのか宗務課で把握しておられるのかどうかということが第1点でございます。
 2点目は、鳥取県との問題は、情報公開条例の不開示情報にあたるかどうかという問題のほかに、宗教法人法25条の4項は法定受託事務になっておりますので、これはこれでいいんですが、5項で「4項の規定によって提出された書類を取り扱う場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。」という規定がございます。
 これに似たようなというか、全く同じような留意規定が他にも2、3件あると思いますけれども、これが宗教法人法87条の2によって、地方分権一括法の改正のときに、法定受託事務にされていないということから混乱が起きると。混乱が起きるというか、鳥取県の言い分は「25条の4項は法定受託事務に入っているけれども、5項は入っていないではないか。だから文化庁長官の指示を受けるいわれはないんだ」というように言っているわけですが、87条の2が加えられたときにどうして法定受託事務に入れられなかったのか、理由を教えていただきたいと思います。
 以上です。

○ 今、2点ほどご質問がありましたが、事務局からお答え願いましょう。

○ 宗務課長
 鳥取県におきます宗教法人の情報公開に伴う訴訟につきましてご報告させていただきたいと存じます。
 鳥取県所轄の宗教法人が平成17年5月19日付けで鳥取県を相手に公文書開示決定処分に対する取消請求訴訟を鳥取地方裁判所に提起したということは承知しております。私どもも詳細は承知していないところでございますが、7月19日に第1回期日があり、9月13日に再度期日があるということは存じております。裁判所には宗教法人法の趣旨にのっとり適切に判断していただければと考えております。
 2点目は、宗教法人法の第25条第5項のお尋ねでございますが、宗教法人法第25条第5項は留意規定とされております。したがって、法定受託事務と規定されなかったわけでございます。しかしながら、先ほどもございましたように、私どもとしましては、法定受託事務を行っていただくために、通知等におきまして、各都道府県においては信教の自由を侵さないためにも、公知の事項を除き、原則として不開示とするよう求めているところでございます。

○ 以上のとおりですが、よろしゅうございますか。
 25条5項の問題は、行政法学専攻の委員もいらっしゃいますけれども、おっしゃったとおり、特定の行為規範を定めたものではなくて、留意規定ということでございますので、それ自体としては87条の2に出てくるような筋合いのものではないという理解で制定されたんだと思います。
 しかし、その点での解釈問題と言いますか、見解の相違が生じているということは甚だ遺憾なことでございまして、今、課長が言われたとおり文化庁全体の姿勢としては、ここに書いてあるような意見のとおりで、私自身もそういうふうな考え方をとっておりますので、成り行きを注目したいと思っております。よろしいですか。

○ 行政の行為規範でないから入れなかったということになるのですか。

○ 結論的に言うとそうだと思います。特定の対応を義務づけるものではない。要するに留意規定なものですから、それが事務になるということはあり得ないわけですよね。

○ わかりました。4項の方が提出しなければならないと、これは宗教法人の側が提出しなければならないと。この4項が法定受託事務になるという立法上の形式になっておりますので、提出を受ける側の行為が法定受託事務になると、そういうことになるんでしょうね。提出する側の行為が法定受託事務ということはあり得ませんから。そうすると、受け取ってから、この書類を適切に管理するというところまで法定受託事務になると私は思うんですけれども、そういうふうに考えれば、管理の中には情報公開法による開示をするかどうかも含むと思われますので、法定受託事務になるのが普通の解釈だと思うんですが、鳥取県は受け取った以降は法定受託事務とは関係ないんだと、独自の事務だという解釈だろうと思うんですね。こういう解釈の違いが出てくるというのは残念なような気もいたします。

○ 事務については4項でそれに対応する行政側の事務があって、それが受託事務になるという理解だと思いますので、なぜ5項をそれが入っていないことをもっていろいろおっしゃるのかよくわからないところがあります。

○ 宗務課長
 先ほど申しましたような形で、法定受託事務ではないけれども、4項の法定受託事務の処理と、5項の設けられた趣旨から言いますと、密接不可分のところがあると考えられます。したがって、私どもが処理基準で定めることができるものと考えております。
 したがって、処理基準で宗教法人の信教の自由ということから、不開示とすべきであるということで通知をさせていただいたわけでございますので、全国的にぜひそういう形で行っていただければと考えております。

○ 今の点、よろしゅうございますか。
 それでは、資料4ないし資料6についてのご報告に対する質疑応答をこれで終えたということにいたしたいと思います。
 そのほかにご質問等はございませんでしょうか。
 特にご質問等がなければ、本日の議事につきましては以上で閉じたいと思います。
 最後に、全体を通して、資料1からずうっとありましたけれども、再度のご質疑等ございましたら、お願いしたいと思います。

○ 少しだけ。公益法人制度改革の問題が議論されておりまして、ここにも少しばかり紹介されておりますけれども、あわせて非営利法人の税制についても議論があって、宗教法人に対する影響はどのようなものにどうなっているのかという点を質問させていただきたいんです。

○ その点につきましては、私も関心を持って見ているところでございますが、不正確な情報で混乱を与えてはいけませんので、今までの知る限りのところをお話願えますか。

○ 宗務課長
 ご報告させていただきます。現在、財団法人と社団法人、中間法人を対象とする公益法人制度改革が進められているわけでございます。それと並行いたしまして、政府税制調査会において非営利法人の税制に関する検討が進められております。6月には「新たな非営利法人に関する課税及び寄附金税制についての基本的な考え方」という報告書が発表されたわけでございます。この報告書の中で、公益法人制度改革において新たに創設される非営利法人に対する課税のあり方が示されているわけでございますが、これとあわせまして、公益法人等に共通する横断的な課題が幾つか示されたわけでございます。
 主に3点ございまして、1つ目は収益事業の範囲、2つ目は軽減税率及びみなし寄附金制度について、3つ目が利子配当等の金融資産収益に対する課税のあり方についてというものでございます。この3点につきまして、公益法人等に共通する横断的な課題として再検討する必要があると報告書に掲載されております。これにつきましては、現在、政府税調の報告書という段階でございまして、税務当局あるいは与党税調等においてさらなる検討を深めていかれるものと承知しております。文化庁といたしましても、これらの動向につきましては十分注視していく必要があると考えております。

○ 以上のとおりでありまして、6月17日でしたか、政府税調のワーキンググループの報告は。インターネットで既に出ておりまして、20ページから30ページ程度だったと思いますが、私もそれはコピーして持っております。とりあえずは非営利法人制度、宗教法人制度に限ったことではなくて、全般をどうするかという枠組みの話が具体的にどういうふうにこちらに影響してくるかというのは、今のところ全くわからない状態です。ただ、全く影響がないかというと、そういうこともないようなので、おっしゃったように十分注視していかなければいけないという部分だろうと思います。

3.閉会

○ 以上ですが、よろしいですか。ほかにございませんでしょうか。
 なければ、本日はこれにて閉会としたいと思います。どうもお疲れさまでございました。

お問合せ先

文化庁文化部宗務課宗教法人室

(文化庁文化部宗務課宗教法人室)

-- 登録:平成21年以前 --