国立研究開発法人審議会(第26回) 議事録

1.日時

令和5年5月17日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階3F2特別会議室(対面参加の場合)及び Web会議形式(オンライン参加の場合)で開催

3.議題

  1. 会長及び会長代理の選出について【非公開】
  2. 第5期の審議の進め方について
  3. 今後の主務大臣評価において留意すべき事項等について
  4. 事例の紹介
  5. 意見交換

4.出席者

委員

栗原会長、中川会長代理、浅見委員、有馬委員、五十嵐委員、伊地知委員、江川委員、折茂委員、古城委員、髙橋委員、ベントン委員、山口委員

文部科学省

柳事務次官、増子文部科学審議官、清浦大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、山下科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官、藤井研究振興局基礎・基盤研究課融合領域研究推進官、髙橋科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、西山科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)付補佐

5.議事録

【栗原会長】  それでは、第5期国立研究開発法人審議会の開催に当たり、文科省から御挨拶をいただきます。柳事務次官、どうぞよろしくお願いいたします。
【柳事務次官】  文部科学事務次官の柳でございます。文部科学省国立研究開発法人審議会総会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
 本日は、第5期国立研究開発法人審議会の初回でございます。委員の皆様方におかれましては、本審議会の委員に御就任いただきましたこと、心より御礼申し上げます。そして、ただいま委員の皆様方から御選出いただきました栗原会長、中川会長代理におかれましては、今後の御審議、どうかよろしくお願い申し上げます。
 本審議会は、独立行政法人の制度改革における評価制度の見直しを受けまして、文部科学大臣が専門的見地からの御助言をいただくために設置されたものでございます。これまで4期8年にわたり調査審議が行われてきたところです。この第5期は、本審議会が対象としている8つの研究開発法人の中長期目標がおおむね一巡する節目の年であり、国立研究開発法人の評価制度の振り返りの時期となっております。今、世界は大きく変動しており、国立研究開発法人を取り巻く環境も変化しております。AIは一層進展し、社会全体としてデジタルトランスフォーメーションの推進が求められています。
 振り返りますと、令和2年に25年ぶりとなる科学技術基本法の本格改正が行われ、イノベーションの創出が加えられました。この基本法の下で、令和3年度より、第6期科学技術・イノベーション基本計画がスタートし、Society5.0の実現に向けた科学技術・イノベーション政策を推進しております。この基本計画では、総合知という概念が提示され、そして社会実装の重要性も強く打ち出しております。科学技術・イノベーションは国力の源泉、そして成長の原動力であります。
 国際環境が厳しさを増す中、我が国もこれまで以上に技術力を高めていく必要があり、我が国の研究力の強化が喫緊の課題となっております。我が国の未来を支える先端科学技術やスタートアップ創出に貢献する研究開発が重要であり、そうした研究開発を先導する国立研究開発法人の果たす役割、これがますます大きくなってきていると思っております。
 本審議会では、国立研究開発法人が社会の中で、その期待される責務を果たしていくことができるよう、各界を代表する委員の皆様方から忌憚のない御意見をいただきますとともに、科学技術立国の実現に向け、ますますの御支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、栗原会長、中川会長代理をはじめ、御就任いただいた委員の皆様方に改めて感謝を申し上げ、開会の挨拶とさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。我々一同、気持ちを新たにし、また尽力できるように努めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【柳事務次官】  よろしくお願いいたします。
【栗原会長】  それでは、私からも一言御挨拶申し上げたいと思います。今、会長に推薦いただきました栗原です。今も柳次官からのお話もありましたように、研究開発法人、9年目を迎えるということで、この間、法人のミッションや研究成果最大化について、それぞれの法人が運営に努力されて、すばらしい活動、充実した活動がますます多くなってきているというふうに拝見しております。
 この審議会は、評価を通じて、そういう良い活動を応援したいという立場でずっと議論してきたと思っております。そのために、評価の基本となる考え方とか、多様な見方や評価の上での課題など、1期のときからまとめて次の期に申し送ることをしてまいりまして、今日もこれから髙橋さんから御紹介いただけると思っております。今期でも、世の中の変化等に従って、変わるところや対応することも必要でしょうし、議論としてもまだまだ深めるべきところもあると思いますので、そのような議論を深め、それを評価に反映したいと思っております。
 また、評価には、現場からの報告や説明が不可欠ですので、法人の皆様や事務局の担当の皆様、お手間で大変だと思うのですが、良い形で報告や説明をしていただけるようにお願いいたしたいと思います。
 最後ですけれども、ここでの委員の皆様の幅広い知見や経験に基づく意見交換というのは、やはりこの審議会の基本ですので、今期もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは次に、中川会長代理からも御挨拶いただければと思います。よろしくお願いします。
【中川会長代理】  中川でございます。今、柳次官のお話もありましたけども、評価というものにここまで携わることになって分かってきたことですが、研究というのは、お一人だけではなくて、いろいろな人でやらなければいけないことです。でも、必ずしも皆さん一緒にやるのがお上手な方だけではないということがよく分かってきました。そういう中で、どうやって大きな方向を見ていくのかというときに、評価軸であったり、モニタリング指標であったり、そういうことを生み出していく、それによって最大化が導かれていく方向になるのかな、総合知が導かれているのかなというふうに思っております。そういうものを皆さんと一緒に探していければと思っています。
 また、もう一つ、研究ということは、分かったことが大事ではなくて、分からないことが見えてくることも大事です。そういうことが社会と共有され、分からないから、研究や開発が必要で、お金も必要で、人もいるということを社会に分かっていただく。そのためには、分かったことを伝えるアウトリーチのような考え方ではなくて、研究そのものがいかに必要で、それが人類を豊かにし、未来を見ていけるということになると思いますので、そういうことにも貢献できるような議論ができればと思っています。よろしくお願いいたします。
【栗原会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題2に移ります。
 議題2は、第5期の審議の進め方についてです。
 まず、資料2-1から資料2-8について、事務局より説明をお願いいたします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局の科学技術・学術戦略官付の西山でございます。私から、資料2-1から2-8に基づきまして、第5期の審議の進め方について御説明をさせていただきます。
 まず、運営に関する規定類について御説明します。
 資料の2-1でございますが、文部科学省国立研究開発法人審議会令でということで、本審議会の設置法令になってございます。
 1点御紹介いたします。第6条を御覧いただければと思いますけれども、本審議会の議事につきましては、委員及び議事に関係のある臨時委員で会議に出席した方のうち過半数で決するということになっておりまして、もし可否が同数のときには会長に御決定いただくということとなってございます。
 次に、資料2-2を御覧ください。
 文部科学省国立研究開発法人審議会運営規則でございます。審議会令第9条の規定に基づき、本審議会の運営について定められたものとなってございます。
 3点御紹介いたします。1点目、書面による議決が可能であるということになってございます。第3条のところでございます。2点目、第4条のところでございますが、議決権の特例につきまして、審議の対象となる国立研究開発法人の役職員、そして審議の対象となる国立研究開発法人に利害関係を有する先生方につきましては、法人の評価に係る意見の全部又は一部についての議決権を有しないということとなってございます。3点目でございますが、会議の公開について、第7条のところでございます。本審議会の会議は原則として公開で行うということになってございます。ただし、人事に係る案件、そして評価に係る案件につきましては非公開とすることができるというふうになってございます。
 続きまして、資料2-3を御覧ください。
 先ほど御説明しました議決権の特例について定めたものとなっております。運営規則にございました、利害関係を有する者につきまして、この各号、第1号から第4号までに定められているものでございまして、少し読み上げますと、法人運営又は事業運営に関する企画及び立案並びに評価に関する会議等に出席し、謝金を受けている者、そして2号目ですけれども、法人が実施する講演等に講師等として出席し、継続的に報酬を受けている者、所属機関の常勤の役員であり、当該所属機関に対して当該国立研究開発法人から金銭提供がある者、自ら研究申請者となって当該国立研究開発法人から研究費の配分を受けている者につきましては、利害関係を有する者と定められているというものでございます。
 次に、資料の2-4を御覧ください。
 こちらは公開に関する規則となってございます。第3条から第5条のところを御覧いただければと思いますけれども、本会議の資料、議事録、そして議事要旨につきましては、公表することとなっております。ただし、会議を非公開とすることとされた案件に係るものにつきましては、資料を非公表とすることができます。また、会長が必要と認めるときには、この審議会に諮った上で、議事録の一部又は全部を非公表とすることができるという旨が定めてございます。
 次に、資料の2-5を御覧ください。
 本審議会が対象とするのが8つの国立研究開発法人でございますけれども、それに係る部会を設置しているものになってございます。8つの法人の概要につきましては、資料の2-6にまとめてございますので、ぜひ御参照いただければと思います。
 規定類につきましては、以上でございます。
 続きまして、資料2-7に基づきまして、制度の概要について御説明をいたします。
 まず、1ページ目を御覧ください。
 国立研究開発法人は、独立行政法人の中の1つとなってございますけれども、この独立行政法人、平成13年1月の中央省庁改革の一環といたしまして、それまで国の実施部門で行われておりました公共上確実に実施されることが必要な事務・事業のうち、国が直接実施する必要はないが、民間の主体に委ねると実施されないおそれがあるものにつきましては、効果的かつ効率的に実施するということを目的といたしまして、この独立行政法人として設立されたということになってございます。
 その後、独立行政法人通則法の一部改正が行われまして、平成27年4月からは、この独立行政法人は3つに分類されております。そのうち、研究開発に係る事務・事業を主要業務とする独立行政法人は、研究開発の長期性、不確実性、予見不可能性、専門性等の特性から、ほかの独立行政法人とは異なる取扱いの必要性が認識されまして、新たに国立研究開発法人と位置づけられることとなってございます。この国立研究開発法人は、研究開発成果の最大化を目的とする法人ということでありまして、この研究開発の特性を踏まえまして、独立行政法人とは異なる法制上の措置が与えられているというところでございます。
 2ページ目を御覧ください。
 この審議会の概要について記載がございます。右下のほうの図を見ていただければと思いますけれども、目標・評価のサイクルを記載してございます。中長期目標を策定し、中長期計画を認可し、それに基づき業務実績を評価する。そして、右上ですけども、組織業務全般の見直しを行うこととなってございまして、主務大臣の下でPDCAサイクルを十分に機能させる仕組みとなってございます。
 資料の3ページでございますけれども、第5期の主な審議事項と書かれておりますが、よろしければ、4ページの表を御覧いただきながら、この第5期で委員の皆様に御審議いただく事項について御説明をさせていただければと思っております。
 4ページ目、御覧いただければと思います。
 こちらの図は、各法人の中長期目標の期間について記載してございます。R5、R6のところを御覧ください。令和5年度、令和6年度でございますけれども、これが第5期の審議会の期間とほぼ重なっているというものとなってございます。令和5年度のところ、緑色になってございますが、これが期間実績評価の予定がある法人となってございまして、物質・材料研究機構、そして防災科学技術研究所、量子科学技術研究開発機構、この3法人が予定されてございます。また、令和6年度のところ、ピンク色のセルとなってございますけれども、これが、見込評価及び中目・中計の見直しが予定されている法人となってございまして、理化学研究所、そして宇宙航空研究開発機構、この2法人が予定されてございます。これに加えまして、8つの全ての法人につきまして、毎年度の年度評価を御審議いただくということになってございます。
 続きまして、次の5ページ目、6ページ目を御覧ください。
 これは、今後の本審議会での御議論いただくスケジュールのイメージ図でございまして、今申し上げた法人ごとのスケジュールを図示したものとなってございます。
 続きまして、7ページ目に移らせていただきます。
 審議の進め方のイメージを記載しておりまして、業務の実績評価の進め方でございますけれども、部会のほうで法人からの自己評価書等についてヒアリング、そして評価案を御審議いただきまして、部会としての御意見を取りまとめていただきます。それを、各部会からこの審議会の総会に報告していただいて御意見を決定していただく、決定していただいた御意見を踏まえまして、文部科学大臣としての決定をするということとなっております。
 8ページ目につきましては、事務・業務の見直し、そして中長期目標の策定の流れでございます。文部科学省による原案を作成させていただきまして、それを部会で御審議いただいて意見を取りまとめていただく、そして、その各部会から意見について審議会総会で御説明をいただきまして、審議会としての意見を決定していただく、その意見を踏まえまして、文部科学大臣において最終的に決定をするという流れとなってございます。
 次に、9ページ目を御覧ください。
 こちら、参考として添付しておるものでございますけれども、総務省の独立行政法人評価制度委員会における見直し対象法人に係る審議のスケジュールが書いてございます。理化学研究所とJAXAの2法人につきましては、来年度に見直し対象法人となりますので、総務省の独立行政法人評価制度委員会と様々コミュニケーションを取っていただくスケジュールとなってございます。
 それから、10ページ目を御覧ください。
 文部科学省が所管します国立研究開発法人の評価の基準について記載してございます。評価の基準につきましては、S、A、B、C、Dの5段階評価の評定区分となってございます。この下の図を見ていただければと思いますけれども、Bが基本的に標準となってございますので、あらかじめ設定をした中長期目標、計画に基づきまして、計画どおり進んだものは、着実な業務運営がなされているものとしてB評価をつけていただく。そして、それに照らしまして、それを上回ったものの中で研究開発成果の最大化に向けて顕著な成果の創出や将来的な成果の創出の期待等が認められる場合にはA評価をつけていただきまして、特に顕著な成果の創出や将来的な特別な成果の創出の期待等が認められる場合にはS評価をつけていただく。また、より一層の工夫や改善等が期待される場合にはC評価をつけていただきまして、抜本的な見直しを含め特段の工夫改善等も求められる場合にはD評価をつけていただくという基準となってございます。
 次のページでございますけども、11ページ目と12ページ目は、過去に、この審議会でも御審議をいただきまして決定をいたしました評価の例、どのようなものをS、A、Bとつけているかということの御参考としていただくために、少し昔のものと、ごく最近のものの2種類をつけさせていただいておりますので、ぜひ御参考としていただければと思います。
 それでは、13ページ目、14ページ目に移ります。
 13ページ目でございますけれども、平成31年に総務大臣が決定しました評価指針、これが新しく平成31年に改定されてございます。これは、既にもう皆様の評価に適用されているものでございますけれども、一部は、新しい目標がつくられてから適用されるというところについて記載させていただいております。
 具体的には下線のところですけども、困難度というものが導入されるということでございまして、もし困難度が高いというふうに指定されたものにつきましては、目標どおり行った場合に、B評価ではなくてA以上の評価をつけることができるという旨が定められております。また、これは実態に即した評価としていただくために、もう一つ下のほうの下線でございますけれども、目標を策定する時点で達成が困難ということが分からなかったけれども、評価をする段階になっても、これは非常に困難だということが分かった場合には、同じく困難度が高いというような形で評価をしていただくことができる。一方で、目標を策定するときには困難度が高いと思っていたけれども、評価をする段階になったらそうでもなかったということが分かった場合には、困難度が高くない場合と同等の評定をするということで調整をしていただくという旨が定められてございます。
 14ページ目でございます。今ほどの困難度につきまして、先ほども申し上げたように、下線のところですけれども、指針の改定後に直近の新目標期間の開始時から適用するということでございますので、昨年度から新目標が始まっておりますJSTとJAEAの2法人につきましては、皆様に御審議いただく今年度の年度評価から、この困難度を導入した御審議をいただくということとなってございます。つまり、今年度の年度評価につきましては、困難度を導入するところと導入しない法人というのが分かれるわけです。これは、この一番下のポツのところでございますけれども、同一の目標期間中に異なる基準による評定が混在することによる支障・不都合を避けるためということでございまして、1つの法人の同じ中長期目標期間で違う評定が混在しないように配慮されたという考え方になってございます。
 最後になりますけれども、資料の2-8を御覧ください。
 部会からの報告用フォーマットとなってございまして、これから各法人の評価の御審議を各部会でいただきますけれども、各部会からは、本審議会に、このような形のフォーマットで、これを御記載いただきまして提出していただいて御報告をいただくというふうに考えてございます。
 特に2ポツのその他のところを御覧いただければと思いますけれども、各部会で議論を行っていただいて、ほかの国立研究開発法人に共通するような評価に関する御意見が出た場合や、ほかの法人についても横展開できるような議論が出た場合、こちらにつきましては、ここの2ポツのところに記載をしていただきまして、ぜひ積極的に審議会で議論をしていただければと思ってございます。
 私からの説明は以上でございます。
【栗原会長】  ありがとうございました。特にスケジュール、あるいは前期から議論にありました困難度というのを、いつからどう評価に入れるかというところを大変クリアに御説明いただいて、御礼申し上げます。
 今の点について、何か御質問あればお願いします。
【伊地知委員】  1点よろしいですか。
【栗原会長】  伊地知委員、お願いします。
【伊地知委員】  ありがとうございます。幾つかの法人については、他の府・省・委員会との共管ということになっていて、そのときに、どのようにここの審議会で見る評価が関わってくるのかということと、各法人の設置法上の主務大臣ということと文部科学大臣ということの関係がどのようになっているのか。それから、その様式をどのように我々は見ればよいのかということを御教示いただければと思います。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  例えばですけれども、JAXAにつきましては、内閣府でも、同じようにいわゆるこういうような審議会、部会のような形のものがありまして、そこで御審議をいただくとともに、こちらでも御審議をいただくということで、その評定のすり合わせを行うと。具体的には、行っていただいて、最終的に1つの法人としての評定を行うわけですけれども、そのすり合わせは、もちろん一緒に部会を開くわけではございませんので、各部会で御審議をいただいたものを事務局のほうでつないで、こちらではこういう審議が行われたと、こちらではこういう審議が行われたと。最終的に、どういう形で1つの評定にまとめるかというところを事務局のほうでつないで、最終的にAならA、BならB、SならSというような形で決定をいただくというような形になってございまして、その過程で、それぞれの評定が決まった段階で、そのすり合わせが決まった段階で、それぞれの省庁において、それぞれの主務大臣にこういう評定になっておりますということで、そのまま御了解いただければ、すり合わせた評定が最終評定になりますし、もしそこで何かあれば、それはまた部会に戻して、その部会でまた御議論いただいてというような形で御決定いただくという流れになってございます。
【伊地知委員】  ありがとうございました。
【栗原会長】  ありがとうございました。ほかにございますか。
 今、資料の2-8に評価の報告のフォーマットで、その他のところ、部会でもいろいろ議論ありましたら、ぜひこの審議会に横展開するためにこのフォーマットに記載いただければと思いますので、それぞれ委員の皆さん、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、資料2-9について、事務局で御説明をお願いいたします。
【髙橋科学技術・学術戦略官】  続きまして、資料の2-9、第4期文部科学省国立研究開発法人審議会、各法人の評価等を踏まえた指摘事項について、御説明を申し上げたいと思います。
 先ほど会長からもございましたとおり、本審議会で評価の基本となる考え方について御審議をいただき、それを次の期に申し送っていくというお話ございましたけれども、その申し送り事項がまさにこの資料の2-9ということになります。第4期前期から第5期今期への申し送り事項ということになります。
 それなりに量がございますので、私からは、1ページの最初の3つのパラグラフが、これがこのペーパーの意義、こういったものを申し送っていくことの意義ということになりますので、ここを読み上げさせていただいた上で、個別の指摘事項につきましては、下線部を中心に御報告をさせていただければと思っております。
 まず、資料の2-9の1ページ、御覧いただきたいと思います。
 指摘事項についてということで、申し送り事項ということでございます。読み上げさせていただきます。
 文部科学省国立研究開発法人審議会は、国立研究開発法人制度が発足した平成27年に設置されて以来、各部会での議論を通じ、国立研究開発法人の業務の実績に関する評価を行ってきた。「研究開発成果の最大化」という新たな共通目的の下、個別の法人評価にとどまらず、評価のあり方や指標、観点について、第1期より部会並びに審議会で意見交換し、メモとして次期に引き継いできた。本まとめは、第4期において示された、法人の評価や法人運営についての意見を整理し、最終の審議会総会の会において意見交換、確認をしたものでございます。
 当審議会では個別法人の評価にとどまらず、「目標の策定、評価に関して密接不可分な事項(制度運用に関するものなど)についても検討する」とされており、このまとめはそれに資するものでございます。このまとめは、今後、最も基礎になる各法人における自己評価を行う際の視点を提供するとともに、各部会における主務大臣評価の効率的・効果的な審議に役立てられることが期待されるものでございます。
 なお、本まとめにつきましては、いろいろ様々な御議論の結果を反映した内容となっておりますので、部分的には少し矛盾するような表現もございますので、そこを御留意いただければと思います。
 それでは、次、具体的な評価、指摘事項ということでございます。
 まず、(1)法人の評価に関する事項ということでございます。1ページの一番下の丸になりますが、下線部を中心に御報告いたします。
 評価軸について、その法人のミッションに相応しい評価軸、モニタリング指標を、ぜひ自分たちで考えてほしい。評価・成果をしっかりキャッチアップし、分からないことを研究する意義や、研究者に役立つベーシックな観測・調査・研究を国立研究開発法人がする意義を社会に共有することが大切だと考える。
 2ページでございます。一番上の丸でございますが、法人はアウトカム評価を少し高く評価しがちがあるから、できるだけ第三者の見解や根拠となる合理的なエビデンスがあることが望ましい。
 それから4つ目の丸に飛びますが、本審議会では、ミッションを超えて非常にすばらしい成果が出たらミッションを超えた大きな活動ということで評価をしてきた。一般的な観点からその法人の活動が非常にすばらしければ、杓子定規になるのではなく、大きな議論とか社会に対する貢献といった観点を踏まえてなるべくポジティブに法人の努力が正当に評価されることが大事である。
 5つ目の丸でございますが、「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的な考え方」におきまして、「長期性・不確実性等といった研究開発の特性にも留意しつつ、調査審議を行う」とされております。今後は達成度に加えまして、その先の計画や展望あるいは課題を将来に向けてどう取り組んでいくかという観点も評価の中に取り込んで法人評価を行っていくことになるのではないかという御指摘でございます。
 次の丸でございます。重要なのはサイテーション。実績として、世界のほかの研究機関と肩を並べるような形で、サイテーションのトップ1%論文などが多数出ているということは、世界でも研究は新しい領域を開いているという指標になるという御指摘です。
 次の丸でございますが、総務省では国全体の研究開発成果の最大化を意識した調査審議を行うという方向がある。他省庁の法人との連携など、省庁を超えた包括的取組を今後の評価に生かしたいというものでございます。
 次、3ページでございますが、一番上になりますが、理事長との対話等の地道な努力が、理事長にも現場の人々にもあるべき。理事長のマネジメント、リーダーシップのためにも、現場の経営力、企画力、戦略的能力も評価したい。人材育成についても、関連分野の研究者の育成などへの貢献が列挙される傾向があるが、組織内の人々の育成、特に研究運営の能力の向上、リーダー養成、次世代養成などについても言及していただきたい。
 次の丸ですが、フェーズに応じて評価の仕方を見直し、時間の進展や進捗に応じて評価軸を見直すと、整合が取れる評価になるのではないかという御指摘。
 次の丸でございますが、年度評価を毎年の通信簿をつけるような姿勢でやるのは良くないのではないか。見込評価において期間実績評価につながるような深い議論するための準備やパーツとして考えられないかというものです。
 続きまして、年度評価と見込評価等との関係についてという大きな固まりになりまして、最終年度の評価を重視する考え方についての御指摘がしばらく続きます。
 3ページの下から3つ目の丸でございますが、中長期の後半になって極めて顕著な成果が出ていれば、見込評価時や最終年度の成果が中長期目標期間の評価になってもいいのではないか。単純に7年間の平均値で見られると、研究開発法人の性格や研究の特質上困る。各法人共通のベースとしてこのような議論を持つようにすることが大事である。
 次の丸ですが、最終年度がSでほかの年度がAやBの場合に、平均で見るとSはないと評価されてしまうのは変ではないか。到達レベルがすばらしいから中長期期間をSと評価するということがあってもよい。
 次の丸ですが、研究評価はAを積み重ねてもそれがSということにはならず、少なくとも最終年度はSでなければおかしいのではないかという意見が出た。また、研究成果は平均で見るのではなく、長期の研究の評価をやっているのだから、最後にすばらしい成果になったら、研究の評価としては最後の評価でいいのではないかという議論があったというものでございます。
 続きまして、4ページでございますが、一番上の丸です。年度評価や成果が期待できる体制の構築状況を勘案するという考え方が示されたというものでございます。下線部を基本的に読み上げてまいります。
 年度評価は、年度内の達成を評価する。最終年度の年度評価がSではなくても、今後十分成果が期待できる体制が整っているということが見込評価をSとする十分な理由となるのではないか。
 次に、上から3つ目の丸ですが、評価項目別の考え方ということでございます。研究開発項目及びプロジェクト項目の場合、中長期目標期間評価をSとするのは以下のようなケースがあり得るのではないかということでございます。3つポツがありまして、1つ目が、中長期目標期間の中で、複数年度においてS評価を達成している場合。2つ目のポツ、期間中1度のS評価であるが、前人未到の成果で、且つ従来の概念を覆し、国際的に極めて影響力の大きい成果である場合。3つ目が、期間を通じて目標到達レベル(Sレベル)に最終年度に達した場合、こういった場合が期間を通じてSと評価されるのではないかという、そういう御指摘です。
 それから次の丸でございますが、評価軸に、研究開発マネジメントについて触れられている場合として、2つ目のポツですが、マネジメントレベル向上の継続的、研究開発テーマ等の成果への影響、他機関への波及効果、複数の独立した組織の統合直後など、中長期目標期間の実績を総合的に判断し評価していくべきではないかという御意見。
 それから、4ページ、次にS評価、A評価の考え方等についてという固まりがございます。
 4ページの下から2つ目の丸でございますが、高いレベルの評価、SやAですね、そういったものを何年もの間、長期継続して達成している研究所・研究チームについては、現状レベルに満足することなく、さらなる高みを目指し、かつ、世界の競合に対しての競争優位性をさらに確実なものにしていくために、今後、評価軸の見直し・工夫による評価の明確化に取り組む必要があると考えるというものでございます。
 5ページに行きまして、丸としては一番上の丸になりますが、評価の下方硬直性につながりやすいということも意識して評価をすべきであるという御意見。
 それから2つ目の丸になりますが、SやAの評価については、基礎基盤研究と実装研究の位置づけを意識して議論すべきである。基礎基盤研究については、新しい分野や新しいパラダイムが生まれるというようなことにつながっているかについてということを評価すべきではないか。それから、実装研究の評価については、どのように企業の動きのきっかけをつくったかということがエビデンスとなるのではないかという御意見です。
 それから、上から3つ目の丸に行きますと、評価基準がある一方で、基礎基盤研究については、S評価あるいはさらにその上を目指していただきたいということで、例えば新しい領域が開かれて世界的な研究の潮流を創り出したとか、対象領域で新たな学理が構築される契機となったというような、学術的インパクトについても評価していきたい。
 次の丸ですが、Sなど高い評価を考えると、それを起死回生の場面としたようなグッドプラクティスや、未来に向けたプロアクティブな取組を評価していくべきである。
 次の丸ですが、人材や研究資源、資金は関係機関の中でどのように負担していくかについての方向性など、今後の持続可能性の担保までできている場合にS評価だと考えるということでございます。
 次が社会実装の評価ということで、社会実装評価については、1つ目として社会的価値の高さ、2つ目、その価値について確実だという客観的根拠が示されると高い評価をつけることにつながる。
 5ページの一番最後の丸ですが、社会実装を意識することは大事だけれども、国立研究開発法人としてすぐに社会実装にはつながらないが、6ページにまいりますが、長期的に重要となる研究をしっかりと見極めていくことも必要であり、双方のバランスが大事という御指摘。
 次に、外部環境の変化やリスクへの対応についてということで、法人経営の戦略は何をするかという選択をする一方で、何をやめるかという判断と対になるものであると。その判断が正しいかどうかという評価は年度評価では不可能で、中長期的なモニタリングは欠かせない。一方、新たな発見・発明から計画にはない方向に進む可能性もあって、そういった点について法人からアピールしていただきたい。
 それから次の丸ですが、外部環境の変化に対する見込みを常に考えることが重要である。
 次が、業務運営の効率化に関する評価の固まりで、丸が3つございます。
 1つ目の丸ですけれども、業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項においてA評価を付した場合があった。この評価項目において、A(あるいはS)をつけるに足る基準について、各部会では相当に議論されているものと思料する横断的な議論をしてもらいたい。研究開発と行政から必要とされる実務についての評価の在り方を議論したという点についても横断的議論に展開できればと考える。
 次の丸ですが、効率化を図るとか業務の実績が上がるような環境整える工夫がなされた場合は、積極的に評価してもいいのではないかというものでございます。
 次、7ページまいりまして、(2)法人運営に関する事項に入ります。
 研究インテグリティは、入口管理だけではなく、出口管理も重要である。国際化と研究インテグリティのバランスはどの法人とっても懸案になる。
 7ページの(2)の2つ目の丸ですが、研究インテグリティが最近注目されている背景について、研究者に理解されることが重要である。
 7ページ一番下の丸ですけれども、基礎研究から社会実装までを通じた実施を法人単体が担うのではなく、他組織・企業などとの連携、1社ではなく複数の連携構築などがあるのではないか。重要なことは、すぐ役立つものと、先があるものを組み合わせた法人ならではの発展戦略を考えることではないか。
 8ページ一番上の丸ですけれども、コンプライアンスの関係になります。今一度、各法人運営におけるガバナンス体制・内部監査体制・コンプライアンス遵守状況等の再確認及び評価を実行すべきである。ESGの観点を積極的に取り入れた持続可能な研究開発体制構築を望む。
 2つ目の丸ですが、内部統制やリスクマネジメント、情報セキュリティに関する事項は、法人間で共通することも多いと思われる。今後大きな問題が起こらないよう、事案の背景や対応策について、各法人の有益な取組について情報共有をしていただきたい。
 それから8ページの下から3つ目の丸になりますけれども、これは女性の割合の話ですね、日本の女性の管理職比率が諸外国と比べて大きく劣後している。現在、海外投資家からの影響を受け、企業では女性比率を引き上げる取組が加速しているため、大学や研究機関などもそれに注力するべきである。
 それから、次の丸ですが、女性研究者の割合が非常に少ないことについての問題意識と対策について検討をお願いしたい。アウトリーチ活動において、女子学生にサイエンス、エンジニアリングの楽しさを伝えるということは重要である。海外の研究者も含めて候補者のプールを広げれば女性研究者が増えていくのではないかということです。
 8ページから9ページです。8ページの一番下から9ページについては、総合知の関係でございます。内部であれば、各府省の枠を超えて連携することや、また、外部の研究所、企業との連携など、内外問わず広げた形での総合知を利活用してやっているかというところまで評価すべきであろう。
 また、総合知が足りない部分については、審議の中でそれぞれ文科省に対して、他の省庁、もしくは外部へさらなる連携支援要請をかけていくことを具申するような形で審議を進めていくことが必要ではないかと。それぞれの研究者たちの成長に向けまして、自ら動いていくような思考、行動を後押しするようなマネジメントが並行してなされていることも含め、評価していってはどうか。
 9ページの次の丸ですが、現在の複雑な世の中では1つの研究開発法人だけで解決できる課題は限られているので、多様な研究分野のプロジェクトの連携が重要である。
 最後になりますが、総合知は、狭い分野に集中すると新しい価値が生まれないため、他分野や外国の知識などを積極的に取り入れて、クロスボーダーのコラボレーションを促進してほしいというものでございます。
 前期からの申し送り事項ということで、主な部分を読み上げるような形で御紹介をさせていただきました。以上でございます。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。改めて見ますと、やはり随分長く、これでもコンパクトにしていただいたものなのですけれども、それぞれ部会で、ぜひ委員の皆様と共有していただきたいと思います。
 それで、今の御説明について、御意見、御質問等ありましたらお願いします。山口委員。
【山口委員】  山口でございます。非常に整理していただいて、大変見通しがよくなったと思います。これで読んでいて、こういう観点があってもよいのかなと考えた点がありまして、1つは、標準化といいますか、規格基準といいますか、要するに最近、いろいろな科学技術の中で、それを社会実装していく上で、標準化とか規格化とか、そういうところをどこがリードしていくかというところが結構重要なところで、私はこれも研究開発法人がしっかりリーダーシップを取って、国際社会の中でやっていただくことの1つだと思うのです。
 その辺が社会実装とかリスクへの対応とか、そういうところに非常に関係してくると思いまして、ただ、そういうキーワードがないと。一方、研究開発法人の中には、そういった国際的な規格基準の中でリードしているようなところもあって、そういうところをしっかり評価するという視点が必要なのだろうと思いました。それが1点目です。
 もう1点は、先ほど柳次官のお話でもありましたけど、最近AIとか、AIが倫理的にどうかという、いわゆるデュアルユースみたいな話があって、今の評価の中で明示的には扱ってはいないのではないかなと思うのですが、今後、そういう問題が非常に顕在化してくるような可能性もあって、幾つか、今のいろいろな科学技術の進歩とか、最近の国際的な懸念とか、そういうものを論点の中で皆さんから御意見を出していただいて、加えて研究開発法人評価の中でも、そういう視点についてちゃんと取り組めているかとか意識しているかという点、それをしてはどうかと思いました。
 以上、2点でございます。
【栗原会長】  ありがとうございました。御意見ということで、今後、そういうような視点も、まず、各部会からというところもあるかと思いますが、審議会、それぞれの部会の評価が終わったところで、まとめた議論等がありましたら、改めて考えていけたらと思います。
 ほかに何かございますでしょうか。よろしければ、最後に意見交換の時間が設定されておりますので、次の議題に移って、また、何かあれば、そういう機会に意見を言っていただければと思います。
 続いて、議題3に移ります。まず、今後の主務大臣評価において留意すべき事項等について、事務局より御説明をお願いいたします。
【髙橋科学技術・学術戦略官】  それでは、続きまして、資料3に基づきまして、御説明申し上げたいと思います。
 資料3につきましては、第6期科学技術イノベーション基本計画及び統合イノベーション戦略2022のうち、国立研究開発法人に関連する主な記述ということで、今後、評価を進めていくに当たって、政策文書でどういったことが国立研究開発法人に関連して記述されているかというものをまとめたペーパーでございます。基本的には御紹介をしていくという形のペーパーになっております。
 まず、1ページ目ですけれども、第6期科学技術・イノベーション基本計画、令和3年の第6期の計画につきまして、国立研究開発法人に関し、どんな記述があるかということを御紹介、抜粋したものが、1ページから並んでおります。これは参考資料の7、8、少し大部になりますが、基本計画の本文と、それから参考資料8が、その概要ということで、1枚もののポンチ絵をつけてございます。それから統合イノベーション戦略2022につきましては、参考資料の9、それから、その概要ということで、参考資料の10にポンチ絵が1枚ついているところでございます。
 それから、この中に各論的に出てくるものとして、総合知の関係については、参考資料11で、1枚ポンチ絵でまとめてあります。それから、参考資料12につきましては、研究インテグリティの確保ということで、これも各論でつけているところでございます。それらが本文になりますので、詳しくはそちらを御覧いただくことになろうかと思います。
 1ページでございますけれども、基本計画の記載ということになります。まず、国立研究開発法人に関する項目ということで、これは参考資料7の基本計画本体の66ページに記載があるものでございますけれども、国立研究開発法人の機能、財政基盤の強化ということで、このような記述がございます。
 1ページのあたりはまさに総論ですので、読み上げさせていただきます。1ページの上の固まり、最初の丸ということになります。
 「国は、国立研究開発法人がその責務を果たし、研究開発成果の最大化に向けて、効果的かつ効率的に業務運営・マネジメントを行えるよう、各法人等の意見も踏まえつつ、運用事項の改善に努める。また、国立研究開発法人が、民間企業との共同研究の推進等、財政基盤の強化に取り組めるよう必要な取組を推進する。さらに、特定国立研究開発法人は、世界最高水準の研究開発成果を創出し、イノベーションシステムを強力に駆動する中核機関としての役割を果たす」ということで、国立研究開発法人の機能、財政基盤強化について、記載がございます。
 それから次に、1ページの下半分になりますが、中長期目標に関連する記述ということで、このような記述がございます。
 「総合知を活用した未来社会像とエビデンスに基づく国家戦略の策定・推進」というところに書いてあるものでございます。この中で、下線部になりますけれども、「各研究開発法人は、それぞれのミッションや特徴を踏まえつつ、中長期目標の改定において、総合知を積極的に活用する旨、目標の中に位置づける」という記載がございます。
 続きまして、2ページでございます。ここからは、その他関連のある記載ということでございます。
 まず、(3)レジリエントで安全な社会の構築の中の具体的な取組というところで、これは参考資料7の32ページに該当するものですけれども、ここに関連する記載がございます。具体的には下線部でございますが、「研究者が有すべき研究の健全性・公正性(研究インテグリティ)の自立的確保を支援すべく、国内外の研究コミュニティとも連携し、2021年早期に、政府としての対応の方向性を定める」、これが定められたものが参考資料12の令和3年4月27日の統合イノベーション戦略推進会議の決定ということで、研究インテグリティの確保にかかる対応方針についてということでまとめられているものでございます。また、それに基づいて、文科省でチェックリストをつくったり、説明会なども法人、大学にて行っているというところでございます。
 次が、(4)ということで、2ページの下の固まりになりますけれども、価値共創型の新たな産業を創出する基盤となるイノベーション・エコシステムの形成の中の、あるべき姿とその実現に向けた方向性ということでございます。
 ここに記載がございますように、目標として、大学や研究開発法人、事業会社、地方公共団体等が密接につながり、社会課題の解決や社会変革へ挑戦するスタートアップが次々と生まれるエコシステムが形成され、新たな価値が連続的に創出されることを目標として掲げ、具体的な数値目標として、2ページの一番下ですが、大学等及び国立研究開発法人における民間企業からの共同研究の受入れなど、平成25年度までに対2018年度比で約7割の増加ということが記載をされているところでございます。
 3ページにまいりまして、基本計画の中での書きぶりですけれども、次は若手研究者が活躍できる環境の整備ということでございます。3ページの一番上です。「大学・国立研究開発法人等において競争的研究費や企業の共同研究費から、研究に携わる者の人件費の支出を行うとともに、それによって、確保された財源から、組織のマネジメントにより若手研究者の安定的なポストの創出を行うことを促進する」。「外部資金を獲得して給与水準を引き上げる仕組み」を促進していくということの記載がございます。
 それから、次の固まりになりますけれども、新たな研究システムの構築(オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進)の中のあるべき姿とその実現に向けた方向性ということで、その具体の指標として、国立研究開発法人において、2025年までにデータポリシーの策定率が100%になるようにするということ。
 それから、次の固まりになりますが、信頼性のある研究データの適切な管理・利活用促進のための環境整備ということでございます。下線部ですが、「国立研究開発法人等の研究開発を行う機関は、データポリシーの策定を行うとともに、機関リポジトリへの研究データの収載を進める」、研究データの管理・利活用に関する取組を機関等の評価体系に導入するということが記載されております。
 そして、基本計画のほうの最後につきましては、3ページの一番下ですが、エビデンスシステムの活用による政策立案機能強化と政策の実効性の確保ということでございます。
 4ページのほうにまいりまして、下線部でございますが、「エビデンスシステムを活用し、民間投資の呼び水となるような政府研究開発投資のマネジメント、国立大学・研究開発法人における高度な法人運営をはじめとする各施策、国家戦略の企画立案等のパフォーマンスの向上を図る」と記載がされております。
 4ページ、次からは統合イノベーション戦略2022ということになりますけれども、こちらにつきましては、基本計画の実行計画という位置づけでございますので、今、御紹介をした基本計画の記述を、より詳細に、具体的に記載されているものが、以下、続いております。
 以上でございます。
【栗原会長】  ありがとうございました。いろいろな活動、非常に重要なものがあるということで御説明いただきました。何か御質問、御意見等ありましたらお願いします。オンラインで出席されている方々、何かございますでしょうか。
 今回、非常に多くの資料を準備いただき、今後、評価でこういうところを参照したいというときには、いつでも参照できるような資料をいただいておりますので、活用いただければと思います。
 続いて、議題4に移ります。先ほど議題2で事務局から御説明あったように、また、この審議会でもしばしば話題になっておりましたが、法人の有益な取組の共有についてです。理化学研究所の運営に関する取組事例について、所管課より御説明をお願いいたします。
【藤井融合領域研究推進官】   基礎・基盤研究課の藤井と申します。理化学研究所の担当をしております。よろしくお願いいたします。
 本日は資料4を御説明いたしますが、先ほど資料2-9で、各法人の評価等を踏まえた指摘事項の8ページ目で、理科学研究所の研究運営システムというのが、他の法人にも役立つと思われるものとして取り上げていただいておりましたので、その中で、資料4の1ページ目にございますとおり、理研の各センターのアドバイザリーボードの取組事例と、あと、もう一つが各センター等のプラットフォームをつないで、総合的な強みを出していく、TRIPという事業について御紹介をさせていただきたいと思います。
 2ページ目を御覧いただきたいと思います。本日の御説明対象というのは、この図の中では丸4 の各センターのアドバイザリー・カウンシルの部分となりますけれども、まずは理研の全体像ということで、こちらのページで理研の全体の運営体制について御説明をさせていただこうと思います。
 まず、丸1 の理研戦略会議というのがございまして、こちらにつきましては、国内外の研究動向を踏まえた研究活動ですとか、研究運営、トップマネジメントの機能強化を目的にして、経営ですとか研究、科学技術政策などの外部有識者を含む委員で構成をされておりまして、助言とか提言をいただいている会議でございます。
 続きまして、右側、丸2 の理研科学者会議でございますが、こちらは研究所が取り組むべき研究の方向性ですとか、それに基づく戦略、課題の提案、さらに新たな研究領域の開拓ですとか融合研究の推進を目指すための独創的研究提案制度というのがありまして、その実施課題の推薦ですとか評価等を実施するために、卓越した見識のある研究管理職で構成されている会議でございます。
 続きまして、左側のセンター長会議でございますけども、こちらは役員やセンター長が集まりまして、研究所やセンターの運営についての重要事項について議論する場でございます。
 そして、本日の御説明対象の丸4 でございますが、丸4 は2つございまして、左下側というのは、各センターのアドバイザリー・カウンシルとなっておりまして、右側の丸4 については、各センターのアドバイザリー・カウンシルの結果を踏まえて、理研全体で議論する場ということでございます。こちらにつきましては、国内外の外部有識者で構成をされておりまして、国際的観点から理研の研究活動ですとか研究運営の評価、提言を行う理研独自の機関評価の取組となってございます。
  アドバイザリー・カウンシルについて、どういった提言があったかという具体的な事例を御紹介したいと思うのですけれども、3ページ目から7ページ目につきましては、今、2ページ目で御説明しました会議の概要ですので、3ページから7ページはめくっていただきまして、8ページ目を御覧いただきたいと思います。8ページ目と、次の9ページ目に具体的事例を紹介してございます。
 まず、8ページ目でございますが、上側ですけれども、若手人材育成ですとかダイバーシティーの推進について提言をいただいておりまして、これについて、若手研究者が独立した研究を推進する機会を提供するための制度を創設したり、女性の管理職の採用を促進するための取組を強化するといった対応をしてございます。下側の脳神経科学研究センターにつきましては、こちらにつきましては、研究設備の導入ですとか、そのサポート体制の整備について提言をいただいておりまして、この提言を踏まえて、それぞれ対応を行っております。
 9ページ目も同じように事例の紹介となっておりまして、研究活動ですとか、センターの運営について提言をいただいておりまして、それぞれ適宜、改善につなげているということでございます。
 アドバイザリー・カウンシルについては、以上でございまして、続きまして、もう一つの事例の紹介としまして、各センターのプラットフォームをつないで、総合的な強みを出していく、TRIPという事業について御説明をさせていただこうと思います。先に11ページを御覧いただきたいと思います。11ページですけれども、こちらは本年度から理研において開始している事業となっておりまして、量子コンピューター、スーパーコンピューターの組合せによる研究DX基盤の高度化を目指す事業でございまして、TRIPと呼んでおります。事業概要のところに記載がありますとおり、理化学研究所の最先端研究プラットフォームをつなぐために、良質なデータを蓄積、統合するとともに、量子、スパコンのハイブリッドコンピューティングの導入、数理科学の融合によって、これまでの研究DXの基盤を高度化することで、次世代の研究DXプラットフォームを構築するということになっておりまして、これによって、未来の予測制御の科学を分野の枠を超えて開拓して、社会変革のエンジンを国内・国際社会へ広く提供することを目的とした事業となっております。
 理化学研究所でございますけども、御存じのとおり、自然科学研究の総合研究所でございますので、多様な研究分野をトップレベルで推進をしてございまして、本事業の特徴としましては、多様な分野ですとか多様なセンターで蓄積された研究成果や知見を統合し、総合的な強みを出していくということを狙いとしてございます。
 実際の取組につきましては、10ページ目に戻っていただきまして、10ページ目を御覧いただきたいと思いますけれども、良質なデータを生み出して、幅広いサイエンスで利活用を促進し、広範なデータの使い方について、新しい学理を見いだしていくということになっておりまして、これらの取組を進めていくための新しいプラットフォームを創設し、そして、これらをもって、科学の計算領域を拡張する新たな技術の開発を進めるということになっております。これらによって、右下にありますとおり、未来の予測制御の科学を分野の枠を超えて開拓することを目指すといったものになってございます。
 簡単ではございますが、説明は以上となります。ありがとうございます。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。今、理研の活動について、特にマネジメントのところ、どのようにトップダウンとボトムアップがつながっていくのかとか、外部の意見をどのように聞いているのかという点を丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。
 それでは、質問、御意見ありましたらお願いします。
【五十嵐委員】  では、よろしいですか。
【栗原会長】  どうぞ。
【五十嵐委員】  どうも説明ありがとうございました。委員の五十嵐です。
 具体的な話で、最後の10ページ、11ページ目なのですけれども。これはすばらしいと思います。11ページに予算があって、令和4年度の補正で46億、今年23億。これを合計すると70億ぐらい、巨大な研究プログラムだと思います。10ページのところ、左上に、「医療分野の研究に関する小委員会」理研宮園理事プレゼン資料とありますけれども、これは、医療分野云々に限らずに、TRIPの概念というのを説明するのに、ちょうどこの資料が使えた、それでこれ引いてきたわけですね。
【藤井融合領域研究推進官】   おっしゃるとおりでございます。
【五十嵐委員】  医療もそうですし、例えば、NIMSのマテリアルズ・インフォマティクスとか、今こういったデータ連携とか、そこにスーパーコンピューター応用、量子コンピューター応用というのは様々なところでやっていると思います。その辺りの横串というのですか、理研のTRIPというプロジェクトに対するアクセスのしやすさであるとか、公開度合いとか、活用方法、それはこれからやっていくのでしょうか。
【藤井融合領域研究推進官】 御質問ありがとうございます。今、まさに体制を整備して、それでどういったものができるか、また、外部の機関とどういった連携ができるかというところも検討を始めたところでございますので、今後、評価等で御報告をさせていただくことになるかと思います。
【五十嵐委員】  そうですね。最近話題のChatGPTとか、生成AIの話とか、膨大な資料データ、インターネットデータの活用とかはビッグテックが先行しているのですけども、そちらの汎用、一般のインターネットの巨大な世界とは違って、こちらはサイエンスに特化したという感じでしょうか。
【藤井融合領域研究推進官】 こちらの事業、現時点では、一旦はサイエンスに特化した形で検討は進めさせていただいている状況でございますが、ChatGPTなどを排除するということではないかと思いますので、今後必要に応じて検討するものと考えております。
【五十嵐委員】  恐らくそちらのほうも見据えていると思うのですけども、ぜひ、そういった幅広い取組ができればいいと思っています。ありがとうございました。
【栗原会長】  ありがとうございました。理研のAIセンターでは社会課題のようなものも扱っておられるのではなかったかと思うのですけど、主には研究推進に使っていくということだと伺いました。
 ほかに何か御質問、御意見などありますでしょうか。中川委員、お願いします。
【中川会長代理】  中川です。ありがとうございました。
 私は、防災科学部会のような、割と小さい法人を見ているので、こういう大きい法人の大きい運用を見ると、どうしているのかなと思うところです。今の2ページ目の1、2、3、4という4つの運営体制の仕組みなのですが、より良くするためにいろいろなものができてきたと思うのです。どうしてこれが増えていったのかとか、それから屋上屋にならないで、より機能が効率的になるために、会議によって振り回されることなく、かつ、理事長や理事会議がより有効に機能する、そういうところのマネジメントはどうなっているのか、これができてきたプロセスの中で、コツとか気にされていることなどがあったら御紹介いただければと思います。
【藤井融合領域研究推進官】  ありがとうございます。大変申し訳ございません。経緯は必ずしも把握をしていないところがございますので、このように増えた経緯につきましては、また機会がありましたら確認をしまして、報告をさせていただけたらと思います。
 実際、資料5ページで、例えばセンター長会議がございますけれども、その中の上から2つ目に、理研研究政策リトリート2023というのを開催したと記載があり、次のページに、その内容を書いているのですが、今まさに御説明をしました、TRIPのような各センターをつないで強みを生かしていくような取組というのを、しっかりと議論するような場として機能していると認識をしておりますので、理研として、強みを生かすために必要な会議を設けてきたと認識をしております。
 十分な説明、御回答にならず、申し訳ありません。
【中川会長代理】  中川です。TRIPというようなものをうまく引き出すためにも、こういうものがあっているということだと思います。そこはある意味で、手間をかけても大事なことだと思いますし、総合知、横串みたいなところを導き出しているのかなと思いました。ありがとうございました。
【栗原会長】  それでは、浅見委員がオンライン上で手を挙げていらっしゃるとのことなので、お願いします。
【浅見委員】  浅見でございます。非常に貴重な事例紹介ありがとうございました。
 特に全体の運営のやり方については、ほかの法人でもいろいろ参考にできるところがあるのかなと思って、興味深く聞かせていただきました。
 それで、質問のほうは11ページのスライドですが、この11ページで提示していただいたところは、今後の先端の研究開発のところでは非常に重要なポイントかと思うのですけれども、データサイエンスとか、それからAIの活用ということになってくると、今までのやり方に比べて、よりオープンな活用をしていかないといけない、原理的にもそうしないとなかなか進まないという部分がある一方で、実際に運用した場合にオープン化されたAIやデータのもたらすリスクみたいなものがあって、ある程度、クローズドな考えで運用しなければいけない部分というのも当然出てくるかと思います。どこまでオープンでやっていくのかとか、あるいは、どこをクローズドにしてリスクを下げていくのかとか、その辺についての議論というのはどういう形で行われるのか、簡単に教えていただけたらと思います。
【藤井融合領域研究推進官】  ありがとうございます。理研につきましては、TRIPに限らず、機微な情報や、経済安全保障ないし、安全保障に絡むような内容について、それはそれで検討しておりまして、その部分を含めて、TRIPでは考慮して検討を進めることにはなっているのですけれども、現在、先ほど申しましたとおり、まだ実質的な中身について検討を始めたところでございますので、ここで正確なお答えができなくて大変申し訳ございませんが、今後の検討として、今の御質問も踏まえて検討するよう伝えたいと思います。
【浅見委員】  ありがとうございました。特にAIの活用が今後議論になってくると思います。例えばNIMSでもマテリアルズ・インフォマティクスやAI活用についてはいろいろ考えていて、悩ましいところが多々あると思っています。そういうところについては、いろいろな法人で共通にコミュニケーションを取りながら考えていくのも大事かと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【栗原会長】  ありがとうございました。私もマテリアルズ・インフォマティクスの活動に参加しているのですけれども、まさに言われたように、クローズ、オープンに関しては、どこでも議論しているところだと思いますので、また、そこでお互いの活動が参考になると大変良いと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、山口委員。
【山口委員】  山口です。どうもありがとうございます。
 11ページで質問をしたいのですが、プラットフォーム・オブ・プラットフォームズは非常に魅力的なコンセプトで、いろいろな法人で参考になると思うのですが、ただ、11ページのところの図を見る限りで、具体的にどういう形で融合しているのか、あるいは分野の枠を超えて行うための仕組みというのはどうなっているのかというのが見えなくて、これは、例えば、2ページに最初の運営体制というのを見ても、必ずしも明示的に分野が融合した新しいプラットフォームをつくっていくという姿は見えないのですが、具体的にTRIPというのは、どういう組織運営や、そのための枠組みを用意しておられるのか、教えていただけますか。
【藤井融合領域研究推進官】  ありがとうございます。まだ始まったばかりのところで、今後、運営の方法も変わっていくかとは思うのですが、現状におきましては、まず、TRIPの推進室というのが事務部門にございまして、そのほかに各3つのテーマに加えてユースケースというのもございまして、そこにそれぞれ責任者というのを設けて、その人を中心にいろいろな分野の理化学研究所の他のセンターの方々とどういった融合ができるかというのを検討いただいておりまして、私が主に担当しているのはAI×数理の部分でございますけども、AI×数理につきましても、かなり生命科学、脳科学、その他様々な分野のセンターの方と連携をする形で、新たな学理にも結びつくような研究というのをそれぞれ検討していただいて、そこでそれぞれのリソースも使いながら、新しいものを目指すということで、進めておりまして、まだ十分な研究が進んでいるわけではございませんので、また、追い追い御報告できたらと思っております。
【山口委員】  ありがとうございます。ざっくり言うと、情報交換とか交流を今、密にして、お互いに融合して新しいことができないかというのを議論していると、そのようなイメージで捉えればいいのでしょうか。
【藤井融合領域研究推進官】  さようでございます。
【山口委員】  ありがとうございます。
【栗原会長】  古城委員、お願いします。
【古城委員】   今の山口委員の御質問にも関連するのですが、そうすると、TRIPという試みというのは、理研の中で各センターがばらばらなのを、まずはまとめてデータの交換などを密にしていきましょうと。それが、まず最初の試みということですね。そうすると、その後で国内外の大学や研究機関に広げていくということなのですけれども、例えば、ほかの国立開発法人が、これを参考にすると、それぞれでこういうことをしましょうということなのか、それとも理研がどんどん広げてくださるので、一緒にデータの共有などに拡張していきましょうということなのか、どちらの方針なのか教えていただければと思います。以上です。
【藤井融合領域研究推進官】  ありがとうございます。予算的な部分もございますので、現時点でどちらということはなかなか申し上げにくいところでございまして、例えば、私はAI×数理なのですが、AI×数理の部分ですと、既に統数研と連携を考えていたり、その部分を進めていたりしておりますので、理化学研究所に閉じてということではないのですけれども、今後日本のために役立つという部分で、ほかの法人との連携というのは模索しながら、必要な部分で連携はしていくと思いますけれども、現時点で、理研の中の体制自体がまだ十分に整っていないところもございますので、こちらにつきましても、また、追い追い理研と相談しながら進めさせていただけたらと思っております。
【栗原会長】  よろしいでしょうか。私は理研部会の委員なので、私がこの絵を見て思うところとしては、バイオリソースセンターとかSACLAとか、共用の基盤施設からのデータの創出・取得とか、それをうまくAIセンターと連携して、それぞれの分野に活用してもらうというようなこと、そういったものをさらに基盤として、量子コンピューティングなどの手法も開発しますというようなイメージで受け取ります。今、情報技術、データの活用に関しては、活用技術もどんどん生まれているところで、それをいろいろな分野でシェアできる、AIセンターではそういうこともされていると思っています。例えば、以前NIMS部会の委員でもありましたが、そのときには、NIMSのマテリアルインフォーマティックスの課題にはAIセンターでの情報処理技術を使わないとスタートが難しいものがあったとも伺いました。
 すごく皆さん関心高いと思うので、部会での話題を共有させていただきました。
 ほかに何か御質問ありますでしょうか。よろしいですか。オンラインの方もよろしいでしょうか。それでは、この部分、どうもありがとうございました。藤井さん、理研の大きな活動をコンパクトにまとめて紹介いただくというのは大変な作業でいらしたと思うので、御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、議題5ということで、これまでの説明や議論を踏まえて、全体としての意見交換の時間と、時間のある限り、したいと思います。10分程度かと思いますが、よろしくお願いします。
 今、先ほど、最初に御紹介いただいたように、8法人の部会事務局で、質疑対応者の方も陪席していらっしゃるということですので、そういう観点も含め、御意見、御質問等があればお願いいたします。伊地知委員、それから有馬委員、お願いします。
【伊地知委員】  ありがとうございます。伊地知でございます。2件コメントと、1件情報提供をさせていただきます。
 1つは、資料2-9に関してのところです。先ほど来、山口委員からも同様の御発言があったかと思うのですけれども、1つは、世の中の状況が非常に大きく変わっていて、まさにサイエンス、あるいはテクノロジーのところが変わっているというときに、こういう中長期目標、あるいは計画でもって評価をするというときに、根幹はそうであるとしても、機動的な展開というのも当然、各法人として期待されているところではないかというところがある。そういったところで、例えば、基本計画上でも「総合知」という表現があるわけですが、そこのところも、結果としては、「総合知」と書かれていることになるのかもしれないですけれども、そこに書かれている文言から総合知に対応するものを実施するということでは、もしかしたらないのかもしれない。つまり、多様な研究領域における知見等に基づいてやっていけば、結果的には、恐らく総合知に至るのではないかと。
 そういうことを考えた場合に、各機関の活動がバッチで行われているわけではなくて、継続して行われているということになっているかと思うので、そこを評価においてどのように見ていくのかということが重要ではないかと拝見していて思いました。
 そうしたときに、それを考えたときに、評価時点のことだけではなく、実は目標設定ということが非常に重要ではないか。
 これに関連して申し上げると、参考資料1の18ページの下のほうですが、「主務大臣は、…国立研究開発法人、研究開発に関する審議会の意見等を踏まえ…」、目標設定をすることになるのですが、そういったときに、どういった目標を設定するのかということが非常に重要であろうと、資料を拝見して思ったということで発言させていただきました。
 あと、情報提供というのは、先ほどの理研の話で、資料4の2ページのところにあった、理研アドバイザリー・カウンシル(RAC)ですが、これは確か、承知しているところでは1993年から始まっていて、理研のこういった体制というのは、独立行政法人化とは無関係に理研としていろいろと取り組まれてきているところかと思います。むしろそういった仕組みをいかに法人の活動の中に、あるいは法人評価と、調整させてきているということではないかと見ているところです。
 以上でございます。
【栗原会長】  ありがとうございます。総合知について、何かコメントとか、事務局のほうからありますか。今後、どういうように法人にプレゼンテーションしていただくかとか、そういうこともあるのかなと思いますが。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局からでございますけれども、参考資料11に、総合知の基本的考え方につきましては、中間取りまとめという形でつけさせていただいていますとおり、政府のほうでも、これは今一生懸命議論して、まさに中間の取りまとめをしているというところでございますので、各研究開発の最先端をいきます、国立研究開発法人でどのようにこれから生み出していくのかというところが、こういうところにも、また次の方針を取りまとめていくというときにも反映されていくということと思いますので、まさに今、伊地知先生おっしゃっていただいたように、次の目標を設定するというときに、これから、各法人の状況や研究開発の内容に応じた総合知の在り方というのをそれぞれ部会のほうで御検討いただいて、それを総会にお持ちいただいて、国立研究開発法人にも共通するような総合知の議論を深めていただけると非常に大変ありがたいと思ってございます。ありがとうございます。
【栗原会長】  それぞれの部会のどのように受け止めるかということを詳しく、具体的に説明いただいてありがとうございました。ということで、委員の皆様、そういうところも心にとめて、夏の評価をお願いできればと思います。
 次、有馬委員、お願いします。
【有馬委員】  有馬でございます。2点、お話をしたいと思います。
 1点は、資料というよりは目標設定、大体、国立研究開発法人だと7年とか、そのぐらいの期間で中長期計画を立てると、それはそれで良いのですが、近年のいろいろな世界的な、あるいは、AIも含めていろいろな急速な変化のことを考えると、7年間を同じ目標でやっていていいのかというのを常に考えなければいけないということがあって、だから各部会でもそこは、割とこういうような情勢の変化があったので、ポジティブ側にですけれども、こういうように中長期の計画を変更しますということを、むしろフレキシブルにやるようなことを、全体として考えるほうが恐らくいいのかなと思っていますし、それは例えば2030年にカーボンニュートラルに向けての半減のところの数値目標がありますけども、それは、どのようになるかというのが、もう7年なので、そういうことが多分いろいろ政府のほうで議論されると思いますし、そのほかにもSDGsというのが恐らく、2030年がゴールですから、次のゴールが国連側でも何かつくると、いろいろなことがあるので、それに向けてフレキシブルに変えていただきたいというのがあります。
 もう1点は、もう少し具体的な話で、資料3の4ページ目のところで具体的な取組、これは新たな研究システムの構築というところの具体的な取組で、これは大事なことで、データポリシーの策定を行ってデータを収集しましょうということで、特にこれは良質なデータのメタデータをつけてということで思うのですけども、良質なデータというときに、よく研究者、我々もそうなのですが、研究者が勘違いするのは良質なデータというのは、うまくいったことが良質なデータだと思いがちなのですけれども、そうではなくて、こういうことをきっちりやったらうまくいかなかったと。きっちりやったらうまくいかなかったというのは、大体普通は経験とか、会社とかでも、その部署の中の非常に狭いセクターだけ共有されていると。言ってしまえば失敗に思える、それは研究という意味では成功なのだけども、うまくいかなかったという事例がうまく共有されていないので、いろいろなところで重複した失敗、失敗というか、それをやらなければいけないということがあるというのは、今までもそうだったのですけど、それプラスAI、人工知能を使うときに、人工知能の良い点は、今まで人間が気づけなかったところ、気づかなかったところを例えば探しに行くとか、そういうことが研究できるわけですけれども、既にやっていてうまくいかなかったというデータは、AIに関してはとても大事なので、だから良質なデータという意味を、きちんとやったけど思ったとおり、狙ったことはできなかったというのが、ちゃんとデータで入っているということがとても大事なので、そういう取組が各国立研究開発法人がやるということを奨励するような感じに目標設定、あるいは、取組の中でも考えていくというのが、結果的に日本全体の研究力強化にはかなり役に立つのではないかということで、言及させていただきました。ありがとうございます。
【栗原会長】  ありがとうございました。最初の点に関しては、細かい微調整のようなことは、中長期計画の変更というのはあまり必要なくて、むしろ評価の中でやっていったほうがいいのかもしれないのですが、いろいろ新しい活動とかが入った場合とか、大きな変化があった場合には、中長期計画を変更するというのを、この審議会を通じてやっていらっしゃると思いますので、一応、座長が引き取って答えました。
 第2の点も、これはポジティブデータ、ネガティブデータが重要だということは大分議論されてきておりますので、それぞれ委員の方々、その点を踏まえて御議論いただければと思います。
 ほかに何か御質問、御意見ありますでしょうか。ベントン委員、どうぞ。
【ベントン委員】  ありがとうございます。2点あります。
 一つ目は、資料2-9の5ページの下から4つ目の丸のところについてです。様々な外部要因が社会に多大な変化をもたらしています。いつ、何が起こるかが分からない環境です。コロナ、国際紛争、エネルギー価格の向上が最近の例です。そのため、計画通りに物事が進まないことが多々あります。そこで、ここに書いてある「外因がありその困難を克服し計画どおりうまくマネージしたというような報告があるが、それはディフェンシブなもので、Sなど高い評価を考えると、それを起死回生の場面としたようなグッドプラクティスや、未来に向けたプロアクティブな取組を評価していくべき」のところについてのコメントです。最近の中長期目標期間中に予想できないことがたくさん起きました。計画を進めることに努力をして、頑張って成果を出しても、SでなくAあるいはBに評価されることになる。モチベーションが下がる可能性がある。ここに書いている、「最後に取組を評価していくべき」というのは、どういうことですか。例えば依然ように厳しく評価するのか、努力を評価し、100%は満たさなくても、Aあるいや場合によってS評価の可能性はあるか。
 また、日本の大学は女性研究者を増やす努力をしているが、実際に女性研究者の数が少なく、またコロナ中の採用も難しく、なかなか増やせないです。海外から採用しようとしても、給料や待遇の面が全く合わず採用が難しいです。
現場のディモチベーションが起きる可能性がある。外部要因の影響はどのように考えるべきかが1点です。
 もう1点は、さきほどの理研のプラットフォームのTRIPのところです。11ページの一番下の丸5 のところです。このコンソーシアムの海外向けアピールをどのようにしているのか、海外の有力大学、AIやデジタル技術を促進している国際的な機関の参加をどのように進めているのかをお聞きしたいです。以上です。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  1点目、御質問の部分につきまして、御説明させていただければと思います。これは、先ほどの困難度というところとも関係してくるかなと思っておりまして、外因があった場合に、当初の目標どおり達成したという場合、通常であれば、B評価だけれども、それ以上の評価をつけるかどうかというようなところだと思います。
 それで、そのときに法人に原因があるような外因なのかというのもありますし、また、その外因が、あらかじめある程度予測をしたり防ぐようなことが法人側にできたのかどうか、そういうところが、まず、外因があったときに法人にとってそれが困難だったかどうかというところを、そういうような観点で客観的に評価していただくと。
 それで、それがやはり法人にあらかじめ予見も不可能だったし、あらかじめ防止もできなかった。それを法人がマネジメントなどで克服をして、本来の計画どおりできたといった場合には、通常の目標、計画をそのままB評価、要するに通常どおりやりましたということではなく、そこは法人のほうで創意工夫をして、当初の目標をしっかりしたというような形で、A以上の評価をつけていただくということは可能なのではないかと考えています。
【ベントン委員】 Aということですか。Sはないということですね。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  A以上ですので、それがどの程度困難であったかというところで、A、もしくはSということをつけていただくということになるかと思います。
【ベントン委員】  ありがとうございます。
【栗原会長】  やはり個別の事象に関しては、内容をきちんと議論しながら評価するという、一般論だとそういうことになると思います。
 こういう場合は、どうなのだろうというようなことが部会でございましたら、その後、この審議会でそういう例も紹介いただいて、それぞれの委員がどのように考えるか、あるいは、ほかの部会では、どのような議論があって、どういう評価をしているかというようなことが少しシェアできて、それの結果として、より良い評価ができればというのが、この審議会の立場ですので、よろしくお願いします。
【ベントン委員】  では、総合的に評価をするということですね。
【栗原会長】  総合的に考えるとか、あるいは社会の実際の要求レベルとか、あるいは実現レベルとかもあると思いますし、あるいは、でもやはりどうしてもやらなければいけないこともあると思うので、そういう議論をぜひ部会で積み重ねていただいて、それをこちらで、またさらに皆さんで議論できるということができればいいと思いますので、よろしくお願いします。
【藤井融合領域研究推進官】  2点目の理研のTRIPの部分でございますが、おっしゃるとおり、将来的には国際的に役立つものということで構築を目指しておりますので、十分な広報なりしていかなければならないと思いますが、大変申し訳ございません、現状においては、まだ理研の中でも実施内容などが十分に検討できていない部分もございますので、国際展開について、こういう検討をしているという話は、今後検討が進みましたら、何かの機会に御紹介をさせていただけたらと思います。
【栗原会長】  それでは、ご質問・ご意見まだあるかと思うのですが、短くお願いします。
【中川会長代理】  はい。先ほど有馬委員からもお話あったことを、1点だけ、皆さんで共通の状況認識をつくっておきたいなと思ったので、お話しします。
 今期、確かに大きなミッションはあまりないのですが、NIMS、NIEDと、QSTの3つの法人は、研発になって7年間丸々やったところで、期間実績評価が初めて入ってきたことになります。通して全体を見るということになりますが、7年という期間をどう考えたらよいか、大きな社会変化についてこの7年でどう対応できただろうか、というようなことを、共通の問題意識で振り返っておいていただけると、研発審での議論に何か役立つようなものも出てくるのではないでしょうか。長期の7年は、一体何だろうかなみたいなことを頭に置くというのは悪いことではないなと思っているので、改めてテイクノートしました。
 多分、JSTと、他の法人は少しやることが違うので、7年丸々というところが共通の3法人があり、また今年の研発審はあまりミッションが多くないようなので、そのような議論ができるのも大事かなと思いました。以上です。
【栗原会長】  大変貴重な視点です。
 よろしいでしょうか。それでは、どうもいろいろな御意見、御質問ありがとうございました。
 それでは、本日の議論はこれで以上となります。
 今後、委員の皆様には、8つの国立研究開発法人に関する部会にそれぞれ分属いただくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日の議論を踏まえ、各部会におかれましても、丁寧な御議論をお願いいたします。
 また、先ほどの指摘事項や、それぞれの資料も御参照いただければと思いますし、新しい視点に関しては、今回いろいろな御意見いただいたところですので、その点もよろしくお願いします。
 最後に事務局から連絡をお願いいたします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  今回の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、各委員に御確認いただいた後、ホームページにて公表いたしますので、よろしくお願いいたします。
 また、先ほど栗原会長よりお話がございました、部会への分属につきまして、国立研究開発法人審議会令第5条第2項では、部会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は会長が指名することとなってございます。つきましては、会議終了後、栗原会長名での分属指名文書をメールにてお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
【栗原会長】  それでは、以上で、第26回国立研究開発法人審議会を終了いたします。
 いつも大変多くの御意見が出て、時間が足りない感があるのですが、また次回もよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

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