国立研究開発法人審議会(第25回) 議事録

1.日時

令和5年1月13日(金曜日)13時00分~16時00分

2.場所

文部科学省13階13F1会議室(対面参加の場合)及び Web会議形式(オンライン参加の場合)で開催

3.議題

  1. 中長期目標の変更について
  2. 次期中長期目標(案)等について
  3. 第4期文部科学省国立研究開発法人審議会各法人の評価等を踏まえた御意見について
  4. その他

4.出席者

委員

栗原会長、中川会長代理、浅見委員、五十嵐委員、折茂委員、国崎委員、古城委員、三枝委員、佐々委員、高木委員、髙橋委員、ベントン委員、山口委員、山田委員、小林臨時委員

文部科学省

柿田科学技術・学術政策局長、阿蘇大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、北山科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官、橋爪科学技術・学術政策局人材政策課長、江頭研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)、吉田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、迫田研究振興局基礎・基盤研究課量子研究推進室長、横井研究開発局宇宙開発利用課課長補佐、佐野科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、西山科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)付補佐

5.議事録

【栗原会長】  接続中の委員の方もいらっしゃいますけれども、定刻となりましたので、これより文部科学省国立研究開発法人審議会(第25回)を開会いたします。
 本日は、14名の委員及び臨時委員に御出席いただき、定足数に達しておりますことを御報告いたします。また、本日は新型コロナウイルス感染防止のため、対面及びオンラインによるハイブリッド形式で開催いたします。
 また、本日の議題はお手元の議事次第のとおりでございます。議事は全て公開にて行います。
 続きまして、事務局より文科省側の御出席者を紹介いただきますので、よろしくお願いいたします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  文部科学省の出席者を御紹介いたします。
 科学技術・学術政策局長、柿田恭良でございます。
【柿田科学技術・学術政策局長】  柿田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  大臣官房科学技術・学術政策局担当審議官、阿蘇隆之でございます。
 科学技術・学術総括官、北山浩士でございます。
【北山科学技術・学術総括官】  北山です。よろしくお願いいたします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  科学技術・学術政策局人材政策課長、橋爪淳でございます。
【橋爪人材政策課長】  橋爪です。よろしくお願いいたします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、吉田和久でございます。
【吉田防災科学技術推進室長】  吉田です。よろしくお願いいたします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  研究開発局宇宙開発利用課課長補佐、横井奈央でございます。
【横井宇宙開発利用課長補佐】  横井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  そして、事務局から、科学技術・学術戦略官、佐野多紀子でございます。
【佐野科学技術・学術戦略官】  佐野でございます。よろしくお願いいたします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  そして、私、戦略官付の補佐をしております西山と申します。以上でございます。
【栗原会長】  それでは、配付資料の確認と本日の対面及びオンラインによるハイブリッド形式での会議の注意事項の説明を事務局よりお願いいたします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局の西山から引き続き御説明いたします。
 本日の資料ですが、配付資料一覧としてお配りしておりますとおり、資料1から資料5のほか、参考資料1-1、参考資料1-2となっております。もし過不足等ございましたら、お知らせいただければと思います。
 また、本日はハイブリッド形式による会議となりますため、幾つか委員の先生方にお願いがございます。1点目、会場にお越しの先生方におかれましては、御発言の際は挙手をお願いいたします。そして、発言の際にお手元のマイクをオンにしてください。マイクは、余り近づかなくても音を拾います。2点目、御発言時以外はマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。
 3点目、オンラインで御出席の委員の先生方におかれましては、御発言の際には、手のマークの挙手ボタンを押すようにお願いいたします。そして、御発言が終わりましたら、再度挙手ボタンを押して挙手を取り消すようにお願いいたします。4点目、オンラインで御出席の委員の先生方におかれましては、御発言時以外はミュートにしていただき、御発言時のみミュート解除を御選択いただくようお願いいたします。
 5点目、これは共通のお願いになりますけれども、会場及びオンライン上でも聞き取りやすいように、御発言の際にはその都度お名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。6点目、御発言の際、資料を参照される場合には、資料の番号、そして、ページ番号若しくはページ内の該当箇所などについて分かりやすくお示しいただくよう御配慮いただければと思います。
 以上でございます。
【栗原会長】  ありがとうございました。それでは、本日の議事についての説明を引き続き事務局にお願いいたします。資料は資料1のとおりです。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  続きまして、議事について御説明させていただきます。本日の議事は4つ予定しております。1つ目、中長期目標の変更について、2つ目、次期中長期目標(案)等について、3つ目は第4期文部科学省国立研究開発法人審議会各法人の評価等を踏まえた御意見について、4つ目はその他でございます。
 まず、議事1と2ですが、資料1の通し番号の4ページ目、今表示されているこの資料を御覧いただければと思います。文部科学省に、独立行政法人の通則法に基づきこの国立研究開発法人審議会が設置されており、国立研究開発法人が中長期目標を変更する若しくは策定するという場合には、主務大臣である文部科学大臣が科学的知見に即した御助言をこの審議会に頂くということが法律に規定されているということでございます。したがいまして、本日の議事1と議事2につきましては、この法定での御助言を頂く機会と思っていますので、そのような形で御審議をいただければと思っております。
 続きまして、通し番号7を表示していただけますでしょうか。本日の中長期目標の変更の2法人、科学技術振興機構と宇宙航空研究開発機構ですが、それぞれの中長期目標期間を表示している資料です。科学技術振興機構におきましては、5年間の中長期目標期間が昨年度までで一度終了しております。それで、今年度は初年度となっているという状況です。宇宙航空研究開発機構におきましては、7年間の中長期目標期間の今年が5年目です。目標期間の途中ですが、それぞれ目標の変更が必要という状況になっており、それにつきまして各部会で御審議を頂きまして、その案が取りまとまってまいりましたので、この総会においてもその御審議を頂きたいと思っています。
 また、議事2の次期中期目標案の3法人ですが、それぞれ7年間の中長期目標期間の今年度が最終年度となっています。したがいまして、次期の中長期目標を検討するということですが、前回、第24回の審議会総会で、見込み評価、そして、組織と業務の見直しについて御審議を頂いたと思っています。したがいまして、そこで皆様方から頂きました御助言、御意見を反映した形の次期中長期目標案が本日御審議いただけると思っておりますので、そのような観点から御審議をいただければと思っております。
 そして、議事の3点目、第4期の評価等を踏まえた御意見についてです。通し番号の5ページ目を表示いただければと思います。この国立研究開発法人審議会は今、第4期ですが、任期として令和3年4月10日から令和5年4月9日、今年の4月9日までの2年間となっており、これまで実に多くの御審議をこの第4期は頂いたと思っております。したがいまして、これまでの、本日を含まない5回で皆様方から頂きました御意見について事務局でまとめさせていただきましたので、本日それを皆様に御審議いただいて、次の第5期の審議会、総会につなげていくというような場にできればと思っております。したがいまして、そのような審議をお願いしたいと思います。
 4つ目の議事についてはその他です。
 以上でございます。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。議事の観点を非常に丁寧に説明いただきまして、お礼申し上げます。
 それでは、議事1に入ります。中長期目標の変更についてです。部会事務局より説明していただき、その後、質問の時間を設けます。資料は2-1及び2-2ですので、御参照ください。
 本議題の進行に当たり、事務局より注意事項がありますので、まず御説明をお願いします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局でございます。部会からの説明時間は10分となっております。部会事務局の皆様におかれましては、もし部会長に補足を頂くような場合には、事務局の説明を早めに切り上げていただきまして、時間を厳守していただくよう、どうぞよろしくお願いいたします。
【栗原会長】  それでは、まずJST部会事務局より説明をお願いいたします。
【橋爪人材政策課長】  ありがとうございます。人材政策課長の橋爪でございます。JSTの中長期目標の変更について、資料2-1に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 中長期目標の変更につきましては、大きく分けて、1ポツの令和4年度補正予算に伴う変更、補正予算の成立に伴いまして基金が3本設けられておりますので、それを追加するための変更というもの。それから、資料2-1の8ページ、9ページの2ポツ、3ポツにあります、これまでも中長期目標に何らかの記載はございましたが、その後の事業の進展に伴いまして変更を要している部分ということで、大きく分けてその2つの要素がございます。順次御説明をさせていただきます。
 まず、補正予算に伴う変更ということで3点ございます。まず、基金の概要についてまとめて御紹介をさせていただきたいと思います。通し番号の21ページを御覧いただければと思います。基金3本と申し上げましたが、1つ目が、大学発スタートアップ創出の抜本的強化に向けた基金ということで988億円ということになっています。内容といたしましては、大学発スタートアップをどんどん創出していくために、ギャップファンドプログラムを新設するという内容と、地域の中核大学におけるスタートアップ創出体制を強化していくということで、そういった取組を支援するための基金ということで創設することが決まっています。
 2つ目の基金といたしましては、22ページ、GXに関係する技術創出事業ということで、革新的GX技術創出事業です。事業内容の事業スキームのところにございますように、革新的なGX技術に係る大学等における基盤研究を更に進めていくということであり、蓄電池、水素・燃料電池、バイオものづくりの3領域を想定しています。プログラムの進め方につきましては、事業の3年目、5年目にきちんとステージゲート評価を行って、研究テーマの継続・見直し・中止等について厳正に判断して、最長10年程度、プログラムの進行としても工夫してやっていきます。また、オールジャパンのチーム型研究開発の展開ということで、チーム力を生かしてやっていきます。さらに、その隣の事業イメージの一番下のポツにもございますが、産学連携や国際連携、産業界への持続的な人材供給の促進、こういうことにも貢献していくということを考えております。
 3つ目の基金は、23ページ、先端国際共同研究推進事業でございます。これは国際頭脳循環を強化していくということで、事業概要のところにございますが、欧米等の先進国を対象としまして政府主導で設定する分野における大型の国際共同研究について、十分な予算を担保して機動的に推進をしていくということでございます。その結果、国際科学トップサークルへの日本人研究者の参入を促進するとともに、両国の優秀な若手研究者の交流・コネクションの強化を図るということで、冒頭申し上げました国際頭脳循環を推進して長期的な連携ネットワークを更に強固につくっていくということを目的としております。
 こうした3つの基金がJSTに令和4年度補正予算で創設されますことから、それにつきまして中長期目標に追記をしております。それぞれ御紹介をしてまいりますと、順番がいろいろ飛んでいるのですが、中長期目標の新旧対照表10ページから順次御覧いただければと思います。まずGXと国際共同研究、国際頭脳循環の関係の基金につきましては、目次に項目を追加しておりますのと、その後12ページのところで、柱書きのところにGXの関係の記載を追記しております。
 この辺りは形式的な部分でございますが、内容的には13ページのところでございます。まず、大学発ベンチャーの関係でございますけれども、13ページの「更に」以下のところで、国から交付される補助金により基金を設けということで規定をさせていただいております。それから、GXの関係でございますが、その点については、2.4ということで新たに項目を設けてその内容を記載しております。さらに、14ページでございますけれども、国際共同研究基盤の強化ということで、国際頭脳循環に向けた基金について記載を追加しております。
 これに伴いまして、評価軸についても追記をしております。少し順序が異なってまいりますが、17ページ、まずスタートアップの関係でございます。これにつきましては、評価軸のところに、国際市場等を見据えた事業の創出や多様な地域の大学におけるスタートアップ創出の推進に寄与しているかということで、今回の基金の趣旨に合わせて追記をしておりまして、更にそれに対応したモニタリング指標を追加しております。
 それから、18ページでGX技術の創出に向けた研究開発ということで、国が定める基本方針に従ってしっかりとマネジメントを行っているか、あるいはカーボンニュートラルの実現に向けた研究成果の創出・展開がなされているかということで評価事項を設定し、併せて評価指標、モニタリング指標を追記しております。
 それから、国際頭脳循環につきましては19ページでございますけれども、戦略的・機動的な事業推進の観点を踏まえて、国が設定する分野・領域における共同研究の成果が創出されているか等、その基金の趣旨に従ってそれぞれ評価軸、評価指標、モニタリング指標を記載しております。これが令和4年度補正予算に伴う変更でございます。
 続きまして、事業の進展に伴う変更ということで、8ページ、9ページにそれぞれ項目を書かせていただいています。1つ目は、経済安全保障プログラムの制度設計が進展をしたことに伴いまして、従来、制度の設計をしていくということだったんですけれども、実際に事業を行っていくに当たりまして必要な追記を行っております。これにつきましては、評価軸を変えているということでありまして、通しページでいきますと17ページになります。経済安全保障プログラムにつきましては、従来、制度設計を進めるということが事業の中心でありましたけれども、これにつきまして、令和4年9月に研究開発ビジョンが決定されまして実際の実施に向けたフェーズに移行していきますことから、それに伴いまして評価軸を変更しております。研究開発ビジョンや研究開発構想に基づいて、技術の獲得に資する研究開発成果が創出され、その成果が利用に向けて展開されているか等々について記載して、実施フェーズに移っていくための変更をしております。
 それからもう1点、事業の進展ということでまいりますと、9ページ、大学ファンドによる助成の開始に向けた変更を入れております。大学ファンドにつきましては、また飛んで恐縮ですけれども、通し番号27ページを御覧いただきたいのですが、これにつきましては、大学ファンドの支援に伴う制度整備がどんどん進んでまいりまして、令和4年11月15日に国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律が成立いたしまして、それに基づきまして同日に文部科学大臣により基本方針が策定されております。これによって、国際卓越研究大学がどういうもので、どういうところを目指して、どのように認定を行い、また、体制強化の計画の認可を行っていくかという考え方が明確になってございます。
 併せまして、下の方ですけれども、11月15日、同日に科学技術振興機構の助成の実施方針が、これを実際に受けてJSTが助成を行っていくわけでありますけれども、JSTがどのように助成を行っていくのかということについても認可を受けているところでございます。ということで、これまで大学ファンドに関しましては、運用面のところを中心に中長期目標に記載させていただいていたわけでありますけれども、今回、助成をしっかり行っていくということについて枠組みが定まってまいりましたので、追記させていただいております。これは本文につきましては、通し番号15ページの大学ファンドに関する項目のところに助成の実施に関しまして追記をさせていただいております。また、評価軸につきましては、通し番号の20ページになりますが、従来、運用の部分について書かせていただいたわけでありますけれども、更に赤いところで、実施に向けて助成を適切に実施していくということを追記させていただいております。
 すみません、少し長くなりましたけれども、これがJST関係の中長期目標の変更でございます。よろしくお願い申し上げます。
【栗原会長】  ありがとうございました。御説明を続けてJAXA部会事務局よりお願いいたします。
【横井宇宙開発利用課長補佐】  JAXA部会の事務局をしております、研究開発局宇宙開発利用課の横井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 JAXAの長期目標は、2点修正を行います。資料2-2、通し番号でいいますと33ページを御覧ください。その後34ページ以降、新旧対照表になっておりますので、こちらを御覧いただくのが分かりやすいかとも御存じます。
 まず、修正のポイント1点目です。文部科学省では、研究開発に係る方針として平成29年8月に研究開発計画を策定し、文部科学省が所管する研究開発は研究開発計画に基づいて研究開発を行っておりました。しかし、今、研究開発計画が廃止されまして、分野別研究開発プランが令和4年8月に新たに策定されました。航空科学技術分野におきましては、我が国の現状や今後文部科学省として推進すべき個別具体の研究開発課題を令和元年に中間取りまとめとして集約し、令和4年に最終取りまとめとして研究開発ビジョンを策定しております。この研究開発ビジョンの内容を踏まえて、令和4年8月の分野別研究開発プランが策定されているものでございます。
 JAXAの中長期目標は、研究開発計画に基づいた記載がされておりましたため、今般の研究開発計画の廃止及び分野別研究開発プランの策定に伴いまして、分野別研究開発プランに基づいた記載となるよう、該当箇所の変更を行いました。なお、現行の中長期目標と変更後の中長期目標では内容についての変更はございませんが、研究の進捗に伴う計画の明確化による文言の追記や、分野別研究開発プランに合わせた文言の整理、修正などを行っているものでございます。今、35ページ目以降の対照表を御覧になっている方は、航空分野の変更という青字のところが該当箇所になります。
 続きまして、2点目です。2点目は、デジタル社会の実現に向けた重点計画に基づく法人の目標変更になります。新旧対照表を御覧の方は、赤字の部分になります。こちら、デジタル社会の実現に向けた重点計画におきまして、独立行政法人の情報システムに関する具体的な施策が示されております。今回、各主務大臣は所管する全ての独立行政法人の目標を令和4年度中に変更することとされておりまして、本方針にのっとり、情報システムの適切な整備及び管理を行うことを追記するという変更を行うものでございます。本変更内容は、第23回の国立研究開発法人審議会、本審議会におきまして、物質・材料研究機構、防災科学技術研究所、量子科学技術研究開発機構、理化学研究所、あと、海洋研究開発機構の変更について御審議いただき、御了承いただいているものと存じております。同様の内容の変更となります。
 変更の観点は以上2点となります。なお、JAXA部会としても本変更内容については審議済みでありまして、部会からは了承いただいております。ただ、審議いただく中で、非常に貴重なコメントも頂きましたので、併せて紹介させていただこうかと思います。
 まず1点目、航空機における脱炭素の最も現実的な解として注目されるSAFについて、JAXAとしてもしっかりと取り組むべきだ。2点目、社会からの要請に応える研究開発、次世代を切り開く先進技術の研究開発についてJAXA全体として徹底するべきだ。以上2点のコメントを頂きました。大変重要かつ貴重な御意見だと承っておりまして、今後実行に移す段階におきまして、JAXAとともに相談しながらしっかりと進めてまいりたいと考えております。
 説明は以上となります。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。それでは、今、2つの法人の中長期目標の変更について御説明いただきましたが、御質問、御意見等ありましたら、御発言をお願いいたします。どちらからでもということでお受けしたいと思います。
 高木委員、どうぞ。
【高木委員】  ありがとうございます。とても分かりやすい説明で、よく理解できました。
 最初の説明にございました、JSTの新しく追加されたものとして、革新的GX技術創出に向けた研究開発の推進があります。対照表の1ページ目です。その御説明の中に、事業スキームとして、蓄電池、水素・燃料電池、バイオものづくりといった3領域を設定されているということですが、この3領域は、技術的にいうと、蓄電技術であったり、水素の変換技術であったり、バイオ生産技術だと思いますが、このように新設のところでこの領域を設定した根拠について教えていただけると有り難いと思います。もちろん将来の競争優位性、産業成長に関わる国際的な競争優位性とか、カーボンニュートラルの達成の上では重要な技術だと思いますが、その辺を踏まえてどのようにこの3領域を設定したのか教えていただけると有り難いです。
【橋爪人材政策課長】  少し専門的な部分になりますので、環エネ課にお答えいただければ有り難いのですが、御出席いただいていますか。
【小田切環境エネルギー課係長】  研究開発局環境エネルギー課の小田切と申します。御質問ありがとうございます。
 こちらの革新的技術創出事業の対象領域として、蓄電池、水素・燃料電池、あと、バイオものづくりの領域を設定した理由ですが、これまでJSTにおいて先端的低炭素化技術開発、ALCA事業とか未来社会創造事業の中でも、一部の領域の中で文科省、JSTとして脱炭素技術を支援してきたところでございます。
 その運営実績等も踏まえまして、文科省として更にグリーントランスフォーメーションとかカーボンニュートラルに貢献すべく新たな取組の方向性として、産学の有識者による議論の中で、今後、特に産業上のグリーン成長が期待される重要分野、世界市場の規模から見ても、あとは国際的な潮流からしても重要な技術として注目されている分野の中で、更に日本のアカデミアが強みを持っている、ポテンシャルを持っているという分野を検討したときに、まずはこの蓄電池、水素・燃料電池、バイオものづくりというところで、この3領域でやっていくということです。そして、この事業のアプローチ方法として新しいところは、チーム型でやっていくというところです。要素技術だけではなく、しっかりシステムとして意識をして、複数技術をすり合わせながらやっていく、このアプローチを取ることが有効である領域ということでこの3領域を設定しているというところです。
 当面はこの3領域ですが、世界的な潮流が目まぐるしく変わる中で、今後新たに着手すべき領域があれば、それはもちろん今後の検討事項としていきたいと思っております。
 以上です。
【高木委員】  ありがとうございます。国際的な競争優位性に資する目標であり取組だということが理解できました。ありがとうございます。
【栗原会長】  ほかにございますでしょうか。山田委員、どうぞ。
【山田委員】  ありがとうございます。2点ございます。
 1つ目はJSTの方で、先端国際共同研究基盤の強化が5.3に加えられていて、以前から5.2として国際戦略基盤の強化がございます。新たに加えられた点というのが、中身を詳しく存じ上げないものですから、5.2の強調すべき戦略の部分が5.3として具体化・体現化したのかなと理解するわけです。そうすると、5.3を新たに加えるという対応だけでよろしいでしょうか。5.2の方は、評価軸にしましても中長期目標の内容にしましても何らかの影響は受けないのでしょうか。
【橋爪人材政策課長】  5.2につきましては、従来JSTも国際展開のための事業を行っておりまして、基本的にはJSTの既存の事業について記載されているということであります。例えば海外との交流の部分とかそういったものについて記載されております。通しページの220ページを御覧いただければと思います。5.2で国際戦略基盤の強化ということで、ここには、従来JSTがやっておりました国際関係事業について記載されておりまして、今回基金でそれに追加して実施をするということで、基金事業ということでJSTの運交金の事業とも分かれておりますので、新しくこの項目を追記しております。
 それから、評価軸に関しましては、そういう意味では評価軸につきましても基金に合わせて書いておりますので、従来のところを変更するというところは、従来のものは従来事業のための評価軸ということでやっておりますので、分けて記載をしているという状況でございます。
【山田委員】  デマケーションという点ではっきり区切りがついているという理解でよろしいですか。
【橋爪人材政策課長】  はい、そういう理解で大丈夫でございます。
【山田委員】  2つ目がJAXAの方で、新たな変更案の方で「既存形態での」という修飾詞が何度も出てきて、こういう枠組みを加える狙いを教えていただければ助かります。
【横井宇宙開発利用課長補佐】  御質問いただきありがとうございます。「既存形態での」というものを付け加えるということは、研究開発プラン、その前の研究開発ビジョンの審議のところで文言の調整をしておりました。現在いろいろ航空の観点におきまして、様々な材料も出てきておりますし、航空形態、技術も出てきております。それの新しいものをどんどんしていくということも必要ですが、現状のものにつきましても発展をさせるために必要なこと、つまり、長いですよね、新しいものだけするのではなくて、既存から含めてつながりを持って研究開発をしていくことが重要というような意見もございまして、今このような形態になっております。
【山田委員】  既存形態であるかないかというのは、分野別研究開発プランを読めば分かるようになっているのですね。
【横井宇宙開発利用課長補佐】  研究開発プランよりも恐らく、それに入る前の研究開発ビジョンがございまして、そちらの方が詳しく記載されておりますので、そちらを御覧いただくのがよろしいかと思います。
【栗原会長】  それでは、ほかにございますでしょうか。
 細かいところですが、先ほどの通し番号18ページの、革新的GX技術創成のモニタリング指標のところに「ステージゲート評価等において運営委員等が実施した意見交換等回数」と、余り普通には使わないようなモニタリング指標が書いてあって、これは、御説明で適切なマネジメントをということを繰り返しておっしゃっているので、それとリンクしていると思うのですが、もう少し実施上のところでは具体的に伝えないとこの評価軸が浮いてしまうのではないかと、評価する側(がわ)としては少し危惧するのですが、それで少し注意して運営いただくのが必要かと思って拝見しました。
【橋爪人材政策課長】  ありがとうございます。正にマネジメントというところでモニタリング指標をどうしていくかというようなところでの若干苦慮の部分もあるかとは思うのですが、もちろんモニタリング指標としてはこうした点もございますが、そもそもマネジメント自体がしっかり効果的に行われているかということで、評価指標のところでは研究開発マネジメントの取組の進捗というところもしっかり書いておりますので、そういう取組自体の評価をきちんとしていただけるように我々も工夫していきたいと思っております。御指摘ありがとうございました。
 もし環エネ課の方で何か補足があればと思いますが、大丈夫でしょうか。
【小田切環境エネルギー課係長】  大丈夫でございます。
【橋爪人材政策課長】  ありがとうございます。
【栗原会長】  マネジメントを評価することはとても重要だと思うので、そういう指標がモニタリング指標として出てきたということも大変興味深く拝見しましたが、うまく運用していかないと、何かよく分からなくて、報告する方が戸惑うのではないかと思いましたので、少し発言いたしました。それでは、よろしくお願いします。
 浅見委員が手を挙げていらっしゃるので、お願いします。
【浅見委員】  説明どうもありがとうございました。
 JSTの項目6ポツの、大学ファンドによる世界レベルの研究基盤の構築というところですが、これの20ページの評価軸、評価指標、モニタリング指標について一つ質問させてください。この大学ファンドによる世界レベルの研究基盤の構築というのは目標としては非常に意義深いものがあると思っておりますが、これの評価軸、評価指標というところで、こういう助成が適切に実施されているかという観点の指標はいいとして、結果として、目的としている研究基盤、エコシステムがしっかり構築されているか、あるいは機能しているかということについては、これは大変難しいポイントだとは思うのですが、これについてはどういうふうに見ていくのがいいと考えられているか、御意見を伺いたいです。
【橋爪人材政策課長】  ありがとうございます。すみません、少し説明不足でございましたが、27ページをもう一度御覧いただければと思います。浅見先生のおっしゃる点は重要なことでありまして、まず今回の大学ファンドの支援スキームにつきましては、対象大学の選定とか計画の認可、こうした点は文部科学省、内閣府の方で対応していくという形式になっておりまして、そこで決まったところについてJSTがその枠組みの中で助成を実施していくという形になります。なので、計画自体がしっかりと進んでいるかどうかということを評価していくのは、どちらかといえば文部科学省、役所側がしっかり見ていくということで、JSTにつきましては、そうした役所、政府の方で決めましたスキームに従ってしっかりとそれに必要な資金を助成しているかどうかというところが一番の評価のポイントになってくるという状況でございます。内容については、政府の方でしっかり見ていくということであります。
【浅見委員】  ありがとうございました。一応立てつけとしては理解できるのですが、実際に資金を運用していく最前線といいますか、具体的に前線に立っている立場からして、その辺が本当に機能しているかということについて、内閣府とか、あるいはCSTIなのかもしれませんけれども、そこから言われたとおりにしたら評価が高いのかというと、それはやはり少し変だと思います。そこのところの議論がしっかりされるように期待したいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
【橋爪人材政策課長】  現場の状況というのはしっかりとJSTも含めていろいろなところから、直接も含めて、支援先からも含めて、政府の方でもしっかりとフォローしていこうと思っておりますし、JSTの評価に当たりましても、そういった支援、助成の実施というものが成果にきちんとつながるようにできているかというところもあるかと思いますので、その辺りはこれから始まっていく中でしっかり御説明できるようにしていきたいと思います。
 大学研究基盤整備課の方で何か補足ありましたらお願いいたします。
【滝沢大学研究基盤整備課長補佐】  大学研究基盤整備課、滝沢です。先生、御質問ありがとうございました。今、橋爪課長がおっしゃいましたとおり、基本的には計画の進捗は、文科省と内閣府、CSTIの方で、共同でアドバイザリーボードを設置しまして、その中でしっかり見ていくということを考えております。JSTにおかれましては、助成の部分とかのところを担当することになっておりますが、基本的には文部科学大臣が認可をした助成の実施方針に基づいて適切に助成を行っているのかというところ、その助成に当たっては体制の整備をしっかりやっていくのかという観点で今後評価をしていただくということを今考えているという状況でございます。
 補足は以上でございます。
【浅見委員】  ありがとうございました。そういう議論が非常に活発に行われないと、整備が形式上にとどまってしまってはいけないと思いますので、是非よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【滝沢大学研究基盤整備課長補佐】  ありがとうございます。
【栗原会長】  ありがとうございます。JSTの皆さんは前線にいて、担当の方々と実際に接触する立場におありだと思うので、そういう視点からの情報というのも大事にしていただければと思います。よろしくお願いします。
 ほかにございますでしょうか。どうぞ、ベントン委員。
【ベントン委員】  今の話と同じ流れです。CSTIの大学ファンドの運営自体の評価はどのようになされているのかをお聞きしたい。大学ファンドをもらった大学の評価ではなくて、CSTI自身の大学ファンドの運用の方の評価についてです。
【橋爪人材政策課長】  運用の評価といいますと、資金自体はJSTの方で運用を行ってまいりますので、運用につきましては既に中長期目標の方にも定められておりまして、評価軸も定まっておりますので、それに従って文科省のこの研究開発審議会及びその下にありますJST部会の方で評価のスキームとしては行っていく形になります。
【ベントン委員】  分かりました。確認でした。ありがとうございます。
【栗原会長】  ほかにありますでしょうか。どうぞ。
【五十嵐委員】  
JST部会長の五十嵐でございます。今回の変更に関しての説明は先ほど橋爪課長から説明があったとおりで、私どもも昨年の12月15日に第32回のJST部会を開催して、この今回の変更に関してかなり長い時間をかけて意見交換させていただきました。
 今日頂いた質問の中でも、例えば高木委員からの質問のGteX、革新的GX技術創出事業ですが、どのようにこの3領域に決めたのかとか。もっと大きな意見交換としては、GXに関してはNEDOの2兆円のグリーンイノベーション基金がございますが、そことGteXの関係はどうなるかとか。そこのところでかなり活発に意見交換いたしました。
 先ほど、「ステージゲート評価等において実施した意見交換回数」についての質問がございました。GXに関しては、経済産業省NEDO事業とGteXの基礎研究との意見交換といいますか、すり合わせがすごく大事である、そこのところをかなり密にやるべきであるというようなことで、こういったかなり具体的なモニタリング項目にさせていただきました。大切なことは、基礎研究から社会実装に至るまできちんと理解して進めていく、結果として意見交換回数が重要であると、そのような意見交換をさせていただいています。以上、補足でございます。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。非常に具体的によく分かりました。
 ほかにございますでしょうか。特にウェブで参加の方もよろしいでしょうか。
 よろしければ、ちょうど時間ですので、以上で議題1を終了いたします。本件については、原案の内容で承認したということで、特に大きな御異議はなかったと理解しております。運用についてはいろいろ御意見があった部分もありますので、その点、運用される皆様にお伝えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議題2、次期中長期目標(案)等についてに入ります。まず、事務局から説明をお願いいたします。資料は資料3です。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局の西山でございます。私の方から、本日、皆様方に中長期目標案を御審議いただくに当たりまして、御参照いただきたい文書等について御説明をさせていただきます。
 今表示されている資料3の1枚目を御覧いただければと思います。通し番号40ページ目です。本日、今年度で目標期間が終了する3法人につきまして、物質・材料研究機構、防災科学技術研究所及び量子科学技術研究開発機構の3法人の中長期目標案を御審議いただきますが、これは先ほど冒頭にも申し上げましたが、前回、第24回国立研究開発法人審議会総会におきまして、組織と業務の見直し、そして、見込み評価につきまして皆様方に御審議を頂きました。その皆様方に御審議いただいた御助言を踏まえまして、8月26日に文部科学大臣決定として見直し内容を決定、公表しております。
 その資料が別紙1でございます。通し番号の42ページ目を表示いただければと思います。ごく簡単に御説明しますが、物質・材料研究機構につきましては、特定国立研究開発法人であるという大きな特徴があります。このような特徴の中の政策上の要請に基づいて現状の課題を分析しているということでございまして、これらの政策上の要請及び現状の課題を踏まえました講ずるべき措置についても、文部科学大臣決定でこのような形で書かせていただいているということです。
 そして続きまして、防災科学技術研究所の見直し内容、通し番号の48ページ目です。第6期科学技術・イノベーション基本計画、閣議決定文書ですが、レジリエントな社会を構築するということが防災科学技術の方向性として示されているということでございまして、非常にキーワードになっていると思います。このような政策上の要請、そして、現状の課題、やはり日本は様々災害等が発生しているというところもあり、そのような現状の課題がございまして、そういうものに対しての講ずるべき措置というような形の構成になっています。
 続きまして、たくさん文書がありますので少し駆け足で恐縮ですけれども、QSTの方、通し番号の55ページです。QSTの政策上の要請及び現状の課題につきましては、量子技術イノベーション戦略、これは統合イノベーション戦略推進会議決定でございますし、量子未来社会ビジョン、同じく同会議の決定ですが、このような政策上の要請の下、現状の課題を書かせていただいておりまして、その講ずべき措置という構成で、それぞれこの文書につきましては、前回の総会での御助言を踏まえた記載になっています。
 続きまして、別紙2、通し番号の61ページ目を御覧いただければと思います。今申し上げた、主務大臣である文部科学大臣による見直し、この結果を確認するということ、そして、主務省である文部科学省や各法人の長やその役員との議論などを行いまして、総務省の独立行政法人評価制度委員会が調査審議を行い、各法人の次期の中長期目標に具体的に盛り込むことを検討していただきたい点を留意事項としてまとめたものが、つい最近出たものですが、この12月5日の委員会決定の文書です。
 ごく簡単に御説明しますが、物質・材料研究機構においては、世界最高水準の研究開発成果を創出する観点から、大局的かつ、より実効性を高めた目標となるようということで、研究開発成果を社会実装に結びつけていくために、外部機関との連携構築等を一層推進していくこと、法人自身のプレゼンスを更に高めていくこと、イノベーションの創出に結びつかない取組であっても適切に評価されるよう目標を検討してはどうかというような観点が留意事項としてありました。
 また、防災科学技術研究所は、次のページですが、国内外の産学官民のステークホルダーとの多様な形態での連携構築等を一層推進していくほか、連携に係る取組や成果を適切に分析・評価し、情報共有していくことを目標に盛り込んではどうかということになっております。
 また、次のページ、量子科学技術研究開発機構におきましては、研究開発成果をイノベーションに結びつけるために、途中割愛しますが、法人内の複数部門間の連携を一層促進していくことや外部機関との連携を推進していくことを目標に盛り込んではどうかなどの指摘事項があったというところでございます。
 その次の別紙3を表示いただければと思います。このような総務省の委員会、そして、文部科学大臣の見直し内容、こういうものを踏まえながら、またさらに、この7年間で様々な閣議決定文書等の文書が出ております。それにつきまして、この別紙3に我々国立研究開発法人審議会事務局としてまとめさせていただいております。中長期目標策定に当たって留意する様々な文書ということでございまして、まず大きくやはり「第6期科学技術・イノベーション基本計画」が策定されたというのが大きな変化であったと思います。2030年を見据えまして5年間に政府が行うべき施策について整理した計画でありますので、これは当然、次期中長期目標案にも反映されるべきということでございます。
 ここに最初の方に書かせていただいておりますけれども、25年ぶりの科学技術基本法の本格的な改正であったということで、やはり人文・社会科学のみに係るものを同法の対象としたというところは非常に大きな変更だったと思いますし、イノベーションの創出も柱の一つになったというのも大きな変更だったと思います。したがいまして、その下の方にありますけれども、各研究開発法人は、それぞれのミッションや特徴を踏まえつつ、中長期目標の改定においては、総合知を積極的に活用する旨、目標の中に位置づけるということで、これはしっかり研究開発法人が目標の中に位置づけるというふうに基本計画の中に記載されているという表現であります。
 そのほか、その次のページ、研究データの管理・利活用について、そして、これは基本計画ではありませんけれども、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の方では、人材活用等に関する方針に基づき、その人材の活用等に係る研究開発等の推進のための基盤の強化を図るものとするということが書かれているということでございます。
 また、その次のページ、情報システムの整備及び管理の基本的な方針を踏まえて対応するということで、これは徐々にやっていただいておりますが、デジタル大臣決定の「情報システムの整備及び管理の基本的な方針」に掲げられた取組と整合するように目標を定める必要がありますので、この辺についても御留意いただくということと思っております。
 その次のページ、これは独立行政法人の目標の策定に関する指針と、そして、評価に関する指針、これは総務省で改定しておりますが、これにつきまして大きな改定のポイントとして、これまでの難易度を、困難さの程度を表すものとして困難度という形で名称を改めたということでございます。この困難度をどのように評価に反映するかというと、困難度を困難としたものについては、それを達成した時点で通常の段階よりも1段階引き上げた評価をするということであったと思います。また、この下の方に書いてありますように、要するに、最初の時点、目標の時点では困難度が高いとされた項目であっても、その後にやはり困難ではないことが判明した場合は、柔軟性を持って調整するということなどが書かれています。
 こういう形で、独立行政法人の評価においては様々な指針等の改定がありましたので、そのようなものについても今回御留意いただいて御審議をいただければと思ってございます。
 事務局からは以上でございます。
【栗原会長】  ありがとうございました。中長期目標策定に当たってのいろいろな観点の変化等について御説明いただきました。
 それでは次に、次期中長期目標案等の説明を頂きます。NIMS部会事務局、防災科研部会事務局、QST部会事務局より順次説明していただき、それぞれについて質問の時間を設けます。資料は、4-1から4-3のとおりです。
 本議題の進行に当たり、事務局より注意事項がありますので、御説明お願いします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局でございます。各部会からの説明時間は15分でございます。部会事務局の皆様におかれましては、部会長に補足を頂く場合には、事務局説明を早めに切り上げていただきまして、時間厳守で御説明いただくようどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【栗原会長】  それでは、NIMS部会事務局より説明をお願いします。
【江頭参事官】  研究振興局ナノテクノロジー・物質・材料担当参事官の江頭でございます。よろしくお願いします。
 通し番号70ページからがNIMSの中長期目標の関係の資料でございます。70ページでございます。70ページに、今現在、部会の御審議も頂いた、来年度2023年度から7年間の第5期のNIMSの中長期目標(案)の概要がございます。
 いきなりこれの中身の説明に入る前に、通し番号92ページを御覧ください。これは本年度までの現在の第4期の中長期目標と、それから、来年度からの、第5期の中長期目標案の構成の比較を並べた図でございます。今、92ページを見ておられると思いますけれども、左の第4期、本年度までの第4期については、これは大きな特徴がございまして、上から1、2、3とありますけれども、3ポツでございます。この第4期のときに、NIMSは特定国立研究開発法人の指定を受けたということでございます。
 特定国立研究開発法人は、御案内のとおり、研究成果の最大化と成果の普及、人材育成、それから、国全体の中での中核としての取組が大きく求められておりました。従いまして、この3ポツのところに中核的機関としての活動ということで、ここにかなりいろいろなものを、今考えれば盛り込んでいたというところでございます。
 例えば施設の共用。NIMSは200を超えるいわゆる最先端の共用設備、いろいろな方が使いに来られる設備でございますけれども、共用設備に関すること。あと、これは特に今NIMSが一番力を入れているところでございますけれども、NIMSは数十年にわたっていろいろな金属だとかセラミック、ポリマー、あるいは研究論文のデータをデータベースとして蓄積し、公開しております。こういった既存のデータベースに加えまして、これからは、国が一昨年まとめたマテリアル革新的強化戦略、これは政府でまとめた16年ぶりのこの分野の戦略ですけれども、これに基づきまして、全国から材料実験のデータをNIMSに集めて、皆がこのデータを活用して、これまでにない高速な効率的な材料の研究開発ができるようなそういうデータプラットフォームをつくるという取組を今進めておりますけれども、そういった取組のこと。それから、研究者あるいは技術者の養成、そして、産業界との連携、こういったものは全ての中核機関の枠の中で全て記載しておりました。
 右側が今現在の案の第5期でございますけれども、これを少し分かりやすく分解をしております。例えば先端設備の共有だとか、あるいはデータプラットフォーム関係につきましては、右でいうと、上から2番目、2ポツのところのマテリアル研究開発を先導する研究基盤の構築ということで新たに項目を分けてまとめております。
 それから、例えば産業界との連携につきましては、3ポツのところで新たにまた切り出して、多様な形態での連携と。NIMSは、個別個社との間の連携だけではなくて、複数の同業他社をNIMSに1つのプラットフォームとして集まっていただいて、いわゆる協調領域の研究をするという、なかなかこれ、できそうで難しい産学連携の取組を積極的に第4期から進めております。こういったものだとか、あるいはNIMS発のベンチャーが20近くありますけれども、そういったところの創出の支援、あるいは出てきたベンチャーの育成、こういったところも産学連携の取組として進めておりますけれども、こういったものを少し独立した形で記載しております。こういった構成の見直しを第5期の案については少し行っているところでございます。
 それでは、ページを戻りまして、具体的に71ページからが中長期目標の案でございますので、少しかいつまんで御説明させていただきます。
 まず、73ページでございます。先ほど事務局の方から、特定国立研究開発法人としてのNIMSの位置づけの御紹介が若干ございましたが、少し繰り返しになります。物材機構は、日本で唯一の材料分野の国立研究機関でございます。従いまして、一研究所だけでなくて、日本全体の大学とか産業界も含めた様々なところでの材料研究開発に貢献するという強いミッションがございます。第5期の科学技術・イノベーション計画の中でも、マテリアルについては、そういった基盤的な部分、具体的には例えば研究設備の共用とか、あるいは先ほど少し申し上げた、マテリアルデータを活用した産学における材料研究開発ができるようなプラットフォームの構築、こういったことが強く求められ、明記されているところでございます。
 また、一昨年度政府がまとめたマテリアル革新力強化戦略の中では、全てが研究開発に関わる戦略ではございませんけれども、研究開発に関わる部分については、やはり僕ら文科省もそうですし、経産省もそうですけれどもマテリアルデータのプラットフォームを連携して構築して日本全体の基盤になるということを強く求められ、具体的な計画が定められているというところでございます。
 74ページは、具体的には中長期目標の案でございます。第4期から少し変更したところがございますので、そこを中心に説明させていただきます。
 76ページを御覧ください。76ページに1.1、1.2とございます。これは具体的には、NIMSがどういった戦略的な領域の研究をやるかということで、大きな研究の領域の柱立ての考え方でございます。今1.1と1.2に分けておりますけれども、これまで一つにまとめられておりました。具体的には7つの研究領域、例えば磁性材料とかエネルギー材料だとか、そういった材料分野が並べられておりましたけれども、少しこれまでの年度の評価だとか、昨年行いました全体の見直し評価でのやり取りなども踏まえまして、研究の柱立てを大きく2つにまとめた方が評価も含めてやりやすいのではないか、推進側の立場としてもやりやすいのではないかということです。
 まず1.1として社会課題の解決に貢献する研究。これは例えば具体的にはエネルギー、水素だとか、あるいはこれから電化が進んできますので、磁石の磁性材料とか、あるいは国土の強靱(きょうじん)化ということで構造材料、そういったものをこちらのカテゴリーの取組として行う。
 対しまして1.2は、社会実装に向けては若干遠いものがありますが、革新的な基盤技術としては極めて重要であるというものをこちらの方でまとめております。例えば高分子とか、あるいはポリマー・バイオ系の材料、あるいはいろいろな材料の研究開発のキーとなるようなナノテクノロジーの技術、あるいはその計測技術、また、先ほど申し上げたようなマテリアルデータとか、共用設備の開発、そういったものをこちらの1.2の革新技術を生み出すための研究開発というところでまとめてございます。
 それから、77ページ、こちらは、先ほどから何度も申し上げていますとおり、マテリアルデータのプラットフォーム、これをしっかり構築していこうということの取組をうたっております。今現在、2023年、もうあと数か月で23年度ですけれども、来年度中にこのマテリアルデータプラットフォーム、全国からマテリアル実験データが集まってくるような仕組みを構築して、一部運用開始できるところまで今来ております。これはマテリアル戦略に基づくスケジュールどおりに今、進捗しておりますので、使ってもらって価値があるプラットフォームですので、使ってもらえるようなプラットフォームを引き続きしっかり構築して、実際にもう運営を始めていくというところでございます。
 次の78ページ、これは一番上に人材のことを述べております。NIMSは、国内の主要な材料が強い大学との間で連携大学院を構築しておりまして、毎年、百数十名の大学院生をNIMSにお預かりいたしまして、給与もお払いして、実際に研究指導を行うということで、若い人材の頭脳循環のハブと現在なっております。また、30を超える海外の材料関係の強い国立研究機関あるいは海外の大学、そことの間でも連携協定を結びまして、頭脳循環のハブとしての取組をしております。こういった国内の若い人材育成、それから、海外との頭脳循環の連携を通じまして、例えば、既にNIMSで出てきているような研究論文の5割以上は国際共著論文ということで、これは他の国研あるいは強い大学以上のいわゆる頭脳循環の効果が出ているというところでございます。これを引き続きしっかり進めるということでございます。
 それから、NIMSのもう一つの特徴として、先ほど申し上げたような、産学連携、多様な社会連携をやっているということでございますけれども、知的財産の活用についてもNIMSはこれまで強い実績を有しております。全体の収入、NIMSは300億円程度の年間収入がございますけれども、その2%に当たる大体6億円が特許の実施料収入で来ております。これは大学を含めてもこれぐらいの高い割合の実施料収入を自ら得ているという研究機関はまれですが、これを引き続き強力に進めていく。戦略的に特許を取る、あるいはベンチャーを創出する、あるいは創出したベンチャーを支援すると、そういったところをより力強く支援していく。これは昨年の4月に新たに着任した宝野新理事長の強いイニシアティブで今、そういう形で進めているところでございます。
 それから、NIMSの特徴といたしまして、80ページの真ん中から下の方に少し書いておりますけれども、実は研究職ではないエンジニア職をかなり大事に雇用しております。国立大学の中で例えば研究支援者、いわゆるエンジニア職が年々減っているということが研究基盤を支える弱体化の問題として少し指摘されておりますけれども、NIMSは長い間、技術者をどちらかというと逆に増やす方向で手当てしております。この技術者がいろいろな共用設備だとかマテリアルデータプラットフォームの構築・運用に極めて貢献していただいております。もちろん研究の部分でも貢献しておりますので、こういった研究職だけではなくて、エンジニア職あるいは一般職の職員を含めた人材確保と人材育成、それから、人事も含めた手当てを今現在力強くやっておりますけれども、これを引き続きしっかりやっていく。女性についてもしっかり、今はまだ女性は20%ぐらいしかいなくて、重要な課題の一つと認識しておりますけれども、女性が働きやすい環境も含めて、今、鋭意、検討、努力を進めているというところでございます。
 それから、少し強調しておきたいところを、最後に81ページでございます。1.3のところに情報セキュリティ及び情報化の一体的な推進とあります。今、マテリアルデータを全国から収集してみんなに使っていただくという体制を構築しておりますけれども、これは翻ってみると、極めて情報の管理をしっかりできるような体制になっていないと危なくてしようがないというところでございます。全国からのデータをお預かりして、基本的には日本国内の産業界、アカデミアの競争力推進のために使っていただくということなので、その人たちだけがしっかり安全にデータ管理をしながら使っていただく空間、これは実はクラウドの中でやっていただきますが、こういった仕組みをNIMSの通常の情報の効率化とともに一体的に推進していくということができるようにするために、本年度までは実は情報の効率化とセキュリティの部門が組織的にNIMSは分かれているのですが、これを新しい中長期目標、来年度からについては統合して、情報管理をしっかりしながら効率化を進めていくという体制を組織的には見直す予定でございます。技術的にも、詳細は申し上げられませんけれども、システム的にも、あるいは運用ルールにおいてもかなり高いレベルの情報マネジメントを取れるような体制を今構築しているところでございます。
 こういった体制によりまして、第4期までで進めておりました研究、それから、社会連携、あるいは日本全体を支える共用設備、あるいはマテリアルデータプラットフォーム、それから知財の活用に代表されるようなイノベーションへの貢献、それから、人材、そういったところのハブとしての取組をしっかりより力強くやっていただけるような目標を現在考えているところでございます。
 私からは以上でございます。
【栗原会長】  ありがとうございました。それでは、本件につきまして、御質問、御意見等ありましたら、御発言をお願いします。高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】  御説明ありがとうございました。JAXA部会担当の高橋です。
 参考として、自動車産業から見た材料や素材の位置づけの変化について、若干コメントしたいと思います。従来は自動車の場合は、エンジンとかトランスミッションのような工学的なシステムが自動車の性能や機能あるいはコストを決定づけてきました。ところが、自動車の構造が大きく変わり、電気自動車など電動車の時代になってくると、性能とか機能やコストを決定づけるものが変わってきます。電気自動車の場合ですと、いわゆるモーター、電池、それから、インバーター、こういった大きな3要素があるわけですけれども、この3つとも全て材料や素材によって性能、機能、コストが決定づけられてまいります。例えばモーターですと、電磁鋼板や磁石、電池ですと電解液や正極材、それから、インバーターですと、シリコンカーバイドやガリウムナイトライドみたいな、正に素材あるいは材料が車の性能、機能、コストを決定づけていくということになる。つまり、もう材料とか素材が、基盤技術というよりも技術や製品に直結した主役であり、中核技術になりつつあるという認識を持っています。
 例えば自動車以外でも、今話題になっている半導体があります。半導体でも今、躍起になって開発が進められている2ナノメートルの半導体についても、これは絶縁材料がその鍵を握っていると言われています。したがって、複雑なシステムや構造物から、材料や素材に主役が変わりつつあるという認識を持つべきではないかなと感じています。大げさかもしれませんけれども、材料を制する者が未来を制すると言っても僕は過言ではないと思います。
 そうなると、材料や素材と、技術と製品の距離が大幅に短縮されます。従来のような研究開発体制や時間軸では国際競争力が保たれるのか、維持できるのかという、そういった懸念もある。そこで、今回、73ページ目でしょうか、法人の位置付け及び役割というのがございますが、その下から3行目のところにも、研究開発成果の最大化を図るということと、その一つ下に、産業界に橋渡しという表現がありますけれども、テーマによっては、産学連携よりも更に踏み込んだ、産学一体の研究開発のような体制が必要になるかもしれません。もちろん長期的な視野に立ったシーズ研究開発は長期戦略に基づいて取り組んでいくべきだと思いますけれども、テーマによっては、産学一体のような研究開発も必要ではないかなと。
 もう1回結論をまとめると、材料や素材が基盤技術から中核技術へ進化し、主役の時代に変わりつつあるよということと、研究体制も、単なる産学連携ではなくて、産学一体のような強力な体制も必要なのではないかなということを今感じています。これは所感としてコメントしておきたいと思います。
 以上です。
【栗原会長】  ありがとうございました。そのようなところはかなり考慮した計画をお立てになっているというふうに拝見しております。
 ほかに何かコメント等。山口委員。
【山口委員】  山口です。どうもありがとうございました。いろいろ工夫されて、体系的に取り組んでおられるというのは大変よく分かりました。
 それで質問ですが、76ページ目のところに、こういう研究として社会課題の解決に貢献するという視点と、技術革新を生み出すためという視点と2つ整理されています。この整理は分類学としては大変よいと思うのですが、どういう材料開発、物質の研究が社会課題の解決に役立つのか、どういうものを社会課題だと認識するのか、そこをきちんと論じるところは大変重要だと思います。
 それで、お聞きしたかったところは、社会課題を発掘するといいますか、何が本当に物質材料の研究に求められているのかというところをどのように機構として議論をして、優先度をつけて研究のリソースをつぎ込むのか、そういった考え方を少し御説明いただければと思います。
【江頭参事官】  ありがとうございます。社会課題のところで、今、研究の領域として考えているのは、エネルギー、環境、それから、いわゆるエレクトロニクス、半導体も含めた電子・光関係の材料、それから、構造材料、そして、磁性・スピントロニクス材料、こういったものが社会課題の解決に貢献するものということでございます。これはいずれも実は、政府が先ほどマテリアル戦略を一昨年まとめたと申しましたけれども、個別に例えば経済産業省が半導体戦略、あるいは余り世の中に知られていませんけれども、蓄電池の戦略とか、あるいは水素、グリーンの戦略、こういった国が中心になってまとめるような様々な戦略に必要なブレークスルーをもたらすような、マテリアルの部分で貢献するような材料、こういったものをNIMS、これは当然、文科省も一体となってやっておりますけれども、そういったものを社会課題の解決に貢献するための研究開発というところに分類しまして取り組もうというのが基本的な考え方でございます。
 ただ、下の方にある技術革新を生み出すところは、産学連携だとか社会連携だとかイノベーションとかということを余り気にしなくていいのかということではなくて、これは評価軸のところでも同じように産学連携、社会連携というところをしっかりやっているかどうかというところを併せて見るようにしておりますけれども、具体的に国が関わっているようないろいろな戦略のところで明確に今、現時点ではなっていないけれども、材料は引き続き、間違いなく基盤的には重要であるというものについて技術革新を生み出すというところに今、分けていると。基本的にはこの2つの考え方はそのような考え方でございます。
【山口委員】  ありがとうございます。今のお話は一般論としては大変よく分かるのですが、一方でリソースを配分しようというときには、例えばエネルギーでいえば、いろいろなニーズというか、いろいろなユーザーがいるわけです。そうすると、やはりユーザーからどういうニーズがあるのかというのを拾い上げるような場を設けるとか、あるいはそういうのを研究のレビューの中で、どういう分野が、例えばエネルギーでも、本当にユーザーのニーズを引き出そうと思えば、いろいろな方がいて、材料に対する期待は極めて高いと思います。是非そこをうまく、現場や実際のニーズを実感しておられる方、研究者、あるいは業界、そういうところから拾い上げていただくような仕組みの工夫をしていただければ、大変効率的に社会課題の解決というところにつながると思います。
 以上です。
【江頭参事官】  ありがとうございます。少し補足しますと、これは当然NIMSとしても実は調査分析の部分を新たに設けておりまして、いろいろな世界の情勢も含めた分析をやっておりますし、先ほど申し上げたように様々な形の産学連携、社会連携をやっているのとは別に、文部科学省が新たに本年度から、実質的には昨年度から少し始めていますが、いろいろな戦略的な材料研究開発プロジェクト、これは昨年度までは元素戦略プロジェクトということで終了したプロジェクトの後継ですが、そこの中でもNIMSを中心に据えまして、いろいろな拠点で、これらの産学の拠点で新しい戦略的な材料開発を行うためのいろいろな取りまとめを行う機関としても私どもは位置づけております。そういったところでも、いろいろな現場のニーズ、あるいは研究開発動向・状況、そういったものがNIMSに集まって、分析して、各拠点の取組にフィードバックするような、そういう仕組みで進めておりますので、そういった取組を通じても、NIMSの方でいろいろなニーズがくみ上げられるのかなと期待しております。
【山口委員】  期待しております。ありがとうございました。
【栗原会長】  部会長の浅見委員、どうぞ。
【浅見委員】  
ただいま議論にあったところは、私の方からも補足しようと思っていたポイントでした。全体観と重点につきましては、非常に分かりやすい御説明を頂いたので、骨格はご理解いただけると思いますが、ただいまのところは非常に重要なポイントで、今回の中長期の目標、計画においては、社会課題解決と、それを推進する、それを生み出すための基盤研究とを大別して設けてあります。これは一つには、素材研究というのは非常に多様といいますか、個々の素材が多様な観点から研究されますので、非常にスペクトルが広いわけです。ですから、個々の研究テーマの位置づけが非常に不明確になって、研究のための研究に陥ったりするということが心配されるという理由から、こういう2つの目標に分けて位置づけが明確になるようにするという狙いがあります。
 もう一つ評価という観点では、それが本当にいいテーマなのか、あるいは意味があるのかということについては、ただいまお答えいただいたところでほとんどそのとおりですが、もう少し具体的に言うと、例えば基盤研究に対してはアカデミアを中心とした世界でも最先端の研究をしている学識経験者、正に研究している方からのアセスメントを受ける場を設けて、本当に世界の先端を進むテーマになっているのかどうか、さらにそれらの取捨選択について議論する場として機能させています。
 それから、社会課題の解決に対しては、これは先ほどの説明の通りですが、産学官連携とかマテリアルオープンプラットフォームとかいう形でかなり産業界の方に入っていただいて実際に研究をしている場があるので、そこでかなり突っ込んだ、何を目標にしてどういうテーマでやるのか、どこまで行ったら本当に意味がある成果なのかというようなことを議論いたします。そういう社会課題解決、そして基盤研究の具体的な進捗に対して、評価部会の方で、本当に成果が出ているのかどうかを議論するというような形で、幾つかの観点から研究の位置づけとか意味とか成果とかいうものを議論できるような仕組みをつくってあります。
 ただ、そうは言っても、本当にそれが実効ある成果につながる形で機能するのかというのはこれからしっかり見ていかなければいけない部分でありますので、今日頂いたような御意見、マテリアルが本当に中心になってくるというようなところは正にそのとおりですし、社会を動かすための重要なテーマでありますので、その辺についてはNIMSの方でも当然よく自覚していると思いますので、今日の御意見をしっかり運用面で発揮できるような形で進めていただけると期待しております。
 いずれにしましても、今回のこのただいま投影してあるページ(70ページ)には、NIMSがこれから中長期的に何をやっていくのか、何を目指すのかというのが非常に分かりやすくまとめられていますので、こういう形で進めていければと思っております。
 以上、補足させていただきました。
【栗原会長】  ありがとうございました。1点だけ質問させていただきます。今の点です。社会に貢献する技術と新しい未踏領域の開拓は、正にやるべきことなので、理念的には非常によく分かるのですが、これはテーマとして例えば磁石とかスピントロニクスとか、あるいは構造材料のときに、社会に貢献するテーマと未踏のものを1つの研究領域の中できちっと分けて、このテーマはこういうものだからこういうふうにより推進しなさい、あるいはこれは未踏のところだから少し待ちましょうとか、時間がかかるとか、あるいはそこに芽が出てきたらより資金を投入するとか、そういう運用をどういう形で組織としてやるのかが非常に重要だと思うのですが、この2つの目標はかなり入れ子になり得るというか、同じ課題の下にあり得るものだと思います。例えば分かりやすいのは構造材料とかでもいいですが、今までの領域が、スピントロニクスだったらスピントロニクス、エネルギーというような区分に比べると、更に丁寧なマネジメントとか報告が必要になると思うので、そこは少し注意して運営していただくというのは必要ではないかと思います。
 あるいは、例えば運営側に社会課題に対してのマネジメントを見る方と未踏の部分をしっかり見る人を入れていただいて、キャッチボールをうまくしながらやるとか、何かそういうことが必要なのではないかと、これを拝見して少し感じているところです。
 新しい研究と社会貢献を、うまく次から次へシーズを出しつつ、社会にまで届けるというのは、全体としてはすごくチャレンジングなスキームだと思いますので、是非部会としても、評価の観点を丁寧に見ていただけると有り難いと材料分野の研究者の1人としても思いますので、よろしくお願いします。
【浅見委員】  時間がないということなので手短にコメントさせていただきますが、今の点は極めて大事で、企業の中の研究でも全く同じだと思うのですが、応用と基礎というのは、縦軸、横軸のいわゆるマトリックス構造みたいになっていると考えています。実際に社会課題解決の研究をしていると、大体90%以上はうまくいかずに行き詰まることが多いわけです。そういう行き詰まったときにどうするかというと、やはり基礎的なブレークスルーを求めて基礎研究に強い研究者と一緒に議論するというようなことが必要になります。個々の研究者の間では、応用面をやりながらも基礎をやる人との交流というのが大事で、NIMSの場合はオープンな環境で相互的な交流が非常に活発だと思いますので、そういうことがうまくいくようにマネジメントの面も含めて評価の方からの意見も伝えていきたいと思います。ご指摘いただいた点は極めて大事な視点だと思いますので、是非気をつけていきたいと考えます。どうもありがとうございました。
【栗原会長】  よろしくお願いします。ということで、まだ御意見があるかと思いますが、時間が押していますので、ここでこの課題については終了できたらと思います。
 特段に何かご意見あれば、よろしいでしょうか。かなり重要な視点、皆さん御意見いただいていると思いますので。
 まだ、それでは御意見あるかと思いますが、時間をある程度守って進めたいと思いますので、重要な視点についていろいろな観点から御意見いただき、ありがとうございました。
 それでは、NIMSについてはこの形で、特段何か発言が、これだけは是非というのがあればお受けしますが、なければ、次に移りたいと思います。ベントン委員。
【ベントン委員】  ベントンです。社会実装にもフォーカスすることは本当に大変いいことだと思います。また、今の世の中では、技術はやはり日常的に国際的な共同研究をやらないと遅れます。日本もこの10年間、20年間遅れつつありますので、ここのNIMSの中期計画を見ても国際的な情報発信をすると書いているけれども、余り国際的な共同研究を促進するということを書いていないと思います。
【栗原会長】  先ほどの御説明だと、非常に国際共著論文が多いので、非常によくやっていらっしゃるという御説明でした。
【江頭参事官】  国際共同研究という言葉ではなくて、頭脳循環と国際交流というところで表しておりまして、その結果の一つとして国際共著論文の割合がNIMS全体の中で半数を超えるということになっておりますので、いわゆる国際的な学術交流、研究交流というのは、恐らくかなり活発にやっているところではあると思っています。これは更にしっかりやっていきたいと思っております。
【ベントン委員】  確認ありがとうございました。
【栗原会長】  ありがとうございました。それでは、NIMSの中長期計画については、これで終了したいと思います。
 次は、防災科研の次期中長期目標案についての説明に移ります。防災科研部会事務局よりお願いいたします。
【吉田防災科学技術推進室長】  それでは、防災科学技術研究所の中長期目標案について御説明いたします。防災科学技術推進室長の吉田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料4-2を御覧ください。通し番号で113ページになります。こちらの概要を用いまして、御説明したいと思います。
 まず、策定に当たってのポイントということで、上の青い四角の中に背景を書いてございます。1つ目、気候変動とも関連して災害の頻発化や激甚化が起こっていること、それから、人口減少や少子高齢化など、自然災害に対するリスクが高まるような社会環境の変化が懸念されているということを挙げております。それから、我が国としても、南海トラフ地震などのような国難となり得るような大規模災害をはじめとして、ほかにも大雪や大雨などあらゆる自然災害を乗り越えていく必要があるという状況でございます。それに対応するために、自然災害に対するオールフェーズに対応した災害に強いレジリエントな社会の実現のためには、国や自治体、それから、民間企業、国民等各主体の意思決定の根拠となるような科学的な知見を提供するということで災害への対応能力の向上をしていくということが課題となっております。
 こういったことを踏まえまして、矢印の下ですけれども、安全・安心な社会を実現するために、長期的な視野に立ちまして、継続して防災科学技術の研究開発に取り組む必要があるというのが背景となっております。
 その下の四角におきまして、防災科学技術研究所で取り組むべき重要な事項を4つ挙げております。一番上が、科学技術・イノベーション基本計画や国土強靱化基本計画等を踏まえた防災科学技術の研究開発を推進、2つ目が、我が国全体としての研究開発成果を最大化するための効果的・効率的な組織運営、3つ目が、関係府省や地方公共団体、大学・研究機関、企業等との連携や競争の強化を図るということ。それから、4つ目が、人文・社会科学と自然科学の融合による総合知を積極的に活用してイノベーションの創出に取り組むと、この4つの点を挙げております。
 次のページを御覧ください。具体的な中身に入ってまいります。2ページ目です。まず構成となっておりますけれども、目標期間は7年間を設定しております。それから、ローマ数字の1ポツ、2ポツと始まりまして、3ポツ目がいわゆる研究開発の中身の部分です。右側、4ポツ以降が運営に関する事項を並べております。
 3ポツの研究開発の部分で、今回の目標案で大きなポイントが2つあります。1つ目が、1ポツの(1)に知の統合を目指すデジタル技術を活用した防災・減災に関する総合的な研究開発の推進という項目を今回初めて立てております。これが1点目。それから、2点目が、2ポツとして、レジリエントな社会を支える研究基盤の運用・利活用の促進という項目を独立して立てております。これが2点目のポイントとなります。
 詳細についての御説明に移りたいと思います。3ページ目、次のページ御覧ください。こちらは、先ほどのローマ数字3ポツの研究開発の中身の部分を詳細に記載した部分になっております。1ポツから3ポツまで分かれておりまして、1ポツ目が防災科学技術の研究開発の推進という研究開発部分、2ポツ目が研究基盤の運用・利活用の促進、3ポツ目が中核的機関の形成としての取組と、大きく3つに分かれております。
 1ポツの(1)に挙げておりますのが、知の統合を目指すデジタル技術を活用した総合的な研究開発の推進がありまして、具体的には防災・減災に係るデータの統合や流通基盤の整備とか、復旧から復興までのモデル化やシミュレーション技術の開発、それから、情報プロダクツの生成等を挙げております。先ほど御説明したとおり、この項目は今回初めて項目立てしているものであります。その趣旨としまして、近年の防災の現場では、デジタル技術の活用に大変注目が集まっております。災害の情報を素早く関係機関で共有するための情報流通基盤をつくる、あるいは人流や物流なども含めた社会の被害状況を正確に推定するシミュレーション技術を開発するとか、あるいは様々な情報を分かりやすく届けて人々の行動変容につなげるための研究開発などが重要となっております。そのためには、地震や津波や大雨などの災害を個々に研究するだけではなくて、人文・社会科学も含めた幅広い知見を分野横断的に統合することが必要でありまして、その基盤としてデジタル技術を活用するということが非常に重要となっております。こうした背景を踏まえまして、知の統合を目指すという、1ポツの(1)を一丁目一番地として項目立てしております。
 次に、1ポツ(2)がその知の統合に必要な防災・減災のための基礎研究及び基盤的研究開発の推進ということで、丸1が地震・津波・火山災害に関する研究開発、丸2が大雨や大雪などの気象災害の被害軽減に向けた研究開発を挙げております。こちらも先ほどの(1)の知の統合に向けて必要となる研究開発でありますので、引き続き確実に推進していきたいと考えております。
 続いて、2ポツであります。研究基盤の運用・利活用の促進ということで、こちらも今回新しく項目立てしております。(1)が基盤的観測網の運用・利活用促進ということで、MOWLAS、モーラスといいますけれども、防災科学研究所が持っております、全国に張り巡らせた地震や津波の観測網、これをしっかり整備・運用するとともに、観測データを関係機関としっかり共有して活用を促進するということを(1)に挙げております。
 それから、(2)が先端的な研究施設の運用・利活用促進ということで、いわゆる大型の実験施設、E-ディフェンスという地震を模擬するような大型の震動台とか、大雨の実験施設や、雪や雪氷の防災実験施設等を各地に持っておりますので、これらを効果的・効率的に運用していくということと、民間企業等も含めまして外部機関による利活用を促進していくということを(2)に挙げております。
 それから、(3)が情報流通基盤の運用・利活用促進ということで、先ほどデジタルのところで少し述べましたけれども、情報共有のための情報流通基盤ということで、SIP4D、エスアイピーフォーディーと読みますけれども、そういった情報システムを開発しておりますので、それをしっかり整備運用するとともに、関係機関と連携してそれを利活用する体制を構築していくということを(3)に挙げております。
 それから、3ポツが中核的機関の形成ということで6点挙げております。(1)が産学官民共創の推進、(2)が災害情報のデジタルアーカイブ、(3)が研究開発の国際展開、(4)が人材の確保と育成、(5)が防災行政への貢献、それから、(6)が情報発信と双方向コミュニケーションとしております。以上で研究開発のローマ数字3ポツの部分を構成しております。
 次のページにお移りください。4ページ目、通し番号116ページ目以降は、各種の政策文書や留意事項への対応状況ということで書いてございます。まず、科学技術・イノベーション基本計画で、先ほど少し御説明ありましたが、総合知を積極的に活用する旨、目標の中に位置づけるということが定められておりますので、矢印の下で中長期目標案から抜粋しておりますけれども、そうした文言を盛り込んでおります。
 次のページ、5ページ目に移りまして、こちらも上の方は科学技術・イノベーション基本計画から、研究データの取扱いについて記載がありますので、これを反映しております。それから、下の方の四角が、総務省の独立行政法人評価制度委員会の留意事項ということで、防災科学技術研究所に対しては、国内外の産学官民のステークホルダーとの多様な形態での連携構築等を一層推進していくほか、連携に係る取組や成果を適切に分析評価するということが書かれておりますので、こちらも中長期目標の中に適切に盛り込んでおります。
 それから、次のページ、6ページ目、通し番号で118ページ目ですけれども、こちらは科学技術・学術審議会の下に防災科学技術委員会が設置されておりまして、そちらの方で令和4年9月に提言がまとめられております。その中で防災科学技術研究所における研究開発のあり方ということで防災科研に対して期待する項目が並べられております。デジタル技術、シミュレーション技術等という記載がありますので、こちらも矢印の下のように盛り込んでおるという状況でございます。
 すみません、駆け足でしたけれども、私からは以上です。
 中川部会長の方からもし補足等ありましたらよろしくお願いいたします。
【中川会長代理】  ありがとうございます。中川です。135ページを出していただけますか。
 御説明ありがとうございます。私としては、ポイントとしてはここの部分、なかなか今の御説明だけだと分からなかったことをこれに基づいてお話をしたいと思います。右側が現行で、左側が次期ですが、今の話を聞いているともっともだなという気がすると思いますが、もともとこれまで我々が評価してきた現行計画は右側で、どちらかというと現行の、2の基盤的研究開発の推進というところで、地震や津波、火山をやっていますとか、大きな装置がありますとか、災害リスク、気象災害をやっていますというような、まずハザード別の整理があって、それから、中核機関ですという、上下少し逆に書いてありますが、そういう書き方になっていたわけです。
 そもそも次期ではまず何を目指すのだということをまず一番に、防災・減災に関する総合的な研究開発をやるということが頭に置き、次に地震や火山とか気象災害というようなものを使っていくための研究開発をやっていきますよと。2の方で、その基になる研究基盤をしっかり取り組んでいきますよと書いてあります。
 これまでの計画ですと1の(2)に基盤的観測網・先端的研究開発の運用・共用促進ということがそこにうたわれていていたのですが、この部分が余りちゃんと価値づけられていなかった。お金がかかるのですが、そういうことが基盤だということを明確に打ち出したということが今度の中長期目標だと私は理解しています。
 かつての独法のときには、そういう観測網とかいうのは大変運用コストがかかるので、この小さい研究所にとってはなかなかお荷物的なものだということを元の理事長に話を評価のときに聞いたりもするぐらい位置づけが十分でなかったということを、1をちゃんと目指すために、ここは大事ですということを言いました。
 また、3について、中核機関としてあるべきこととして、例えばこれまでですと、連携という、言うのは簡単でも実質にはなかなか難しい言葉として連携と書いてありましたが、それを実際に、一緒に何か価値をつくっていくということにおける共創という言葉に置き換えていくなどということで、中核ということで何をするのかということを、6つ並んでいますけれども、中身としてはそういう意識で書かれていると理解しています。これは今期、理事長の林さんがこの間ずっと、防災科研の研究者やいろいろな方と、特に内部で対話をしながらつくってきて、この防災科研らしい中長期の目標になっていると理解しています。
 また、我々評価する側として少し意識したのは、131ページから、評価軸とモニタリング指標のところです。なかなか結果的にはモニタリング指標としてパチッとしたものまで言えなかったのですが、少し工夫したところでいうと、右側の評価指標として、「研究開発の進捗に関するマネジメント取組状況」と書くことによって、モニタリング指標の中で自己評価をしながら、マイルストーンみたいなものを自分たちで見つけていく。そういうことがある意味でマネジメントなのだ、そういうことをやることを評価するよということを書いておくことによって、今後、実際に研究をしていく中でモニタリング指標を自分たちで見つけて、それをマイルストーンにしてしっかり仕事をしてもらいたいと。それをきちんと我々は評価しますということをここに入れさせてもらって、議論した結果というふうになっていると思っております。
 以上補足でした。ありがとうございました。
【栗原会長】  ありがとうございました。それでは、本件について御質問、御意見等ありましたら、御発言をお願いします。
 五十嵐委員、お願いします。
【五十嵐委員】  五十嵐です。説明、よく分かりました。説明の中で、第6期の総合知に関してそこをどう取り組むかという話がありました。例えばデジタル技術、ここを活用したところに総合知、人文・社会科学の知見も取り入れていくという話がありましたが、この防災に関しては、例えば災害が起きたときの人間の行動とか、そのようなオーソドックスな人文・社会科学とか総合知が活用できるところだと思います。何かその辺でもう少し深く、部会あるいは文科省の中で議論した話題がありましたら、お聞かせ願いたいです。
【吉田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。今御指摘いただいたとおり、正に防災という観点を考えると、総合知とか知の統合というのは非常に重要で、むしろそれをやらないと何も始まらないと。防災科学研究所も、いわゆる論文を書くというのはもちろん研究者として重要ですが、やはり災害対応の現場で使ってもらえるような技術に結びつけていくということがミッションとして非常に重要と考えています。これは今の林理事長も非常に強く言われていまして、そのためには知の統合が必須と思っております。
 そのために防災科研としての取組で、いわゆる人文・社会科学の先生方に来ていただいて、そのための部門を立ち上げるといった取組とか、あるいは防災科研の研究のやり方として、分野横断的な研究開発を進めるということで、防災科研自体のDXを進めていくということが重要だという議論をずっと続けております。中川先生からも同じような御指摘をたくさん頂いておりますので、次期ではそういった取組を是非加速させていきたいと思っておりまして、目標の中にもはっきりとそういったことを一丁目一番地として書かせていただいております。
 私からは以上です。
【五十嵐委員】  ありがとうございました。例えば評価軸とか評価指標の中でそれが分かるようなところがもしあったらと思ったのですが。それは多分あると思いますので、今日は時間もありませんから結構ですけれども。そういった議論をかなり活発にやってきたということはよく分かりました。ありがとうございました。
【中川会長代理】  少し補足です。中川です。ありがとうございます。防災の場合の人文・社会学的、総合知になるような理学・工学でない部分の研究については、正直なところ、事例止まりになっているというか、本当に総合的なものにまで至っていないのではないかというのは部会でも議論しているところです。逆にもっとそこはチャレンジングにいろいろやってほしいというところは期待しているところなので、次期の中でそういうものが生み出されていってほしいというのはみんな願っているところです。どうしてもつまみ食い的なことをやっていると総合知的に見えてしまうので、それでは駄目でしょう、ということは割と議論はされてきていると思いますので、期待をしております。よろしくお願いいたします。
【五十嵐委員】  ありがとうございました。
【栗原会長】  それでは、ほかに御意見、御質問等ありましたらお願いします。
【三枝委員】  すみません、三枝です。
【栗原会長】  はい、三枝委員。
【三枝委員】  ありがとうございます。今の議論にもありました知の統合あるいは人文・社会科学と自然科学の融合に関わるところは、私もどういうところに注力されるのかなと思いながら拝見しておりました。
 それで、一つ質問ですが、最近ますます明らかになってきた新しい問題としまして、気候変動の影響に伴う台風など、あるいは風水害、土砂災害などの激甚化などについては、防災という考え方に加えて、気候変動の影響に適応する社会をつくっていく、様々な手法でそういうふうにつくっていくというような、こちらは防災科研だけではなく、関係する府省庁や自治体等との協力が必要になるかもしれませんが、そういった考え方も最近非常に重要と思われつつあるように思うのですが、こうした視点での総合知を目指すというような考え方はいかがでしょうか。
【吉田防災科学技術推進室長】  御質問ありがとうございます。今御指摘いただいたとおり、気候変動に対する対応は非常に重要となっておりまして、防災科研の方でもそういった気候変動を踏まえた気象災害の研究はもちろんやっておりますし、それを踏まえて社会をどうするかといったもう少し大きな視点については、防災科研だけでは抱え切れませんので、ほかの研究機関や関係府省とも相談しながらそういった研究開発も進めていきたいと考えております。御指摘ありがとうございました。
【三枝委員】  少し付け加えますと、そうすると非常に間口が広がるといいますか、研究の幅が広がると思うので、全部やろうとすると大変だと思うのですが、ここは防災科研がやる、ここは他府省と連携してやるというような視点がもしありましたらお伺いできればと思います。
【中川会長代理】  中川です。補足ですが、他省庁ということになりますと、例えば農水省なんかと、実はCSTIがやっているSIPの中で農研機構と一緒にため池防災とかいうようなことをやっているわけですが、あれはある意味で適応の話を考えていかなければいけないことになっているので、実際の研究の中でそういうことを他府省と一緒にやっている面はあると思います。ただ、適応ということとなると、農水も含めていろいろな省庁が関わってくるので、具体的に多分いろいろなほかの研究テーマを出すときに、そういうものが出てくれば積極的に評価していくというような形で多分見ていくべきなのかなと。
 そもそも気候変動に適応ということだけでなく、例えば一般の自然災害に対しても、例えば家を強くするとかそういうことのインフラを強化するのもある種の適応でございますので、もともとその分野というのは、防災科研がやらなければいけないミッションだと思いますので、特に、気候変動に関する適応に関しては最近よりホットなテーマになってきているところだと思いますけれども、頭に置いてやっていただいていることを私たちも評価していきたいなと思っています。
【三枝委員】  分かりました。ありがとうございました。
【栗原会長】  ほかにございますでしょうか。山口委員。
【山口委員】  どうもありがとうございます。山口です。大変重要な研究の領域なのですが、防災は実効的にやろうと思うと、やはり自治体の役割が大変重要だと思います。それは、タイムリーに最新の地域における情報を集めるという情報収集、これから、そういうものを時系列で新しく更新していくような動き、それから、いざ防災というときに迅速に動く機動力といいますか、そういう意味では防災のこういう枠組みの中に自治体の方が何らかの形でコミットできるような形が望ましいと思うのですが、そういう点について少し議論されていたらお伺いしたいと思います。ここには講師の派遣というようなのがありましたけれども、もう少し踏み込んだ取組が必要じゃないかと考えた上での質問でございます。
【中川会長代理】  ありがとうございます。ここの中でSIP4Dと書いてあるのが、これはCSTIで、当時は防災科研ではなくてJSTが請負法人になり、2期は防災科研が請負法人をやっています。実はそこは一応、各省庁の持っている情報の一元化みたいなことがミッションになっていますが、防災科研としては、基礎自治体、市町村にまでできるだけその情報を共有していこうと、正に今おっしゃったようなことをやっていこうとされています。それは前期第4期の前からずっとその研究を進めていることで、そこがずっと防災科研の高評価につながってきた部分でもあるので、おっしゃるとおりのところであります。
 ただ、なかなか難しいのが、本来誰がやるべき仕事なのかということになると、研究開発ではない実務も出てきまして、やるべき省庁にやってもらわなければいけないところと、研究開発法人としてやるべきところの線引きというか、そこも含めてどういうものがあるかという研究開発も是非やってほしいということは、我々前期の見込み評価のところで実は議論をしたところです。そこまでのレールをひいて、ちゃんと役所、出てくるところまで持たせて、それで各自治体も動けるような、そんな仕組みをつくるのは最終的にはやはり省庁の仕事だと思いますので、そこまで研究開発法人として支えながら、ちゃんと渡せるみたいなところまで持っていってもらいたいと思っています。
 最後にSをつけなかったのは、そこの理由もあったので、それは正に私たちとして一番評価したいところだと思っていますし、是非そんなところを次期の計画では真っすぐ真ん中に出してきてもらうようにしてもらいたいと思っています。ここに書いてあることは、何かそれしか見えないような気がしますけれども、実はその部分はすごくど真ん中にあると思って理解いただければ結構だと思います。
 それとも一つついでに言うと、民間企業、事業者に対してもそういう情報をきちんと共有化して、事業者が事業者として自己判断ができるような情報を提供していく、一緒に対策をしていくということも狙いに入っていることも付け加えておきます。
【山口委員】  総合知というのを取り込むというのはそういった実効性をちゃんと持つのだということで、今、研究か行政かというお言葉がありましたけれども、確かに悩ましいところなのですが、少し実践的にやるために、是非部会の中で御検討いただければと思います。ありがとうございます。
【中川会長代理】  ありがとうございます。ありていに言うと、ちゃんと成果を利用する側の行政も導入や運用の予算をつけてくださいという話ではあるんですけれども。よろしくお願いいたします。
【栗原会長】  吉田さんの方から補足はおありですか。
【吉田防災科学技術推進室長】  特にございません。ありがとうございます。
【栗原会長】  ありがとうございます。それでは、ほかに御意見、御質問等はありますでしょうか。ないようでしたら、本件についてはこれで終わり、次に進みたいと思います。次は、QSTの次期中長期目標についてです。QST部会事務局より御説明をお願いいたします。
【迫田量子研究推進室長】  量子研究推進室長の迫田から御説明させていただきます。
 156ページをお開きいただければと思います。量子技術に関しましては、かなり量子コンピュータ、量子センシングをはじめとしまして、大きな社会変化がございます。真ん中の方にこの法人を取り巻く変化を掲げております。
 1つ目は、国家戦略に基づく量子技術イノベーション拠点としての役割ということでございます。数年前に量子生命拠点として量子技術を使ったセンシング、量子生命関係のセンシング、これを目途とした拠点が立ち上がりました。昨年にも4月に新しい戦略を策定しまして、今度は量子マテリアルという、量子コンピュータ、センシング、通信にも共通するマテリアルでございます。国家戦略上かなり重要な物質でございますけれども、こういったマテリアルを供給するような拠点ということで量子機能創成研究拠点として指定したところでございます。この拠点はQSTの方にやはり強みがあるということで指定をさせていただきまして、これから体制づくりをしていくといったところでございます。こういった、国際競争力に勝つためにしっかりと拠点としてアドオンしていくといったところで、QSTとしてもこれに対応する取組が必要というようなことでございます。
 2つ目が、がん、認知症等克服、健康寿命延伸等に向けた予防・診断・治療の統合ということでございます。量子センシング技術を一つ取り上げますと、かなり微量な物質でも従来よりもかなり高感度にセンシングできるという技術がございまして、こういった技術は予防にもかなり使えるだろうと。ただ、予防以外にもしっかりと診断・治療にもつながるような、一体的に捉えていきましょうという動きが医療の世界では今趨勢になっておりますので、こういったニーズに対応していくために、従来の縦割りみたいなところも解消しながら、横で連携しながら予防と診断・治療の各部門が一体となった取組を行って、予防・診断・治療の統合を行っていくといったことも必要だろうと捉えております。
 3つ目が放射線影響、被ばく医療に関わる公的機関としての役割でございます。こちらにつきましては、引き続き長期的に、なかなか社会としてフォーカスされにくい分野ではございますけれども、ただ、有事の際にかなり重要な分野でございますので、長期的に着実に安定的に人材育成、また、技術の蓄積もしていく必要があろうということで、こちらについても安全・安心な社会を構築する観点から重要な取組だろうと捉えております。
 次がカーボンニュートラル等の持続可能な社会への貢献ということでございます。特にこの第1期中期目標中にこういった概念が打ち上げられたと捉えております。核融合が代表的にQSTで取り組んでいるような分野の取組でございますけれども、これに加えて、例えばリチウム電池のリチウムの回収、循環の技術であったり、ここから派生した技術開発とか、また、次世代の燃料電池の電極材料であったり、そういったところもかなり活発に行われていますので、こういった面でもカーボンニュートラル等に貢献できるのかなと考えております。
 5つ目がNanoTerasuです。こちらにつきましては、東北大学の敷地の方に今整備をしておりますけれども、運転開始がいよいよ間近に迫ってきたということで、地域又は全国の企業さんと連携しながら、しっかりとこれを運用・活用していく必要があろうということで考えております。
 こういった変化を捉えまして、かつ第1期中長期期間において平野理事長のリーダーシップによって、いわゆる何もなかった状態と言ったら変ですけれども、そこから新しい様々な量子生命技術の開拓であったり、また、量子メス一つにしても、様々な部門が連携しながら、レーザー部門であったり、又はITERの超電導部門と連携しながら小型化に努めてきたということで、この部門間の連携も含めてかなり活発に今グッドプラクティスを出してきたと。
 こういったところを踏まえて第2期は、今までの成果を大事にしながら、更にこれに甘んずることなく新しい領域を開拓していく。例えば量子機能創成拠点のような新しい量子マテリアルの開拓を行っていったり、また、量子センシングを使った予防・診断・治療の一体的な統合に向けた取組であったり、こういったところをしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 QSTはやはり様々な取組、知見があるということもございまして、社会、経済、環境、医療であったり、また、安全・安心な社会に貢献していく社会面であったり、また、今、経済成長の要となっている量子技術に関する技術を持っている。また、カーボンニュートラル等の環境にも貢献しているということで、社会、経済、環境が調和した持続可能な社会、SDGsに貢献していくことが重要であろうということで、ここを打ち出して新しい中長期目標にしていきたいと考えております。
 次のページでございます。中長期目標の構成でございます。こちらにつきましては、3が本体の方になりますけれども、1ポツの量子科学技術等に関する研究開発が、研究開発の本体部分でございます。また、2ポツの放射線被ばくから国民を守るための研究開発と社会システム構築ということで、こちらは原子力規制委員会と共管の部分でございますけれども、放射線影響、被ばく医療に関する取組でございます。3ポツ、4ポツに研究開発の成果の最大化のための関係機関との連携、又は人材育成、アウトリーチ等、そういった取組を掲げているということでございます。
 158ページ目でございます。この項目立ては、現状と、第1期と第2期がどう変わったのかといったところでございます。ポイントを御説明いたしますと、一番上の方、1ポツの方でございますけれども、一番大きく変わった点としましては、大くくりをさせていただきました。先ほどの総合的な目標を目指すからにはやはり部門間連携をしながらしっかりと、タコつぼ化して自分たちの技術だけを追求するのではなくて、様々な目標、社会的な課題に対して、デザイン思考で様々な技術要素を組み合わせながら、連携しながら取り組んでいくということを大事にしたいという観点から大くくり化をさせていただきました。(1)、(2)、(3)に大くくり化しましたけれども、(4)の方で異分野連携・融合による萌芽(ほうが)・創成的研究開発ということで、(1)、(2)、(3)の横断的な取組も行うような項目も設けております。
 2ポツに放射線被ばくから国民を守るための研究開発社会システム構築というところでございます。こちらは原子力規制庁さんと様々相談しまして、こちらの方も大くくりにしていきましょうということで、放射線影響、被ばく医療研究と、又は公的研究機関として担うようなそういった機能を一体的に捉えていくという観点から、こちらの方も大くくり化をさせていただきました。
 3ポツが研究開発最大化のための関係機関との連携推進ということで、NanoTerasuを特に大きく打ち出しながら、ここを核として産学官連携を推進していく、また、ほかの仕組みを含めて産学官の連携も進めていく、国際協力を進めていくとというところにしております。
 4ポツの方は、大きく変わった点としては、4ポツの(3)番、研究環境のデジタル化及び環境促進でございます。やはり昨今、デジタル化、ビッグデータ化してしっかりと活用していくといったところもございますので、このデジタル化活用推進も行っていく。また、コロナ禍以降、遠隔で実験をしていくようなそういった事例もございますが、こういったところも伸ばしていきたいと。ユーザビリティーの向上にも資するような、そういった遠隔での実験環境といったところも、共同研究や、また、外部利用促進の観点から重要だろうということで、こちらも含めて意識するために打ち出しております。
 次が159ページ目でございます。各項目の概略でございます。1番目が健康長寿社会の実現、生命科学の革新に向けた研究開発でございます。こちらについては、量子生命科学に関する研究開発ということで、量子センシング、特にこういったところを伸ばしていきながら、また、量子生命拠点は、政府の拠点として、国の拠点として、国際競争力強化、また、産学官連携のハブとなるような機能を発揮していきましょうということを書いております。
 また、がん、認知症等の革新的な診断・治療技術に関しましては、TRT技術であったり、また、画像診断技術であったり、これは従来取り組んでおりますけれども、こういったところも含めてしっかりと高度化を図っていきましょうと。また、大きな傘の下に量子生命科学、1番目の項目と比較的新しい量子技術と組み合わせながらしっかりやっていきましょうということで掲げております。
 次は人材育成・確保ということで、こちらの方は、量子生命科学分野はまだ新しい分野でございますけれども、世界的にも大変不足が起きていますので、しっかりと長期的な視野を持って、また、若い技術領域でございますので、若手研究者をしっかりと育成していくといったことも意識して行いたいと考えております。
 真ん中が量子技術の基盤となる研究開発でございます。量子機能創成拠点としての役割の発揮であったり、また、レーザー技術を使って量子マテリアル等の機能創製だったり、解明であったり、また電子ダイナミクスの可視化であったり、量子状態の制御、こういったところも新しく生み出していくといったことも書いております。また、こちらの方、量子技術の基盤となる研究開発を行っていくということをしっかりと位置づけております。こちらも新興分野でございますので、やはり若手研究者ということを意識しております。
 核融合エネルギーの実現に向けた研究開発、右側でございます。こちらは、ITER計画を着実に実施していくとともに、また、BA活動におけるJT-60SAの稼働とか、また、次の原型炉設計や、そういったシミュレーション技術等を行っていくといったことを書いております。また、人材の育成・確保につきまして、こちらは長期的な視野を持って、また、国際共同研究連携を推進する人材をしっかりと着実に進めていきましょうということを書いております。また、巨額な予算が必要になってまいりますので、また、いろいろなステークホルダーとの連携が必要になるので、アウトリーチ活動もしっかりと行っていくといったことも書いております。
 下の方に、こういった縦のピラーを連携するような、横断するような取組も意識してしっかりやっていきましょうということで掲げております。もともと別々の法人の研究所だったところもありまして、こういったところを意識して行わないと縦割りになってしまう可能性もあるだろうということで、こういった横串を刺していくといったところをしっかりとリーダーシップを持って進めていくという観点から強調して書いております。
 160ページ目でございます。こちらの方は放射線被ばくから国民を守るための研究開発・社会システム、これは規制庁との共管の部分でございます。こちらもしっかりと放射線影響に係る研究を着実に行っていく、被ばく医療に係る研究、また、基幹高度被ばく医療支援センター等の指定機関としてしっかりと取組を進めていきましょうといったことも書いております。
 左下の方に、NanoTerasuを使ってしっかりと関係機関と連携していきましょうということや、また、特に産学官連携を進める際に、やはり研究者だけではなくて社会との接続をするようなTLO人材といいますか、URAといいますか、そういったところの人材配置がやや優先順位が低く見られがちなところがありましたので、しっかりとこういった社会との接点を持つような、コーディネートするような人材配置も行っていきましょうということも書いています。
 また、右側には、人材育成、また、アウトリーチ化、先ほど申し上げましたような研究環境のデジタル化・活用推進、クラウド技術を活用した信頼性・安全性の高い、そういった研究環境を推進していきましょうといったことを書いております。
 161ページ目以降は、様々な政策や、審議会での御意見等の反映状況でございますので、こちらについては時間の関係から省略をさせていただきます。
 事務局からは以上でございます。
 あとは、栗原部会長、又は山田副部会長もいらっしゃいますので、何か補足等ございましたら、よろしくお願いいたします。
【山田委員】  部会での議論で2点あったと思います。一つは、数値目標の扱いというのが結構議論になりました。これはほかのところでも共通していると思います。そこで、数値目標というのは飽くまで目的があった上で出てきているものであって、そこを間違えないようにしないといけないというのはもちろんのことですが、さりとてやはり数値目標というのは非常に、例えばKPIをフォローしていくのも大事だということで、モニタリングはしっかり数値に沿って行うと。ただし、そのときに質を同時に問うということを忘れてはいけないというような議論がありました。
 それともう一つは、人材育成については今御説明あったとおりですけれども、分野が幾つか、ある意味縦割りといいますか、言い方が少し悪いですけれども、ピラーごとに特徴がありますので、それぞれの分野において人材育成を評価した上で、法人全体としてもう1回横串を通した評価を行うというような議論がありました。
 以上でよろしいでしょうか。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。それでは、今の件に関して、御質問、御意見等あればお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ、国崎委員。
【国崎委員】  国崎です。お話ありがとうございました。御説明の中で私が気になったところが、今、世界で気候変動と、それから、ウクライナ・ロシアの情勢というところが大きな関心ではなかろうかと思っているのですが、その中で、我が国は東日本大震災で福島県における放射線による影響を受けているということがあります。改めて国際的な貢献とか、特に今後の情勢によっては核の使用というところもあるかもしれない。そういった中で、もし行われた場合の被ばく予測とか、それから、社会的なもの、そして、人体における影響を含めて、我が国が国際的に貢献できるところはたくさんあるのではないかと思っているわけですが、この点について、私の資料の読み取りが浅いのかもしれませんが、どのように国際貢献というか連携をしていくのかというところに関して、御説明いただけると有り難いと思っております。
【迫田量子研究推進室長】  ありがとうございます。こちらにつきましては、本体の方にも書いておりますけれども、やはり放射線の影響は越境しますので、また、本当に今、ウクライナ情勢等でそういった懸念もございますので、常にこの研究所の方でも国際機関、また、国際情勢にしっかり対応できるような準備もしております。また、日頃からしっかりと被ばくに関する知見をシェアリング、国際機関と共有するような形で提供しておりますので、こちらの方は引き続き行ってまいりたいと思います。また、火を絶やしてはいけないというか、しっかりと日本としての責務といいますか、貢献をしていくという取組はしっかりと強調したつもりでございます。
【山田委員】  少し付け加えさせていただきますと、QSTの強みとして、非常に基礎的・学術的なところの研究と、実際の現場での治療の両方をやっているということです。ですから、これは極めて、例えば人材育成という点において非常に大きな、要するに、ユニークな市場にあって、大きな役割を担っていると思っています。
【栗原会長】  よろしいでしょうか。
【国崎委員】  はい。ありがとうございました。
【栗原会長】  いろいろな国際団体にQSTが代表を派遣したり、世話をしたりされていますので、そういう点は継続してほしいということは、部会でも繰り返しお願いしているところです。
 では、折茂委員が手を挙げていらっしゃるので、お願いします。
【折茂委員】  折茂でございます。御説明ありがとうございました。今後の国家戦略的な観点での量子技術はますますその重要性が高まっていくと思います。革新性を狙っていくためにはやはり、御説明があったように、量子マテリアルといったところから攻めていくというのがとても重要かなと思いました。そのときに、例えば2つ前の物材機構、NIMSでも、マテリアルあるいは量子というところは力を入れていらっしゃるということかと思います。その中で、やはり研発法人間の連携というのは今後この分野はもっと進んでいくべきかと思っておりますが、各研究者レベルでの交流あるいは連携はしていらっしゃるかと思いますが、もっと高いレベルでの研発法人間の連携というのはどうなっていますでしょうかというのが1点目です。
 2つ目が、やはり連携という観点でございますが、特に人材育成、先ほど来議論が進んでいると思いますが、各分野によって人材育成のアプローチが違ってくるというのも確かかなと思っています。特に大学との連携を考えたときに、研究者ではなくて、もう少し若い、すなわち、学生の頃からやはり量子というのを今後ある意味で教育して、早めにいい人材をこういった分野に取り込むということはとても大事になってくる、国家戦略上重要になってくると思っております。そういう意味で、比較的若い世代、学生との連携という観点、そういった観点での人材育成あるいは連携というのはどうなっていますでしょうか。これが2つ目でございます。お答えいただけるようでしたら幸いです。どうぞよろしくお願いします。
【栗原会長】  よろしくお願いします。
【迫田量子研究推進室長】  ありがとうございます。私、内閣府の量子技術全体の政策を所管する立場もございますので、その立場の回答になると思います。拠点同士の連携については、しっかりと国の戦略で量子未来社会ビジョンという戦略で策定しております。例えば先ほどの量子マテリアルという観点でいいますと、既にNIMSさんの方でダイヤモンドを作っていただいて、そこに対してQSTの方で放射線を照射して量子機能を発揮するような量子センシングマテリアルにしていくという、そういったような、また、産総研とも少し連携をしながら、三位一体となって連携するような体制を構築するといったことがもうしっかり書かれていますし、また、現場でもこういったことを意識して行っているところになっております。
 人材については、これはもう猫もしゃくしも世界的にも人材が足りない足りないと言って、今、結構大変な状況です。こちらはもうQSTだけの話ではなくて、しっかりと国家戦略的に全体として行おうかなと思っておりまして、本当に若年層から産業人材まで、また、産業人材といいましても、今はもう量子技術だけではシステム化、大規模化ができない。例えばセンシングもそうですし、医療と連携しなければやはり価値を発揮しないということもありますので、異分野の方たちのリスキリングや、また、再学習みたいなところを、リカレントみたいなところをしっかり意識しながら、異分野の方々向けの教育プログラムを提供しながら交流を深めていって、競技人口を増やしていくといったような取組を今行うおうとしております。
 その一翼として、当然QSTさんの方も、量子マテリアルだったり、また、量子生命であったり、特に量子生命拠点については立派なビルが建ちましたので、こういったところを核にして、様々な全国の大学から元気のいい若手の人たちをお呼びして、実験機器を使っていただいて、人材、しっかりと担い手になっていただくというような、そういったようなプログラムを今後準備していくというような、今既にやっていますし、また、建物ができましたので、そういったところを核としてしっかりやっていくといった予定でございます。
 正に本当に重要な御指摘でございますので、しっかりと本当に一体となって縦と横、総合的にやっていきたいと考えております。ありがとうございました。
【折茂委員】  ありがとうございます。前半の話では、量子拠点内の、あるいは量子拠点間の連携がうまく進むことを願っております。後半の話では、できるだけいい人材をいろいろな観点で呼び込めるような形になってくればなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【迫田量子研究推進室長】  ありがとうございます。
【栗原会長】  ありがとうございました。それでは、ほかに御質問、御意見等ありましたらお願いします。山口委員。
【山口委員】  山口です。今年、アメリカでNIFのレーザー核融合に関するニュースが流れたというのがあって、QSTでは核融合の研究をリードしていただいているわけで、ああいう新しいテーマといいますか、今までスコープになかった問題がこのように出てきた、あるいは新しい発見といいますか成果が上がったときに、QSTとしてどういうふうにそれを取り込んでいくか、解釈していくか、その辺のお考えを少しお聞かせいただければと思います。
【迫田量子研究推進室長】  こちらはなかなか、この核融合の技術は、QSTだけでやっていきましょうという話ではなく、国全体の戦略がありまして、特にNIFの話とかというのは、あと、いろいろな方式がありますので、これも含めてどうしていくかというのは、今正に内閣府の方で、仕切り直しじゃないですけれども、戦略を策定していますので、この策定の動向を踏まえてしっかりと活動していくのかなというところは考えております。何も考えていないというわけではないです。
【栗原会長】  基盤技術としては非常に強いレーザーの研究もしているので、いろいろな形での展開に関しては、国の方針が出れば対応できるというふうに拝見します。
 ほかにありますでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。特段に御異論というものはありませんでしたので、本件については原案の内容でよろしいでしょうか。
 それでは、皆さん御承認いただいたということで、議題2を終了いたします。
 それでは、全ての法人の説明と審議が終わりましたので、次期中長期目標案について、御意見がありましたらお願いいたします。全体に関して何か御発言があれば。
【小林臨時委員】  小林です。
【栗原会長】  小林委員、どうぞ。
【小林臨時委員】  ここでどういうふうに位置づけていいか分からないのですが、例えば電気代の高騰という問題があって、あるいは世界的ないろいろな問題が今起きている中で、特に一番影響が大きいのは電気代だと思いますが、恐らく研究機関によっては10億円単位での増加とかということもあり得るのだろうと思います。そういったことに対する配慮は、こういう中で非常に大きい影響が出ると思いますが、何もしなくていいのでしょうかというのが素朴な疑問なのですが、いかがでしょう。
【栗原会長】  これはどなたに御質問したらいいのか分からないですけれども。
【小林臨時委員】  全体の話です。
 要するに、中長期計画を立てても、金銭的な裏づけが、議論を余りしていないということもあるのですが。
【栗原会長】  だから、運営経費のところで、例えば評価からすると効率化というのは常に言われているけれども、外的要因がいろいろあるので、そういう中での効率化とか、そういうことをどう考えていくかというようなまとめでよろしいでしょうか。
【小林臨時委員】  そうですね。恐らくもう明らかにこれまでの電気代とは違うレベルの電気代になっていて、大学等でも大体10億円単位で増減しているところが結構ありますから、そうすると、できることは非常に限定されていってしまいます。そういったところをどうやって対応しようとしているのかというのを何か触れておいた方がいいのではないかという気がしましたが、いかがでしょうかということです。
【栗原会長】  個別の法人に入れるというわけにはいかないような気がするので、よろしくお願いします。佐野戦略官からお願いします。
【佐野科学技術・学術戦略官】  個別の法人の話というよりも全体的な観点からといたしまして、電気代が非常に高騰しているという話につきましては、我々も聞いているところでございまして、それは話を聞きながら一つ一つ解決をしていくというふうなことかと思います。個別の話でございますので、これぐらいにさせていただければと思います。
【栗原会長】  そういうことは運営側では意識していらっしゃるということでの御回答でした。
 では、ほかに御意見ありますでしょうか。
 それでは、全ての法人の説明と質疑が終わりましたので、各法人の次期中長期目標案について、本審議会の意見を決定したいと思います。再度になりますが、本件について、原案の内容でよろしいでしょうか。
 では、ありがとうございます。それでは、議題2を終了いたします。
 では、議題3、第4期国立研究開発法人審議会各法人の評価等を踏まえた御意見についてに入ります。事務局より説明していただき、その後、意見交換の時間を設けます。資料5になります。これは今までこの審議会で意見交換したいろいろな意見をまとめていただいた資料になります。
【佐野科学技術・学術戦略官】  それでは、私の方から、資料5、通し番号202ページから説明させていただきます。
 表題が「第4期文部科学省国立研究開発法人審議会 各法人の評価等を踏まえた指摘事項について(案)」と御用意させていただいております。この資料は3つのパートから成ってございまして、まず202ページ、全体的なこの資料の位置づけを説明しているもの、それから、202ページの(1)法人の評価に関する事項、そして、208ページの(2)法人運営に関する事項、こういう形で3つのパーツに分かれているというものでございます。
 202ページに戻らせていただきまして、まず全体的な位置づけでございます。1パラ目を御覧いただければと思います。真ん中辺りですが、この審議会の中では、個別の法人評価にとどまらず、評価の在り方、指標、観点について、第1期から部会等々で意見交換をして、メモとして次期に引き継いできたということで、先ほど会長の方からお話がありましたように、この第4期の審議会において示されました評価、法人運営についての意見を整理したものということで、一応現段階では、最終の審議会において意見交換、確認したものであるという形にさせていただいております。
 それから、その次のパラは、このまとめというものは、基礎になる各法人の自己評価を行う際の視点を提供する、それから、部会における審議において役立てられることが期待をされるということで、3パラ目、この資料におきましては、個別の法人の現状を踏まえて議論した結果ということなので、部分的には矛盾する表現もあるということを書かせていただいているところです。
 そして、次、(1)法人の評価に関する事項でございます。頂いた御意見を少し御紹介させていただきます。まず、見直し時の留意点として以下の点を考慮する必要があるということで、モチベーションを下げない・上げる評価プロセスの工夫、社会実装に達する高い評価軸の設定等の御意見を頂いているところです。
 それから、次の○、評価軸につきましては、その法人のミッションにふさわしい評価軸、モニタリング指標を是非自分たちで考えてほしいという意見。少し下に行きますが、この評価、成果をしっかりキャッチアップしながら、国立研究開発法人の意義を社会に共有していくことが大切だと考えるということをおっしゃっていただいていると思います。
 それから、203ページの一番上の○です。法人は、アウトカム評価を少し高く評価しがちであるということから、第三者の見解や根拠となる合理的なエビデンスがあることが望ましいという御意見を頂いております。
 その次、サイトビジットの重要性ということを頂いているところです。
 1つ丸を飛ばし、その次、「本審議会では」というところですが、ミッションを超えて非常にすばらしい成果が出たらしっかり評価をしてきたというところで、大きな議論、社会に貢献するといった観点を踏まえて、なるべくポジティブに正当に評価されることが大事ということで、法人からもミッションを超えた大きな活動を行っていれば委員に知らせていただきたいという御意見を頂いております。
 それから、次の○は昨年5月の回で独立行政法人評価制度委員会の基本的な考え方を少し御紹介させていただいたことがございますが、そこのところでございまして、この中で、長期性・不確実性といった研究開発の特性にも留意しつつという文言があるということで、今後は達成度に加えて、その先の計画や展望、課題、こういうところをどう取り組んでいくかということを評価の中に取り込んで法人評価を行うこともあるのではないかという御意見を頂いています。
 次の○はサイテーションの御意見を頂いておりまして、サイテーションのトップ1%論文が多数出ているというようなことは世界から見ても研究の新しい領域を開いているという指標になるのではないかという御意見を頂いております。
 それから、次のところです。総務省では研究開発成果の最大化を意識したという方向性があるというところで、他省庁の方針との連携、省庁を超えた包括的取組というのは今後の評価に生かしたいという御意見を頂いております。
 それから、次は理事長のマネジメント、リーダーシップに関して御意見を頂いているところですが、204ページの上から2行目、理事長との対話等の地道な努力が、理事長にも現場の方々にもあるべきということで、マネジメント、リーダーシップのためにも、現場の経営力、企画力、戦略的能力も評価したいということ。それから、人材育成についても、組織内の方々の育成、研究運営の能力の向上、リーダー養成などについても言及していただきたいという御意見を頂いております。
 それから、次は中長期計画において研究のフェーズがあるということで、フェーズに応じての評価の仕方を見直していくことの必要性について言及いただいています。
 そして、その次、年度評価と見込み評価についての位置づけについて言及いただいています。
 それから、次は、年度評価と見込み評価等の関係について、今までの年度評価と見込み評価をどういうふうに考えていくのかということで幾つかのカテゴリーに分けています。まず、最終年度の評価を重視する考え方は3つ○を挙げておりますが、こちらは年度の評価というのがBとかAとかSとかいろいろあるのですが、BとかAとかそういうものが多くてSが少なく、そして、最後がSになったというケースの場合の最終年度見込み評価等について、最後にSにしっかり到達すれば中長期目標期間評価はSでもいいのではないかという考え方がこの3つの考え方でございます。
 それから、204ページの一番下は年度評価や成果が期待できる体制の構築を勘案する考え方としてまとめさせていただいております。205ページの3つにつきましては、年度評価がSではなくてAの場合があるけれども、例えば一番上、ホームランではないがヒットを積み重ねたという場合、それは最終の中長期目標期間評価でもSでもいいのではないかというような御意見を頂いています。
 それから、3つ目、1年ごとはAであっても、中長期目標期間を見渡せば、法人の新しいアイデンティティーになるような学術分野を立ち上げたということ、それから、体制が十分に整えられた場合については、見込み評価をS評価とする理由としては十分であるのではないかという御意見を頂いています。
 それから、評価項目別の考え方の1つ目、中長期目標期間評価をSとするようなケースということで3つ挙げています。例えば複数年度でS評価を達成している場合、前人未到の成果で国際的に影響力の大きい成果がある場合等を書かせていただいております。
 それから、その次、評価軸に研究開発マネジメントが触れられている場合につきましては、1つ目のところで、通常はA、Bという評価が妥当であると記載をしており、その次、マネジメントレベルに加え、マネジメントレベル向上の継続性、テーマの成果の影響等、総合的に判断して評価をするという御意見を頂いております。
 それから、S評価、A評価の考え方等についてです。これはSからAを何年もの間継続しているものにつきまして、現状レベルに満足することなく、さらなる高みを目指して、評価軸の見直し・工夫により評価の明確化に取り組む必要があるという御意見を頂いています。
 それから、206ページに移ります。一番上につきましては、国際的に見た日本の研究力に少し触れていただいており、ここが少し低迷しているのではないか、ここをしっかりやらないといけないのではないかという御意見です。そして、成果の最大化の評価という目的に向かっているというところを部会やサイトビジットで共有していくことが大事ということを頂いております。
 その次、研究モチベーションと評価の観点から御意見を頂いており、S評価の翌年度につきまして、同じように進めたのであれば、なぜS評価ではないかというところですが、同じようであればA、特筆すべき変化点があるようなことであればSをつけるということで、評価の下方硬直性につながりやすいということを意識して評価をすべきではないかという御意見を頂いております。
 それから、その次、SとAの評価については、基礎基盤研究と実装研究の位置づけについて意識して評価をすべきではないか、例えば基礎基盤研究については、新しい分野、新しいパラダイムが生まれるということ、実装研究につきましては、例えば企業の動きのきっかけをつくったということがエビデンスになるのではないのか、エビデンスについて部会で議論すべきと考えるという御意見を頂いております。
 それから、基礎基盤研究については、S評価あるいはその上を目指していただきたいということで、学術的なインパクトについても評価していきたいということ。それから、次の○、外的な要因を克服して計画どおりマネジメントしたというところがあるけれども、Sを考えると、起死回生の場面としてのグッドプラクティス、未来に向けたプロアクティブな取組を評価していくべきだ。
 それから、その次、研究開発成果の最大化は社会実装が必要であるということであって、法人だけでは実現できない課題の解決に向けては、今後の持続可能性の担保までできている場合にSと考えるという御意見を頂いております。
 それから、社会実装の評価について、例えば社会的価値の高さとか、2点目、その価値について確実だという客観的な根拠が示されると高い評価につながるという御意見を頂いております。
 それから、社会実装を意識するということについては、大事だけれども、長期的に重要となる研究をしっかり見詰めることも重要であり、バランスが重要と、バランスを考慮しながら評価をしたいという御意見を頂いております。
 それから、外部環境の変化やリスクへの対応ということで、昨今の不透明でリスクが予見される社会情勢を踏まえると、そもそも法人の経営の戦略というのは、何を行って何をやめるかということが対になっていくので、その判断が正しいかというのは年度評価だけではなく、中長期的なモニタリングが欠かせないということを言われております。そこについては、しっかり法人からアピールをしていただきたいという御意見を頂いております。
 それから、業務運営の効率化に関する評価については、A評価については、しっかりと議論されているものではないかと思うので、横断的な議論に展開してもらいたいという御意見、それから、次の○、通常は業務の効率化はBだけれども、効率化を考えるとか業務の実績が上がるような工夫がされた場合には、積極的に評価してよいのではないか、それから、組織管理系の評価については、単年度のものと累積で評価をするものがあるという例示を頂いています。
 それから、208ページ、プロセス評価への取組ということでJAXAの部会の取組について書かせていただいています。
 それから、(2)法人運営に関する事項ということで、研究インテグリティについて幾つか意見を頂いています。1つ目、入り口管理だけではなくて出口管理も重要であるということで、国際化とインテグリティのバランスについて言及いただいております。それから、インテグリティの背景については、研究者にも理解されることが重要ではないかという御意見を頂いています。
 それから、1つ飛ばしまして、成果の創出についての重要性ですが、基礎から社会実装までを一気通貫に実施するということは必ずしも必要ないのではないか、209ページ、他組織・企業との連携、1社ではなくて複数の連携構築などがあるのではないか、すぐ役立つものと、先があるというものを組み合わせた法人ならではの発展戦略を考えることが重要ではないかという御意見を頂いております。
 その次、ガバナンス体制・内部監査体制・コンプライアンス遵守状況等の再確認をまずすべきということで、ESGという観点を入れていただきたいという御意見を頂いております。
 それから、内部統制、リスクマネジメント等について共通することも多いということで、情報共有を頂きたいということ。
 それから、その次の2点は、JAXA、理研の好事例の御紹介をさせていただいているところです。
 そして、その次2つの○ですが、女性の割合、管理職比率が諸外国に比べて少し少ないというところについても考慮すべき、それから、女性研究者の割合が少ないことについて、候補者のプールを広げればよいのではないかという御意見を頂いております。
 それから、210ページ、総合知について3つ書かせていただいています。まず一番上ですが、内外問わずの広げた形での総合知の利用を評価していくということ、それから、最後のアンダーラインのところですが、研究者たちの成長に向けて自ら動いていくような志向・行動を後押しするようなマネジメントが並行してなされていることも含めて評価をしていくというご意見をいただいております。
 そして、その次、多様な研究分野のプロジェクトの連携が重要、そして、最後ですが、他分野や外国の知識などを積極的に取り入れて、クロスボーダーのコラボレーションを促進してほしい、そして、部会でしっかり利用してほしいという御意見を頂いています。
 このまとめにつきましては、事務局の方で現在まとめさせていただいておりますので、我々の方がしっかりと正確に捉えていない部分もあるかと思いますので、是非御意見をいただければと思います。少し長くなりましたが、説明は以上でございます。
【栗原会長】  ありがとうございました。出た意見を非常に丁寧におまとめいただいて、従来、第1期からずっと、意見交換した部分に関しては次の期に引き継ぐということをやってきているわけで、今期の議論の中で出た観点を非常に丁寧にまとめていただいたというふうに拝見しました。
 それで、何か御意見、御質問等ありましたら、御発言をお願いします。
 これ、矛盾しているところは、いろいろ状況によって受け止め方が違う場合もあるからということで、従来も余り整理し過ぎないで、機械的にならないようにということで、むしろ併記的にまとめている部分が多かったので、それについても踏襲いただいているんだと理解しております。
【佐々委員】  佐々ですが、よろしいでしょうか。
【栗原会長】  はい、どうぞ。
【佐々委員】  ありがとうございました。今、会長からありましたように、非常によく整理されていると思います。中でも、通しページの204ページから始まっている年度評価と見込み評価等の関係について、様々な意見が出たものを3つのカテゴリーに分類してきちんと整理していただいたことは大変よかったと思います。
 1点だけ、204ページの一番下の年度評価や成果が期待できる体制の構築状況を勘案する考え方のすぐ下、次のページの頭になりますが、継続的にAでもSでよいかということについて、ホームランはないがヒット続けた場合には中期目標期間がSでもいいのではないかというのは、一つの考え方として私自身が御説明したものです。ただ、これを説明したときは、両論あるということで、長期性、不確実性がある研究成果の特質を考えると、基本的には、期間の最後にSをつけたという最終年度の評価を重視する考え方とか、あるいは途中であっても非常にすばらしい成果があったから、全期間を通してもSと評価するという3つ目のカテゴリー、評価項目別の考え方、こういったところが本来だと思っております。
 ここに書いていただいた、Aが続いたらSでもいいのではないかというのは、どちらかというと例外的なケースとしてそういうこともあり得るという議論があったのだと理解しています。具体的には、当時、量子研の話で、期間を通じてAだったけれども、新たな組織をつくって、しっかり組織、経営を育てたということで、評価軸がマネジメントになっているケースとしてそういう場合はSもあるという話をしたと記憶しています。
 ですから、確かに小見出しで年度評価や成果が期待できる体制の構築状況と書いてあるので、これは評価軸がマネジメントなんかのケースだと思うのでいいのですが、ここだけ残っていると誤解を与えるので、ここはむしろ、自分で発言をしていて何ですが、取ってしまうとか、次のポツの、1年ごとではAであっても新しいアイデンティティーという説明とか、更にその3つぐらい下の、マネジメントレベルの向上の話も出ていますので、そちらの方で代替できるのではないかと。確かにいろいろな考え方を決めつけないように網羅して書いて、その上でいろいろな見方があるということを十分配慮してしっかり各法人で考えてくださいということでいいのですが、余りにも違う考え方があると皆さん混乱すると思って意見として言わせていただきました。
 以上です。
【栗原会長】  ありがとうございました。ヒットの積み重ねではSにはならないと私も一般論としては思います。これ、下の2つは、ゼロから何かを創るとか、非常に特段の成果があった場合です。そのため、やはりこの一番上は取った方がいいという佐々委員の御意見には私も賛成したいと思うのですが、ほかの委員の方いかがでしょうか。やはりSは特段の成果があった場合だと思うので。
 皆さんうなずいていただいているので、ウェブの方が特になければそのようにします。御意見ありがとうございました。
【佐々委員】  はい。
【栗原会長】  ほかにございますでしょうか。山田委員、お願いします。
【山田委員】  総合知というものが、特に法人全体を評価する上で大事な価値観になってきているわけです。ただ、総合知に対するKPIは一体何なのかといったときに、ないわけで、これから考えていかないといけないのでしょうが、そういう点で、今ちょうどS評価って一体何なのかということをいろいろ議論されてきて、随分議論が重ねられてきています。相当程度、S評価とは一体何なのかという議論がこの総合知をどう考えるかということについて大分生かせるのではないかと思いました。
 以上です。
【栗原会長】  ありがとうございました。コメントです。
【佐野科学技術・学術戦略官】  コメントといいますか、少し状況の御紹介でございます。総合知につきましては、第6期科学技術・イノベーション基本計画の中に記述があり、読み上げさせていただきます。人文・社会科学や総合知に関連する指標について2022年度までに検討を行い、2023年度以降モニタリングを実施するということが記載されています。KPIとなりますと、評価指標のようなものになるかと思いますので、基本計画の中ではKPIというところまでは書かれていないのではないかと理解をしています。なかなか総合知の議論というのは非常に難しい部分もあるというふうに理解をしております。
 以上でございます。
【山田委員】  今の御発言は少しディフェンシブな答えで、せっかくこういうものが出てきたので、いかに評価に生かすことができるかというのを考えていくべきではないかと。
【栗原会長】  指標にすぐそのまま入れましょうという御意見ではないと思っていまして、総合知というような考え方を踏まえて、従来の観点の中に少しそういうものも入れて、一緒に評価の中に入れていったらいいというので、両方のお考えは一致するものだと思います。そういう言葉がどこかへうまく入れられるのであれば入れてもいいですし、ここで意見交換したということで、また先の評価に生かすということでも結構なのではないかと思っています。
 ほかにございますでしょうか。
【小林臨時委員】  小林ですが、よろしいですか。
【栗原会長】  はい、どうぞ。
【小林臨時委員】  私も総合知のところを本日聞いていて、あちこちで総合知が出てきますが、内閣府の議論を聞いても、総合知ってやはり何かよく分からないです。単に分野を超えればいいのかということとか、あるいは課題解決型なのかとか、あるいはデータサイエンスみたいなものを指しているのかとかよく分からないところがあって、果たして皆さんの中で、総合知という言葉で書いてまとめてはありますけれども、それでちゃんと共通の認識があるのでしょうかというのが非常に疑問なところですが、いかがでしょう。
【栗原会長】  これは、戦略官の今の御説明だと、今後徐々にそれの議論を深めますということだったと思うのですが。
【小林臨時委員】  ただ、今までの議論を聞いていると、何となく課題解決型みたいなニュアンスがあったような気がします。内閣府の議論ですね。それだとかなりイメージが違うという感じがしますので、今後もう少し具体化するとかでもいいでしょうが、何かこれだと、共通の言葉で話はしているけれども、全然別なことを言っているという感じがするので、今後また更に詳細に詰めていくということでもいいのかもしれませんけれどもというところです。
【栗原会長】  ありがとうございます。科学技術は科学技術だけの観点で議論するのではないのではないかというようなところから始まっていると思うので、そういう気持ちを生かしながらということかと思います。ありがとうございました、小林先生。
 ほかにありますでしょうか。今回は、今期最後の審議会ですので、このことを言っておきたいというようなことがあれば、この機会に御発言をお願いします。
【折茂委員】  折茂でございます。短くよろしいでしょうか。
【栗原会長】  すみません、今、こちらでベントン委員が手を挙げているので、その次にお願いします。
【折茂委員】  承知しました。
【ベントン委員】  すみません、ベントンです。209ページの一番後の女性研究者についてですが、この指摘事項を変えてほしいということではないが、女性研究者をすぐに増やすことはとても大変です。各研究所が頑張ってもちろん採用しようとしているのですが、女性が若いときから積極的に科学技術を勉強したくなる雰囲気をつくらないと、研究所、大学が女性研究者を採用したくても、その数がいないのです。中学校まで女性生徒がいい成績をとっても、高校に入ったら数学から少し離れるケースが多い。それは親やほかの周りの影響によるものであり、女子生徒はサイエンスより他の分野に進んだ方が幸せになると言われます。この風習が変わらないとなかなか女性研究者は増えないです。やはり女性徒の親も一つのバリアです。
 そのため、女性研究者を増やすのは簡単ではないです。もう少し各研究所が、例えばJAXAが宇宙の研究を女子小学生に積極的にアピールするなど、時間をかけていろいろな仕掛けをやらないとなかなか女性研究者を増やすのは難しいと思います。
【栗原会長】  ありがとうございます。そのとおりだと思います。やはり親御さんがまず非常に重要だという議論が良くあり、私もそう感じています。
 ほかにありますでしょうか。ウェブの方から御発言ください。
【折茂委員】  折茂です。209ページ、今の御指摘の少し上なのですが、各法人の有益な取組、いわゆるグッドプラクティスについて、こういった情報共有が進んでいけばと願っております。ここに書いていらっしゃるJAXAあるいは理研の例は運営上のことでございますが、例えば私が担当させていただきましたNIMSでは、非常にすばらしい広報戦略、広報・アウトリーチをやっていらっしゃる。そういったところもグッドプラクティスとして共有して、ほかの法人でもそういった取組が活性化していけばと思っております。
 以上でございます。よろしくお願いします。
【栗原会長】  ありがとうございます。これは法人間で共有していただかないといけないですよね、この審議会だけではなくて。ここでの議論がいかに法人にフィードバックされるかとか、そういうことになると思います。
 ほかにありますでしょうか。
 この資料ですけれども、取りあえず委員にはお送りしているわけで、そこからコメント等がある場合には、一度事務局に意見をつけてお送りいただき、今期のまとめにさせていただきたいと思うのですが、最後のまとめに関しては会長一任ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【栗原会長】  では、そういう形でこのまとめは次期に引き継ぐということでやらせていただきます。時間も限られておりますので、もしお気づきのところがありましたら、事務局の方へお送りいただければ幸いです。よろしくお願いします。
 それでは、本日予定していた議事は、無事審議をすることができました。皆様の御協力にお礼申し上げます。
 それでは、本日の審議会は第4期の国立研究開発法人審議会として最後になりますので、閉会に当たりまして、文部科学省より柿田科学技術・学術政策局長に御挨拶を頂きます。よろしくお願いいたします。
【柿田科学技術・学術政策局長】  ありがとうございます。科学技術・学術政策局長の柿田でございます。長時間にわたる御審議を誠にありがとうございました。本審議会総会第25回の閉会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 本日は第4期国立研究開発法人審議会としての最後の審議会でございました。委員の皆様におかれましては、長時間にわたりまして熱心に御審議を頂きまして、誠にありがとうございました。また、令和3年4月から2年にわたり本総会及び各部会での審議に御尽力を頂きましたことに改めてお礼を申し上げます。
 国立研究開発法人審議会は、主務大臣が国立研究開発法人に係る評価等を行うに際しまして専門的見地から御助言を頂くために設置された審議会でございまして、これまで4期8年にわたり調査審議を行っていただきました。この4期におきましては、年度ごとの法人の業績の実績評価についての御審議に加えて、本審議会が対象としている8つの国立研究開発法人のうち5つの法人について中長期目標を策定するなど、これまでの期に比べて非常に多くの御審議を賜りました。改めて厚くお礼を申し上げます。
 また、第6期科学技術・イノベーション基本計画が始まっており、その中では、Society5.0の実現や、先ほども様々御議論いただきました総合知による課題解決、そして、国立研究開発法人の中長期目標の中にもこの総合知とそのアプローチを盛り込むということになりました。本日も御議論いただきましたように、この総合知については、なおも政府全体として、特にCSTIの場において引き続きこれをどのように進めていくかという議論が続きますので、しっかり文部科学省としてもその議論を踏まえ、そして、この国立研究開発法人審議会の議論にも取り込んでいけるように、事務局として準備を進めていきたいと思います。
 いずれにしましても、この2年間委員の皆様方に御審議いただいた事柄を基に、国立研究開発法人が社会の中でその期待される責務をしっかり果たしていくことができるように、文部科学省としても引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 最後になりましたが、栗原会長、中川会長代理を始め、委員の皆様のこれまでの御尽力に心より感謝を申し上げまして、私の挨拶に代えさせていただきます。大変ありがとうございました。お世話になりました。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。
 最後に、事務局から御連絡をお願いします。
【西山科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局でございます。今回の議事録につきましては、事務局にて案を作成いたしまして、各委員に御確認いただいた後に、ホームページにて公表いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【栗原会長】  ありがとうございます。
 それでは、これで国立研究開発法人審議会(第25回)を終了いたします。今期は、たくさんの見込み評価、期間実績評価、ほとんどの法人が何かそういう課題がある年で、大変委員の皆様に御尽力いただきありがとうございました。それにもかかわらず、ずっとウェブで、今回初めて対面開催ということで、初めてお会いした方もいらっしゃるので、最後でも1回対面の会議ができて大変よかったと思っております。事務局の皆様にはこれに関していろいろ御尽力いただいたと思いますので、ハイブリッド開催、手間がかかるところをありがとうございました。
 本日の開催をもちまして、第4期の国立研究開発法人審議会開催は期間中最後となります。今日は3時間という長い時間でしたけれども、皆さん、ありがとうございました。それでは、閉会いたします。

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発戦略課評価・研究開発法人支援室

(科学技術・学術政策局研究開発戦略課評価・研究開発法人支援室)