国立研究開発法人審議会(第14回) 議事録

1.日時

令和元年5月8日(水曜日)15時00分~16時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 会長及び会長代理の選出(非公開)
  2. 審議の進め方について
  3. 文部科学省所管の独立行政法人の評価に関する基準(改定案)について
  4. 第3期における検討課題について
  5. その他

4.出席者

委員

栗原会長、中川会長代理、浅見委員、五十嵐委員、江川委員、佐々委員、永井委員、山口委員、山田委員、若林委員、小林臨時委員、松田臨時委員

文部科学省

松尾科学技術・学術政策局長、渡辺大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、角田科学技術・学術総括官、井上企画評価課長、山下科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、新地企画評価課長補佐

5.議事録

議題1については非公開。

【栗原会長】  それでは、松尾科学技術・学術政策局長からどうぞ一言お願いいたします。

【松尾科学技術・学術政策局長】  今御紹介いただきました科学技術・学術政策局長、松尾でございます。本日は、この第3期国立研究開発法人審議会の初回ということで、一言御挨拶申し上げさせていただきたいと思います。
 冒頭、栗原会長、そして中川会長代理、そして委員の先生方には、御就任いただきまして本当にありがとうございます。お忙しい中、お時間賜りまして感謝申し上げたいと思います。
 この国立研究開発法人審議会でございますけれども、国立研究開発法人に係る評価等々について専門的な見地から御審議いただくということでございます。科学技術イノベーションの源泉たるこの法人の在り方につきましては、研究成果の最大化というのが大きな目的でございます。特に、あと2年後に科学技術基本計画が第6期を迎えるわけでございまして、その中で大きな役割を担うのがこの研究開発法人であり、大学との関係や社会、民間等の多くのステックホルダーとの関係が大きくなっています。特に研究開発は長期的なものであり、かつ不確実性を持っておりますので、その目標の設定の在り方、評価の仕方は多様性であり、その実も踏まえて、先生方には目標の設定、業績の評価を審議いただければと思っております。特に研究開発法人の機能強化、各法人における取組の好事例の共有、そしてまた横串をしっかりつないでいくことが大切だと思いますし、あるべき姿を横断的な観点から御審議いただければ有り難いと思っています。どうぞよろしくお願いします。

【栗原会長】  法人の役割と、この審議会の役割について御紹介いただきまして、本当にありがとうございました。私どもも今の点を心にとどめて今後の審議を進めていきたいと思います。
 国立研究開発法人は、法人のミッションがここ10年ばかり議論してきたことで非常に整理されて、皆さんに分かりやすくなってきたという印象を持っています。評価もありますけれども、やはりいい活動がよりいい形で進むように、この委員会としてもできるだけ応援するというような立場も大変大事だと思います。また、評価ということがある以上は、やはり並べて見たときに余り不自然でないような評価の横串ということも、あるいはいい評価とは何かということについて議論して意見を共有していくということも大事だと思いますので、そういう点も心にとどめながらここで審議を進められたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 中川委員の方からもどうぞ。

【中川会長代理】  中川です。独法の最後のときから関わらせていただいて、研発になり、今、局長がおっしゃった研究開発の最大化というのは一体何なのかということをずっと議論させていただいてきたと思います。まだまだその答えというのは見えていると思いませんし、最初に門永さんから投げられた「プロセスをずっとやりながら作っていこう」という話の通り、まだまだ私たちはプロセスにあると思います。また、ここでどう評価していくかという考え方というのが、研究開発法人のみならず大学若しくは民間企業の研究というようなことに対して、どんな価値観を提供できるか。これだけの皆さんが集まって知恵を絞っている場はないと思いますので、外につなげていくのもミッションだとも思っております。
 特に「協働」や「連携」という言葉がたくさん出てきますけど、それをどう評価するかも、まだ十分見付けていないと思います。先ほど局長がおっしゃっていたようなベストプラクティスを集めていく中で、見つけていくことを皆さまと一緒にさせていただきたいと思います。任されている法人のことも含めて、単に税金の使い道をどうこうということではなく、よりよい世の中になるために、そういう大きな目線でお手伝いできればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

【栗原会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題2に移ります。第3期国立研究開発法人審議会における審議を進めるに当たり、まずは事務局から本審議会の各種規定及び本審議会の趣旨、役割等について御説明をお願いいたします。

【新地評価・研究開発法人支援室室長補佐】  それでは、資料の2-1、2-2、2-3、2-4をまず説明させていただきます。
 資料の2-1「文部科学省国立研究開発法人審議会令」、本審議会の設置法令になります。
 特徴としましては、第2条(委員等の任命)として、委員、臨時委員、専門委員に外国人を任命することができ、国際水準も踏まえた審議体制を構築することができるということでございます。
 次に、資料の2-2「文部科学省国立研究開発法人審議会運営規則」をごらんください。
 本運営規則は、文部科学省国立研究開発法人審議会令第9条の規定に基づき運営をまとめたものでございます。特記すべき点として2点ほどございます。1つは、第3条(書面による議決)が可能であるということでございます。諸般の事情によってこの会議を開く余裕がない場合ということもあろうかと思いますが、その際に、本規定によって議決いただくことが可能であるということでございます。2つ目としては、第4条(議決権の特例)として、利害関係に関する規定がございます。この点がこの運営規則におけます特記事項でございます。
 次に、資料の2-3をごらんください。「議決権の特例等について」でございます。
 先ほど申し上げました議決権の特例について、より詳細に、どういった者が議決権を有しないのかということを定めたものでございます。「当該国立研究開発法人の法人経営又は事業運営に関する企画及び立案並びに評価に関する会議等に出席し、謝金を受けている者」というのが1つ対象になってございます。ほかにも、「当該国立研究開発法人が実施する講演等に講師として出席し、継続的に報酬を受けている者」、「所属機関の常勤役員であり、当該所属機関に対して当該国立研究開発法人から金銭提供がある者」、「自ら研究申請者となって当該国立研究開発法人から研究費の配分を受けている者」が、この場合、議決権を有しない者の対象となります。
 次に、資料の2-4、「文部科学省の国立研究開発法人審議会の公開に関する規則」をごらんください。
 この会議は公開で開催されておりますが、会議の傍聴については、あらかじめ、登録を受けなければならない。登録を受けた者は、審議会が許可した場合を除き、会議の開始後に入場し、会議を撮影、録画、若しくは録音してはならないということが定められております。
 また、会議の資料、議事録につきましては、公表しなければならないとしてございますが、これらについても、会長が必要と認めるときは、審議会に諮った上で、それらの一部又は全部を非公表とすることができる旨を定めてございます。
 ここまでの説明が審議会の運営に関する点でございます。
 続きまして、資料の2-5「国立研究開発法人審議会について」も続けて説明させていただきます。
 初めに、独立行政法人は、公共上、確実に実施されることが必要な事務・事業のうち、国が直接実施する必要はないが、民間の主体に委ねると実施されない恐れがあるものなどを実施。その一つの形態として、平成27年4月からは、研究開発の長期性、不確実性、予見不可能性、専門性等の特性から、他の独法とは異なる取扱いの必要性が認識され、研究開発を主たる事業とする独立行政法人が、新たに「国立研究開発法人」と位置付けられることになりました。国立研究開発法人には、研究開発の特性を踏まえ、独立行政法人とは異なる法制上の措置が与えられるというものでございます。
 このうちの独立行政法人の中から、研究開発に係る事務・事業を主要業務として研究開発成果の最大化を目的とする法人、文部科学省の所管法人は8法人、全府省で27法人ございます。
 次のページをごらんください。国立研究開発法人審議会についてです。改正独立行政法人通則法に基づき、文部科学省に国立研究開発法人審議会を設置。審議会の下に、文部科学省が所管する8つの国立研究開発法人に関する事項を審議する部会をそれぞれ設置。審議会は、国立研究開発法人に関して、中長期目標の策定等、業務の実績の評価、組織・業務全般の見直しに当たって、科学的知見等に即して主務大臣に助言をする。
 左下に参りまして、国立研究開発法人審議会の構成として、法人ごとに部会を設置してございます。
 右下、目標・評価のサイクルにつきましても、まず中長期目標の策定というプロセスがございます。それに沿った形で中長期計画の認可、その後、それぞれの法人の年度評価、中長期目標期間の終了する時点における見込みの評価、そして最後に中長期目標期間全ての評価というのがございます。これらを踏まえて、年度、終了前、全体として組織・業務全般の見直しを行ってサイクルを回していくという体制になっております。
 次のページをごらんください。今後の国立研究開発法人審議会のスケジュールのイメージ図でございます。基本的には、文部科学大臣が、まずどのようなことを行っていくのか、この審議会でどのような業務を行うのか、各部会でどのような業務を行うかなどを図示してございます。
 次のページをごらんください。審議会の進め方のイメージ(業務の実績評価)の分でございます。丸1の年度評価、丸2、中長期目標期間の見込みの評価、丸3、中長期目標期間の評価、全てに共通する要素でございます。
 1.の事前送付というところで、各委員の先生方には、法人が作成した自己評価書や補足説明資料が送付されます。2.の部会において、法人から自己評価書に基づいたヒアリングを行い、法人の自己評価書をベースにした文部科学省による評価案を審議いただき、評価案について部会としての意見を取りまとめていただきます。3.の審議会が各部会長から上記意見について説明を頂くとともに、審議会として業務の実績評価への意見を決定いたします。4.の文部科学大臣による決定は、その意見の決定をもちまして文部科学大臣による評価案とさせていただきますので、それを審議会の意見を踏まえて文部科学大臣が実績評価を決定するという運びになってございます。
 次のページには、審議会の進め方のイメージがもう一つございます。こちらは、事務・業務の見直し、中長期目標、中長期計画策定の段階でございます。こちらもほぼ同じような仕組みになってございますが、1.の法人・文部科学省による原案の作成のところで、事務・事業の見直しの案、中長期目標の案を文部科学省が作成、法人が中長期計画の案を作成し、文科省が認可をすると。2.の部会で、これらの案について部会に諮り、各部会において法人・文部科学省からそれぞれヒアリングを行い、意見を取りまとめるとともに、3.の審議会に上がってきた段階で各分科会長から上記の意見を説明いただき、審議会として案に対する意見を決定いたします。4.の文部科学大臣による決定として、最終的に文部科学大臣によって審議会の意見を踏まえて、各法人の事業計画の見直し(案)、それから中長期計画につきましては認可になりますけれども、こういったことが大臣によって決定されます。
 次のページをごらんください。文部科学省の国立研究開発法人の評価の基準についてでございます。こちらは文部科学省所管の独立行政法人評価に関する基準で、文部科学大臣決定されたものでございます。評定区分につきましては、S、A、B、C、Dの5段階、Bが標準となってございます。研究開発に関する事務・事業についての評定区分につきましては、以下の表に示したとおりでございます。
 まず、Sにつきましては、特に顕著な成果の創出や将来的な特別な成果の創出の期待などが認められるケースが想定されております。この中で、当該分野での世界初の成果の実用化への道筋の明確化による事業化に向けた大幅な進展や、研究成果による新たな知見が国や公的機関の基準・方針や取り組みなどに反映され、社会生活の向上に著しく貢献すること。こちらは、研究成果によってある種の安全基準なり建築物その他の基準等に生かされるなど、それが実際上社会の仕組みに取り入れられ、発展する価値があるようなもの。また、国内外の大学・法人・民間事業との新たな連携構築による優れた研究成果への貢献といったマネジメントとか、我が国において政策的に重要であるが、人材不足となっている分野に対し、多数の優れた研究者・技術者の育成・活躍促進に係る取組の実施など、人材評価に関する評価軸というものがございます。
 Aについては、顕著な成果の創出や将来的な成果の創出の期待などが認められるケースを想定されております。S評定には至らないが、成果の発見による相当程度の意義・成果・貢献が認められるようなものがA。Bについては、成果の創出や将来的な成果の創出の期待などが認められ、着実な業務運営がなされている。Bが標準となってございます。Cについては、Bには満たないもの、つまり、より一層の工夫・改善が期待されるもの。Dについては、抜本的な見直しを含め、特段の工夫・改善が求められるものが挙げられてございます。
 次のページに、評価の例として平成27年度における業務の実績に関する評価として物質・材料研究機構のS、A、Bの評定の結果について、参考までに抜粋した資料を付けてございます。後ほどお目通しいただければと思います。
 次に、資料の2-6「部会からの報告事項 国立研究開発法人の評価について」をごらんください。
 先ほど資料2-5におきまして、S、A、B、C、Dの評価基準、評定区分の説明を差し上げたところでございますが、各部会においては、これから各法人の評価の評定を審査していただくことになります。各部会からは、本審議会総会に報告する際に、このフォーマットに記載していただき提出いただくことを考えてございます。
 1.の国立研究開発法人の評価に関する主な意見として、部会でどのような議論があったのか、課題と改善事項、マネジメント等の好事例など、各法人についての意見を記載いただく。
 2.の国立研究開発法人に共通する評価に関する主な意見としては、部会で特に議論を行った国立研究開発法人に共通する評価に関する主な意見や、これに類するようなこと、更にこれを深掘りしたような議論についてもここに意見として記載していただき、各部会から本審議会総会に報告していただくことを考えております。
 また、次のページ以降が様式でございますが、先ほど評定についての説明でBが標準となっていること申し上げました。その意味で、本様式では、B以外の評価項目を付けた理由を記載するようにしています。顕著な成果が認められるA、特に顕著な成果が認められるSについては、成果が認められ評価すべき実績、より一層の工夫・改善が必要なCには、今後の課題、改善事項や標準に及ばなかったことなど、抜本的な見直しを含め特段の工夫・改善が求められるDについては、今後の課題、改善事項など、その評定に至った理由をそれぞれ記載していただき、本審議会総会の議論をよりスムーズに進めていただきたいと考えてございます。
 最後に、資料の2-7「文部科学省所管の国立研究開発法人一覧」でございます。こちらは8法人の概要をまとめた資料となっております。
 長くなりましたが、以上でございます。

【栗原会長】  どうもありがとうございました。
 ここまでで御質問があれば、どうぞ御発言ください。特にフォーマット等も今回紹介いただいているので、これに従ってやるということで、何か御質問等あればお願いいたします。もう皆さん、毎年なさっているので。

【栗原会長】  注意していただきたい点は、今の評価ではBが標準なので、標準以外のものについて評点とその理由を書くということと、それから、御報告いただきたいことは、その評価にプラスして、この2のところに、今後、この評価プロセスに関して、こういうやり方の方がいいのではないかとか、こういうことが気になったというようなことがあれば、それを出していただいて、それを経年的に集めて、評価がどう変わってきたかとか、あるいはもっといい方法があるのではないかというような、ここでの議論の参考にしていくということで従来もやっております。初めての方もいらっしゃるのでちょっと補足させていただきます。よろしいでしょうか。
 これらの規定に基づき、第3期国立研究開発法人審議会を運営させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、議題3に移りたいと思います。
 文部科学省所管の独立行政法人の評価の基準の改訂案につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。それでは、お手元のタブレット資料3をお開きいただけますでしょうか。題名が「文部科学省所管の独立行政法人の評価に関する基準(改訂案)の概要」となってございます。全体で7ページの資料でございます。
 まず、こちら、冒頭の「改訂の背景」でございますけれども、独立行政法人通則法に基づきまして、総務省の方で総務大臣が御決定されてございますが、「独立行政法人の評価に関する指針」というものがございます。これに基づきまして、文部科学省の方でもほぼ同じ時期でございますけれども、文部科学省所管の独立行政法人に対して「評価に関する基準」というものを既に定めてございます。
 ただ、今般、2パラになりますけれども、平成31年3月に総務省の方でこの評価の指針というものを改定し、さらに、「独立行政法人の目標の策定に関する指針」というものもございまして、こちらの方も改定をされたということもありまして、文部科学省の方の基準を改定するということにさせていただければと思ってございます。
 さらに、背景を補足させていただきます。少しおめくりいただきまして3ページをごらんいただければと思います。3ページに、総務省の独立行政法人評価制度委員会の委員長の談話というものをお付けしてございます。こちらの方で少しポイントの部分を補足したいと思います。
 まず、1ポツに書いてございますような、急速な人口減少、地域の高齢化、エネルギー・環境問題など様々な社会的な課題に直面しているということ、これはよく言われていることでございます。また、AIだとかIoT・ロボットなどの革新技術が急速に進展し、第4次産業革命の社会実装により「Society5.0」が実現し、地域社会を含め、持続可能でインクルーシブな経済社会を構築していくことが喫緊の課題であるとされております。
 このような問題意識や背景の下に、2つ目のパラグラフのちょうど最初の行ぐらいからでございますが、我が国が直面するこういった様々な社会的な課題に向けて、独立行政法人の能力が最大限発揮されるよう、法人の長とも十分に意思疎通を図りながら、法人の現状や直面する課題、法人を取り巻く環境変化等を分析した上で、的確な目標を法人に示すということとともに、評価が法人の業務運営の改善につながるように改定をするということが書かれてございます。
 また、その下のパラでございます。「各法人の長」と。ここも少し大切ですので読ませていただきますけれども、各法人の長におかれましては、法人発の現場からの「気付き」を主務大臣に迅速かつ積極的に提言するなど、主務大臣と十分に意思疎通を図った上で、目標が意味するところや目標を踏まえて策定する計画を組織内の各階層に適切に伝えていただきたいというメッセージが示されてございます。
 さらに、これに基づいて目標策定指針、評価指針というのが改定された形になってございますが、4ページ目からが、そちらを総務省の方でまとめられているポイントという紙になってございます。こちらも先に御説明をさせていただければと思います。
 4ページ目をお開きいただければと思います。特にこの中で、最初の4ページ目から5ページにかけてが、まず目標策定指針というものの改定内容で、5ページ目の下からが評価に関する指針なんですけれども、まず、目標策定指針の方のポイントの部分を御説明申し上げます。
 4ページ目の下から5ページ目にかかっての部分でございます。丸3の4行目辺りから少し読ませていただきますけれども、先ほど申し上げたような委員長の談話にありますような様々な課題に直面している我が国は、「国の行政の一部として政策的実施に大きな役割を担う法人が様々な政策課題の解決に貢献していくためには、その専門性や人材面での強みを最大限に発揮して」、5ページ目にかかりますけれども、「各府省、各法人や地方公共団体、民間部門との分担と協働を進める視点がこれまで以上に必要であるため、目標策定上の視点として、新たに以下の視点を明示」ということで、a、b、2つの視点が列記されてございます。aが、法人の専門性やノウハウ、人材面の強みを生かした関係機関・団体への支援。Bが、専門人材の交流を含む関係機関・団体との協働体制の確立・強化という点でございます。これらの点につきましては、先ほどの会長あるいは会長代理の御発言にもございましたし、当審議会立ち上げのときからも法人の成果のみならずオールジャパンの成果を発するためにどう考えていくかということで、実質取り込まれてやっていただいている面でございますが、独法制度全体にもこういう考え方が浸透してきているという点でございます。
 2点目でございます。(3)、5ページ目のちょうど中段辺りになります。「重要度、困難度の設定の考え方の明示」というところも少し御説明させていただきます。なお書きのところからでございます。「優先度」については、「重要度」という視点に一本化する観点から廃止をすると。「難易度」というものについては、困難さの程度を表すものとして「困難度」と名称を改めるという形になってございます。名前の変更、意味の変更もありますが、基本的に評価の大きな部分での変更ではないかもしれませんが、名称を少し変えるということになってございます。ここが目標策定指針という部分の改定のポイントかと考えてございます。
 次に、評価指針の方の変更内容についても御紹介させていただきます。5ページ目の一番下からになります。
 まず(1)「評価の活用方法の明示を通じた活用促進」という部分でございます。これも国立研究開発法人につきましては随分御工夫いただいている面も既にあろうかと思いますけれども、独立行政法人全体を通じまして、「具体的な」という部分からでございますが、具体的な活用方法として、1、業績が悪い部門の改善、2、業績が良い部門の更なる向上、3、業績向上努力の評価を通じた改善努力の促進と、こういったことを指針に明示してございます。したがって、きちんとこういう活用方法の明示を評価の中でも考えていただきたいということになってございます。
 次のページ、6ページを御覧いただければと思いますが、(2)「評価の目的・役割に応じたメリハリ付け(重点化)」という部分でございます。
 冒頭、当然のことを少し書いていますので省略いたしますが、丸1の2パラの「そのため」、2パラの6行目の後段辺りからでございます。「そのため」からちょっと読ませていただきますけれども、年度評価については、例えば、1番目として目標達成上の支障となる業務運営上の課題や好成績となっているものの抽出、2番目として目標期間終了時に達成されるべき成果やその水準をあらかじめ具体化できず、目標期間中に結論を得ることとした事項のモニタリング、3番目として、目標策定時に重要度また困難度が高いとされた事項の進捗管理といった点に重点化することができるとされております。
 また、この重点化ということにつきましては、その下のパラでございますが、「重点化」とは、目標達成上重要なもののみ従来の単位・精度で評価を行うこととする一方で、それ以外の項目については、簡素化・効率的な評価となるような工夫を施すことにより、評価にメリハリをつけようとするものであるため、重点化の対象としない項目については、評価単位の柔軟化を認めるという記述ぶりになってございます。この点につきましても、幾つか部会でこれまでやっていただいたものを私も幾つか聞きましたけれども、実質的にやっていただいている面があろうと思ってございますので、これが評価指針に明示されたということで、引き続き、やっていただいているところはそういうメリハリをつけてやっていただくとともに、まだやられてないところは、今後、そういう御工夫を頂きたいということだと理解してございます。
 引き続きまして、丸2でございます。1行目の後段から読ませていただきますと、自己評価の評価単位について、必ずしも最小であることを求めず、「事務・事業の特性に応じた単位」とすることとすると。これまで、これも一部そういうふうにやっていただいているとは聞いてございますが、精緻に緊密に自己評価の単位を最小単位にしていただいているところもございましたので、これはある程度くくってやることができるということが明示されてございます。
 丸3でございます。期間実績評価の効率化を図るために、見込評価の際の実績見込みと実績評価との間に大幅なかい離がなく、かつ考慮が必要な状況変化もない場合には、数値の更新等必要な修正を行った上で、見込み評価を期間実績評価に活用できることとするとされております。こちらも、一部の部会では既に取り組まれていらっしゃると聞いてございます。
 丸4でございます。中期目標管理法人及び国立研究開発法人の年度評価においては、先ほど申し上げました丸1のメリハリ付けの部分でございますが、ここの措置に伴いまして、法人による自己評価と主務大臣評価のいずれもが「B」評定となる場合には、評定理由を「自己評価書の『B』との評価結果が妥当であると確認できた」との記載で足りることとし、簡素化を図ると。これも繰り返しになって恐縮ですが、既にこのように運用していただいている部会もあると聞いてございます。
 次、7ページに飛びます。7ページの方はもう全部は御紹介いたしませんが、特に御紹介申し上げたいのは、(4)の「評定基準」、先ほど新地の方からも説明申し上げました評定基準についての見直しの部分でございます。1パラでございますが、2行目から読ませていただきます。より難度の高い目標が設定され、それが達成されることを推進する観点から、評定基準に困難度の視点を導入し、困難度が高い目標が達成されたときには、所期の目標を上回る成果を上げた場合の評定である「A」以上の評定となるようにしたということを記載されてございます。こちらの方も既にやられている部分もあろうかと思ってございます。
 今申し上げたような総務省の目標策定指針及び評価指針の改定のポイントを踏まえまして、文部科学省の基準につきましては、1ページの方にお戻りいただきまして、「本基準の主な改訂内容」というところに記載させていただいてございます。内容が重複しますので、表題のみ1から5まで読ませていただきますが、(1)「法人評価の具体的な活用方法の明示」、(2)は「中長期の期間による目標管理が行われる法人の年度ごとの評価のメリハリ付け」、(3)が「評価単位の柔軟化」、(4)が「評価書作成における簡素化」、(5)が「評定基準への目標の困難度の視点の導入」ということで、ポイントだけここは書かせていただいてございますが、このような形で文部科学省の基準の改定を考えてございます。
 なお、こちらの改訂の実際の案文につきましては、本日、参考資料4となりますが、これは、省内でも今、おおむね確認をとりつつあります。今後の手続といたしましては、こちらの改訂の基準案をきちんと政務、大臣まで相談し、大臣からの文書としてきちんと定める予定となっております。その後、きちんと部会にもそういう運用になるように、まずは文部科学省内にて各部会の事務局に共有を図るとともに、部会の方でもそれぞれ御紹介を頂く形をとらせていただければと考えてございます。
 説明は以上でございます。

【栗原会長】  ありがとうございます。
 それでは、今の独立行政法人の評価の基準の改定について、御意見や御質問等ありましたら御発言をお願いします。特に簡素化とか重要、全体大くくりで評価するというようなところは、実際の評価のやり方あるいは実績の報告を頂くときの単位等になる。非常に密接に関係すると思いますけど。

【山口委員】  1つよろしいですか。

【栗原会長】  はい。

【山口委員】  山口でございます。
 困難度と、それから評定の当てはめ方についての関係ですが、最初に設定した目標と相対的に成果が上回ったか、下回ったかでS、A、C、Dを付けていたという考え方から、今回はあらかじめ困難度というものを設定して、困難度の高い目標について達成度が高かったらA、Sにすると、そういうふうに見方を変えたと理解したのですが、ちょっとその辺り、いつもなかなか悩むところで、クリアにしたいなと思います。
 例えばこういう研究開発法人ですと、世界でここでしかやってないというような、そういう技術開発もあったりするわけで、そうすると何となくそれは世界で先端を走っている技術なのでSであると、そういうような議論というのは何となくしっくりこないところもあります。そうすると、事前に困難度として、法人自ら非常に高い困難度の技術であるということを自分で最初からアナウンスしてもらって、そういうものについてA、Sが付くのかどうかというのを評価すると、そういうような考え方なのかなと思いながら聞いていました。確認ですが、例えば困難度として最初から余り高くないとしていた目標についてもA、Sとかを付けてもいいのかとか、ちょっとその辺り、整理して、今のお考えをお聞かせいただければと思います。

【山下科学技術・学術戦略官】  今、山口委員からお話しいただきましたことの完全な補足にはならないかもしれませんが、今、説明申し上げた資料で言いますと、ちょうどそこの解釈が少し書いてありまして、先ほどの資料3の7ページをごらんいただきながら説明を聞いていただければと思います。7ページの一番下の部分でございますけれども、「現行指針では」というところがあります。目標は、難易度が高いとされていた項目は一段階引上げを考慮するとされている運用だったというところという、その文脈でございますけれども、なかなか研究開発のみならずではあると思いますが、やっぱり困難度の設定自体が当初なかなか難しかろうという場合は、ちょっと読ませていただいた方が多分御理解いただけるかもしれませんが、「評価の時点で目標水準の達成の難易度が判明する場合もあることから、評価の時点で、達成が困難なものであったことが判明した項目についても評定の一段階引上げを考慮することとする一方で、目標で困難度が高いとされた項目であっても、評価の時点で達成が困難なものではなかったことが判明した場合には、評定の一段階引上げを認めず、困難度が高くない場合と同等の評定とするよう調整することとする」とされております。ここは、言わんとしているのは、不確実性が伴う研究開発は特にこういう要素があろうかと思います。最初の時点では難しいと自己評価でも示され、先生方もそういうふうに認識をされた場合であっても、それが実際やってみてどうだったかということが、当初の想定というか、考えている部分とはやや違ったり、想定外のことが起こり得るというのが研究開発では多く、なかなか一律にしゃくし定規にどうだというのは言いにくい面が正直言ってあると思います。ただ、最初に御議論いただいたときの例えば困難度が、どういう考え方の下に先生方が自己評価の結果を踏まえて御理解されたかということをきちんと記録なり委員の皆様の共有に残していただいて、それが2年後、3年後、年度評価ですと毎年かもしれませんが、確認していくプロセスの中で、実際どうであったかということの突き合わせが少しできるように御工夫いただくということなのかなと考えてございまして、なかなかこれを一律にこうだとやっぱり決め切れない難しさがあるということが正にここに書かれている点と、やはり最初の設定と評価する時点での考え方あるいは状況の変化をきちんと踏まえて評価を頂きたいというふうに整理はされていると理解してございます。

【栗原会長】  ちょっと補足させていただくと、このS、A、B、C、Dの評価は、目標に対する達成度だけではなく、先ほどの特にSについてはかなり絶対評価的な視点が入っていると思います。それで、そこが大変詳しい言葉で書いてあります。ですので、特に研究開発においては、目標というものの130%、150%ということだけではなくて,むしろその成果の意義、例えば世界初とかトップとかそういうようなことも大事ですし、それに対する困難度も併せて考えるというように私は理解しています。ですからやはりSはそういう基準でやって、A、Bに関しては多少その目標に対しての何%というような考え方でもいいのかもしれないですが、ここで詳しく言葉で書いてあるのは、やはり目標に対してというよりは成果の位置付けを考えながら評価すべきだということだと思っています。

【渡辺大臣官房審議官】  今、主査がおっしゃったことでほぼ全てなんですけれど、念のために申し上げますと、いろいろなタイプの法人がございますが、サイエンティフィックレベルの困難さを言っているわけではなくて、それはもちろんサイエンスのいろいろな論文だとかいろいろな発表の場で評価されていくもので、それがどうであったかということを見て御評価いただくということですし、法人として、プロジェクト、達成すべき内容というのは、必ずしもサイエンティフィックなことのみではなくて、システムとして、あるいはプロジェクトとしてどういった制度であったか。産業界との連携であるとか、それからいろいろそのほかのステークホルダーの関係があって難しいといった、達成度といった点を御評価いただくということかと思います。

【山口委員】  よろしいですか。

【栗原会長】  はい、どうぞ。

【山口委員】  私の方で御質問したのは、実際評価となると、その法人御自身もBなのか、Aなのかとか、やっぱり大変気になるところなんですね。ポイントは、いつも例えば数字で表されるようなものは、目標の150%だったうんぬんという話が出てきたりするのですが、是非明確なメッセージとして出していただきたいのは、もともと、最初に御挨拶にありましたように、法人の研究開発成果を最大化するというところが目標であるとすれば、そうすると、例えば困難度の高い目標を設定して、それがぎりぎりだったとか少し及ばなかったというようなものが低い評価になるというのは筋としてはおかしいだろうと。逆に、数字などで達成度を上げるということを意識してあえて低めに出すというのも、やっぱり法人のビヘービアとしては、少しアティテュードとしてはおかしいだろうと。ですから、そういう目的として成果最大化を図るという意味でどんどん困難度の大きい目標を出してくださいと。それに対して、困難度の評価と成果の評価を総合的に見てきちんと評価しますよというメッセージを是非明確に発信していただきたいなと思った次第です。

【栗原会長】  非常に目標設定のところに対する困難度についての位置付けというのをきちっと説明いただいてありがとうございます。

【浅見委員】  よろしいですか。

【栗原会長】  はい。

【浅見委員】  いまの議論に関連しますが、困難度ということをただいま議論いただいたような形で決めていくというのは非常に重要だと思うんですが、一方で、成果の最大化というのが、社会的にどういう価値があるのかとか、科学技術的にどういう成果なのかといった議論になった場合に、課題の重要度というのが問題になると思います。この重要度と困難度というのはなかなか関係が難しくて、極めて重要な課題において困難度が中程度というのと、それほど重要でない課題だけど困難度が高いとか、いろいろなケースが考えられますね。その辺、成果ということを考えたときの重要度についてどう考えるかということに関して、何かもし今回の改訂で議論されたことがあったら教えていただきたいのですが。

【山下科学技術・学術戦略官】  御指摘いただいた点について今すぐお答えできる材料がないので、少し我々の方でも確認をして、また皆様にどういう形かで共有できるようにはしたいと思います。ただ、やはり両方のバランスをきちんと考えて評価を頂くということが重要であるということは、間違いなく御議論されてこういう形になっているということではございますので、少し調べて、また何らかの形で共有させていただければと思います。

【浅見委員】  わかりました。それと、また少し違う観点の話ですが、このS、A、B、C評価のときにあるのが、例えばAの評価をもらった翌年に、前の年と同じようにやっているからやっぱりAじゃないかという期待が法人の方にあって、そういう考え方で妥当なのかという議論です。結局これも先ほどの重要度の考え方と関連するんですが、社会的といいますか、周りの成果に対する期待、価値基準というものは年々変わるわけですよね、その時々で。ですから、同じように努力して同じような結果が出ても、社会的な期待というのがそこにないというのであれば、それは成果としてはいま一つで、AがBになることもあるでしょうし、逆に、前年度Bと同じような結果なんだけれども、その成果が社会的に非常に重要で価値が高いという状況になったのであれば、それはAになってもいいのではないかと考えられます。ですから、その辺の関係がある程度はっきり分かるような形で示していただけると、これも法人の方としても納得感が高いものになるかと思いました。これは意見ということです。

【山下科学技術・学術戦略官】  分かりました。ありがとうございます。その点も含めて少し我々の方できちんと確認して、また皆様にきちんと御共有申し上げたいと思います。ありがとうございます。

【栗原会長】  ほかに何かありますでしょうか。はい、どうぞ。

【中川会長代理】  基本的なことなんですが、この新しい方針は、本年度の我々が担当する法人の評価の中でどのように生かされていくのか。法人の方はそれを分かった上で報告をまとめてくるのか、それとも、どちらかというと各部会でこの方向に沿って法人から出てきたものを読みながら考えて評価をまとめていくのか、それが我々のミッションだと思うんですけど。中身については、この国立研究開発法人審議会で最初から議論してきたことで、ずっとその方向に動いているなという感じはしますし、それをまた私たちが法人評価の中でより肉付けしていく、今、浅見委員がおっしゃったようなことも肉付けしていくのが我々のミッションだと思っていますけど、実際に今年度の場合、どういうような流れなのか教えていただけますか。

【山下科学技術・学術戦略官】  御質問ありがとうございます。今の御質問に関しましては、できるものはやれるけれどもという部分があります。例えば自己評価の評価単位は最小単位じゃなくて少し束ねるというものにつきましては、実はこれから法人の自己評価をやっていただく部分もありますけれども、実質進んでいて、なかなか今、作業を変えてやるのは難しいケースもあろうかと思います。したがって、そういう部分については、これ、できる規定でもありますので、経年措置というのはあろうかと思っています。ただ、先ほど申し上げました困難度とか重要度といったような視点につきましては、もうこれは順次取り入れることができる部分につきましては今年度の自己評価から一定程度反映されて出てくるという形になりますので、それはむしろ文部科学大臣の決定文書、基準をまだ決定できていないのですが、基準が決定された暁にはきちんと各法人担当課にも共有し、法人にも共有をして、そういった自己評価を出していただくという形になると理解してございます。

【中川会長代理】  先ほど御説明の中で何度か出てきていた実際にやっていただいている法人もあるという話は、正にそうだと思っております。ただ、それぞれ各部会を任されていて、そこの法人を見ている人は分かっておられますし、ここの議論で表面に出てくれば共有されていますが、私も防災科学技術研究所での評価をするときに、事務局に頼んで他の法人の部会での詳しい評価の議論などを聞いていただいて、なるほど海洋研究開発機構ではこんなことやっているのかなど、情報を取りに行って初めて分かったこともありました。それは長年、いろんな評価をやる中で整理されてきたものだろうと思いますので、もう少しやった法人の事例なども共有していただくと各部会がやりやすいのかと思いますので、参考になるものがありましたらよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】  承知いたしました。ありがとうございます。

【栗原会長】  それでは、よろしいでしょうか。
 では、議題4に移ります。ここでは、第3期国立研究開発法人審議会において、総会として今後どのような点について議論を行うべきか審議を行いたいと思います。
 まずは、平成30年度に実施した国立研究開発法人の機能強化に関する調査について、委託先の株式会社三菱総合研究所より御説明をお願いいたします。

【三菱総合研究所高谷】  では、内容を紹介したいと思います。資料4です。
 最初に目的が示されているかと思います。趣旨としては、国立研究開発法人、特に全体ではなくて、文部科学省が主に所管している国立研究開発法人というのをスコープとして、その中でオープンイノベーションの潮流の中で民間企業の研究開発が変わってきたり、デジタル革命のようなものが起こっている中で、文部科学省が主に所管している法人について、どのような研究開発に関する機能が必要なのか、求められるのかというところについて、国内外の研究機関、公的研究機関を見ることによって明らかにしたという趣旨でございます。
 次のページに参りまして、これが結論的なまとめとなっており「研究開発環境の変化」という左上の部分と「国立研究開発法人の強み」を踏まえると、下のような国立研究開発法人の役割がミッションによって考えられるのではないかというのが今回の調査の結論であります。
 左上の「研究開発環境の変化」ということにつきましては、最近、研究機関や研究者に対して論文数の要求が非常に高まっておりまして、個々の研究者も非常にそのサイクル、業績評価でプレッシャーを感じる中で研究をしているというところです。そうなると、研究をする際になかなか長期で挑戦的かつ融合的、ただし、大きなものが出る、成果が出るかもしれないという研究というのは、どうもやりにくくなっているのではないかというのが「研究開発環境の変化」であります。
 一方、右上の「国立研究開発法人の強み」というところを考えてみると、国立研究開発法人というのは、まず教育的な負担がないというのは大学との大きな違いで、雇用が比較的安定しているということもありまして、長期的な研究ができるのではないかということ。また、その組織についても、大学との比較で考えても、内外から研究者を集中することができる体制ではないかということと、今のところですけれども、相対的に運営費交付金というのは安定した財源となっているというところがあるということです。
 それを考えますと、下のような国立研究開発法人の役割が2つ考えられるのではないかということで、そのミッションというのを、ちょっと下に左右に書いてありますが、企業とか大学があるイノベーションシステムの中で果たしていくことが求められているのではないかと考えております。
 この一番下の2つの機能については次のページで詳しく説明をしております。まず、上にある研究を幅広く支える「研究基盤・研究データの維持・提供」機能というものについては、研究をするための研究基盤、施設だったりそういうものを整備・維持・共用して、研究テーマが中長期にわたる研究及びその試験データの保持・提供・活用機能を行うというものです。これについては、比較的従来から研究開発法人の役割として意識されているところだと思います。
 次に2番目のところ、もう1点ありまして、ここでは基礎研究・学術研究の未来を拓(ひら)く「飛躍のある研究・異分野融合研究への挑戦」機能というものです。先ほどの1ページ前の図に示したように、論文を生産しなければならないというところで、長期的な飛躍のある研究というのは非常にしにくくなっているというところで、それに対して研究開発法人というのは、そういった長期的な研究分野あるいは異分野の融合分野に対する研究に対して研究者を集中して研究することができるのではないかということです。具体的には、学際・異分野研究というものもあれば、成果・価値創出までに非常に長期を要するような研究もあれば、特に新しい研究開発手法というものをまず試してみて、それが大学なり企業なりに使われていくというような役割があるのではないかと考えております。
 7ページ以降は、今申し上げました2つの機能というのは具体的にどんなものかということを3つの研究開発法人について御紹介しますと、例えば物質・材料研究機構(NIMS)について見れば、施設及び設備の共用というのは従来から重要な機能としてされておりますし、また、データベースという意味では、オンライン材料データベースというものを公開しているというのは非常に重要な機能になっています。そのデータベース自体、科学技術振興機構で開発されたものとか、前身の研究所のものから引き継いできたものですが、引き続き公開しているというのは非常に重要な機能になっていると。さらに、その下の部分に行きますと、MI2Iという形で、いわゆる物質・材料研究と情報分野の融合分野としてデータ駆動型の物質・材料研究に取り組んでいるという場で、この部分というのは、異分野をまとめた研究の場として非常に重要な研発の役割、物質・材料研究機構としての研究開発法人の役割になっているのではないかと思います。
 次のページは理化学研究所(理研)でして、最先端の情報機器、分析装置等、研究基盤というのを提供しているということと、あと、下の行に行きまして、理化学研究所の場合は主任研究員制度という、研究者に対して非常に裁量権を与えるような制度が古くから行われていまして、こういう研究をすることによって、分野を超えたような研究とか、あるいはボトムアップ・トップダウンの研究に機動的に対応できるというところの特徴を持っているのではないかと思います。
 次のページは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の例で、当然のことながら、大型の観測ロケットとか探査機とかそういったものを扱うという機能を持っているということに加えまして、下の行に行きますと、イノベーション創出のための異分野融合ということでは、御案内のとおり、イノベーションハブというものを通じて、宇宙分野に限らないような企業も含めて研究開発を行うことに取り組んでいるということがあります。
 以上、3つの機関について御紹介をしましたが、次のページ以降には、それ以外の7法人プラス2つの法人、9法人について同様の観点から整理した結果というのを載せております。
 詳細は割愛しまして、海外の公的研究機関についても調査をしております。インタビューを幾つか実施していまして、そのインタビュー結果を次ページ以降から示しております。
 実際のところ、海外の公的研究機関については、国の科学技術政策に対する枠組みとかイノベーションシステムの枠組みがそれぞれ違うので、一概には比較できないということになります。今回導いた2つの機能に直接つながっている、そのままの結論が出ているということではありませんけれども、海外、例えばここに載っている米国の研究機関であれば、国立標準技術研究所(NIST)のように経済的に非常にインパクトを出すというものも重視している研究機関ともあれば、海洋大気局(NOAA)というように連邦政府からの優先順位に基づいて研究を行うとかインフラを維持しているという機関もあります。スクリプス海洋研究所(SIO)はこの中では異色で、大学に近い研究機関ということなので、日本の大学と同様の問題というのを幾つかその設備の維持で持っているという例になっています。
 次のページは欧州、アジアということになっていますが、この2番目のポーラ・シェラー研究所(PSI)のように、やはり大型のインフラというのを外部利用させるということを重要な機能として持っているものもあれば、その下にある台湾の工業技術研究院(ITRI)、韓国の電子通信研究院(ETRI)、シンガポールのシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)のように、日本で言うと産業技術総合研究所のような応用研究に特化した研究もあるということでございます。
 特に海外のこれらの研究機関については、今回調査の対象とした文部科学省が主に所管する研究開発法人とは少しスコープが違い、役割も違うので、一概には言えませんが、やはり機関の中には施設の共用みたいなところを重視しているところもあります。また論文数なども見てみますと、論文数が多い、少ないという意味では同じ分野でもかなり違いがあり、論文が伸びている研究所もありますが、必ずしも論文だけによらないような活動をしているというのは、国立研究開発機関と同様に海外の公的研究機関にも見られる傾向ではないかと思います。
 次のページ、有識者のインタビューを行いました。これは大学等公的研究機関、日本の国立研究開発法人等に籍を置いた方にお話を伺ったところ、内容としては、繰り返しになりますが、このページについては、やはり国立研究開発法人というのはデータ、あるいは設備という大きなものを持っていますので、それを維持・運営することには期待が大きいし、その維持・運営をする中で企業と一緒に研究したりとか、あるいは大学と一緒に研究したりという形で橋渡し・連携をしてほしいと。国立研究開発法人にはよい装置がありますし、大学研究者にはアイデアがあるので、場所ではなく場の提供ということでやってほしいというような期待もあるようです。当然、設備があると、そういう基礎領域・施設に関する人材育成・技術継承というのも期待があるところであります。
 次のページ、最後のページになりますけれども、飛躍のある研究・異分野融合というところについて言えば、当然のことながらミッション研究というのは研発の機能であって、大学はできないのでやってほしいということがあるのですが、研究開発法人というのは、右上にありますように、最先端研究の追求と研究水準の維持として、やはり研究者の方々に聞いても、教育義務がなく組織の改廃がしやすいので、集中して研究するのには非常によい場であるということをおっしゃっているということです。ただ、単純に研究だけをしていれば独立していいのかということではなく、その下にもありますが、そうした研究をした上で、大学との人的交流とかそういうものをすることによって、同じ学術研究・基礎研究をする機関でありながらも、役割が違いながら交流していくということが重要ではないかというような御意見を頂いています。
 この2つの機能というふうに今挙げておりますが、独立してあるということではなく、これがいわば密接不可分にあるということです。単純に集まって場になって異分野研究してくれというわけにもいかず、正に基盤的なものや研究施設といったものがあり、データがあるからこそ、異分野の研究やそのような早期的な研究がしやすい環境にあるというところが研究開発法人の強みであり、求められる機能ではないかというところで整理をしております。
 以上です。

【栗原会長】  ありがとうございます。
 これについては、御質問等、何かここは聞いてみたいということがあればお願いします。特になければ、今、非常に詳細な説明を頂きましたし、あとは、特にここのところは、どちらかというと基盤になるような活動を中心に国立研発開発法人の活動は見られていた部分が多いと思うのですが、飛躍ある研究・異分野融合研究への挑戦という、より新しい視点を御紹介いただきまして、どうもありがとうございました。今後、本審議会における議論にも調査結果を参考にさせていただきたい、活用させていただきたいと思います。

【三菱総合研究所高谷】  はい、ありがとうございます。

【栗原会長】  それでは続きまして、事務局より第3期国立研究開発法人審議会における検討課題(案)の御提案をよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】  それでは、お手元に資料5をお開きいただければと思います。前の方にも映させていただいてございます。
 資料5、本文は1ページの資料でございます。後ろに参考資料がございまして、まず、こちらの方から御説明させていただければと思います。
 2ページからでございますが、別紙で付けています「文部科学省国立研究開発法人審議会におけるこれまでの主な指摘事項について」という紙でございます。これは、第1期、第2期、過去4年間に各部会で頂いた指摘事項を全体としてまとめたもの、すなわち、毎年おまとめいただいているものを全部羅列しつつ集約して書かせていただいているものございますので、新しいものではなく、これまでの議論の蓄積でございます。大きく4つに分けて書かせていただいているものになってございます。1つが、フローチャートあるいはロードマップといったものを活用したPDCAによる評価をきちんとやっていく仕組みを実施していくという点。2つ目が、評価手法の充実・改善ということについての御意見。3ページになりますけれども、3ポツ目が研究開発成果の最大化ということと評価との関係性についての御指摘。4番目が、研究開発の推進に向けた国立研究開発法人制度の運用等についてとなっております。昨年、この期からの先生は御承知ないかもしれませんが、これらの取組がどういう進捗状況になっているかということも御紹介をさせていただいておりますが、これも踏まえまして、また1ページの方にお戻りいただければと思います。今回、事務局の方で少し整理をした検討課題(案)というものを作らせていただいてございます。
 一番最初でございます。「法人による法人発ベンチャー支援業務について」という部分でございます。これは、昨年秋の臨時国会で成立いたしました科学技術イノベーション活性化法の成立によって、法人発ベンチャー支援方策が拡充されてございます。具体的には、出資できる機能が拡大した、あるいはそういう法人がたくさん広がったという部分でございますが、こういった業務を適切に進めていくという視点で言いますと、2行目からでございますが、適切な実施手法だとか評価手法の検討が必要であると考えてございます。特にこの出資業務の部分につきましては、法人の自己収入を財源として行うということになってございますので、寄附金等を獲得するためのアウトリーチ活動等の必要性が増していくと考えてございまして、こういった活動に関する好事例(グッドプラクティス)などをきちんと調査・検討を行うというのも大切ではないかなというのを書かせていただいてございます。
 2つ目が、「法人の保有する研究インフラの利活用促進」という面でございます。昨年、三菱総合研究所に委託をさせていただいて、先ほど御報告いただきました文脈もこの点と関連すると考えてございますけれども、中長期目標に示されたミッションを踏まえて、大規模あるいは大型の研究インフラ、様々な意味でインフラという言葉以上の部分もあると思いますが、プラットフォームなり中核になる部分、大学・企業も含めましてそういった研究開発法人が果たす役割があるのかなと思ってございます。先ほど独法の評価の指針でございますとか目標策定指針にもございましたように、協働ということ、企業あるいは大学との協働ということもきちんと位置付けられたということもございますので、そういうネットワークをきちんと張っていく、あるいはインフラを活用してオールジャパンの視点で研究成果を最大化していくという視点での研究インフラの利活用の好事例というものをもう少し深掘りするような視点での調査・検討を行うというのも一つあるのではないかなということで、2つ目、書かせていただいてございます。
 あと、3つ目から6つ目までの視点につきましては、昨年までのこの評価のプロセスで頂きました主な指摘事項を我々なりに大くくりにさせていただいてございます。それを書かせていただいてございます。
 3つ目の「国立研究開発法人の長によるマネジメント充実強化に向けたフォローアップ」、これは前期でも最後御審議いただきましたように、理事長のマネジメントの好事例調査というものを平成28年度に行ってございますけれども、これのフォローアップを行うという視点があるのではないか。あるいは、関連するものとしては、法人の管理職等の方々に対して、法人の長のマネジメントに係る匿名の記述式インタビューを行うといった視点も、ボトムの視点から見るというのもあるのかと思いまして、そういった調査・検討を行うというのを一つ書かせていただいでございます。
 4つ目、「中長期的な研究開発プロジェクトの運用及び評価の在り方について」。これも幾つか頂いている指摘を多くくりにまとめさせているものでございますけれども、2行目からになりますが、成果を得るまでに一定の時間を要する研究開発プロジェクトが多かろうと。そういった特性が、全部ではございませんが、多いということもあるので、運用面ですとか評価面での工夫を把握して、中長期的な研究開発プロジェクトを安定的にきちんと進めていくと。あるいは、きちんと成果最大化がなされるように進めていくための共通する示唆のようなものがあるのかということを例えば考えていくという視点があるのではないかというのが4つ目でございます。
 5つ目が、「横断的な事項に関する法人の取組」、これは様々ありますので、ちょっとくくらせていただいてございますが、人材育成の確保の視点でございますとか関係機関との協働に係る取組、上ともかぶる面はあると思います。様々な視点が共通事項、財務基盤でございますとか様々な面がこれまでも御指摘いただいてございますけれども、そういったものをきちんと把握して、組織・業務運営の見直しへの活用を図るということもあろうかと思ってございます。
 6ポツ目が、「国立研究開発法人制度の運用改善」ということでございます。これも、国立研究開発法人、27年度に通則法改正された後も法改正、いろんな形でなされてございますし、制度改善の取組も進んでございますけれども、制度的な隘路が顕在化している面もあろうかと思います。また、もともと考えていた国立研究開発法人の理念とやはり少しずれているのではないかという御審議もこれまでの審議会でもなされていたことも承知してございますので、諸課題について把握して、各法人が研究開発成果の最大化を図る上での必要な制度の運用改善に向けた示唆を得るという視点もあろうかということで書かせていただいているものでございます。
 説明は以上になります。

【栗原会長】  ありがとうございました。
 今の御説明内容について何か御質問等あれば。これは本審議会で検討していくという第3期の課題ということでございますけれども、最初に局長がおっしゃった研究成果の最大化とか、社会との関係性、長期性や機能評価、横軸というようなところが具体的な項目として書かれているものだと思います。

【山口委員】  よろしいでしょうか。

【栗原会長】  はい。

【山口委員】  山口です。1点気になるところがありまして、先ほどの三菱総合研究所の調査とも関係しますが、大学との連携の話です。大学との連携が非常に大事であると。それで、国立研究開発法人は、大学のシーズを生かして開発を行うということで、基礎から応用までカバーできて成果が上がると。これはもっともだと思うんですが、先ほどの三菱総合研究所の調査では、研究開発法人では学位取得などの心配をしなくていいとか、教育をやらなくていいからという話があって、じゃあ、その連携の在り方はどういうふうになるかというと、私が知っている海外の研究所などでは、そういう研究機関に大学の博士課程の学生が行って共同研究をやりながら学位を出すとか、あるいはそういうところが学位を出せるというようなところもあるかと思います。先ほどのアンケートのところで、何となく研究開発法人は大学のような仕事をやらなくていいから成果が上がるんだというような話がある反面で、連携をしっかりやり、大学のシーズを使えという辺りが、ぎくしゃくした感じがあります。質問というわけではないんですけれども、何となく、こうやって大学の連携ということを言っている割には、もしかしたら研究開発法人の方々の意識というのは余り連携というところに向いてないのかもしれないなというような気もしつつ、ちょっと何となくしっくりこないところがありました。感想みたいな話で申し訳ありません。

【栗原会長】  ありがとうございます。

【渡辺大臣官房審議官】  よろしいですか。

【栗原会長】  はい。

【渡辺大臣官房審議官】  山口委員がおっしゃるようにそこの部分は違和感ございまして、法人は、確かに日々の授業のことは余り考えなくてもいい方が多いかもしれませんが、連携大学院制度を非常に多用する方向にあります。今、どの法人がどのぐらい安定的にそれが運営できているかということはございます。法人自身で学位の付与というところはできないまでも、大学院生やポスドクと言われる人たちの研究の場を通した育成ということは十分に行っておりますので、調査の報告における表現は若干誤解を生むと思っております。大学との連携において、クロスアポイントですとか、連携大学院といったような制度がどのように機能しているかということも、評価の際に見ていただく点にもなるかと思っております。

【栗原会長】  補足ありがとうございます。

【中川会長代理】  あと1点いいですか。

【栗原会長】  はい。

【中川会長代理】  科技イノベ活性化法で、ベンチャーをもっとやりましょうという話ですが、大学でもかなりやっている中で、基盤を作る、インフラになりますという研発としては、大学と競争するようなことになるのも違うのだろうとも思います。そこはやっぱり研発らしいベンチャーの支援の在り方みたいなものが何なのかという視点で。こういう調査・検討をしなきゃいけないということは感じました。コメントです。

【浅見委員】  済みません、ちょっと短くいいですか。

【栗原会長】  はい。

【浅見委員】  少し視点が違うんですけれども、成果の最大化とかそういうことを大学とか開発法人でいろいろ考えていくんですが、そのときに、私たちも悩むのは、国際協調ということと、それに対して日本の強さをどう維持するかということのバランスです。国益ということだけに集中して考えるというのは、これはある意味偏った考えになるかもしれないですが、そうはいっても、世界的に今の情勢を見ると、それぞれの国が自分たちの国の強みをどう作るかというのを、大学の研究であれ、公的機関の研究であれ、企業の研究もいろいろと議論し、考えて競争しているわけです。先ほどの調査結果の中にも入っていた、例えばアメリカのNISTですね、ここは実際のところアメリカの国益をいかにして高めるかということにものすごく集中している機関です。彼らの活動はそのための研究であって、その成果をもとに標準化を通じて覇権を取っていくということを考えて世界的視野で動いているわけですね。ですから、そういうようなことに対して日本では文部科学省だけではなくて様々な省庁の機関があるんですけれども、そういうところが国の産業を強くする、あるいは社会を強くするということにどう関わっていくかというのをどこかで議論していくべきではないかと思っています。答えがそんなに簡単に出る話でもないですし、短期間に分かる話でもないんですけれども、その辺を考えたい。最近よく言われる話で、研究開発力は日本がトップ集団からもう何十位に落ちているとか、そういう話をする一方で、では日本はどうやって世界の中で強みを出していくのかという議論が具体的になかなか進まない。その辺を少し考えながら、こういう目標の決め方などを議論していくのがよいかと思いました。これはコメントです。

【栗原会長】  研究成果の最大化という中には、いろいろな立場の人たちがとにかくうまく協働して成果を最大化していって、最終的には国際競争力もつけるということだと思うのですが、その中に具体的に何かあれば、研発法人の関われる部分というのはどういうものなのか分かりませんが、なるたけ最大化にいい形でやっていくということはあると思うので、議論の中にそういう視点も、今、国際競争が厳しい中でということも、環境としては最初の特に総務省なんかのメッセージにはあるんだと思いますので、考えていったらいいと思います。  

【栗原会長】  実はきょうの議事進行の中では、最後に各委員が自己紹介をしながら意見を伺うというところがあったのですけど、質問ということで伺ってしまったら意見の方向に行ってしまったので、ちょっとここで一旦切らせていただいて、発言された方は、どうしても付け加えたいことがあればちょっと補足いただくような形で、簡単にもし自己紹介も必要でしたらしていただきながら、お一人数分だと5時になってしまうので、15分ぐらいでこの人数で終われるように御発言いただけるといいので、できれば、既に御発言した方は簡単にやっていただくということでいかがでしょうか。ここでスイッチさせていただかないと、最後、発言されずに帰られる方がいるのは残念だと思いますので、よろしくお願いします。
 順番でいいですか、先生、今のような形で。

【永井委員】  ちょっと先に失礼しなきゃいけないので。

【栗原会長】  それでは先にお願いします。

【永井委員】  申し訳ありません。

【栗原会長】  帰られる方は先にどうぞ。まず、永井委員。

【永井委員】  先ほどの困難度を考えてというところはかなり気を付けないといけないと思います。といいますのは、どんな研究も難しいといえば難しい。うまくいかなかったら難しかったといえる。うまくいっても難しかった。そうすると、判断の基準は非常に難しくなりますので、この困難度をどう設定するかあらかじめよく議論をして約束事を決めておいた方がよいのではないかという気がいたしました。
 それから、今、世界の研究所がアンダーワンルーフとかオープン化していますので、これらの研究機関がどうするか。何か改革に向けての一歩を踏み出していただきたいと思います。いきなり組織改編はとても無理でしょうから、大学との交流を含めて、横断的な新しい領域へチャレンジできる体制づくりをするということも一つの評価項目ではないかと思いました。
 以上です。

【栗原会長】  ありがとうございます。大変重要な点だと思います。

【松田臨時委員】  僕も早く出ないといけないので、いいですか。

【栗原会長】  はい。

【松田臨時委員】  初参加なのでずっと黙っておりましたが、恐らく、私だけここの中で毛色が変わっていて、僕自身の専門は正に大学発ベンチャーをどうやって創るか、どうやって成功させるか、研究成果をどうやって事業化するかということをやってきている立場で、今回、この法人による法人発ベンチャー支援業務をやるということで、その専門家として多分ここに呼ばれたんだと思っています。
 先ほど国際競争の話がありましたが、メガベンチャーを創るということは基本的にはもう日の丸ベンチャーではなくなるということなので、もし研究成果の事業化でメガベンチャーを創る、国際的に戦える会社を創るということは、その権利はもう日本としては守れないということと同じだと思わなきゃいけないということを理解した上で、どういうふうにベンチャーを支援するかということを考えていく必要があると思っています。
 よろしくお願いします。

【栗原会長】  ありがとうございました。
 それでは、順番に小林委員からお願いします。

【小林臨時委員】  小林です。私も初めての参加なので、ちょっと様子が分からなかったんですが、先ほどの三菱総合研究所のお話の中にもあって、議論になったところですが、国立研究開発法人と大学との関係というのは非常に多面的であるという現実があります。その中で三菱総合研究所の報告は、以前の大学・国立研究開発法人間の関係と新しい研究開発法人と大学との関係が逆転しているのではないか、ある意味では伝統的な考え方を逆転するような発想になっている面があると思います。要するに、先端的な研究をやるのは大学ではなく、むしろ研究開発法人だという発想は、非常に大胆な発想の転換です。ただ、現実問題、確かに今の大学の状況を見ていると大学は甘くない状況にあるので、こういう大胆な提言というのはあり得るという気がします。
 一方では、盛んに言われているのは、両者の交流とか、あるいは協力の仕方、教育や人材育成も含めての交流ですが、これにも実は多様な側面があります。恐らく、単純に物事を見るだけではなくて、協力の仕方もいろんな方式がありますので、かなり細かく見ていかなければならないと思います。例えば、大きい研究開発法人ではサテライトのようなものを大学の中とかそばに創って協力を始めたりと、多様な方式でやっているわけですね。そういうものについて一つ一つ効果を見ていかないといけないだろうということがあります。ただし、相手が大学であるということは難しい条件になります。実は大学そのものが今、非常に大きく変化していて、研究開発法人以上に目まぐるしい変化の中にあるというのもある意味では現実だと思います。
 特に大学の方から見ると、ややこしい問題は、共同利用研と附置研というものが存在していて、更にこの研究開発法人があるという、そういう構図です。そのような中にあって、大学自身も今、附置研の在り方について非常に苦しんでいる、悩んでいるという現実もあります。ですから、そういう動きのある相手との関係を考えていかなければならないということです。非常に細かく、注意深く見ていく必要があるのではないかなと思っています。
 以上です。

【栗原会長】  ありがとうございました。大学の立場としても、私も大学に属する者としていろいろデリケートな部分は大きいと思います。
 それでは、五十嵐委員、お願いします。

【五十嵐委員】  五十嵐でございます。企業から参加しています。私も今回初めてですけれども、三菱総合研究所の報告書の中で、民間企業の中で基礎研究を担ってきた研究所、つまり中央研究所ですね、これがもうなくなってきていて、そこのところを大学や研究開発法人に委ねていると、これは正にこのとおりです。そのときに思うのが、基礎研究とは何かということです。選択と集中をし過ぎた結果、将来のイノベーションの芽となる基礎研究ができなくなっているとの指摘もありますので、基礎研究はどうあるべきかという話です。そこのところで、大学と研究開発法人での基礎研究の在り方といいますか、必要ならば両者のすみ分けまでも含めて、今回のいろいろな審議の中である程度明確化できればいいなと考えています。よろしくお願いいたします。

【栗原会長】  ありがとうございました。
 それでは、江川委員、よろしいですか。

【江川委員】  はい。江川雅子です。一橋大学で教員をしております。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の部会の座長をしております。本日は少し遅参して申し訳ございませんでした。前期から委員をさせていただいております。
 1点だけ、常々感じていることを申し上げたいと思います。それはマネジメントの充実に向けたフォローアップで、先ほど人材育成の重要性ということがありましたが、海洋研究開発機構でいろいろ直面している課題、それから私は以前6年間、東京大学の理事として経営に関わっておりましたが、両方に共通した課題として、運営費交付金が減少し、人件費を削減している中で安定的な人の雇用がとても難しくなっています。先ほど国立研究開発法人はある程度安定的だというお話がありまして、研究者は相対的にはそうかもしれませんが、事務職員も含めるとかなり窮屈になっていて、いろいろな意味でノウハウを蓄積していくとか、安定的に組織を回していくということができなくなっていることについて本当に危機を感じています。これは個々の研究開発法人とか大学でできることではなくて、正に文部科学省に考えていただかないと、こんなに特任の人たちが増えて、日本の研究開発のインフラが瓦解していくのではないかという大きな危機感を持っています。
 よろしくお願いします。

【栗原会長】  ありがとうございました。
 佐々委員、お願いします。

【佐々委員】  私も今回初めて参加させていただきます。公認会計士の佐々でございます。こういうパブリックセクターの関係では、監査法人に在任中から独法とか国大法人が制度として創設された頃から関わってきておりまして、組織づくりから内部統制の仕組み、あるいは評価の仕組み、あるいは情報公開の在り方、そういったことでずっとこの関連の仕事をやってまいりました。いわゆる研究という畑とは全然違う畑なので、そこら辺は門外漢なんですが、きょうのお話を聞いていても、例えば新しく出てきた困難性とか重要性であるとか、今までの議論の中で恐らくちゃんと着実にやっているけれども、こんなに大変なことを着実にやってBというのはけしからんじゃないかというような、しっくりこないような考え方を持ってくれる人もいるし、その逆もあるでしょうし、そういう困難性とか重要性とかを入れることによって、より実感に合った評価がしやすいような制度にしようと今回試みているんじゃないかなというふうには感じました。
 ただ、説明の中にもありましたように、やっている途中で困難性が変わるとか重要性が変わるというような話も出てきますし、結果として、変な話ですけど、長年この評価の話に関わっていても、古今東西、絶対的な評価の仕組みはないと感じていまして、だからこそ、ここでいろいろ工夫しながら、いろいろ視点を変えながらやり続けていくということが大事なんじゃないかと思っております。
 そんな形で参加させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【栗原会長】  ありがとうございました。
 それでは、山田委員。

【山田委員】  最後に御説明いただいた指摘事項については、リストアップするだけではなく、解決して消していかないといけないですね。そのために横串を刺したような横断的な議論が必要だということで、前期の最後に山下戦略官から、横断的な議論ができるようにタスクフォースですか、委員会を創ってはどうかという御提案がありましたので、この指摘事項を解決するということにかなうような形で、もし議論が進んでおりましたら、教えていただけると助かります。

【山下科学技術・学術戦略官】  御質問ありがとうございます。正に本日御議論いただいた、今回が立ち上げのスタート地点になります。御議論いただいたものを我々の方でもそしゃくさせていただいて、会長、会長代理とも御相談させていただいて、分科会という形なのか、下部組織という形かは分かりませんが、立ち上げも含めて考えていくのかというのは、今後、我々の方できちんと考えて、また御相談をさせていただければと思っております。現時点で固まったものがあるという形ではございません。

【栗原会長】  ありがとうございます。
 それでは、若林委員。

【若林委員】  若林和子でございます。防災科学技術研究所部会の委員を長くさせていただいておりますが、こういった研究開発というよりも、実際に防災科学技術研究所は目の前にいろんな災害が起きていまして、それをいかに国民に防災のアウトリーチをしていくかというような視点もすごく大事なことをずっと委員会で学んできております。
 今回、研究成果の最大化ということは、ずっと課題としてそこに目的が絞られておりますが、PDCAとかマネジメント、理事長の、長のマネジメントなんていうような視点からも研究成果を最大化するというような流れの方にちょっとかじ取りも変わってきていて、スピード感が今出てきているんじゃないかなと感じております。

【栗原会長】  ありがとうございました。
 きょうは、後ろの資料にPDCAとかフローチャートとかロードマップという言葉があったのですが、そこまで議論するというところまでいってないので、課題として触れていただいて大変よかったと思います。ありがとうございました。

【山口委員】  1つは、先ほど、佐々委員がおっしゃったとおりで、やはり評価は難しいので、重要となる基本的な原則のような考え方を毎回毎回きちんと確認するというのが重要だと思います。
 それから2つ目が、リーダーシップで、前期のときに各法人の長の方のアンケートでリーダーシップをどう発揮するかというのが一つ重要な議論になったように思うんですが、今度、評価の中でじゃあそこはどう見るのかというと、余り反映されてないような気もしており、法人の長のリーダーシップというのをこういう評価の中でどう見ていくのかということが今後の論点だと感じました。
 以上です。

【栗原会長】  そうですね。実際に法人によっては、私の関与している量子科学技術研究開発機構の中には、確か業務運営のところにリーダーシップについても評価項目が入っていたと思います。だから、大くくり化する中にそういうものを入れていくのは可能だと思います。どの部分かということはあるかと思います。
【中川会長代理】  論文生産のという話が書いてあって、ある意味で評価しやすい数字だから使われて、人事でも評価される。マスコミに大きく取り上げられる『ネイチャー』『science』だともっと評価されるわけです。論文は「研究の領収書」という話も伺ったことはありますし、書くのは大切なことだと思いますが、ちゃんとした狙いを持ってきちんと研究をしてもらうために、単に本数とかだけでない評価法は何か、考えないと行けないと思います。いろんなお金が厳しい中で、国民に対してこういう研究が必要なんだ、これを進めないと日本が成り立っていかないんだということを分かってもらうためにも、いい評価軸を作っていくことが大切だと常々考えております。
 どうぞよろしくお願いします。

【栗原会長】  ありがとうございました。この審議会はやはり、評価ということに対してみんなで意見交換をしながらずっと評価を進めてきたというところが、文部科学省の中では多分一番進んでいると私は思います。横串とか具体的な項目、やり方についても、意見交換が非常に活発に、きょうの御議論でも分かるようにできているので、何とかそういう部分も今後の議論に生かしてうまく進めていければいいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 貴重な御意見ありがとうございました。本日頂いた御意見は事務局で整理していただいて、今後の議論に生かしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今後、委員の皆様には、8つの国立研究開発法人に対応する各部会にそれぞれ分属していただくことになりますので、よろしくお願いいたします。
 各部会においても、本日の議論を踏まえ、御議論よろしくお願いいたします。
 本日の議論、ちょっと延びましたけれども、これまでといたします。
 最後に、事務局から事務連絡等がありましたら、よろしくお願いします。

【新地評価・研究開発法人支援室室長補佐】  本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、各委員に御確認を頂いた後、ホームページに公表させていただきます。
 また、次回の審議会は8月中の開催を予定しております。詳細につきましては、後日、改めて事務局から御連絡させていただきたいと思います。
 以上でございます。

【栗原会長】  それでは、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。

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科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室

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