国立研究開発法人審議会(第13回) 議事録

1.日時

平成31年2月7日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室

3.出席者

委員

門永会長、浅見委員、ヴィーツォレック委員、篠藤委員、永井委員、廣崎委員、宮内委員、山口委員、山田委員、若林委員、角南臨時委員

文部科学省

松尾科学技術・学術政策局長、勝野科学技術・学術総括官、角田政策課長、井上企画評価課長、山下科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、稲田大臣官房政策課政策推進室長、高橋研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付 参事官補佐、村山地震・防災研究課防災科学技術推進室長、奥研究開発基盤課量子研究推進室長、渡邉研究開発基盤課長、岸本基礎研究振興課長、福井海洋地球課長、清浦原子力課長、國分企画評価課長補佐

4.議事録

【門永会長】  それでは、定刻になりましたので、これより文部科学省国立研究開発法人審議会、第13回を開会したいと思います。
 本日の議題は、お手元の議事次第のとおりです。最初に、次期の中長期目標(案)について海洋研究開発機構(JAMSTEC)から。2番目が、研究開発力強化法の改正について、これに関連した幾つかのことがございます。それが3番目の主な内容ですが、それを反映して、中長期目標の変更(案)が6つの法人から出ております。4番目が、この委員会の設置に関する運営規則の改正についてです。
 今日の議論は全て公開することといたします。これはよろしいですね。
 それでは、議事に入る前に、事務局に人事異動があったとのことですので、御報告をお願いします。

【國分評価・研究開発法人支援室室長補佐】  前回の審議会以降、事務局に人事異動がございましたので、紹介させていただきます。
 菱山豊サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官でございます。

【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしくお願いします。

【國分評価・研究開発法人支援室室長補佐】  山下恭範科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)でございます。

【山下科学技術・学術戦略官】  山下でございます。よろしくお願いいたします。

【門永会長】  ありがとうございます。
 それでは、配付資料の確認を事務局からお願いします。

【國分評価・研究開発法人支援室室長補佐】  本日は、国立研究開発法人審議会の委員、臨時委員19名のうち、11名に御出席いただき、国立研究開発法人審議会令第6条に定める定足数の過半数を満たすことをまず御報告いたします。
 また、本日の資料につきましては、ペーパーレスで進めさせていただきます。お手元のタブレットに、資料1から10と参考資料1から4を御用意しております。また、議論を進める上での補足資料としまして、机上にも1から5の資料を配付させていただいております。不具合などがございましたら、事務局にお申し付けください。
 以上です。

【門永会長】 議事に入りたいと思います。
 次期の中長期目標(案)についてですが、この4月から新しい中長期目標期間が始まる海洋研究開発機構の新中長期目標(案)を議題とします。説明を聞いた後に質疑応答としたいと思いますので、まずは事務局から説明をお願いします。

【山下科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。それでは、タブレットの方の資料1をお開きいただけますでしょうか。資料1の題名が「次期中長期目標の策定について」となってございます。
 中長期目標期間が終了する国立研究開発法人につきましては、次期目標の策定に当たりまして、主務大臣が業務及び組織を見直すこととされてございます。
 2つ目の丸にございますとおり、今回、海洋研究開発機構がこれに該当いたしまして、8月23日に文部科学大臣より見直しの内容を別紙1、2ページから5ページ、中身の方は割愛させていただきますが、このような形で決定・公表させていただいてございます。
 また、最初の丸の中段からになりますが、総務省に設けられてございます独立行政法人評価制度委員会が意見を述べるということになってございまして、こちらの方も別紙2、同じ資料の中にございます6ページから8ページに当たるのですが、こちらの方で意見等を出していただいてございます。特に、最後のページになりますが、8ページを御覧ください。中段から、「オールジャパンの課題解決に向けた海洋調査、研究開発、人材育成等の取組を着実に推進していくことを目標に盛り込んではどうか」。あるいは、「法人が保有する膨大なデータの統合・解析機能を強化し、社会実装につながる有用な情報として社会に発信することや、研究開発成果や知的財産を適切に管理することについても、目標に盛り込んではどうか」といった御意見を頂いてございます。これを踏まえまして、海洋研究開発機構部会の方でも11月、12月と2回御審議を頂いて、取りまとめがなされていると承知してございますけれども、本日ここで御審議いただければと思ってございます。
 あわせまして、1ページに戻りまして、今後のスケジュールといたしましては、2月15日に総務省の独立行政法人評価制度委員会で中長期目標(案)を決定いただき、2月一杯で中長期目標を文部科学省から法人へ指示させていただいて、その後、中長期計画を3月一杯で認可すると、このような予定にさせていただいてございます。
 以上でございます。
 あと、担当課の方からも中長期目標の説明がこの後頂けることになってございますが、本日は、各担当課の方には説明時間をあらかじめ我々の方から示させていただいておりますので、説明時間が参りましたら呼び鈴を1回鳴らせていただき、1分超えましたら2回呼び鈴を鳴らせていただいて、できるだけ時間の管理をきちんとやらせていただきたいと思ってございますことを併せて御報告申し上げます。

【門永会長】  ありがとうございます。
 それでは、担当課から次期の中長期目標(案)の内容について説明をお願いします。

【福井海洋地球課長】  海洋地球課でございます。資料の方は3-1を御覧ください。
 次期中長期目標を策定するに当たって今回留意したことといたしましては、3ページ目を御覧いただければと思いますが、前提として、法人の使命の明確化、法人の現状及び直面する課題、取り巻く環境の変化を整理・分析すること、これらを踏まえて海洋研究開発機構が取り組むべき課題が何かということを明確にし、目標を設定いたしました。
 まず、法人の使命でございますが、3ページ目の真ん中に海洋研究開発機構目的として、「平和と福祉の理念に基づき、海洋に関する基盤的研究開発」、この一文の最後に、「学術研究の発展に資することを目的とする」と明記されてございます。
 法人を取り巻く環境の変化につきましては、3ページ目右上のところに記載のとおり、平成30年5月に閣議決定されました第3期海洋基本計画において、新たな海洋状況把握体制の確立や北極政策の推進に関わる項目が追加され、また、海洋分野におけるSociety 5.0の実現に向けた研究開発の必要性も指摘されておるところでございます。国際的にも持続可能な政策目標やG7伊勢志摩サミット首脳宣言等において、海洋資源・海洋の管理、保全及び持続可能な利用が重要とされているところでございます。
 法人の現状分析及び今後の展開という点に関しましては、機構は複数の研究船や探査機等を保有・運用している機関としての強みを生かして、海洋観測や多様な研究開発を実施し、成果を創出、さらに、その普及・展開にも取り組み、経済社会的課題への対応へ貢献しているところでございます。先ほど申し上げました最近の状況変化を踏まえまして、今後も機構が我が国の海洋科学技術の中核機関としての役割をしっかりと果たすために、国内外の関係機関との連携・協力関係を一層強化するということを踏まえましたということでございます。
 資料3-1の1ページ目に戻っていただければと思いますが、先ほど申し上げました現状・課題を踏まえまして、次期中長期目標として何をするかというのを示したのが1ページ目の下のポイントというところでございますが、4つ掲げてございます。
 1ポツ目でございますけれども、気候変動、海洋資源の利用、防災・減災等の我が国及び国際社会等における政策上の重要課題への対応を行うための研究開発を行っていくということです。具体的には、地球環境の状況把握と変動予測のための研究開発、海洋資源の持続的有効利用に資する研究開発、海域で発生する地震及び火山活動に関する研究開発を行っていくということでございます。あわせまして、これらの研究開発を支える先端的基盤技術の開発や、将来の研究・技術シーズを生み出す挑戦的・独創的な研究開発を推進していくということです。
 2ポツ目でございますけれども、海洋基本計画等におきまして、海洋の調査・観測により収集される膨大なデータや情報の集約・解析、予測に係る研究開発の重要性が示されたということを踏まえまして、海洋分野におけるSociety 5.0の実現に向けた重点的研究開発課題として、数理科学的手法による海洋地球情報の高度化及び最適化に係る研究開発を新たに位置付けたということでございます。
 3ポツ目でございますけれども、オールジャパンで取り組むべき諸課題に対応していくために、それぞれの研究開発課題におきまして、国内外の関係機関と連携した観測や研究開発を推進するのみならず、取得したデータや創出した研究開発成果を関係機関へ提供・発信するなど、海洋科学技術における中核機関として、関連機関との連携・協働関係を強化していくことについて、分野毎に詳しく記載してございます。
 4ポツめでございますけれども、先般、論文や特許等の成果指標に係る誤集計など、マネジメント上の諸問題が発生したことを受け、マネジメント体制の強化、リスク管理、コンプライアンスの徹底を行っていくということでございます。
 最後に評価軸について簡単に御説明させていただきますので、資料3-1の2ページ目を御覧ください。ローマ数字3の1.に「海洋科学技術に関する基盤的研究開発の推進」、ローマ数字の3の2.に「海洋科学技術における中核的機関の形成」がございまして、その右側に評価軸を記載してございます。ローマ数字3の1.につきましては、1つ目の丸がアウトプットとしてすぐれたものかという観点というものです。2つ目の丸ですけれども、成果の展開を図ることで、研究開発課題ごとにアウトカムとされている政策立案や政策課題への対応に貢献していくという観点のものでございます。鐘が鳴ってしまいましたので、他の評価軸については別途御覧ください。説明の方は以上ですが、本日の審議会に海洋研究開発機構部会の江川部会長、三枝部会長代理の両名とも御欠席のため、事前に頂戴した江川部会長からのコメントをここで御紹介してもよろしいでしょうか。

【門永会長】  はい、どうぞ。

【福井海洋地球課長】  江川部会長からのコメントです。
 次期中長期目標では、Society 5.0実現に向けての数理科学的手法による海洋情報の高度化・最適化に係る研究開発を新しい柱としました。この分野は、学術的・社会的なニーズが高まっているばかりでなく、DMA(海洋状況把握)の観点から安全保障上も極めて重要です。これは、環境、海洋資源、海域地震と個々の研究課題で得られた様々なデータや知見を統合し、海洋地球システムの変動と人間活動との相互関連性を把握・理解するという非常に挑戦的な研究開発課題です。この課題を効果的に実施するには、同機構には数理科学的手法の専門家が少ないので、十分な資源を配分し、体制を整える必要があるというのが、委員の一致した意見でした。
 今中期計画期間中には、国際的にもインパクトの大きい研究成果、例えば東アジアの石炭起源によるメタン排出量が過大評価されている等の指摘等の研究成果がありました。これらの研究を更に発展させるためにも、国内のみならず海外の研究機関との連携を強化し、国際的にも海洋科学技術の中核的機関として位置付けられるようになることを期待しています。
 これらを推進するためにも、適切なマネジメント体制の確立は不可欠です。コンプライアンスの徹底とともに、長期的な課題に着実に取り組める研究開発体制の構築に文部科学省と一体になって取り組んでいただきたいと思います。
 以上、江川部会長からのコメントでございます。

【門永会長】  ありがとうございます。
 今の内容について、何か御質問、御意見ありますでしょうか。

【浅見委員】  よろしいでしょうか。

【門永会長】  はい、どうぞ。

【浅見委員】  御説明ありがとうございました。かなり新しい視点で様々な取組をされるということがわかりました。その中で特にSociety 5.0あるいは数理科学的基盤に絡んで、従来保有しているデータに加えて、これからの観測データがかなり蓄積されてくると思います。その点につきましては二つの面から考える必要があって、そうしたデータをどう社会課題の解決に使っていくかという積極的な活用の観点が一つ、もう一つは、先ほどのコメントの中にありました安全保障上も重要であるという点でありまして、そのデータを単に全部公開してしまえばいいというものではないと思います。その辺の、広く公開して活用を促す部分と、余り安易には公開できない部分についての検討はどのようにされるのかということにつきまして、何か、もしお考えがあれば伺いたいと思います。

【福井海洋地球課長】  ありがとうございます。先生御指摘の点というのは、データポリシーという観点かと思います。海洋研究開発機構の方でも、どういった形でデータを収集して、どのようなデータを公開するかということについては、データポリシーを定めて運用しているところでございます。今回新しい取組、特に資料といたしましては中期目標、資料3-2の目次を御覧ください。ローマ数字3の1.のところに「海洋科学技術に関する基盤的研究開発の推進」と書いてございます。海洋研究開発機構はこれまで(1)の地球環境の状況把握と変動予測のための研究開発を中心に膨大なデータをためているところでございますが、次期中長期目標では、ローマ数字3の1.「海洋科学技術に関する基盤的研究開発の推進」のうち、(1)、(2)、(3)と大量のデータを収集し、それらを(4)として統合し、地球温暖化等の社会課題に対応した情報提供を行っていきたいということでございます。この(4)を作っていくに当たりましては、先生御指摘のように、今あるデータポリシーを更に充実させて、広く使っていただけるものは使っていただけるようにしていきたいと考えております。

【浅見委員】  ありがとうございました。そこのポリシーをどうするかというのは、是非、国益と言うと大げさですが、安全保障も含めて、資源の面からもよく考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【福井海洋地球課長】  ありがとうございます。

【門永会長】  ほかにございますか。

【廣崎委員】  いいですか。

【門永会長】  はい、どうぞ。

【廣崎委員】  今の課題ですね、データマネジメント、これは海洋研究開発機構に限らず非常に重要で、海洋研究開発機構に限らないのですが、今御回答いただいたように十分な検討をなされているということなのですが、1つ確認させていただきたいのは、これは世界的にも非常に重要な問題になっていて、日本政府として省庁ふかん的にこのデータマネジメントのポリシーなりフィロソフィーなり決める仕掛けが動いているかどうかということを確認させていただきたいと思います。といいますのは、先般、御案内のとおり、安倍首相がダボス会議でデータマネジメントの重要性を訴えて、これは国際的に非常に注目されています。それだけに、日本がある意味では、今、メルケル首相もいらっしゃっていますけれども、国際的に信頼に足るストラクチャーを作れるかどうかということで世界が注目している時期ですので、その辺りの動き、もし何かございましたら教えていただきたいと思います。

【福井海洋地球課長】  申し訳ございません、政府全体のデータポリシーというのはまたこれから後で説明があるかもしれませんが、海洋研究開発機構の方は、特にデータポリシー、ほかの機関にも先行的にしっかり作っているところと聞いております。政府全体については何かございますか。

【松尾科学技術・学術政策局長】  では、私の方から。今、廣崎先生が言われたように、この前のダボス会議で総理の方からデータフローの話がされました。実際にどういった形でオープンにするか、規制するか、これはほかの国との関係もございますので、これはこれからしっかりと議論するということになるかと思います。これは文部科学省だけということではなく、政府全体としてのデータポリシーについて議論していくということになろうかと思います。ただ、その国々でデータポリシーの在り方は相当違ってきます。特に規制の掛かっているところと掛かってないところとか国によって大分違いますので、それは近いポリシーを持つ国同士で共有しながら、様々な国をどう巻き込んでいくかということも含めて検討する必要があると思っております。
 次は技術流出の話でありますけれども、これは外為法で技術流出をふせぐことになる。そしてまた、大学、国研と例えば海外の企業との間での共同研究の在り方については、今、総合科学技術・イノベーション会議を中心に外国企業との共同研究のガイドラインというのを作ることになっておりまして、その作業が別途進んでございます。それは年内にそのガイドラインを作成するということで、今、いろいろな現場のヒアリングをしているというのが政府全体の動きでございます。

【門永会長】  他にいかがですか。

【篠藤委員】  今、御説明いただきました中で、組織のマネジメント機能の強化やコンプライアンスの徹底を図るというお話がありましたが、民間だけでなく、法人を運営していくときにこの観点というのは常に問われることかと思います。これは形式ではなく、実効性のあるものにしなければなりませんが、新たな中長期目標期間において何か取組なり方針なりが決められていましたら、教えてください。

【福井海洋地球課長】  ありがとうございます。先ほど少々申し上げましたように、今期、第3期中期目標期間中におきましては、海洋研究開発機構において、論文、特許等の誤集計等の問題がございました。組織マネジメントの強化やリスク管理、コンプライアンスの徹底といった内部統制を強化するため、具体的には、海洋研究開発機構内に内部統制委員会やリスクマネジメント委員会、経営諮問委員会等を設置し、議論をしているというところです。この中長期目標が来年度から始まるということで、その結果を踏まえて、今、海洋研究開発機構では組織の改正ということも考えております。ただ、御指摘のとおり、組織を変えればよいということではございませんので、職員全員が、そういった指摘を踏まえて、新しい組織の下、頑張っていくということになると思います。これにつきましては、我々所管課としても、海洋研究開発機構、部会の先生方とも一緒になりながら見守っていきたいと思っております。

【門永会長】  
 今の議論を踏まえますと、本件については原案の内容でいいということだと思いますが、今のデータマネジメントのこととか、コンプライアンスのこととか、更に詰めるようにという意見があったということを残した上で、この原案でよいということにしたいと思いますが、いかがでしょう。
 はい、ありがとうございました。
 議題の2に移ります。これは研究開発力強化法の改正についてですが、事務局から説明をお願いします。

【山下科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。それでは、お手元のタブレットで資料2を開いていただけますでしょうか。
 資料2、ポンチ絵風の資料の1ページ目をお開きいただければと思います。題名は、「研究開発力強化法の一部を改正する法律の概要」となってございます。
 この法律につきましては、昨臨時国会で御審議いただきまして、平成30年12月14日に公布、本年に入りまして1月17日に施行され、1月17日にはこれに関連するガイドラインの方も発出をさせていただいているものでございます。
 趣旨・背景のところに書いてございますとおり、科学技術・イノベーション力は相対的に大きく低下という文脈の中で、激化する国際競争を勝ち抜くために、「イノベーション」の活性化に更に重点を置いた制度改革が急務だという問題意識の下で改正されたものでございます。
 中身につきましては、概要の部分でございますが、まず、1.目的・名称の変更ということでございまして、知識・人材・資金の好循環の構築を目的とするということもございますので、この「研究開発力強化法」という名前から、「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」という形で法律の名前が変わってございます。
 また、2.にございますように、大学・研究開発法人の改革という文脈につきましては、社会からのニーズに的確かつ迅速に応えられるよう経営能力の強化に取り組んでいくということが規定されてございます。
 3.でございます。産学連携あるいはベンチャー創出力・成長力の強化という部分でございますが、こちらにつきましては、まず、組織的な産学官連携の推進に向けた大学・研究開発法人の体制整備等についての規定が設けられたものに加えまして、2つ目の丸にございますとおり、大学あるいは研究開発法人発ベンチャーへの支援の強化のために、研究開発法人における出資の拡大ということと、大学あるいは研究開発法人発ベンチャー支援としてライセンス・サービスの提供に際しての株式等の取得・保有を可能にするという制度改正が設けられてございます。こちらにつきましては、次の2ページ目に参考1、2、3とございますけれども、例えば出資可能な法人ということで、従来3つの国立研究開発法人ではそれができた形になってございましたが、22に拡大されますとともに、参考2にございますとおり、出資先についても研究開発法人発ベンチャーのみならず、ベンチャーを支援するベンチャーキャピタルですとか、あるいはTLO法人といったところにまで出資先が広げられてございます。
 1ページの4.でございますが、研究開発資金の柔軟な執行と多様化という視点でございます。こちらにつきましては、これまで科研費ですとかImPACTといった一部研究開発法人の中でも基金化をできるような仕組みがございましたが、こういったことを個別の法改正によらず、資金配分機関が基金を造成できるスキームというものが新たに構築されてございます。
 こちらにつきましても、2ページに一覧リストがございますが、5つの研究開発法人がその指定になってございます。
 また1ページの人材の育成・活躍の促進という視点につきましては、女性及び外国人研究者の活躍促進に加えまして、若手研究者の安定かつ自立して研究できる環境の整備というものが規定されてございます。
 その他につきましては、地方創生への貢献ですとか、更に検討が必要な事項といったこともまとめられているものでございます。
 説明は以上でございますが、ガイドラインにつきましては、参考資料の3-1と3-2を御覧ください。説明は申し上げませんが、こちらの方は既に発出されているものでございます。
 以上でございます。

【門永会長】  ありがとうございました。
 今の件について、御質問、御意見ございますか。

【ヴィーツォレック委員】  ありがとうございました。すごく重要なポイントが幾つか書いてあります。でも、前から言っていたことかと思いますが、これからグランドデザインの戦略が私には見えてこないです。重要なポイントが書いてありますが、これから国立研究開発法人の機関とか大学の連携とか、データマネジメントも含めて幾つかの問題があると思いますので、そのグランドデザインの戦略について、もう少し何か絵を描ければいいかなと思っています。

【山下科学技術・学術戦略官】  貴重な御意見ありがとうございます。こちらの法律で全てを閉じたということでもございませんし、この法律は議員立法と申しまして政治の方でお決めいただいた法律でございます。もちろん、政府の中では、こういった御意向も踏まえつつ、今現在、検討を進めておられます科学技術基本計画の改定に向けた作業でございますとか、グランドデザイン、先生がおっしゃるようにいろいろなところに目配せしながら考えていくということは大切だという認識がございますので、そのグランドデザインとともに決めていくことをきちんと具現化できることは引き続き取り組んでいくということが大切だと考えてございます。

【門永会長】  今のヴィーツォレック委員からの質問は以前にも頂いております。まだグランドデザインがないのではないかというのが私の仮説ですが、少なくとも誰が作ることになっているのかという辺りについては少し明確にしていただきたいと思います。いかがでしょう。

【井上企画評価課長】  ありがとうございます。企画評価課長、井上でございます。
 先ほどの山下科学技術・学術戦略官の説明にありましたが、科学技術基本計画は5年ごとに定められているわけですが、科学技術基本法に基づいて基本計画を国は作りなさいという形で作っております。これが大きな大きなグランドデザインの一つになろうかと思います。今、第5期を迎えてございますが、2021年の4月からはまた新しい基本計画を作らなければならないということで、基本計画自体は、内閣府を中心として総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の議論を踏まえながら全体を作っていくという形ですが、文部科学省としても、科学技術・学術審議会の下に総合政策特別委員会を今置いてございますが、そこで5期の進捗状況の見直しと、6期に向けた、どういうことがこれから課題となって、次の基本計画に記載すべきかという審議を頂いておりますので、またその状況等も御報告をしていければと考えております。
 ありがとうございます。

【角南臨時委員】  今の御意見に関連し、この研究開発力強化法が最初にできたときの経緯というのは、やはり研究開発法人を独立行政法人の中からきちんと本来の役割を担っていけるような機関にしていかなければならないというような狙いが一つあったと思うのですが、今回、「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」ということで、大学改革と研究開発法人というのが何となく一緒のような感じで出てきているように思います。先ほど、井上企画評価課長の話にもありましたとおり、第6期に向けての議論が進む中で、やはり研究開発法人そのものの役割をもう少し明確に位置付けてきちんと議論をしていく必要があるのではないでしょうか。今の流れでいいますと、大学法人・研究開発法人という形で何か一くくりのようにいろいろな項目が挙がっているのですが、本来我々は、この研究開発法人をきちんと生かしていく、この機能を何とかしなくてはいけないということが、そもそもの研究開発力強化法の出発点だったような気がしますが、何となく研究開発法人そのものの議論が埋没してしまうような感じがあります。他方で、先ほどのデータポリシーの話など、もっと国の政策に近いミッションを、いわゆるミッション型の研究開発を正に担っていく機関として注目されている割には、そこの議論がもう少し活性化していってほしいという思いがあります。そうしないと、結果的には各法人の予算化につながっていかないのではないでしょうか。何か役割は重要であるとか、もっとこれをやらなくてはいけない、先ほどのデータサイエンティストも増やさなくてはいけないという話もそうですが、では実際に研究開発法人に対する予算にちゃんとつながっているのかというところも含めて、今のところ私が感じているのは、研究開発法人を独立行政法人のいろいろな議論の中からせっかく救い出したというか、一生懸命、重要なんだとやってきて、マネジメントの強化などいろいろすすめてきた中で、第6期に向けても、本来ここが何を担うべきなのか、大学や他のところの役割と何が違うのかというところ、先ほどの御意見の中で、これは重要な点、グランドデザインというのは正にそういうところであると思いますので、これは井上企画評価課長、また委員会の方でも是非取り上げていただいて、第6期に向けてもう一度しっかりと位置付けていただければと思います。

【門永会長】  ありがとうございます。

【浅見委員】  御説明ありがとうございました。ただいまの2つの質問と少し絡むのですが、もともと趣旨・背景のところにある「我が国の科学技術・イノベーション力は相対的に大きく低下」というところが出発点にあるのだと思いますが、ここに書いてあるのは大学ランキングとかトップ10%論文とか、かなりアカデミックな話になっています。産業界でもこのイノベーション力の低下というのが問題になっておりまして、これは世界的に低下しているというトレンドがございますし、その中で日本がかなり低下しているというデータもありまして、アカデミアも産業界も両方考えなければいけない重要な問題であると思っています。
 一方で、その分析が産業界においても余り十分できてないというのが現状だと思います。その辺を、イノベーション力が低下している、だから研究開発法人をこうする、そのためには出資の仕組みを作るんだというような表面的といいますか形式的な手当てではなくて、このイノベーション力の低下という問題はどういう構造になっているのかということをきちんと分析・研究した方がいいと考えます。そういう視点を入れて検討いただきたいということです。あと、上の段の大学ランキングとかトップ10%論文の話と、下の施策の中のベンチャー創出のために資金提供できるというのは、これは必ずしも単純につながる話ではないと思います。ですから、先ほど申し上げたようなふかん的な解析をする中で、この施策はここに有効な手としてある、こちらは例えばこういう資金の流動性を持たせることでもっと使いやすくしてイノベーションを起こすここの部分に使うんだというような、そういうことを是非分かるようにグランドデザイン検討の中でお願いしたいと思います。これは多分、文部科学省だけではなく、経済産業省も、産業界も、皆それぞれきちんと研究しなければいけないということで、大きく期待したいと思います、是非そこはよろしくお願いします。

【門永会長】  松尾科学技術・学術政策局長、お願いします。

【松尾科学技術・学術政策局長】  1点だけ補足させていただきます。今、浅見委員ほか何人かの委員から大きな議論を頂きました。文部科学省でやるべきことと、政府全体でやることと、これを整理したいと思っています。文部科学省としては、先ほど井上企画評価課長の方から申し上げましたように、この審議会の場で第6期に何を打ち込んでいくか、そしてその中で研究開発法人はどう位置付けていくか、これは総合政策特別委員会で議論しておりますし、今、浅見委員ほか頂いたコメントもしっかりと受けてやりたいと思います。
 政府全体で申し上げますと、やはり今回の法案は研究開発法人がマネタイズするような仕組みを入れたわけでありますが、あと基金の仕組みなど柔軟に運用できるように入れました。ただ、これだけでもってイノベーションが進むということではなくて、いろいろなものを組み合わせなくてはいけない。CSTI中心に大学改革支援フォーラムが動いており、大学と産業界と行政が一緒になって産学連携であったり、イノベーションであったり、しっかりとそこの分析をして、次どう手を打っていくのかということを考える場を設けようとなってます。これを近々設けて、しっかりと分析をして、どういう仕組みで問題があってという話を、先ほどのデータフローではありませんが、そういったことを全体で議論したいと思っておりますので、その中でしっかりと我々としてもそこに打ち込んでいきたいと思っております。

【浅見委員】  済みません、念のためですけど、私、この施策について反対ではなくて、自由度が上がるという意味では非常に重要な考え方で、日本の中では様々な制約でベンチャーが育たないという問題がございますので、そういうことに対して非常に有効ではあると。ただ、これが全体の中でどういう位置付けなのかというのについてはいつも意識していないといけない、そういうことで申し上げました。

【門永会長】  これは、このように法律が改正されたという話ですので、いい、悪いというよりも、この場で皆さんに自由に発言を頂ければと思いますが、よろしいですか。
 はい、ありがとうございます。それでは、この研究開発力強化法の改正に関しての意見交換はこれで終了したいと思います。
 次は、それを踏まえてと思いますが、今現在進行形の中長期目標の変更がありますので、6法人について説明をお願いします。
 まず、事務局からです。

【山下科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。まず、お手元の資料を御覧いただく前に議事次第を御覧いただければ私の説明を少し聞いていただきやすくなると思います。議事次第に掲げている各法人の状況について御説明を申し上げます。
 今回、中長期目標の変更を予定して今日御審議いただきたいと思ってございますのは、物質・材料研究機構、防災科学技術研究所、量子科学技術研究開発機構、科学技術振興機構、理化学研究所、日本原子力研究開発機構の6法人でございます。それぞれ内容が重複しているものもありますが、個別に特徴がございます。
 まず、物質・材料研究機構、量子科学技術研究開発機構、理化学研究所の3つにつきましては、先ほど御説明させていただきました研究開発力強化法、科学技術・イノベーション活性化法を受けた出資等の業務の追加という部分が中心的な内容でございます。量子科学技術研究開発機構につきましては、次世代放射光施設の整備業務の追加というものも付加されてございます。
 防災科学技術研究所につきましては、一定の事業のまとまりというものを今回明確化させていただいたような内容になってございます。
 科学技術振興機構につきましては、先ほどの法改正を受けた基金の造成によるムーンショット業務が追加されたというものが主な内容になってございます。
 日本原子力研究開発機構につきましては、研究開発用のプルトニウムの利用及び管理に係る透明性の確保についてとか、「もんじゅ」、「ふげん」をはじめとした廃止措置の実証のための活動という内容を新たにきちんと追加したという形になってございます。
 それでは、それぞれ担当課から御説明させていただきますけれども、先ほど申し上げましたとおり、各担当課には事前に時間の方をお伝えしてございますので、時間が来ましたら一度チンと鳴り、1分超えましたら2回、呼び鈴が鳴りますので、できるだけ時間厳守でお願いしたいと思います。

【門永会長】  ありがとうございます。
 各担当課から説明をお願いします。6法人について説明を受けてからまとめて質疑にしたいと思います。
 まずは、物質・材料研究機構に関してお願いします。

【高橋参事官補佐(ナノテクノロジー・物質・材料担当)】  参事官付ナノテクノロジー・材料担当の者でございます。物質・材料研究機構の中長期目標の変更について御説明させていただきます。
 先ほど研究開発力強化法の改正についての御案内がございましたが、これに基づいて、出資等業務というところを明確に中長期目標の方に記載させていただいた形でございます。資料4-1と4-2を御覧ください。
 4-1の説明を申し上げます。今回の研究開発力強化法の改正に基づきまして、出資先の類型について3つございまして、そのうちの研究開発法人発ベンチャーについて、物質・材料研究機構に出資ができるということが規定されました。これに基づいて、新旧で示させていただいてございます。このうち、「研究成果の情報発信及び活用促進」という2の項目の中に「知的財産の活用促進」というところがございまして、「機構は、得られた研究開発の成果の実用化及びこれによるイノベーションの創出を図るため、基礎研究及び基盤的研究開発により優れた知的財産を創出するとともに、権利化を図り、様々な連携スキームを活用して組織的かつ積極的に質の高い実施許諾を始めとした技術移転に取り組む。さらに、機構の研究開発の成果を事業活動において活用し、又は活用しようとする者(成果活用事業者)に対する出資並びに人的及び技術的援助を行う」ということを明確化させてございます。
 また、資料4-2を御覧ください。この中長期目標を評価するに当たっての評価軸についての記載でございます。こちらの2ページ目を御覧ください。「知的財産の活用促進」というところで評価指標とモニタリング指標について変更がございます。まず、評価指標については、様々な連携スキームの活用による技術移転や成果活用事業者への支援の取組の成果、こちらの方を新たに加えさせていただいてございます。また、それを評価する上でのモニタリング指標として新たにもう一つ付け加えてございます。成果活用事業者からの実施料収入額というところで、こちらの実施料収入額のところを見ていく中で、実際の出資業務がどうであったか、そこのところを評価として見ていきたいというところでございます。
 説明は以上でございます。

【門永会長】  ありがとうございます。
 防災科学技術研究所、お願いします。

【村山防災科学技術推進室長】  資料5を御覧ください。独立行政法人の中長期目標の設定に関しましては、総務大臣の方で独立行政法人の目標の策定に関する指針というガイドラインが定められておりまして、この中で、評価に資するように一定の事業とのまとまりを明示せよというふうにされております。私ども、中長期計画を見直している中で、防災科学技術研究所につきましてはこの新旧の新の方に掲げておりますような「括弧毎の事業を一定の事業等のまとまりとする」という、この一文が明記されていないということが分かりましたので、今回、これを明記させていただくべく審議会にお諮りする次第でございます。
 説明は以上です。

【門永会長】  ありがとうございます。
 量子科学技術研究開発機構、お願いします。

【奥量子研究推進室長】  量子研究推進室長の奥と申します。量子科学技術研究開発機構について御説明させていただきます。
 机上配布資料の資料2を御覧ください。これで全体像をつかんでいただければと思います。
 量子科学技術研究開発機構の改正ポイントは2点です。1点目は、先ほど御説明のあった研究開発力強化法の改正に伴って、出資業務が新しくこの量子科学技術研究開発機構にも追加となりました。2点目は、官民地域パートナーシップによって次世代の放射光施設というのをこの量子科学技術研究開発機構が主体となって整備をするということになっています。この2点を中期目標の変更に反映させていただきました。
 では、資料6-1の方を御覧いただければと思います。
 まず、目次のところで、官民地域パートナーシップによる次世代放射光の整備、これは目標の中、「公的研究機関として担うべき機能」の中に新たに創設をさせていただいております。
 次、2ページ目のところで、これも同じですが、次世代放射光施設整備に関して、研究開発を行うという旨を追記しております。この次世代放射光関係、ここと公的施設のところで2つ出てきますので、御留意ください。
 3ページ目のところ、ここは出資機能の追加になります。量子科学技術研究開発機構の研究開発成果について、その実用化、イノベーションの創出を図るということで、具体的には、量子科学技術研究開発機構の研究開発成果を事業活動において活用し、又は活用する者に対する出資並びに人的・技術的援助を適宜適切に行うということを追記しております。また、4.のところ、先ほど目次で申し上げましたように、「公的研究機関として担うべき機能」のところで、次世代放射光施設の整備を推進するという旨を追記しております。
 あとは、事業のまとまり、くくり等の修正等を幾つか入れております。
 資料6-2を御覧ください。こちらは評価軸についてです。
 2ページ目のところで国の主体として、次世代放射光施設に関する研究開発に着実に取り組んでいるかどうか、これは評価指標として追加をしております。
 3ページ目のところ、ここはモニタリング指標として、成果指標の活用に関する一環として、法人発ベンチャーへの出資等に関する取組の実績というのを追加しております。
 最後、4ページ目のところ、これも同じ官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の整備ということで、この整備等が着実に推進されているかどうかというのを評価軸に、また、モニタリング評価指標として、進捗管理の状況についてというのを追加させていただいております。
 以上です。

【門永会長】  ありがとうございます。
 今までのところ3つは同じ文脈の変更ですが、個別のところで、部会の方から何か追加コメントがあれば。よろしいですか。
 4番目、科学技術振興機構、お願いします。

【渡邉研究開発基盤課長】  研究開発基盤課長の渡邉でございます。私は机上配布資料の方に基づいてまず御説明したいと思います。資料3-1に「科学技術振興機構の中長期目標変更の全体像」という資料がございます。
 その丸2にございますが、科学技術・イノベーション活性化の法律改正に基づきまして、資金配分機関(科学技術振興機構を含む5法人)については基金を造成できるスキームが構築されました。今まで、ImPACTなどは法律を改正して基金を置いておりましたが、今回から、この中長期目標を変更することによって設置ができるということになったものでございます。
 それに併せまして、総合科学技術・イノベーション会議の方で新たに「ムーンショット型研究開発制度」を創設しようということになりまして、科学技術振興機構と、経済産業省の法人であります新エネルギー・産業技術総合開発機構の両法人にムーンショット型研究開発を実施するための主体として基金を置くということになったということでございまして、これに基づいて中長期目標を追加しようということでございます。
 「ムーンショット型研究開発制度」というものは、左下の小さい絵になりますが、これから我が国の基礎研究力を最大限に引き出すような挑戦的な研究開発を行うということで、革新的な研究成果を発掘・育成するということで、今後、CSTI、内閣府の下にビジョナリー会議というものを置きまして、そこで目標を設定する。その目標に基づきまして、その下に各省とございますが、文部科学省と科学技術振興機構が協力しまして研究開発構想を定め、今後、研究開発を実施していくと、そのような予定で考えてございます。
 具体的な変更内容といたしましては、その右にございますが、活性化に関する法律に基づきまして基金を設け、特定公募型研究開発業務として総合科学技術・イノベーション会議が決定する目標の下、破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を、機構の業務内容や目的に照らし推進するというものを追記するということでございます。
 資料7-2を御覧ください。こちらに評価に関する評価軸がございます。なお、現在、ムーンショット型研究開発については内容を検討中でございます。箱書きの中にありますが、平成31年度において内閣府が制度の基本的枠組みに基づく方針を策定するということが予定されておりますので、それが決定後、具体的な評価軸、評価指標・モニタリング指標を定めるということにしたいと考えておりまして、補正予算ですので、今年度の目標だけは何か具体的に置かなくてはいけないということで、当面は、まず今年度中に基金を設置し、体制の整備を行うということを、とにかく今年度のものとして評価軸に追記をしたいということでございます。
 以上でございます。

【門永会長】  ありがとうございます。
 部会の方から補足はございますか。

【廣崎委員】  はい。

【門永会長】  はい、お願いします。

【廣崎委員】  概要の変更点は今の御説明のとおりですが、科学技術振興機構部会のネットを通じた議論の中で、大きく言いますと2つ見解が出ております。
 1つは、このムーンショット型、総額1,000億、科学技術振興機構側に800億ということで、多年度の金額とはいえ、決して小さくない、総活動費との比較で小さくない額ですので、これがある意味では中央司令塔の従属機関という従属的な使い方ではなく、科学技術振興機構の独自性をもっともっと発揮できるように中身を詰めてほしいといったような御意見も頂いています。
 それから、総額は1,000億ですが、昨今の米中の競争を眺めてみると、これはある意味で物量をぶつけ合うような競争になっており、それに追い付き、追い越せみたいなことをやっても非常に無駄が多いのではないかと思われます。むしろもっと違った視点から、まだ始まったばかりですが、今後、中身を詰めていくべきではないか。例えば、金額換算できないような日本独自の物の見方、議論の中では日本の禅の伝統の話も出ましたが、そういった世界とは少々違ったユニークな日本の物の見方、哲学、こういったものをもっともっと国際的に訴えて、お金の競争だけではなくて、考え方の深さで勝負するような中身も詰めたらどうだろうかといったような議論も出ております。
 いずれにしても、ムーンショット型ということで非常に新しい大胆なチャレンジなので、是非この中身の深掘りをしていきたいというのが部会全体の意見であります。
 以上です。

【門永会長】  ありがとうございます。
 理化学研究所、お願いします。

【岸本基礎研究振興課長】  それでは、机上資料の4番に沿いまして御説明させていただこうと思います。
 机上資料4の右下のところで、先ほども御説明ありましたとおり、今回の法改正によりまして、従前、理化学研究所は出資等業務はできないこととなっておりましたが、今回認められました3つの類型全てについて、理化学研究所は出資が可能という形になりました。
 具体的にはその横、左下の部分にございます検討中の事業スキームというのがございまして、これは理化学研究所の方で現在検討しているもので、特に出資が可能になりました3つの類型のうちの③、研究開発成果の活用を支援する法人ということで理研イノベーション事業法人、仮称でございますが、そういう名称の下で新しく法人を設立いたしまして、従前から行っておりますような知財のライセンス等のほかに、ベンチャーへの出資を含む設立の支援や育成、あるいは共同研究のコーディネート、また、様々な企業を会員としてコンサルティングを行ったり、あるいは情報提供等を行うような仕組み、こういうことを行う法人の設立ということを現在構想しております。
 これらによりまして、理化学研究所の基礎科学の成果を社会還元し、また、イノベーションの創出につなげるとともに、それにより得られました利益を理化学研究所の方に還元いたしまして、それを理化学研究所における基礎科学の一層の振興に活用するということを構想しております。
 このことを踏まえまして、その右横に中長期目標の変更という部分がございます。これは資料8-1に掲載しているものと同じものでございますが、今中長期目標期間におきましては、具体的には、この新しく可能になりました3つの類型のうち、先ほどのイノベーション事業法人、すなわち③の研究開発法人の成果活用を支援する法人への出資、及び、その業務の一環でもありますベンチャーへの出資、そういった①と③の部分について可能とするような変更を行いたいと思っております。②のベンチャーキャピタル等への出資につきましては、このイノベーション事業法人の仕組みが実際に軌道に乗りました後、次の中長期目標期間を視野に入れてこれを活用してまいりたいと考えているところでございます。
 次に資料8-2ですが、評価軸といたしまして、その評価指標といたしましては、今回このような新しく作ります仕組み、出資等の業務を通じた新しい仕組みによるイノベーション創出強化に係る取組状況ということにつきまして、これを特に取り上げて評価をするという形で設定をさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

【門永会長】  ありがとうございます。
 部会長から補足はよろしいですか。
 それでは、6番目、日本原子力研究開発機構、お願いします。

【清浦原子力課長】  原子力課長の清浦です。変更の詳細につきましては、資料9-1、9-2でございますが、説明の方は、机上資料5に基づきまして説明させていただきます。
 資料の右下のところにございますが、中長期目標の変更のポイントは、主な内容は2点ございます。プルトニウムの平和利用に関する点、及び、廃止措置実証のための活動に関する事項でございます。
 まず、1点目のプルトニウムの平和利用について御説明いたします。上段の背景・必要性のところの1つ目の丸でございますが、昨年の7月に原子力委員会におきまして、これは国内の原子力をめぐる状況の変化あるいは国際的な核不拡散の問題が大きくなってきている状況を踏まえまして、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」が改定されております。この基本的考え方を踏まえまして、研究開発用のプルトニウムの利用及び管理に係る透明性の確保や利用方法について、必要な記載を盛り込んだものでございます。
 次に2点目、廃止措置実証のための活動について御説明いたします。「もんじゅ」につきましては、昨年、廃止措置計画が認可されまして、現在、廃止措置に取り組んでいるところでございます。そして、「もんじゅ」と同じ敦賀地区には既に廃止措置中の「ふげん」という炉がございます。日本原子力研究開発機構におきましては、この「もんじゅ」と「ふげん」、この2つを適切にマネジメントする観点から、昨年の4月に敦賀地区廃止措置実証部門を新設いたしまして、このプロジェクトの円滑な管理を総括することとしております。これまでの中長期目標では、高速炉の研究開発という、そういう研究開発の柱の中に「もんじゅ」の廃止措置に向けた取組というのが位置付けられておったところですけれども、研究活動と、それから廃止措置プロジェクトの業務の性格の違い、あるいは法人のマネジメント体制の変化等を踏まえまして、より適切な評価を行うという観点から、中長期目標におきましては新たに柱立てを立てまして、敦賀地区の原子力施設の廃止措置実証のための活動というものを置くというものでございます。このほか、昨年7月に策定されましたエネルギー基本計画あるいは文部科学省の中の審議会でございますが、廃止措置部会の中間まとめ等で示された内容を反映した変更内容となっております。
 説明は以上でございます。

【門永会長】  ありがとうございます。
 部会からの補足はございますか。

【宮内委員】  結構です。

【門永会長】  よろしいですか。

【宮内委員】  はい。

【門永会長】  それでは、今の変更のポイント、その考え方について何か御意見ございますか。質問でも結構です。永井委員。

【永井委員】  先ほど理化学研究所のところで申し上げるべきだったのですが、これはかつての理研コンツェルンのような方向性を打ち出しています。一番はCOIに気を付けないといけないだろうと思います。そのための仕組みについて少し議論があり、十分しっかりと対応するという説明でした。

【門永会長】  補足説明をありがとうございます。
 それでは、原案の内容でよろしいでしょうか。皆さんの御承認を頂きたいと思いますが、よろしいですか。
                              (「はい」の声あり)

【門永会長】  ありがとうございます。
 それでは、議題の4に移ります。委員会の設置に関する運営規則の改正について、事務局から説明をお願いします。

【山下科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。
 まず、10-1の方から御説明申し上げたいと思います。10-1は題名が「文部科学省国立研究開発法人審議会運営規則の改正について(案)」となってございます。
 この国立研究開発法人審議会というのは、1ページ目に書いてございますとおりですが、基本的には中長期目標の策定といった部分あるいは業務実績の評価、さらには組織・業務全般の見直しということに関しまして、科学的知見に即して主務大臣に御助言を頂くという形で、皆様にこういった御審議を賜っているものでございますが、中段で書いてございますように、これまで、先ほどの議論にも少し出てございましたが、国立研究開発法人制度が整備され、あるいは特定研発も整備され、後段にございますとおり、科学技術基本計画の中にも国立研究開発法人に期待される機能強化という、現行の基本計画の中にもそのような記述がございます。
 資料10-1の5ページ目を御覧ください。後段に第5期科学技術基本計画、平成28年1月22日閣議決定された文章の「国立研究開発法人と機能強化」という文章が書いてございますが、この冒頭の1ページ目に「国立研究開発法人は、国家的又は国際的な要請に基づき、長期的なビジョンの下、民間では困難な基礎・基盤的研究のほか、実証私見、技術基準の策定に資する要素技術の開発、他機関への研究開発費の資金配分等に取り組む組織であり、イノベーションシステムの駆動力として、組織改革とその機能強化を図ることが求められている」という書きぶりがございます。
 1ページに戻りまして、このようなこれまでの経緯も踏まえて、文部科学省の国立研究開発法人審議会運営規則を改正させていただいて、法人全体に共通する横断的な視点から、あるいは、先ほど角南委員や浅見委員ほか何人かからも御意見賜りましたが、機動的な調査検討を行うということのために、委員会というものの設置を可能とするような形をとらせていただければという提案でございます。
 具体的には、資料10-2の方がこの運営規則の改正案でございますので、10-2というのを、恐縮でございます、お開きいただければと思いますが、1ページめくっていただいて、これの2ページ目を少しごらんいただければと思います。今、前の方にもお示しさせていただいてございますが、赤字の部分を追記させていただきたいと思ってございます。附則とか少しありますけど、本質的にはここの部分でございます。
 こちらにつきましては、科学技術・学術審議会、ほかの審議会等に倣ったような改正内容でございまして、例えば科学技術・学術審議会でございますと総合政策特別委員会ですとか人材委員会といった、横断的なものですとか機動的な検討をするというものについてはこういう委員会を設けることができるということがございまして、このような規定を設けさせていただきたいと思ってございます。
 一方、本日、それでは具体的にどういうふうに設けるのかということについては、むしろ御意見をいろいろ頂きまして、実はまだこの国立研究開発法人審議会自体は4月まで期間がございますけれども、具体的な設置につきましてはまた先生方の御意見も頂きまして、その次の期のタイミングからできれば御検討いただくような形が望ましいのかなと思ってございますが、そこも含めて、本日、先生方から御意見を賜れればと思ってございます。
 事務局の説明は以上でございます。

【門永会長】  ありがとうございます。
 補足します。この審議会が発足したのは4年前だと思います。研究開発法人を切り出して審議会でカバーしますということで始めたのですが、そのときに臨時委員を設けてほしいということをお願いして、今日は角南先生がいらっしゃっていますが、どこの部会にも属さない臨時委員を設定しましょうと。その臨時委員の方が横断的なテーマについて別に集まって議論をしましょうということをやってきました。具体的には、理事長のマネジメントが大きなテーマになっていましたので、アンケートをとったり、インタビューをしたり、それをフィードバックしたりということを臨時委員の集まりでやってきたので、実態としてはそのようなものが既にあります。ただ、それは運用上でそういうことをしていたので、今度それをきっちりとした形にしようというのが趣旨だろうと思います。その理解でよろしいですね。イメージとしては、委員会活動は臨時委員がやってこられたことになります。実は、私は2年前から部会には関わらない委員として参加しております。
 こういう仕組みが有効なのかどうか、もっとうまい仕組みがあるのではないかとか、そういうことも含めて御意見を頂ければ、事務局で参考にしていただけるのではないかと思います。
 角南委員、いかがですか。

【角南臨時委員】  今、門永先生がおっしゃったように、横断的に制度そのものをきちんと議論していくというのは非常に重要であると思っています。基本的には、研発法人の制度そのものがまた検証されるときが来るだろうと思うんですね。ですから、やはりきちんと、これからの我が国において研発法人が果たす役割というのをしっかりと議論した上で、その組織あるいは運営の在り方というものをモデルとして検証しておく必要があると。今後、出資をするなどいろいろな機能を持たせたときに、その評価であるとか、先ほどムーンショットの件もありましたが、新しい期待に対してそもそも堪え得るような組織になっているのかということを、どこかで常に議論しておく必要があるのではと思っています。ですから、いろいろ増えていく期待に対し、それが民間もできない、大学もできない、だから研発法人だとなったときに、そもそも研発法人がそれに全て応えられるだけの組織になっているんですか、それだけのリソースがあるのですか、そういう研究者のインセンティブはきちんと付与されているのですか、というようなことは、恐らく常に見ていく必要があり、そういう場がやはり必要なのではないかというのが、この委員会に今後も期待されるところだろうと思うので、そこは是非しっかりと定めていっていただければと思います。

【門永会長】  ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますか。

【山口委員】  横断的に見ていくということそのものは、大変重要なことだと思いますし、これから研究開発法人の果たす役割というのは大変重要なんだと思います。
 それとあわせて、1つ気になるところは、先ほどの資料10-1でも、長期的ビジョンに基づいてという言葉があります。長期的ビジョンに基づいて研究開発法人がこれから果たす役割という意味では、人材との関係というのが非常に気になるわけです。昨今、科学技術に関わる人材がだんだん少なくなっていく中で、研究開発法人というのが特に若い世代にとって魅力的な組織であるのか、あるいは、そこに自ら入っていって研究開発を行っていく、あるいは人材の流動化という側面もあると思うんですけれども、そういう面で何となく不安といいますか、将来心配なところがあります。質問というより要望なんですが、研究開発法人の成果とかガバナンスとかリーダーシップを見るというのも大切なことですが、今の特に若手の人から見て研究開発法人にどれぐらい魅力があるのかという、そういう視点で是非一度評価をしていただくというのが重要じゃないかなと痛切に感じております。
 以上です。

【門永会長】  ありがとうございます。
 はい。

【廣崎委員】  この委員会を設置してやっていこうというのは、非常に結構なことだと思います。私が、この審議会で何年かいろいろ議論に加わらせていただいてやはり本質的に気になっているのは、各研究開発機関がますます、これが専門・細分化していって、そういうことはないと思うんですけど、悪くするとサイロ化といいますか、縦割りの中で、その中で満足してしまうといったことにもなりかねない。それを横方向に風穴を開けるというのもこの審議会の役割だろうと思うんですが、いかんせん、これだけの委員でそう簡単に大それたことはできないわけなので、やはり世界の状況の変化あるいは科学技術の中身の変化、これに合わせて機動的にそういったサイロ化を避けて国益最大のために一体何をするのかといったことを具体的に詰める委員会というのは、どんどん出てきてほしいし、活性化してほしいと思いますので、本件については今後の運営の仕方によりますけれども、非常に期待をしております。

【門永会長】  ありがとうございます。

【山田委員】  角南委員がおっしゃった横断的な議論というのは、本当に大事だと思います。一方、この場で議論できるのは、飽くまで文部科学省が所管する研究開発法人に限られるので、私はこの範囲内しか存じ上げないので、門永会長は他省庁所管の研究開発法人のこともお分かりになると思うんですけれども、ほかの省庁を含めて研究開発法人という大きな目から見るとどういった取組がされているか、要するに、どういう見方をされているのかということについて教えていただければと思います。

【門永会長】  山下科学技術・学術戦略官、お願いします。

【山下科学技術・学術戦略官】  今、山田先生がおっしゃっていただいたように、やっぱりそれぞれの省庁で、まず、この国立研究開発法人審議会自体は、どちらかというと中長期目標をきちんと御審議だとか評価ということで、決められたアジェンダをこなしていくという視点に立っていますので、審議会自体で横の連携が例えばどこまでとれるのかというのは、現実的には余り実績がないというのが実態でございますけれども、一方、例えばファンディングの機関自体は、JSTさん、JSPSさんに加えて、もちろんNEDOさんは大きいので、ファンディング同士の横の連携というのは私が知る限りでもかなりとれている面もございますし、あるいは分野によってはやっぱり近しいところの法人同士の協力というところはとれているんですけれども、それを、例えば現場レベルなのか、法人の組織の全体のレベルなのか、あるいはこういう審議会という形で政策形成を少し御審議いただくところも含めたところでどうやっていくのかというところについては、なかなか全体像が俯瞰できるところまでは十分できていない面もあるのかなというのは、自らの反省も含めて考えてございまして、新しくもしこういう委員会を立ち上げる際には、先ほどおっしゃっていただいたように若い方とか中堅の方が、実際、研究開発法人の施設を使っていらっしゃる大学の先生なんかも多くおられますので、そういった視点でどう見えているのかという視点ですとか、あるいは研究開発法人が持っている装置に限りませんけど、インフラを例えばどのようにお互い共用していくのか。大学にも類似のもの、小さい規模があれば、それをどういうふうにシェアしたり考えていけるのかとか、多分いろんな御意見があるやに、私も自分の中でもいろいろ研究者の方から聞く限りでもございますので、縦、横、斜め、いろんな視点からまずは論点を出していただくとか御審議いただくような形を考えつつ、先生おっしゃったような他省庁との連携も含めたことも必要に応じてきちんと御議論いただけるようにということを配慮させていただくことが大切なのかなと、今、御意見を伺っていて感じた次第でございます。

【山田委員】  往々にして、こういった議論がどうしても内向きでディフェンシブな形になりかねないということは懸念されることで、文部科学省として、研究開発法人の担い手としては一番大きいと思いますので、是非、他の省庁に対してもプロアクティブな活動となっていくよう期待しています。

【角南臨時委員】  今、山田先生がおっしゃったのは非常に重要で、5期の経緯も考えると、恐らく文部科学省発で第6期科学技術基本計画を作られていくのだと思います。ですから、ここが所管している研発法人だけではなく、そもそもそのミッション、制度の在り方を含めた大きな議論を第6期に向けてしていただき、今言ったようなことをコーディネーションという形ではなく、政策案としてここから出せるのではないかと思っておりますので、是非よろしくお願いします。

【門永会長】  ほかによろしいですか。

【宮内委員】  よろしいですか。

【門永会長】  はい。

【宮内委員】  今回の改正の中で出資ができるということと、そのリターンについてもかなり過大な期待がセットになっているように感じております。そういう意味では、研発法人はかなりアーリーステージにおける研究開発をしているので、これがリターンに結び付くかというと、恐らくそんなに急速には、成果、成果と言いますけれども、つながらないんじゃないかという懸念を私は抱いておりまして、そういう意味では、余りそこが過度に期待されて、それがそれぞれの研発法人において評価としてネガティブな評価につながらないような、全体で、先ほど角南委員が言われたように全体で見ていってどうなのかという見方というのは、この委員会制度の中でやっていく必要が今すぐにでもあるんじゃなかろうかと、私は思っております。
 それからもう一つは、人材育成も山口委員から言われましたけれども、いろんなところで人材育成のことが言われているんですが、特に原子力研究開発機構においては、ここに入ってくる入り口の前に、大学において人が入らなくなりつつあるというようなことも懸念材料になっていて、そういう意味では人材をどうやって育成するかの前に確保した上でどうこうできるのかという問題があるんじゃなかろうかと思っております。非常につまらない例ではあるんですけれども、我々公認会計士の業界は、次世代の人たちを育成するために、高校に出掛けていって、公認会計士というのはこんなことをやっているんだというアピールをしてきて、さらに、最近は小学校にまで出掛けていって御理解いただこうというようなことの努力をやり始めました。そういう意味では、各領域においてももう既にやられているんだろうとは思いますけれども、そこも国立大学と併せて人材育成の計画というのが必要になるんじゃなかろうかと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

【門永会長】  ありがとうございます。
 私から2点あります。1つはスタンスの話で、もう一つはテクニカルな話です。スタンスの方は、先ほどの国立研究開発法人審議会そもそもの目的ということを山下さんがおっしゃいましたが、要するに、現状は手続の一部なのです。そうすると、このようないろいろなバックグラウンドの委員の方が忙しい時間割いてくる意味が余りなくて、手続だったらロボットがやればいいではないかと、私は10年前から言っていて、その頃はAIという言葉がありませんでしたが、そのぐらいのことはできるのではないかと。有識者に集まっていただいているからには、そこで何か付加価値が付けられないか、そこから何か発信できないかとスタンスを変えていくべきだと思います。それで、この審議会が発足したときも、手続だけではなく、情報の共有化をしようということと、次の評価に向けてこういうことをきちんと踏まえてやってくれというポイントを1枚か2枚にまとめて、局長に預け、局長がそれを大臣に提言する、こういうことを是非やってくださいというので、3回ぐらい、2ページのものを作った記憶があります。それはある意味ささやかな抵抗で、ここでも物を考えているぞ、という事実を外に出して示すためのものだったと思います。さはさりながら、限られた時間で、大人数で、しかも手続もしなくてはいけないので、それは大変だろうという観点から、この委員会にはその手続を更に詳細化してもらうのではなく、前例のないことをいろいろトライしてもらうというスタンスの委員会になったらいいなと思います。先ほど申し上げた、理事長にインタビューして、その結果を全法人でシェアするということは前例がなかったと思うので、それはよかったと思います。
 次はテクニカルな話ですが、委員会を設置すること自体が目的ではなくて、何かやらなくてはいけないことがあり、そのための方法論として委員会を設置して、関係者が集まってやりましょうと、こういう順番だと思います。ですから、何をやるのかというのはこの審議会で議論をして、今年はこれとこれを審議会として取り組みましょうと。ついては、それを実際に進めてもらうのは委員会を設置しますと。委員はかくかくしかじか、3か月で終わるのであれば、それは3か月、6か月掛かるのであれば6か月ということで、委員会を置いてそのままにしないと。そういう機動性を持たせた委員会に是非していただければと思います。
 以上です。
 それでは、たくさん意見が出ましたので、それを踏まえて、形はこうだと思うのですが、どういうスピリットでやるかというところをしっかりこれに埋め込んでいただきたいと思います。

【山下科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。本日、いろんな御意見を頂きましたので、我々の方も整理しまして、先生方に何をするかのまずたたき台を御議論いただくという準備も多分必要だと思いますし、少し我々の方でもよく考えさせていただいて、意味のあることを議論いただけるようなものを考えていきたいと思ってございます。ありがとうございます。

【門永会長】  それでは、運営規則の改正についてはよろしいですか。
 では、これについては了承いたしました。
 最後ですが、事務局から事務連絡等について説明をお願いします。

【國分評価・研究開発法人支援室室長補佐】  本日の開催をもちまして、第2期国立研究開発法人審議会の開催は期間中最後となりますので、事務局を代表いたしまして、科学技術・学術総括官の勝野より御挨拶申し上げます。

【勝野科学技術・学術総括官】  科学技術・学術総括官の勝野でございます。
 この第2期の研究開発法人審議会、29年の4月から約2年にわたりまして、この本審議会では5回、それから各部会でも何回かに応じまして御熱心な御審議を頂きましたこと、誠にありがとうございます。
 本日の会議でもいろいろな御意見を頂いたところでございまして、基本的に国立研究開発法人の現状の位置付けといいますか、置かれていることについては、委員の先生方の御指摘と私どもの認識というのは大きな違いはないんじゃないかなと思っております。きょう、いろいろとこちらの方からも御説明いたしましたけれども、研究開発力強化法という法律が新しい法律として変わって、その中で新しい活動の目というのが、道というのが研発法人にもできてきたということで、制度的な整備は行われましたけれども、更に研発法人の活動を伸ばしていく、そういう充実方策については政府の中でも引き続き議論をしていくということになっております。
 またあわせて、第6期の科学技術基本計画に向けての議論も、第5期のフォローアップとともに、現在、文部科学省、そしてまた、いずれ内閣府を中心に政府全体の中でも進んでまいります。それから、補正予算でもムーンショットというような大きな研究開発予算が付いて、それをどうやって日本の科学技術・イノベーションのために役立てていくかということも大きな課題になっております。
 というような形で、研発法人をめぐるいろいろな動きが様々出ている非常に節目の時期ではないかなと思っておりますので、この審議会におかれましては、中長期目標の策定に対する御助言、また、評価という固有の役割という点でいろいろと御意見を頂くということはもとよりでありますけれども、各法人固有の課題だけでなくて、きょう御意見いただきましたような共通的・横断的な御意見についても、積極的に頂いたことを我々としてもきちんと受け止めて、各法人、そしてまた文部科学省が所管する法人全体の底上げ、さらには政府の他省庁が所管する法人まで見据えて、文科省としてどういう提案をしていけるのかどうかというようなことも含めて、これからしっかり受け止めて考えていきたいと思っております。
 本日、委員会の設置ということをお認めいただきましたので、次期におきましては、この委員会において、門永会長からお話ありましたような形で具体的な事項を機動的に検討するということを積極的に進めていきたいと思っております。
 この第2期におきまして、委員の先生方、2年間にわたりまして御審議、御協力いただきましたこと、改めてお礼申し上げるとともに、第3期においても何人かの先生方には、部会、そしてこの審議会で引き続き御協力を頂くことになろうかと思いますので、これまでのお礼と、それから、これからも引き続き御協力、御支援をお願い申し上げまして、第2期終了に当たっての御挨拶とさせていただきます。
 2年間ありがとうございました。

【門永会長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議題は全部カバーいたしましたので、これで閉会をしたいと思います。ありがとうございました。

お問合せ先

科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)