国立研究開発法人審議会 量子科学技術研究開発機構部会(第31回) 議事録

1.日時

令和5年12月13日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

ハイブリッド開催(文部科学省 16F2会議室)

3.議題

  1. 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構が達成すべき業務運営に関する目標(中長期目標)の一部変更案について
  2. その他

4.出席者

委員

栗原委員(部会長)、有馬委員(部会長代理)、秋元委員、神納委員、小板橋委員、坂本委員、本間委員、三沢委員、山崎委員、山田委員

文部科学省

澤田量子研究推進室長、亀井量子研究推進室室長補佐、吉岡量子研究推進室係長、川井量子研究推進室係員、馬場研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、内野研究環境課課長補佐他

5.議事録

【栗原部会長】 それでは、皆さんお揃いなので、第31回QST部会を開催いたします。本日は、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
 本日は、10名が御出席で、過半数の定足数を満たしております。対面は有馬部会長代理、秋元委員、神納委員、本間委員、山崎委員、オンラインで小板橋委員、坂本委員、三沢委員、山田委員が御参加でいらっしゃいまして、松前委員が御欠席です。
 それでは、QSTは今年度より第2期の中長期目標期間が開始したところですが、本日の部会では、QSTの中長期目標及び評価に関する評価軸等の一部変更内容についての御議論をいただく予定です。
 次に、議題に先立ちまして、文部科学省より御挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。
【澤田室長】 ありがとうございます。8月に量子研究推進室長、迫田の後任で着任した澤田と申します。本日は、年末の大変お忙しい中、天気はよいですけれども、お越しいただきまして、ありがとうございます。
 13年前に栗原部会長とは、理研部会で御一緒させていただきまして、それ以来、また御一緒できることができて嬉しいです。
 私は学生時代、量子や光の研究をしておりましたし、基礎研究振興課にいたことがありますので、基礎研究というものは大事だと思っていますので、その気持ちを忘れずに、量子の分野や、QSTが、基礎研究を実装化していけるように頑張っていきたいと思っています。
 事務局の異動として本日、馬場が来ていますので、御挨拶いただきます。
【馬場戦略官】 着座で失礼いたします。この9月に核融合担当の戦略官を拝命いたしました馬場と申します。これからお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。
【栗原部会長】 どうも御挨拶ありがとうございました。澤田さん、新室長で、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日は、文科省、事業の内容について御説明いただく方々、御出席いただきありがとうございます。
 次に、事務局より配付資料の確認等について説明をお願いします。
【川井係員】 事務局でございます。画面に資料の共有をさせていただきます。
 皆様に、議事次第を先にお送りさせていただいております。対面参加の方はお手元にある資料を、オンライン参加の方は事前にお送りした資料を御確認ください。
 議事次第にありますとおり、本日は資料1から資料9、また、参考資料として1-1から1-5、2-1、2-2をお配りしております。資料等に不備がございましたら、随時で構いませんので、事務局まで御連絡いただければと思います。
 続いて、オンライン参加されている方もいらっしゃいますので、ウェブ会議システムについて御説明いたします。
 通信を安定させるため、御発言時以外は画面をつけたままで構いませんが、原則、音声はミュートにしていただきますようお願いいたします。また、御発言の際は、音声をオンにして発言の意思を示していただくか、Webex機能に備わっております「挙手ボタン」をお使いください。栗原部会長に御指名いただき、速記録の都合もございますので、名のってから御発言いただくようお願いいたします。
 なお、会議中に、接続等の不良によりウェブ会議から退出した場合は、本部会から退席したものといたします。その後、回線が復帰されましたら、その時点で再度出席という扱いにさせていただきます。
 御予定等で途中退席される場合は、お時間になりましたら適宜御退席いただいて構いません。
 以上になります。
【栗原部会長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明について、御質問等ありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 ウェブの方が手を挙げているのに気がつかない場合もあるかと思いますので、その場合には、声を上げてリマインドいただければと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、議題(1)「国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構が達成すべき業務運営に関する目標(中長期目標)の一部変更案について」に入ります。
 最初に、文部科学省より変更案及び変更内容に係る説明をいただいた後、中長期目標の変更案に関して御議論いただく時間を設けさせていただきます。
 今日は、まず「量子未来産業創出戦略」関係について御説明いただき、次に、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」関係、さらに、「共用促進改正とNanoTerasu」関係についてということで御説明いただきます。各項目について御説明いただいた後に、質問あるいは御意見をいただく時間を設けまして、さらに、まとめて最後に中長期目標の一部変更案についてということで御審議いただくという予定ですので、よろしくお願いいたします。
 まず、文部科学省より、「量子未来産業創出戦略」関係について説明をお願いいたします。
【澤田室長】 それでは、量研室より御説明させていただきます。
 それでは、まず資料2を御覧ください。今、栗原先生からございましたけれども、中長期目標の変更ということで、本日、文字に直すと数文字で直るところもありますが、中身や背景を含めて御説明したいと思いますので、まず3点に分けて説明します。
 まず1点目が、我々、量研室から量子未来産業創出戦略の策定に伴う変更ということで、後ほど御説明いたします。2点目、開発局からフュージョンエネルギー・イノベーション戦略策定に伴う変更について、背景も含めて御説明します。3点目は、科政局から共用促進法とNanoTerasuの業務の追加について御説明予定です。
 まず1点目の量子未来産業創出戦略について、私から10分程度で御説明したいと思います。
 量子未来産業創出戦略なのですけれども、統合イノベーション戦略推進会議のクレジットですが、主に文科省が書いたもので、文科省のような基礎研究を推進する省庁が、こういった未来産業創出というところに踏み込む、この量子というような先端分野でそれを書いたというのは、個人的にはエポックメーキングかなと思っております。
 表紙はこのような量子コンピュータの希釈冷凍機をデザインした金色のもので、大変目立つビジュアルなのですけれども、これは昨年4月に定めた「量子未来社会ビジョン」でございまして、これは先生方にも御案内済みかと思います。ビジョンでは、量子技術の活用イメージということで、こうやって円形にいろんな社会の分野を示して、私は最近円を見ると量子(Quantum)のQに見えてしまうのですけれども、右上に創薬ですとか、右に材料科学、右下に金融といったいろいろな応用分野を考えて、これを全て将来的につないでいくのは量子であるということをうたっているものです。
 このいろんな分野に量子が発展していく姿を描いたのが2030年の状況で、我ながら野心的な目標を掲げていると思うのは、まず国内の量子技術利用者を1,000万人にするという目標。2つ目が、量子技術による生産額を50兆円規模にすると、これ、生産額なのですけれども、50兆円規模という想定の目標。さらに、ユニコーンベンチャー企業を創出するということを書いています。当時はユニコーンベンチャー、10億ドルなので1,050億円、今のレートで言うと1,500億円になるとは思いますが、その3点を目指すべきとしておって、そのビジョンを策定はしたのですけれども、これをどうやって産業界につなげていくかといったビジョンが、去年の4月の時点では未整備でした。
 そのため、今年(2023年)の4月、この黒い表紙の「量子未来産業創出戦略」を定めました。表紙にある金色の部分は量子コンピュータの超伝導のチップです。
 この「量子未来産業創出戦略」ができたことによって、先ほどの欠けたピースが埋まったということです。量子技術の実用化・産業化に向けて重点的・優先的に取り組むべき取組をまとめており、量子技術の実用化・産業化に向けた方針や実行計画を示していると位置づけております。
 もう少し具体的に申し上げますと、次のページなのですけれども、X to Quantumということで、XもQも不思議、未知な感じはする単語ではございますけれども、量子技術がいろいろ材料化学、健康、医療、まちづくり、製造、物流・交通といったもののハブになっていて、その黄色いところから右上に向かって将来像、量子技術に多くの産業がアクセスし、産学官によるグローバルな展開が進み、量子技術の実用化・産業化にスタートアップ/ベンチャー、新事業の創出・成長を促していき、目標は変わらず1,000万人、50兆円、ユニコーンベンチャーとして、そのためには量子技術の3つの視点ということで、左下緑がCollaboration、真ん中がAccessibility、右下がIncubationといったことで、この3つの視点を大事にしていくということをうたっている戦略です。
 ここまでのご説明は本日の中長期目標の変更に直接は関係しないのですけれども、QSTの観点からは、QSTの量子技術基盤拠点、量子生命拠点を強化したと。これによって、量子マテリアル・量子センシング等を産業界が利用・試験・評価できる環境整備や利用支援・技術支援、量子技術基盤の研究開発・産業支援を行っていく拠点として、QSTが改めて指定され直したということです。今、我が国全体で、この量子技術イノベーション拠点が11拠点あり、このうちの一つにQSTが改めて位置づけられたので、これに関係する中長期目標の変更をしたいと考えております。
 続けて、関係する中長期目標の変更部分について、資料6を用いて御説明したいと思います。
 これは新旧対照表で、左側が新しい変更案、右側が現行の目標です。
 2022年4月に定めた量子未来社会ビジョンについては、既に従来の中長期目標に書いてありましたので、それに加えて、今御説明した今年の4月に定めた量子未来産業創出戦略を、最初のページの4行目、5行目あたりに追加しております。
 そして、もともとQSTは量子機能創製拠点という名称だったのですけれども、これにさらに産業界より利用・試験・評価できる環境整備・提供を行うということで、拠点の名前を変えて強化しましたので、これを量子機能創製拠点から量子技術基盤拠点として、拠点の名前を変更してございます。
 これが大きな改正のポイントでございまして、あとは、連動して、2ページ目の下のほうに、同じく、「量子機能創製拠点」を「量子技術基盤拠点」に変更し、3ページ目真ん中ほどにも、同じく拠点の名称変更がございます。
 私からの御説明は以上です。もし御質問等ございましたら、お願いしたいと思います。
【栗原部会長】 どうもありがとうございました。
 澤田室長のほうから御説明いただきましたけれども、今の御説明に対して御質問、御意見等ありましたら、お願いします。ウェブで御参加の方も、よろしくお願いいたします。
【山崎委員】 よろしいですか。山崎です。どうも御説明ありがとうございました。
 1つが確認で、資料3の一番最後に拠点を挙げられていますけれども、これ、4つの拠点が四角でくくられているんですけれども、これは特別に意味があるんですか。
【澤田室長】 これは昨年の4月の量子未来社会ビジョンで、まず10の拠点を選びました。今回の新たな量子未来産業創出戦略で、強化したものが3つと追加したものが1つございまして、これによって、今年の4月の戦略で強化あるいは追加したものを上の四角で大きく囲っているもので、今回はQSTの部会ですので、左下のQSTが特に強化されたということで、中長期目標に変更を反映しているということでございます。
【山崎委員】 分かりました。では、特に4つが特別に意味があるわけではないと。
【澤田室長】 はい。量子未来産業創出戦略で大きく変わったところです。
【山崎委員】 もう一つ、これはお願いなんですが、非常に社会的な社会実装を念頭に置いて推進していくと。1,000万人が量子技術に関連した人というので、すばらしいと思うんですけれども、その社会を考えると、今、もちろん議論されている人材の若い人に対して量子という概念を植え付けていく、その教育という面が非常に大事だと思いますので、ぜひそれも頑張っていただけるとうれしいなと思います。
 以上です。
【澤田室長】 ありがとうございます。
 2点目の点については、私も、自分の家でも自分の子供に量子の本を読ませたりしていますし、文科省ですので、人材のこともできると思っていますし、内閣府でもそういった議論が先々週ございましたので、若いというか、大学生の方が、先生のおっしゃっている若い方と同じかあれですけれども、そういったところでも今後議論していこうと考えていますので、量研室もそれに貢献していきたいと思っています。
【山崎委員】 1,000万人を考えると、当然、小学校から量子の思想を入れたような問題に対する対処の仕方というのも出てくると思うんですよね。ぜひよろしくお願いします。
【澤田室長】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 どうもありがとうございました。人材育成、大事だと思います。
 ほかに御質問ありますでしょうか。
 三沢先生、どうぞ。
【三沢委員】 すみません。ちょっと変な質問になってしまうかもしれないんですけれども。今日のこの会の趣旨に関わることなので、どういう意見を言っていけばいいのかというのを確認したくて、ちょっと室長にお伺いしたいんですけれども。
 この中長期目標の新旧対照表を書き換える、中長期目標を書き換えるというところの審議だと思うんですが、もともと内閣府の政策体系が変わったということによる、言わば自動的に連動して文言を書き換える部分の修正に限るとすると、この機構部会で何か意見を言って、どうこう審議するということではなくて、自動的に書き換わりましたよという、ある意味報告として受け止めればよろしいのか。我々委員は、どういう権限というか、どういう責任を負っているのかというのがちょっと分からなかったので、教えていただければと思うんですけれども。
【澤田室長】 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりでございまして、確かに、言い方によりますけど、自動的と言えば自動的でございますが、中長期目標は文科大臣が法人に与える、理事長に与えるものですので、今回の量子戦略のところは、私もほかに書くことがあまり思いつきませんが、この量子戦略を踏まえて、QSTにこの際目標を与えるべきだともし先生方から追加の御意見があれば、それはお受けしたいと思います。
 ただ、こういった情勢変化がございましたので、手続的には、必ずこの中長期目標は部会に諮らなければいけないですので、それを行うとともに、字数的には数文字で終わってしまうのも何ですので、背景説明ということで、量子戦略の御紹介を今差し上げたものです。
【三沢委員】 なるほど。分かりました。
 じゃ、今日のところは、そんなに時間をかけていろいろという意見は、私としては出すつもりはないんですけれども、原理的に可能なのは、先ほど御紹介いただいた産業創出戦略等々の決定事項を踏まえて、もっと積極的に中長期に書き込むべきことがあれば、それをアドオンで提案してもいいという、そういう位置づけでよろしいんでしょうか。
【澤田室長】 恐らくは、中期目標にたくさん盛り込み過ぎると、QSTの評価体系が変わることがありますので、どちらかと言いますと、私の考えでは、各年度の評価とか、QSTが中長期目標を終わったときに、期間全体の評価をしていただくのですけれども、そこでQSTがこの戦略を踏まえて活動したかということの観点を先生方に見ていただければいいかなと考えておって、目標自体の文言はそれほど変えるというよりも、こういった戦略ができたということを先生方に知っていただいて、次の評価につなげていただければよいかなと思っております。
【三沢委員】 分かりました。自分の立ち位置がクリアになりましたので、ありがとうございます。
【栗原部会長】 どうもありがとうございました。
 特に、計画よりはモニタリング指標とか、そういうところに関しては、評価する立場として、例えば、こういう指標が出てきたときに、評価しやすいとかしにくいとかいうこともあると思いますので、評価する立場として見ていただいて、御意見をいただくというのは、確認は大事と考えております。
 それから、せっかくこの新しい戦略やビジョンについて、それぞれ担当の皆様が御説明いただいているので、何かこういうところを知りたいということがあれば、御質問いただいたらいいのかと、私、司会としては、せっかくの時間と機会ですので、と思っております。
 小板橋委員、お願いします。
【小板橋委員】 ありがとうございます。栗原部会長がそう言っていただいたので、ちょっと素朴な疑問をさせていただければと存じます。
 こちら、2030年目標で、量子技術の利用者を1,000万人、量子技術による生産額を50兆円規模にというふうに書かれていらっしゃるんですが、あと数年でございますよね。今現在、量子技術の生産額というのはどれくらいなのか。どうなっているんですかね。どこまで使っていたらそれは量子技術の使用者と考えるかによって全然違ってきそうな気もしますが、どういう感じのイメージでいらっしゃるのか、もう少し教えていただけるとありがたいです。
【澤田室長】 先生の御指摘はごもっともだと思っていまして、2030年はそう遠くない将来ですので、この数字はかなり野心的だなとは思います。
 ただ、1,000万人という数字を定めたのは、資料3の3ページにも細かく書いていますけれども、日本国内でこの数字を超えると普及が加速するという閾値が1,000万人ですので、これを、自分が量子を使っているんだと意識せずに使うユーザーを含めて1,000万人と置いています。ハードコアに量子を使うようなユーザーではなくて、気づかずに量子技術を使っているユーザーを1,000万に増やしたところで爆発的に加速するというのが、この1,000万人。
 あと、50兆円規模というのは、あくまでも生産額でございますので、これで収益とか、そういったところまで50兆円というのはまだ遠いかもしれませんが、まず生産額を50兆円規模にすると。先ほどの1,000万人という数字と、産業の生産額とか、そういったものを使って計算した額でございます。
 これらの取組について、2030年を目指しているんですけれども、実は内閣府の量子技術イノベーション会議で、次回が2月に予定されており、どうやって2030年に達成していくかという議論を、慶應義塾大学の伊藤公平座長の下で進めているところでございます。
【栗原部会長】 よろしいでしょうか。
 2ページの図を見ると、非常に幅広い分野が書かれているので、考え方としてはよく分かると思いますけれど。
【小板橋委員】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 ほかに何か御質問ありますでしょうか。よろしいですか、会場のほう。
 それでは、御説明どうもありがとうございました。
 それでは、次に移ります。引き続き、文部科学省より、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」関係について御説明をお願いいたします。馬場戦略官、お願いします。
【馬場戦略官】 改めまして、文部科学省で核融合を担当しております馬場と申します。内閣府のほうでも参事官を拝命しております。よろしくお願いいたします。
 本日は、中長期目標策定後の大きな変化として、この4月に国家戦略として初めて「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」をつくったということで、量子と同じように、当然、我々としても、中長期目標を作成するときには認識はあったところでですが、4月に策定したとことに伴う時点修正が、今回の中長期目標の大きな変更に当たります。
 他方、先ほどの御質問もあったとおり、せっかくの機会なので、国がどういう戦略をつくったのか、また、その戦略を踏まえて、どういったことをQSTへ期待しているのかというところを、10分程度お時間いただいて御説明したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、この戦略の概要について、ポイントとしては2つあって、1つは、左上のクレジットが内閣府になっているということです。これまでQSTを含めて、この核融合、フュージョンについては、文部科学省がどちらかというと研究段階、基礎研究というところで取り組んできましたが、今回、国家戦略として、政府全体としてこのフュージョンエネルギーを新たな産業として捉えることをうたっているところは、大きな変化かと思います。
 その上で、この戦略自体は三本柱、真ん中に重水素、三重水素、プラズマ加熱、D、T、P、それぞれ頭文字を取って三本柱で構成されております。この三本柱に沿って、内容を簡単に御紹介したいと思います。
 まず、前提にはなります。この産業として新たに捉えることの背景ではありますが、当然、左下にあるとおり、2050年カーボンニュートラルの実現というところで、エネルギー・環境問題の解決策として、いよいよフュージョンについての期待が高まっているという部分に加えまして、右側、新たな産業としてのフュージョンエネルギーということで、右下に棒グラフがあるかと思います。こちら、アメリカにおける連邦政府の投資額が黄色で、それに対する民間投資を青色の棒グラフで表しています。こちらを見ていただけると分かりますが、近年、特に2021年以降、民間の投資が大幅に拡大しているということがございます。
 この背景といたしましては、例えば、ビル・ゲイツとか、Amazonのジェフ・ベゾスとか、ChatGPTのアルトマンCEOとか、こういった方々も大型の投資をしているということで、よく報道は出るところでありますが、その背景に、データセンターとか、当然、生成AI、そういったものには大量の電力を使うという流れの中で、今回、フュージョンに対して大型投資をしているというところが見てとれるかと思います。
 日本については、QSTをはじめ技術がある中で、国を挙げて取り組む必要があるということに至った背景にもなっております。
 冒頭申し上げた三本柱、まずDの部分です。Developing the Fusion Industryというところで、Dの柱になります。この中で特に重要なところとしては、例えば、真ん中の「繋がる」というところで、今ちょうど我々、量子を倣ってというところではあるのですが、核融合、フュージョンの分野においても、産業協議会というものをつくるということを今年度中には企画していきたいと思っています。
 ちょうど先日、内閣府のホームページに登録の窓口を設立して、一次の締切を今週の金曜日にしております。既に海外、アメリカやイギリス、ドイツにはそういった協議会みたいなものができている中で、何とかこの機会に、日本でも関連産業多数ございますので、つくりたいと。
 その際には、実はQSTに対してもお願いしているのですが、量子もQSTはアカデミア会員という形で加わっていらっしゃると思いますが、このフュージョンの分野においても、QSTにいろんな知見を、技術や情報、そういったものをコミットしていただく上でも、ぜひ御参画いただきたいというようなことを考えているところでございます。
 二本目の柱のT、テクノロジーの部分になります。こちらについて、政府全体の流れとしては、例えば、一番上のゲームチェンジャーになる小型化・高度化、これはムーンショット型研究開発制度の10個目の目標として、今回フュージョンも加えるということで、どちらかというと、これまでいわゆるトカマク型、ITER、BA、JT-60SA、そういったことが中心になりがちだったところですが、むしろ新しい技術というところも、この機会により強化して、技術、人材の厚みを拡大していくことを考えています。
 当然QSTには、2番目にあるITER、BAといったものに通じたコア技術とか、最後に期待として述べたいと思いますが、原型炉開発についても重要なミッションであるということが、学術研究と並んで、この戦略にもうたわれているところでございます。
 三本目の柱として、P、プロモーションの推進体制の部分になります。こちら、QSTが明示的に書かれているところとして、二本目の柱にございますQSTを中心に、アカデミアや民間企業を結集して技術開発を実施する体制、これもこれまで御説明あったかもしれませんが、フュージョンエネルギー・イノベーション拠点を設立して、いろんな関係の方々を巻き込むような体制をつくっていただきたいと思っています。
 また、人材育成についても、当然、核融合研、大学共同利用機関もありますが、QSTとしても、企業の人材とか、様々な教育の機会というところを産学官でつくっていきたいということもうたわれているところでございます。
 こちら、御案内のとおり、国全体としては、研究開発の全体像として、QSTの関係で言うと、JT-60SA、ITER、また、核融合研の大型ヘリカル等々、そういったものを踏まえながら、原型炉を見据えて、様々な研究を取り組んでいるというような状況になります。
 本日、分野から離れている方も多いかと思いますので、ここの表に基づく取組として、二、三御紹介したいと思います。
 まず、JT-60SAについては、これもこの部会の中でも度々状況について御質問、御報告あったかと思います。ようやくという言い方がいいかどうか分からないのですけれども、組立開始から10年経過して、このたび、この10月に初めてプラズマ生成をすることができました。この後も御説明しますが、12月1日、今月1日には、このJT-60SAの運転開始を記念する式典を那珂研究所において日欧共同で開催したということになります。
 このJT-60SA自体は那珂研究所にございますが、BA協定に基づいて、日欧が共同建設・運転しているというようなものになってございます。
 2つ目のITERの関係では、私もこの11月の理事会へ行ってまいりました。この中でも、ITER、当然、日本からはQSTを中心に、様々な企業にも御参画いただいているところでございますが、例えば、日本から最後のトロイダル磁場コイルを搬入することができたというような話であるとか、今行われているベースラインの更新等の議論についても、QSTとしても参加いただいたりとか、あとは、最後のJT-60SAの初プラズマについては、このITERの理事会の中でも、皆様から称賛というか、喜ばしいというような声が上がったということで、今回、ITER理事会のプレス発表でも、7極合同の声明の中にも祝意が述べられたというところは象徴的だったかと思います。
 このITERの関係では、先月末にITER機構長が、このJT-60SAの記念式典のタイミングで来日するというところがあったので、岸田総理に表敬するというような機会もつくることができました。
 今、機構長をしているバラバスキさん、また、副機構長をしている、もともとQST那珂研究所の副所長であった鎌田さんが、共にJT-60SAに日欧携わったということもあったことから、岸田総理からも、初プラズマ達成についての祝意を述べた後、総理から、フュージョンエネルギー戦略に基づいて、早期実現をしていくべきだというような発言があったというところは、我々としても貴重な機会だったかなと思っています。
 実際、この総理の発言も踏まえて、翌日には、盛山文部科学大臣のほうからも、国際連携も活用し、原型炉に必要な基盤整備を加速するとともに、ムーンショットを活用した新興技術の開発支援を実施するというようなことがうたわれています。
 繰り返しになりますが、このJT-60SAは日欧で共同建設していたこともあり、ヨーロッパ側から大臣級になります、エネルギー担当の欧州委員が来日した機会も利用して、盛山文部科学大臣との共同プレス声明に署名する機会も設けることができました。
 その際には、QSTに向ける期待、多々述べられてはいますが、JT-60SAをさらに使うというような部分に加えまして、このJT-60を使った人材育成、今JIFSと我々は言っていますが、JT-60 International Fusion Schoolといったものをこの夏に初めて開催したところではあるのですが、2回目以降、よりさらに充実したものにしていこうという話も、この共同声明にも、政府としても盛り込まれているというような状況になっております。
 また、この日には、高市科学技術担当大臣も来ております。先ほど申し上げた産業協議会の設立であるとか、また、安全規制に関する検討についても、QSTの知見も借りながら、これから具体化をしていきたいと思っているところであります。
 さらにということにはなるのですが、先週、この日曜日には、西村経済産業大臣も那珂研究所を視察する機会がありました。小安理事長に対応いただきましたが、経済産業省としても、文科省と連携し取組を強化するということがうたわれているということで、やはり今回、4月に戦略をつくって以降、様々な取組が進んできた。政府としても取り組んできた。また、協議会、産業界としても、これから動き出す。その中でやはり中心となるのは、QSTが持っている技術なり研究基盤というところになっていきますので、我々として、政府としても、引き続き、QSTの活躍に期待しているところでございます。
 最後、若干話はそれるかもしれませんが、これも報道で御案内かもしれません。いろんな動きが各国行われているところではあるのですが、ちょうど先日開催されたCOP28で、アメリカのほうからフュージョンエネルギーの実現に向けた国際連携強化の戦略というところは大きく報道されております。実際、12月2日には、ホワイトハウス発表ということで、ここに記載のとおり、五本柱で目標を設定されているところです。
 この中でも、例えば、①研究開発に関する国際協力・国際連携の機会の追求とか、2番目、サプライチェーンの問題、3番目、規制、4番目、人材、5番目、理解増進ということで、当然、我々、アメリカとも日々対話をしておりますし、また、実は来週、私もQSTの方と御一緒してアメリカのほうにお伺いして、この戦略を踏まえた、より日米の連携の具体化についても議論をしていこうと思っています。
 いずれにせよ、このアメリカの戦略に代表されるように、日本としても、ほかの国としても、このフュージョンエネルギーについて大きな変化が外部環境としても変わっていく中で、我が国としても、QST中心に様々な取組を加速していく必要があると認識しているところでございます。
 最後に、QSTに期待ということで、これまで述べたことの繰り返しになりますが、まとめとして4点御紹介したいと思います。
 まずは、原型炉実現に向けた基盤整備ということで、将来の原型炉開発を見据えた研究開発の加速、人材育成の強化。これまでも取り組んでいるところでございますが、2つ目の柱にあるとおり、QST中心のアカデミア、民間企業を結集して、技術開発を実施する体制、民間企業をさらに育成する体制というところをぜひ構築していただきたいと思っています。
 その際には、拠点を設立するということで、既にQSTのほうで動いておりますが、これまで培った技術を失うことなく、きちんと我が国として積み重ねていけるようなことが重要かと思っております。
 最後に、国際活動の戦略的推進、これまでも取り組んできた世界7極のITER・BAに加えて、多国間・二国間での連携強化ということが必要になってくると思います。
 今後、QSTとも連携しながら、政府としても様々な取組を進めていきたいと思いますし、その状況については、この部会でも御報告していきたいと思っておりますが、ぜひ、先生方におかれましては、そういった状況の変化も踏まえて、QSTの取組について、忌憚なき御意見を今後ともいただければありがたいと思っております。
 私からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
【栗原部会長】 どうもありがとうございました。
 これ、変更は、核融合エネルギーをフュージョンエネルギーと変えたというところのみぐらいで、計画とかに何か加えたということではないと思いますが、今、非常に重要になってきているフュージョンエネルギー・イノベーション戦略、丁寧に御説明いただいてありがとうございます。
 御質問のある方もいらっしゃると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 山田先生、どうぞ。
【山田委員】 ありがとうございます。
 評価の上で、役所側と法人側にお願いしたいと思っていまして、今御説明いただいたフュージョンエネルギー・イノベーション戦略、今までなかったもので際立っているのが、産業化というキーワードなんですね。実際、QSTの核融合担当の部門が進めている低温精錬とかリチウム抽出は、この部会でも非常に高い評価を受けていて、産業化に向けた取組はなされているわけですね。
 そうすると、産業化されて、例えば、それがスタートアップ企業等になると、それは法人外のアクティビティになるので、いわゆる利益相反の問題の観点で、この評価がきちっと、何といいますか、いい評価は、もちろん私はQSTの業績としたいんですが、一方、企業側の成果というのは、やっぱり利益相反の観点で、それは切り離さないといけない。そこがうまく評価に反映できるように、役所側からも、法人側からの説明については工夫をいただきたいと思います。
 以上です。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
 今の御発言について、何かコメントいただけますでしょうか。
【馬場戦略官】 山田先生、ありがとうございました。
 我々もこれまで、先ほど御説明したこの図の中でも、二、三、実は変わっているところがございまして、1つは、先ほど御説明は省きましたが、6ページ目の上のところ、例えば、SBIRフェーズ3基金ということで、Small Business Innovation Researchというような枠組みの中で、スタートアップ、中小企業を支援しているというところがございます。
 実は我々、この夏に審査会を行いまして、QST発ベンチャー、スタートアップについて、2社採択をしています。ただ、そういった実績について、どうQSTの実績、取組として評価すべきかというところは、恐らく直接的にはあくまでも一企業というような取組になっていくと思いますが、その辺りについてどう扱うかというところについては、しっかりとうまく考えていくことが大事かと考えています。
 【栗原部会長】 一般論としては、やっぱりスタートアップができるまでの過程は法人でしょうし、出来上がった後の活動は、法人もありますけれども、今のいろいろな方向性としては、スタートアップを育てるような活動をどこまでどういう形でやるのかというようなところは、きちっと議論しながらやるところなのかなと思いますけれども、そんなところでしょうか。どうでしょう。
【馬場戦略官】 山田先生が手を挙げられているので、もしよろしければ先にお願いします。
【山田委員】 ちょっと言い忘れたことがありまして。そういう意味では、スタートアップなりベンチャーがすぐマネタイズできるようでしたら、そのリターンとして機構に対してどれだけの資金の流入があったかという観点で評価が既に今までされてきて、それが足りないという議論はこの部会でもよくしているわけですが、一方、核融合に関しては、なかなかマネタイズまで行かずに、実際、スタートアップで得られる業績なり成果というものは、どうしても研究面のものが多いと思うんですよね。ですので、その仕分がちょっと難しくなってくるので、あらかじめ工夫していただきたいという注文です。
 以上です。
【栗原部会長】 どうも、観点、分かりました。技術開発のところをきちっと考えて進めたほうがいいという御意見だということを理解しました。ありがとうございます。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 言い忘れましたが、初プラズマ発生よかったなと、この部会としては、大変皆さん喜んでおられると思いますので、まずそれをお伝えしたいと思います。
 ほかに御質問ありますでしょうか。
【神納委員】 神納です。よろしいでしょうか。
 産業化というところで、一番大事なのは、国際標準を取ってくるということが大事です。高市先生がくしくもおっしゃっておられる安全規制ですよね。原子炉でも、JSME、ASMEといった機械学会関係の適合がないと造れない状況になっています。核融合ですと、かなり扱いが違うということもあるかと思っていますので、これから産業化のために、どういう国際標準を取りに行くか。これ、ITERに参加していますし、さらにJT-60SA、BAみたいなことはやっていられます。特に材料面では、IFMIFを東北のほうに持っていられるわけですから、日本から積極的に発信していただくということと、もう一つ、私みたいな産業人から見ると、企業価値がカーボンフットプリントで決まる時代がすぐ近くに来ているわけですね。
 例えば、核融合でいろいろ頑張ると、スコープ3の、要するに、自分たちの作った製品がどれだけカーボンを出したか。例えば、核融合で頑張れば、それをどれだけ削減してくれるか。要するに、カーボンクレジットのような部分、そこまで踏み込んで活動される必要があるかなと思いまして、QSTにはちょっと荷が重過ぎるとこの前、小安理事長おっしゃっていましたけど、とは言わずに、よろしくお願いしますというのが産業側からのお願いでございます。
 私自身、いかにこの標準が大事かというのは身にしみて感じておりますので、その辺りも評価軸に加えていただくとありがたいなと思います。
 以上でございます。
【馬場戦略官】 御質問、御指摘ありがとうございます。
 私も大事なコメントだと思っていますし、高市大臣からもこのような形で発言があるところにはなっています。
 実際、高市大臣の発言にもあるとおり、いわゆる炉規法ではないのですけど、原子力発電と同じような規制体系を当てはめるというところは、我々、避けなければいけないと思っていますし、また、いろんな規格・基準についても前倒しで取り組んでいかなければいけないということで、実は政府の中でも、今、その担当部署とも話をしていたりはしているところです。
 また、加えて、先ほどのアメリカの発表にもあった部分ですが、3番目に、安全性を確保して規制の枠に関する調整ということで、ハーモナイズされたものをつくっていくべきということで、既に日本としても、イギリス、カナダと連携して提言みたいなものを出しているところではあるのですが、それを各国どういうふうに適応していくかというところは、これから内閣府としてタスクフォースを立ち上げて、議論を重ねていくというようなフェーズにはなっています。
 ただ、先ほど高市大臣から発言があったとおり、実際そういった議論をするに当たっては、QSTだけでは多分荷が重いと思っておりますし、先日、内閣府の有識者議員会合のほうで、小安理事長からも、核融合の規制どうなっているんだと、むしろ逆に聞かれたぐらい、政府にくるっと回って戻ってきて、我々から実は産業界とも連携してと言って、またくるっと回っていくところにはなってしまうのですが、いずれにせよ、一体的にそういった議論をしていくことによって、国としても基準・規制・標準化というところを国際的にもハーモナイズされた形でつくっていくことは重要かなと思っております。
 いずれにせよ、恐らくQSTの役割というと、少し大変な気はするので、むしろ政府としても一緒にやっていくというようなスタンスのほうがいいのかなというような気はしました。ありがとうございます。
【栗原部会長】 技術的視点をQSTが明確にしていくようなことは何かできるのかなと思いますけど、どうなんですかね。
【馬場戦略官】 あるとは思います。先ほどの山田先生の指摘ではないのですけど、スタートアップなりを育てる上での貢献とか、そういった標準化にする上での技術的なインプットとか、そういったところは積極的にQSTから言っていただければ、例えば、政府としてつくる上での重要な指標になった、エビデンスになったというような話はできるかもしれないなというような気がしました。
【神納委員】 そうですね。技術という切り口、非常に大事なわけですよね。テクノロジーの寄与があれば、それに対して権利を与えてくれるというようなところはございますので、ぜひお願いしたいと思います。
【栗原部会長】 どういう切り口があるのか、QSTの担える形を、技術的なところは長く研究していらっしゃるわけだから、ほかの組織とは違うような形での検討に御貢献いただけるといいかなと思いますね。一般論としては。また大変なところだと思いますが、よろしくお願いします。
 それでは、坂本委員、お願いします。
【坂本委員】 御説明ありがとうございました。
 フュージョンエネルギー・イノベーション戦略では、広く核融合の戦略を描いていると思うのですが、QSTへの期待というものが最後に書かれていたと思います。その中で中心になるのは、原型炉の実現に向けた基盤整備というところになるかと思います。この点に関して、評価をする場合、評価の対象になることは、原型炉実現に向けた基盤整備のみなのか、それとも、原型炉実現に向けたもっと明確な一里塚みたいなものを見せる必要があるのか、ということが分からなかった。ここでは、あくまでも基盤整備をすることのみが目標になっているのでしょうか。
【栗原部会長】 14ページについてですね。よろしくお願いします。
【馬場戦略官】 御指摘ありがとうございます。
 こちらの書き方全体、四本柱も各戦略から持ってきたりとかしているところもあるので、いわゆる指標とか、そういったところとは若干違う次元かなというふうには思ってはいます。
 いずれにせよ、原型炉実現に向けた基盤整備については、核融合科学技術委員会などでも、坂本先生御案内のとおり、議論はしている中で、どう国全体として取り組んでいくのか。自分のイメージは、まさに核融合科学技術委員会で議論していただいたアクションプランを踏まえてやるべきところを、QSTを軸にしながらも、大学、核融合研といったところを巻き込みながら実現していくというところになっていくかと思っています。
 その辺り、どこまでどう切り分けてQSTの実績というふうに評価していくかというところについては、今年度の実績、また来年度以降の実績を見るときには、またQSTとも議論して、見せていくことは大事かなと思いました。
【坂本委員】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 これ、期待というふうに書いていらっしゃるので、どこかでもう一度計画に落とすようなフェーズがあるということですか。
【馬場戦略官】 今の時点ではそこまで思ってはいなくて、あくまでも今回、中長期目標で書かせていただいているのは、戦略を踏まえて取り組んでくださいと。戦略の中で、特にQSTが特出しというか、明示的に書かれている部分として、こういったものがあるということを当然QST側は認識していると思うんですけど、恐らく戦略を全て読むのもちょっと大変かなという気もしたので、戦略の中で特にQSTと特出しで書かれているところを参考までに御紹介させていただいたということになっています。
【栗原部会長】 それでは、QSTとキャッチボールして、良い形で実際の実施計画ができると良いですね。
【馬場戦略官】 先ほどの坂本先生の質問の研究開発の加速であったり、人材育成の部分について、我々も戦略として受けるのは実は内閣府であったり、政府全体の立場である、その主体としては、実はQST以外にも、当然、大学、企業、核融合研含めてたくさんあるところを、どう国全体としてもコーディネートしていくかというところは問われるというところが、坂本先生の御指摘の部分にもつながっていくところかなと。その中で、どうQSTとしての実績を繰り出していくというか、見いだしていくとかというところは、まずはQSTの自己評価なり出てくると思うので、そこを我々としても見た上で、事務局としても思うところをお伝えすることができればとは思いました。
【坂本委員】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 どうもありがとうございました。
 ほかに御質問ありますでしょうか。
 今回の初プラズマ、大変よかったと思うんですけれども、やはりこういう大型の装置を造っていくというのは、基盤技術の確立における見落としがあるという印象が今回の初プラズマまでのプロセスではあったので、その経験をうまく使っていただいて、今後につなげていただけると良いと思います。
 そういう意味では、次に行くステージで、やはり丁寧に見るべき技術をきちっとリストアップしていくことって大事だと思うんですけど、これは今内閣府でやられているのか、この検討会とかいうようなところでそういう議論もあるんでしょうか。すごく幅広いですよね。フュージョンテクノロジーというのは。
【馬場戦略官】 そうですね。我々も今、何を考えているかというと、国として原型炉開発に踏み出すに当たって必要な技術が何なのか、それをちゃんとマッピングではないですが、見いだした上で、なければ育てなければいけない、もしくは、国際連携していかなければいけない、そういったところを考えていかないといけないと思っています。
 いみじくも西村経産大臣が来たときの質疑応答の中でもあったのが、例えば、日欧でやっているJT-60SAとITERの関係について、西村大臣からも、日本が強いところをJT-60SAでもITERでもやっているんですかという質問については、いや、むしろ補完関係にありますと。例えば、真空容器は、ITERでいろんな問題あるかもしれないですけど、JT-60SAのほうでは、実は日本が作っていって、お互いそこら辺が補完できるように分担していたりはするところであったりはします。
 いずれにせよ、そういったところを含めて、全体として何が必要なのかというところを、国としてもきちんとマッピングした上で、状況を理解し、産業協議会の集まっている方々とも議論しながら、日本として押さえる部分はどこなのかを検討することは、経済安全保障の観点でも大事なところだと思います。逆に、今後ムーンショット型研究開発制度だとか、坂本先生の原型炉に向けた基盤整備の事業みたいなものを、これから公募でも追加的にやっていこうかとは思っているので、そのときに足りない技術があるのであれば、そこはQSTがどこかに公募して、今のうちに培っておこうとか、そういった全体設計をこれから考えていかなければいけないのかなと。
 いずれにせよ、今回、やはりJT-60SAの初プラズマというのは大きな成果だとは思っておりまして、こういった大きなものをエンジニアリングで組み立てることができてワークしたという成果というところは、次に確実につながることだと思っていますし、この成果というのは、まずはITERにはつながると思いますし、それ以外の様々なスタートアップにも還元されていくものかなとは思っています。
【栗原部会長】 本当にそういう経験をいい形で生かして、日本も存在感のある形でこういう開発計画に貢献できるといいですし、それが基準を取るための基本条件かもしれないと思いますので、QSTの方々、聞いていらしたらぜひよろしくお願いします。
 様々な方針をつくるときに、ここが気になるとか、技術的な観点の情報がもう少しあったらいいというときには、QSTが頼りになる組織であってほしいと思うので、よろしくお願いします。
 私の思いを言ってしまったんですが、研発法人をずっと評価という立場から見させていただいて、やはりすばらしい法人に日本の今後をリードしていただくような、支える活動をたくさんやっていただけたらと思っていますので、よろしくお願いします、という一言でした。
 ほかにありますでしょうか。
 よろしければ、どうもありがとうございました。
【馬場戦略官】 ありがとうございました。
【栗原部会長】 では、次に移ります。引き続き、「共用促進法改正とNanoTerasu」関係について説明をお願いいたします。共用促進法改正もNanoTerasuに関してということで、よろしくお願いします。御説明は研究環境課の内野さんです。
【内野補佐】 よろしくお願いいたします。研究環境課の内野でございます。
 NanoTerasuと共用法の関係について御説明させていただきたいと思います。主に資料5、6を中心に御説明させていただければと思います。
 まず、NanoTerasuについてですが、もう御存じのとおりかもしれませんけれども、QSTが国側の主体、それから、地域パートナーとともに、官民地域パートナーシップという枠組みの中で整備を行っているものでございまして、パートナー、こちらの民側の主体としては、この一般財団法人光科学イノベーションセンター、PhoSICと言っていますけれども、この財団を取りまとめ機関として、宮城県、仙台市、東北大学、東経連と、こういうメンバーが集まって整備を進めているという状況です。
 右側に整備用地として、東北大学の青葉山新キャンパス内に設置されて、整備総額として約380億円ということで、国側の負担分が約200億円、それから、パートナー側が負担しているものとして約180億円という分担でやっているということであります。
 加速器と、国側の共用ビームライン、これ、3本分でございますけれども、こちらをQSTが整備を行い、基本建屋と用地、それから、パートナーが使うビームラインについて、地域パートナーが整備を行っている。
 2024年に運用が開始される予定であるということで、今回、この運用開始に合わせて法律が改正されたというところでございますので、その内容を説明したいと思っています。
 次のページへ行きますけれども、共用促進法、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律という名前であります。
 こちらなんですが、1994年に成立した法律で、中身としては、先端的な大型の研究施設について、専ら国内外の多くの研究者のために開放して、共用を促進する。これを目的にした法律であります。
 具体的な措置の中身としては、まず1ポツにあるように、特定先端大型研究施設というものを特定しています。
 2つ目ですけれども、当該施設の設置者に施設の共用に関する業務を追加とあります。こちら、独立行政法人というものは、その業務は法律事項になっておりまして、設置法上に業務を書き込まないとならないと。その業務の効力を発生させるための法律というのが、この共用促進法であるというところであります。
 それから、文部科学大臣が策定する基本方針の下で、中立的な第三者機関、こちら、登録施設利用促進機関と言っておりますけれども、そういった機関がその利用促進、例えば利用者を選定するとか、実験の支援を行う、こういったような業務を行うというふうにしています。
 なぜそういった登録施設利用促進機関を置くかというと、専ら施設の設置者が共用をやってしまうと、自分たちばかり使ったり、自分たちの詳しい分野の研究開発ばかり取るというようなことが起きてしまいますので、そこは法律上中立的な第三者機関というのを、文部科学大臣がその業務を行わせるというような規定になっています。
 その機関に対して必要な資金を交付すると、こういったような効力を持っている法律であります。
 今回、この法律にNanoTerasuを追加するという改正を行いまして、この右側の四角にあるように、2023年5月25日に成立しました。
 この下の写真にあるように、共用促進法の枠組みとして、今まで、SPring-8/SACLA、J-PARC、それから、「富岳」、これらが対象になっていたわけなんですけれども、ここにNanoTerasuを追加したというような改正を行っています。
 施設設置者のところに、緑色のボックスですけれども、理研と原子力機構があるんですが、ここに新たに量研機構が追加されたということ。
 改正事項は上に3つございますけれども、NanoTerasuを特定先端大型研究施設に追加をし、量研に業務を与え、NanoTerasuについても、この登録機関によって共用促進ができるようになりましたと。
 施行期日、この改正法がアクティベートされる日にちが令和6年4月1日ですので、来年度からになります。来年度の施行に併せまして、今まさに御審議をお願いしている中長期目標や、あとは、政令とか、省令とか、様々法体系の整備を、こちらは役所のほうでやっておりますけれども、中長期目標については、量研に対して、法律改正されたことを受けて業務を与えると、そういったような改正を中長期目標の中でする必要がございますので、今回、まさに審議をお願いしているということであります。
 次のページに行きます。これは御参考でございます。今までどういった施設がいつのタイミングで追加されてきたかということで、最初SPring-8から始まりまして、「京」、「富岳」、それから、J-PARCということで追加をされてきて、4つ目として、NanoTerasuが追加をされたということであります。
 この法律の改正に当たりまして、国会から附帯決議ということで、政府において講じるべき内容、政府及び関係者ということで、QSTも含めてですけれども、様々な関係者で以下について配慮してくださいねというような内容が出ています。6ページ目が参議院、7ページ目が衆議院ということで、基本的に同じ文章になっているんですけども、2ポツの部分だけが少し違いがあると。1、3、4、5、6は全部共通になっています。
 まず中身を見ていくと、1ポツということで、NanoTerasuは、官民地域パートナーシップでやってきたので、様々な主体が運用に関わっているので、安全管理とか、情報セキュリティとか、そういったものについては一元的な対応が取れるような適切な体制を構築してくださいということ。
 それから、参議院の2ポツでございますけれども、国内外の放射光施設等との連携、あるいは、スパコンとの連携、こういったことを推進しましょうということ。
 関連するものとして、5ポツですけれども、施設を使った研究成果は分かりやすく情報提供しましょう。さらに、児童生徒の科学技術への関心を高めていきましょうということ。
 それから、衆議院のほうの附帯決議ですが、2ポツのところで、スタートアップやベンチャーが使いやすいような制度もしっかり整備していきましょうと、こういったような内容で附帯決議が出されています。
 さらに、NanoTerasuの運用に当たっては、文科省のほうに別途会議を設けまして、議論を行ってまいりました。NanoTerasuの利活用の在り方に関する有識者会議というものを設置して、昨年の8月から開催して、今年の2月に報告書をまとめています。委員の名簿として、右側にリストがありますけれども、中身、報告書のポイントとしては、例えば、施設運営のパーパスを設定するとか、経営も含むオーケストレーション体制を確立するということとか、利用料金についても、様々合理的な考え方を設定しようとか、あとは、東北大学のキャンパス内に設置されるので、イノベーションエコシステムができますので、そこでの強みを生かしてサービスを展開していく、こういったようなことも進めましょうというような内容が報告されています。
 こういったような内容を、今回中長期目標に落とし込んでいく必要があろうかと思っています。
 さらに、次のページです。評価指標でありますが、今回、中長期目標というと独法評価ですので、独立行政法人通則法に基づく評価なわけなんですが、それ以外にも、政府レベルでは政策評価とか、行政事業レビューとか、研究開発評価とか、様々な階層があります。
 それに当たって、このNanoTerasuが、令和6年以降の運用期においてどういったアウトプット指標、どういったアウトカム指標があり得るべしかということについては、この右上にありますけれども、量子ビーム利用推進小委員会というところで議論をいたしまして、こういったものが考えられるのではないかということでリストアップしています。
 このうち、赤囲いを入れているものについては、今回の中長期目標のほうに反映をしていくというようなことをやっております。
 ここからは御参考ですけれども、NanoTerasuの来年度の予算として運用費の要求をしておりまして、大体40億円程度というふうになっております。
 かつ、利用環境のDXとして、ビームラインのDX化みたいなものも要求しておりますし、ここについては、令和5年度の補正予算で新たに追加措置もされておりますので、研究環境の改善なんかも図っているというところであります。
 今後の見込みですけれども、今年5月にNanoTerasuの法案が成立しまして、12月7日に、すいません、これは予定となっておりますが、ファーストビームが確認できております。これから登録機関の登録とか、そういったような法律に基づく手続の準備をやって、来年の4月に全てがアクティベートされるということで、来年度からの運用に向けて取組を進めていくというような状況になっています。
 こちら、QSTの資料を拝借いたしまして、御参考でございますが、共用利用自体は来年度になるんですけども、募集が10月以降というふうになります。ここで課題募集をして、そこから共用開始が来年の3月と。それまでは、この一番下、試験的共用と書いておりますが、実際に整備したビームラインが所期の性能が出ているかとか、そういったようなことを確認しているフェーズになります。ですので、一般のユーザーの方がNanoTerasuの共用ビームラインを使えるようになってくるというのが2024年10月からというような形になっています。
 他方、コアリションのビームラインについては、4月以降、もう来年度の頭から実際にコアリションユーザーの利用が始まっていく予定というふうに伺っています。
 こちら、御参考ですが、今後NanoTerasuの共用ビームラインは、共用の3本とコアリションの7本があるんですが、施設として、残り18本設置可能となっておりまして、こちらについてどのようなポートフォリオで設置していくかということについては、量子ビーム利用推進小委員会のほうで在り方とか整備計画とかというのを年明け以降、議論を進めて、令和7年度の概算要求ができるように議論を進めていくというようなスケジュールになっています。
 駆け足で説明したこちらの整備状況と共用の内容ですが、具体的な文案について御説明したいと思います。資料6でございますが、こちらのページでいうと、4ページ目以降にNanoTerasuのパートが出てきます。右側が旧、左側が新になります。
 こちらのタイトルを見ると、一番端的に表していると思いますが、今まではNanoTerasuの整備等で終わっていたものが、共用の推進ということで、法律に基づく業務を行うということを明示的に書いていくことになります。
 具体的な文言として、NanoTerasuを整備して、さらに共用を進めていくと。
 このパートナーの役割分担とか、文の場所をちょっと整理したりとかしていますけれども、基本的には、法律で改正されて新たに追加された業務に関する関連する文章しか入れていないということになります。
 5年度のところは整備を行っていくところになるんですが、6年度以降は、共用法に基づく業務を行い、NanoTerasuの共用を促進すると。具体的には、ビームの安定化、加速器の長時間の運転、登録機関とともに幅広い研究者等への共用、ここはベンチャーとかも含むんですが、そういったものへの共用を進めると。
 さらに、この赤字ですが、産学官、国内外の多様なユーザーに使っていただくということ、こういったことを書いていっています。
 さらに、ビームラインの増設計画ですけれども、こちらは地域パートナーと整合しながら進めていくということを追記しています。
 一番最後、なお書きのところについては、先ほどの国会からの指摘にもあったように、様々な者が関わりますので、地域パートナー及び登録機関の協力を得て、それぞれの役割と責任の所在を明確にして、一元的な対応ができるような体制を整備するというふうに書いております。
 次に、モニタリング指標であるとか評価軸、こういったものの新旧対照でございます。
 項目自体は、先ほどの本文と合わせて、整備等を共用の推進とすると。
 こちらの、まず最初に評価軸のところ、・・・に取り組んでいるかというふうに種々書かれているところについては、本文から引いてきた安定的な運転とか、あと、先ほど附帯決議なんかにもありましたけれども、成果の広報、イノベーション創出につながる施設の運用に取り組んでいるかという点、それから、安全管理・施設管理について一元的な対応ができているかどうか。
 評価の指標として、安定的な運転や利用促進の状況、広報の取組の状況、共用を通じた成果の創出、社会還元の状況、それから、施設運用のマネジメントの取組の状況と。
 ここからは定量的なモニタリング指標ですけれども、年間の運転時間、申請件数、利用件数、利用者数。こちら、共用利用をと書いているのは、今回、独法評価として評価を受ける側、QSTですので、共用に関するものに限っています。共用利用のうち、成果占有利用の申請件数・利用件数・利用者数・利用料金収入ということとか、海外機関の関係であるとか、あとは、論文化数とか知財化件数、コンテンツの発信件数とか、SNSの関係、研修会とか、あとは、外部機関との連携の件数、これはもともと入っていたものですけれども、そういったようなものを、先ほどの量子ビーム利用推進小委員会の議論も踏まえて位置づけていったという形になっております。
 資料7が具体的な本文ですが、先ほどの資料6と基本的には中身は同じになっています。
 私からの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【栗原部会長】 どうも丁寧に御説明いただき、ありがとうございました。
 今の御説明いただいた内容について、質問、御意見等ありましたら、お願いします。
 三沢委員、どうぞ。
【三沢委員】 御説明ありがとうございました。
 評価指標が結構だらだらだらっと幾つもの項目が並んでいて、文章に落とすと羅列されているように見えてしまうんですが、スライドのほうが分かりやすくて、アウトプット指標とアウトカム指標を入れられているんですけれども。これ、何を運用の共用利用の優先順位を上げるかによって、アウトプット指標もめり張りをつけたほうがいいのかなという感じがします。
 アウトプット指標、とにかく共用利用を一所懸命やれば何とかなりますという、やる側としては、アウトプット指標を一応書いて達成するというところで満足しちゃうんですけれども、それは逆に言うと、やるだけで終わってしまって、評価する側は、やっぱりその結果、何がインパクトがあったのかというアウトカム指標のほうを見たくなってしまうので、一所懸命アウトプット指標を稼いでも、結果的にアウトカムがどうなんですかと言われたときに、結構労多くして益少なしという結果になってしまわないかというのをちょっと懸念していまして、そういう観点からすると、ここまでいろいろな項目を並べるのが適切かどうかというのが、もうちょっと絞り込めるのではないかなと思ったんですけれども、これだけ選んだというところの背景をもう少し教えていただければと思うんですけれども。
【内野補佐】 共用法に基づく業務の目的としては、専ら産学官の利用者に使っていただくというのが目的であって、そこから右に示すような成果とか、そういったものが、アカデミアで言えば論文とか、学生数とか、そういったような様々なものがあると思いますけれども。産業界で言えば、知財だけではなくて、様々、製品化とか、社会実装とか、いろいろなことが考えられると思いますが、そういったもののベースになるQSTの活動というものとして、運転時間とか、申請件数とか、こういったものは定量的に測れるものですので、今後の主務大臣評価のときの評価書で、評価をするに当たってモニタリングをするための指標かと思っています。
 なので、この評価軸というのは、まさにここでモニタリングと書いておりますけれども、これは、これを達成するのが目的ではなくて、中長期目標の目標がしっかりできているかというのをモニタリングするための数値でありますので、目標というよりは、これを横目で見ながら年度の評価をしていくということかと思っています。
【三沢委員】 分かりました。じゃ、私はちょっと勘違いしていたかもしれません。
 例えば、法人評価も含めて、様々な評価で、これが達成目標に対して、達成状況というのを見比べて、達成度何%みたいな、そういう数字が独り歩きするような評価の対象にはならないというか、それを前提としていなくて、単にここを見ていきましょうという項目だけを並べているというふうに考えてよろしいんでしょうか。
 こういった独り歩きしたときに、達成していないんじゃないかとか、いろいろ、しかも、評価によって、その評価の観点が違うと、この数字は達成しているけど、この数字は達成していない、だけども、一つでも達成していないと大丈夫ですかみたいな話になりかねないので、あくまでも参考指標であって、定量的に評価する達成目標として使わないということが前提にあるのであれば、私の取り越し苦労だということは分かりました。その辺、どうなんでしょうか。
【内野補佐】 例えば、ほかの評価で、行政事業レビューとかですと、令和何年度までに何を何件達成するみたいなのが書かれるんですが、今回、この独法評価については、そこまでは書かれないです。
【三沢委員】 なるほど。独法評価については書かれないんですね。
【内野補佐】 書かれないです。なので、目標というのは、まさに先ほど本文にあったように、共用を促進するとか、こういったことをやっていくと文章化されている、これが目標になるわけですので、これらがちゃんとしっかりできているかというのをモニタリングするための数字が先ほどのものです。
【三沢委員】 分かりました。
 自分の国立大学法人なんかは、こういう中長期目標の中でKPIを設定して、その達成度によって運交金が評価されたりするというのは、私は自分の業務としてやっているので、それと同じことに使われちゃうのかなというふうに、ちょっと最初から勘違いしていましたので、大変失礼しました。
【内野補佐】 承知しました。
【栗原部会長】 ですけれども、たしか以前のこの部会の議論の中で、秋元先生のご意見もありましたが、何か数値目標を立てるかどうかという時に、まず数字のモニタリングをしばらくやってそれから考えるという議論がありました。
【秋元委員】 そうですね。インディケータをちゃんとつくってね。
【栗原部会長】 インディケータをつくった上で、数値目標も必要なときが来るかもしれないというような議論をしたことはあります。すぐに数値目標は入れないけれど、モニターして、それで妥当な形で数値目標をつくっていくというのは良いのではというような、以前、たしか産業界との共同研究数の数値目標をたてられた時の議論でした。
 それで、それに対して、現状があまりよく把握できていないのに、数値目標はあまり適切ではないけれども、把握していくこと自体は意味があって、その上で、徐々に数値目標も入れていくことは意味があるのではないかと。きちっと把握した上でですね。というような議論を部会でしたという記憶があります。
 だから、今期はモニタリングというふうになったと思うんですけど、それをモニターしていった上でどう考えるのかというのは、また部会の議論かなと思っています。部会の議論もあるでしょうし、法人の中での目標の立て方の議論もあるかなと思っています。そんな議論でした。
【有馬部会長代理】 有馬ですけれども、よろしいですか。
 だから、きちんと評価指標という項目とモニタリング指標とわざわざ分けているのは、もうおっしゃったとおりだということですね。
 多分、放射光の場合は、モニタリング指標は実は取るのは簡単なので、必ず取れてきますけれども、これ自身を数値目標化されちゃうと、実はQSTの業務が正しくいっているかどうかということとはちょっと違うよという、そういうことをちゃんと我々も認識するというか、それでオーケーとすれば、それを認識してやりましょうということですね。
【栗原部会長】 そうです。
 ただ、モニタリング指標はやっぱりある程度きちっと取っていかないと、そういう議論もできないので、きちっと議論するような根拠は必要ではないかという話があったと記憶しています。
【有馬部会長代理】 産業界とのやつとか、ありましたね。
【栗原部会長】 あと、これ、言葉として似た言葉がついているのが、7ページなんですけれども、下から2つ目の丸は、安定的な運転、効果的な広報、イノベーション創出につながる施設の運用等、着実に取り組んでいるかで、その次について、これは多分一元的にというところがみそなんでしょうけど、ちょっと同じような言葉になっているので、これ、それぞれが何を意味しているのかというのが、場合によっては受け取られにくいかなと思いました。一元的に対応できていれば着実なのかと言われると、そうではないのかもしれないですし。これは、1つ目は、個別のことが着実かどうかで、次は、一元的に全体いい調和の取れた運営ということなんですよね。
【内野補佐】 施設の運用に当たっての話になってくるんですが、例えば、安全管理とか施設管理、情報セキュリティ、ここで例示されているような内容は、地域パートナーの分も含めて、一元的な体制をQSTのほうに来年以降置くことになっていて、そういったものは一元的対応の窓口のマターになっていくんですね。
 他方で、共用法上の設置機関であるQSTとして、例えば、運転をやらなければいけない、加速器を運転しなければいけないとか、QST自身が量子科学技術に関する知見を使いながら、QST自身もその技術を高めていくとか、そういった部分もございますので、そういったことは上のほうになっていくということかなと思っていまして、一元的対応が求められる部分については、下のほうでチェックをし、上のほうで、それ以外のQSTが行うべき内容というところを見ていくということかなと思っています。
【栗原部会長】 ありがとうございました。そのように理解しておりましたが、一応明確にしておいたほうがいいかなと思いました。
 どうぞ。
【本間委員】 この共用促進法に基づく運用に関する質問ですけれども、いただいた資料の3ページのところで、中立的な第三者機関を設置するというふうにありまして、これはやはりこれだけの特定先端大型研究施設、これの運用についての公平性・中立性、あるいは、そのガバナンスという観点から、どう選ぶかはすごく大事だと思いお尋ねいたしますけれども、なおかつ、やはり設置した研究者を含む、そういう方々もある程度ここに含まれないと、ちゃんとした運用というのはできないという気いたします。ですから、ある程度はかぶることも予想されますけれども、中立的な第三者機関をどういうふうに組み立てられるのかという概要について、教えていただきたいと思います。
【内野補佐】 実は、今のこのSPring-8とか、富岳とか、J-PARCにも、登録施設利用促進機関というのが存在していまして、それぞれ、例えば、SPring-8ですと、設置者は理研、理化学研究所なんですが、登録施設利用促進機関は公益財団法人の高輝度光科学研究センター、JASRIというところですが、そういうところが登録されています。
 基本的に利用促進業務、利用者の選定とか補助、あるいは、一緒に計測技術をサポートしたり、一緒に研究をしていくような役割というのを登録機関が担っていて、そこは登録機関は登録機関で、理研とは独立した形で運営しています。
 第三者性というのを確保するために、法律上に選定委員会を設けることというような条項も入っておりますので、そういったように、第三者的な視点で中立的な立場で課題を選び、理研とは、設置者とはまた別な立場で支援を行うというようなことが法令上は規定されています。
 ただ、おっしゃるように、施設設置者と連携しながらやっていかなければならないので、そこについては、参考資料になりますけれども、文科大臣のほうで基本方針というのを施設ごとに出していまして、参考資料2-1ですけれども、これは縦書きで告示をそのまま持ってきておりますが、これ、一言で言うと協力してみんなでやろうということでありますけれども、法律上は、透明性を担保しつつ、必要に応じて協力をしながら、みんなでやっていきましょうということを文科大臣の基本方針で告示しています。
 なので、それぞれの機関で協力協定を結ぶなり何なりして、施設を運営していっているというのが実情だと思っています。
【本間委員】 ありがとうございました。
【栗原部会長】 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
 山田先生、どうぞ。
【山田委員】 ありがとうございます。質問を1つと、感想というか、お願いを1つお願いしたいと思います。
 質問は、共用施設として、研究開発法人が共用している大きな施設としてJ-PARCがありますけれども、法人は違いますが。J-PARCとNanoTerasuとの大きな違い、要するに、注意しないといけない違いとしては、官民パートナーシップの下で行われるということ以外に何かございますか。
【内野補佐】 J-PARCは、中性子を使う施設になります。
【山田委員】 いやいや、中身は分かっています。技術的なことは。要するに、運営上、気をつけないといけないことです。
【内野補佐】 J-PARCは、さらに言うと、KEKとの共同設置になっていまして、KEKは大学共同利用機関法人ですので、それぞれのミッションがあります。ですので、J-PARCはJ-PARCで、違う目的を持ったJAEAとKEKという2つの機関が一つのセンターをつくって運営するというようなことをやっていますので、まさにそこはNanoTerasuと同じように、違う目的を持った者が入ってきているというところはあります。
 NanoTerasuのほうは、さらに複雑というか、国の機関同士ではなくて、民間も含めて、地方自治体なんかも入っておりますので、より運営体制については複雑化をしてくるということになろうかと思います。
【山田委員】 ありがとうございました。
 もう一つは、この次世代放射光、NanoTerasuについてですが、随分前から評価のために私は留意点に書き込ませていただいているのが、ユーザーと一緒に運営体制をつくっていってくださいということを書いていて、それについては、今日御説明いただいた中には、行間に随分読めますし、このことを言っているんだなとか、気づきがいろいろあります。
 この中期目標の文章の中に、ユーザーという言葉が、多様なユーザーの利用を促進するというだけであってですね。もちろん非常に魅力のある、価値のある、こんないいものが提供できるんですよという、それと、利用促進についてはこういう取組をしていますよという、提供する側のロジックでこういうふうにあるのはもちろん必要なんですが、一方、それだけでは、コミュニティから見て、利用が促進されるとは限らないので、ユーザー側からの、ユーザーとともに運営体制をつくっていくという観点のほうが大事だと思いますが、そういう観点が行間には読めるんだけど、明示的にはないので気になっています。
 もちろん、これはQSTだけにお願いできることではないんですけどね。
【内野補佐】 おっしゃるように、利用者の利用ニーズを把握する等々については、極めて重要だと思っていまして。ただ、それというのは、非常に法律上のテクニカルな話になるんですが、利用促進業務に含まれまして、利用促進業務は、登録施設利用促進機関が担う業務になります。
 ですので、今後、ユーザーのインターフェースについては、この登録施設利用促進機関が担っていくことになるんですが、登録機関とともに幅広い研究者への共用を進める。ですので、登録機関がユーザーニーズを吸い上げて、その登録機関とともにQSTが共用を行うというような仕組みになっていきますので、当然、ユーザーニーズというのはQSTとしても把握する必要がございますけれども、こと中長期目標という準法令みたいな文章上はこう書いたということになります。
【山田委員】 もちろんそういう行間に読めるというのは、私も申し上げたとおりなので、評価に当たって、項目とか、先ほど数値目標がどうだという意見もありましたが、増えれば確かに成果は上がっているねということは見えるわけですけれども、やっぱりプロセスが見えるように、御説明なり評価の観点を整理いただけるとありがたいと思いました。
 以上です。
【内野補佐】 ありがとうございます。承知しました。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 これまで御説明のありました中長期目標の変更内容に関して、全般的な御質問、御意見がある委員の方は御発言ください。
 ただ、ここを全部一遍にとなると、ばらばらになりますので、資料としては、6とか8は重なっているように思うんですが、どれを見ながら確認していくのが一番適切でしょうか。6は、7の右に書いている目標の書き換えたところを新旧対象プラス、8のほうにまとめていただいている評価軸も書かれているので、実際は6の前半と8を確認すればいいということですね。
【澤田室長】 はい。
【栗原部会長】 そうしますと、まず量子未来産業創出戦略に関わるところ、資料6では、1ページから3ページまで赤で新旧対照表で書かれているところになると思いますし、資料8では、評価に当たってのところに言葉が付け足されているということで、特に評価指標やモニタリング指標の変更はないということだと思いますが、この点に関して、さらに先ほどいろいろ御意見、発言以外に何かありましたら、お願いします。
【有馬部会長代理】 よろしいですか。有馬ですけれども。
 評価軸というところで、米印で量子技術基盤拠点としての観点を含むことというのがあり、量子技術基盤拠点としては、量子マテリアル・量子センシング等を産業界が利用・試験・評価できる環境整備や利用支援、技術支援というのが赤字で書いてあって、だから、QST側はそこまで意識して、つまり、この上の丸4つには特に利用支援というのは書いていないんだけれども、QSTとしては、それも含めてやるという意味の、評価に当たっては、の観点も含むことということか、むしろ我々がそういう観点を含めてやっていきましょうということか、それはどちらに取るほうがいいんですかね。
 そこ、前に申し上げればよかったんですが、あまり気づいていなかったので。
【澤田室長】 QSTとは、量子技術基盤拠点に指定する際に、どういった拠点になるべきかという議論をしておりますので、その観点が、先ほど先生がおっしゃったところ、どこでしたっけ。
【有馬部会長代理】 環境整備とか利用支援、技術支援ですね。
【澤田室長】 そうです。環境整備、利用支援、技術支援のところに反映されておりますので、QST自身もその決意でそうすべく取り組んでまいりますし、先生方にも、そういった点を評価していただければと思っております。
【有馬部会長代理】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 御説明いただいた強化のところと対応があり得るかということですよね。
【有馬部会長代理】 そうです。
【栗原部会長】 今御説明いただいたような観点で、上に書いてあるというふうに、含まれるということでしょうけど、強化なので、実際の活動としては、より活発にお願いしたいということだと思います。
 今の点は確認いただいたということで、この量子技術のところに関しては、未来産業技術戦略に関する書き直しで、量子技術基盤拠点ということでよろしいでしょうか。
 では、ここについては皆さんで御了解いただいたということで、この部会としては、この変更に賛成したということで決議したいと思います。
 次に、フュージョンエネルギーのところは、これは書きぶりとしては、核融合エネルギーをフュージョンエネルギーに書き換えておられる部分だけだと思うんですけど、それでよろしいでしょうか。
 それから、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略という言葉が変えられたので、これが資料6の2ページ目ですね。それが資料7の目標に書き加えられているということなんですが、これに関しては非常にテクニカルな形ですので、特に御異論なければ、先ほどの質疑においても特に問題がなかったと思いますので、部会としては、これで承認したということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 そうすると、残り、書き加えや書換えが多いのは、最後のNanoTerasuのところなんですけれども、ここに関しては大分もう既に意見交換が進んでいると思うんですが、具体的な内容について、資料6、8で、ここの表現は気になるというところがあれば、御指摘いただいて、御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
 非常に複雑な関係性のある事業について、非常に丁寧に書き加えていただいたという印象がありますが、何か読まれた感じで、ここは表現をもう少し変えたほうがいいというようなことがあれば、御発言いただければと思います。
 皆さん、よろしいですか。
【三沢委員】 よろしいかと思います。三沢です。
【栗原部会長】 ありがとうございます。
 それでは、特に異論等なければ、この形で部会として承認したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 どうも御賛同いただきありがとうございました。
 ということで、おかげさまで非常に活発にいろいろ意見交換とか御質問もさせていただいて、ありがとうございました。
 以上で議題(1)については全て終了いたしました。
【山田委員】 山田です。すみません。フュージョンエネルギーのほうに戻って申し訳ないんですが、資料8についても意見を言っていいわけですね。
【栗原部会長】 そうです。それを併せて今やっています。
【山田委員】 資料8の3ページ目の核融合のところのモニタリング指標、そこですね。
 我が国の調達分担の達成度というのがありまして、これ、ITERへの調達のことなんだと理解します。それで、実際、まだITERへの調達については、幾つか鍵となる機器は残っているんですが、トロイダル磁場コイルも終わったということで、山は越えたので、これだけではなくて、別のモニタリング指標が必要だと思いますので、御検討願えればと思います。
【栗原部会長】 では、今回のことというよりは、もし次の変更の機会があれば、ITERに関しての指標として、もう少しモニタリング指標を強化するという点を再考いただきたいということでよろしいでしょうか。
【山田委員】 はい。調達分担の達成度というのは、もう既に古くなってきていますので。
【栗原部会長】 それでは、今回のこの内容はよろしいですか。
【山田委員】 結構です。
【栗原部会長】 では、今回はこの形でお認めしますが、この調達分担の達成度は、もうかなりできていて、もう少し指標を考え直すべきだという御意見ですので、御検討いただきたく、よろしくお願いいたします。一番専門の近い先生の御意見ですので。
 それでは、山田先生と似たようなコメントがあれば、今回の案は承認はしたところでございますけれども、今後に向かってという何か御意見あれば、出していただければと思います。ほかにございますでしょうか。
 どうぞ、秋元委員。
【秋元委員】 具体的なことではないので、全くコメントなんですけど。資料3とか、ところどころに医療のところが出てきて、資料3の未来ビジョンには、テーラーメイド医療とか、創薬とかと書いてあって、ほかの場所には健康長寿社会の実現となっていて、ほかの領域に比べると、医療のところは整合性があまりない気も若干するので、ぜひ、この量子技術を医療の分野にどういうふうに導出できるかというところを、ほかの領域に比べるとあまりまだ議論が成熟していない印象を受けたので、ぜひ、この文言の整合性も取っていただいて、創薬というのは、未来ビジョンには書かれている割には、それ以外のところに全く出てこなかったりするので、その辺りは、具体的なことはないんですけど、コメントとして、ぜひ検討いただければと思いました。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
【澤田室長】 ありがとうございます。説明が至らなかったかもしれませんが、量子マテリアル・量子センシングを用いて健康長寿、具体的には、脳磁を測るとか、そういったところにQSTが貢献しようという考えもありますので、そういったところを評価の際にきっちり見ていただければと思っております。
【秋元委員】 いや、創薬とか書いてあったので、テーラーメイド医療とか、その辺が、量子技術とあまり関係ないところが文言として出てくるので、その辺りはぜひ整合性を取っていただければいいかなと思ったので、ちょっとコメントさせていただきました。
【栗原部会長】 これはかなり量子を幅広く捉えていると。MRIのスピンとか、場合によれば、いろんな同位体薬とかも入っているのではないかと思いますが、医学の方が御覧になったときに、漠然としているという感じだったら課題ですね。
【小板橋委員】 少しよろしいですか。
 ちょっとこれは古いので、量子未来社会ビジョンの令和4年4月のものですよね。なので、ここをというのはちょっとあれかなとは思っています。ただ、テーラーメイド医療って最近言わないなとか、ちょっといろいろあるんですけれども。なので、ここはいいかなと思って、私のほうはスルーしておりました。
 あと、医療の話ではないんですけど、ついでによろしいですか。
 内閣府のほうのフュージョンエネルギー・イノベーション戦略のぐらいから、核融合をフュージョンエネルギーと呼ぶということになったと解釈しているんですけれど。海外だとフュージョンと呼ぶようになったから、日本でもフュージョンとみたいな、ニュークリアフュージョンのニュークリアを略す言い方が増えたからという言い方なんですけど、片仮名でフュージョンとすると、漢字の核融合よりも文字数を取るにもかかわらず、わざわざ片仮名にするというところのちょっと、フュージョンのほうがイメージはよさそうだなとか、いろいろ考えたんですけれど、何と言ったらよろしいのでしょうか、何となく国民のイメージがいい言葉、耳触りがいい言葉に逃げ過ぎないでほしいなという思いは、ちょっと思ってしまいました。
 核融合で今まで使っていたのに、海外がニュークリアを省略したからというだけで、というのが、これは文科の管轄ではないのかもしれないんですけど、その辺りって皆さんどう考えているのかなというのを、ここだけの話でも聞かせていただければ。
【栗原部会長】 では、馬場戦略官、お願いします。
【馬場戦略官】 先に事務局のほうから回答させていただきます。自分も、内閣府の参事官も拝命しているので、説明責任はあると思いますが、着任したときにはもうこうなっていたというところで、細かに経緯は理解はしていないところですけど。
 今、先生おっしゃっていただいたとおり、戦略の本文には、海外の状況等を踏まえというところにはなっているところではあります。ただ、我々も逃げるつもりは全くなくて、引き続き丁寧な説明で理解を得るというところも戦略にはうたわれているところだったりはしています。
 実際、海外のいろんな話をするときには、皆さん、フュージョンエナジー、フュージョンというような言い方でしているところもあるので、それに倣っているというところもありますし、あとは、やはりまだまだ核融合の原理すらきちんと理解されていないというところもいずれにせよあるところでもあるので、そこは我々としても、逃げるということではなく、しっかりとした説明をしていきたいとは思っています。
 自分も、これもこういった場なので申し上げると、結構核融合というのがまだいろんな場所で残っているというか、科学的にはそういう表現を使うところはあるらしいんですけど、フュージョンエネルギーというような形で、一つ戦略の中では、エネルギーとくっつけるときには、フュージョンエネルギーという言い方にしようというようなやり方で統一されたというふうには聞いています。
 いずれにせよ、きちんとした理解に基づいて、これからも推進できるように心がけていきたいと思います。ありがとうございます。
【栗原部会長】 どうもありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、以上で議題(1)について、その後の意見交換についても終了したいと思います。
 事務局より連絡事項等あれば、お願いいたします。
【川井係員】 事務局でございます。
 本日は、長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。
 本日御議論いただきましたQSTの中長期目標の一部変更案につきましては、今後、文部科学省の国立研究開発法人審議会及び総務省の審議会において報告・意見聴取がなされ、今年度内には中長期目標が変更される見込みとなっております。
 また、QSTは文科省だけではなく、原子力規制庁との共管ですが、原子力規制庁に対しては、今回の変更内容が文部科学省の単管の部分であって、規制庁側で審議会等を開く必要がないということは既に調整済みでございます。
 また、議事録につきましては、後日、文部科学省のウェブサイトにて掲載させていただきます。後日事務局から確認依頼をメールで差し上げますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。
 また、次回のQST部会につきましては、年度内、令和5年度につきましては、これで終了かと思っております。来年度に入りまして、4月もしくは5月頃にサイトビジットを計画しております。また、その後、7月頃から例年どおりの年度評価に係る部会を予定しておりますので、近くになりましたら、事務局よりまた御連絡を差し上げます。
【澤田室長】 すみません。事務局から1点ございまして、先ほど栗原部会長からファーストプラズマへのコメントをいただいたので、ファーストビームについても何かあれば、いただければと思います。
【栗原部会長】 特にコメントはないんですけれども、NanoTerasuに関し予定どおり4月からの運用に向かってラストスパート、事業が潤滑に進んでいらっしゃることに、関係者の方々の御尽力に敬意を表したいと思います。先ほど出席者のリストを見ましたら、内海先生も御参加のようで、皆様の御尽力、大変ありがとうございます。
 東北大学におりますので、私の企業の共同研究者の中にもコアリションに入っていらっしゃる方がいて、4月1日から使いたいという話を今週も伺ったところですので、ぜひ、関係者の皆様、今後とも最後の詰めをよろしくお願いいたします。
 大勢の方の期待を担っている施設ですので、本当にありがとうございます。今回ファーストビームを紹介、お祝いできたのは幸いでございました。
 話題は違いますが、サイトビジット、今までこの部会は、コロナ禍の間に何回も核融合施設にお伺いしたいと言って、準備いただいて行けなかったことがございまして、できればお伺いできるといいなとも思っているんですが、NanoTerasuもあるかもしれないので、どちらかはちょっと難しいところかもしれませんが。個別には核融合施設のほうがより伺いにくいところかなと思うんですよね。そうでもないですかね。
【馬場戦略官】 そうでも。いわゆる原子力施設よりは。
【栗原部会長】 大学のキャンパスにあるNano Terasuのほうが行きやすいと思って。
【馬場戦略官】 いや、多分、核融合研、那珂のほうであれば、全然大歓迎だと思います。
【栗原部会長】 もっとも、ずっと同じ線路でつながっていますけどね。ちょっと今のは脱線ですが。
 というようなことで、いろいろ委員のほうの今までの期待もありますので、よろしくお願いします。
 では、これにて第31回のQST部会を閉会いたします。長い時間の御議論ありがとうございました。委員の皆様の御協力、いつもながらありがとうございます。感謝いたします。

── 了 ──

(研究振興局 基礎・基盤研究課 量子研究推進室)