平成29年11月15日(水曜日) 16時00分~18時00分
(文部科学省 東館17階 研究振興局会議室)
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号
部会長 永井 良三 委員 Iris Wieczorek 臨時委員 上野 裕子 臨時委員 小出 重幸 臨時委員 中西 友子 臨時委員 西口 尚宏 臨時委員 村岡 裕明
【永井部会長】
それでは、少し時間よりも早いのですが、皆さんおそろいですので、文部科学省国立研究開発法人審議会第11回理化学研究所部会を開会いたします。
本日は、次期中長期目標(案)について御議論いただきます。
本日は、栗原委員、瀧川委員、高木委員が御欠席ということです。
それでは、最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。
【長田補佐】
本日もよろしくお願いいたします。
まず、事務局より資料の確認をさせていただきます。配付資料ですけれども、まず資料1、2、3、4とございまして、1はこの横紙のポンチ絵で、中長期目標の概要、評価軸の概要をまとめた資料でございます。その次にございます資料2というのが、中長期目標の、本日メインで審議いただく文章の案、資料3が横紙のA3の紙になっていますけれども、こちらが評価軸の案でございます。資料4がA4の縦紙1枚でございまして、今日も含めた今後のスケジュールになります。
その他参考資料が1から5までございまして、名簿が参考資料1、参考資料2が業務の実績に関する評価の結果、資料3が前回の8月にまとめた理研の見直し内容ですね。中長期目標を考える上での見直しの方針を皆様に御議論いただいてまとめたもののセット版を配っております。参考資料4と5は、現状の中長期目標と中長期計画です。
加えまして、机上資料として、机上資料1というA3の紙と、机上資料1-2、これはA4の紙、2枚、これらは机上資料として配付させていただいています。理研が今後作っていく中長期計画の構成案及び理研内組織の見直し案について、これらを机上配付資料にしています。これらの内容につきましては、現在、理研の中でも検討中のものでありまして、また、本日、中長期目標案の内容で我々が議論していただく、その内容を前提として、今、内部的に検討されている暫定のものですので、あくまで本日は机上配付のみの資料としております。次回、12月に開きます理化学研究所部会では、中長期目標に加えて、理研の方で作成する計画の案についても御議論いただくので、その際により詳細に御議論いただきたいと思いますが、本日は構成案と概略について現状の検討状況を理研からプレゼンいただくということになっていますので、このような形になってございます。
もし資料に不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
以上です。
【永井部会長】
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、本日のこの部会の進め方につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【長田補佐】
本日の進め方ですけれども、まず、次期中長期目標及び評価軸の概要につきまして資料1で御説明させていただきまして、その次に実際の本文の内容について、続けて我々文科省の方から説明させていただきます。その後、先ほど申し上げました次期中長期計画の構成等につきまして、理研の方から御説明いただきます。全ての説明をお聞きいただいた上で、目標案の内容について、本日は御議論いただければと思いますので、よろしくお願いします。
【永井部会長】
ありがとうございます。
それでは、議題の1に入ります。まず、事務局から理研の次期中長期目標及び評価軸(案)の概要について、御説明をお願いいたします。
【岸本課長】
それでは、資料1によりまして、最初に全体的なところの説明をさせていただきます。資料1の1枚目、現状・課題のところにございますように、今般、理化学研究所の見直しに当たりましては、特定国立研究開発法人としてどのような姿をしていくべきなのかということ、また、国家戦略に基づく戦略的な研究開発に取り組んでいくという中で、特に研究開発の進捗に係るマネジメントに関する評価についても、きちんと適切に評価していくことが必要ではないかというふうに考えております。
この観点から、その下の次期中長期目標及び評価軸等のポイントというところに4点まとめさせていただいておりますが、まず1つ目といたしまして、研究所全体としてイノベーション創出に向けた取組が進んでいくよう、研究所の運営システムの改革についてきちんと規定をしまして、特定研発としての目指すべき方向性というものを明らかにするということでございます。
2点目といたしまして、研究開発等を進めていく中で、達成すべき目標に向けた研究開発の進捗状況や、その進捗に係るマネジメントについても評価するということを明らかにしております。
3点目といたしまして、国家戦略等に基づき戦略的に研究開発を進めるということで、今回、中長期目標の中におきましては、現状の課題あるいは目指す姿というものを明確にした上で、それに向けてこの中長期目標期間中に取り組む事項について、それを簡潔に明確に規定をするという形をとっているところでございます。
4点目といたしまして、共用に供する研究開発基盤の構築・運営・高度化という部分で、これにつきましても、先ほどの戦略的な研究開発と同様の考え方の下に規定をいたしたいという方針で取り組んでいるところでございます。
2ページ目のところが、その方針によりまして、今回、御用意させていただいた中長期目標案の柱立てでございます。この中身につきましては、この後、御説明をさせていただきますけれども、今回は1つ目に政策体系における方針の位置付け及び役割ということで、特定研発としての理研がこの中長期目標期間中に目指すべき姿というものをまず書き、その次に中長期目標期間を定めるとともに、3.1のところで、まず、運営システムの改革について、特定研発としてどのようにこれを実現していくかということを書かせていただいております。
2番目に、国家戦略等に基づく戦略的な研究開発、3番目に、共用の研究基盤の構築等について書かせていただいている構造になってございます。
なお、3ページ目につきましては、これは中長期目標の中の別添の資料という形になりますけれども、先ほど申し上げましたような事柄につきまして、1枚のポンチ絵にまとめさせていただいたものでございます。
全体的な状況は以上でございます。
【長田補佐】
それでは、引き続き中長期目標の実際の中身について、資料2、実際の文章案で御説明させていただきます。なるべくポイントを絞って御説明させていただきます。
まず、1枚めくっていただきまして、3ページ目、ここで1、政策体系における法人の位置付け及び役割というふうに書いております。ここで4行目、特措法に基づく特定国立研究開発法人として位置付けられた研究所は――研究所というのは、今回、理化学研究所のことを研究所と書いております。次の新たな世紀を迎え、その総力を発揮し、国や社会の要請に対応する世界最高水準の研究開発成果を生み出し、我が国のイノベーションシステムを強力に牽引する中核機関として活躍することが期待されていると記載しております。
その次の段落ですけれども、このため研究所は、当期の中長期目標期間においては、科学技術基本計画をはじめとする国や社会からの要請に基づく様々な研究分野における優れた研究成果の創出、世界トップレベルの研究基盤の整備・共用、そして、他の研究機関の模範となる優れた研究環境、先進的な研究システムの整備等に積極的に取り組み、特定国立研究開発法人として我が国におけるイノベーションの創出、すなわち、新たな知的・文化的価値の創造に加え、それらを研究機関等と活発な連携を図り社会的・公共的・経済的価値の創造に結び付けることをこれまで以上に志向する機関として、一層の飛躍を遂げることが求められるということで、イノベーション創出を一つの求められているミッションとして書いております。
その後ですけれども、その際、研究所がこれまでにない新たな研究領域を切り拓き、世界を革新する研究シーズを創出することにより、地球規模での研究開発の潮流を自らが創出する世界最高峰の研究機関となることが期待されると記載しております。
その次ですけれども、これらを実現する上で、理事長のリーダーシップの下に、イノベーションの創出を志向した研究所の運営システムを構築することが重要であり、そのために必要なビジョンの策定、体制・制度の整備・運用等に取り組むことが求められると書いておりまして、これが先ほど課長からも申し上げました理研全体の運営システムをしっかりと整備することが求められるということを明記しているものです。
その上で、本運営システムの下、国家戦略等に基づく戦略的研究開発、そして、世界トップレベルの研究基盤の構築・運営・高度化、また、将来のイノベーションの創出を支える新たな科学の創生、外部機関との組織対組織の連携等による成果の社会還元、また、優れた研究環境の整備や優秀な人材の育成・輩出に取り組むことが求められると規定しております。
また、その次ですが、この際、研究所全体の運営方針が各組織や職員に広く浸透することが重要であって、個々の研究者がビジョンを共有した上で、それぞれの創意工夫を生かした研究開発活動を邁進することが重要である旨記載しております。
最後、研究不正、研究費不正、倫理の保持、法令遵守等々について、模範となるような対応をすべきということで記載しております。
次のページに行っていただきまして、中長期目標期間につきましては、来年度から平成36年度までの7年間としております。
次に、3ポツ、研究開発の成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項について御説明させていただきます。こちら、最初の1段落、2段落のところは、先ほど申し上げましたような理研のミッションを改めて簡潔に書いておるところです。なお書きのところですけれども、以下の取組に加え――以下の取組というのは、この後説明する主要事項ですけれども――これらに加えて、諸情勢に鑑み、研究所が実施すべき必要性が増大したもの等については、機動的に対応する。特に、特措法に基づき、科学技術に関する革新的な知見が発見された場合や、その他の科学技術に関する内外の情勢に著しい変化が生じた場合において、文部科学大臣から当該知見に関する研究開発その他の対応を求められた際は、迅速に対応すると書いております。こちらは特措法の方で特定研発に与えられたミッションとして、大臣からの措置要求があった際の対応が求められますので、その対応について総論的に書いております。
3.1、こちらが今回の肝でございます、研究所としての運営システムの構築・運用のところになります。こちら、(1)から(4)まで、主要な4つのことを書いておりまして、まず、(1)理事長のリーダーシップによる研究所を支える体制・機能の強化ということで、理事長のリーダーシップにより、自律的なイノベーション創出のための法人運営がなされるよう、研究所は、理事長の研究所運営判断を支える体制・機能を強化し、運用する。具体的には、研究所の有する研究・経営資源などを踏まえ、国家戦略及び将来のあるべき社会像を分析し、研究所が向かうべき方向性をビジョンとして取りまとめ、具体的な研究開発を企画・立案・推進する機能を強化する。こちらは、今、理事長のリーダーシップでやられようとしていますイノベーションデザインですとか、あとは今期からも理研が一部取り組んでいます国家戦略の分析、そういった機能をまず強化すべきだということをここで記載しております。
その後、3行目からですけれども、海外の著名な研究者を含む外部有識者などによる研究開発活動及び法人経営の評価を行うことで、国際的な視野を持つ外部の視点からの研究開発や法人運営の課題抽出・課題解決につなげるなどの取組を行う。こちら、今、理研の中でもやっておりますRACですとか、あとは経営に関する外部からの評価を頂く委員会等を理研については現在設置しておりますので、こういったところを引き続きしっかりとやって、外部の意見も含めながらPDCAを回してくださいということを書いております。
その次、また、これら研究所の業務の改善を進める上で、理事長の裁量による予算の機動的な措置や、最適な予算の配分など、理事長のリーダーシップとそれを支える機能の下、最適な研究所運営が可能となるよう取り組む。その際、イノベーション創出を促す組織横断的かつ柔軟な研究体制やネットワーク構築を進める。こちらにつきましては、今期の評価の際にも大分議論を頂きましたけれども、理事長による予算配分をはじめとした研究所全体の、あとはセンター間の調整等を含めたマネジメントについて、リーダーシップを発揮していただきたいということを記載しております。最後のネットワーク構築云々のところは、現在、エンジニアリングネットワークということで、また理事長が構想されておりますけれども、こういったところについても意識した上で記載しているものです。
次に、(2)関係機関との連携強化などによる研究成果の社会還元の推進、こちらについて御説明させていただきます。イノベーション創出のために、研究所が有する革新的研究シーズの社会還元を加速する。このため、外部機関との連携によるオープンイノベーションの推進や、そのための企画・立案機能の強化や体制整備、また、知的財産の戦略的な取得・管理・活用などの取組を戦略的に推進する。また、それらの取組を通じ、外部資金の獲得に努める。ここから個別論になりますけれども、特に外部機関との連携に当たっては、個々の研究者同士の共同研究を実施するだけでなく、組織対組織の連携を強化し、研究所内外の知識や技術を融合・活用することで、オープンイノベーションの推進に資する。特に産業界との連携に当たっては、大型の共同研究等の取組を強化すると書いていますけれども、こちらが組織対組織でしっかりとやっていただきたいところを意識して書いておりますが、こういった取組を強化し、外部資金を獲得しつつ、自らの研究シーズの社会還元を行う。その際、イノベーション創出を促進し先導する観点から、研究所の知財の管理・活用、法人発ベンチャーの育成・支援のための組織的な取組を強化する。
次に、大学との連携についてですけれども、こちらも個別の研究者といいますより、ここに書いておりますように、複数の分野の研究者が組織的に連携するハブとしての機能を研究所が中心となって構築すると。それぞれの強みを活かした融合研究を展開することで、新たな革新的研究シーズを創出するとともに、当該ハブ機能を中核として地方自治体、地域産業との連携を強化し、成果の社会還元につなげるということを記載しております。こちら、科学技術ハブ構想といって、今、理研の方で各研究機関と組織対組織の連携を強化しようという取組がまさしく開始されていますので、そういったところも意識しております。
最後、今、オールジャパンの医療分野で取組をしておりまして、創薬支援ネットワークの関係等で橋渡しの取組をしています。今、例示として健康・医療分野のことを書いておりますけれども、そういった関係機関が連携した成果の橋渡しの取組についても記載しておるところです。
次に、(3)、こちら、我が国の持続的なイノベーション創出を支える新たな科学の開拓・創成についてです。理化学研究所はこれまでもいろいろと新しい研究を、融合領域の創出を含めてやってきておりますけれども、こちらはやっぱり組織全体としてしっかりとやっていただきたいということで記載しております。科学技術イノベーションの実現のためには、新たな研究領域の開拓・創成、インパクトのあるシーズを創出することが重要であると。次のページですけれども、このため、研究分野を問わず、卓越した研究実績と高い識見及び指導力を有する研究者による豊かな知見・想像力を生かした研究開発、こちらは現在、主任研究員がこのような役割を果たしていますが、それや、あとは研究所内の組織・分野横断的な融合研究を実施し、新たな研究領域の開拓・創成につなげるということで、各センターや主任研究員等をまたいだ研究プロジェクトの融合した研究の創出ですとか、それによる新たな領域の開拓について、しっかりと取組を求めるという記載をしております。
次に、(4)が、世界最高水準の研究成果を生み出すための研究環境の整備――ここの研究環境の整備はかなり広く読んでいますけれども、研究環境の整備や、優秀な研究者の育成や輩出等についてです。最初の段落ですが、若手、女性、外国人を含めた多様な優れた研究者をまず積極的に登用し、活気ある研究環境を整備すると。
次が、現在、理研においても取り組まれておる人事制度改革のところですが、特に若手をはじめとする研究者などが中長期的視点を持って研究に専念できるよう、研究者等の任期の長期化や一部の無期雇用化を含む人事制度の改革・運用等の取組を行う。その次ですけれども、この際、様々な特色ある発想・知見を持った研究者を受け入れ、また、輩出する機能が研究所の活性化や科学界全体の発展にも重要であることに鑑み、これら人事制度の改革に当たっては、流動性と安定性のバランスには十分配慮しつつ行っていただきたいということを記載しております。
次の「また」からの段落につきましては、ここは研究支援者や理研の事務体制の研究を支援する役割について書かせていただいておりまして、「また」の2行下、研究系事務職員や研究補助者といった研究支援者などの配置や適切な事務体制の構築など、研究活動を事務・技術で強力に支える機能・体制を構築するとしています。
その次が、理研の海外、国内外から優秀な若手の研究者の受け入れとその輩出について記載させていただいておりまして、「さらに」の2行下ですね。国内外の優秀な研究者の受け入れとその育成・輩出に取り組むとともに、海外の研究機関との共同研究・人事交流などの連携や、海外の研究拠点の形成・運営などを戦略的に推進する。
その下の「加えて」以降ですけれども、外部への成果発表、また、一般の国民、社会に対するアウトリーチ活動について記載しております。我が国を代表する研究機関として、自らの活動を科学界のみならず広く一般社会に発信し、その意義や価値について幅広く理解され、支持を得ることが重要であると。このため、論文発表、シンポジウム、広報誌や施設公開などにおいて、引き続き分かりやすい研究活動や研究成果の発表・紹介に取り組むと。また、社会還元の内容等について情報発信を行う。このような内容を記載させていただいております。
ここまでが3.1でして、ここが理化学研究所全体として取り組んでいただきたい運営方針です。この後の3.2以降が、個別の研究センター及び基盤を担うセンターについての役割について記載しております。
7ページの3.2、国家戦略等に基づく戦略的な研究開発の推進です。こちら、まさしく科学技術イノベーション政策の中核的な研究機関として、科学技術基本計画をはじめとした国家戦略などに挙げられた国家的・社会的な要請に対応するために、戦略センターにおいてしっかりと各研究開発領域において研究を進めてくださいということです。
「各領域において定める目標を達成するために」という以降が新しいところですけれども、研究所は国家戦略などを踏まえ、新たな知見の創出から研究成果の最終的な社会への波及までを見据えた主要な研究開発課題などを領域ごとに設定し、各研究開発の進め方や進捗に応じて見込まれる成果などについて、中長期計画及び年度計画において定めることとする。こちら、研究の進捗状況を少しでもなるべく外に見えるように、将来の社会への波及までを見据えた研究の計画をできる限り具体的に書いて、我々の評価もそういったものがまずしっかり進捗しているかというところもしっかりと見られるように、少しでも改善ができないかということでございます。
その下ですけれども、これらを基に、各領域において、3.1に示した研究所全体の運営システムの下で様々な取組を行って、また、研究所全体の運営システムの下で各センターがやっていただいて、下から2行目ですけれども、各領域に応じた個別の研究開発マネジメントを実施し、研究開発成果の最大化を目指すということで、運営システムの下でしっかりと最大化を目指すんですが、それに加えて、各センター独自の効率的なマネジメントをしていただきたいということを記載しています。
それ以降、(1)以降が、具体の戦略センターとして掲げるものの内容です。こちらの内容につきましては、本日も御議論いただきますが、次回、中長期計画のときに、より実際の研究の方向性とか中身については御議論いただきたいと思います。中長期目標は、あくまで今、国家的・社会的ニーズがどのようなところにあるかですとか、次期中長期目標でどのような点にある程度注力していただきたいかという大きな方針を示した形に簡潔にまとめております。
1つ目が、革新的知能統合研究ということで、理研が新しくAIPセンターというのを造りました。革新的な人工知能等の研究のところでございます。こちらにつきましては、最初に重要性を書いておりますが、超スマート社会を実現し、ビッグデータ等から付加価値を生み出していくことが求められているということです。
次に書いております、丸1 番に書いておりますような基盤技術の実現、そして、丸2 番というところ、「これらの基盤技術を活用し」から始まるところが、実際の国内の社会課題の解決に資する研究開発成果、そして、丸3 番は、人工知能技術などの利活用に当たって、倫理的、法的、社会的問題について研究・発信する取組、そして、丸4 番は、これらを通じた研究開発人材などの育成を行うということについて、大きな柱を記載しています。
次、数理創造研究です。こちら、今期の中長期目標期間では、理研ではセンターという扱いにはなっておりませんが、理研の中で優れた取組としてボトムアップで上がってきて、今、国の予算化も、交付金の中でしているような事業で、次期中長期目標にはこの数理創造研究も一つ柱として記載しております。
4行目、数学・数理科学を軸として、物理学、化学、生物学などにおける理論科学や計算科学などを融合するという取組をしていただいて、その後に書いてあるような、数理科学の視点から自然科学における基本問題とか、若しくは国家的・社会的ニーズに応えるための諸課題、こういったものの解決に向けた取組を推進していただくよう記載しております。
次の8ページ目をごらんください。8ページ目の(3)、(4)、(5)がライフサイエンス系の研究について記載しております。ライフサイエンス系の研究センターにつきましては、後ほど説明もあると思いますけれども、理化学研究所の方で一部組織の組み替え等も検討されております。
(3)の生命医科学研究のところですけれども、こちらにつきましては、個別化医療、予防医療、そういったものの実現に向けた研究を推進するということで、生命医科学という名前が付いていますように、そのような出口を見据えたところが主なターゲットになっております。
(4)のところは、こちらは生命機能科学研究というところでして、むしろ生命の機能の本質に迫るということで、下から3行目の後ろの方、発生から成長・発達・老化までの分子レベルから個体レベルに至る生命機能維持の仕組みを解明すると。その過程で、加齢に伴う機能不全の克服に向けた研究も推進してくださいという形で書いております。
次に、脳科学の関係ですけれども、今回は脳神経科学研究ということで位置付けさせていただいております。こちらは今までの取組を更に発展させながらですけれども、最後から2行目の後ろの方、ヒト脳の構造と機能の理解に向けた研究を推進すると書いておりますが、ネズミ等からよりヒトに近い実験系を使って、ヒトの高次認知機能等の解明に向けた研究の方向へより進んでいただきたいということを記載しております。
(6)環境資源科学研究でございます。こちらにつきましては、最初に書いてありますように、資源枯渇・気候変動・食料不足などの地球規模の課題を解決するというところが一つの大きな目標になっています。
3行目以降ございますけれども、これまでもやってきているものを更に発展させて、植物科学、微生物学、バイオマス工学などを融合すると。そして、ゲノム情報や、環境データなどを活用したデータ科学という新しい手法を取り入れて様々な研究開発をやるということで、記載しております。
(7)が創発物性科学研究です。こちらは、ここに記載させていただいてありますように、こちらも今、現行でやっているものの更なる発展がメーンになりますが、エネルギー機能創発物性、創発機能性ソフトマテリアル、量子情報電子技術、トポロジカルスピントロニクス、そういった研究テーマに取り組んで、環境中の熱や光から高効率でエネルギーを取り出す新物質の開発等々の研究をやっていただきたいという旨を記載しております。
次が、光量子工学研究です。こちらも今ある光量子工学研究領域の発展になりますけれども、光・量子技術が、現在の超スマート社会の実現に資する重要な基盤技術として、国でも位置付けられております。こういったものに基づきまして、光・量子関係の技術開発、研究開発を実施すべきということで、主要な取組について書いております。
最後に、加速器科学研究です。こちらは、RIBFの関係ですけれども、これは実は今の中長期目標期間では、戦略センターというより、基盤の方に位置付けておりました。ただ、今回、113番元素のときもそうだったんですが、もちろん皆さんに広く、そのコミュニティーの方に使っていただくという取組も重要なんですが、今回の113番元素のように、自らの研究開発で新しいものを切り拓いていくというところも重要だろうということで、議論した上で、基盤というよりは、より自らの研究成果もちゃんと追求するということで、戦略センターの方に記載しております。
こちらは最初に書いております、物質の根源的理解や物質創成の謎の解明を進めるとともに、その成果を応用することによって、諸問題の解決に資することを目標とすると。113番元素の関係では、最後から3行目に書いていますけど、原子番号119番以上の新元素合成に挑むと。その後、原子核の寿命が極めて長くなると予想されているような、より重い原子、安定原子核の島への到達に向けた合成技術の確立を目指すとしております。
3.3、次が基盤の関係でございます。基盤の関係の前書きにつきましては、先ほどの戦略センターと同様に、中長期計画、年度計画等で記載していただくような内容、又はマネジメントについてのものが最初に書いておりまして、具体的なセンター等でやっていただきたい取組として、(1)から(3)を記載しています。1つが計算科学研究、10ページ目の(1)です。こちらは現在も共用が進められておりますスーパーコンピューター京の確実な共用と、あとはその後、現在開発が進められているポスト京、こちらにつきましての取組について記載しております。
(2)のバイオリソース研究です。こちらは、現在もしっかりと進められておりますが、世界最高水準のバイオリソースを戦略的に整備し、提供するということです。加えて、下から3行目、さらに、研究動向を的確に把握し、整備したバイオリソースの利活用に資する研究開発を推進するということで、バイオリソースの提供のみならず、そういった利活用研究も進めていくということを記載しております。
最後に放射光科学研究ですけれども、こちらはSPring-8、SACLAの共用等について、着実にやるよう記載しております。
最後から2行目に、SPring-8及びSACLAと相補的な構造解析に資する基盤技術開発を進めると書いておりますが、こちら、ちょっと理研内、今現在、組織の組み替え等、我々と協議して進めているところですが、NMR等でやっている構造解析部隊も同じ構造解析ということで、一元的にこのセンターでやった方がいいんじゃないかということで、この相補的な構造解析に資する基盤技術開発ということで、他の解析法のところについてもやっていただくことということで記載しています。
11ページ目以降、こちらはどちらかというと、ある意味、定型的かつ今現在の中長期目標でも書いてあることですので、ここからは簡潔に説明させていただきますが、4.1は経費の合理化・効率化です。ただ、こちら、数字等はまだ入っておりませんで、今後財政当局等と調整になります。
4.2は、人件費の適正化、4.3は調達の合理化及び契約の適正化、5は財務内容の改善に関する事項ということで、必要となる事項を書かせていただいています。
6のその他業務運営に関する重要事項のところで、1ページめくっていただいて、12ページを見ていただければと思いますけれども、6.1、内部統制の充実というところと、6.2、法令遵守、倫理の保持というところですが、特に6.2にありますように、研究不正及び研究費不正、そういったものに対しての着実な取組、特に再発防止のために研究所が今中長期目標期間中に策定したアクションプランの着実な実施、このようなことについて記載しております。
6.3、6.4は、業務の安全確保と情報公開の推進ですが、6.5を今回新たに追記しております。情報セキュリティーの強化ということで、今、理研のみならず、全独立行政法人に情報セキュリティーの強化というものが非常に強く求められております。具体的に、12ページの下から2行目、情報セキュリティー対策を講じ、情報システムに対するサイバー攻撃への防御力を高めるなど、外部からの攻撃や内部からの情報漏洩の防止に対する組織を挙げた対応能力の強化に取り組む等々の取組を書かせていただいております。
6.6、6.7につきましては、それぞれ必要な事項を記載しております。
以上、長くなりましたが、中長期目標の具体の文案のポイントです。
これに関連しまして、資料3という横長のA3のものを見ていただけますでしょうか。先ほどポイントと申し上げた、研究開発成果の最大化に係る部分、3.1、研究所運営システムの構築、3.2、国家戦略等に基づく戦略的な研究開発、3.3の基盤の運営それぞれに応じて、実際の評価のときの評価軸及び評価指標、あとは定量的な客観的データとなるモニタリング指標の案についてまとめたものです。
こちらも簡単に御説明させていただきますと、3.1、研究開発成果を最大化し、イノベーションを創出する研究所運営システムの構築・運用のところですが、評価軸につきましては、理事長のリーダーシップの下、このような法人運営システムを構築・運用できたかという観点になります。2個目のポツの、特措法に基づく主務大臣による措置要求に適切に対応できているかというのは、これはそのような該当事例があった場合のみということで、これは共通的に書かせていただくので、余り気になさらずとも結構です。
評価軸はこのような大きな項目ですけれども、実際の評価指標としましては、1つ目、我が国や社会からの要請の分析や、法人運営に係る適切な評価の実施、これらを踏まえた理事長のリーダーシップによる法人運営の改善がどのような取組がなされているか、また、次が、組織対組織での産業界や大学との連携状況や、それによる成果の社会還元がどのように進んでいるかということ、その2つ下を見ていただくと、新たな科学の開拓・創成の取組状況と、革新的シーズの創出等の成果、また、その次ですけれども、研究環境の関係で、人事制度の改革、多様で優れた人材の登用、研究支援機能の構築などの研究環境の整備状況、また、人材育成の関係で、国内外からの研究者の受け入れと育成・輩出の状況、その2つ下ですけれども、研究成果の発信、アウトリーチ活動の取組状況、このようなものを書かせていただいておりまして、下のモニタリング指標には、関連する定量的に測れるような実際のデータについて、幾つか関連するものを記載しております。
次に、3.2の戦略的な研究開発の評価軸ですけれども、評価軸には大きく3点挙げております。1点目が、科学技術基本計画等に挙げられた、我が国や社会からの要請に対応するための研究開発を、中長期目標・中長期計画等に基づき戦略的に推進できているか。この意味は、先ほども申し上げましたけれども、できる限り主要な研究課題、テーマ等を計画等で設定して、それについての達成すべき段階、水準等をできる限り計画で書いていただきたいと思っていますので、そういった計画等に基づいてしっかりと進捗しているかというのを、まず最初の評価の軸として書いています。
その上で、2ポツ目ですけれども、世界最高水準の個別の研究開発成果が創出されているか、また、それらが社会還元されているか。そして、最後に、研究所の、各研究センター等における研究開発マネジメントが適切に図られているかということでございます。
右の評価指標につきましては、これらに応じた3点の評価指標として、研究開発の進捗状況、研究開発成果及び成果の社会還元の状況、そして、マネジメントの取組について記載しております。
裏面に行っていただきまして、3.3、こちらは研究基盤ですけれども、こちらについても同様の考え方で記載しております。評価軸の1つ目ですけれども、こちらも研究開発基盤の運用・共用・高度化・利活用研究の取組を推進できているかということで、計画等の記載に基づいてどれぐらい進捗しているかということ。2ポツ目が、こちらはちょっとここは研究開発基盤、共用の部分と自らがやる部分があるので書き分けていますが、2つ目のポツについては、まず、研究所として高度化、利活用のための卓越した研究成果が創出されているかということで、まず、理研自身の取組としてしっかりとした成果が出ているか。3つ目のポツは、開発基盤の外部への共用等を通じ、科学技術や経済社会の発展などに貢献できる成果を創出できたか。4ポツ目が、マネジメントは適切に図られているかということで、右の評価指標もこれに対応した形で記載させていただいております。
すみません、駆け足になり、長くなりましたが、中長期目標案と評価軸の案についての御説明は以上です。
【永井部会長】
ありがとうございました。
これから御質問、御意見を頂きたいと思います。あ、理研の方から御説明、お願いいたします。失礼しました。
【板倉理事】
経営企画担当の理事の板倉でございます。
それでは、お手元の机上資料1-1と1-2、御説明させていただきます。先ほど文科省の方から御説明ありましたように、中長期計画の案につきましては、次回、内容について御審議いただくということで、本日は中長期目標案との対比といいましょうか、骨子レベルで対応関係を御説明するにとどめたいと思います。
【長田補佐】
机上資料の1-1と書いてあるところ、一番下にある……。
【板倉理事】
ちょっと字が小さくて恐縮でございますけれども、上半分……。
【長田補佐】
それと、この次の1-2と、この2枚。
【板倉理事】
上半分ですね。まず、中長期目標案の3ポツですね。研究開発成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項に対応いたしまして、中長期計画案におきましては、研究開発成果の最大化その他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置ということで記載してございまして、順に、1番目ですが、理研の研究開発成果を最大化し、イノベーションを創出する研究所運営システムの構築・運用というような形で記載をさせていただきました。これの見出しの対応につきましては、ほぼ中長期目標と一緒でございますので、御参照いただければと思います。
そのうちの1つ目ですが、研究開発成果最大化に向けた特定法人としての研究所運営の取組としましては、経営判断を支える機能の強化ということでは、国の政策・方針や社会ニーズへの適切な対応ということで、これは具体的には、科学技術基本計画に代表されます科学技術イノベーション政策にしっかり対応していくと。さらには、臨機応変に文科大臣とも十分な意見調整を図りながら実施をするということを記載する予定でございます。
さらには、戦略会議設置、これは現在では経営戦略会議、さらには研究戦略会議という会議を設けてございますが、それらを統合しまして、新たに戦略会議というものを設置いたしまして、こちらが経営判断を支える機能を担うということで、引き続きこういったことを進めていきたいと。
さらには、先ほど文科省の方からも説明がありましたように、将来の社会のビジョンを先に描いて、それに基づいて研究戦略を練っていくということで、これも経営判断を支える機能強化の一環として、イノベーションデザインの取組を進めていきたい。
さらには、エンジニアリングの観点から、研究の進んでいく方向性を探っていくという観点から、エンジニアリングネットワークの推進ということもこの中に位置付けていきたいと考えております。
さらには、研究開発活動の運営に対する適切な評価の実施、反映ということでは、これは現在も実施しておりますが、RIKEN Advisory Council、RAC、さらには、個々の研究センターごとのAdvisory Council、こういったアドバイザリーボードをしっかりと活用しながら、適切な評価の実施・反映をしていく。さらには、独立行政法人評価への対応をしていくというようなことを推し進めていきたいと考えてございます。
経営判断に基づく運営の推進ということで、緊急性のある取組に対する理事長裁量経費や戦略的研究展開事業による機動的な予算措置、こういったことは既に現在も進めておりますけれども、次期中長期目標期間におきましても、こういった取組をしっかりと進めていくということを考えております。
さらには、科学技術イノベーション創出のための共創機能の強化ということでございます。中長期目標の方では、社会との連携というようなことを掲げてございますが、特に理研としましては、共創ということに次期中長期目標期間に力点を置きたいということでございまして、共に創っていくと。単に技術の成果をバトンゾーンを通じて渡すというだけではなくて、共に研究の中身を含めて創り上げていくというようなことも注力していきたいということで、改めて共創という言葉を入れてございますが、産業界との連携と共創の推進を進めていくと。
さらには、そうした文脈の中に、イノベーション事業本部を新設するということも位置付けてございます。これは既に御説明いたしましたイノベーション事業法人を、仮称でございますけれども、新たに設置しようという取組を進めたいと。これはあくまでも法律事項でございますので、法律が改正されるという前提で、このイノベーション事業法人を将来設置するということを考えておるわけでございますが、その準備段階として、研究所の組織の中にイノベーション事業本部というものを立ち上げまして、将来に向けて準備を進めていくということを考えております。
さらには、産業界との連携を支える研究の取組ということで、これについての説明が文科省の方からありましたけれども、創薬のプログラム、さらには予防医療・診断技術開発プログラム、健康医療データプラットフォーム事業などの健康・医療への取組、これを引き続き横断的な取組として進めていくということで、これは産業界との連携を視野に置きながら進めていくということでございます。
さらに、新たな科技ハブ拠点の形成、これは既に現行の中期目標期間で進めてございますけれども、これを更に積極的に展開していくということで、大学研究機関との連携推進とハブ機能の強化を進めていくと。これによりまして、ネットワーク・オブ・ネットワークスというような考え方で、ネットワークを広げていくということを進めていきたい。さらには、クロスアポイントメントを活用しながら、このネットワークを強化していくというようなことを考えております。
さらには、持続的なイノベーション創出を支える新たな科学の開拓・創成ということで、先ほどお話がございましたが、次期中長期計画におきましては、新たな科学を創成するということに力を入れていきたいということでございまして、既存の主任研究員研究室群、これを開拓研究本部という形で新たな組織としてまとめまして、本部のレベルでしっかりとお互いに連携する、さらには組織を越えて、さらには所を越えて、所の内外を越えてネットワークを作りながら、新たな科学を創成していくということを試みたいと考えてございます。
その中では、萌芽的、基礎的研究の推進、これは既存の主任研究室で既に進めているところでございますが、そういったことを展開していく、さらには分野横断的なプロジェクトも立ち上げていく、あとは共通基盤ネットワークの機能ということで、これは研究所の中にあります様々な共通基盤施設、さらには共通基盤機器、こういったものを所の組織を越えて共用していこうというようなことで、ネットワークを作っていくと。お互いにどんな施設、どんな機能が、どんな機器があるかということを見える化しながら、お互いの共用を促進して、効率化を図っていこうと。そのような取組もこういうレベルで進めていきたいと考えてございます。
さらには、世界最高水準の研究成果を生み出すための研究環境の整備と適切な運営のための体制強化ということで、若手研究人材の育成、これにつきましては、JRA、Junior Research Associate、さらにはIPA、これは国際プログラムアソシエイトでございますが、大学院の博士課程を対象としたアソシエイトの制度、さらには基礎科学特別研究員、ポスドクも対象としております。あとは、先日始まりましたけれども、理研白眉制度、これは若手のPIを国際公募で登用しようと。そういう制度でございますが、こういった現行の中期目標期間で取り組んでおります新たな取組、これを引き続き実施しながら、若手人材を育成していくということを考えております。
さらに、新たな人事雇用制度、これにつきましては、今中期目標期間に始めました無期雇用制度、これを更に着実に進めていくと。あとは、高度研究支援専門職やコーディネーター等研究支援専門職員の育成、配置ということで、こういった高度な支援専門職員を位置付けて、これを各センターに配置することによって、研究支援機能を強化していくということも進めたいと考えてございます。
さらには、ダイバーシティの推進、これにつきましても既に進めておりますけれども、女性研究者支援ということで、出産、育児、さらには介護によって職場を離れるような研究者を支援する環境整備、あとは外国の研究者が働きやすいような環境整備をすることということで、事務部門の英語化、そのようなことも引き続き進めていくということを考えてございます。あとは、障害者雇用の支援ということも推進する。
あとは、グローバル戦略ということで、既に進めておりますけれども、様々な外部の有識者を招きながら戦略を練っていく、さらには研究ファンドを所内に設けまして、そういった新たな萌芽的な研究に取り組んでいくといったようなことも進めております。
それから、研究開発活動を支える機能としての体制の強化ということで、研究推進・支援体制構築のための事務体制の強化、研究推進・支援体制を抜本的に強化するということで、各センターごとに分散していた研究推進体制を、本部の支援体制の下に取り込みまして、しっかりと横断的な取組ができるような機能強化を進めるということでございます。
あとは、研究開発活動の理解増進のための発信も引き続き進めていきたいと。
さらに、下半分に参りまして、これは目標におけます2ポツ、国家的、社会的要請に応える戦略的研究開発の推進に対応した部分でございますけれども、これにつきましては、中期目標案に示された戦略的研究の柱立てに沿って、中期目標計画案につきましても作成する予定でございまして、革新知能統合研究以下、9番の加速器科学研究まで、戦略研究に応じて内容を記載していく予定でございます。その中身におきましては、モニタリング指標となる学術論文誌への論文掲載数、さらには論文の質に関する指標や特許、外部資金、連携などの指標などに加え、研究事業の特性に応じた適切な目標、アウトカムを設定する予定でございます。
3ポツの世界最高水準の研究基盤の開発・整備・共用・利活用研究の推進につきましても同様でございまして、具体的な内容をモニタリング指標、アウトカム指標を設定しながら記載をする予定でございます。
これらの具体的な研究を進めるに当たって、先ほどちょっと話もありましたけれども、理研の組織を大幅に見直す、抜本的に見直すということで、机上資料の1-2をお示ししてございます。右側が次期中期目標期間の組織の案でございまして、今申しましたそれぞれの戦略的研究の柱、さらには基盤研究の柱に沿ってセンターを構築してございます。ライフサイエンスにつきましては、生命医科学研究センター、さらには生命機能科学研究センターの2つに統合することで、左側に対応する現行のセンターが記載してございますけれども、統合生命医科学研究センター、ライフサイエンス技術基盤研究センター、さらには多細胞システム形成研究センター、生命システム研究センター、これらのセンターを統合して、新たなセンターに編成し直すと。
さらには、ライフサイエンス技術基盤研究センターの一部につきましては、NMR、先ほど話がありましたけど、こういった部分につきましては、放射光科学研究センターの方に移管するというようなことで再編成する。
さらには、一番下にありますけれども、現在の科学技術ハブ推進本部、さらには産業連携本部につきましては統合しまして、科技ハブ産連本部ということに編成し直しまして、相乗効果を高めていくということを考えております。
机上資料1-1に戻りまして、4ポツですね。中期目標の4ポツに対応する業務運営の効率化に関する事項、これにつきましては、中長期計画案では、ローマ数字の2になりますが、業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置、これにつきましても、柱立てはほぼ同じでございます。研究資源配分の効率化等々、現行の中期計画に沿って記載をしていく予定でございます。
さらには、財務内容の改善に関する事項、この目標を達成するためにとるべき事項につきましても同様でございまして、基本的には現行の中長期計画を踏まえながら、それを次期中期目標期間においても展開していくということを考えてございます。
次期中期目標期間で1点、特記事項でございますが、7番目の中長期目標期間を越える債務負担の中に、PFI事業による本部・事務棟整備等事業の推進というふうに記載してございますが、これは現在進めてございますが、PFI事業で理研の本部事務棟を整備するということで、今、計画を策定しているところでございまして、計画が最終的に認められましたら、次期中期目標期間に着手するということで考えているところでございます。
それから、ローマ数字の4が、その他主務省令で定める業務運営に関する事項ということで、これにつきましても、現行の中長期計画に沿って記載をしていく予定でございまして、法令遵守につきましても、研究不正、研究費不正の防止のための着実な対応というふうなことを記載していく。情報セキュリティーにつきましては、情報システム本部を設置すると。これは研究部門と、さらに事務部門を一部統合しまして、情報システム本部というものを新たに設置して、機能を強化していくということを考えているところでございます。
私からの説明は以上でございます。
【永井部会長】
ありがとうございます。
それでは、これから6時近くまで討論の時間がございますので、皆様の御質問、御意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
私から最初に1点、よろしいでしょうか。資料2の4ページの下から5行目ですが、理事長のリーダーシップにより自律的なイノベーション創出のための法人運営がなされるようということですが、この「自律的な」というのは、イノベーション創出に掛かるのか、法人運営に掛かるのか、これはどちらでしょうか。つまり、イノベーションを自律的に行おうというのか、イノベーションのための自律的な法人運営が求められているのか、あるいは両方なのか、ここが分かりにくのです。というのは、その次に連携でイノベーションしましょうと書いてあるので、理事長が関与するのは自律的なところだけをいうのか。連携は余り関係ないと言っているように聞こえるわけです。
【長田補佐】
ここの意味は、イノベーション創出のための法人運営を、イノベーションというのは、理研自ら創るだけではなくて、外との連携も含めてという意味ですが、イノベーション創出のための法人運営がちゃんと自律的になされるという意味です。
【永井部会長】
そうすると、これは「イノベーション創出のための自律的な法人運営がなされるよう」という方がいいと思います。
【長田補佐】
その方が誤解がないです。ありがとうございます。
【永井部会長】
どうぞ。
【上野委員】
御説明ありがとうございました。
何点かあるんですけれども、まず1点目は、中長期目標と、中長期計画で、対応関係が分かりやすくなっている方がいいのではないかと感じました。中長期目標の方で言葉として出てきているものは、中長期計画の方でもキーワードとしてきちんと出てきている方がいいと思いますし、中長期計画の方で頭出しされているものは、中長期目標の方でもきちんと触れられているという対応関係がきちんとある方がいいのではないかと思います。
例えば、中長期目標の方には書かれているのに、中長期計画、まだ作成途中なので、キーワードという意味だけで、これから書かれるのかもしれないのですけれども、今、机上資料1-1として配付されている中長期計画では頭出しがされていないように見受けられるのが、知的財産の戦略的な取得・管理・活用というところです。こちらは、中長期目標の方では、5ページの(2)のところで、知的財産の戦略的な取得・管理・活用等の取組を戦略的に推進するとあったり、イノベーション事業法人によるライセンスやベンチャーへの出資の話につながるのだと思うのですが、研究所の知的財産の管理・活用、法人発ベンチャーの育成・支援のための組織的な取組を強化するといった表現があるんですけれども、机上資料1-1の中長期計画の1、1、(2)のところには、この用語は少なくとも出ていない気がするので、あった方がいいのではないかと思います。特に理研さんは、先日の評価で明らかになりましたけれども、知財の管理・活用が、国立研究開発法人の中でも非常に優れていらっしゃるので、今後、評価をするときにも、計画で頭出しをしておいて評価をするというふうになった方がよろしいのではないかと思いました。
逆に、中長期計画では頭出しされているのに、中長期目標の方ではちょっと表現が弱いかなと感じたのが、ダイバーシティのところでして、中長期計画の方では、机上資料1-1の1の(4)ではダイバーシティの推進と柱立てがされているんですけれども、こちらの中長期目標の方では、6ページの(4)で、「女性」という言葉は最初の1行目に出てくるだけで、外国人、若手という言葉も出てきますが、ダイバーシティという用語も用いた方がいいのではないかと思います。こちらも、先日の評価のときに、理研さんは、女性活躍のための制度が昔から非常に優れていらっしゃるのに、経常的な組織運営のところにしか記載がなく、他より優れているということを評価するところがないといいますか、評価できなかったところがあったと思いますので、1の(4)のダイバーシティの推進と、それから経常的なことですというお話ではあったんですけれども、中長期目標の一番最後の6.7、人事に関する事項は、不可分だと思うんですよね。有能な外国人研究者をどうやって呼ぶかというときも、女性により一層活躍してもらうというときにも、ここの人事に関する事項というのは必須ですので、ここの人事に関する事項も、1の(4)のダイバーシティの推進と不可分な事項として、こちらの中長期計画や中長期目標の最初のところの中に何とか盛り込むことが必要だと思います。また、資料3にある評価軸のところでも、女性比率とか、外国人比率だけではなく、外国人が活躍しやすい制度の整備とか、外国人を受け入れるための人事制度の見直し状況とか、女性活躍のための制度の整備とか、そういった取組状況もここの評価の軸の方に入れておくと、これから恐らく研究員の方の無期雇用化といった人事制度改革を行うことを予定されており、それも柱だと思うんですけれども、そういったことをされたときにも、ここの1の3の1の辺りで評価ができるようになると思いますので、連携させた書き方をするといいのではないかと思います。
あともう一点は、経営という言葉が出ているのは今、CSTIの方でも、国立研究開発法人は、税金によって運営をするだけではなく、外部資金を積極的に獲得して、自ら経営していくことを目指すということが方向性として出てきているので、この言葉が出ているのは非常によいと思います。このときに、中長期目標の方は、そのことが非常に大きく出ているんですけれども、中長期計画の方では、机上資料1-1で、経営判断に基づく運営の推進という、1の(1)の3つ目のポツのところに、緊急性のある取組に対する理事長裁量経費や機動的な予算措置と書かれています。実はCSTIの会議で話題になったんですけれども、緊急性があることだけでは不十分、また、理事長裁量経費だけでは不十分だという声があります。中長期計画は作成中で、これから書き込まれるのかもしれないのですが、既に理研さんの方では、緊急性があることだけではなく、また理事長裁量経費だけでもなく、各センターの通常の予算について、理事の方々がゼロから必要経費をヒアリングして、査定して、センター間の予算の抜本的な見直しを行われたという、そこがCSTIでは非常に高く評価をされましたので、そういった実績が伝わる書き方にされる方がよいと思います。理事長裁量経費というよりは、中長期目標の方で使われている最適な予算配分とか、予算の機動的な措置とか、そちらの方を強調するような表現を、中長期目標、中長期計画共にされた方がいいのではないかと思います。
以上です。
【長田補佐】
ありがとうございます。計画については今日は、構成案を簡単にお示ししていて、これからしっかりと理研とも連携しながら、次の12月のときに整合性を持って、統一的なところでまた御議論いただければと思いますので、御意見は承りました。ありがとうございます。
【永井部会長】
どうぞ。
【ヴィーツォレック委員】
私は1つの大きなポイントがあります。最初に資料1で、いろいろな国立研究開発法人や最近の特定国立大学法人など、全体的な日本のイノベーションのシステムを見ますと、私の意見では、大学との関係がまだ弱いということです。それぞれの機関の役割は非常に重要なのですが、連携も非常に重要です。実際に何かのメカニズムを使って連携がうまくできるようにする必要があると思いますが、今、いろいろな壁があります。大学や国立の研究機関の間だけではなく、大学内の研究機関とも、今後もっと上手く連携していけるイノベーションシステムを作るべきだと思います。
以前にも私はハブとは何のことかと質問しましたが、大学と国立研究開発法人の役割だけでなく連携についても、きちんと最初の1ページで目指すかたちを示すべきだと思います。私はライプニッツ協会については詳しいのですが、ライプニッツ協会は大学以外の研究所を持っていますし、マックスプランクもそうです。ドイツにはそのような研究所が90か所あり、各研究所の課長、部長が大学の教授です。ですから、大学と研究所の橋渡しはセンター長が行っており、その連携が成り立っています。これは日本で役に立つかどうか分かりませんが、このようなドイツでの具体的なスキームの例もありますので、このようなスキームを今後考えるべきだと思います。最初のページや資料1の3番目には、Society5.0や国立研究開発法人としての役割を明確化とあって、これはとても大事だと思います。ですが、役割だけではなく、どういうふうに連携するべきかということも大事だと思います。今、理研では、そのような点でいろいろ明確化されてきました。例えば、バイオに関してですが、バイオデータのデータバンクを大学のために作るということなどです。以前とは違った方向で連携に向けて動いており、それが少しずつ明確化されてきてはいますが、これがもう少し進めば非常に良いと思います。
【永井部会長】
いかがでしょうか。5ページにも連携強化ということがうたわれているのですが、確かに「大学」という言葉が余り出てこないですね。5ページの真ん中のちょっと下ぐらいに「大学との連携にあたっては」とありますが、いかがでしょうか。
【ヴィーツォレック委員】
その場所だけですね。何かもうちょっとね。
【永井部会長】
そうですね。連携ということと、特に大学との連携というものをどう位置付けるか、あるいは、どういうメカニズムを使って連携するかということだと思いますが、いかがでしょうか。
【岸本課長】
御指摘いただいたように、大学なり、あるいは他の特定研発なり、あるいは研究開発法人なりと連携をしなければいけないということで、一応、中目の案ですね。本体の方の案の3ページの一番冒頭の法人の位置付けのところに、ちょっと見にくいんですけれど、真ん中あたりのところに簡単にまとめて書いていますが、「それらを研究機関等と活発な連携を図り」という一文を入れて、この中に大学ももちろん含む、様々な機関との緊密な連携が大事だということをまず冒頭でうたわせていただいております。
その具体的な形として、特に今回目玉として考えられているのが、先ほどの5ページのところの(2)にあります、主として科技ハブであるとか、あるいは今、理研でも個別の大学等と進めておられる包括的な連携でありますとか、そういったようなところに端的に表れるだろうということで、中目の方は書かせていただいております。
その先、具体的にどういう役割分担で行われるべきか等々については、かなり具体の中身に関わってくる話でもありますので、そこは少しこれを受けて具体的に理研の方で考えられる形、それはどこまで中長期計画で書けるか、あるいは年度計画なりで書けるかというところをちょっと相談していければなというふうに思います。
【ヴィーツォレック委員】
おっしゃる通り、これから理研には具体的にどのようなメカニズムがいいかということを議論するべきだと思います。ですが、私が強調したいのは、イノベーションシステム内で、国立研究開発法人や大学がどのような役割を持つのか、どのように連携するのかによって、これから日本のイノベーションがうまくいくかどうかが変わってくると思います。それによって日本の将来、イノベーションの将来も変わってきます。ですから、理研と大学との関係や連携をその中にもう少し明確に書くべきだと思います。
【岸本課長】
少し御指示のような形で、ここをより目立たせて書く方法はないかどうか、ちょっとまた研究してみたいと思います。
【ヴィーツォレック委員】
ありがとうございます。
【永井部会長】
今の連携に関して、5ページの(2)に、オープンイノベーションという言葉が今回出ています。今年の6月の文科省の科学技術白書を見ますと、本文のほぼ全部と言っていいほど、オープンイノベーションがずっと書いてあります。確かにオープンイノベーションは大事だと思うのですが、単にイノベーションというのと、オープンイノベーションというのでは、方法が違うと思います。連携の仕方が違うので、それが一気に表に出たという心ですね。
オープンにイノベーションを展開するのは、まさに共同研究契約や、秘密保持契約とか、間に立つカタリストが必要になってきます。研究者同士ですすめていると、いろいろなトラブルが起こります。今度、それを支える研究支援体制が、それに追い付くように書いてあるかどうかですが、余り見えない。従来のイノベーションを余り脱却していないという印象があります。その辺、いかがでしょうか。特に研究支援ということになります。実際のコーディネーターが必要になるということだと思います。机上資料1-1の1の(4)、一番上の(4)ですね。ところが、本文の方には、従来どおりの研究補助者、研究系事務職員の中にコーディネーターが入っているように思います。コーディネーターというのはやはり研究経験、ファンディングエージェンシーの経験とか、リサーチも分かるし人の心も分かるような、小まめな人が必要です。その辺を今後どうしていくのか。大学ですと、リサーチコーディネーター、URAが最近雇用されています。もし理研がオープンイノベーションを本格的に推進するのであれば、そこを相当強化しないといけないと思いますが、いかがでしょうか。
【板倉理事】
そういう意味では、まさに高度研究支援専門職員も大学におけるURAと同じ位置付けと考えておりまして、一定の専門的技能を持った上で、それでセンターの中に配置されて、それでしっかりと、もちろん外の連携が中心になると思うんですね。コーディネーター、例えば、知財の専門家もそうですし、例えば、弁護士資格を持った人も今後導入していくのかもしれません。そういうような高度な技能を持った、しかし、外との連携を担う人材ということで位置付けてございまして、それをしっかりと整備し、強化すると。そのようなことを考えております。
【永井部会長】
私が思うコーディネーターは、むしろ研究のコーディネーター、AさんとBさんの研究、あるいは他大学のCさんがやっている研究を結び付けて、新しいプロジェクトを立てるという、その人が立案するぐらいの能力のある人ということですが。
【板倉理事】
そういう意味では、今、センターの中に位置付けると言いましたが、特にセンターの中のセンター長室というものを新しく設けまして、センター長の研究マネジメントを支えると。そのような形で配置をすることを考えてございます。ですから、センター長の指示の下、今おっしゃったような研究のコーディネート、それは外との連携も含めまして、研究面でのコーディネーションが、この支援人材ですね。この方が担うという……。
【永井部会長】
その仕組みがしっかりできてくると、今度大学との連携も随分促進されるように思います。
【板倉理事】
はい。御指摘のとおりでございます。そういったことを意図して、今、制度設計をしております。
【中西委員】
理研の一番の問題点は、やはりプロジェクト研究と、それから個人研究、主任研究員制度の研究室をどうバランスよく発展させていくかということだと思います。その観点から見ますと、今までプロジェクトの中に入り込んでいた主任研究員研究室、つまり各プロジェクトの中に入っていた研究室がこのように表に出てきたのは、非常にいいことだと思ういます。それから、まとめ方は非常にすっきりした形となり、例えばライフサイエンスのいろいろご分かれていたのが2つにきちんと収まり、それに加えて、脳になったことはとてもいい分け方だと思います。これからこれらをどう育てていくかというか、見守っていくかが課題になろうかと思います。いい成果は余り締め付けると出てこないでしょうし、良い研究はよくアンダー・ザ・テーブルって言われるように、プロジェクトそのものではないところでしていたことが出てくる、裏地が出てくることもあると思います。
ここで1つ質問ですが、大きいA3の方の2番のところですが(1)から(9)までずっと並び、それから、3番等に分けていますが、加速器科学というのは、どちらかといえば設備オリエンテッドですから、下の計算機や放射光の中に入るのではないかと思います。上からずっとプロジェクト志向のものが並び、勿論、個人研究もあるのですが、(7)と(8)というのは本当に理研のオリジナリティーの高い、昔から継続した研究と思います。これを2と3で分けたのはいいと思うのですが、加速器だけ上の方に残したというのは、何か理由があるのでしょうか。
【小安理事】
これは1つは、ここで分けたのは、共用法、あるいは国家プロジェクトとして我々が責任を持って担う部分というものと、それ以外に分けました。ですから、もしもRIBFを国が共用法の下でやるんだというようなことになったときには下の方に行くんだと思うんですけど、今、これはあくまでも理研の中で一つの基盤を作っている、それはおっしゃるとおりなんですけれども、やはり実際の運用という意味では、大分その下の3つと違うものなのでこういう形で、それから、先ほど説明がありましたように、ここからも新しい科学がやっぱり出てくる素地がすごくたくさん最近出てきたように思いますので、そういう方向で少しカテゴリーを変えさせていただきました。
【中西委員】
分かりました。
それからもう一つ、外国人をって板倉さんがおっしゃったのですが、ダイバーシティを本当に考えたいというのでしたら、単に英語の共通化だけでは不十分だと思います、英語が通じるようになっても、いろいろな設備的なところや、暮らしの面も含め、いろいろ配慮されるべきかと思いますが。
【板倉理事】
暮らしの面の対応のためにも、事務組織の英語化をすすめているとともに、外国人向けの宿舎をはじめとする生活支援を行っているところです。……。
【中西委員】
私の小さな経験かもしれないのですが、中堅どころの外国人研究者を呼ぼうと思っても、一緒に来る子供の教育が問題となります。身近なインターナショナルスクールがないのです。やっと見つけても、1人500万円ほどかかり高くて預けられない。そのため来られないと諦める人が何人かいました。それは理研だけの問題ではないかもしれないのですが……。
【小安理事】
それに関しては、実は昨年から東京学芸大学附属の大泉校舎といろいろと話をさせていただいて、かといって、我々が言ったから入れてくれるという話じゃなくて、こういう問題が、要するに、グローバライゼーションの中であるんだということを随分お話をさせていただいて、今後、何かそういうところで情報交換をしながら、子弟教育ということに関して……。
【中西委員】
動いていらっしゃるのですね。
【小安理事】
国としてどういうことができるかという議論をさせていただこうと……。
【中西委員】
分かりました。
【小安理事】
いうようなことを始めたんですが、昔から地方自治体にいろいろとお話をして、何かできないかということをお願いしているんですが、なかなかうまくいきません、これは。ですから、少しそういう国立……。
【中西委員】
そこがないと来ないですよね。
【小安理事】
大学の附属の高校、中学、そこら辺から少しアプローチしたらどうかなというふうに考えているんですけど。
【中西委員】
どうもありがとうございました。
【永井部会長】
どうぞ。
【村岡委員】
今、御説明いただいた机上資料1-1の(3)の新たな科学の開拓・創成、まさにここが私は重要だと思ったのは、特出ししていただいて大変ありがたいんですけれども、7年の期間の研究となると、まさに当初読めなかったイノベーション、あるいはパラダイムシフトがたくさん起こると思うんですね。そのときに、AIPセンターがとてもいい例だと思うんですけども、場合によると、研究センターの新設も含めて、世の中の対応、世の中に付いていくというか、対応していくということが必要になるケースがあるんじゃないかと思うんですけれども、ここで「開拓研究本部(新設)」というのが書いてあるんですけれども、これはそういう組織を大胆に変えるところまで含んだような、そういう取組もできる組織なんでしょうか。
【長田補佐】
これは、我々の方から。今までも、例えば、AIPセンターができたとき、あれは国家戦略の中で必要だということで、理研にその役割を担っていただくということで、そのときにもやはり中長期目標の中で、しっかりと改めて議論をしまして、個別に追加しております。ですので、その都度、そういったようなものが生じたときに、理研は開拓研究本部もそうですし、いろいろなところで様々な機動的な研究はできるような立て付けになっていますが、それを本当にセンター化することについては、しっかりと国と話をした上で、国がしっかりとまず目標を書いて位置付けてあげると。その上で、計画を更に理研がつくるという形で今まではやってきています。
将来的にこういう開拓研究本部について、我々、国として期待しているのは、今ここに書いてある戦略センターのような、国家戦略を発展させ、理研の次のミッションに位置付けるような新たな科学が出てきたら、それが一番望ましいわけで、そういったものがしっかりと活動の中で出てきた場合には、当然、目標の更なる整備等も含めて、将来的にはあり得るんだとは思います。
【村岡委員】
先ほど自律的なという言葉も出てきたんですけれども、これからとても大事になってくるんじゃないかなと思いまして、研究現場がそういう方向決めを自分たちでしていける部分が広がっていくのがいいのかなというふうに思ったりもする一方で、とはいえ、国の組織なので、当然、そのルールの中でというのはもちろんあり得るという、そのバランスかなというふうに思うんですけれども。
【長田補佐】
そうですね。理研のミッションの中に、やっぱりそういう新たな科学の潮流を作っていくというのは、理研という、ある意味、そこが研究機関の一つのアイデンティティーでもございますので、それとあとはしっかりと国家戦略に基づく研究というものを一体的に両輪でやっていくということかと思います。ただ、そこも含めて、文科省としては、将来のイノベーションにつながるものだと考えています。
【永井部会長】
西口委員。
【西口委員】
2つコメントがありまして、オープンイノベーション、さっきもちらっと議論になりましたけれども、うちは民間セクターで、まさにオープンイノベーションを国内外含めてやっている経験から言いますと、オープンイノベーションという言葉ほどひとり歩きしがちな言葉はなくて、オープンイノベーションがさも目的であるかのような誤解が、オープンイノベーションすることが目的になってしまうという、これは本来やっちゃいけない、多分、ディザスターケースになるんですね。オープンイノベーションというのは手段でしかなくて、目的が必要であると。また、イノベーション自体も、別にイノベーションすることが目的じゃなくて、イノベーションというある手段というかがあって、ある目的を達成するという意味で、そういう意味で、オープンイノベーション、随分と言葉も出ているわけですけれども、オープンイノベーションにはやっぱり目的が必要なので、目的に基づくオープンイノベーションとか、そういう言葉が非常に重要ではないかなと。目的というのは、ゴールという意味ではなくて、本当に例えば、SDGsのある部分を達成するとか、Society5.0のある部分を達成するとか、その結果、ハイインパクトなことが起こる、科学技術によってハイインパクトなことが起こるということが、やはり理研の研究成果のある種社会還元の本質的な意味だろうと思いますので、オープンイノベーションという言葉の前に、何か目的を達成するためにとか、目的のためにとかいうような文言が入ることが非常に重要なのではないかなと思います。
海外のオープンイノベーション活動というのは、明確に目的を達して、自分はこれはできる、でも、ここまではできない、だから、ここを一緒にやりましょうという、役割分担の話から入ることが非常に多いんですね。であるので、非常に高速にオープンイノベーションのチーム組みができます、国境を越えて。日本のオープンイノベーションの、例外もあるんでしょうが、私どもが特に民間セクターで見るのは、私はこれができます、あなたはこれを、何か一緒にできませんかねという話をやたら繰り返して、何か月もそういう話をすると。最低、名刺交換会に行くことがオープンイノベーションと勘違いしている人たちもいるぐらいで、まさかそんな人はいないと思いますが、目的を達するためのオープンイノベーションということが関係者の間で分かっていないと、とりあえず集まって何かやりましょう、何かがよく分からないけど、とりあえず何かやりましょうということ、本当にそういうことをやりかねないので、そこはよく明示というか、そのあたりの誤解がないようなことが必要ではないかなと思います。
これは実は学問、先生方と民間の間でもそういうことが起こっていますし、民間人の間でも起こっていますし、また、特に今の民間セクターは、トップが、うちの会社のオープンイノベーションをしろみたいなふうに、トップもオープンイノベーションが目的であるかのような誤解をしている向きもなきにしもあらずなので、よりそれを加速して、間違ったオープンイノベーション、オープンイノベーションブームじゃないですけど、になっているのが実態なので、そこは少なくとも理研さんはそれをやってはいけないと思うので、是非そこを明記、明示することが必要かと思いました。
あと、もう一つ、この文章で、特に資料2で非常に何度も繰り返される言葉が、理事長のリーダーシップという言葉が物すごく多いんですね。別に理事長がリーダーシップをとられることは大変すばらしいことだと思うんですが、ただ、リーダーシップをとられるのは別に理事長だけでもなく、恐らく理事の皆様も当然リーダーシップをとっていかれるわけで、松本理事長の強い思いがあって、多くの方が、多くの改革が起こっているんだと思いますが、何となく「理事長及び理事のリーダーシップにより」という文章の方が、理事長だけリーダーシップをとって、別にほかの理事が寝ているわけじゃないと思いますので、だから、ある種理事会として改革を進めていらっしゃるわけでいらっしゃいますよね。そういう意味では、何か特段、どうしても理事長だけということを強調したいのであればあれですけど、私は理事の皆さんと理事長が一体となってこの改革を推進されているのだと理解しておりますので、そういう意味では、そういう表現の方が、より理事会が一体となってこれを進めているというのが実態だと思いますので、それを表す方が良いのではないかなと感じました。
ただ、どうしても理事長だけをハイライトしたいんであれば、それはそういう表現もありますけれども、理事会としてやっていらっしゃる、それがある種ガバナンスでもあろうと思いますので、ちょっとそこだけが少し気になった。別にそれが悪いと言っているんじゃないんですよ。私、クリティカルにまずいことを言っていたら申し訳ないんですけど、そんなことはないと思いますけど、単にオープンイノベーションと理事長のリーダーシップがものすごく繰り返される言葉なので、きっと何か意味があるんだろうと思いました。その2点。
【永井部会長】
いかがでしょうか。今の2点。
【長田補佐】
いずれも検討させていただきます。理事長のリーダーシップというのは、もちろん趣旨は伝わっていると思うんですけど、当然、理事長だけが一人でやっているわけじゃなくて……。
【西口委員】
もちろんそうです。
【長田補佐】
それを支えるような理事とか、若しくはそういった役職の方々を含めて理研としてということです。理事長の、法人の長のリーダーシップというのは、特定法人の一つの実は重要なキーワードになっています。というのは、特定法人になったときに、理事長について解任等もする権限が逆に国にできました。そういったもののある意味裏腹で、逆にその分、理事長のリーダーシップでしっかりと法人を運営していただきたいというようなことで、法人の長のリーダーシップというのがかなり強調されておったもので、我々も国のそういったものに基づいてこう書いております。あくまで趣旨は、理事長一人で突き進んでくれということでは……。
【西口委員】
ないですね。
【長田補佐】
そのような形でやっていただきたいということですので、ちょっと表現上、理事長のリーダーシップという言葉はしっかりと書かせていただきたいと思いますが、頻度とか、箇所によっては変えていく必要が、そのあたりはもしかしたら検討の余地があるかもしれないです。
【西口委員】
別に文句をつけているわけじゃございませんので。
【長田補佐】
一応、そういう趣旨でやっております。
【西口委員】
理事の皆さんや事務局の方や、いろいろな方がやっぱりこの改革に関わっていらっしゃるわけですから、そのニュアンスがどこかにあることが大事ではないかというのが、趣旨でございます。
【長田補佐】
分かりました。
【永井部会長】
ほかにいかがでしょうか。
【小出委員】
大変立派な中期計画の、目標の表現だと思うんですが、ちょっとまず最初に、人員のことでお尋ねしたいんですけれども、新しく組織の変革がありまして、トータルの研究者並びに研究サポートの、いわゆる理化学研究所の人員としてどのぐらい増減があるような動きになるんでしょうか。
【小安理事】
今すぐには大幅な増員、減員は考えておりません。ただし、これから次期の中長期計画の中で、やはり動きは出てくると思っているんですが、大幅な増員を考えているということではありません。先ほどお話があったように、新しいものを作っていくためには、どこかに隙間を作らなきゃいけないということは当然考えるべき一つの要素だと思っているんですが、今、具体的な計画で数字で何か持っているということではございません。
【小出委員】
これはまず、じゃ、組織がこうやってはめてみるというところから、これから何ができるか、具体的な中身を考えようという、そういう。
【小安理事】
ある程度方向性は考えたからこういうことになっているというのを、まずは御理解いただきたいと思うんですけれども。
【小出委員】
いわゆる効率的ということでは、非常に納得のいく方向だと思うんですが、一方では、これだけの立派な中期計画というのを遂行するためには、今の人員で足りるのかなというのが、率直な意見です。これだけのことをやるのに今の人員と予算で、どういうふうにやるのかなというのが、実は最初の感想でした。
もう一つ、これは一体誰に物を伝えるための文章なのかというのは、伺いながら疑問だったんですけれども、いわゆる内輪のソサエティーの中で理解すればいいという文章なのか、それともパブリック、多くの人に知ってもらいたいというところがあるのか。もしパブリック、いわゆるタックスペイヤー、主権者の方にもメッセージを投げるということであると、一番弱いなと思ったのが、大学との連携、これをどういうふうに進めるのか、それから、多様性ということ、女性、国外の研究者、そういった人たちを取り込むシステムとしてユニバーサルデザインをどうやっていくのか、若しくは国際的な問題をどういう考え方のもとにやっていくのかという、いわゆる思想、方向性がちょっと見えないんですね。
もう一つは、コーディネーターなり、研究を支えるスタッフ、チームです。これからの研究環境にとって非常に重要だと思うんです。それについてもどういう役割を期待しているのか、メッセージが入ってくると、その3つが今度新たな方向に行こうとするならば、社会に向かって訴えるのに非常に良いポイントだと思います。研究の中身を効率的にやるイノベーションを追求するというのはもちろんなんですが、多くの人が聞いたときに関心を持つというのは、これらの要素ではないかと思いますので、もう少し表現の方法があるならばと思います。ただ内輪のソサエティーの中でアグリーすれば良いんだということであれば、この表現でも良いかもしれません。少なくとも、ジャーナリストなど、少し外の人間が見たときには、具体的に何を考えているのかが、見えてこない。また、目標に向かうにあたりどういう方向や価値観で見ていますよというメッセージがもう少し入ってくると、特に国際的なサポート、それから女性の問題、具体的にどういう方向を、どういう価値観で見ています、という発信があればいいなと思ったんです。
【岸本課長】
制度的に申し上げれば、特定研発法人は独立行政法人の一種類ですけれど、独立行政法人は名前のとおり、独立であるということで、基本、中長期目標期間中は、法人の自律性の下で法人運営を行うと。ただし、入り口であるところの中長期目標のところと、あと、出口の評価のところ、この部分で国はしっかり関わって、それは何をすべきか、そして、それができたかどうかを見るという構造になっています。ですので、中長期目標の性格自体は、これは法律上は国が、国といいますか、主務省が法人に対して示すものであって、直接には法人が分かるものということになりますけれども、当然、これは国が税金を使って行うものである以上、それは国民の皆様からそれをごらんになったときに、それについて合意いただけるような表現なり内容であることは、当然重要であると思っています。
なので、逆に決められた中長期目標期間中に法人が達成できるであろうという範囲でこれは作らなければいけないので、余り理想に走り過ぎると、法人はそれは当然達成できない話になってしまうので、それはちょっとよろしくなかろうというところで、どこまで書けるかというところは、御指摘を踏まえてまた考えてまいりたいと思います。
【小出委員】
今の点は、実はうまく書き込めば、研究者、関係者をエンカレッジできるという要素だと思うんですね。それは同時に、国民にも「へえー」と思わせるという要素ですので、これから理化学研究所がこれを進めていく上で、毎年の評価の中に、そういうメッセージを一緒に投げていただければ、社会にも届くんじゃないかと思いますので、よろしくお願いします。
【岸本課長】
目標に書くのがいいか、計画に書くのがいいか、それもあると思いますので、御指摘を踏まえて、ちょっとどういう形がいいか、よく検討したいと思います。
【永井部会長】
ほかにいかがでしょうか。
法令遵守、倫理の保持というところで、研究不正防止はしないといけませんが、データの管理や再現性の担保については、今後、どういうふうにお考えかお聞きしたいのですけれども。データをきちっと管理することがまず研究不正の防止になるとは思います。
【小安理事】
データの管理に関しましては、今、ここで情報のことを少し書かせていただきましたけれども、理研全体で情報の管理――情報の管理といったときには、データを含めるんですけれども、それをどうしていくかという議論をこれから今始めようとしておりまして、その中で、一元的な管理というようなことを、どういうやり方をするのが一番いいかということを含めてこれから考えるところなんですが、そういう議論は始めようとしております。
先生のおっしゃった、データの再現性のところは、これは口で言うほど―― 我々もいつも言うんです。
【永井部会長】
極めて本質的な。
【小安理事】
極めて本質的なところなので、これはちょっと、それ一つで多分研究テーマになるぐらいの、今、問題もございますので、どういうことができるかも含めて、ちょっと我々も考えたいと思っています。
【永井部会長】
そうですね。すぐ体制を作るべきだというのではなくて、研究が必要ですね。現在、臨床研究は相当管理されていて、ルールを決めて研究します。基礎研究については、これから大きなテーマになると思います。どなたかに研究していただくことが大切ではないでしょうか。
【小安理事】
例えば、動物実験なんかに関しても、いろいろとやってみると、ここで再現性がないって言っちゃいけないんですけど、要するに、この施設では再現はとれるけど、この施設は再現がとれないのでは、施設の中では再現性はとれるけど、施設をまたぐと再現性がとれないということがいろいろとあるということは分かってきていますので、それが何によるかということは一つの研究のテーマなんですけど、それを本当に専門でずっとやる人がいるかどうかというのは、結構問題だなというふうには感じています。
【永井部会長】
あるいは、いろいろな経験を持ち寄って、そういう情報バンクのようなものを作っておくとか、例えば、細胞なんかも継代すると変わってしまいますよね。そういうことも非常に大事な情報で、何かそういう再現……。
【小安理事】
外国の人と話をしていると、逆にそういう問題をどこかにアーカイブするようなものを作っていくのが大事なんじゃないかという議論は出ております。ただ、誰がその面倒を見るのかということになると、みんな尻込みしてやらないんですけれども、ですから、問題意識は持っております。どこかで議論してみようと思います。
【遠藤補佐】
今の点に関して、基本的にライフの分野が結構大きいと思いますので、ちょっとだけ御紹介させていただきたいと思いますけど、理研の取組ではないんですが、AMEDの方でまさにそういった取組を、今、かなり具体化してきておりまして、先生がまさに御指摘の臨床の厳しい管理を参考に、全て転写できるわけではないと思いますけれども、基礎研究の分野にでも使えるようなものを、人材育成も含めて検討しておりますので、ちょっとこの理研の部会の場が適切か分かりませんが、御紹介できるときが来れば、また御紹介させていただきたいと思います。
【永井部会長】
どうぞ。
【上野委員】
私も今まで皆様がおっしゃった話の中では、永井先生もおっしゃって、また、小出委員もおっしゃっていた、オープンイノベーションを支える研究のコーディネートのところが、目標の方の表現ですと、研究系事務職員や研究補助者といった研究支援者等という、本当に従来型の表現なので、もう少しオープンイノベーションを支えるコーディネーターといったような、中長期計画の方は比較的新しい高度研究支援専門職といった表現になっていますので、中長期目標の方も、もうちょっと表現を合わせた方がいいんじゃないかと思いました。
それとは別にもう一点、先ほど申し上げたことも、これから中長期計画の中で具体的に書いていかれてはどうかということで、知財について申し上げたんですけれども、もう一点、外部資金の獲得ということについても、中長期目標の方は1の(2)のところに書かれているんですけれども、中長期計画の方ではちょっと薄いかなという気がしています。また、ここは中長期目標の方についても、外部資金を獲得するだけではなくて、それの戦略的活用という表現があった方がいいかなと思います。
ここから先は半分質問なんですけれども、今、国立研究開発法人が民間等から獲得した外部資金について戦略的に活用できるようにということで、研究開発力強化法の改正の動きがあると思います。今ですと、例えば、経営努力認定されたとしても、それを半分は、知財収入は別にして、一部を除いて国庫納付しなければいけないとか、そもそも認定はなかなかされないというようなことがあったりしますし、せっかく一生懸命稼いだとしても、その分、運営費交付金を減らされてしまうとか、いろいろ問題があるかと思うんですけれども、その辺を今、ちょうど改革しようとしている動きの中で、理研さんがより外部資金を獲得して、それを戦略的に活用する、もちろんそれは単にもうけたいのではなくて、研究開発やイノベーションを支えるために、自ら経営をしていくために外部資金を獲得、戦略的な運営をやっていくんだということを、この計画、目標双方に打ち出していく方が、今議論されている法改正の動きにもより良いのか、今はあえてあまり触れないようにされていらっしゃるのか、そこら辺、分からないんですけれども、半分質問で、コメントをさせていただきました。
【長田補佐】
その部分は、若干、例えば、今、法律関係で議論をされている内容等も含むのかなと思いますので、もちろん問題意識は我々も同じように持っておりますので、理研ともいろいろと相談をしながら、また、あと、今、理研さんが考えられているイノベーション支援の法人も、その一環の取組だと思いますし、あと、制度上の問題もあると思いますので、そこは我々としても理研とよく相談して、あと、制度官庁さん等と、これはあと理研だけの問題じゃないので、全体として取り組んでいきたいと思っております。ですが、まだちょっと具体的なところまで書き込むには、そういったもろもろの調整が必要なのではないかと思っております。
単に外部資金を稼ぐだけではなくて、あと、戦略的に使うということですけれども、こちらは是非そうあっていただきたいと思うんですが、今、共同研究とかの間接経費についても、何だかんだいって理研も予算が厳しいので、ある程度すごくイノベーティブに使える予算もあれば、固定経費みたいなものに回ってしまう部分もあると思いますので、まず外部資金の総額を増やすことが、ある意味、戦略的に使うような大きな要因にもなるのかなということはちょっと考えていますので、まず総額を増やしながら、かつそういったものをいかに理研の活動を伸ばす形で使うか、ということだと思います。おっしゃったように、交付金が減らないようにというのもあるんですけど、そのあたりはしっかり考えていきたいと思っています。
【板倉理事】
今、文科省から説明があったとおりでございますけれども、制度そのものを改革するということはなかなか計画に書きにくいんですけれども、今言った外部資金をうまく活用して、研究リソースを増やすという意味では、今、理研が考えておりますイノベーション事業法人構想がまさにそれに該当するかなと考えてございまして、企業と共創しながら、企業からも外部資金を獲得し、それを更に理研に対しては共同研究のような形で更に資金を還流する、若しくは本当に稼いだというんですかね、利益を上げてそれを株の配当という形で還流する、いろいろな形であるんですけれども、そういう形で理研としての研究リソースを増やすということを目指しておりますので、そういう中で実現していきたいと考えてございます。
【村岡委員】
そこで、今、知財の問題が恐らく企業と組んでやるときには常につきまとうかと思うんですけれども、今は不実施補償とか、そういういろいろな制度は基本的にはどういう取組で、企業との共創をするときに取り組んでいらっしゃいますか。
【松本理事】
基本的に理研で考えている知財のとり方は、理研でやった研究はできるだけ自分で単願で理研として持ちたいと思っています。
それから、共同研究をやって出てきたものについては、これはなかなか以前、不実施補償という概念で随分議論をさせていただきましたが、最近、こちらも不実施補償をサポートしてくれなくなっているような世の中の流れだと思うんですが、共同研究の中でとった、知財が生かせるような形で回していくというのを基本にしています。
だから、その中で、例えば、共同で出願したものについては、できるだけそちらで使っていただけるような環境を作っていく。そのためには、やっぱり共同研究をやった企業の方が理研の中にもおいでいただいて、そこで実際に製品になっていくというか、魔の川は当然渡るんですけれども、死の谷もそこで渡っていけるような、そういう方向で共同研究をやっていくということで考えています。今、余り不実施補償でデッドロックに乗り上げると、それはなかなか難しくなっておりますが、そこはその場その場で議論しながらやっているという。
【村岡委員】
分かりました。
【永井部会長】
1つ8ページに、脳神経科学研究、(5)ですが、新旧対照表でも、脳科学総合研究センターが脳神経科学研究センターに組織替えというか、名称が変更されています。要するに、脳科学は、脳だけではなくて、神経科学も対象とするということだと思うのですが、8ページを拝見すると、やはり脳のことが書いてあります。ここはいかがでしょうか。いずれ神経も研究するということでしょうが。
【板倉理事】
それは文科省の方から。
【遠藤補佐】
趣旨としては、そういった脳全体と、そういうメカニズム的に神経もということではありますが、少し具体的に見通せている部分を今、文章化しているということがありますので、多少、従前のものに寄ってしまっているところがありますけど、すみません、繰り返しになりますが、神経も、神経科学もという趣旨は、主査のおっしゃるとおりでございます。
【永井部会長】
といいますのは、脳科学研究センター、運営費交付金が随分減りましたですよね。10年前に比べて、3割から4割減っている。ひょっとして、脳にとどまっていると、減っていってしまうんではないかと。もっと領域を新しいことを展開していくと、また運営費交付金も増えるかもしれないと思うんですが、いかがでしょうか。
【遠藤補佐】
新しいことにという意味では、長田の方からも御説明したとおり、マウス、主に実験動物を使った、中心とした研究から、ヒトの脳をもっと見据えた高次認知機能の解明のようなところにも踏み出していくという意味では、新しいことを次期中長期目標期間ではやっていくという、今のところ考えております。
【永井部会長】
そのほか御質問、いかがでしょうか。
植物科学、環境資源科学研究センターですが、これは内容も随分変わったということでよろしいでしょうか。実は植物科学が余りにもシロイヌナズナ一辺倒になってしまって、もっとグリーンサイエンスを展開すべきという指摘があります。新しい環境資源科学研究においては、多彩な内容が盛り込まれていると思いますが、内容や方向性も変わるということでしょうか。
【小安理事】
これは我々が答えていい……。
【竹内係長】
内容については結構幅広くやっていまして、例えば、ハーバー・ボッシュ法をしのぐとまでは言いませんけれども、究極的には常温・常圧で、窒素分子の結合を切ることができるような触媒の開発ですとか、植物によらず、幅広にやっているようなイメージを持っていただければと思います。
【永井部会長】
いわゆる合成生物学とか、いろいろな物質生産もこの範疇に入るのでしょうか。
【竹内係長】
そうですね。
【長田補佐】
今回の目標は、今のセンターでも植物科学とか微生物化学とかいろいろやっていますけれども、そういったものをまた統合していって、社会の価値になるようなプロジェクトの方に具体的に、成果のところに発展していっていただきたいと。そういったときにまたデータを書くとか、新しい手法も取り入れてということで、そういった発展の形を是非書きたいということで、若干出口志向というか、社会を意識したような書き方になっているということでございます。
【小安理事】
昨年の成果の報告をちょっと述べさせていただきましたけれども、先ほどそれこそ加速器科学のところも、重粒子の照射によって品種改良を随分実はやっていまして、そこから結局、塩害に強いイネみたいなものができてきて、そういうところに非常に植物科学の成果って実は生きておりまして、ただ、これ、大事だと思っているのは、今、やはりなかなか日本の中ではGMOに対する問題がどうしてもこれ、乗り越えられないところがあるので、やはり重粒子線を使ったような品種改良みたいなものを植物科学でいかに結び付けるかというところも、やはり戦略的に取り組んでいかなきゃいけないと思っています。やっておりますので。
【中西委員】
ついでにといいますか、今すぐにということではないのですが、先ほど大学との連携というお話がありました。連携大学院大学ということで、大学に研究室を持って、理研にも研究室を持つという、特定の連携があるのですが、人材育成というところを見ると、若手研究人材と書いてあるだけで、大学院生とか、学生のことがないのです。今、理研独自では制度的にドクターはあげられないということになっておりますが――大学の先生が入っていれば別ですけれども。それは、とても学生にとってもったいないと思います。これだけいい設備で優れた人たちがいるので、そこに学生が入れば、いろいろな教育を受けられると思います。特定の研究室の学生ではなく、総研大の学生が、希望すれば、いろいろな研究所に行けるようにはならないものでしょうか。総研大の学生は文化人類学的なところも、博物館に行けます。急にということではないのですが、少し長い将来を見たら、総研大の学生も何とか理研に希望すれば入れるようにはならないものでしょうか。旧科学技術庁系の研究所にはこの制度はないのですよね、原研も理研も。総研大の学生は将来共、行けないようになってしまうのでしょうか。
【中西委員】
若い人材の育成ということです。
【長田補佐】
ちょっとすみません、総研大の件ですか。
【中西委員】
総研大はいい制度だと思うのですが。
【長田補佐】
理研は学位は与えられないんですが、現実的に研究現場にやっぱり学生がしっかりと入って指導を受けている、若しくは最先端の研究に接しているということは、かなり幅広くやられていると思いますので、もちろん我々としても、そういった取組、引き続きエンカレッジはしていきたいと思っております。
【中西委員】
でも、個々の学生の希望に沿って、やはりここに、理研に行きたいという道があればいいなと思いました。
【長田補佐】
個別のネットワークではなくてということですか。
【中西委員】
はい。急にということではないのですが。総研大からは、人間文化研究機構をみても、個々の博物館などの研究室には少なくとも5年に1人ずつぐらい希望者が来ています。
【長田補佐】
あれはそうですよね。大学共同利用機関法人の関係のところに……。
【中西委員】
いえ、総研大から行けるのです。
【長田補佐】
行かれるということですよね。
【中西委員】
ええ。それで、そことしては5年に1人来れば十分研究は継続発展できると言っています。いろいろな研修も考えてみたとは言われるのですが、理研はすばらしい環境なので、もったいないなと思います。
【長田補佐】
連携大学院等の取組でしっかりと進めていきたいと思います。
【中西委員】
今は連携大学院制度しかいないのですが。
【長田補佐】
学位を与えることはさすがにできないので、そこを実質的な取組でしっかりとやっていくのが引き続き重要だと思います。
【小安理事】
いつも我々の希望としては、学位を出させていただきたいと言っています。それとか、プロフェッサーという言葉も使わせてほしいと言っているんですけど、大学からはいつもだめって。
【永井部会長】
ほかに御発言。
【小出委員】
ちょっとよろしいですか。ライフサイエンス関連の狭い範囲かもしれないんですけど、今、先ほど品種の改良の話が出ましたけれども、ゲノムのGene Manipulatedではなくて、ゲノムエディティングの方が今、どんどんいろいろな領域で広がっていますけれども、理化学研究所の中では、そこの関連というのは、何か、コミットしなきゃいけないところというのは幾つかあるんでしょうか。
【小安理事】
実際にそれはかなりのところで、でも、ふだん、日常的に使っております。だから、これを実際、社会に出そうとしたときに、先ほどもあった特許の問題をどう扱っていくかということが、多分誰もまだ解決ができていない。そもそも最初の特許がまだあれだけ係争中のときに、どうするかという問題が残っていると思うんですが、研究という意味では、相当今、やっています。
【永井部会長】
その問題は私も、先日、東大の濡木先生からお聞きしたんですが、基本特許のところは置いておいて、どんどん時代が進んでしまっているようです。むしろ用途特許で勝負するという動きになっているとのことです。また、臨床応用も、実用化目前の技術がかなりあるのですね。ですから、基本的な問題が解決しないのでというよりも、それはそれとしていつでも動けるように準備なさった方がよいように思います。もし基本特許の問題がうまく決着したときには、すでに先端は先へ行っているということが多分起こるだろうと思います。実際、自治医科大学でも、血友病を肝臓のゲノム編集で治すことができそうです。それができると、ほかの疾患でも応用できるということが目前に迫っているようです。是非いろいろ調査等をお願いしたいと思います。
【小出委員】
これは先月末にちょっとサンフランシスコで世界の科学ジャーナリストの会議がありましたけれども、そこで大きなテーマがゲノムのエディティングだったんですね。中国で人元の受精卵(胚)にこの技術をどう使うか、現実的な議論もあるんですが、アルゼンチンとか南米の方から報告があって、我々びっくりしたのも、畜産とかでものすごく活用が進んでいるということで、彼らとしてはそういう用途特許で進めているんじゃないかと思うんですが、そういう中で日本は社会的な受容をどうするのかというあたりがまだ個別の議論でしかない。やり方を間違えると、Gene Manipulated、GMのような否定的なレスポンスを受けるかもしれないという点を、そろそろ戦略を考えなきゃいけない時期になるんでしょうけれども、ゲノムエディティングとの関わりは、どんなふうにこれから展開されるのか、理化学研究所は否定的な社会の動きに絡め取られるのかなというのが、ちょっと気にはなりましたので。
【小安理事】
今の家畜の話なんですけど、私、その話を聞いたときに、将来的に膨大な特許料を請求されたときにどうするんだという話は、そのときにどういうふうに出ていましたか。逆に質問、その場にいなかったので、知らないので。
【小出委員】
特許の話よりも先に、多様な活用例が、ここまで広がっているよという、そういう報告だけでした。それなら特許どうなんだろうねという疑問はあったと思いますが、特許の問題をどうするかという具体的な話までは、出ませんでした。
【小出委員】
ただ、もう遠からず特許への対応、その動きはどんどん出るだろうと思います。
【永井部会長】
エイズウイルスがいても感染しないリンパ球に変えて体に戻すとか、そういう……。
【小出委員】
臨床は非常に進んでいるようですね……。
【小安理事】
もうできちゃいますからね、実際。
【永井部会長】
よろしいでしょうか。
【永井部会長】
そのほか何か今、この時点で御発言あれば、お願いいたします。
【澤田補佐】
私は現在、計算科学研究機構、スパコン「京」の所管をさせて頂いておりますけど、5年前には、基礎研究振興課で第3期理研の中期目標案を作って、委員の先生方にはその当時からお世話になっております。今回の中長期目標案は、今の基礎研究振興課の方々がいろいろ頑張って書かれたと思います。さっき小出先生もおっしゃっていましたように、かなり幅広なことが書いてあって、実現可能かどうかという課題はありますが、私、3ページの真ん中ほどにある「地球規模での研究開発の潮流を自らが創出する世界最高峰の研究機関」というフレーズがすごく刺さりました。このフレーズを見たとき、理研の方々の受け止めとか、やる気になったかとかいうところをちょっと聞いてみたいと思います。研究現場をエンカレッジすることが重要で、基礎研究振興課が理研を所管していることにすごく意味があると思っていて、イノベーションも大事だと思うんですけど、理研には基礎研究を是非今後も続けてほしいなと私は思いますので、決意を聞かせてもらえたら。
【小安理事】
SDGsはかなり意識を今、しています。いろいろなセンターで、じゃ、自分のセンターがSDGsのどこに貢献できるかという議論をかなりやっておりまして、それが本当に地球規模の研究としてリードできるかどうかということは、これはこれからの……、ただ、取組としては、やっぱりそこはかなりみんな意識を今、しています。なので、それほど違和感はないというか。それだけ責任は感じなきゃいけないと思うんですよね。ただ、やっぱり今の流れからいくと、そこに取り組まないわけにはいかない。特に特定国立研究開発法人と言われた途端に、やっぱりそこを意識していくと思います。
【澤田補佐】
ありがとうございました。期待しています。
【小出委員】
非常にポジティブに感じ取れるところですよね、そこの部分。
それと、機動的に状況によって組み替えるということが、何か所かで言われていましたけれども、その2つがやっぱり理研の売りじゃないかと思います。前文の方でそれが盛り込まれて、そういう方向を目指しますよというメッセージが出ると、素人には分かりやすくなる。
【小安理事】
1つ私が見て、6ページの上から8行目ぐらいに、必要性・重要性が低下したものは廃止を含めて見直せって書いてあると思いますが、これは結構ぐさっと突き刺さっております。
【澤田補佐】
それは第3期もあったな。
【小安理事】
改めてこうやって読むとですね。
【小出委員】
この辺に苦労がにじみ出ております。
【永井部会長】
よろしいでしょうか。
それでは、本日の議論は以上でございます。
あと連絡事項。
【長田補佐】
最後に資料の4で、今後のスケジュール等について御説明させていただきます。
本日11月15日、今回、第11回の部会で御議論いただきましたが、次回、この部会、12月13日の午前10時を予定しております。場所は同じところを予定しています。
次回は、きょうの御意見を踏まえて、またお示しさせていただきます中長期目標案と、あと、次回、中長期計画のその時点の最新の、今度は文章案という形で、皆様から御議論いただいて、御意見を頂ければと思います。
その後、12月中旬に文科省全体の国立研究開発法人審議会にて、また議論されるという形になっております。
その後も含めて、あと関係省庁、CSTIですとか、総務省、また、財務省等と必要な協議等を挟みまして、中長期目標については、年度内といっても、年度内ぎりぎりというよりは、例年ですと、2月などに目標はまず決定をして、法人に通知すると。法人から計画は、最終的に提出されて認可されるのが年度いっぱいという形のスケジュールで進んでいきますので、引き続き御議論いただければと思います。
事務局からの連絡事項は以上です。
あと、資料はまた机上に置いておいていただければ、お送りしますので、よろしくお願いします。
【永井部会長】
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、本日の理化学研究所部会を終了いたします。どうもありがとうございました。
研究振興局基礎研究振興課