国立研究開発法人審議会 宇宙航空研究開発機構部会(第10回) 議事録

1.日時

平成29年11月14日(火曜日) 14時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 5階3会議室

3.議題

  1. 宇宙航空研究開発機構の次期中長期目標等について
  2. その他

4.出席者

委員

部会長 髙橋 德行
部会長代理 古城 佳子
臨時委員 永原 裕子
臨時委員 黒田 有彩
臨時委員 白坂 成功
臨時委員 平野 正雄

文部科学省

宇宙開発利用課企画官 山之内 裕哉
宇宙開発利用課課長補佐 佐々木 裕未

【説明者】
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事 坪井 裕
理事 山本 静夫
経営推進部次長 筒井 史哉

5.議事録

【髙橋部会長】  少し時間よりも早いですけれども、ただいまより文科省国立研究開発法人審議会の第10回JAXA部会を開催いたしたいと思います。本日は委員の先生の方、大変お忙しい中ありがとうございます。また、JAXAの方は4府省への連日の御説明ということで、大変御苦労さまです。よろしくお願いいたします。
 本日は、JAXAの次期中長期目標(案)に関する議論を行いたいと思います。
 まずは事務局から、本日の会議に関する事務的な連絡をお願いします。

【佐々木課長補佐】  では、事務局からはじめに、本日の会議の出席者につきましては、委員及び議事に関係のある臨時委員7名中6名が出席されまして、定足数を満たしていることを御報告いたします。
 また、本日の部会は公開とさせていただきます。
 続きまして、本日の配布資料でございますけれども、議事次第のとおりお配りしてございます。また、机上配布資料として、委員席には中長期目標の目次案、次期中長期目標と計画の概要、フローチャート、御意見記入シート、第4期に向けた取組方針の5点を席上に配布してございますので、御確認ください。
 欠落等の不備がございましたら、事務局までお知らせ願います。よろしいでしょうか。
 事務局からは以上です。

【髙橋部会長】  それではまず、本日の部会の進め方について事務局より説明をお願いいたします。

【佐々木課長補佐】  では、事務局から御説明させていただきます。
 本日の部会の進め方についてですけれども、まず資料1を使いまして、JAXAの次期中長期目標の策定等に当たっての背景ですとか今後のスケジュールについて概要を御説明させていただきます。その後、メイン資料として机上配布資料1の次期中長期目標・計画の目次、あと机上配布資料2の次期中長期目標の概要、資料2の次期中長期目標(案)の本体を使って、次期中長期目標の個別具体の記載について御説明した上で議論を行っていただきたいと思っております。
 その後、次期中長期目標に添付することとされている資料3の政策体系図(案)と、資料4の評価に関する評価軸等(案)について御説明して議論を行うという流れで進めさせていただきたいと考えております。よろしくお願いします。
 事務局からは以上です。

【髙橋部会長】  それでは、お手元の議事次第に従いまして議事を進めていきたいと思います。初めに、事務局よりJAXAの次期中長期目標の策定等に当たっての背景や今後のスケジュール等の説明をお願いいたします。

【佐々木課長補佐】  では、事務局から御説明させていただきます。配布資料1を御覧いただければと思います。「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の次期中長期目標の策定等について」という表題で御説明させていただきます。
 では、1枚おめくりいただきまして、国立研究開発法人審議会について、この部会も含め、先般の改正独法通則法に基づきまして、各所管府省に新設されております。お手元にあるピンクの参考資料のファイルの参考資料2の「独立行政法人の目標の策定に関する指針」の16ページをお開きいただければと思うのですが、中央のあたりに、「8 通則法第35条の4第4項「研究開発に関する審議会」について」とございまして、この国立研究開発法人審議会が次期中長期目標の策定等についてどのような役割があるかということをこの指針に書いております。読ませていただきますと、「研究開発に関する審議会は、研究開発の専門性等に鑑み、3つの法人分類のうち国立研究開発法人の分類のみに制度的に明確に位置付けられている審議会であり、主務大臣が国立研究開発法人の中長期目標の策定及び評価をするに際して重要な役割を果たすことが期待されているということが書いてありまして、その次のパラグラフの2文目に、主務大臣及び国立研究開発法人が中長期目標・中長期計画を策定するに際して、社会のニーズに配慮し、国内外の幅広く高い識見を踏まえてしっかりと練り上げられたものとするために、第三者の立場から、社会的な見識、科学的知見、国際的水準等に即して適切な助言を行い、客観的に確認する。国立研究開発法人の「研究開発成果の最大化」等を評価するための評価軸についても、主務大臣、国立研究開発法人の長とともに確認し、適切な提言を行う」ということが役割として記載されております。それをその資料1の2ポツ目にまとめさせていただいております。また、その下の図は、主務大臣・総務省・国立研究開発法人審議会・法人の関係性を示したものです。端的に申し上げますと、国立研究開発法人審議会というのは、中長期目標や中長期計画の策定に際して主務大臣に助言をしていただく役割を持っているということになります。
 次の2ページに進んで、スケジュールの概要を書かせていただいています。夏の部会におきましては、一番右に宇宙航空研究開発機構部会の枠がありますが、ここでJAXAの業務の実績評価と、あと今年度は、次期中長期目標の策定に当たって組織・業務の見直しというものを議論いただきまして、その後審議会を経て、8月末に主務大臣が業務の実績評価と組織・業務の見直しを決定していると。現在、総務省の独立行政法人評価制度委員会の方でその組織・業務の見直し等について点検をしているところです。
 再度資料の宇宙航空研究開発機構部会の枠に戻っていただいて、赤字で書かせていただいていますが、本日11月14日と次回の12月13日に次期中長期目標等を部会において議論して、それが、12月20日に予定されている国立研究開発法人審議会にこの部会でまとめた意見が上がります。その後、主務大臣が1月から2月にかけて次期中長期目標を決定し、総務省の独立行政法人評価制度委員会が点検することとされています。主務大臣から法人に決定した次期中長期目標が提示され、3月末までに法人が作成した次期中長期計画を主務大臣が認可するという流れで、スケジュールとして進んでいくことになります。
 次の3ページ目につきましては、今2ページで御説明したことの繰り返しになりますので、今回は割愛させていただきます。4ページに、独法通則法が改正されたことによって留意する事項をまとめております。これは中長期目標の中身というよりは、それに付随する資料を用意する必要があるということの御説明です。まず1つ目として、政策体系における法人の位置付け及び役割を記載して政策体系図も添付することとされています。これは、下に四角で囲んである「独立行政法人の目標の策定に関する指針」において、上から3行目に、「このため、中長期目標の冒頭に政策体系における法人の位置付け及び役割(ミッション)といった法人全体を総括する章を設ける」、また、下の方に太字で書いてありますけれども、「また、国の政策体系において法人の業務がどのように位置付けられるかを明らかにした資料(政策体系図など)を中長期目標に添付する」と書かれておりまして、本日の部会の資料3が政策体系図に当たるものです。2つ目として、評価軸及び評価指標、モニタリング指標を設定し、中長期目標の別添とするということも、同じくその総務省の指針に書かれておりまして、中央の太字下線の部分を読んでいただくと、「目標策定時に適切な評価軸を設定し、法人に提示する」、また、その下の太字下線の部分で、「評価・評定の基準として取り扱う指標(評価指標)と、正確な事実を把握し適正・厳正な評価に資するために必要な指標(モニタリング指標)とを適切に分け、当該指標がどちらなのかを明示する」ということになっています。
 その下に、また別のクレジットで出されている「国立研究開発法人の評価に関する評価軸の設定について」という政策文書において、一番下にあるように、「評価軸は、中長期目標、中長期計画の中に記述するのではなく、別添のような形で整理することなども検討」と書かれており、これまでの過去の他法人の事例でも評価軸を別添として整理しておりますので、JAXAも同じように評価軸と評価指標を別添で中長期目標に付ける形で整理するということで考えています。
 最後5ページになりますけれども、アウトプットとアウトカムの簡単な考え方について、総合科学技術・イノベーション会議で決定された答申に記載されておりまして、読ませていただくと、「研究開発活動のアウトプット(成果物)とは、例えば、投稿された学術論文、特許出願された発明、提出された規格原案、作成された設計図、開発されたプロトタイプなどを指す」。一方で、「研究開発活動のアウトカムとは、研究開発活動自体やその成果物(アウトプット)によって、その受け手に、研究開発活動実施者が意図する範囲でもたらされる効果・効用を指す。例えば、科学コミュニティに生じる価値の内容、製品やサービスなどに係る社会・経済的に生み出される価値の内容などがある」といった形でアウトプットとアウトカムを定義しています。その下に、「国立研究開発法人に対して主務大臣が提示する目標は、できる限りアウトカムと関連させた目標とすることが適当」と書かれております。
 その下の4段落目ですけれども、「公表された論文や取得された特許権に代表される研究開発に係るアウトプットは、国立研究開発法人としてマネジメントすることが可能」であるものの、その下の太字に飛んでいただいて、「アウトカムが生じるかどうかというのは、受け手や研究開発成果を受け手につなぐ者の状況等に依存する部分が大きく、国立研究開発法人は提示されたアウトカム目標を自らのマネジメントだけで実現・達成することは事実上困難である」とされており、そのため、「アウトカム目標を国立研究開発法人みずからのマネジメントにより達成すべき目標として提示することは困難な場合も多く、むしろ、国や社会が期待するアウトカムに対して当該国立研究開発法人がどのような方向性を目指し、寄与・貢献していくべきかというような観点から目標を設定することが適切」と留意事項として書かれています。
 この資料1の概要ですけれども、中長期目標を議論するための前提知識、予備知識としてお知りいただければと思いまして今回御説明いたしました。事務局からは以上です。

【髙橋部会長】  ありがとうございました。ただいまの御説明に対して御質問、御意見ありましたらお願いしたいと思います。
 最後のこのアウトプット・アウトカムというのは、一般的にこういうことを定義しているというよりも、国の研究開発法人の活動を進める上で、こういう定義をしましたと、そう理解しているのですが。

【佐々木課長補佐】  一般的なというよりかは、国立研究開発法人の目標設定や評価をするに当たってはこういう考え方でお願いします、ということです。

【髙橋部会長】  そういうことですよね。だから、例えば優れた学術論文がアウトプットと言われてしまうと、実際に研究している人からすると、単なるアウトプットかということになるものですから、一般的なアウトプット・アウトカムという定義を示したというよりも、今回こういう枠組みで研究開発法人の活動自体を評価しましょうという位置付けでいいですよね。

【佐々木課長補佐】  そうです。

【髙橋部会長】  この後、またアウトプット・アウトカムということで事務局から個々のテーマについて説明があると思いますので、またそのところでも御質問、御意見を頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次期中長期目標(案)の個別の事業の議論に進みます。机上配布資料1の目次、机上配布資料2の次期中長期目標の概要、資料2の次期中長期目標(案)の本体を使って進めていきますが、項目数が多いので、幾つかの固まりに分けて議論を行いたいと思います。
 まずは、次期中長期目標(案)の全体構成について事務局より説明をお願いいたします。

【山之内企画官】  私の方から説明させていただきます。机上配布資料1を見ていただけますでしょうか。全体構成を説明させていただければと思います。この机上配布資料1でございますが、左側が宇宙基本計画、右側が中長期目標の案という形になってございます。皆さん御存じのとおり、JAXAの設置法の19条にもありますけれども、中長期目標は宇宙基本計画に基づいて作成するということになっていますので、できるだけ宇宙基本計画の構成に合わせた形にさせていただいている案になってございます。
 では、上から説明させていただきますが、右側の方です。まずローマ数字Ⅰの政策体系における機構の位置付け及び役割ということでございますが、これは先ほど佐々木の方からも説明いたしましたが、今回から指針に従う必要があるということになっていまして、この中で法人全体を総括する章といったものを設けるということで、現行のものではこういった記載はすくないのですが、今回から新しくこういうものを書いております。その中で、まず1ポツ、宇宙政策の目標達成に向けた政策体系ということで、宇宙基本計画における三本柱、1つが安全保障、2つが民生分野、最後は基盤について書いております。2ポツとして、研究開発計画の航空科学技術におけるJAXAの役割を書いている状況でございます。
 ローマ数字のⅡでは、中長期目標の期間として、これは7年間とさせていただいています。
 3ポツでは、宇宙航空政策の目標達成に向けた具体的取組ということでございますが、これは1ポツ以降の具体的中身の前に括弧でJAXAの取組方針とあります。これは現在のJAXAを取り巻く環境の変化などを踏まえて、従来の役割、つまり宇宙基本計画や工程表に書いてある施策に加えて、JAXAは何を目指すべきなのかという取組方針を書いているところでございます。この取組方針自体につきましては、前回御議論いただいた見直し案にて説明させていただいておりますが、おさらいとして今一度説明させていただきますので、机上配布資料2を御覧いただけますでしょうか。A3の大きい資料でございますが、これ自体は中長期目標や計画の概要を1枚に収めている資料でございます。上段なのですが、一番上のところにJAXAを取り巻く環境の変化としまして様々なことがありました。その中でも、下に青字で書いてあるように、宇宙デブリなどの宇宙空間の安全保障上の重要性が増大しており、また、地球規模課題や多くの大規模災害を踏まえて、災害対策や気候変動対策等の重要性も増大していると。右側に移りまして、宇宙産業拡大への期待が高まっている、国際競争力も激化していると。その下には、インドや中国といった新興国の台頭などにより、宇宙科学・探査分野のプレゼンスの維持・向上の必要性が増大している。最後に、航空産業発展への貢献の必要性が増大している。こういったことを踏まえて、右側のJAXAの取組方針として4点書かせていただいております。1番目が安全保障の確保と安全・安心な社会の実現。2番目として、宇宙利用拡大と産業振興。3番目が宇宙科学・探査分野における国際的プレゼンスの維持・向上。4番目として、航空産業の国際競争力の強化。この4つの取組方針を進めていく必要があるとさせていただいているところでございます。
 元の机上配布資料1に戻っていただきまして、こういったことも踏まえて、1ポツとして、具体的に今JAXAは何をプロジェクトとしてやっていくのかということが書いてございます。この1.1から1.11のところは宇宙分野であり、これは青で囲ってございますが、宇宙基本計画にできるだけ合わせた形にさせていただいていると。2ポツとしては、横断的な研究開発の取組ということで、民間事業者との協業などが書いてございます。次のページですが、2.2は、基盤の維持・強化です。3ポツとして航空科学技術を書かせていただいております。
 ローマ数字のⅣは、宇宙航空政策の目標を達成するための重要事項として、研究開発以外の横断的事項である国際協力や国民の理解増進といったことを書いております。
 ローマ数字のⅤでは業務運営の改善・効率化に関する事項、Ⅵが財務内容の改善に関する事項となっています。
 3ポツのプロジェクト以降の内容については後ほど説明させていただきますが、全体の概要としては以上でございます。

【髙橋部会長】  ありがとうございました。ただいまの全体構成についての事務局からの説明につきまして御質問、御意見ありましたらお願いいたします。どうぞ、永原委員。

【永原臨時委員】  机上配布資料2ですが、これが後に反映されてくるのだと思うのですが、宇宙科学・探査について、一番上の欄の環境の変化とか取組方針のところで、国際的プレゼンスの維持・向上と書かれています。しかし、宇宙科学・探査はプレゼンスのためにあるわけではなくて、科学というものは、本来、真理を探究する目標のため行われるもので、国際的プレゼンスは結果だと思います。環境変化の方の表現はまだ良いのですが、宇宙科学がプレゼンスの維持・向上のためとなってしまうとまずいと思います。ほかの資料でもこのトーンがずっと貫かれていますので、ここは修正していただきたいと思います。

【山之内企画官】  分かりました。

【永原臨時委員】  はい。

【山之内企画官】  見直し内容のときに御意見がなかったので、この形にさせていただいたところでした。

【永原臨時委員】  失礼しました。

【山之内企画官】  確かに、プレゼンスだけではないというところはあると思いますので、表現ぶりについてはまた相談させていただければと思います。

【永原臨時委員】  はい、よろしくお願いします。

【髙橋部会長】  ほか、いかがですか。
 はい、それでは続いて個別の事業に入りたいと思います。まず、次期中長期目標本体の目次におけるローマ数字Ⅲの宇宙航空政策の目標達成における具体的取組の1から11番目まで、続けて事務局より説明をお願いします。

【山之内企画官】  それでは続けて説明させていただきます。机上配布資料3を御覧ください。1.1から1.11の説明でございますが、本文を使うとかなり時間が掛かってしまうので、このフローチャートで説明させていただければと思います。
 まず、このフローチャートがそもそも何なのかというところですが、国立研究開発法人審議会、つまりこの部会の親会議において、中長期目標等を定める際には、こういったフローチャートを作ることになったものでございます。具体的にどういう作り込みになっているかというと、1ページを御覧いただけますでしょうか。これは測位衛星の例でございますが、まず一番上に現状分析があり、その現状に対して解決すべき課題、いわゆるアウトカムですね、を2番目に書くと。そのアウトカムを生み出すために、JAXAは何をすべきなのかというアウトプット、つまり目標を3番目に書くと。その目標を達成するために、具体的取組として一番下に研究開発の内容や技術開発の具体的な内容を書くと。こういった資料をプロジェクトあるいは事業の固まりごとに作って議論しなさいという話が研発審の方でありまして、フローチャートを作っております。このアウトカムとアウトプットの部分が、今目標本文の案に書いてある内容を抜き出したものになっており、ここが概要になると思いますので、これを中心に説明させていただければと思います。
 ではまず1.1の衛星測位についてでございますが、現状分析といたしましては、安全保障を含めて政府・産業にとって不可欠な存在であると。成長産業としても期待されていると。3ポツ目としては世界的な測位衛星技術の発展、例えば欧州だとか中国の北斗というものが出てきている、そういった発展が盛んになっていると。こういった状況を踏まえて、アウトカムとしては、我が国の安全保障の確保と産業の振興への貢献というのを掲げています。このアウトカムを見据えて、アウトプット、つまり中長期の目標になるわけですが、衛星測位基盤技術に関する研究開発を行うことによって測位システムの高度化、高精度測位情報通信サービスの実現を行うとさせていただいています。本文の方にもこういったことを書いております。取組、つまり今後計画に書くような内容としては、今のところイメージでございますが、ここに書いてある高精度軌道時刻推定技術だとか、こういった具体的な研究開発や技術開発の内容が書いてあるという状況でございます。
 次のページは1.2の衛星リモートセンシングでございます。現状分析としては、安全保障を含め衛星データ利用は政府・産業にとっては不可欠、成長産業としての宇宙産業への期待の高まり、安全保障分野を含めた幅広い分野へ衛星データの利用の拡大が見込まれる、こういった状況があると。こういった状況を踏まえまして、アウトカムとしては、防災・災害対策を通じた安全・安心な社会の実現や地球規模課題の解決、産業分野などでの衛星データの利用拡大、こういった3点を挙げさせていただいております。
 こういったアウトカムを見据えて、アウトプット、つまり中長期目標として本文に書いてあるのは、先進的なリモートセンシング衛星の研究開発・運用を通じた減災に直結する判断情報としての普及、これについては、衛星名は中長期目標自体では書いていないのですが、ALOS-2の後継機を想定しております。また、気候変動対応の判断指標や評価指標としての定着ということで、これも本文には書いていませんが、中身としては、GCOM-Wの後継機だとかGOSATの後継機を想定しています。3番目として、衛星データの利便性向上ということで、衛星データの利用を拡大するということで、ビッグデータとして適切な管理といったことを進めていくことを記載しております。
 次のページをおめくりいただけますでしょうか。次は1.3の衛星通信でございます。衛星通信でございますが、安全保障を含めて政府・産業にとって不可欠な存在であり、同じように成長産業として期待があると。世界の衛星産業市場が拡大しているという状況でもあると。そういったことを踏まえて、アウトカムとしては、衛星通信技術の国際競争力を強化すること、2020年代の世界の商業通信衛星市場における現状より高いシェアを獲得していくこと、3つ目として、データ伝送能力の向上を通じた我が国の安全保障の確保、産業の振興。こういったことを踏まえまして、アウトプット、つまり中長期目標の方では、目標として、まず次世代通信衛星バスの研究開発・実証を通じて国際競争力のあるバス技術を獲得する。ETS-9を想定しております。光衛星間通信技術の研究開発・実証を通じた大容量のデータ伝送の実現ということで、これはJDRSを想定しているという状況でございます。
 次のページをおめくりいただけますでしょうか。1.4の宇宙輸送システムでございます。これも現状分析としては、政府・産業にとって不可欠というのは同じで、それと、インドなどの新興国による打上げサービスが非常に盛んになってきているので、国際競争が激化していること。宇宙利用活動というのは世界中でも活発になってきているということもあり、打上げサービスの需要が増加している。成長産業としても期待されている。そういったことを踏まえて、アウトカムといたしましては、1つ目には、打ち上げたいときに打ち上げるという、自立的な宇宙輸送能力の切れ目のない確保、それと宇宙輸送能力の国際競争力を強化すること、多様な需要への柔軟かつ効率的な対応ができるようにすること、最後に、宇宙産業の経済性の向上。アウトプット、つまり目標でございますが、1つ目としては、H3ロケットの開発完了と民間への技術移転による打上げサービスへの移行。H-ⅡA/H-ⅡBロケットにつきましては、オンタイム打ち上げ率、これは平成28年度評価でS評価を頂きましたが、こういったものをちゃんと維持していくと。3番目としては、イプシロンロケットでございますが、H3とのシナジー開発をちゃんと完了して、1機当たりの価格を安くして、民間への技術移転による打上げサービスへの移行を掲げております。
 次のページをおめくりいただけますでしょうか。5ページです。1.5の宇宙状況把握と追跡運用技術でございます。現状分析としては、宇宙空間や宇宙システムというのは安全保障の基盤として不可欠な存在であると。2番目としまして、宇宙空間が混雑化している、それと宇宙デブリが増えておりリスクが高まっている状況であると。解決すべき課題、アウトカムでございますが、人工衛星の安定的運用を通じた国民生活や経済社会活動の維持、それと安全保障の確保といったことが必要であると。アウトプット、目標といたしましては、SSA関連施設の整備・運用、SSA能力の向上に向けた研究開発を通じた政府機関が一体となったSSAシステムの構築への貢献。これは宇宙基本計画工程表にも書かれておりますが、今、防衛省がSSAのレーダー施設を作っています。それとJAXAが持っているレーダーと光学施設を一体的に運用していくということが掲げられていますので、そのことが書いてございます。2ポツ目としましては、追跡管制等のための施設・整備の維持などを行い、確実な人工衛星ミッションを達成していくことを掲げさせていただいているところでございます。
 次の6ページ、1.6の海洋状況把握と早期警戒機能等でございます。現状分析といたしましては、安全保障の基盤として当然不可欠な存在であると。もう一つ書いているのは、海洋を取り巻く厳しい安全保障情勢でございます。尖閣の問題や海賊の問題もあると。海上安全や海洋由来の自然災害、海洋環境の汚染などの脅威も依然あると。そういったことを踏まえて、アウトカムといたしましては、衛星を利用した海洋状況把握などで我が国の安全保障を確保していくと。アウトプット、つまり目標といたしましては船舶自動識別装置(AIS)に係る研究開発・運用を通じた海洋状況のより詳細な把握への貢献ですが、これは先進レーダー衛星とAISを組み合わせますと、AISを偽装している不審船などを特定できますので、そういった技術をしっかりやっていくということを書いております。2番目といたしまして、政府が行う赤外線センサの宇宙空間での実証研究の実現でございますが、この政府というのは防衛省を指しておりまして、今防衛省と共同研究開発をしている二波長赤外線センサ、これは早期警戒機能につながりますので、そういったことを引き続きやっていくということが書いてございます。
 次のページ、7ページでございますが、1.7の宇宙システム全体の機能保証です。まず現状の分析でございますが、これも同じように書いてあるのですが、安全保障の基盤として不可欠な存在であると。2番目に書いてあるのは、今年の3月でございますが、宇宙政策委員会の方で「宇宙システム全体の機能保証の強化に関する基本的考え方」といったものが出ました。そういった状況を踏まえて、アウトカム、つまり解決すべき課題としては、宇宙空間や宇宙システムを利用した我が国の安全保障の確保というのを掲げております。アウトプット、目標といたしましては、宇宙システム全体の機能保証に係る政府検討の進展ということなのですが、これは宇宙政策委員会を中心に検討していると先ほど言いましたけれども、それは引き続き検討していることでございまして、そういったものへJAXAが技術的に支援するとか、そういったことを念頭に書いてございます。2ポツ目で、脆弱性評価を通じた保有する宇宙システムの機能保証強化でございますが、これも宇宙政策委員会で議論されているものなのですが、宇宙システムがしっかりと機能するために、機器とかシステムのチェックリストを作って脆弱性を評価し、その評価を基に万全の体制を整えていくという議論を今やっております。そういったことを通じて、この機能保証というのをJAXAとして強化していく。そういったことを念頭に書いております。
 次のページでございますが、次は1.8の宇宙科学・探査でございます。現状分析といたしましては、中国やインドといった新興国の台頭で、我が国の存在感や技術的優位性の不安定化があると。世界一級の研究成果を引き続き創出していく必要性が大きいであろうと。解決すべき課題、アウトカムといたしましては、我が国の国際的プレゼンスの維持・向上、宇宙空間における活動領域の拡大、新たな宇宙開発利用の開拓というのを掲げております。アウトプットといたしましては、宇宙科学・探査分野における衛星・探査機の開発・運用、それと宇宙科学・探査のミッションの遂行といったものを通じて人類共通の知的資産をちゃんと創出していく必要があると。さらには萌芽的・革新的な技術を獲得していく必要がある、そういったことを掲げております。
 次のページは1.9の国際宇宙ステーションでございます。これも同じように中国やインドといった新興国が台頭することにより、有人宇宙活動における我が国の存在感とか技術的優位性が不安定化している状況であると。民間事業者も含めて多様なプレーヤーによる有人宇宙活動の拡大が見込まれると。最後に、日米協力をはじめとする国際協力が重要な状況でもあると。こういったことを踏まえてアウトカムといたしましては、国際的プレゼンスの維持・向上をはじめ、国際宇宙ステーションを活用したイノベーション創出や産業の振興、宇宙利用の拡大また、日米協力関係をはじめとした国際協力の推進を掲げています。アウトプット、目標といたしましては、「きぼう」が科学技術イノベーションを支える研究開発基盤として産学官で幅広く利用される姿の実現と「きぼう」利用サービスの民間などの事業としての自立化。2番目といたしましては、国際競争力のある有人宇宙技術の獲得ですが、これは中身としてはHTV-Xの開発を念頭に置いて書いてございます。
 次の10ページです。1.10の国際有人宇宙探査でございます。現状分析といたしましては、先ほど書いてあったように、我が国の存在感やプレゼンスについて書いてあります。2ポツ目としては、国際的探査活動の活発化、世界的にも活発化していると。日米協力をはじめとする国際協力が重要であると。そういったことを踏まえてアウトカムといたしましては、プレゼンスの維持・向上や、活動領域拡大、日米協力をはじめとする国際協力の推進。アウトプットといたしましては、我が国としての国際宇宙探査計画の提案。ここの部分につきましては、一番上にも書いてあるとおり、ISEF2が3月に行われますけれども、それに向けた国際調整を今我が課を中心にやっているところでございます。そういったものを踏まえて今後記載を変えていくと思うので、これはあくまでも現時点で書けるところまで書いているという状況でございます。
 次のページをめくっていただけますでしょうか。次が最後です。1.11の環境試験技術でございます。これは安全保障を含めて環境試験技術というのは政府・産業にとっても不可欠な存在であり、宇宙産業への期待が高まっていると。アウトカムといたしましては人工衛星の安定的運用を通じて国民生活や経済社会活動の維持、安全保障の確保です。こういったものを踏まえてアウトプット、目標といたしましては、環境試験設備の維持・運用などを通じて確実な人工衛星ミッションを達成していく。環境試験の効率化を通じた人工衛星の開発の効率化。培った環境試験技術の産業界への展開や設備の産業界への供用促進。こういったものを通じて社会還元を行っていくことを書いております。
 1.11までの説明は以上でございます。

【髙橋部会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対する御質問、御意見等ありましたらよろしくお願いいたします。永原委員、どうぞ。

【永原臨時委員】  よろしいでしょうか。先ほどとの関係で、8ページですが、宇宙科学・探査の部分のアウトカムの最初の表現も、整合するようにもう少し工夫していただけるでしょうか。

【山之内企画官】  そうです、分かりました。

【永原臨時委員】  アウトプットの表現はよろしいのではないかと思います。

【山之内企画官】  ありがとうございます。

【髙橋部会長】  今の部分ですが、我が国の国際的プレゼンスの維持・向上というのをここに出してきた背景とか、どういう観点でこういう表現にしたのか、補足の説明をお願いできますか。

【山之内企画官】  このプレゼンスの話自体は、ここの現状分析でもあるとおり、やはり中国やインドが台頭してきた中において、日本の地位が下がってきている、不安定化しているという、そういった状況を踏まえて、プレゼンスの向上を図るために、ここに書いてあるようなことを行っていく必要があるんじゃないかということです。ただ、永原先生がおっしゃったとおり、これだけが目標という形になると、違うと思いますので、今後表現を調整します。内容としては、先生が言ったことは一応全部入っているつもりでございます。

【髙橋部会長】  相対的な競争力が揺らぎつつあるリスクがある、そういう観点からあえてこういう表現をしたのかなというように思いますけれども、一方で、アウトプットの方が、人類共通の知的資産の創出と記述されており、こちらの方が内容としては大きいような気がします。一国のプレゼンスよりも、こちらは人類共通の知的資産の創出なので、表現を対比すると、もう一回検討していただいた方がいいかなと。

【山之内企画官】  そうです。並びもばらついているので、そこは相談させていただければと思います。

【髙橋部会長】  どうぞ、平野委員。

【平野臨時委員】  よろしいでしょうか。関連する質問2つです。1つは、これは次期の中長期目標ということであり、前期を総括されてこういうものになっているという理解です。当然、JAXAを取り巻く諸般の情勢が反映されているものと考えられますが、その中でとりわけ次期の中長期目標で強化、あるいは前回の目標にはなかったけれども新たに創設されて重点化されているものは何でしょうか。それから、それに関連してJAXAサイドのリソースの裏付けについて、どれぐらい見通しが立っているのでしょうか。この場合のリソースというのは人的リソースと資金的リソースの両方です。

【山之内企画官】  最初の御質問で、前と比べて重点化しているものですが、まず、ここの青字の中の目次でも書いてあるのですが、言ってみれば、今まで、前期の中長期目標ではそれぞれ三本柱に沿ってプロジェクトを書いていたところがあり、そこでは、例えば丸3ですと、我々として強調したいところというのは、永原先生がおっしゃっているような宇宙科学・探査や有人宇宙活動なのですが、そこのところは基盤という表現になっている。例えば左側の青のところ、宇宙基本計画では、宇宙科学・探査及び有人宇宙活動というふうに一括りにされてしまっているのですが、そこはやはり力を入れていく必要があるということで増やして、1.8、1.9、1.10という形で強調させていただいているところでございます。そのほか、これは強調というか、前回とも余り変わらないことではあるのですが、我々としては、やはりH3などの大型プロジェクトはしっかり強調していかないといけないのではないかと思っております。
 その次、2番目の質問のリソースの裏付けですが、この目標自体もJAXAさんと相談した上で作っておりまして、基本的には、予算というのはこれからの調整にはなるのですが、そこは調整し得るところだと思っていますので、しっかり予算を確保してやっていくと。人的にも問題ないということで、こういった形でやらせていただいているという状況です。

【平野臨時委員】  例えばこうした1.6の海洋状況把握とか、これまでになかったような表現になっていますし、より明確に安全保障的な色彩も強まっているような印象があるのですが、そういう認識でよろしいのでしょうか。

【山之内企画官】  はい。繰り返しになりますが、基本的に宇宙基本計画に合わせて作るということを念頭に置いており、海洋状況把握が宇宙基本計画にあったけれども前期の目標には入れていなかったので次期の目標に入れたということもあります。ただ、先ほども説明したとおり、レーダー衛星とAISなどの海洋状況把握に関する取組自体は今もやっているところなので、少し組み替えたというか、別の場所へ持ってきたということだと認識していただければと思います。

【平野臨時委員】  分かりました。特に新興国に対する、先ほどから議論になっているプレゼンス向上の問題等も含めて、日本の政策上必要な施策のリストになっていると理解しています。一方、我が国としての強みをどこに作っていくのかを考える時に、かなりリソースは限定されている中で施策の重点化というのは戦略的に非常に重要だと思います。やや網羅的な印象も受けたものですから、そういうコメントをさせていただきました。

【山之内企画官】  はい、ありがとうございます。

【髙橋部会長】  どうぞ、白坂委員。

【白坂臨時委員】  説明ありがとうございます。今回の次期中長期の特徴は、安全保障もあるのですが、もう一つ産業化の記述がかなり入ってきたというのが、大変良いことだとは思っています。しかし、書きぶりについては少し難しいなと思います。例えば測位のところはすごく明示的に、最後の取組のところまで、具体的には事業化支援などが書かれています。測位は国を挙げて利用を進めているわけですが、その次はリモートセンシングについて、まさに衛星データ利用の方で産業化をどんどん進めようということで、国がこれから政策的にも力を入れていかなければならないところです。衛星データ利用のアウトカム、アウトプットのところがどうなっていくかと見ると、産業を支援するようなところが明示的には余り出てきていません。確かに今やろうとしていることや既に実施していることがたくさんあるのは存じ上げているのですが、アウトカム・アウトプットあたりに何か記述がないと、これから新たな取組を7年の中で起こしていくときに、つながりが見えないことで立ち上げづらくなったりしないかなということを思いました。測位の方でこれだけしっかり産業の振興への貢献を明示的に書かれているのであれば、できればリモートセンシングでも似たような形で反映しておいていただけるといいかなと思いました。

【山之内企画官】  分かりました。ここの部分については、アウトプットの1ポツ、2ポツというのは、どちらかというと政府が使うとか、防災に使うとか、そういった話であり、3ポツのところが今言ったところなので、表現が足りなかったようになっています。あと本文では、産業振興のためといったことをしっかり書いておりますけれども、ここのところ、修正したいと思います。

【白坂臨時委員】  分かりました。

【髙橋部会長】  ほか、よろしいでしょうか。永原委員、どうぞ。

【永原臨時委員】  宇宙輸送システムのところでお伺いしたと思います。アウトプット、つまり移行完了、オンタイム打上げ、それから次も移行完了ということで、このままいくと日本の輸送技術というものはもうこれきり先がないような印象を受けるのですが、JAXAの方針としてはこういう形でよろしいのでしょうか。

【山之内企画官】  そうです、H3をしっかりやるために移行完了ということを書いているんですが、その後も引き続きやっていくといったことを本文では書いていますので、ここのところも表現を直させていただければと思います。

【佐々木課長補佐】  そうです、目標の本体には我が国の宇宙輸送技術の継続的な向上のための研究開発の推進といった文言を書いていますので、そういった内容がここに出るようにします。

【山之内企画官】  11ページでございますが、真ん中から上ぐらいのところに「さらに」というところがあるのですが、ここはH3の段落でございまして、この中で、この「さらに」の段落の下の方に、我が国の宇宙輸送技術の継続的な向上のための研究開発を推進していくというような表現が見えるような形で修正しようと思います。ありがとうございます。

【髙橋部会長】  古城委員、どうぞ。

【古城部会長代理】  安全保障について、この新しい宇宙基本計画では宇宙安全保障の確保が非常に強く出されているように思うのですが、宇宙だけではなくて、人々の安全や防災といったものも安全保障になると思うのですね。そうすると、例えばこの衛星リモートセンシングのところの現状分析で安全保障を含めという表現は、そういった防災や災害対策といったものも含めた安全保障という意味でしょうか。

【山之内企画官】  含めています。広義の安全保障も含めた言い方をさせていただいております。

【古城部会長代理】  分かりました。ではそういう形でここは安全保障を捉えていると。

【山之内企画官】  そうです。

【古城部会長代理】  分かりました。

【髙橋部会長】  ほか、よろしいですか。先ほどのリソースのお話ですけれども、やはり役割が3期に比べると非常に重みが増して、またその深さといい、幅の広さといい、3期に比べるとかなり広がっています。そういった中で限られた予算、限られたマンパワーでこれを7年間でやり抜くということになる。これはJAXAの方にも是非御意見があれば伺いたいのですが、やはりそうなってくると、今JAXAは4府省が主管になっていまして、いろいろなプロジェクトは4府省絡んでくるんですが、まず予算の分担の在り方、これもしっかりとそれなりの配分が必要でしょうし、それからJAXAの中で効率的に開発テーマをやり抜く、そういった努力も必要でしょうし、もう一つ、これだけ多岐にわたってくると、民間も含めていかに手離れよく移行なり移転なりして、JAXAでなければできないことにもっと重点的に特化していく、そういったことも非常に重要になってくるのかなと。それについては当事者にお伺いしてよろしいですか。どうですか、山本さん。

【JAXA(山本)】  まず、予算につきましては、国の厳しい予算事情の中なので、なかなかぜいたくは言えないと思うのですが、やはりこの間余り伸びていないということは、理事長をはじめとして非常に重く受け止めて、何とかその予算規模が増えないかという努力をしているところです。例えば、運営費交付金が伸びなければ、他府省からの受託といいますか、外の他府省からの資金もあれば、そのほかの外部資金もどんどん取ってくるということで、運営費交付金と比べるとそんなに分量的には多くないかもしれませんが、いずれにしても、そういう予算の獲得については幅広くやっていくという方向を志向しています。さらに、後半に言われたこととも関係するのですが、例えば国の予算の負担を少なくするためには、民間から何とか入れたいと。例えば、大きなお金で運営しているJEMといいますか、ISSの運用のようなものをもう少し民間に開放すれば、我々の業務も減りますし、かつ予算的にもいい方に回るということで、そのあたりの工夫はまだまだ足りない、まだ道半ばでありますけれども、そういうところにも取り組んでいきたいと思います。いずれにしても、おっしゃるとおり、予算、リソースの制限は非常にあるので、まずは、やらなくていいものというとおかしいですが、移行するものは移行するということで、これまでも追跡の運用といった、一部のいわゆるルーチン的な業務は、かなり外に出してきているところですが、もっともっと、例えば最近AIというか、人工知能的に、人が介入しなくても処理できるようになってきておりますので、そのあたりも含めて取り組んでいきたいと思っています。

【山之内企画官】  もう一つ言うと、国の予算は頑張れるということではありますが、確かに増えない状況ではあるので、例えばGOSATは、最初の先端的なところは確かに文科省でお金を付けてやるのですが、そのうち環境省にどんどん移行していくなど、利用官庁の方で持ってもらうというような動きもしながら、厳しい予算ですが頑張っていきたいと思っています。

【髙橋部会長】  よろしくお願いします。はい、どうぞ。

【平野臨時委員】  最初のアウトプット・アウトカムの考え方について改めてお伺いしたいと思います。というのは、今後この第4期の中長期目標が走り始めて、その進捗を評価をする際に、何をその評価の対象としていくかということが気になります。この文言だけ読むと少し混乱するのですが、アウトプットというのは直接的な学術論文等の成果物で、アウトカムはどちらかというとプレゼンスも含めたインパクトであると解釈しております。しかし、主務大臣が定義する目標はアウトカムと関連させた目標とあります。この目標というものはアウトプットそのものでもないし、アウトカムでもないわけですよね。

【山之内企画官】  おっしゃるとおりです。

【平野臨時委員】  そうすると、その目標というのを今後さらに明確に定めていくことになり、その目標の達成度合いということを評価していくということに論理的にはなっていくのですが、その理解でよろしいですか。

【山之内企画官】  先ほどアウトプットイコール目標みたいな説明をさせていただきましたが、おっしゃるとおり、実は違うと思っています。アウトカムがあって、その達成に当たってのJAXAの領分、そこが目標になるのだと思います。ですから、アウトプットと書いてありますが、これ自体は、我々としては目標として考えていただいて、議論させていただければなと思って作っております。

【平野臨時委員】  最初の資料1のペーパーの最後の4パラ目のところで、今度はアウトカム目標ということになっていますけれども、これは、JAXA自らのマネジメントにより達成すべき目標として提示することは困難な場合も多く、となっていますね。むしろアウトカムに対して当該国立研究開発法人がどのような方向性を目指し寄与・貢献していくかという観点から目標を設定することが適切とあります。読み返してもよく分からなかったものですから、分かりやすく表現してもらいたいと思います。つまり今後具体的な中長期目標から今度は単年度の目標というものが提示されて、その進捗を評価対象として管理をしていくということであり、その目標設定の主体はJAXAであるという理解でよいのでしょうか。

【山之内企画官】  はい、そうです。

【佐々木課長補佐】  例えば、ETS-9という、バスをJAXAが作ってセンサを総務省が作っている衛星がありますが、その最終的なアウトカムというのは、そのバス開発によって民間事業者が国際市場でより高いシェアを獲得することです。でも、JAXAが民間事業者による国際市場の高いシェアの獲得に直接関わってくるわけではありません。そういう内容がアウトカムについては、やはり法人として直接マネジメントで頑張るのは難しいのではないかということをここに書いてあるということだと思います。

【平野臨時委員】  ということは、やはりアウトカムにひも付けられた、アウトプットというのはJAXA自身がマネジメント可能なもの、彼らがマネジメント可能なものを評価しないとアンフェアですよね。

【佐々木課長補佐】  民間事業者がどれくらい衛星を売ったかというのは、JAXAの力でどうにもならないことです。

【平野臨時委員】  そうですよね。であれば、JAXA自身がマネージできるものに関して評価をするというのがフェアなスタンスであり、JAXAがアウトカムを意識したアウトプットを設定するなり、あるいはそれを目標と言い換えてもいいかもしれませんけれども、そのような処理がされて、それをこのような審議会等で評価をするという理解でよろしいですか。

【佐々木課長補佐】  はい。

【平野臨時委員】  分かりました。

【白坂臨時委員】  今のところでよろしいですか。

【髙橋部会長】  白坂委員、どうぞ。

【白坂臨時委員】  私も同じところをずっと悩んで聞いているのですが、今回の中長期目標は7年という期間使われるわけで、今の時点で明示的にアウトプットが定義できるものというのは、必ずしもアウトカムにつながる全てのものが書かれるというよりは、多分今想定されているものが書かれていると思っています。そのときに、例えば先ほどの例でいうと、ETS-9を作り上げることだけが重要かというと、JAXAさんとしては多分それだけではなくて、本当は最終的にシェアを取ることはもちろんメーカーの努力がたくさんありますし、市場の動向もあるのでコントロールはできないのですが、やれることはほかにも多分本当はあって、ただ、現状ETS-9をきちんと作り上げるというアウトプット目標を設定したからといって、それだけやればいいとなってしまうと、これまた良くないかなと思います。

【佐々木課長補佐】  最終のアウトカムとアウトプットの間にもJAXAがマネジメント可能なものがあると。

【白坂臨時委員】  はい、あるだろうと思います。しかもそれは7年を考えると、多分7年後を見たときには、今のETS-9では既にもう遅い可能性があって、次のことをやり始めていないといけなくなって、JAXAとしてはそれに気が付いて、次の市場を取るためには次の段階に進めようというのをやろうとしたときに、でもアウトプット目標にないからそれがやりづらいとなってしまうと、これまたおかしなことになってしまうと思います。アウトカムにつながるべきアクティビティというのは、明示的にアウトプットで書かれていなくてもやれるような仕組みになると思えばいいのでしょうか。

【佐々木課長補佐】  それは中長期目標の表現次第かなと思いますが、その民間事業者の国際市場でのシェアを高めるために、どこまで具体的に書けるか分からないですが、貢献することに資するような取組をするということです。

【白坂臨時委員】  ですよね。なので、私がこれを読んで思ったのは、アウトカムでもないしアウトプットでもなくて。

【佐々木課長補佐】  その間の。

【白坂臨時委員】  そう、間でアウトカムにつながるべきものを指標化しないのかなと思いました。これはまた難しい指標だなと思って見ていたのですが。つまり、アウトプットというのはすごくダイレクトな結果なので、もちろん簡単に測れるけれども、それだけに限定してしまうと、アウトカムにつながるところを目指すというのが減ってしまうので、難しいのですが、アウトカムを明示化して、現状からアウトプットを設定するけれども、評価すべきはこのアウトカムへつながろうとしている、自分たちができることをやろうとしていることをちゃんと評価するということかなと理解したのです。

【佐々木課長補佐】  それはアウトプットでもあり、そうではない、その先にあると。

【白坂臨時委員】  そう、そうではないもう一つ先のところに何か設定しないと、今書いたことしかできなくなってしまうと思います。

【佐々木課長補佐】  目標にということですか。

【白坂臨時委員】  ええ、7年というのを考えたときには、やはり環境の変化も激しくて、今、7年前にディープラーニングをこれだけ考えていたかというと、もちろん考えておらず、今やっていないともう遅いわけで、というようなことが多分7年間の中で起きるはずなので、それを考えると、この設定というのは、アウトプットにするのであれば、書き方を注意しないといけないと思います。気にしているのは、今やっていること、今分かっていることだけが成果につながる仕組みはよくないだろうと。7年を見たときには、これから変わっていくときに、JAXAが新たな目標を設定をせざるを得ないと自分たちで気付いたときに、それがちゃんと評価される仕組みでないといけない。やるべきことができない仕組みになるのもおかしいなと思ったので。

【山之内企画官】  そのとおりですね。本当にどうしてもやれなくなったら、そのときはもう改定するのかなと思うのですが、現時点では、衛星通信技術の国際競争力の強化というところをしっかり書いていますので、そのために何ができるのかというのは、よくJAXAと相談しながら、今後その年度年度の目標というのは定めていくことになるのかなと思います。
 もう一つ言うと、これは後で説明しますが、今ここに書いてあることは、基本的にプロジェクトになっているものを書いています。というのも、今後、目標をどういうふうに作るかという指針において、一定の事業のまとまりとして、いわゆる理事クラスの人が責任を持ってできる固まりにしないといけないというのがありまして、ここでいっているのは宇宙分野ですが、いずれにしてもそこの部分の話を書いていて、もう一つあるのは、研究開発部門とかで萌芽的な研究をやっているところがありますので、この7年間の間にそれがプロジェクトになっていくようなものだったら、こっちの方へ持ってくるという形になると思います。そのとき必要に応じて改定なり何なりすることになるのではないのかなと思っています。

【白坂臨時委員】  ありがとうございます。

【髙橋部会長】  それについて私も意見を言わせていただくと、今、JAXA部会も含めて国立研発開発法人審議会では、毎年年度の評価と、それから節目の中長期の評価をPDCAを回してやりましょうと言われています。私はよく国立研発開発法人審議会で言うのですが、今はどちらかというとDに対するCなんですね。本当に大事なのは、CはPである戦略とか計画に対するCです。そこでもう一回Pを見直すというのが本当のPDCAで、今はDに対するCしかやっていないのが実態です。7年間は、一応ここで決めるけれども、いろいろな情勢を見ながらもう一回Pに立ち戻って、その上でまた計画を見直す、そういったことを進めるべきではないかなと私自身も思っています。
 ほか、よろしいでしょうか。
 それでは、ここで一旦休憩を取るということでよろしいですか。それではここで10分ほど休憩を取ります。15時15分から再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

( 休憩 )

【髙橋部会長】  それでは、よろしいですか。それでは続いて、目次のローマ数字のⅢの2の横断的な研究開発等の取組から、3の航空科学技術まで、これを続けて事務局より説明をお願いいたします。

【山之内企画官】  では、2.1から、先ほどと同じように机上配布資料3のフローチャートを使って説明させていただければと思います。12ページをお開きください。まず2.1.民間事業者との協業等の宇宙利用拡大及び産業振興に資する取組でございます。まず現状分析といたしましては、宇宙利用は産業界にとって不可欠な存在であると。成長産業として宇宙産業への期待の高まりがあるという状況であると。そういったことを踏まえまして、アウトカムといたしましては、宇宙分野に閉じることのない宇宙利用の拡大や技術革新、それと宇宙を利用する民間事業者の国際競争力を強化すること。これは中身といたしましては、データを利用する話や、あともう一つは宇宙機器産業の振興をやる必要があるということです。アウトプットといたしましては、1番目が民間事業者と協働した研究開発を通じて民間事業者を主体とする競争力を有する新たな事業を創出するということでございますが、これについては、机上配布資料の5の、これは前回理事長が説明したポンチ絵でございますが、その中の8ページをお開きいただけますでしょうか。8ページのオレンジ色で書いてある宇宙利用拡大・産業振興に資する取組の強化でございますが、この下に宇宙イノベーションパートナーシップ事業とございます。今言ったことは、このことを指してございまして、あまり大きな額ではないのですが、今、新規要求しているものです。中身といたしましては、民間のアイデアと、JAXAの技術や今まで蓄積したデータ、こういったものを組み合わせて事業を創出していくというものでございます。具体例としましては、例えば、JAXAの衛星データと民間のアイデアで観光に資するアプリのようなソフト的なものや、あるいは小型衛星を計画している会社がございましたら、JAXAが今まで打ち上げてきた各種センサ技術を持っていますので、そういった実証のできた最先端のセンサを小型化して一緒に載せて付加価値を高めるなど、そういった事業のことを指しているものを宇宙イノベーションパートナーシップ事業として推進していこうとしているものでございます。 戻って、机上配布資料3のフローチャートでございますが、もう一つ次は、得られた成果の社会還元の促進を通じた新たな宇宙利用の創出につながる技術の獲得ということで、これはベンチャーへの支援も含まれますし、あと、JAXA発ベンチャーですね、実は今まで2社しか出来ておりません。こういったものを増やしていく必要があるのではないかということで、こういった表現で書かせていただいているものでございます。
 次のページをおめくりください。13ページでございますが、2.2.新たな価値を実現する宇宙産業基盤の維持・強化でございますが、現状分析といたしましては、先ほど言ったとおり、安全保障を含めて政府・産業にとって宇宙利用というのは不可欠な状況であると。成長産業として宇宙産業への期待もあると。これも先ほどから書いておりますが、中国、インドといった新興国や民間企業の台頭による我が国の存在感とか、技術的優位性が不安定化している状況である。こういったことを踏まえて、アウトカムといたしましては、安全保障確保、産業振興、プレゼンスの維持・向上が必要であると。そのほか、基盤の維持・発展だとか国際競争力を強化していく必要があると。アウトプットといたしましては、宇宙デブリの対策技術・再使用宇宙輸送システム技術などの挑戦的な研究開発の推進を通じた新事業領域の開拓や、あとSSPS(宇宙太陽光発電システム)、LNG(液化天然ガス)推進技術といったものを通じて、長期的な視野での我が国の国際競争力を強化する必要があると。これは先ほどもちらっと言ったのですが、プロジェクトに至っていない萌芽的な研究、要素研究開発技術というのがありまして、その部分をここでまとめているという状況になってございます。
 次のページをおめくりください。14ページでございますが、航空科学技術でございます。現状分析といたしましては、世界の航空機市場が飛躍的に成長している。それと、成長産業として航空産業を重要なものとして位置付ける必要があると。アウトカムといたしましては航空産業振興だとか国際競争力を強化して持続的な発展をやっていく必要があると。アウトプットといたしましては、1番目、民間航空機の環境適合性、騒音対策のことですが、それや安全性、経済性といったものを向上していく必要があると。中身といたしましては、次世代エンジン技術の開発や低騒音技術などを開発していく必要があると。2番目といたしましては、我が国の航空科学技術の国際優位性向上ということで、これは中身といたしましては、超音速機の技術の獲得などを指してございます。3番目は航空機開発の迅速化、効率化等を実現する航空機設計技術の確立ということでございますが、これは数値シミュレーション技術や材料の評価技術、こういった基盤技術を強化して設計技術を確立していく必要があるといったことを書いてございます。
 説明は以上でございます。

【髙橋部会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対しての御質疑、御意見ありましたらお願いいたします。白坂委員、どうぞ。

【白坂臨時委員】  これはどちらかというと本文側を主で見た方がいいのかもしれませんが、フローチャート12ページのところのアウトプットの2つ目の書き方の日本語が少し限定的だなと思ったのですが、本文を見ると記載がありましたので。

【山之内企画官】  確認いたします。

【白坂臨時委員】  フローチャートの下の方だけを見ると、得られた成果の社会還元促進を通じた新たな宇宙利用の創出につながる技術の獲得となっていて、技術の獲得のみがアウトプットのようになっているけれども、本文を見ると、ちゃんと事業の創出を実現するという内容になっていたので。

【山之内企画官】  少し本文からの抜き出し方が良くなかったと思います。

【白坂臨時委員】  ですね、本文の方はきちんと書かれていましたので。

【山之内企画官】  はい、本文の14ページの一番最後から15ページの一番上。

【白坂臨時委員】  15ページの頭の方ですよね、はい、分かりました。

【髙橋部会長】  1つ、私からお伺いしてよろしいですか。JAXAの方にお聞きしますけれども、宇宙太陽光発電システムと、液化天然ガス推進技術、この2つですが、国際的にもこれは、今でも他の国も重点的に取り組んでいるテーマなのかというのが1つと、どういう出口を想定してそれぞれ研究されているか、教えていただきたいと思います。

【JAXA(筒井)】  分かる範囲でいいですか。LNGエンジンというのは、例えばヨーロッパでも米国でも民間それからESAですか、開発しています。特に、ロケットの1段に使うというのを少し考えているところがあります。それが本当にシステムとしていいのかどうかというところはいろいろ議論があるところだと思いますが、競争領域としては現にあると思います。
 それから、宇宙太陽光については、ここはきちんと調べていないので、正しいことを言っているかどうか分からないですが、海外では余り目立ってこれをといって研究しているのは多くはないのではないかなと思われます。やはり技術的に非常に高度ですし、かなり将来、先の話ですので、なかなか表に見えてきているものは多くはないのではないかと。ただ、その中の要素としてエネルギーを空間伝送していくような技術というのは、またそれはそれで別の用途も多分考えられまして、そういう技術をやっているところは恐らくあると思います。

【JAXA(山本)】  今の御指摘は、出口というか、その先はどうかということがかなり意識された意見だと思いますので、もう少し正確にここは書かせていただきたいと思います。

【髙橋部会長】  はい。先ほどのリソースという話もございますので、この中でどこまでシステムとして完成させるのか、あるいは要素技術として完成させるのか、そのあたりをしっかりとJAXA内で議論されて、また是非教えていただきたいと思います。
 はい、黒田委員、どうぞ。

【黒田臨時委員】  さっきの白坂先生の質問に対するお答えで、抜き出し方が良くなかったみたいな感じでおっしゃったと思うのですが、この文言がどれくらい重要なのでしょうか。一字一句というか、何て言うんでしょう、やはりこれが主務大臣に上がるわけですか。

【山之内企画官】  そこのやり方は未定なのですが、ただ、現時点では、うちの親会議である国立研究開発法人審議会というところではこういったフローチャートを作って議論をすべしという話がありますので作っています。大臣にどう上げるかはまた別途検討します。

【黒田臨時委員】  そこで理解してもらうことが重要ということですか。

【山之内企画官】  そうです。そういう意味で、どういうふうに抜き出したかというと、何をやるかという目標の部分を抜き出したという形をとらせていただいています。

【髙橋部会長】  このフローチャートは、それぞれの項目を分かりやすく説明するためというか、理解を進めるために作られた、そういう個別の資料ですよね。

【山之内企画官】  そうです。国立研究開発法人審議でそのように進めた方が良いのではないかということで。

【髙橋部会長】  あくまでも本文、これが重要で、文章ばかりだから分かりにくいので、先ほどのA3の机上配布資料2とか、それからこの配布資料3のフローチャートを、これはJAXAが独自に作っているという、そういうことでしょうか。

【山之内企画官】  はい、そうです。なお、作成者は文科省です。

【黒田臨時委員】  理解しました。ありがとうございます。

【山之内企画官】  すみません、初めの説明が足りなかったかもしれないです。

【髙橋部会長】  このフローチャートも、部会の上の国立研究開発法人審議会から要望が出ていて、こういうものを作って議論しましょうということになっているのですが、去年のJSTぐらいからだったんですか。

【山之内企画官】  そうです。最近です。

【髙橋部会長】  最近、こういうのがあった方が分かりやすいでしょうと。ただ、この文科省の作っていただいたフローチャートは、JSTが去年作ったものとは違っています。国立研発開発法人審議会で提出されたJSTのフローチャートは、インプットがあって、それがどうやってアウトプットになってアウトカムにつながるかというフローチャートです。一方、今回のJAXAの中長期目標のフローチャートは、何のために、何を解決するために、どのような目標を立て、その目標を達成するために、具体的に何をするのか、ということを示したフローチャートだと思います。一般的なフローチャートというと、インプットがあって、いろいろなプロセスを経てアウトプットという順番であり、今回はそういうフローチャートからいくと逆なのですが、中長期目標を審議するときはむしろこの方があるべきチャートかなというふうに思います。たしかこういうまとめ方は初めてですね。ほかの法人でもまだやっていないと。

【佐々木課長補佐】  そうです、そういうまとめ方をした法人はないと思います。

【黒田臨時委員】  ありがとうございます。

【髙橋部会長】  ほかに御指摘、御質問よろしいですか。はい、平野委員、どうぞ。

【平野臨時委員】  民間事業者との協業の部分、先ほどからリソースの問題も指摘されており、それから世の中のイノベーションの在り方においても外部との協力をしながらということの重要性が増しているということもあり、極めて重要な取組で、むしろ重点化、加速していくべきだと私も思います。今、一般の製造業の企業においても、いわゆるオープンイノベーションというような掛け声の下で、外部のスタートアップ系の企業などと協力をしてイノベーションを加速し、新しい事業化をしていく取り組みが盛んです。それから、社内ファンドを立ち上げて有力な外部技術に投資をすることや、あるいは、社内にあるIPを外出しして、そこに資金も付けてあげることで、事業化を外部化させるなどの新しい取り組みが増加しています。このようなオープンイノベーションの様々な取組をJAXAも積極的に学んで自らの組織運営やマネジメントに取り込んでいくということも重要であると思います。単に企業とパートナーシップを組むという以上に、より踏み込んで具体的な施策が出てくると良いと思います。

【山之内企画官】  ありがとうございます。分かりました。そこのところも中身として入れ込めるよう調整したいと思います。

【平野臨時委員】  それから、航空科学技術というのはいつも説明の最後になりますが、御案内のように今日の日本の航空産業は国際競争力という観点では必ずしも優位な立場にはありません。ですからJAXAが持っている優れた技術や人材を、長期の次世代エンジン技術開発だけでなく、民間の様々な技術開発なども支援をして頂くことで、日本の航空機産業の競争力が促進されるようにして頂きたいと思います。先ほどのロケット打ち上げのケースも同様なのですが、受託する民間の側の方の体力がだんだん失われてきているように懸念しております。民間に単に委託すればうまくいくということでもなく、場合によっては現在の民間との関係性も見直し、戦略的な協業を進めて頂くことが重要に思います。このことは懸念事項として申し上げておきます。

【山之内企画官】  ありがとうございます。分かりました。

【JAXA(山本)】  今の2つ、実態を説明させていただきたいと思います、この文言は別として。
 まず、オープンイノベーションにつきましては、2年前から探査に限ってオープンイノベーションというのをハブ形式でトライアルしております。既に延べ250名ぐらいの方が入ってこられまして、企業でいいますと8割が今まで宇宙に関与していなかったような新しい企業が参画するようになりました。まだまだ道半ばでありますが、そういう一つのある意味いい方向に向かっている仕組みを、探査だけではなくてもう少し研究活動も含めてこれから取り組もうとしているのが、先ほどパートナーシップと名前は抽象的でしたが、そういう広がりを政策的にも入れ込もうという趣旨で進めているところです。
 それから後段のエンジンにつきましては、この次世代エンジンというのはJAXAが研究のためにやっているというよりは、むしろ民間において、今までの航空機の中の、やはりエンジンというのは心臓というか一番大切なところなのですが、部分的なエンジンの技術はあるものの、エンジンそのものの全体としてのシステムをやはり民間として持ちたいと。宇宙以上に民間の産業化というのは進んでいますので、民間がどの時点でどういうところまで性能を上げれば日本としてエンジンも売れるかという、宇宙以上に民間との目標設定を定めて、まず心臓部分であるエンジンのシステム、エンジンの一部ではなくて全体を何とかある期間内に納めるというトライアルをしておりまして、非常に宇宙以上に民間との接点は強いと思います。

【平野臨時委員】  分かりました。ハブのところも前回、相模原ですか、訪問させていただいたときに、実際の施設も拝見して認識はしております。このような計画の中においても強く打ち出されたら良いと思いますし、航空技術開発においても同じような意識で進められている部分が伝わるようにされると良いと思います。

【JAXA(山本)】  そうです、ありがとうございます。

【白坂臨時委員】  よろしいですか。

【髙橋部会長】  白坂委員、どうぞ。

【白坂臨時委員】  13ページのところなのですが、ここは多分いわゆる研究開発、これからの要素開発的なものでしょうか。

【山之内企画官】  そうです、要素技術研究をやっているところです。

【白坂臨時委員】  時々いろいろな部会などでも議論になることの一つとして、物そのものの研究開発というよりは、開発の仕方、要は安く作るための方法だったり、短納期にするためのやり方だったり、最近ですと大規模なものを作るつくり方がすごく変わってきています。例えば、民間の航空業界で日本では今何が困っているかというと、ボーイングが最近開発のやり方を大幅に変えてきたのに付いていけないというので、大幅に今やり方自体を変えなきゃいけなくなっているというのが起きています。そういった開発のやり方の研究みたいなものはここになりますか。NASAはそういった研究をすごくやっているのをJAXAさんはよくフォローされていらっしゃるとは思うのですが、物を作る研究は目に見えやすいのでいろいろなところに出てきて、最終的な製品が明示的なアウトプットで分かりやすいのですが、どうしても低コスト化の研究だったり短納期化の研究だったり、複雑性を扱う研究だったり、そういった目に見えないが、実際には競争力にすごく影響を与えてしまうような研究要素がいつも見えづらくて、どこにどう入れておくといいのだろうかと思っています。低コスト化研究というのは新しいものを生み出すわけではないので、なかなか研究としてもやりづらいというのも分かるのですが、一方で、すごく重要な研究として本来は存在しているのが、なかなかどこでどう扱うのかが分からないのですが、入れるとしたら多分やはりここの項目ですかね。

【山之内企画官】  後でJAXAに状況を聞きたいとは思うのですが、基本的に今言った低コスト化とか効率化というのは、衛星開発であれば1.11の環境試験技術のところでやっております。

【白坂臨時委員】  なるほど。

【山之内企画官】  ただ、全体としてそれをやっているかというのは、JAXAさん、教えていただければと思うのですが。

【白坂臨時委員】  多分、環境試験技術は、試験のところの効率化はすごくやられていてすばらしい成果を上げられているのは聞いていて存じ上げているのですが、そうではない、試験だけに限らない設計といった上流の段階でもかなりいろいろなことが研究要素としてはあるわけですが。

【JAXA(山本)】  例えば最近のAI技術とか情報技術をどう活用して、それを研究から実装していくという話については、後ろの方に情報システムというのがあるのですが、実際には部門ごと、例えば航空なら航空でどういうふうにスパコンを使って、実際に風洞試験をやらなくてもコンピューター上で解析していくようにするかとか、実態としてはそういうところの個々の部門のところにあるのですが、戦略上は後ろの方にもそういう情報システムを積極的に使って、これまでの設計手段を変えていくというようなこともあります。
 一方、コストについて言えば、例えば一番単純なのは、ロケットが、やはりどんなに開発しても安いものでないと売れないわけですから、製造段階から安くするためとなると、やはり先端の研究開発というところよりは、もう少しロケットの部門の方に実際の作業自体は入ってくるのではないかというふうに思われます。

【白坂臨時委員】  それは、低コスト化の開発の方の研究というよりは、本当にロケットを安くするためのものではないでしょうか。

【JAXA(山本)】  まあ例えばの話です。

【白坂臨時委員】  例示ですよね。それは多分そちらだとは思います。開発の方法の研究というのはかなり進んでいるので、そういったところを。まあ、でもここなんでしょうね、入れるとしたら。

【JAXA(山本)】  研究開発全体としては、分類上はここの2ポツのところですね。

【白坂臨時委員】  ですよね、ここですよね。

【JAXA(山本)】  はい、そこが何らかの形で記載があって、その記載に基づいて各1ポツのところにも関連しているという、そういう構図になるのかなと思います。確かに、この2のところにどこまで書き込むかというのは議論になるかもしれません。

【山之内企画官】  白坂先生が言っているようなやり方の研究というのは、体系的に今やっているかというと、やっていない感じでしょうか。

【JAXA(山本)】  いや、もちろんさっき言いましたけれども、単純な風洞試験をするのではなくて、違うやり方でそれに代替するといったような。

【山之内企画官】  個別個別で、例えば輸送だったらさっき言ったようなのをやっているし、衛星だったら環境試験技術もあれば、試験だけではなくて、コストを安くするためにもやっている部分はあるので、そういった工夫をしていたりとか、そういう個別個別でやっている感じなのですね。

【JAXA(山本)】  実態は個別でやっているのですが、そうすれば、やはり個別で入り込むと見えにくいので、どこかやはり記載した方が良いでしょうか。

【白坂臨時委員】  あとやはり個別は個別であると思います。その分野特有というのはあるのですが、一方で、分野横断的なアプローチというのは存在するので、なのでそこはどうやって扱うのがいいのかですよね。

【JAXA(筒井)】  航空の方は、今のこの目標の16ページ目の方の(3)というところに基盤技術の研究開発というのがございます。ここにCFD等の云々という、目標の本文の方ですね、目標の本文の16ページ、この辺のが、いわゆる物を、テストフライトをたくさんやってデータを集めていくやり方ではない開発の仕方を志向しようというのを意図して書いていただいていると思います。

【山之内企画官】  多分、個別個別という形になっているのですが、白坂先生が言う、体系的に世界的にそういう動きがあるという、そこは勉強させていただいて、どういうのがあるのかとか。

【白坂臨時委員】  多分フォローされている方々もいるはずなので、決して全然やっていないと思っているわけではないのですが、いつもそういう取組の位置付けが表に出てこないので、やっている人たちもなかなかやりづらそうだと思っております。

【山之内企画官】  相談させていただければと思います。

【髙橋部会長】  ほかによろしいでしょうか。それでは、最後の残りのローマ数字のⅣ、Ⅴ、Ⅵの項目について事務局より説明をお願いいたします。

【山之内企画官】  Ⅳ、Ⅴ、Ⅵは研究プロジェクトではなく、フローチャートはないので、本文で説明させていただければと思います。本文、目標案の16ページをお開きください。16ページのローマ数字Ⅳ、宇宙航空政策の目標達成を支えるための重要事項、ここから説明させていただきます。
 まず、横断的事項といたしまして、国際協力・海外展開の推進というのを書いております。ここではかいつまんで言いますと、主要な海外宇宙機関との互恵関係といったものを高いレベルで構築・維持する。それと、「また、」以降のところなのですが、我が国の宇宙関連技術、宇宙利用の有用性を国外に展開・発信すると。それと、我が国との間で相互に利益のある関係構築・維持を担える人材の養成。こういったことを通じまして、政府が推進する官民一体となった宇宙システムの海外展開を支援することによって我が国の産業基盤の維持、強化並びに産業の振興に貢献するということが書かれております。
 次に(2)の調査分析でございます。宇宙航空分野に関わる国内外の動向調査とか、そういった分析機能をJAXAで強化する。JAXAにおける戦略策定にそういったものを活用する。それだけでなくて、政府における調査分析情報、こういった提言などを積極的に提供していくということが書かれてございます。
 次、1.2.の国民の理解増進と次世代を担う人材育成への貢献ですが、国民的な理解の増進におきましては、丁寧で分かりやすい情報発信を行うことによって国民への説明責任を果たすということを書いております。(2)の次世代を担う人材育成への貢献でございますが、中ほどに書いてあるのですが、宇宙航空分野に興味関心を抱く機会の積極的提供、それとJAXAで得ました成果・知見といったものを教育素材として幅広い活用をする。こういうことを通じまして未来社会を切り開く人材育成に貢献するということが書いてございます。
 次のページ、18ページでございますが、まずプロジェクトマネジメント及び信頼性の確保でございます。3行目のあたりに書いてあるのですが、プロジェクトの計画立案から準備段階における初期的な検討、試行的な研究開発を充実させるといったことを通じてミッション達成に貢献すると。フロントローディングをしっかりやるということが書かれてございます。
 その下に最後の段落で「また、」というところがあるのですが、安全・信頼性の維持・向上に関する取組というのもきちんと行っていくということが書いてございます。
 1.4.情報システムの活用(1)でございますが、JAXA内で共通的に利用する情報システムといったものをきちんと整備する。それと、基盤的な情報システムの整備、改善及び利用促進といったことをしっかりやっていくということが書かれてございます。(2)は情報のセキュリティの確保でございます。セキュリティ確保のためにセキュリティ対策の強化をしっかりやるということが書いてあるという状況でございます。
 1.5施設及び設備に関する事項でございますが、ここで言う施設は、ここにも書いてあるように、共通的に利用する施設ということで、ビルとかトイレとかそういったところのお話なのですが、老朽化対策などをやって計画的な更新・整備と維持運用を行っていくということが書いてございます。
 次のページ、19ページでございますが、2.情報収集衛星に係る政府からの受託でございます。これは今まで書いていなかったのですが、先ほど佐々木の方からも説明しましたとおり、総務省の指針というのがございまして、その指針の中に、受託でも予定されているものは目標にきちんと書くようにということになっておりまして、今回書いてあります。内容としましては、情報収集衛星に関する事業については、政府から受託した場合には、必要な体制を確立して着実に実施するということを書いてございます。
 3.法人共通のところでございますが、3.1.は内部統制でございます。内部統制システムをしっかり構築することと、それとともにPDCAサイクルを効果的に循環させるということなどを記述してございます。
 3.2.は人事に関する事項でございます。最初のところに民間事業者等との相互の人材交流を含めた最適な人員配置と書いてございます。今の中長期目標には書いてないのですが、産業振興は取組方針の一つにも挙げており、重要だということから、こういう文言を新たに付け加えているという状況です。
 ローマ数字のⅤ、業務運営の改善・効率化に関する事項でございますが、まず(1)社会を技術で先導し新たな価値の創出に向けた組織体制の整備ということで、今回、JAXAの取組方針の前の方にも前文としてこれは掲げておりますが、こういったところをしっかりやるために、JAXAの総合力を向上していくということが書いてございます。(2)効率的かつ合理的な業務運営の推進でございますが、ここでは競争的資金の獲得など外部資金の獲得に関する取組をしっかりやっていくということと、業務・経費の合理化を図っていくということが書いてございます。(3)人件費の適正化でございますが、これは前回とほとんど同じことが書いてございます。
 最後、Ⅵの財務内容の改善に関する事項といたしましては、独立行政法人会計基準というのがございますので、こういったものを踏まえた適切な財務内容の実現を図るべしということが書いてございます。
 説明は以上でございます。

【髙橋部会長】  ありがとうございました。ただいまの御説明に対する御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。はい、永原委員、どうぞ。

【永原臨時委員】  よろしいでしょうか。人材育成のところで質問させていただきます。現状の文章を見ていますと、相変わらずISSで宇宙飛行士が手を振っているのを宣伝するのかという感じなのですが、もう少し積極的に考えることができないでしょうか。我々のような研究現場とかにいる人間としては、次世代として一番足りないと感じていることは、プロジェクトリーダーを養成していくということです。新聞などを見ていますと、それは研究現場だけではなくて、日本の全体に言われているような気がしますが、ここではもう少し意識的に人材育成の方策があった方がよろしいのではないかと思います。といって、具体的に何と申し上げられるわけではないのですけれども。

【山之内企画官】  ここはあくまでも次世代を担うということで、若い世代とか青少年を対象とした取組を書いております。

【永原臨時委員】  それはそれでよろしいのですが。

【山之内企画官】  今、永原先生おっしゃるようなそういったプロジェクトリーダーというのは、例えば13ページとかで1.8の宇宙科学・探査、いわゆるISASのところに、「なお、」のところでまず1つ、宇宙科学に関する研究は、人材育成をはじめとした必要な施策を進め、研究開発を担う人材を積極的かつ継続的に確保するというのと、その下の下に、「さらに、」というところですが、大学院教育、これはISASのことを指しているのですが、こういったことをやって、いわゆる研究者の人材育成というのは、ここで書かせていただくのはいかがでしょうか。

【永原臨時委員】  私としては、研究者にとどまらず、リーダーの育成ということが問題だという認識です。少なくとも宇宙科学の分野ではそこがすごく問題になっています。この間も、ドイツに長くおられる研究者の方がそういう講演をされました。日本にはリーダーを意識的に養成していく仕組みがそもそもないということです。特に、宇宙開発や探査という大規模な計画の場合、自然発生的にリーダーが出てこないので、意識的に養成してゆくことが必要だと強く感じているのです。ほかの分野で、つくばなどではそういう問題がないのであればよろしいのですが。

【山之内企画官】  なるほど。分かりました。だから、プロジェクトリーダーというかプロマネとか、そういう資質を育てていくという。

【永原臨時委員】  そうです、マネジャーなどのリーダーになっていく人材です。

【山之内企画官】  分かりました。そうすると、多分17ページとか13ページとかこっちの方を直すことも検討しましょうか。

【佐々木課長補佐】  青少年がどこかの分野でリーダーになるような養成をするというような御主旨でしょうか。

【永原臨時委員】  青少年に宇宙に関心を持ってくれるとかという話も一般論的にあるのですが、それだけではなくて、宇宙分野でミッションを担っていくリーダーの育成という問題です。

【佐々木課長補佐】  そうすると、どちらかというと宇宙科学・探査の方で何か表現を検討するのかなということでしょうか。

【山之内企画官】  そうです、ありがとうございます。今の御意見は非常に重要だと思いますので、JAXAと調整して、13ページなどにどういうふうに盛り込むか相談させていただければと。

【佐々木課長補佐】  宇宙科学分野に限らないJAXAの組織全体でのリーダー養成ということでしょうか。

【永原臨時委員】  私は相模原のことしか知らず、つくばがどのような状況かはよく分かりません。相模原固有の問題なのかもしれませんが。

【佐々木課長補佐】  JAXAの外側の例えば大学がということではないでしょうか。

【永原臨時委員】  いえ、外側の話は今ここに書いてありますが、それは一般論です。一般には宇宙のことはマスコミが取り上げてさえくれれば、あるいはホームページが充実していれば、一定の青少年は興味を持ってくれるのですが、それは応援団みたいなものです。多いには越したことないけれども、組織の計画として本質的に重要な問題とはいえません。

【佐々木課長補佐】  では、ISASに限らず筑波宇宙センターなども含めてという御主旨ということでしょうか。

【永原臨時委員】 筑波宇宙センターまでかどうかは私には分かりかねます。

【JAXA(山本)】  やはり組織全体で、ISASだけではなくて、JAXA全体で人材を上げないといけない、例えばプロジェクトのリーダーだけではなくて、研究そのもののリードをしないといけないと思いますし、いろいろな観点の人材育成というのは、組織を継続的にといいますか、かなり長期的にやめることなく続けないといけない課題なので、表現ぶりについてどこかに工夫するようにしてみたいと思います。

【山之内企画官】  そうです、分かりました。

【髙橋部会長】  はい、どうぞ。

【古城部会長代理】  16ページの国際協力のところで、17ページに続くのですが、ここで文言として「宇宙システム」というのが出てくるのですが、これらを通じて、各国のニーズを踏まえた宇宙利用の拡大と社会基盤としての宇宙システムの定着を図ると出ているのですが、宇宙システムというのは何か定義されていましたでしょうか。文言として曖昧なのですが。

【山之内企画官】  浮いてしまっている感じですかね。どこかで定義しているわけではなく、一般的に通じるかどうかですね。

【古城部会長代理】  言っていることは各国との協力関係を作っていくということと、それからもう一つは、日本の場合、官民が協力していてということを言っているのですが、何かそれ全体のことですか。

【佐々木課長補佐】  そうです、衛星やロケットなど全部含めて宇宙全体の。

【古城部会長代理】  宇宙全体に関わる。

【佐々木課長補佐】  はい、システムのことなのですが。

【山之内企画官】  少し分かりづらいでしょうか。

【古城部会長代理】  そうです、宇宙システムというと、何か宇宙のシステムのようで、協力関係の何か総体みたいなことを表すのでしたら、もう少し宇宙に関する協力システムとか何か、分かりやすいものにしないと、多分誤解も生じるような気もするのですが。

【山之内企画官】  そうです、分かりました。そこは考えます。

【古城部会長代理】  あともう1点、よろしいですか。

【髙橋部会長】  はい、どうぞ。

【古城部会長代理】  その下の調査分析のところです。以前の評価の際にもJAXAがやられていると出ていたのですが、これを本格的にやろうとするとかなりの人員が必要で、それは、私は大変重要なことだと思うのですが、今の状況だと、確か人員が数人というか、本当に少ない、1人か2人みたいな感じだったと記憶しているのですが。

【佐々木課長補佐】  5人ですね。

【古城部会長代理】  5人ぐらい。その人員で拡大していこうとするのか、それともこういうふうに書いておくことで人員をもっと下さいというのか。

【山之内企画官】  これは意図はどちらなのでしょう。

【JAXA(山本)】  まず実態から言いますと、もちろん数人規模の1つのグループなのですが、情報源といたしましては、各国に駐在事務所がありますので、その駐在事務所のメンバーももちろん情報源になっていますし、ある種の海外のシンクタンクを使って情報を集めています。そうだとしても、やはり規模が広がると人が十分なのかと言われると、確かに不足といえば不足です。我々はやはりここの問題は、集めた情報がどれだけの価値を生み出して、単に客観的な事実だけではなくて、その事実があったがゆえにうちの計画をこう変えたとか、あるいは政策の上でこういうふうに使ってもらったというところの歯車のかみ合わせ方をもう少し工夫しないと、人を集めてどんどん情報を持ってきて、立派な報告書を書くだけではやはり足りないのではないかという問題意識の方が強いです。この文言については文科省さんにお任せするところなのですが、我々の問題意識としてはそういうところにあります。

【古城部会長代理】  分かりました。

【髙橋部会長】  ほかによろしいでしょうか。全体を通してでも結構ですので、今まで説明されてきたことについて、全て通しで、もし御意見、御質問がありましたらお願いしたいと思います。
 では、私から1つJAXAの方にお伺いしたいのですが、この第4期の今出されている中長期目標、これをやり切っていく、推進していく上での課題はどのように認識されているのか、先ほどリソースという話もありましたけれども、そういうところも含めて、お伺いしたいと思います。

【JAXA(山本)】  非常に重たい質問なので、適切に答えられるかというところはあるのですが、我々、前回理事長からもレポートさせていただいたときに、やはり急速に変化しているということなので、その変わっているものに適切に対応していかないといけないというところがまずはあるのではないかと思います。それはやはり先ほどからも話が出てきている1つの大きな期待は、閉じた宇宙だけの人たちがやっているというのはもうほとんど世界ではなくて、やはりいろいろな人たちが入ってきてやっていくというオープンイノベーションの世界に代表されると思うのですが、そういうものが、理屈では分かっているものの、本当に具体的にそれが仕組みとしてできて機能していくかというところは、さらにやはり真剣に考えないと、表面上予算を取って何かそういう人を宛てがってということではだめだと思うので、そのあたりの実態をそこにどうして書くかということだと思います。なので、まとめると、やはりいかに変化に対応するかと。敏感に対応するときにも、単純に頭の中の理解ではなくて、やはり実現するのに実態として成果があるようなところはもう一歩高い検討をしないとそうそう簡単ではないという問題意識は持っています。お答えになっているかどうかあれですが。

【髙橋部会長】  大事な指摘だと思います。ほかにいかがですか。何かあれば。

【JAXA(坪井)】  大きな基本方針は宇宙基本計画にあると思っていまして、たまたま今、宇宙基本計画の10年という時期と、このJAXAの7年の終わりの時期が同じなので、まさにその基本計画に示されたようなことをどう対応していくかということがあろうかと思います。あと、先ほどのリソースの点にまた戻ってしまうと、先ほど出されたいろいろな多角化、山本からも申し上げましたけれども、民間や、また他省庁も含めて、今回情報収集衛星が一言書かれましたけれども、今あれは非常に大きなリソース、委託を頂いて、それに対応する人材もある程度そろえてやる部分、ああいう形があるわけですけれども、そういったところが今後安全保障の関係、別な安全保障のところでもそれがどういう形で進むのかということも含めて検討されていく、これは政府の方で検討をお願いしてどういう枠組みを整えていただけるかということがあるのではないかという気がしております。

【髙橋部会長】  せっかくですから、どうぞ。

【JAXA(筒井)】  よろしいですか。先ほど部会長おっしゃっていただいたみたいに、手離れよくというところが大事かなと。リソースが限られているということもありますし、日本の中の産業を大きくしていこうと思うと、JAXAで1つを抱え切るというのは不可能であって、それをできるだけ広げていくためには、まず外に渡していくと。我々は最先端を進んでいくような、そういうふうな道のりがいいのではないかというふうに思っております。

【髙橋部会長】  ありがとうございました。今お話しいただいた中長期目標を取り組む上での課題を、是非JAXA内で共有化していただきたいと思います。それぞれ大変重要な課題だと認識いたしました。
 今のお話を伺っての御意見、御質問があればと思うのですが。よろしいですか。
 はい、ありがとうございました。それでは次に、資料3の政策体系図(案)について事務局より説明をお願いします。

【佐々木課長補佐】  では、事務局から説明させていただきます。冒頭、資料1の4ページで御説明したとおり、「独立行政法人の目標の策定に関する指針」において、国の政策体系において法人の業務がどのように位置付けられるかというのを明らかにした資料を中長期目標に添付しなさいというふうに指針上言われておりますので、これがその案になります。中身としましては、まず、JAXAの役割としてその背景にどういった政策上の方針があるのかというのを上に書いてありまして、左の方からいくと、宇宙基本法から主に宇宙基本計画などの宇宙に関する政府の方針というのが出されていると。宇宙基本計画の3つの重要な柱として宇宙安全保障の確保、民生分野における宇宙利用の推進、宇宙産業及び科学技術の基盤の維持・強化というものが掲げられています。右に行っていただくと、科学技術基本法というのがまずありまして、その法に基づいて科学技術基本計画が作られていて、そこの中で科学技術基本計画等々に基づいた航空分野における文部科学省の方針というのを研究開発計画という形で、そのピンクのところにあるとおり、科学技術・学術審議会の研究計画・評価分科会というところで策定しておりまして、航空・科学技術分野が国家戦略上重要な基幹技術の推進というところに書かれているという形になっています。その下に、JAXA法についておさらいにはなりますけれども、機構の目的というのは第4条に書いていまして、大学等における学術研究の発展、宇宙科学技術及び航空科学技術の水準の向上並びに宇宙の開発及び利用の促進を図ることがJAXAの目的であるというふうに個別法として定められていると。で、ここからは8月末に決定した見直し内容に沿った形にはなりますけれども、そのJAXAを取り巻く環境の変化として、宇宙空間の安全保障上の重要性が高まってくるとか、あと、災害対策や気候変動対策というものの重要性が高まってきた、また、宇宙航空産業への期待の高まりとともに国際的な競争が激化してきたということと、あと宇宙科学・探査分野で新興国が台頭してきたり、探査活動というのが世界各国で活発化してくるというような諸々の環境の変化があって、第4期、次期中長期目標期間における取組としては、見直し内容に書かせていただいた内容になるのですが、宇宙基本計画及び研究開発計画で示された具体的施策を着実に実行するということと、社会を技術で先導し、新たな価値を創造する組織へ変革して、以下の4つの取組方針を踏まえ事業を推進ということで、机上配布資料2で企画官から説明したものと同じなのですが、安全保障の確保及び安全・安心な社会の実現、宇宙利用拡大と産業振興、宇宙科学・探査分野における国際的プレゼンスの維持・向上等、航空産業の振興・国際競争力強化という4つの取組方針に従って次期中長期目標期間においては取り組んでいきますという形に政策体系図としてまとめさせていただいております。
 事務局としては以上です。

【髙橋部会長】  ありがとうございました。ただいまの政策体系図について御意見、御質問あれば、よろしくお願いいたします。はい、どうぞ。

【古城部会長代理】  文言にこだわるようで申し訳ないのですが、下のところの、「社会を技術で先導し」というのがあるのですが、これは「社会を科学・技術」とにできないでしょうか。

【佐々木課長補佐】  「科学」を入れる。見直し内容は「技術で先導し」になっていたので、そのまま記載したのですが、「科学・技術」とするということでしょうか。

【古城部会長代理】  はい。

【佐々木課長補佐】  その御主旨としては、JAXAにおいてはサイエンスも重要だからという。

【古城部会長代理】  はい、その通りです。

【佐々木課長補佐】  そうです、検討します。

【山之内企画官】  そうです、確かにJAXAさんさえ問題なければ入れた方がよくなるならいいですね。

【JAXA(山本)】  多分お手元の中に、JAXAというのが、政府が進める宇宙開発利用を技術で支える中核的機関という、そういう文言があったのがこういうところにそのまま来ているのだと思いますけれども、おっしゃるとおり、実態は別に技術だけではなくて研究的なことも含まれているので、JAXAとしては入れてもらえればと。

【山之内企画官】  どうもありがとうございます。では、そこは修正しようかと思います。

【平野臨時委員】  今、文言のことが出ていたので、同じところなのですが、これは「科学・」を加えて、「先導し新たな価値を創造する組織へ変革し」とありますね。変革するということは、今そうじゃないということなんですよね。では今までは何だったのかというのが、言葉尻を捉えればそういう感じがして、向上させていくとか、加速とかいろいろあると思いますけれども、変革というのは、現状がやはりそうはなっていないものを実現するということなので、その辺が首尾一貫するように、言葉は慎重に選ばれたらいいかなと思います。

【山之内企画官】  はい。あとは永原先生言ったとおり、国際プレゼンスのところは少し直させていただこうと思いますので。

【髙橋部会長】  ほかによろしいですか。
 それでは続いて、資料4の評価に関する評価軸等の(案)について事務局より説明をお願いします。

【佐々木課長補佐】  では、事務局の方から説明させていただきます。資料4、評価に関する評価軸等の案を御覧いただければと思います。これも冒頭、資料1の4ページ目でお話しさせていただいたのですが、同じく「独立行政法人の目標の策定に関する指針」等におきまして、まず目標策定時に適切な評価軸を設定して法人に提示するということで、この枠の真ん中に評価軸と書いてあるところがあるのですが、評価軸を設定しています。右の方にその関連する評価指標、モニタリング指標ということで、評価、評定の基準として取り扱う指標を評価指標とする、また、正確な事実を把握して適正・厳正な評価に資するための必要な指標をモニタリング指標として、その2つを適切に分けて、当該指標がどちらなのかを明示した形で別添として中長期目標に付けてくださいということに指針上なっておりますので、右に関連する評価指標、モニタリング指標という形で付けております。評価軸につきましては、今のその見直し内容から来ている取組方針の4つを軸にしておりまして、例えば安全保障の確保及び安全・安心な社会の実現については、我が国の安全保障の確保及び安全・安心な社会の実現に貢献する取組の立案・検討・マネジメントは適切に進められたか、それに伴う成果が生まれているかという軸で評価をしていく。その下、宇宙利用拡大と産業振興、宇宙科学・探査分野における国際的プレゼンスの維持・向上等、航空産業の振興・国際競争力強化という4つの取組方針でそれぞれ同様の軸を作ってここに書かせていただいております。
 右に移りまして、評価指標とモニタリング指標で真ん中ぐらいで分けているのですが、まず、その評価指標としても、マネジメントに関するプロセス面といいますか、マネジメントの状況や外部との連携協力の状況、研究開発を実施するに当たってリスクを低減するためにどれぐらい事前の検討をしたかなど、そういったマネジメントに関する指標がまず上にあって、その成果に関する指標として、左の4つの軸に関する成果を評価していくための指標を定めていきたいと考えています。その真ん中のあたりからモニタリング指標という項目があって、これもマネジメント関係と成果で分けてあるのですが、モニタリング指標としてマネジメントの指標で外部の政府系機関との連携数や民間事業者との連携、大学、あと海外機関との連携数というのを数値としてモニタリングするための指標として出すと。成果指標としては、国際的ベンチマークに照らした研究開発等の成果、例えば打上げ成功率や、著明論文誌への掲載状況、あとはこれはリモセンになりますが、外部へのデータの提供数、2ページ目に移っていただいて、例えば産業振興の中で新たな事業がどれぐらいJAXAが関与した上で生まれたか、宇宙実証機会を民間事業者や大学にどれぐらい提供したか、研究開発成果の社会還元や展開状況、論文数、あと人材育成のための制度整備・運用の成果、あと施設・設備の他機関への供用をどれぐらいしたか、あと外部資金等の獲得・活用がどの程度あったかというような形のものをモニタリング指標のうちの成果に関する指標としてこういったもので数字をお示ししていく形で考えています。
 事務局からの説明は以上です。

【髙橋部会長】  ありがとうございました。ただいまの説明に対する質疑をお願いいたします。はい、永原委員、どうぞ。

【永原臨時委員】  先ほどのアウトプット・アウトカムの関係とかみ合っていないと申しますか、今までやってきたいろいろな評価で使ったような項目が並んでいるような気がいたします。先ほどの資料に従うなら、評価軸はアウトプットに対して行い、個々のアウトプットをどのように評価するかという形でモニタリング指標が設定されるべきではないでしょうか。現在モニタリング指標に書いてあることは、一般的な組織評価に使ってきたような、数値化しやすいもの、例えば引用論文数などが独り歩きしている感があり、今日の議論が無駄になってしまうような感があります。

【山之内企画官】  そうです、おっしゃったとおり、アウトプットを説明させていただいて、それが疑問形になるというのは1つあるかなと思ってはいるのですが、ただこれは実は添付資料とはいえども、7年間このままなんですよ。そういうことを考えると、それぞれの評価指標というのはまた別途議論して作ります。この、いってみれば各省と調整したり大臣で上げて7年間フィックスする、で、少しでも変わるとまた上げ直しというか、いろいろな作業が存在するというのもあって、できるだけ一般的なことをまずはここで書かせていただいて、結局評価はその時々に応じて毎年やりますので、それはこのアウトプットを裏返した言い方だとか、そういったものを考えていこうかなと思っております。そのやり方についてはいろいろ議論はあると思うのですが、だから、できるだけ一般的なことをここでは示しておこうかなという感じで考えております。

【永原臨時委員】  はい。

【山之内企画官】  おっしゃったとおり、アウトプットを裏返すというのは当然あると思いますけれども。

【佐々木課長補佐】  そのアウトプットが項目によって違うわけで、それを共通的に読めるように今の文言になっているという形なので、その各項目のアウトプットごとに決めていくというよりは、全体としてこういう視点で見ていくと。その中で毎年JAXAから業務実績報告書を出していただいて、評価の議論をしますけれども、その中で、例えばどこどこの項目においては、この評価指標に基づいてもう少しその項目に特化した書きぶりでJAXAから報告を頂いて評価するという形になるかなと思います。

【山之内企画官】  余り細かく決めてしまうと、それに縛られてしまうということがあるので、できるだけ裕度を持たせたいというのは本音です。だから、実際言うと、総務省の指針に書かれているので難しいところもあるのですが、少し細かいと思うんですよね、こういうのを決めるのって。個別個別に全部書き込むのかというと、それはどうなのかというところはあるので、できればこれぐらいの、今、佐々木が言ったとおりの共通的なものはしっかり書いておくと。ただその上で毎年毎年の評価あるいは見込み評価のときには、ここで書いたアウトプットを裏返すような具体的なところを書くというのも一つの方法ではないかなと思いまして。

【平野臨時委員】  私が理解致しましたのは、評価指標とモニタリング指標は明確に分けなさいという指示があり、基本的にはモニタリングしていくのはアウトプットであるということです。つまり測定できて成果として確認しやすいものがモニタリング対象、すなわちアウトプットであり、それが広く社会にどういう影響を与えるのか、あるいは川下産業にどういう貢献ができたのか、などがアウトカムではないでしょうか。アウトカムには定性的な要素も入ってきますし、評価指標としては複雑かつ曖昧にはなります。モニタリング指標は達成できたかできないかという、比較的定量的な話ですのでシンプルです。当然、目標の数値でありますので、達成する努力はしていただかなければならないのですが、本来はもっと多面的な評価が必要だと考えます。つまりアウトカムを評価することが重要であると私は考えます。

【髙橋部会長】  よろしいですか。この評価軸、評価指標、モニタリング指標というこの資料4を提出する必要があるということですね。

【山之内企画官】  添付資料でありまして、本体本文とこれはセットで。

【髙橋部会長】  セットで提出しなければならないわけですね。

【山之内企画官】  セットにするようにというのが今回新しいところでして、だから、今基本的なことを聞かれてしまったのですが。

【佐々木課長補佐】  すでに新たな中長期目標に移っているほかの法人のものも参考にしながら作っていて、ほかの法人も、例えば、各研究分野に分けてこの分野の指標がこう、みたいな感じには余りなっていないんですよね。研究開発に関する事項で一括して、例えばこういったところで評価しますということを領域や分野に限らず共通的に書いてあるというところがあって、それを参考に作っているという面はあります。

【平野臨時委員】  JAXAの内部のマネジメントは、これにまた準拠した形になるということなのでしょうか。それとも、JAXAはJAXAで組織体としての指標を定めて、それらを各部門に当てはめて管理をしていくということになるのでしょうか。

【JAXA(坪井)】  JAXAがまず6月に自己評価書を作りますけれども、その様式で評価軸とかを書く欄がありますが、それはこれを使うので、同じものになります。

【平野臨時委員】  では組織内のマネジメントで使う指標はどういうことになるのでしょうか。例えば各プロジェクトに目標を与えることであるとか、人事評価に使うとかということはどのように行われていますか。

【JAXA(坪井)】  それはそれで、いわゆる独法通則法に基づく評価書ということではこれは使いますけれども、さらにそれより細かいJAXA自身の中でのプロジェクトについては、またより詳細な目標などは当然作っていくものはあります。あくまでも独法通則法に基づく中長期目標と中長期計画と毎年度の自己評価書というのは、法律の体系の中で作っていくと。

【平野臨時委員】  理解したものになるということですよね。

【JAXA(坪井)】  この中ではまさに中長期目標の、今回の資料の6ページの真ん中あたりに、まさに別紙に掲げる評価軸等に基づいて実施すると引用されていますが、これに基づいてJAXAの自己評価は当然一緒のものをということで、一気通貫になっていくものです。それを基に主務大臣が評価書をまた作られると思います。

【平野臨時委員】  ということは、組織運営上はこれがガバナンスの基本軸になるのであり、JAXAをマネージされている立場の方々とりましても、これは違和感なく整合的なものであると理解してよろしいですか。

【JAXA(坪井)】  はい、一応これは事前にも相談を頂いて、確か指針の中にもこの評価軸やモニタリング指標、評価指標は、法人側も十分納得して作るようにということが書いてあるので、それは今事前に相談させていただいて、今の段階で我々はこれで結構だと思うということで回答させていただいています。

【平野臨時委員】  そうすると、経営の意識として見ると、まずこのモニタリング指標は定量的なものですので、これは必達目標として頑張るという性格なものになるのですね。

【JAXA(坪井)】  あともう一つ、このモニタリング指標について、いわゆるさらに数値目標を立てるか立てないか等も自由度があると聞いていますので、あくまでも、数値目標を立てた上でのモニタリング指標と、論文数は幾つでしたという現状のデータを提供するというところが両方あって、後者もあり得るんだろうと思っています。

【平野臨時委員】  分かりました。いずれにしてもモニタリング指標で進捗を評価するということですよね。

【JAXA(坪井)】  はい。

【平野臨時委員】  では評価指標は、ここでいうアウトカムと言われる社会的インパクトや産業界への貢献などのより広がりのある視点で見ていくということで良いですね。当然、そのような評価はJAXAの内部だけで完結できるものでもなく、外部機関と協力をしていくということですね。

【JAXA(坪井)】  はい。ということもあって、JAXAの中でできる範囲の中でのマネジメントの状況という、多分そういう表現に盛り込まれていて、JAXAはここまで、こういうやり方でやりました、いろいろな機関とこれだけ連携をやりましたということまでを書いて、ただ、それが本当に利用機関で使われたかどうか、その先にまた出てくるという、少しタイムラグもあるでしょうし、JAXAとしてやったマネジメントの状況までを自己評価書に書き込むのかなという理解をしております。

【平野臨時委員】  ですから、当然その最後のアウトカムにつながるような形で努力をされると、それがマネジメント指標から評価指標に入ってくるという理解でよろしいですね。

【JAXA(坪井)】  はい。

【平野臨時委員】  では、もしJAXAが内部のマネジメントがこのような考え方で行われるということであるとすれば、外部の評価というのもこの考え方に沿って評価をするというのは妥当だということになると思いますが。

【JAXA(坪井)】  はい。

【平野臨時委員】  そのようなすり合わせはできているものと理解して良いですか。

【髙橋部会長】  実際、これを読むと、例えば成果指標で評価指標の安全保障の確保及び安全・安心な社会の実現に関わる取組の成果、これはかなり包含されますよね、やっている成果が。ですから、実際はこういう指標の表現だとしても、個々のプロジェクトごとには大体この中に包含されて、実際もっと具体的な取組の成果が出てくると。実際私もこの評価軸、評価指標を意識して評価したことはなくて、成果そのものの欄を見て、Sの根拠、Aの根拠と、あの欄を見て実際は評価しますので、総務省の指針にのっとって整合性をとりつつ、それぞれの個別のプロジェクトごとに成果を、アウトプット・アウトカムを明確に表現していく、実際はそういうことにしているのではないのかなというふうに思っていますけれども。

【JAXA(坪井)】  はい、まさにおっしゃるとおりで、この指標の下で具体的な記述は自己評価書なりでデータなどに基づいて提示、書き込んで御提出していきたいというふうに思っています。

【永原臨時委員】  まだしっくりこなくて、一番下に書かれていることがアンバランスな感です。評価指標の方は茫漠とした抽象的な表現でありながら、このモニタリング指標の、特に成果指標に書かれていることは、大変細かく、論分数が幾つ、引用幾つ、引用が高かった論文の数が幾つというようなレベルで、JAXA全体の評価というよりは、個別の研究者の評価を行っているようなレベルです。中期目標では1から11までのことがあり、それを包括的にどのように評価していくかを述べたいということで、茫漠とした表現で書かれています。しかし、後半は非常に具体的で、毎年の論文数がいくつであったという調子です。前半の全体計画をどのように判断していくのかがわかりにくくなっています。

【山之内企画官】  評価指標の成果指標は、今、髙橋部会長がおっしゃったとおり、評価軸をそのまま持ってきていて、それで個別には、個別の事情があるので……。

【永原臨時委員】  そうです、何か具体的なものを書く必要があります。

【山之内企画官】  そこの基軸というのは先ほど申したとおり、1つずつ設定していって、JAXAの方で自己評価してみんなに見てもらうという形になると思うのですが、それをそこまで今の時点で書くかという。

【永原臨時委員】  それは書かなくてよいと思うのですが、モニタリング指標の特に2ページ目の辺りになると、もはや大学評価のような書きぶりで、JAXA評価のように見えません。

【山之内企画官】  ここにも書いてあるとおり、絶対にこれをやるというわけではなく、例という形で細かく括弧で書いていたりしていて、これはモニタリングであくまでも参考指標になるものであり、絶対やらなくてはならないということではないというところもあるので、できるだけ具体的に書いてみたというところがありまして、バランスが悪ければ、下の方の例を少し修正するとか、数を減らすとか、いろいろやり方はあると思うので、JAXAと相談して修正しようかなと思いますけれども、よろしいでしょうか。

【永原臨時委員】  一番左の中長期目標、それから評価軸のところまではいいのですが、右欄が適切ではないという印象です。

【山之内企画官】  そうです、分かりました。

【髙橋部会長】  評価指標とモニタリング指標が同列に扱われているような印象があり、大事なのは評価指標だと思うんですね。モニタリング指標というから違和感がり、モニタリングできるものはどういうものがあるのかということを並べるとこういうものがあるというぐらいの位置付けではないかと。

【山之内企画官】  そうなんです。

【髙橋部会長】  これが評価の指標になってしまうというのは、今、永原先生がおっしゃったみたいに、違和感があるんですよね。位置付けが分かるようにした方がいいですよね。

【山之内企画官】  そうです。

【JAXA(坪井)】  そこはまさに資料1の4ページの御説明になったところで、評価・評定の基準として取り扱う指標が評価指標で、モニタリング指標はそうじゃないと。まさに評価評定の基準として使わないと暗に言っているはずなのですが、確かにこういうふうに見ると、何かこれも評定に使うように見えると。

【髙橋部会長】  この紙で見ると、同列になっているように見えてしまいます。このフォーマットも総務省からの指示なのでしょうか。

【JAXA(坪井)】  そうです。

【平野臨時委員】  最終形に関しては、例年SとかAとかやりますね。その形式は踏襲されていくという理解でよろしいですか。

【山之内企画官】  踏襲されます。

【平野臨時委員】  そうだとすると、このようなモニタリング指標だけで我々がS判定をするということではないわけで、総合的な評価指標を各11のテーマごとに見て評価をすることになりますので、運用面においてそれほどの齟齬があるという感覚は私は持ってはいません。

【山之内企画官】  はい。

【JAXA(坪井)】  モニタリング指標に書かれたデータも我々が出す評価書には必ず載せますと、そういうことに。

【平野臨時委員】  ということですね。右の方にいつも並んで書かれていますね。参考情報として我々も読むぐらいのものですが。

【JAXA(坪井)】  御指摘のとおり、評定の区分というのは、また評定の説明には実は評価指標とかモニタリング指標ということは出てこないはずですので。

【平野臨時委員】  この1から11までそれぞれにS、A、Bというのがあるわけですね。

【JAXA(坪井)】  そこには評価軸という言葉も評価指標ということも出てきてなく、法人の組織本来の業務とか中長期目標の関係でどうかとか、確かそういうことだけが書かれていたと思います。

【山之内企画官】  見直させていただくと、モニタリング指標は今言ったようなことではございまして、これはあくまでも参考値になるもので、できるだけ書いた方がいいのかなと、そういう思いがあったのですが、そこはバランスがとれるように直させていただこうと思いますので。

【髙橋部会長】  ほかによろしいでしょうか。それでは、以上ですが、今日、委員の先生から御指摘のあった点について、具体的にどう対応するかという対照表のようなもので分かるようにして、またフィードバックしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上で本日の審議は全て終了いたしました。最後に、事務局より事務連絡をお願いいたします。

【永原臨時委員】  すみません、さきほどはフローチャートでしたので、本文の方で気になっているところがあるのですが、それについて意見させていただいてよろしいでしょうか。

【山之内企画官】  もちろんです。

【佐々木課長補佐】  本文への御意見の提出については、これから御説明いたします。それでは、事務局の方から説明させていただきます。本日の御議論を踏まえまして、次期中長期目標の案と、政策体系図の案と、評価に関する評価軸の案については、机上配布資料4として御意見記入シートを作っておりまして、そちらに御意見頂く形にしております。中長期目標の本文はかなり長くて、本日読む時間がなかったと思いますので、持ち帰って読んでいただいて、意見を提出いただければと思っております。御意見記入シート、電子ファイルにつきましては、本日事務局よりメールでお送りさせていただきます。提出期限については、申し訳ないのですが、11月21日、来週の火曜日の13時までに事務局への提出をお願いいたします。
 また、次回の文部科学省JAXA部会に関しましては、12月13日水曜日の14時から開催いたしますので、御出席のほどどうぞよろしくお願いいたします。開催場所は未定ですので、追って御連絡させていただきます。
 本日は長時間の御審議ありがとうございました。
 事務局からは以上です。

【髙橋部会長】  よろしいでしょうか。それでは、以上でJAXA部会を閉会したいと思います。長時間ありがとうございました。

―― 了 ――

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