国立研究開発法人審議会 海洋研究開発機構部会(第16回) 議事録

1.日時

平成30年12月7日(金曜日)10時00分~11時58分

2.場所

文部科学省東館 15F1会議室

3.出席者

委員

江川部会長,三枝部会長代理,ウォリス委員,大久保委員,鈴村委員,知野委員

文部科学省

阿蘇海洋地球課長,近藤海洋地球課課長補佐,下村専門官ほか

4.議事録

【江川部会長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第16回海洋研究開発機構部会を開催いたします。
 皆様、御多忙中にもかかわらず、御出席賜りまして誠にありがとうございます。よろしくお願いします。
 本日は、お手元の議事次第のとおり、海洋研究開発機構次期中長期目標(案)等、海洋研究開発機構次期中長期計画(案)等について議論を行います。
 それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【下村専門官】  それでは、事務局より配付資料の確認をさせていただきます。
 本日ご都合により、水本委員は御欠席でございます。
 引き続きまして、配付資料の確認ですが、前回に引き続き、本日もペーパーレスで進めさせていただきます。お手元のタブレットや御持参いただきました端末に、資料1から資料4までの本資料と、参考資料1から9が表示されていると思います。もし端末に不都合等ございましたら、事務局までお申し付けください。
 このほか、席上に座席表、議事次第、配付資料として2部(配付資料1、配付資料2)を用意してございます。以上です。
【江川部会長】  それでは、議事に入りたいと思います。
 議題1は、海洋研究開発機構次期中長期目標(案)等についてを議題とします。
 まず、事務局から本日の会議の趣旨について御説明をお願いします。
【阿蘇課長】  ありがとうございます。本日の御議論の内容は2点ございます。1つ目は、JAMSTECの次期中長期目標(案)、そして評価軸・評価指標(案)で、前回の部会で御議論頂いた内容を踏まえて修正した部分について色付けするなど、前回からの変更点を分かりやすくした資料を御用意しました。2つ目は、JAMSTECの次期中長期計画(案)です。本日は、JAMSTEC平理事長、阪口理事、東理事、篠崎理事にお越しいただきました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【江川部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、早速、次期中長期目標(案)及び評価軸、評価指標(案)の訂正箇所について御議論いただきます。事務局より説明をお願いします。
【下村専門官】  事務局より資料2-1-1、資料2-2、資料2-3-2に基づきまして、中長期目標(案)と評価軸、評価指標(案)の修正箇所について御説明させていただきます。
 まず、早速ですが、資料2-1-1で、前回のものからの修正箇所を見え消しで表示させていただいているものをご覧ください。
 先ほど課長から御説明しましたとおり、前回の部会、あるいはそれ以降、委員の先生方から頂きましたコメントを踏まえて修正した箇所と、私どもの方で文章の適正化を図る観点から、技術的な修正をした箇所というところがございます。
 早速ですが、資料2-1-1の1ページ(12分の3ページ)をご覧ください。
 ローマ数字1、政策体系における法人の位置付け及び役割の部分でございます。中ほどにおきまして、「国際的な状況をみると」というフレーズでございますが、「更には」というところと「また」というところで2つほど、最近の国際的な状況のうち、海洋科学技術全般に関わるようなものについて、コメントを踏まえた上で状況を追記してございます。それ以外の部分につきましては、文章上の技術的な修正ということです。
 続きまして、2ページ目(12分の4ページ)をご覧ください。ローマ数字3の1.海洋科学技術に関する基盤的研究開発の推進というところに、ポツが4つ並んでいるところと4番目のポツでございますが、先ほどと同様、国際的な状況について追記した方が良いのではないかというコメントを踏まえて、追記してございます。
 その下の「このため」のところの文章でございますが、こちら「また」以下のところの順序を入れ替えてございます。これは、(5)の部分の研究開発課題についての記述の順序に合わせて、順番を技術的に入れ替えさせていただいたという修正でございます。
 (1)のところに、「パリ協定等」と追記してございますのは、委員の先生のコメントを踏まえての追加でございます。
 続きまして、3ページ(12分の5ページ)ですが、こちらは委員の先生方のコメントを踏まえて修正してございます。
 その次の(3)の地震のところでございますが、こちらは技術的な文章の適正化という観点で修正してございます。
 その次の(4)数理科学的手法によるという、この部分でございます。こちらは前回、部会でも非常に多くの委員の先生方から御意見をいただき、かつ、その後も幾つかコメントを先生方から頂きましたのでこれらを踏まえて、特にリード文の部分を書き換え、修正してございます。
 修正箇所について、その内容を御説明させていただきます。ここでは、大きく分けますと2つほど委員の先生方からのコメントがございまして、1つが本課題で取り組むべき内容の具体的なイメージが読み取れないといった御指摘、もう1つが、従来から取り組んでいる1から3の課題との違いがよく分からないのではないかといった御指摘でございました。
 これを踏まえた修正箇所は、このページの下のところでございます。従来、上述(1)から(3)のような個別の研究開発課題で得られる知見を基に対策が検討されてきた。しかし、人間活動が地球システムに及ぼす影響が大きくなった今日、種々の対策というのが地球環境や経済、社会に与える影響というのは、与える効果はまちまちであって、一方ではコベネフィット、相乗便益をもたらすものがあるほか、他方ではトレードオフの関係に立つものもある。そういった中、その効果を科学的見地から検証し、有意な対策を選択していくことが必要とされているといったフレーズにこの部分を書き換えております。こういった形で1から3のような従来型の研究開発課題とは異なる本課題実施の必要性というものを明記させていただきました。
 前回の部会で課長から説明させていただいた食料問題についても、こういったトレードオフあるいはコベネフィットという形で、相互に関連し合っている様々な問題が複数、複雑に絡み合っているような問題の例でございますし、そのほかにも、例えばパリ協定で合意されたネットゼロエミッション対策としてのCO2排出規制等、そうした最近の課題というのは様々な要素、要因がトレードオフ又はコベネフィットとして相互に関連し合っている。そのため、これらの関連性を把握、解明することが必要となっていると考えてございます。
 そして、これら様々な要因の中には、人間活動とか人間の健康とかいった問題や、あるいは社会インフラ等の基盤、経済動向等にも深く関係してきますので、こういった諸要因も含めて相互関連性を統合的に理解することが必要という中で、従来から実施してきた1から3のような研究開発を一層進展させて、その効果をより高めていくというのはもちろん重要ですが、それだけではなく、この相互関連性を発見していくために、高度化した数理科学的手法などを駆使して本課題へ取り組んでいくといった内容を記載しているところでございます。
 「このため」以下の部分でございますが、こちらは中身を変えたというよりも、資料2-2のフローチャートとの整合性を図る観点から、どのような取組でどのようなアウトプットを出すかということについて簡潔に記載する観点で修正させていただきました。本資料は、見え消しで分かりにくくなっていますが、見え消しをなくしたバージョンが資料2-1-2にございますので、そちらで全体は御確認いただければと思います。こちらが1つ大きく修正した点でございます。
 続きまして、(5)のところでございます。こちらにつきましては、委員の方からのコメントの中に、本課題では10年先、20年先の将来を見据えた挑戦的、独創的な研究開発をやるということであるならば、出口とかアウトカムのところに産業利用の促進が挙げられているのは余りにも飛躍し過ぎているのではないかというものがございましたので、産業利用の促進というのではなくて、世界をリードする新たな学術領域に加えて、新たな技術領域の開拓に向けてといったフレーズも追加してございます。
 それ以外のところにつきましては、(4)の具体的な記述のところと同様、フローチャートとの整合性を図って、簡潔に取組やアウトプットを明記したといった技術的な修正をしてございます。
 続きまして、6ページ目と書いてある12分の8ページでございます。2.海洋科学技術における中核的機関の形成の部分でございます。こちらは、基本的に文章の適正化を図るという観点からの技術的な修正を加えてございます。
 続きまして、同じように、次のページの7ページと書いてあるところの(2)の部分も同様でございます。
 その下のローマ数字4、業務運営の改善及び効率化に関する事項、1.の部分でございます。こちらは、複数の委員から、海洋機構においては見込み評価において課題として指摘したマネジメントの適正化というものについてしっかり取り組む必要があるだろうといった御意見、それがしっかりこの文章にも表れるように修正していただきたいといった御指摘がございましたので、それらを踏まえまして、タイトルに「適正かつ」というのを加えたというところと、内容の部分につきましても、業務運営の適正化に関する記述を充実するという修正をしてございます。
 それ以下の部分として、8ページ目(12分の10ページ目)でございます。こちらの人事に関する事項については、意図している内容が正確に伝わるように文章を技術的な観点から適正化したというところでございます。
 この修正のポイントに合わせまして、資料2-2のフローチャートも若干修正してございます。修正箇所は赤字で示してございますが、先ほどの目標の修正と連動させた修正でございますので、割愛させていただきます。
 引き続きまして、資料2-3-1、2-3-2で評価軸、評価指標(案)について御説明させていただきます。
 資料2-3-1については修正箇所が多く、分かりにくくなってございますので、資料2-3-2の溶け込ませたバージョンの方をご覧ください。
 こちらの評価軸、評価指標は大きく2つのパーツに分かれてございます。1つがローマ数字3-1の研究開発の推進に関わるもの、そしてもう1つがローマ数字3-2の中核的機関の形成に係るものでございます。
 研究開発の推進に係る部分でございますが、こちらはさほど修正箇所は多くなく、委員のコメントの中から、例えば共同研究件数については、(3)から(5)の課題にもモニタリング指標として加える必要があるのではないか等々の御指摘がございましたので、その点につき必要な修正をしてございます。
 3ページ目、中核的機関の形成に関わる部分でございます。こちらは大きく2点、御指摘を踏まえて、指標について改善を図ってございます。
 1点目としまして、評価指標のところですが、本部会でも繰り返し指摘してきたように、評価に当たっては、単に活動や取組の現状、実態を把握するだけではなくて、実施した取組の効果についても、指標を設定して判断していく必要があるのではないか、また、そのような観点からの評価指標が前回提示した指標軸の中に入ってなかったのではないかという御指摘もございました。そこで、それぞれの指標のところに、各取組についての効果あるいはその成果が分かるようなものを追記しております。
 もう1つの御指摘としましては、前回、指標が脈絡なくたくさん並べてあって、煩雑になっているのでないか、あるいはMOU等の意味のないものまで含まれているのではないかといった御指摘がございました。そこで、当該部分に含まれている内容に合わせまして、指標をまとめて、整理してございます。
 例えば(1)関係機関との連携強化によって成果の社会還元を進めていくという部分につきましては、中長期目標の内容が大きく5つのパーツ、小項目に分かれてございます。産学官連携、国際協力、外部資金の導入、人材育成、広報活動という5つの小項目に分かれてございますので、それに合わせまして、評価指標をそれぞれに合わせて1つずつという形で整理してございます。
 併せて、モニタリング指標につきましても、なるべく意味のある指標にということで改定いたしまして、MOUというのは消して国際共同研究契約件数というように修正してございます。
 (2)も同様の観点から、評価指標、モニタリング指標をそれぞれ整理したということでございます。
 簡単ではございますが、以上、修正箇所を中心に御説明させていただきました。
【江川部会長】  どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明について、御質問、御意見等ございますか。どうぞ。
【鈴村委員】  資料2-1-1についてはまだ修正し得るのでしょうか。
【下村専門官】  技術的な修正は可能です。
【鈴村委員】  4ページから5ページにわたって、(4)のところで非常に大きく変えられており、特に4ページの後半はすごくまとまっていて、意図が伝わるようになったと思いますが、5ページの冒頭で、「このため、機構」はとつながるところで、この問題解決と数理解析をつなぐものがありません。なぜ数理解析を行うことで、この問題解決につながるかというところが読み取れない部分があるのが気になりました。それが1点。
【江川部会長】  どのような言葉を入れると良いでしょうか。
【鈴村委員】  今すぐにお答えするのは難しいです。この課題は非常に複雑な問題解決をしなければならないのですが、単純に数値解析だけではないはずです。色々な考え方の中の1つとして数値解析があって、それは機構が得意分野としてメインで行っていくということだと思います。「このため」だけでつないでしまうと、機構の得意分野が薄まってしまうと同時に、無理やりつなげた感が出てしまう感じがします。
【三枝部会長代理】  今のお話、同意します。それであれば、5ページの一番上で、1回削除していただいたところを、「このためには、複雑に絡み合う地球環境と人類の経済・社会活動との相互関連性」、このあたりを復活させて、次の段落に入れていただき、例えばですけど、複雑に絡み合う地球環境と人類の経済・社会活動との相互関連性を効果的、効率的に解析するために、高度な数値解析を行う情報基盤の整備、運用を図りつつ、とつなぐのはいかがでしょうか。
【鈴村委員】  意図的にはそのような感じがします。
【三枝部会長代理】  多分、ここまで社会活動のところまで入れてしまうと、観測だけではとても無理なので、当然、複雑な数値解析モデルを使う必要があるということにはつながるかなと思いました。
【下村専門官】  分かりました。
【江川部会長】  ありがとうございます。ほかにありますか。
【知野委員】  資料2-2の2ページ、最初のところですけれども、海洋科学技術に関する基盤的研究開発の推進、ローマ数字の3の1.がありますよね。そこの2番目のところの「我が国の海洋技術の中核機関として」というのは削除されましたけれども、これはどのような理由からなのでしょうか。
【下村専門官】  この「中核的機関として」というこのフレーズは少ない分量の中長期目標の中で至るところに登場してございましたので、同じ記述を何度も繰り返すのはいかがなものかという観点から消してございます。他にもこのような観点で削除した部分はございます。
【知野委員】  そうですか。分かりました。ということは、前の方が重要で読まれるページだという認識ですね。
【下村専門官】  はい、そうでございます。
【知野委員】  分かりました。それと6ページのところですが、最後の下から3行目のところの普及広報活動のところから「戦略的な」というのが消えましたけれども、これはどういう意味でしょうか。
【下村専門官】  こちら、「戦略的な」という部分に特別な深い意味を持たせているわけではなかったため、プレーンな記述に変えたものです。従来から海洋機構は、戦略的に普及広報活動を続けてきてございますので、今回、何か新しい戦略を加えるというよりも、従来からしっかり続けてきている活動をより充実させて行っていくという意味合いで削除いたしました。
【知野委員】  ただ、以前、普及広報活動を漫然と行っている、例えば一般公開を何回やったとか、そういう話ばかりになっては望ましくないので、機構として何を知らせたいのかとか、どこにどういう点をアピールしたいとか、そこはもう少し戦略的に行った方がいいということでここに入れた経緯があったと思います。ですから、それはそのまま生かしておいた方がいいと思いました。
【下村専門官】  承知しました。復活させます。
【江川部会長】  ほかにありますか。
【大久保委員】  資料2-1-1、12分の6ページのところの(3)番で、海域で発生する地震及び火山活動に関する研究開発のところですが、例えば第2パラグラフ、「このため」以下のところにも色々な省庁とか大学とか機関が書かれてありますが、海上保安庁というのはなくてよいのでしょうか。それが等の中に含められるものなのかよく分からなかったもので。絶対に必要とまでは言わないですが、少し気になりました。
【下村専門官】  こちら中心的な連携先の例としていくつか記載してございまして、それ以外のところについても、もちろん必要に応じて連携は進めていくものと考えております。ここに書いてないから、連携先として重要ではないという意味では無く、紙面の都合上多くを記載するのは難しいため、主要なところを記載しました。
【阿蘇課長】  ただ今専門官から御説明差し上げましたとおり、書いてはいけないとかいうことでは全くなく、寄与度や連携の度合いについて今一度確認の上、必要であれば追記したいと思います。
【江川部会長】  ありがとうございます。ほかにございますか。
【鈴村委員】  もう1点、モニタリング指標に共同研究の件数が入ったこと自体、私はいいと思います。ただし、この指標を目標達成指標とするあまり、例えば資金提供型でない共同件数が多く増えてしまっても、事務的なロジばかりが増えて、むしろ研究員も事務方も非常に手間が増えるだけで、かえってメリットがなく、デメリットになってしまうので、運用の際には資金提供型に評価の重点を置くなり、規模によって評価の仕方を変えるなり、運用の仕方については工夫をしていただきたいと思います。
【下村専門官】  承知いたしました。
【知野委員】  済みません、質問です。よろしいでしょうか。
 モニタリング指標のところのオウンドメディアのところなのですが、将来的にはオウンドメディア以外の新しいツールを取り入れる可能性もあり得ますとのことですが、これは具体的にどういうイメージのものなのでしょうか。今はオウンドメディア以外は分析が難しいということをおっしゃられていると思いますが、将来的には新しいツールというのは、具体的に何をお考えでしょうか。
【下村専門官】  机上配付資料1の8ページ目で、既にモニタリング指標の部分は現状でしっかり把握できているものを中心に、重要なものを例として書いてございまして、今後、検討の中で場合によっては増えていく可能性もございますが、まずはこれを中心にやりたいということで御返答させていただいたところです。海洋機構で何か新しく検討されているものございますか。
【平理事長】  我々がやっているSNSとかフェイスブックとかツイッターとかのアクセス数等の分析を今盛んにやっているところですが、以前、外部に委託していろいろ調査したのは、広告費用換算値であって、外部メディアでどのように我々が扱われ、それがどのように反響を及ぼしているのかということについては、残念ながら今までは調査していなかったので、そういった方法が我々にとって比較的使いやすい形でアクセスできるのであれば、もちろんやっていきたいと思っています。
【知野委員】  オウンドメディア以外にということですか。
【平理事長】  はい。
【知野委員】  今までは、マスメディアにどれだけ取り上げられたとか、何社に記事が載ったとか、そういう数値も出されていたと思うのですが、そういったものはもうおやりにならないということでしょうか。
【平理事長】  いや、そのようなことはないです。
【知野委員】  指標からはちょっとそこがわかりにくいと感じます。といいますのも、それが指標に入らず、オウンドメディアだけが強く出ているように感じられますので、自分のところだけで評価が高いと言っているかのような、少々閉ざされた印象を与えます。
【下村専門官】  アクセス等反響状況のところで、自分たちの企画数だけではなくて、反響というものについても指標は取っていくという趣旨です。
【知野委員】  以前、そういうのを取られていたと思うので、今回それが消えて、オウンドメディアだけしか書いてないので、これだけだと捉えきれないのではないでしょうか。
【平理事長】  それはそのとおりだと思いますので、我々としてはもちろん、例えばNHKで視聴率がどうだったとか、端的に言えばそういうことも含めて、そういうデータを使っています。積極的に取り入れていますので。ですから、そういうことはやるつもりなのですが、これだとやらないふうに読めるということでおっしゃったので、それは間違い。
【知野委員】  そうですね、オウンドメディアに閉じたような感じがします。自分のところだけなら、もちろん詳細に取れるでしょうが、そのあたりの表記もあればいいと思いました。
【下村専門官】  オウンドメディア等の「等」の部分をもう少し何か工夫をして書くという要望ですね。
【知野委員】  そうですね。
【下村専門官】  海洋機構とも相談の上、善処します。
【ウォリス委員】  オウンドメディアとはどういったものになるのでしょうか。
【篠崎理事】  例えばホームページとかツイッターとかフェイスブックみたいに、我々自身がアカウントなりを持っていて、我々の発意で発信しているものが基本的にオウンドメディアで、それのアクセス数というのは、例えばフェイスブックの「いいね」を幾つもらったとか、ツイッターで幾らリツイートされたとかいう話なのですが。
【ウォリス委員】  自分で運営する、例えばホームページの拡大……。
【篠崎理事】  どのぐらいアクセスしたかみたいな。多分、知野先生が言われているのはそうではなくて、我々以外のところがどういうふうに我々を見ているかということについての取り上げ方とか、そういう話までちゃんと含めるべきだという御指摘だと思います。
【江川部会長】  よろしいですか。
【大久保委員】  それってしっかりとした言葉があるのですよね。ジャパニーズイングリッシュではないですよね。
【ウォリス委員】  英語だと何でしょうね。
【下村専門官】  用語も少し分かりやすい表現にさせていただきます。
【大久保委員】  母国語にしている人が分からないというのでしたら、その可能性は……。
【江川部会長】  表現も含めて御検討いただくということでお願いいたします。
 ほかにございますか。
 ありがとうございました。それでは、次期中長期目標(案)の方に移りたいと思います。こちらは海洋機構から説明をお願いします。
【平理事長】  それでは、私の方から概要について御説明を申し上げたいと思います。
 資料a9、4-1ですか、パワーポイントの資料、次期中長期計画(案)の概要についてでございます。
 今回の中長期計画の(案)を作るに当たってまず我々がしたのは、今までの経緯についてレビューをしましょうということで、実は我々の今までの中長期計画に当たってのバイブルとは言えませんけれども、基本的な考え方というのは、平成25年に策定した長期ビジョンというのがございます。これについて、全所的に勉強会のような形でレビューをいたしました。このビジョンに関しては、15年先、当時の15年先ですから、2028年頃、2030年頃の日本の海洋立国のあるべき姿を目標として設定して、もちろんそれに全部JAMSTECがコントリビューションできるわけではありませんけれども、そういうことを目指して我々の貢献を発信していきたい。それには、バイオテクノロジーとか資源、あるいは未来予測のようなこと、それから防災という海洋国家日本としての基本的な軸がしっかりできているというのが大事だということで、このビジョンの目標という形にしました。
 それに対してJAMSTECの使命は、海洋、地球、生命、人類の統合的理解への挑戦。要するに、地球をシステムとして全体を理解していくというのが我々の目標であって、なおかつ世界を先導する機関であり続ける。それにはフロンティアを開拓したり、未知の領域を開拓するということが大事だということを言ってあります。
 そのときに研究課題として挙げたのが以下の1、2、3、4で、環境、地球内部、3番目が非常にベーシックなサイエンスといってもいいところで、生命の進化と海洋地球生命史。地球システムを理解するには、過去から未来へさかのぼっていかなければならない。こういうベーシックな研究が必要ですねと。4番目に、R&Dの非常に特化したものである資源やバイオテクノロジーというものを新しい展開を促していくのが大事だと。これはJAMSTECアドバイザリー・ボード、2013年に国際的なレビューを受けたところでございます。
 次のページをお願いいたします。そこで7つの中期研究開発課題というのを我々は作ったわけですけれども、左側に海底資源、環境、地震発生帯、海洋生命理工学という形でリサーチ・アンド・デベロップメント、プラス基礎研究ということで、右側に我々のファシリティーを使った「ちきゅう」、あるいは真ん中の地球シミュレーター、あるいは下の船、ロボットというものを作った研究基盤。こういうことが大事ですねということを取り上げたわけです。
 次のページをお願いします。それで、もちろん今の先程の7つの課題というのは、中期計画の中では少しデフォーム、違う形になっていますけれども、この委員会でもずっと評価を受けてきたということになります。
 一方、平成27年から社会の情勢、あるいは色々な政策、国の政策というのが出てきて、1つは国立研究開発法人化という国のイノベーションの駆動力になりなさい、研究開発成果を最大化しなさいという、ガバナンス上の問題も含めてメッセージが発信されたわけです。
 科学技術基本計画、平成28年のものでは、社会実装までの一体的な取組が大事ですねと。海洋あるいは宇宙に関しては、国家戦略上の基本的なフロンティアであって、国家基幹技術と言われるような科学技術は国がやっていくことですということが書かれていたわけです。
 第3期の海洋基本計画、今年の5月に出された基本計画では、海洋の安全保障、環境の維持・保全、サステナビリティーということだと思います。それから、科学的知見が一番大事で、それを基に様々なことは我々が決めていかなければならない。北極政策の推進、国際連携、協力、それから人材の育成と国民の理解の増進、こういう大きなメッセージが国から発信されているわけです。
 それをまとめて、我々として次の5つを社会的な要請に応える大きな目標として定めました。経済、社会、人類の課題への対応、フロンティアへの挑戦、安全・安心、国の基盤を支えるような国家基幹技術的なもの、それから人材育成、国際貢献、こういう部分を我々はしっかり捉えて、基盤として次の中長期目標を受け、それから計画を作っていく、そういう流れであったと理解しております。
 次の4ページですけれども、今ディスカッションしていただいた次期中長期計画あるいは評価軸というものが示されました。これについて文部科学省及び評価委員会でしっかりディスカッションいただいたことに対して感謝を申し上げたいと思います。
 今さらいろいろ言うことではありませんけれども、社会的、経済的課題への対応に関する研究開発の推進。Society5.0に向けての海洋・地球情報の高度化及び最適化に関する研究開発を新たに位置付けること。それから、国内外の関係機関との連携、協働関係の一層の促進。適正かつ効率的なマネジメント体制の確立ということが全体としては我々の目標として頂いたと理解しております。
 そのような目標を達成するために、中長期計画を作っていくわけですけれども、その計画の検討に当たってのバックグラウンドというもの、我々はフィロソフィーと呼んでみましたけれども、それが5ページ目に書いてあります。今までは研究と運用・開発、もちろんこれは我々の大きな2つの歯車といいますか、車輪でありますけれども、その歯車が完全に一体化し、融合し、ある目標に力強く進んでいたかというと、なかなかそうでない部分も実はあったのではないか。時に少し運用の方がこちらに行ったり、研究との齟齬が出たり、色々なものがありました。これは大きな意味での手法の融合ということで、我々、これからの目標は、融合、統合というのは1つの大きなキーワードですけれども、手法の融合というのをしっかりやっていかなければならない。
 2番目は、海洋開発から保全までの総合的な科学的知見の提供ということですけれども、これは先ほど言ったように、人類、地球、海洋システム、システムサイエンスとしての統合というのがありますけれども、成果はどういう成果として出すのかといったときに、これも統合した成果として、一連の海洋開発から保全までの様々な社会の要請に対して総合的な科学的知見を提供していく必要がある。これは成果の統合と言っていいと思います。
 3番目は、ロングレンジの海洋科学・技術を見据えた基礎的な研究。やっぱりここが我々の足腰ですので、あした、あさってのことをしっかり発信するには、長いレンジでの基礎科学、基礎技術の、これも科学と技術と両方書いてありますけれど、両者の統合的な基礎的研究が必要だと。
 4番目は、マルタイムとメガウェアネスのMDAやSustainable Development Goalsみたいな、我が国あるいは人類、世界が求めている様々な地球と我々の在り方に関する政策目標、海洋産業を興していくという政策目標に対して、何か我々の知見がたまたまそこに使われるというだけではなくて、もう一歩進んで、政策そのものの策定、あるいは政策そのものを考えていく現場そのものに我々がもう少し入って、しっかり上流から我々の仕事について国の中でも位置付けをしっかりしていきたい、そういう目標を立てたというか、考え方を持ったわけです。
 そういうことで、6ページに今考えている研究開発課題ですけれども、上の3つ、地球環境、海洋資源、海洋資源は鉱物資源だけではなくて生物資源も入っていると御理解ください。それから、地震、火山という固体地球の様々な現象。この3つは、把握から予測へ、それから把握から利用へ、そういう全体としてリサーチ・アンド・デベロップメントをこの中で基礎と観測や情報発信をしっかりやっていきたい。
 4番目が数理科学的手法に基づく海洋・地球情報の高度化及び最適化に係る研究開発。これは情報、先ほど我々の成果を情報として発信してこそ社会に貢献できるということで、しっかりした数理科学的な手法に基づいてこれをやっていきます。
 挑戦的・独創的な研究開発というのは、これは先ほど言いましたロングレンジの、これも研究開発ですので、誰もやっていないこと、あるいはユニークなことに挑戦していきます。
 最後は、我々の持っている「ちきゅう」、船、ロボット、ブイというオペレーションを全部一体化して、今までは違うセンターでやっていましたけど、1つのセンターに全部まとめて、効率的な、あるいはその部分でスマートな、といいますか、そういう運用に変えていきましょう、そういう研究開発。これらは全て組織と1対1で対応しているというのが今回の作り方であります。
 今までは、この目標は部会という制度でやっていましたけれども、今回はその部会から発展して、基礎とR&Dの部分を融合した、課題と組織が1対1に対応しているという形に我々は作りました。全体として先ほど申しました5つの社会からの要請に応えていく。
 その下に、トータルな我々の目標というかプロダクト、あるいは何をやるのかと一言で言われたら、来期は、海洋・地球・生命・人類の統合的理解の推進と、社会との協創による地球の未来の創造。今までは総合的理解まででしたけれども、今度は連携、社会との協創というものが非常に大事だし、より予測という部分で地球の未来の創造という部分を、これが一言で、JAMSTEC、次期は何をやるのですかと言われたら、これをしますというキャッチフレーズということになります。
 次、7ページですけれども、これは次期中長期計画(案)の前文のところです。今まで言ったことを文章に直して、こういう1つ1つの文章にしたということですので、これについては余り細かく、同じことを基本的には文章にしているということですので、説明しませんけれども、こういう前文で中長期計画の案を書き始めているということであります。
 個々の課題について簡単に述べさせていただきます。8ページ目でございます。第1の課題である地球環境の状況把握と変動予測のための研究開発。これは、観測、予測に係る研究開発ということになりますが、従来の地球環境の中でも幾つかキーポイント、あるいは今後はキーポイントになるところがあって、1つは北極、地球表層と人類活動の相互作用、それから生物の多様性。従来は比較的、地球物理学的、海洋物理学的な側面が半分以上でありましたけれども、来期は我々としては北極のような気候変動、環境変動が一番早いスピードで起こっているところや、人類との様々な相互作用の部分、それから生物の多様性、あるいは生物自体の環境そのものについて力を入れていきたいと思っています。それがSDGsの重要な貢献だとも思っています。
 次のページですけれども、海洋資源に関しては、今までは鉱物資源を中心にやってきましたけれども、我々の基本的な考え方は、生物、非生物を問わず、海洋の資源としてのポテンシャルを十分に使っていない、あるいは十分に引き出していないという思いがあります。
 実は、様々な鉱物資源にも、生物と関連しながらできている部分もたくさんあって、それらが物質の循環に関わっているわけですけれども、これをしっかり総合的に理解して、海洋産業の促進にも貢献できるのではないかと思っているところであります。これには、SIP等々の様々な外部資金も獲得しながらやっていきたいと思っています。
 次は、海域で発生する地震及び火山活動に関する研究開発。これもいろいろなところでというか、特に南海トラフを中心に観測をやっているところでありますし、近年、破局的な火山活動というのがいろいろ問題になってきて、それは陸上のカルデラのみならず、海域のそばのカルデラ等々で日本の在り方を及ぼすような火山活動もあり得る、そういうことが言われるようになってきました。これをしっかり現状の把握、実態解明をするとともに、これもシミュレーション、非常に難しいことでありますけれども、予測を可能にするようなシミュレーションに資するような様々な技術開発、それをやっていきたい。それも防災への情報として役立てていきたいということであります。
 次のページをお願いします。いろいろ御議論いただいている数理科学的手法による海洋・地球情報の高度化及び最適化の研究開発。これはもう十分ディスカッションがされてきたことではないかと思いますけれども、地球のシステムというのは、もちろん人間がいなかった世界は、大気と海洋と人間以外の生態系と固体地球で成り立っていて、それらのつながりというのは、それなりに地球環境の中でいろいろ理解されてきたわけですけれども、ここ50年ほどで地球のシステムは激変した。もう人間の活動が圧倒的に大きくなって、地球の存在、地球の変動は人間なしには考えることができない。それが一体何をしているかというのは実は分かってないというのが我々の考え、あるいは皆さん、多くの人が思っていることで、特に海洋の生態系に一体人間の活動は何をしているのか。
 あるいは、海洋生態系の変動が人間の社会にどういう影響を及ぼしていくのかということも含めて、これは非常に難しい問題なので、しっかりした数理科学を作って、これも新しい数理科学の基に仮想的な四次元地球を作り、人間の活動、ある地域の社会活動、あるいはある漁業、いろいろなものが地球にどういうことを及ぼしているのかということを四次元仮想地球上で常にモニターし、予測し、それが来年どうなったのかということ、また予測の結果を我々は仮想地球の中でやっていく。仮想地球をダウンスケールすれば、ある地域の様々な状況になるし、それをもう少し海底に持っていけば、様々な固体地球現象にもアクセスできる。大きなプロジェクトですけれども、これはもちろんJAMSTECだけではできないと思っていますし、国内外の連携機関とまさに一緒にやっていかなきゃならない。これは政策的な課題や社会的なシステムに大きく貢献すると思いますし、情報としても非常にインパクトがあるものだと思っています。
 具体的な例については次の12ページに書いてありますが、具体的な例、こういうことがありますけど、大きなフィロソフィーは今述べたとおりであります。
 次は、13ページ、挑戦的・独創的な研究開発の推進ということですけれども、これは実は長期ビジョンで述べた、生命の進化と海洋地球生命史みたいなことが実は長期ビジョンに書いてありますけれども、我々、海洋地球生命というものを見た場合に、進化の経路というものを理解せずに未来を考えることはできないわけで、特にそういう部分について自由な発想に基づく基礎的あるいは挑戦的、独創的な研究及び技術開発をやっていきたいと考えています。
 14ページでございますけれども、これは我々の船、「ちきゅう」、AUV、ROV等々のロボット技術、様々な観測技術、これらがより深いところ、より難しいところへというフロンティアへの挑戦が続いているわけですけど、同時に、プラットフォームの自動化、省力化、小型化を含めて、1隻の船が今までやっていた弁慶の7つ道具、たくさん関わることによって、1つの刀から様々な武器を出すことができて、それが様々な観測に役に立つという、効率化ということにおいても、1つのプラットフォームは様々なことができるというふうに進化をさせていきたいと思っているところでございます。
 同時に、マントル掘削のような人類的な挑戦にも「ちきゅう」等々を使ってやっていきたい。これはどうやっていくかというのは、様々なことを考えていかなきゃならないわけですけれども、これも連携、国際化というのがキーワードだと思っています。
 15ページになります。中核的機関の形成というのは、管理部門等々も含めてJAMSTEC全体としてうちの在り方をどういうふうにやっていくかという部分で評価を頂く、あるいは計画としてあるところであります。
 1つは、人、資金、いろいろな知識、頭脳循環と言われていますけれども、それを活発にして、社会と一緒に新しい価値を創造していく。それから、国際化というのは、国際から人が来ましたねということだけではなくて、国際的な連携のハブになって、国際的なプロジェクトでリーダーシップを、プレゼンスという言葉よりもリーダーシップというのが一番大事だと思っているところであります。
 次の16ページは、外部資金、若手人材の育成、広報・アウトリーチ。広報・アウトリーチというのは、「戦略的な広報活動を推進する」、これは知野委員からもしばしば言われているところであって、何を伝えるかということについてしっかり戦略を立てて、どういうメディアを使ってということを、場当たり的ではなくて、長期的にも考えてくださいということだと理解しております。
 中核的機関としてもう1つ重要なのは、我々のプラットフォームを日本国内の研究者、あるいは外国の研究者にも共通のファシリティーとして供用してもらう。それによって、我々の研究も発展するし、日本、世界の研究も発展する。東京大学大気海洋研究所とは年間400日ぐらいのシップタイムを確保して、共同利用に供していきたいと思っていますし、大学との連携で、東京大学海洋研究所は我々のカウンターパートになるわけですけれども、海洋研究所がまとめているコミュニティーと言ったりしますけれども、共同利用の様々な機関というのは、我々と非常に密接にやっていくことによって海洋研究の広がりを確保できるという非常に重要なパートナーだと理解しております。
 それから、データ、サンプル等々の共同利用あるいは提供ということは当然やっていかなきゃならないことだと思っています。
 18ページ、最後の方ですが、最も重要なことで、適正かつ効率的なマネジメント体制の確立ということがあります。
 今期の様々な問題を我々は真摯に受け止めて、これからどうやっていくのかというときに、1つは、内部統制委員会、リスクマネジメント委員会等々でしっかり議論を推し進めているところでありますし、同時に、外部有識者、これは我々の経営諮問会議になります。それから、内部統制委員会、リスクマネジメント委員会には、弁護士の方、それから監査法人の方にも入っていただいております。
 内部統制はしっかりしたルールを作って、そのルールをしっかり守り、そのPDCAサイクルをしっかりやっていく、それが内部統制の全てだと思っていますけれども、しかし、職員がどういう規則、どういうルールを守ってどうしたらいいのかということは、職員自身が自分たちで考えて、自分の職場での役割を理解しないといけないので、それについても再び勉強し直すといいますか、そういうレベルでの活動をやっているところであります。
 評価についてはしっかり対応していきたいと思っているところでございます。恐らく中期目標期間の半ばに中間評価を行うということがあるのではないか、そういう予定でおります。
 業務の効率化ですけれども、我々の中で一番難しいのが人件費であって、現在、人件費が全体のオーバーヘッドの中で削減目標の中の項目に入っているわけですけれども、人件費については適正化をしていって、もちろんある予算の中で、限られた人件費の中で最大の活動をしていかなければならないわけですけれども、その中で適正な人件費の活用を行っていきたい。
 契約についても、船の契約等々、大幅に今見直ししているところでございます。業務の効率化に対してはやることがたくさんございますけれども、しっかり適正にやっていきたいと思っております。
 その他業務運営に関することで、国民からの信頼の確保・向上。情報セキュリティーは非常に大変な問題で、我々、今情報セキュリティーのシステムを作り、情報セキュリティーのトップ、そういう組織体制を作りますが、これも個人個人の意識というのが非常に大事で、その意識の向上のために様々な実験的な取組もやっております。
 組織の中でのモチベーション等々には、リーダーたる理事長あるいは理事がしっかり現場とコミュニケーションして、常々、我々はこういう方向に行くのだという経営の目標を明瞭にすること、それが一番大切だと思っていますので、それについては今後もしっかり取り組んでいきたいと思っています。
 以上でございます。時間超過して申し訳ございません。
【江川部会長】  どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明について、御質問、御意見などありましたらお願いします。どうぞ。
【三枝部会長代理】  1-1-(4)のところは、具体例を示していただくなど、以前に比べて目指すものの例が挙がってきて分かりやすくなったなと、指摘に応えていただいてありがとうございました。
 1-1-(4)の具体例、12ページ目を拝見すると、地球システムに関わる統合的な科学的情報の創生ということで、ここに挙げていただいたのは主に海洋の問題、海洋生物の問題ですけれども、1-1-(1)では気候もやっていますので、地球システムモデルの方もこちらに入ってくるのでしょうか。
【平理事長】  ここの4が全部のシステムのモデルを作り上げるわけではなくて、気候システムは最初のところで作っている。非常に専門的な、NICAMを使ったりいろんなことをやっているわけですけれども、しかし、その中で使っているシステムの中で、こちらにどういう部分を移植して、あるいはこちらで作っているのは地球システムモデルそのものになると思うので、そこに各場所で作っているモデルをどのように移植して統合的なシステムに作っていくかというのは4の中に、各場所でももちろんシミュレーションや地球システムの一部は使ったり、専門的にやっている部分はあります。それを統合しないと分からないので、統合する部分が4であって、統合に、単にパラメーターでくっ付ければいいという話ではないと思うので、そこに新たな数理学的な原理等を取り入れていくということが大事になるだろうと思います。
【三枝部会長代理】  分かりました。そうすると、1つ1つのところで分野別のモデルが、かなりの大きなものが作られ、ここのところでは、言ってみると、大気から、海の循環から、場合によってはプレートの部分、そういうところまで、あと生物が入って、社会科学、どのように入るかは分かりませんが、社会科学のところまで入れて、本当に丸ごと地球……。
【平理事長】  丸ごと地球を作っていく。
【三枝部会長代理】  作っていくみたいな、分かりました。
【東理事】  分かりやすい、丸ごと地球というのは。
【江川部会長】  ほかにございますか。どうぞ。
【鈴村委員】  6ページで、大課題に対して1つの組織になるということで先ほど伺ったのですが、人間も1つの組織にある程度フィックスされるのでしょうか。組織を結構大きく変えて、人間に関してもフィックスされていくのか、それとも今までのように人によっては融合的にというふうにそのあたり何か方針は決められているのでしょうか。
【平理事長】  詳しいことは阪口さんから答えてもらいますけれども、基本的には組織に属して兼務のような形でほかの組織の仕事をエフォートでやるというのは基本的にはしない。ただ、国の受託等々で分野横断型なものは取ってこなければならないので、SIPのような仕事もそうですし、そういう場合には兼務をかける必要がある。ですから、機構の中でしっかりR&Dの目標をやっていくところはしっかり組織で対応して、プロジェクトベースの外部資金の話は少し柔軟に対応するという二段構え。今のように基礎分野とリサーチ・アンド・デベロップメントが少し交差して、そこに委員会のようなものを作って、そこが計画を実施していきますねというのは少々複雑過ぎて、それと事務機構がどういうふうにそこで関係するかというのが複雑であった。但し、それによって融合していいことありますねと、多くのそういった例もできましたし、個々の研究者が今度新たな組織に入っても、マインドができているので、兼務をかけなくても、組織内のことですから、ある意味、電話一本で、こういう研究成果が出たけれども、ちょっとこれ一緒に分析してみないかといったマインドが出来たので、それが悪かったわけではないと思っています。
【阪口理事】  1点だけ付け加えさせていただきますと、10年前から15年前のJAMSTECは大学から先生を呼んで作ったわけで、どうしても大学の学部学科の分け方に近く、バックグラウンドが全部同じ人が固体地球、大気海洋、生命という形に分かれておりました。今期は、ミックスで非常に分かりにくくて申し訳なかったのですが、今期の中でかなりミックスができましたので、ミックスできた集団でうまくいってるやつを1つの部署に放り込んで、例えば先ほど平理事長の方から説明がありましたように、一番上の地球環境のところは、今までだと大気海洋の研究者だけが集まっていたのですが、ここにちゃんと生命系の研究者も入れて、例えば生物多様性ということを1つのプロキシーにした環境を予測するという、ミックスして1つの大きなことをやるというフェーズに、今期の成果を利用して組み合わせて作らせていただいているところが、10年前のバックグラウンドベースで集まった組織とはかなり違うところです。
【東理事】  それと同時に、研究と開発も同じようなところに入れ込む、それも大きな特徴だと理解して。
【鈴村委員】  融合も重要ですけど、ある程度、帰属意識がないと、個人のエフォートが組織の評価に繋がらないとか、あるいは逆に、個人が組織に対して責任を持たないということがここで起こるかと思いますので……。
【阪口理事】  それは設計の段階からすごく懸念されて、議論もされましたので、まずは、基本的には中期目標を達成するための中期計画に基づいた業務分担というのを組織から個人まで段階的に落としていく計画というのを初めて立てさせまして、個人の任務が全部全うされれば、自動的に中期計画は達成されるという形に作りました。そうすると、それだけということになって、研究者の遊び心というか自由度がなくなってしまいます。そこはアドオンで、任務を達成できれば、それに加えた、自由な発想に基づいた研究、ほかの部署の人と新たなプロジェクトを内部で立て、あと外部の大学の先生方と組むというのもありということで、そこは明確に文章化して通達の方はしました。
【江川部会長】  異分野の融合がイノベーションを生むということを言われていますので、いい方向性かなと思いました。
【知野委員】  いろいろ新しく試みられようとしていますけれども、今回から7年ということで、この7年を生かすためにどういう工夫をされているのでしょうか。
【阪口理事】  5年が7年になりまして、そこでフィックスという考え方を持つと、今知野委員がおっしゃられましたように、大体人間の特性から言うと、ばらけて薄まって拡散してという形になります。7年間完全にうまくいくはずがありませんので、この体制でまずは3年間取り組み、3年目に中間評価もございますけれども、3年目に組織自体もマイナーチェンジはしますよという考えを伝えている。フレキシビリティーを1つ新たなキーワードとして、時間が長くなってフレキシビリティーが多くなったらどうなるのかという議論もたくさんあったのですが、個々の研究者に関しましては、フレキシビリティーがある、逆にフレキシビリティーでただ流されていかないように、まず3年目までの目標を確実に達成してくださいとは伝えてあります。そのため、計画においては3年、足す4年という考え方で挑む所存でございます。
【知野委員】  分かりました。それで、研究開発法人がJAMSTECに限らず7年になっているというのは、今までの5年ではなかなか成果が出ない、だから期間を延ばすと、今そういう説明がありましたけれども、特に時間がかかる研究開発だから、これをやるというものはありますか。
【阪口理事】  まさに第4課題、数理科学的手法による海洋・地球情報の高度化及び最適化に係る研究開発で、先ほど平理事長から、地球を丸ごと集める、予測をするという部分に関しましては、まずはデータを全部集める、解析手法を全部集める、それを1つのプラットフォームに載せる、そして解析をして、検証しないと全く意味のない研究になってしまいますので、特に融合したものは融合し放しで、アニメーションを作って、はい、終わりというのは今まで結構多かったですけれども、今後、特に数値解析及び数理科学的手法を用いた研究に関しましては、検証、再現性、それから適用範囲を定量的にしっかりと情報として与えてあげるということを強く求めることにしておりますので、特に第4課題は7年なければ恐らく達成不可能な1つの典型的な例だと思っております。しかし逆に、7年を使って今までできなかったことをきちんと達成するということも、我々の方で考えております。
【東理事】  それから、第5の技術開発に関しては、そういう意味では7年というロングレンジを頂いて、産業界だとか社会に貢献できるということを考えたときに非常に効果的だと理解しています。
【江川部会長】  ほかにありますか。
【ウォリス委員】  3点ありまして、まず分野の融合ですが、組織は変わったけど、できれば従来どおりやりたいという気持ちがある研究者は多いはずです。大学で分野融合的な組織を立ち上げたとき、結構効果的なのは、論文を書くとき、複数のバックグラウンドを持っている人たちが共著者に入ってないと高く評価しないよと明記した上で組織を変えたら、みんなかなり意識してやるようになりました。それが1つです。
 あとは、将来的に考えると、予算が減っている中での大きな課題は、船はどこまで維持するか、どういうふうに考えるか。新しい技術を考えると、水中ドローンを使えないか、そういう予算を考えると、船の運営と維持管理は大きな課題ですよね。それについてのビジョンというか、これからどうするかということ。
【平理事長】  船も大きく2つあって、「ちきゅう」という大きな船と、今6隻船を抱えているわけですけれども、「ちきゅう」に関しては、船齢が13年と経ってきて、恐らくあと十数年の寿命で、なおかつ、様々な部品も次第にリプレースしなければならないと。まともにやれば全て作り直すぐらいの費用がかかるということで、ここ1年ぐらいの間に大きな方向転換が必要だなと思っています。
 それは、非常に特化した掘削への方向転換です。例えば「ちきゅう」はどういう場所でもどこでも掘れるオールラウンドプレーヤーとして、ここまで研究開発に携わってきた。今後は少し特殊な目標に向けたプレーヤーに変わっていくという形で、なおかつその過程で、できるだけメンテナンスコストとかいうものを減らしていくというのが1つである。
 2番目のフリート全体は、6隻を維持していくことは非常に難しいのではないかなと思っていますが、完全に決まったわけではないがいくつかのオプションを考えつつ、何年にどのぐらいのというフリート計画を作っていきたい。もちろん文部科学省、東京大学大気海洋研究所、あるいは学術会議等々とも相談して日本のフリートの在り方というものを、日本全体あるいは国際的なレビューも受けて、共有しながら、効率化、場合によっては予算の規模に応じたものに変えていかなきゃならない。これも幾つかのシナリオを考えていますが、いずれにせよ、JAMSTEC全体に対して今ファシリティーの予算が約65%から70%近くある。これを10%ぐらい削減して、50%強とか55%ぐらいにしていかないと、世界のほかの研究所のスタンダードと比べても、それでも高い。いろいろ言われているのは、余りにも重いファシリティーの負担を抱えていると、その分、自由度がいろいろなくなるので、そこはしっかりマネジメントしてやってくださいと。しかし、そこに我々の特徴、利点もあるところなので、そこは上手に、どのようにやっていくかしっかり考えたいと思っています。
【ウォリス委員】  今の説明、よく分かりますが、その中で水中ドローンを使いましょうという話、恐らく随分先の話だから余り……。
【平理事長】  水中ドローンはもうすぐ目の前で、我々、実際にはAUVという大型の「うらしま」というものを共同利用で使ってもらっており、もう数年先にはそれがもっと増えてくることは間違いないと。
【東理事】  方針としては、今海洋観測の強化というのをやっています。我々の考え方は、調査船じゃないとできないことはしっかり調査船でやる。ただし、それ以外の調査船でなくても、例えばAUV、ASVを使って観測をできるものに関しては、ロボティックス化を進めるということを考えています。
 それをやるために、外部資金としてSIPを非常に活用させていただいていて、例えばAUVに関しては、今は日没になったら揚げなきゃいけない。だから、実質上、稼働は1日に8時間しかできないという状況なのですが、逆に言うと、水中に海底ステーションというパワーステーションだとか情報ステーションを置くことによって、フル稼働で24時間全部動く、それが5日も6日も動くということを目指して、今開発などを進めています。
 同時に、ASVを使って陸上との、これはサテライトを使うということになりますけれども、情報通信をすることによると、データをリアルタイムで陸上の研究者ないしは事業者に与えることもできるということも今SIPの中でいろいろ考えさせていただいて、それにJAMSTECは非常に貢献しているわけですけれども、そういう技術を我々は使って、いわゆるスマート調査という我々は言い方をしますけれども、進めております。陸上で使えるようになると、逆に言うと、船上でいろいろな状況に対応して計画を変えたり、もっととここを調査しなきゃいけないということもできる、そういうビジョンを持って、スマート調査と我々の中では言っていますけど、それを推進するということを非常に強く言っていて、多分これは国際的にもいろいろやられていると思いますが、ここにありますけど、XPRIZEというのは、まさにその延長線上にあるわけですね。そういうものを取組ながら、強化しながらやっていくということをやらせていただきたいと思います。
【阪口理事】  こちらからの答えばかりで申し訳ないのですが、もう既に今年度から、船が減っても観測のデータを減らさないどころか、増やすためにはどうすればよいかということを研究者、固体地球も大気海洋の研究者も生物の研究者も皆集まって考えまして、1つの答えとしては、無人省力の、風力と太陽光発電だけを使う観測機器をアメリカのメーカーが作りましたので、それを今期、2機導入しまして、実際オペレーションしているのですが、今後は、船でなければできない部分はある程度ありますので残します。ただ、予算上の関係で減船はされます。減船されて得られるデータが減ったら身もふたもありませんので、そこに対して新たな一手、二手は、今年度試験的に始めておりまして、効果的な成果が出ておりますので、来年度以降もそちらの方向も検討というか実行する計画でおります。
【ウォリス委員】  よく分かりました。期待できそうですね。楽しみです。
【江川部会長】  ほかにありますか。
【ウォリス委員】  もう1ついいですか。もう1つ大きな課題は、若手研究者の確保、人材育成ですよね。人口が減っている中で、同じ人数で構成される上位の層の平均値が下がってしまいますよね。国際的な戦略をいろいろとお持ちという話ですが、なかなか難しいかと思うのです。どうやって世界で一番適した人材を確保するか。来ていただいて、残っていただくというのは結構難しい課題だと思うのですが、それについて具体的なお考えはありますか。
【阪口理事】  本当に大変な問題です。もちろん日本人の中のトップに海洋の中に来ていただくというのはすごく大事なことなので、そのアピールもすごく大事なのですが、今ウォリス委員がおっしゃったように、国際的な人材を確保して定着させるというのは大きなテーマなのですが、既に始めました非日本人のポスト、国際ポスドクという制度を開始いたしまして今5年目で、まだ歩留まりはそれほど高くはないですが、そのままJAMSTECに残ってさらなる大きな研究をやりたいという意思を示し、実際に採用した人間がおります。3年間のポストですけど、2年目が終わったときに、メンターという人を決めて、今後どうするかということを入念に話し合って、本当に優秀ならばできるだけ残す方向で、人件費の確保とポストを作って用意するという戦略を練って実行してきた結果、定着率がぐっと上がる。
 そこで成功例が出ますと、その人がまた勝手に自分の国の昔の仲間や先生に宣伝してくれますので、雪だるま式に増える。目標は大胆で、非日本人を全研究者の40%と今設定していますが、それは5年や7年では達成できないかも分かりませんが、目指すところは、私、前もここで申し上げましたように、ミックス、マルチカルチャー、マルチバックグラウンドがよいものを生むということは科学的にも証明されておりますので、この動向は今後7年間は徹底的に強化して、本当の意味での国際化ということに取り組んでいきます。
 ですので、事務体制、書類、会議、そういうものに関しましても、単なる英語を導入するということではなくて、相互理解が得られる方向性というのは今模索して、1つ1つ実行に移していっているところです。非常に重要なことです。ありがとうございます。
【ウォリス委員】  ありがとうございます。
【江川部会長】  それに関連して、それは外国人を組織に、パーマネントに連れてくるというお話だと思うのですが、国際協力とか国際プロジェクトの推進、15ページに少しあるのですが、これをさらに推進していくための具体的な取組とか体制を変えるとか、そういうことは何かありますでしょうか。
【平理事長】  マルチプルなやり方があるので、1つの方法でやれば全てが解決するとか、もちろんそういうわけではないのですが、今走っている様々な国際の共同観測というのは既にいっぱいあって、その中で日本が中心的な役割を果たして、例えばそれの報告書や出た論文の主著者、メインオーサーにならないと、それをやってリーダーシップを取ってということにはならないですよね。
 我々、今でもずっと国際共同研究は続いておりますが、ここ10年ぐらいの間で、最初の頃は非常に偉い先生がJAMSTECに来て、リーダーシップを取られて、そういうものを植え付けていって、例えばIPPCのような報告書でも、トップオーサーが何人もいたわけですが、今では何となく内向きになってきている。
 そこら辺は掘り起こすだけで、急に新しいものを始めなくても、今までの関わり方を変えるだけでもすごく変わるので、そこは研究者の意識と、それをサポートする体制が少し弱かったのかなと思っているので、管理部門も含めて、研究者が国際共同研究等々で活躍、あるいはやっているときに、どのように彼や彼女をサポートしていくのかという仕組みをもう一回作り直したいなと。
 それは今阪口さんが言った、何も文章を英語にするというわけではなくて、全体の研究所としての意識、国際化に向けた意識改革と思っています。同時に、様々な政府機関、IOCとか国連の環境計画とかいうところにも、今何人か人を送っていますけれども、それをもうちょっと強化していきたいなと。だから、国連関係のものと国際的な様々な共同研究、「ちきゅう」の掘削計画もそうですけれども、活躍の仕方を変えるだけで随分違ってくるだろうと。もちろんオフィスとか事務局とかを呼んでくるというのも1つありますけれども、それも場合によっては年間例えば数百万ぐらいの誘致費で非常に大きなネットワークを手に入れる、あるいはハブになったりすることはできるので、そういう面ももう少し積極的に考えていきたいと思っています。
【江川部会長】  ありがとうございました。
【知野委員】  今の関連でよろしいでしょうか。阪口理事から、全研究者の40%を非日本人にするというご説明をいただきましたけれども、この40%というのは、例えばほかの研究開発法人などとの並びでということでしょうか。
【阪口理事】  日本の研究開発法人及び大学では、その数字を達成するということは、何か大きな変化がない限りは通常不可能です。そこを比較対照にすると前に進まない。その一方で、ヨーロッパ、中国も含めまして、各大学、各研究所に母国の人間以外が何%ぐらい働いているかというサーチを私自身でやってみました。それから、学部長レベル、副学長レベルの方々ともいろいろ情報交換させていただきますと、統計的に、例えば世界のトップ10に入っている大学とかは、130か国の学生、それから60か国の教員を雇っていますとか、そういう数字をずっと探ってみましたら、研究者のみならず、40%非日本人というのは物すごく高過ぎる目標ですけれども、しかし、そのぐらいまで達成している研究機関は非常に効果的な成果を出しているという数字がありましたので、とりあえずはそこを目標にして、日本の他の機関がなかなかできてなくて、JAMSTECだけができるはずはないという考え方もありますけれども、是非そこを私自身は目標に、もう進めていかなければならない話ですので。
【知野委員】  日本人の研究者が余り応募してこないとか、そういう事情があるのでしょうか。
【阪口理事】  それは全然ないです。
【知野委員】  ですよね。というのは、今、日本では若手研究者、大学院博士課程を出ても就職先がなかなか見つからないことによって、研究者になりたくないとか、博士課程に行きたくないとか、そういう問題も生まれています。もちろん国際化は大事ですが、国民の税金で運営している研究機関が日本人を締め出してしまわないかが少し気になりました。もちろん、60%も残っていますが、とはいえ今の日本の科学技術政策の重要課題は若手をいかに育てていくかです。その点で少し不安を感じさせられました。
 また先ほどうまくいった人の知り合いが入ってくるという御説明がありましたけれども、採用に関する透明性、どういう基準で採用しているかとか、そういう点を公開していく必要があると思います。国の研究開発法人としてしっかり透明性、公平性を持ってやっていく必要があると思います。数字にこだわるだけでなく、きちんと実施していくべきだと思います。
【阪口理事】  頂きました御意見、きちんと考慮しまして、今のところは、研究員の公募は、国籍、男女、全く問わず、本当にその形で公募して、その形で応募を頂いて厳正に選考しておりますので、何かに重みを付けるという形は今まで一回も取ったことはありません。
【知野委員】  基準が外に出ないままだと透明性がないように感じます。
【阪口理事】  ただ、国際ポスドクという別枠、年間5名という国際ポスドクというポストに限りましては、非日本人で優秀な方を優先的に雇い入れるという政策はやらせてもらっております。そのほかは完全にフラットでやっております。
【ウォリス委員】  今の人数でそこまで大きな心配にはならないと思いますが、1つ、数値目標があるのはすごくいいことだと思いますが、4割を達成するのは難しいでしょうし、あと、社会学的な研究があるかどうか分からないですけど、私の経験で言えば、2割ぐらいいれば活発になって、自発的に発展していく感じ。それ以下だと、多少なり疎外感があって、なかなかコミュニティーの一員として活動するのが難しいという。だから、2割ぐらいが現実的な目標としていいのではないかと。現実的というのは難しいと思いますが。
【平理事長】  採用ですが、国際共同研究というのは物すごく大事で、国の研究力評価で、被引用率と国際共著率を軸にし、機関ごとに並べると、ほとんどきれいなリニアの関係があって、世界のトップ10というのは国際共著率も80%とかそのぐらいで、日本の大学等々はせいぜい40%、50%行かないところに固まっている。トップ10にあるのはヨーロッパのケンブリッジ、オックスフォード、ETH、インペリアルカレッジ・オブ・ロンドン、アメリカの大学は国際共著率は少し低くなるけれども、ここはアメリカ自体がすごく大きな資力を持っているので、その中間ぐらいにJAMSTECがあり、そのグラフだと、理研とかJAMSTECはちょうど同じぐらいのところで記録されるのですが、我々がトップ10側に向いていくには、国際共同研究が非常に大事で、それは国際共同研究をプロジェクトの中でやっていくだけではなくて、国際共同研究を、どこかに参加するのではなくて、やはり我々自身が先ほど言われたように生み出していくということが必要で、それがひいては日本の科学技術の発展に役に立ち、日本の若者もひいてはそういうことで、科学技術が発展する。様々なジョブも、大学だけ、研究所だけではなくて、様々な研究の環境の中でジョブも増えていくと思うので、今はデフレスパイラルになって、人は少ない、国内に内向きだ、そうすると研究評価がどんどん世界で下がっていくという非常に悪い循環にあるので、これが全てではなく1つの方法として、少なくとも20%以上、40%というのは確かになかなか高いので、急には無理ですけれども、今後7年間にできれば20%というレベルまで……。
【知野委員】  つまり、国際共同研究が非常に重要な指標だということは、科学技術のほかの分野でも言われていることだし、これは間違いないだと思うんですね。今の御説明で受けたのは、単に国際共同研究をするというのではなくて、つまり組織に雇うという意味で雇用の機会と捉えたのですが、そうではないのでしょうか。
【平理事長】  国際共同研究を本当に生み出して、さらに国際共同研究の中でリーダーシップを取っていくには、やはり自分の中で国際的な環境を生み出さないとそういうのは定着していかないということで言ったのです。ですから、ある程度の人数は絶対必要だと。
【知野委員】  分かりました。一国際共同研究の形で行うこともできるはずですから、きちんと説明する必要があると思います。それも広報戦略の課題だと思います。
【江川部会長】  国際化は本当に難しい問題で、JAMSTEC御自身が4割とおっしゃっているのは、私はすばらしいことだと思いましたので、すごく大変だと思いますが、是非高みを目指していただきたいなと思います。
 東京大学もそういうことでとても苦労していましたけれども、柏にあるIPMUは本当に国際、多分半分ぐらい、海外の人が来ていて、それが逆に、噂が噂を呼んで、単に自分の仲間ということではなくて、いい人が寄ってくるようになって、その結果、賞とか色々な研究の機会とか、私たちが日本で聞いたこともないような色々なネットワークが有機的にできているような気がするので、その辺は是非頑張っていただきたいと思います。
【阪口理事】  ありがとうございます。
【江川部会長】  ほかにございますか。
【鈴村委員】  国際共同研究が非常に重要だということは間違いなくそうなのですが、特に海洋の分野ですと中国の海洋進出が非常に大きく、実際、実績としても中国にもう抜かれるぐらいの勢いですが、具体的には最初から広く国際的に行くとか、まずアジアの中でどうやっていくのかとか、そのあたり、国際共同研究の言葉が独り歩きしていて、具体的な青写真が少し見えてないのですが、どのようなものをイメージされているでしょうか。
【阪口理事】  これはまだまだ理想論で、完全に実現できていないのですが、多分間違ってない1つの理想論としましては、海洋に関する国際会議とかに行くと、ある会議は中国人が1人も来ないという会議があります。そういう場でいろいろ質問したりしたときに、JAMSTECの役割というのは実はそこで、サイエンスとテクノロジーの部分でポリティックスを全部抜いて、そこの部分でリードできる、要するに世界中から尊敬される人材と成果、それを作ることが、近隣諸国とのサイエンスとテクノロジーの面で尊敬され、そこから交流を促すことができるので、JAMSTECはそういう部分をアジアの国の1つの研究機関として担っていただきたいという声は、NOAAの方とかヨーロッパの方々から何度も話を伺いますし、もちろんJAMSTECの中でもそういう位置にあるべきだと。
 従って、社会科学的な面と政治学的な面においては、いろんな大小関係、強弱関係というのがありますが、そこに倣っていくというよりは、サイエンスとテクノロジーで世界をリードする、繰り返しになりますけれども、人材と成果を出すことによって、なかなかうまくいかない国からもリスペクトを受けるという存在になるというのが我々JAMSTECの1つの使命ではないかと私は考えておりますし、研究者の人たちにもそういう考え方は浸透させていくように努めております。
【東理事】  技術の分野でもやはり同じ問題があって、我々が今主眼を置いているのは、インド太平洋という地域をどういうふうに見ていくのかということです。いろいろな国々と話していると、もちろん研究もそうですけれども、海洋に対しての技術というのは今非常に彼らも注目をしているし、いろいろなものを知りたい。特に、人材育成というのは図っていただきたいという声を、我々、いろいろなところへ行くと受けておりまして、そこのところをどうするのか。特に島嶼諸国みたいなところに対して、我々はどういうふうに具体的に手を差し伸べていくのかというのはあって、実際には、これはJAMSTECというよりはSIPのプログラムになると思うのですが、そこのところに対して、我々も人材、来ていただいて、要するに我々の味方を作る、技術的なところで我々の味方を作るという活動も合わせてさせていただいて、そこのところを非常に重要、技術面においても非常に、特に人材を作って、その人たちが日本、我々の味方になってくれるということを考えながら、そういう活動をしていかなければならないということもしっかり考えてやっていきたいと思っています。
【江川部会長】  ほかに御意見、御質問ございますか。
 では、御議論どうもありがとうございました。これで本日予定しておりました議論は全て終了いたしました。
 先月から2回にわたって御議論いただいた中長期目標(案)につきましては、今後、開催される国立研究開発法人審議会に報告する予定ですが、この審議会に対して最終的に提出する内容については、部会長である私に御一任いただき、これまで各委員から頂いた御意見も踏まえつつ、事務局と相談してまとめるということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、以上で本日の審議は全て終了しました。
 最後に、事務局から連絡事項がありましたらお知らせください。
【下村専門官】  今ほど江川部会長からもお話がございましたとおり、本日頂戴した御意見につきましては、今後、江川部会長と相談しながら、適切な修正案を作りまして、それを本部会の意見として取りまとめて、来年になるかと思いますけれども、開催予定の国立研発法人審議会に報告する予定でございます。
 本日の部会をもちまして、今年度の海洋研究開発機構部会につきましては終了ということになります。今年は評価だけではなくて、目標、計画の策定というのもございましたので、長期間にわたっていろいろ御議論いただきまして本当にありがとうございました。
 その他の事務連絡としまして、諸手当に関する書類を机上に置かせていただいておりますので、退出される際には御提出していただけたらと思います。
 以上です。
【江川部会長】  以上で本当に最後です。どうもありがとうございました。

―― 了 ――


お問合せ先

研究開発局海洋地球課