国立研究開発法人審議会 海洋研究開発機構部会(第15回) 議事録

1.日時

平成30年11月2日(金曜日) 13時00分~15時01分

2.場所

文部科学省16階4会議室

3.出席者

委員

江川部会長,三枝部会長代理,ウォリス委員,大久保委員,鈴村委員,知野委員

文部科学省

阿蘇海洋地球課長,近藤課長補佐,下村専門官 ほか

4.議事録

【江川部会長】  それでは、定刻になりましたので、ただ今より第15回海洋研究開発機構部会を開催いたします。
 皆様、御多用中にもかかわらず、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局に異動がございまして、10月4日付けの異動で近藤海洋地球課長補佐が着任しておりますので、一言お願いいたします。
【近藤課長補佐】  10月4日に着任しました近藤と申します。どうぞよろしくお願いします。私自身は原子力とか宇宙は担当したことはございますが、海洋自体初めてですので、楽しみにしております。特に、中長期目標や期間の改定というのは5年に一度とか7年に一度の話ですので、非常に楽しみにしております。至らぬ点あると思いますけど、どうぞよろしくお願いいたします。
【江川部会長】  ありがとうございました。
 本日は、お手元の議事次第のとおり、海洋研究開発機構次期中長期目標(案)等について議論を行います。
 それでは、事務局より配付資料の確認をお願いします。
【下村専門官】  事務局から配付資料を確認させていただきます。
 本日もペーパーレスで進めさせていただきます。お手元のタブレットや持参いただいた端末に本日の本資料、資料1から資料3までと、参考資料が参考資料1から9までありますが、そちらが表示されているかと思います。もし端末に不都合等ございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
 このほか、委員の先生方の席上には座席表と議事次第、あと机上配付資料といたしまして、机上資料1及び2、それから、本資料の一部ではございますが、フローチャート(案)を置かせていただいております。
 以上です。
【江川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。
 議題1、海洋研究開発機構次期中長期目標(案)等について、を議題といたします。
 まずは、事務局から本日の会議の趣旨について説明をお願いします。
【阿蘇課長】  どうもありがとうございます。今日は、お忙しいところ、ありがとうございます。今日の議事は大きく二つございます。お手元の議事次第をご覧ください。まず一つ目は、前回7月の際にご議論頂きました見直し内容を踏まえた、海洋研究開発機構の次期中長期目標(案)、それから評価軸・評価指標(案)です。今日この後、御説明をして、御意見、御質問を頂戴いたしますけれども、今日限られた時間でございますので、また更に引き続きお気づきの点ありましたら、机上資料1の方でコメント・御意見をお願いします。意見記入シートをお配りしていますので、今日の議論の後でも構いませんので、引き続きコメントを頂戴できればと思います。それから、二つ目ですが、今日は、JAMSTECにもお越しいただきました。海洋機構における組織マネジメント上の諸課題への対応状況として、今回、機関評価のところでそのマネジメントについて種々コメントを頂戴いたしましたけれども、そのことへの対応状況について今日はJAMSTECから御報告をさせていただきたいと思います。
 それが、本日の議事になっております。どうぞよろしくお願いいたします。
【江川部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、早速、次期中長期目標(案)について御議論いただきますが、多岐にわたる内容になっておりますので、二つに区分して、まず、中長期目標(案)のうち、資料2-1の3の1、(1)から(5)、5つの研究開発課題について、事務局より説明をお願いします。
【阿蘇課長】  はい、ありがとうございます。資料の順番からいきますと、資料1の概要なのですが、結果としてこの概要はこれから御説明させていただく中長期目標、評価軸の方で含まれておりますので、こちらの方は御説明省略させていただきます。
 それでは、資料2-1をご覧いただきたいのですが、最初の中長期目標(案)です。今、部会長の方から御説明ありましたとおり、長くなっておりますので、資料2-1の3の1の(1)から(5)、こちらの方を区切って御説明します。さらに、フローチャート(案)というものがお手元机上配付という資料にあるかと思いますけれども、これから目標(案)について御説明しますが、目標(案)のものをフローチャートに落としたものがこちらですので、二つ併せてご覧いただければと思います。
 それでは、御説明をさせていただきます。
 こちらの資料2-1の中長期目標(案)ですが、目次の後にローマ数字の1「政策体系における法人の位置付け及び役割」というところがございます。ローマ数字の1ですね。こちら、ページの10分の3です。
【下村専門官】  10分の3ページで。ページとしては1ページを付けていますが、タブレット上は10分の3ページ。
【阿蘇課長】  そちらに「政策体系における法人の位置付け及び役割」というのがございますけれども、こちらにつきましては、前回御説明をいたしまして御確認いただきました海洋機構の見直し内容の記載と同様の記載となってございます。そちらの見直し内容につきましては今日の参考資料の5になってございますけれども、ローマ数字の1は基本的には前回御説明した内容と同じです。
 それから、次の10分の4に移っていただきまして、ローマ数字の2「中長期目標の期間」ということで、こちらも見直し内容にございますとおり、同様に、2019年から2026年までの7年間とするということで記載させていただいております。
 それから、御説明ですけれども、ローマ数字の3「研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項」ということで、1.「海洋科学技術に関する基盤的研究開発の推進」というところでございまして、そちらの前段のところ、1パラグラフにつきましては、こちらも見直し内容と基本的には同じでございます。それで、見直し内容につきまして前回御意見を頂戴しまして、その後、8月に開催しました法人審議会でも御議論を頂戴しました。そのことを踏まえて具体的な研究開発課題ということで、こちらの資料の10分の4にあります(1)から続きまして10分の6ぐらいでしょうか、こちらにわたって(5)までございます。今日は、そちらにつきまして御説明をさせていただきます。先ほど申しましたフローチャートと併せてご覧いただければと思います。
 まず、(1)「地球環境の状況把握と変動予測のための研究開発」ということでございます。こちらにつきましては読み上げさせていただきます。「近年、地球温暖化等の地球環境変化が経済・社会に与える影響の顕在化、深刻化が危惧されており、第3期海洋基本計画やSDGsにおいても、地球環境の保全や気候変動への対応は政策上の重要課題として位置付けられている。とりわけ、地球温暖化の影響が最も顕著に出現する北極域を対象とした調査・観測・研究の重要性は、世界的にもますます高まっている。また、人間活動の地球環境への影響は地球温暖化のみならず海洋酸性化や生態系変動等様々な形で表面化してきており、地球環境変化と人間活動の相互作用に関する評価を踏まえて、地球環境変化を把握し、将来を予測することが求められている。特に、膨大な体積、表面積、熱容量を有する海洋は、大きな時空間規模で進行する地球環境変化において重要な役割を果たしていると考えられている一方、その実態には未解明な部分が多く残されている」ということで、まず背景の御説明をしているパラグラフでございます。
 続きまして、機構の取組としまして記載してございます。「このため、機構は、未だ解明されていない地球環境変化の実態把握を進めて、その変化の中長期的な将来予測を行うため、地球環境変動モデル等の高度化に取り組む。これを実現するために、観測網の無人化、省力化、高精度化等に向けた新たな観測技術の開発等を行うなど観測網の整備・高度化を図るとともに、多様な手法を組み合わせることにより、我が国沿岸域を含むアジア地域、北極域、北西部太平洋、熱帯太平洋、インド洋等の重点海域等の高精度な観測を実施する。また、これら観測により得られたデータの蓄積・分析やモデルの高度化を行うことで、昇温、海洋酸性化、貧酸素化、生態系変動等の海洋に表れる地球環境変化の実態把握や、エルニーニョ現象、インド洋ダイポールモード現象等に代表される重要な自然起源の諸現象のプロセスの理解を進める。その上で、こうした取組により得られた地球環境変化に関する新たな知見と人間活動との相互影響に関する評価を行い、人間活動の影響を含めた地球環境変化の中長期的な将来予測を導き出す。得られた成果については、国内外の各種活動を通じて発信することで、我が国及び国際社会等における政策の立案等に貢献する」と。
 こちらが(1)でございます。今、読み上げさせていただきました内容につきまして、フローチャート、地球環境の保全、気候変動に対応するということから、評価・将来予測を行うということ。また、そのための実態把握をするためのモデルの高度化、高精度な観測を行うということまで、流れを(1)のフローチャートの方に記載させていただいております。
 続きまして、こちらの資料の10分の5、(2)です。(2)「海洋資源の持続的有効利用に資する研究開発」ということでございます。こちらにつきまして御説明します。読み上げさせていただきます。
 「我が国の周辺海域には、多様な生物、鉱物、エネルギー資源等の海洋資源が存在すると考えられているが、それらの海洋資源については、未確認のまま残されているものも含め、ごく一部しか有効利用できていない。特に、深海・深海底等の科学的調査が進んでいない海域には、表層域とは異なる生態系等が構築され、数多くの未発見の生物が生息していると考えられている。この中には人類社会に有用な機能を持つものも存在し得るため、これら未知の有用機能の発見・解明が必要である。また、我が国の領海等に賦存する鉱物資源の有効利用のためには、有望資源の賦存する海域や賦存量を把握する必要があり、このためにはその形成メカニズムの解明が重要である。このため、機構は、海洋の調査・観測で採取した海洋生物を含む各種試料を分析し、海洋生態系における炭素循環・窒素循環・エネルギー循環等を把握するとともに、ナノ科学や情報科学等との学際連携を進めて、海洋生態系が有する未知の有用機能を解明する。また、海底鉱物資源の有望海域の推定のため、これまでの調査・観測等で得られた試料・データ等を詳細に解析し、海底資源生成モデルを体系化・普遍化することにより、有望資源の成因プロセスを理解する。これらの研究開発を進めるに当たっては、必要に応じて(1)の研究開発課題の成果を取り入れるとともに、他の大学や公的研究機関、民間企業等との連携を強化することで、より効果的、画期的な成果の創出を目指す。また、得られた試料、データ、科学的知見等を積極的に産業界へ提供することで、海洋資源の産業利用の促進に貢献する」ということで、こちらのフローチャート(2)のところでございますけれども、フローチャートの方では、まず、海洋資源の産業利用を促進するということから、連携、知見、情報、サンプルの提供をするという取組。さらに、その取組の下で大きく二つに分けた構成となっております。一つは、海洋の生態系の機能を解明するという流れ。もう一つが、鉱物資源、有望海域の推定をするという流れ。この二つに分けて産業利用促進をするということで、分析、モデル化といった流れを記載してございます。
 以上が(2)でございます。
 続きまして、こちらの目標の10の5の一番下のところからですけれども、10分の6、(3)「海域で発生する地震及び火山活動に関する研究開発」。
 「我が国の周辺海域においては、南海トラフ地震や鬼界カルデラ等、大規模災害をもたらす地震・火山活動が繰り返し発生しており、防災・減災対策の更なる強化が求められている。そのための具体的な検討を進めるには、海底下で進行する地震・火山活動実態把握及び長期評価が欠かせないものの、現在は観測データも十分に揃っていない状況にあり、観測体制の構築と、データの取得・解析を通じたメカニズムの理解等の科学的知見の充実が課題となっている。このため」ということで、機構の取組を記載しました。「機構は、地震発生メカニズムの理解やプレート固着の現状把握と推移予測、海域火山活動の予測研究に資するデータと知見を蓄積し、地震調査研究推進本部、気象庁、防災科学技術研究所、大学等の関係機関に情報提供することで、地震発生帯の現状把握・長期評価及び火山活動評価に貢献する。これを実現するために、大学や防災科学技術研究所等の関係機関と連携して、南海トラフ地震の想定震源域等を中心として、広域かつ精緻なデータを連続的にリアルタイムで取得する海底地殻変動観測網の整備・高度化を進めるとともに、高精度の海底地下構造調査、海底堆積物・海底下岩石試料の採取・分析を実施する。これにより得られたデータと既存データの統合・解析を行うことで、地震発生帯モデル及びプレート固着状態に関する推移予測手法の高度化を行う。また、海域火山活動観測システムを開発し、海域火山周辺において火山活動の現状把握を行うとともに、地球内部構造や熱・物質循環機構等の解析を進める」ということで、フローチャートの方では(3)ということで、まず、防災・減災への貢献をするんだということ。防災・減災に貢献するための情報を提供するということで、現状把握・長期評価、火山活動評価への貢献をするというために、その情報提供を行う。そのために、プレートの固着状況ですとか火山の予測研究を行うんだということで、そのための各種調査、データの統合・解析といった流れで記載してございます。
 続きまして、(4)でございます。こちらにつきまして、「数理科学的手法による海洋情報の高度化及び最適化に係る研究開発」。
 こちらにつきましては、「生態系と生物多様性の破壊、気候変動、海洋酸性化など、人間活動が地球システムの機能に大きな影響を及ぼしており、こうした影響を客観的に評価する方法の一つとして、地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)という考え方がある。人間活動が地球環境に対して回復不可能なまでに変化を及ぼし得るに至った今日においては、地球全体の持続可能性を高めていく視点が一層重要となっている。人類の経済・社会活動は、地球環境の基盤の上に成り立っており、それゆえ、将来にわたって豊かな人類社会を存続させるためには、相互に関連している環境、経済及び社会の諸課題に対して統合的に取り組み、解決していくことが必要となっている。このためには、複雑に絡み合う地球環境と人類の経済・社会活動との相互関連性、すなわち、海洋・地球と生命・人類との間の相互関連性を理解・解明することが重要である。このため、機構は、海洋・地球・生命に関して有する膨大な情報・データを整理、統合、解析し、再構成するための数理科学的手法の高度化を図ることにより、複雑に絡み合う海洋・地球・生命間の相互関連性を発見・解明する。また、高性能なユーザインターフェースを構築して、数理科学及び情報科学の専門知識を有しない利用者のニーズに即して最適化した形態で情報を提供する。こうした取組を実施するために、膨大な数値解析を効率的に行うための最適な情報基盤の整備・運用に取り組むとともに、機構内の様々な分野の研究者・技術者はもとより、国内外の関連期間とも密接に連携して計算資源等の相互利用を推進することにより、提供情報の有用性の更なる向上に努める」ということで書かせていただきました。
 (4)でございますけれども、こちらにつきましては、相互関連性、先ほど申しました海洋・地球・生命間の相互関連性を発見・解明するんだと。そういった情報を提供すると。そのためにユーザインターフェースの構築、さらに、数理科学的手法の高度化をする。また、そういったもののために海洋・地球・生命に関する数値データ・数値解析手法の開発・格納をするということ。さらに、そうしたものは機構が取得・蓄積してきた情報のみならず、国内外の外部の機関と情報連携をして、情報や数値解析手法などの蓄積を図るという流れで書かせていただきました。
 続きまして、資料の10分の7の(5)「挑戦的・独創的な研究開発と先端的基盤技術の開発」。
 「海洋は、氷海域・深海底及び海底下深部等の到達困難な領域や多種多様な未知の生物種が存在するなど、今なお人類に残されたフロンティアである。機構は、これらフロンティアへの挑戦や新たな分野の開拓を可能にする科学的・技術的な知的基盤を構築し、機構内外での利用を推進することにより、人類の知的資産の創造や新たなイノベーション創出に貢献することができる。このため、分野や組織の枠を越えた柔軟かつ機動的な研究体制を構築することにより、新規性・独創性を有する挑戦的な科学研究に取り組むとともに、研究者の自由な発想や新技術の組合せによるボトムアップ型の技術開発を推進する。このことにより、世界をリードする新たな学術領域の開拓や産業利用の促進に向けて、将来を見据えた研究・技術シーズを発掘するとともに、我が国独自の独創的な技術基盤を創出する。また、未踏のフロンティアへの挑戦に不可欠な海洋調査・観測用のプラットフォームを展開し、それらを安全かつ効率的に運用するために、海洋ロボティクス、深海探査技術、大水深・大深度掘削技術等の海洋調査・観測技術の高度化に取り組むとともに、運用技術及び技能の向上を図ることにより、深海底・氷海域を含む多様な海洋・海底下環境に対応する高精度な探査・調査能力を獲得する。このことにより、上述」――これまでの御説明した課題の「(1)から(3)の研究開発課題の成果最大化を図るとともに、MDAに資する海洋調査・観測体制の強化など、我が国の海洋政策等の推進に貢献する」ということで記載しました。
 フローチャートの方は(5)でございます。こちらにつきましては、人類の知的資産の創造やイノベーション創出への貢献をするんだということで、それぞれ海洋調査プラットフォームの整備・運用、関連する技術の高度化、あるいは自由な発想・新技術の組合せによるボトムアップの技術開発、柔軟かつ機動的な体制構築による挑戦的・独創的な科学研究ということで、フローチャートを書かせていただきました。
 以上がローマ数字の3の(1)から(5)の御説明です。
 端的に申しますと、(1)は、地球環境変動、保全をするという観点の取組でございます。それから、(2)につきましては、海洋資源を有効に活用するという取組。保全と利用するという取組を(1)、それから(2)に記載させていただきました。また、(3)につきましては、地震活動・火山活動、これに対する取組、安全・安心に資する取組ということで記載させていただきました。また、(4)、見直し内容でも御説明させていただきましたけれども、機構の取組といたしまして、これまで蓄積してきたデータを有効に活用していくという取組を(4)に記載させていただきました。それから、(5)ですけれども、こちらにつきましては、ご覧いただいて分かるとおり、技術開発的なところと先駆的な研究開発、その二つの要素を併せまして(5)として記載させていただきました。
 以上、事務局からの御説明ですけれども、これまでもコメント・御意見頂戴しましたが、こちらにつきまして引き続き御意見・コメントを頂戴できましたら有り難いと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【江川部会長】  ありがとうございました。
 ただ今の御説明について、御質問、御意見いかがでしょうか。
【三枝部会長代理】  まず、大きな目標とするところについてお聞きしたいのですが、(1)のところは、おっしゃっていただいたように、地球環境の変動ですとか予測ですとか、そういったところを含むと思うので、フローチャートとかこちらには陽には書いていませんが、例えば出てきた成果の海外への発信のルートとしては、例えばIPCCとかIPBESとか、そういったところに研究者が最高の科学的知見のデータを提供していくと、イメージとしてはそういうルートでしょうか。
【阿蘇課長】  はい。昨年度、機関評価でも成果として挙がっておりました、例えばIPCCへの報告ですとか…。
【三枝部会長代理】  執筆者です。
【阿蘇課長】  執筆者、そこに派遣することができるようになったということで成果の御説明をさせていただきましたけれども、正に今、先生がおっしゃった取組というのをこちらで想定しております。
【三枝部会長代理】  分かりました。そうしますと、(4)の方は、政策的課題や社会的課題の解決への貢献として、大規模データから出てくるいろいろな知見を科学的に新しいものとしていこうというところだと思いますが、具体的には、いろいろあるかとは思うのですが、例えばどういったところを主に狙っているのでしょうか、政策的課題や社会的課題というと。
【阿蘇課長】  こちらにつきましては、(1)から(3)まで含むものと考えております。前回の議論で知野先生から、こうした取組をするためには新たな体制が必要ではないでしょうかというような御意見も頂戴しましたけれども、正にこちら、蓄積してきたデータを相互活用して、相互作用などを明らかにしていく取組を新たな体制で臨むんでいくことを示しています。したがって、現段階で取り組むべき具体的なテーマについては、機構と議論を継続していきたいと思いますが、コンセプトはプラネタリー・バウンダリーという考え方。こちら、第3期の海洋基本計画や、昨年度でしょうか、環境白書にも書かれておりますが、こうした取組、また、環境白書にも書いてあるんですが、SDGsのそれぞれのゴールが実は相互に関連している。例えば、食品ロスというものが、気候変動にも関係したり雇用にも関係したり、そういったそれぞれの達成すべきゴールというのは相互に関連している。そういったもので、これまではJAMSTECは、例えば地球環境変動だったり地震だったりというものを、それぞれデータを取得して、モデルを構築して、シミュレーションをしてという形でデータを利用していたのですが、それらデータを統合することによって、相互に関連性を有する課題に資する情報を提供できるのではないかというコンセプトで(4)を書いてございます。三枝先生の御質問については、これから新しい組織・体制の下で検討してまいりますというのが、今日この時点での御回答になりますけれども、引き続きこちら、コンセプトを具体化したいと思っております。
 ただ、こうした取組、背景のところにもSociety5.0といったところも書かせていただきましたけれども、こうした取組は国として行うと。海洋基本計画にも書いてございますけれども、取組を行うということは重要だと思っておりまして、目標を設定することによって機構の様々なデータの連携が図られ、また、機構だけではなくて、これをやるためには、国内外の外部機関との情報連携といったものも必然的に必要となってまいりますので、そういった取組を奨励していくためにも、新たな課題設定、目標として(4)を書かせていただいたということでございます。
【三枝部会長代理】  分かりました。(1)の方で既にJAMSTECさんが非常に日本のグループをまとめてリードしているところの気候変化予測の研究では、前々からですけれども、人間活動による排出とか、そういう社会活動の影響みたいなものが随分と入っていますので、そのような推進を(1)の方でやるのか、(4)の方でやるのか、あるいは両方なのかとちょっと思ったものですから、質問させてもらいました。
【阿蘇課長】  はい、分かりました。ある程度やりながら整理していくような形になると思います。
【三枝部会長代理】  はい、分かりました。
【江川部会長】  ほかの方はいかがですか。はい、どうぞ。
【鈴村委員】  現中期計画のこのフローチャートでずっとモヤモヤしていたアウトプットとアウトカムの違い、機構で出せる部分はアウトプットとして評価されるけれども、アウトカムはなかなか他機関などが入らないと達成が困難で評価できないという点を、うまく切り分けていただいていて、非常に分かりやすくなっていると思います。
 細かいこと、思い付いたところだけ、コメントさせてください。
 まず、(1)の一番上が、これだけアウトカムが対応となっているところがちょっと難し……ほかのと比べてもそうですし、対応って何というところがしますので、気になりました。
 それから、(3)もそうですけど、情報の提供とか先ほど三枝さんが言われたようなことを、機構が情報の提供者として下請としてやる場合と、機構が中心になって元請としてやる場合は、評価のされ方も随分違うと思うし、目標の置き方も変わってきます。例えば地震だと、おそらく機構が中心になるのではなく、情報の提供側でしょうし、地球温暖化だったらむしろ機構が中心になっている、その辺の色分け、温度差はきちんと区別して書いた方が後々評価もしやすいですし、目標設定もしやすいと思いました。
 (2)のアウトプット、一番上の方に「未知の有用機能の解明」ってありますが、これもアウトカムとアウトプットの切り分けが少しはっきりしていません。有用かどうか、将来になって分かってくるものもあると思うので、まず、「未知の機能を解明する」という辺りが機構としてアウトプットの落としどころで、それが有用であるかというのはアウトカムとして今後出てくるところです。機構の内部で「有用」も含めて達成できればより高く評価されると思いますので、余りここで「有用」と強調し過ぎない方がいいと思いました。
 あと1点は、昨年度までですと、リモートセンシングで露頭してない鉱床を見つけるとかいったような探査技術が(2)のところに入っていたんですけど、それはもう(5)の方に切り分けてしまったという考え方でよろしいのでしょうか。
【下村専門官】  (2)のところの一番下の箱の中に探査基盤技術の開発というのも書いてございまして、ここでもそういうこともやりつつ、試料も採取してという取組は引き続きやっていくわけですが、(5)の方では、そういうAUVの自動化とか省力化とか、そういう全般的な海洋調査プラットフォームに係る技術の高度化というのを一まとめにした技術課題としてこちらに書かせていただいています。(2)の課題でも引き続きそういうことをしつつ、試料を採取してモデルをどんどん高度化していってというのは引き続きやっていく予定でございます。
【鈴村委員】  気になるのは、(2)でも評価して、さらに(5)でも、二重で評価してといったパターンです。
【下村専門官】  あ、そうです、はい。
【鈴村委員】  それを考えると、まだ(1)の方と(2)の間でその整合性がとれてなくて、(1)の方は高精度な観測とかAUV、ドローンとかフローチャート内に書いてあるけど、(2)の方はすごくあっさりしているので、二つの領域の間での取り組み度合いの違いをはっきりしておかないと、評価のときに差が出てしまう可能性があります。
【江川部会長】  はい、どうぞ。
【阿蘇課長】  どうもありがとうございました。評価のとき、また、見直しなりのとき、先生からも御指摘を頂戴して、本当に機構として取り組むべきところはどこまでなのか。――評価のときにもちょっと御説明しましたけれども、例えば鉱物資源の利用となりますと、海底の鉱物資源だけで経済性が評価されるわけではなくて、陸域の鉱物も含めて経済性が評価されるということで、そこまでを含めて機構として評価されるべきかどうかということと思います。
 さらに、(1)や(3)と(2)では、機構がどこまで主体的に取り組みますかというところ、先生の御指摘のとおり多分違うと思います。その関与度、寄与度のところにつきましては。少しでもわかりやすくなるようフローでお示しするなど工夫したつもりではございますが、御指摘・コメント頂戴いたしましたので、更に分かりやすくなるよう、整理をしたいというふうに思っております。
 また、有用機能、こちらは普通の陸域では見られないような生物、極限環境下における生物では陸上と異なるような機能を持ち、それが有効に活用できるかもしれないということで書かせていただきましたけれども、先生の御指摘のとおり、ある程度時間がたって社会がついてきて利用できるとか、ほかの技術基盤がそろって初めて利用できるといったケースもあるかと思いますけれども、そこが適切に表現できるようにちょっと工夫したいと思います。
 どうもありがとうございました。
【江川部会長】  はい、ありがとうございます。
【知野委員】  済みません。
【江川部会長】  はい、どうぞ。
【知野委員】  さっき御説明いただいた(4)のところですけれども、データの有効活用ということで、こちらの本文を読みますと、機構の今までの人材及び機構外の人と連携するということだけが前面に出ているような気がします。こういう新しい試みをするために、よそから人を連れてくる、あるいはそのためのプロジェクトマネジャーを作るなども考えられますが、これだと何となく今のベースが前提で、それでやっていけるんだろうかという疑問が湧いてくるのですが、その辺はどうお考えなんでしょうか。
【阿蘇課長】  そうですね、まだJAMSTECと議論をしている段階ですけれども、先生御指摘のとおり、これまで地球シミュレータという研究基盤があって、それで数理科学的な研究者、先生方がJAMSTECにはそろっているということ、さらに、実際、JAMSTECはそういった数理科学の研究だけじゃなくて、これまで培ってきた観測やあるいはその観測を支えるための技術、そういったものがそろっているのがJAMSTECの大きな組織的な特徴だと考えております。そういったものをきちっと統合していくというコンセプトなのですが、繰り返しになりますけれども、外部との連携や、新たな研究手法としてのデータ同化やAIといったことになりますと、必ずしも今の組織・体制ではカバーできない部分を想定しておりまして、次の年度から新しい組織・体制、こちらの目標設定を踏まえた組織・体制・人員ということでこの課題を進めていくというふうに、今、相談しているところです。まだこの段階で具体的には御説明することは難しいのですが、こういったことも含めて検討しているという状況でございます。
【知野委員】  分かりました。それと、この国内外の関係機関ですが、これだと何か研究組織みたいなものを連想しますが、企業、産業界ともっと交流することについてはどうお考えでしょうか。
【阿蘇課長】  今機構から聞いておりますのが、研究開発法人やJAMSTECと連携をしている海外の海洋研究機関ですが、企業とどこまで連携するかということについては、再度確認し、次回、12月7日開催予定の海洋研究開発機構部会にてお答えできるようにしていきたいと思います。
【江川部会長】  はい、どうぞ。
【ウォリス委員】  2点ありますが、防災・減災のところですが、今の評価は特に地震活動と火山活動と両方ありますが、今まではかなり地震を中心にやってきたと思うのですが、ここまで火山活動を大きく書かれたのは多分変化だと思うのですが、その意味合いについてちょっと聞きたいのですが。だから、今までよりは火山活動が非常に重要な問題で、そのウエートをちょっと火山の方にシフトするのか、それとも火山活動に対する評価を大きくするのか。それと、やっぱり予算との関係もありますね。
【阿蘇課長】  まず、火山については、これまでも、第3期の計画の段階で目標にはなかったのですが、今回、新規の要求ということで、今まさに予算要求中でございます。こちらの火山活動による研究というのも推進していきたいというふうに思っております。
 これまでの御議論の中で、ちょっと総花的ではないか、いろいろなことが全部書いてあるのではないかというコメントがございましたので、これを踏まえ、重点を置くべきポイント、やるべき内容を意識して書かせていただきました。南海トラフに関する情報は、地震の対策を検討するにも情報がまだまだ足りてないということで、(3)のところでは、まずそのような議論をしていただくための情報提供を目標に置き、そのためのプレートの固着状況の把握や地震発生メカニズムの理解に筋を置いています。これまでの取組だけではなくて、ウォリス先生から御指摘いただきました新しい取組についても、火山活動ということで書かせていただいたというのが(3)でございます。
【ウォリス委員】  新しい予算を要求すると、こういうことですね。
【阿蘇課長】  はい。要求しております。
【ウォリス委員】  うまくいくといいですね。
 あともう1点ですが、こういうふうに具体的な目標を書かれるのはそのとおりなのですが、達成するための取組、いろいろ必要ですよね。組織の中、JAMSTECは研究面で弱くなっていると思わないですが、世界いろんなところでやっぱり伸びてきて、相対的にちょっと弱くなっている面も見えつつあると思うんですね。だから、それは予算の問題もあるし、あとは、やっぱり組織の中の多様性ということをいつも言わせてもらっていますけど、その辺の組織の中の目標というのもあってもいいのではないかと思うんですね。ここにこれと並列して目標にするのか、それともちょっと下の方なのか、議論あると思うんですけど、やっぱりこれを達成するために、長期的に組織が発展していくために、それは重要な問題だと私は思います。
【阿蘇課長】  ありがとうございます。こちらの今御説明しました(1)から(5)の取組に加えて、これからまた次に御説明するところで、今ありました、いかに研究開発活動の成果を最大化するか、そのための連携だったり、人材育成だったり、国際連携だったりといったところも次のところで書かせていただいております。そこのところでまた併せてコメントを頂戴できればと思います。
【ウォリス委員】  はい、分かりました。
【阿蘇課長】  今、(1)から(5)ですけど、(1)から(3)が個別の研究テーマ、また、そういった個別の研究で出てきたデータを統合していきましょうというのが(4)、また、そういった(1)から(3)を支える基盤的あるいは先駆的な研究ということで(5)ということで、研究活動のところを整理いたしました。さらに、続きまして、そういったものを最大化するための連携・育成といったものは次のところで整理をしたという構成になってございます。
【ウォリス委員】  はい。
【江川部会長】  ありがとうございました。
 御発言を。はい、どうぞ。
【大久保委員】  済みません、今御指摘のあった火山の話ですが、このフローチャートで見ると、まず、海域火山という言葉がちょっと必ずしもよく理解できなくて、西之島の辺りから多分こういうのが出てきたのだろうなという。ただ、火山観測システムを開発するだけであって、別に観測するわけではないということなんですかというか、多分、コミュニティーが期待しているのはもうちょっと大きくて、例えば伊豆大島が噴火したとか三宅島が噴火したときに、周りを取り囲んで地震観測をしてくださいとか、そういうようなニーズが多分機構には寄せられるんじゃないかと思うのですが、そういうことが念頭にあるのか、それとも何かそれ用のシステムを作るというところに特化させているのか。
【阿蘇課長】  また計画の具体的なところにつきましては次になるかと思います。
【大久保委員】  海域火山って何って、まず、どこをイメージしているのというところ。
【阿蘇課長】  先生が今御指摘のとおり、まず、来年度新規予算として想定していますのが西之島のところでございます。また、ほかのテーマと違って新規ということで、まだそういう意味では取組自体が熟してないというところはあると思います。ここに「システムの開発」と書かせていただきましたのが、まず取り組むべきところとして、ちょうど予算でも掲げているところをまずは書かせていただいているという背景でございます。
【大久保委員】  では、個別のところにはまだ行きません。
【阿蘇課長】  はい。
【大久保委員】  もう一ついいですか。
【江川部会長】  はい、どうぞ。
【大久保委員】  そのフローチャートの最後の(5)の一番右下の「柔軟かつ機動的な体制構築による挑戦的・独創的な科学研究」って非常に美しい言葉なんですけれども、今の期の研究者のヒアリングか何かのところで、しょっちゅうころころ組織が変わっていて、とても困るというような声があったような気がしているのですが、そういうことはなかったでしたっけ。
【阿蘇課長】  ありがとうございます。まず、目標とそれに伴う活動評価については、正しく目標を立てること、正しく評価すること、これらの流れをしっかり行うことが重要であると、今JAMSTEC側とも議論しているところでございますが、開発の部分と研究の部分をそれぞれどのように連携させるべきかという点においてはまだまだ課題があると思っております。そのような状況を踏まえ、このような柔軟かつ機動的な研究というのを一つの評価の項目として掲げることは大きく意味があることかと思っております。このように目標にしっかり記載し、評価をしていくということを明示的に書かせていただいているということでございます。
【大久保委員】  まあそうでしょうけど、書かなきゃいけないのでしょうか。逆にそうなると。
【下村専門官】  第3期中期目標には、こういった形の新しい技術シーズや新しい研究シーズの芽を生み出すような、そういう基礎的・挑戦的な研究に取り組むというような課題なり目標は明示的には書いてなかったのに対して、やっぱり将来、10年先、20年先というのを考えたときには、そういうことについてもしっかり取り組んだ方が良いのではないかというような機構との間での意見交換がございまして、それを(5)の課題の中に位置付けたという、そういうところであります。
【阿蘇課長】  これまでは一般的な形で抽象的に書かれていたものを、明示的に目標として掲げることによって……。
【大久保委員】  いや、それほど強く言うわけではないですが、下に、この最後のシートのところに、例えば5つ箱が並んでいますよね、左から右まで。
【阿蘇課長】  はい。
【大久保委員】  で、左から三つ目ぐらいまでというのはいわゆる技術的なことなので、非常によく分かるのですが、右の二つというのは何かちょっと違う、ほかのものと全然違いますよね。
【阿蘇課長】  分かりました。これまでは、今、下村専門官から説明ありましたとおり、具体的な項目の中に含めることなく、ちょっと外に出したような形で書かれていたところ。それはなぜかというと、将来的な取組という形で書かせていただいたんですけれども、そこを今、大久保先生おっしゃったように、まず具体的な、例えばAUVとかROVの開発と同列に記載することによって、評価できるようにしていくということで書かせていただいたということでございます。
【大久保委員】  はい。
【江川部会長】  ほかにありますか。
【鈴村委員】  今のところでちょっと。
【江川部会長】  はい。
【鈴村委員】  大久保先生と同じように危惧しているのは、「柔軟かつ機動的な体制構築による」に限定されてしまって、うまくいっている現場よりも、むしろ経営陣が柔軟になるべきといった場合もあり得るわけでしょうから、これの枕言葉が付いてしまうと、もう中期計画そろそろ真ん中だから変えようねという、必要もないのに変えてしまうような危惧は確かに覚えてしまう。目標はいいですけれども、手段を限定し過ぎじゃないかという気はします。
【阿蘇課長】  分かりました。正しく計画の内容がこちらに整合がとれているかどうかという観点で文言の方を精査させていただきます。ありがとうございます。
【江川部会長】  ほかにございますか。
 ちょっと私も1点だけ。打合せのときにも申し上げたのですが、4つ目の「政策的や社会的課題の解決への貢献」というアウトカムが非常に大きいので、しかも、機構はすごく色々なデータを持っているし、場合によってほかとの連携でもいろんな可能性があるのですけれども、おおよそ、特に課題解決ということだったら、こういう方面に注力しましょうとか、何か方向性みたいのはあるのでしょうか。ここに書くかどうかは別にしても、その辺はどういう感じでしょうか。
【阿蘇課長】  今この段階で具体的に御説明することはできないのですが、ただ、それぞれのテーマごとに保管されて活用されてきたデータを統合していくという取組を推進することによって、それぞれの相互の関連性が分かるのではないかと。まだ十分議論できていないのですが、二つあるのかなと思っています。一つが、これまでの(1)から(3)の取組がより質の高まったようなものが出てくるかもしれないというのが1点と、二つ目が、多分、先ほどの食品ロスと気候変動というのが実は相互に関連していますよねというような報告もあるのですが、機構の海洋・大気・気候変動という取組のデータだけではないところに活用し得るようなデータ・成果が出てくるのではないかということで、今、議論しているところです。こういった社会・経済的、地球全体の視点で見なさいというのは、今回の第3期海洋基本計画に掲げられているところですが、そこの視点で見ると、そういった個別の取組じゃなくて統合的に考えてみることによってまた、そういったこれまで出てこなかったような課題解決するようなデータが出てくるのではないかということで書かせていただいているというところです。ちょっと今ここで具体的にこれですというところは御説明できないのですが、そこ、引き続きまた相談していきたいと思っています。
【江川部会長】  はい、分かりました。
【三枝部会長代理】  一つだけ、今のお話を聞いてやっぱり思うんですけど、何かイメージがあった方がいい感じがして、せっかくここまで、例えば気候変動の領域でしたら、ここまで貢献されているんですから、例えばパリ協定への貢献、パリ協定は扱う範囲が広く、ミディゲーションからアダプテーションまで含みますので、様々な研究をやっても何か関係すると思いますし、パリ協定に向けた取り組みはしばらく続くと思いますから、パリ協定に貢献するとか。それから、気候変動予測の方は(1)の方で主に研究するとして、(4)の方はそういうものに、例えばどのような削減策があるか、一方、これとこれがトレードオフを起こすから、強い削減を行うとこちらに副作用が起こるとか、そういう研究はこれからとても重要ですし、(4)にぴったりのテーマですから、何かそういうものを入れていただいてもいいかもしれないと思います。また私は防災の方は不勉強ですが、仙台フレームワークも2030年頃まで世界各国が取り組むと言っているわけですから、例えばそういうものに取り組むと書いていただくと、専門外の人にも世界各国と足並みをそろえて地球の環境を保全する予定であるというのが伝わるので、よいかと思いました。
【阿蘇課長】  ありがとうございます。
【篠崎理事】  ちょっといいですか。
【阿蘇課長】  お願いします。
【篠崎理事】   参考になるかどうかは別として、この(4)に関係する今の取組を二つほど紹介させていただきます。一つは、(1)がどっちかというと全球のマクロな解析とか分析をやって将来の予測を中長期的にやるというのが(1)の主なターゲットだったわけですけれども、(4)で想定しているのは、例えば、気候変動の気候データと、アフリカ諸国で言うと降水量の分布とかが実は感染症の発生するところに関係するとか、したがって、気候変動の予測をすることで全然別の衛生とか保健の方に今適用するような研究をやっている人がいて、海洋機構でもともとの目的でとったデータが、とったときにあまり想起してなかった全然別の応用を今現にやっているというような話で、グローバル・イシューをリージョナル・イシューの個別の課題に適用していくというようなアプローチというのを、今後、こういうところでやり得るんじゃないかという議論をしているということが一つあります。
 それからもう一つは、例えば地球シミュレータのようなコンピューターシミュレーションの手法そのものを、気候変動ではなくて、例えば、都市設計をやるときに木をどこに置くとどういうような風なり流れができて、そうすると温度がどういうふうに上がるとか下がるとかということで、実際にビルを造る前に、このビルをこう造るとどういうふうになるだろうかということを事前に試算することができるというような、これも我々のやっていたデータを都市問題の方に応用するというような取組というのがありまして、要するに、我々がとったデータが、もともと目的としていたこと以外の用途にどうも使えそうではないかというような、そういう議論があって、その我々の持っているいろんな資産をそういうところに適用するというようなことがあり得るんじゃないかということを、今、頭の中に入れています。具体的にもともと想定していたことというのは、多分(1)とか(2)とか(3)の方に行くと思うんですけれども、(4)というのは多分そうではなくて、我々の持っている資源をいかに我々がもともと想定していなかったところに社会に応用していくかというような、そういうことがあり得るんじゃないかということで、今、ちょっと我々の中でも検討しているというふうに思っていただければと思います。
【三枝部会長代理】  ありがとうございます。よく分かりました。それでしたら、このキーワードの中に気候変動の影響と気候変動に適応する社会の確立に貢献するとか、何か書いていただいた方がよいのではないかと思います、例として。。
 少し話がずれますけど、きのうまで京都で地球観測における政府間会合という会議に出てきましたが、日本ではまだまだ割と基礎研究的なところが地球観測では主ですけど、世界ではもう地球観測のデータをどう気候変動適応に生かすか。農作物はこういうのがいいですよとか、漁場はこうなりますよとか、どんどん地球観測のデータをそっちに使うという方法、あとサービスの提供という方向にもう議論がどんどん行っていて、何かもう日本は遅れそうみたいな感じなので、もし既にそういう芽が幾つもおありなのでしたら、是非そこを(4)でこうしますというふうに書いていただけると、非常に先進的でいいと思います。
【篠崎理事】  今申し上げたのは、例えば今はこんなことをやっているということなので、それを踏まえてどういうふうな目標を設定するかというのは役所の方にもいろいろ御指示を伺いながらやっていきたいと思います。
【三枝部会長代理】 分かりました。少しイメージが分かりますね。
【阿蘇課長】  今、篠崎理事から現行の取組ということで関連するものとして御紹介いただきました。この(4)で設定する取組についてはまだ議論しているところですので、今の議論、御意見を踏まえてまた更に議論を重ねて、次の12月のときにはもう少し具体的に御説明できるように検討してまいります。
【三枝部会長代理】  ありがとうございます。
【江川部会長】  ありがとうございました。
 ほかによろしいですか。それでは、続いて、次期中長期目標(案)のうち、資料2-1の3の2以降の部分について、事務局より説明をお願いします。
【下村専門官】  それでは、資料2-1の10分の7ページ、2.の「海洋科学技術における中核的機関形成」以降の部分について簡単に御説明させていただきます。
 この2.の中核的機関の形成という部分につきましては、1.の(1)から(5)までの個別の研究開発課題をやるに当たって、組織横断的に研究開発成果を最大化するに当たってどういうことに取り組んでいかなきゃいけないのかというのをまとめたところでございます。こちら、大きく(1)と(2)の二つのパーツに分かれてございます。
 まず、(1)でございますが、「関係機関との連携強化等による研究開発成果の社会還元の推進」ということで、こちらは5つの段落に分かれておりますが、いずれも連携ということをしていくということを核に据えつつ、一段落目が、どういった形で機関連携を進めていって成果を出していくのかということが書いてあるパーツでございます。こちら、簡単に主要なところだけ読み上げますと、上から二つ目の行のところで、課題解決に貢献していくために、国内外の大学や公的機関、民間企業等の関係機関と戦略的な連携や協働関係を今まで以上に推進していくということ。それとともに、今、正に研究開発成果や知財として持っているものを戦略的に活用することで、成果の社会還元を着実に推進していくという話。それで、このために、機構は、知財の権利化を進めることのみならず、関係機関との連携体制を構築して、新たな価値をともに創っていくというような取組であるとか、あるいは萌芽的研究等の実施によって、将来、10年後、20年後の先を見越した将来シーズの創出に努めるというようなことを記載させていただいております。「その際」のところの注意書きでございますが、成果を社会に還元するためには、それを分かりやすく情報提供することが必要であるのでそのことにしっかりと取り組んでいくとともに、論文・特許等の成果を適切に把握・管理していくことが重要であるということが書いてございます。
 二段落目は、国際的な連携について記載してございます。国際的な連携を進めていくんだという1文目に続きまして、「特に、」のところでございますが、機構が持っている「ちきゅう」を用いて、IODP等の国際的な科学掘削プロジェクトの進展を図るために、関係機関との連携強化や、プロジェクトへの我が国からの参加者や参加国を増加させる、あるいは「ちきゅう」の科学的成果に係る認知度の向上というようなことに取り組むということを書いてございます。
 三段落目でございますが、こちらは外部資金の導入を積極的にしていくということで、例えばSIP等の国のプロジェクトへ積極的に参画していくというようなこと、あるいは民間からの外部資金を導入していくというようなことを記載してございます。
 四段落目ですが、こちらは人材育成について書いてございます。こちらも、大学や民間企業等との連携体制を強化して、すぐれた若手研究者を国内外から積極的に受け入れるとともに、高等学校教育等の現場とも連携しながら裾野拡大にも取り組むという、そういったことについても記載してございます。
 最後の段落は、一般的に国民全体に対する理解増進、普及広報活動についての記載でございます。こちらにつきましては、国民各層の特徴を踏まえた戦略的な普及活動を行うと。活動に当たっては、機構単体では難しい層、余り海洋とか科学技術に関心がなかったような層に対しても広く周知を行うべく、分野を問わず様々な企業・機関等と連携して、相乗効果を狙った活動にすることが重要であるということを書いてございます。
 (2)でございますが、こちらは、機構が持っている大型研究開発基盤の供用あるいはデータ・サンプル等の提供促進ということでまとめてございます。
 一段落目が、機構の持っている海洋調査プラットフォーム、計算機システム等の施設設備を、SIP等の政策的な課題の推進あるいは産学官の多様な外部機関の利用に供するということを記載してございます。
 二段落目は、東京大学大気海洋研究所等との緊密な連携の下に、学術研究に対しても協力を行うということで、これまでに引き続き研究船の効率的な運航・運用を行い、大学及び大学共同利用機関における海洋に対する学術研究に関して協力を行うということを記載してございます。
 最後の三段落目のパーツでございますが、こちらは、研究活動を通じて得られたデータ・サンプル等の情報提供ということをまとめてございます。こちらにつきましても、情報の性質や重要性を踏まえて適切に管理・保管するとともに、利用者のニーズに応じて適切に提供するということでまとめてございます。
 続きまして、ローマ数字の4以降ですが、こちらがマネジメント等をはじめとする管理部門に対する事項についてまとめたものでございます。ローマ数字の4で「業務運営の改善及び効率化に関する事項」といたしまして、まず1.のところは「効率的なマネジメント体制の確立」ということです。こちらは、本部会で見込評価を議論した際にも、マネジメント上の様々な諸問題についていろいろ御指摘を頂いたところでございます。そちらに対応しまして、組織マネジメントの体制をしっかり構築し確立していくようにということで明記したものでございます。第3期中期目標とは少し違ったというか、強調して書かせていただいておりますので、ここは読み上げさせていただきます。
 「機構は、海洋科学技術の中核的機関としての役割を着実に果たすために、理事長のリーダーシップの下、組織のマネジメント機能をより一層強化し、業務運営の効率化やコンプライアンスの徹底を図るものとする。また、更なる研究開発パフォーマンスの向上を図るために、機構内での分野間の連携を強化し、法人一体となって課題に取り組める研究開発体制を構築する。さらに、国の政策や国内外の研究開発等に関する最新の動向等を研究計画に反映させるとともに、効果的・効率的な業務運営が行われているかを適時に点検し、更なる業務改善に反映していくなど、PDCAサイクルの実施を徹底する」ということでございます。
 こちらにつきましては、組織マネジメント機能をより一層強化するという話、あるいはコンプライアンスの徹底を図るという話、さらには、効率的・効果的な業務運営がなされているかを点検して、更に業務改善に反映させていくPDCAサイクルをしっかり回していくんだということについて明示したということでございます。
 2.の「業務の効率化」以降の部分につきましては、現在の第3期中期目標でも掲げていることと同じような項目、他法人でも掲げているような項目でございますが、まず、2.の「業務の効率化」のところにつきましては、運営費交付金を充当して行う事業についての一般管理費やその他の事業費について効率化を図るという話、あるいは給与水準について適正に定めるという話、契約についてその合理化を図るという話をまとめてございます。
 ローマ数字の5の部分、「財務内容の改善に関する事項」についてまとめてございます。
 ローマ数字の6の部分が、業務運営のその他の事項といたしまして、こちらの1.の「国民からの信頼の確保・向上」につきましては、個人情報を適切に取り扱うというのが一段落目でございまして、二段落目が情報セキュリティ対策をしっかり講じるということ。三段落目が業務運営に当たっての安全確保ということをまとめてございます。
 2.には「人事に関する事項」、3.は「施設及び設備に関する事項」ということで、組織運営に当たって必要な事項をまとめて記載したというところでございます。
 簡単ですが、以上でございます。
【江川部会長】  どうもありがとうございました。
 ただ今の御説明について、御質問、御意見等ございますでしょうか。
【鈴村委員】  ちょっと1点だけ。
【江川部会長】  はい。
【鈴村委員】  交付金の、初年度に比べて何とか%というのは、ちょっと分母と分子の関係がよく分からないんですけど、初年度と比べて7年間の中長期目標期間のどこが何%以上削減されているということですか。
【下村専門官】  まず、一般管理費で、その後ろに括弧書きで除くって書いてあるのを除きまして、一般管理費については、中長期目標期間中の初年度に比べ、ここは今後の調整で数字が入るところですけど、黒マル%以上、その他の事業費について、こちらも初年度に比べて黒マル%の効率化ということで……。
【鈴村委員】  例えば5%という数字があったときに、初年度が100%としたときに、毎年95%ということなのか、最終的に何が何%になっていればいいのか、よく分からないです。
【下村専門官】  7年間通して初年度に比べてというつもりの今は書き方。ちょっとこちらは今後の調整で数字とか書きぶりとかも変わってくるところでございますので、それで黒マル印で。
【鈴村委員】  数字そのものと計算の在り方を次回もう少し具体的にお願いします。
【下村専門官】  はい。今の中期目標もこの書き方に近かったと思うのですが、今の中期目標、参考資料6にございますけれども、そちらもほぼ同じような記載がございまして、参考資料6の10分の8ページ、ページ数は6ページと入っているところですけれども、中期目標の初年度に比べ、一般管理費については10%以上、初年度から5年終わった時点で10%以上というふうに書いてございまして、その他の事業費については中期目標期間の初年度に比べ5%以上の、最初と5年間終了時点で、5%以上の効率化を図るという、この記載を参考にというか、そのまま書かせていただいておりまして、この何%というところがまだ検討中であり、今後の調整で数字が入るというところでございます。
【鈴村委員】  数値目標が入ってしまうと、評価のときに数字に引っ張られてしまうので、きちんとした定義が必要です。平均が10%なのか、最終年度が10%でいいのか、合計なのか、その辺が随分変わってくるので。
【江川部会長】  一般的な質問ですが、中期計画ごとに10から90、80、70ってどんどんやらなきゃいけないのでしょうか。つまり、研究機関として大体これぐらいが妥当で、だけれども、例えばJAMSTECはこんなに高いからここに行きなさいとかいうのではなくて、とにかく今のものが実はすごく効率的なのかどうかというのとは、多分もう少しやれるという判断なのかと思うんですけど、何か毎回減らしていくだけという形だと、逆にどこまでやったらいいのかとか、同じような研究機関と比べてどうなのかとか、そういう視点もあってもいいのかなと思いました。
【篠崎理事】  いいかどうかは別として、一般論は、これは海洋機構だけではなくて、他の法人も同じですけれども、初年度と最終年度との比較で何%というのを書いて、したがって、最終的に評価を、目標を達成したかどうかというのは初年度と最終年度の差で見ることになっています。例えば5年間で10%削減をすると書かれれば、平均すれば、大体2%ずつ切っていけば最終的に初年度と最終年度の間が10%ぐらいになるので、目標達成しますということなんですけれども、極論を言えば、例えば初年度から全然変えずにフラットにして、最終年度に10%急にぼーんと落としても、最終年度が10%下がっていれば一応目標は達成されたというような評価になります。だけど、実際は、それぞれの法人はこの一般管理費というのは削減するの物すごく難しいので、どこも物すごい努力をして、削減を一生懸命努力してようやく達成するというような感じなので、4年間フラットにして、5年目にいきなり10%というのは事実上不可能に近いので、各法人はどうしているかというと、基本的には毎年2%ずつ切っていくというようなことを続けると。例えば、年度の途中で3年後に6%切れていたかどうかというのを一応指標として我々自身は見ます。ただ、6%じゃなくて、5%しか切ってなかったとか4%しか切ってなかったということで駄目かと言われると、そこは評価の対象外ですから、一応そこはクリアはできているということなんですけれども、その代わり、残りの2年間で4%以上切らないといけないということになるので、これは大変だというような話になります。
 そういうやり方がいいかどうかは議論があると思いますけれども、恐らくここの書き方とか考え方というのはJAMSTECだけの問題ではなくて、他の法人も同じような考え方でやっていますから、他の法人も含めてこのやり方がおかしいということであれば、それはそれで別途議論が必要かもしれませんけれども、恐らく今はそういう立て付けになっているのと、前回はそういうふうにしているから、今回もこういうことで一応案として提示されているということではないかと思っています。
【江川部会長】  はい、どうぞ。
【三枝部会長代理】  今、せっかくお話が出たので、質問なんですけど、このやり方がおかしいとここで言ってもいい場でしょうか。現状は、非常に厳しい状況にあると思います。先ほどウォリス先生が少しおっしゃいましたけれども、日本の研究開発力が落ちているとか、指標としてはTop10というか、非常にいい雑誌に載る論文の数が減っているといった指摘は数多く行われているところで、その原因の一つに経常的に使える研究費がどんどん減っていることがあるのではないかと。5年で10%というと、それほど大きくないように見えるかもしれませんが、10年すると0.9掛ける0.9で8割になり、これをどんどん続けていくと、20年程度になると本当にある規模の組織あるいはある規模の観測を支え切れないことになってくるので、それは本当にどこの法人でも苦労されているところかと思います。ですから、この最後のところに少し書いてありますけど、新たに追加する業務というのを必死でとってきているわけです。しかし、その努力をもっと研究に向けることができれば、――同じ研究をずっとやるのがよくないという考え方に立ってこういうことになっているんでしょうけれど、かなりの人数の研究者の膨大な時間を奪う原因の一つにもなっているように思われ、ですから、こういうやり方はあり得るけれども、少し見直す、削減の量を見直すとか、やり方を見直す必要があるというのをもしどこかで言ってもいい場所があれば、言いたい気はします。
【阿蘇課長】  はい、ありがとうございます。
【篠崎理事】  今の御指摘は、多分、計算の仕方の問題ではなくて、恐らく黒マルのところの数字が今書いてないので、この黒マルの数字の書き方で物すごく厳しくなったり、助かったりというような話だと思うので、それはまだ今の段階で決まっていませんから、厳しいのか、やさしいのかということについては分かりませんけれども、従前の削減率の厳しさというのは、これは全法人かなり問題視していまして、実は国立研究開発法人の、これは文科省だけではなくて全省庁の独法、研究開発法人の集まりというのがありまして、そこでここのところがやっぱり問題になって、こういう制限を何とかしてくれというような要望を以前作って出したことがあります。
【三枝部会長代理】  あ、そうですか。
【篠崎理事】  これは国大協と同じように、運営費交付金が毎年1%切られるというのは問題だというような話と同じように、研究開発法人も同じような状況なので、大学と併せてしかるべきところに意見を取りまとめて言うというような機会があったので、それをやっています。それは一応、毎年、しかるべきタイミングでその協議会の方から政府の方とか、それから政治の方にもちょっといろいろ働き掛けをしていただいているということです。それで改善されるかどうかというのはちょっとまだよく分かりませんし、そこをどのぐらい真摯に受け止めていただけるかということも不透明なところがありますけれども、ただ、我々自身はやっぱり問題意識を持っていて、それは我々だけの問題じゃなくて、他の法人も含めて声として出しているということは今やっているということです。
【三枝部会長代理】  では法人からの声に応えていただけることを期待しております。
【江川部会長】  一言よろしいですか。この話、直接の話とはちょっと違うのですが、今のことで、やっぱり今、エビデンス・ベースドとかそういうことがすごく言われるので、できる範囲で、同じような研究機関、海外でもいいですし、国内でもいいんだけれども、どういう経費の比率が適切かとか、それから、研究者とサポートスタッフの比率とか、何かやっぱり根拠がないと、ただ甘いことを言っているって批判されるだけなので、そこを何かうまくできたらいいなと思います。大学も、何%減らしなさいと言って、それが大学側の判断もちょっとよくなかったんだけれども、結局、研究者を余り減らさずスタッフを減らしちゃったので、研究者がアドミニストレーション一杯やるようになってしまって、私がいた頃の東京大学と海外の大学を比べると、研究者とスタッフの比率がすごくいびつになっていて、これでいいのかってすごく思ったんですけど、ちょっとそういう視点も考えて、やっぱり本当にいい形に持っていけるように政策も考えていただけるといいと思うし、現場の方もそういうことをうまくやっていただけるといいなと思います。
【阿蘇課長】  ありがとうございます。
【江川部会長】  はい。
【大久保委員】  10分の8ですね、(2)番です。研究基盤の供用ですが、第2パラで研究船のことが書かれてありますね。これって非常にいいのですが、前提条件があると思うんですよ。それは、研究船が何の問題もなく動いていくと。これまでと同じ状況で。その前提条件って崩れているんでしょう。つまり、崩れているというのは、廃船されることがかなり予想されているのではないですか。学術研究船というのは、この7年のうちには多分三十何年の定期何とかを超えて。
【阿蘇課長】  そこも含めてどうするかというのを相談した上での記載になってございます。
【大久保委員】  つまり、効率的に運用するというのは、船があって、ただ重大な問題だけを何とかするために効率的に運用しますというふうに読めちゃいましたけれども、前提条件……。
【阿蘇課長】  前提条件も含めた上での記載になっております。
【大久保委員】  ということは、つまり、今の体制みたいなものは維持されるということですか。
【阿蘇課長】  という前提です。そこは運航の状況とかいろいろあると思いますけれども、今の状況を含めた上での記載です。
【大久保委員】  はい。何か聞いているものとちょっと違うような気もするけれども。つまり、何マイル走ったとか、そういうのは別にいいのですが、走る船が中の設備は全然なくなっちゃって、研究船ではない船が一生懸命走っているという状況でも、これで達成したということに評価できるわけですよね。
【阿蘇課長】  運航と、それから学術研究への協力ということでございますので、単に研究できない船を走らすということではございません。
【鈴村委員】  JAMSTECに1隻でも研究船があれば、これは達成できるわけですよね。
【大久保委員】  そう、そう。2隻体制がですね。
【鈴村委員】  それもでも、「白鳳丸」、「新青丸」がなくなったとしても、例えば「みらい」1隻だけとなった場合を想定しても、「東京大学大気海洋研究所等との緊密な連携の下」という目標は達成可能なので、この記述では白鳳丸の存続は保証されないですよね。そこは、多分考えないでよいように書かれたと思います。
【阿蘇課長】  目標のところですので、この目標に基づいて実施をしていくということでございまして、ここの目標のところで船の具体について記載というところではないと考えております。
【大久保委員】  そうすると、10/10ページの最後のところに書いてある「施設及び設備に関する事項」のところで、「業務に必要な施設や設備については、老朽化対策を含め必要に応じて重点的かつ効率的に更新及び整備する」という、この一般的な文言に含まれると……。
【阿蘇課長】  当然含まれる。
【大久保委員】  ですね。
【江川部会長】  二つなくなってしまう可能性もあるということですか。私も素人なのでよく分からないのですが。
【大久保委員】  僕も素人で、乗ったことない船ですが、「白鳳」は危ないのではないですか。
【江川部会長】  もう古くなってしまったのですか。
【大久保委員】  船齢が三十何年になっていると思いますよね。
【江川部会長】  ああ、なるほど。それで、それをリプレースするのではなくて。
【大久保委員】  前の中期計画のときには、ほかの船も随分船齢が古くなっていて、それを更新するということを何か書かれたのではないかと思うんだけれども。つまり……書いてはいなかった?
【下村専門官】  第3期中期目標では、「事務事業の見直し」という項目が、行革の流れの中で設けられておりまして、そこで研究活動を効率的に行う観点から、必要性が少なくなった研究船を廃止するということをこの項目の中に書いていて、2船廃止したのがこれに当たりますが、今回は廃船するとかそういう記載はないです。
【江川部会長】  その書かないのはいいんですけど、一応、目指している方向はまた新しいのをもう一つ…。
【阿蘇課長】  そこはこちらに書いてございますけれども、方向性として掲げているのは、大学の研究機関と連携の下で計画を策定するということで、これに基づいて行って、学術研究に関して協力を行うという方針を書いておりますので、前提条件として緊密な連携協力の下ということで、それが前提条件となって協力を行うという記載にしております。ただ、今、先生御指摘の、具体的にどうするかとか、そういうことではこの目標のところでは書いてございません。
【大久保委員】  うん、書かないと。それは12月には出てくるということなんですか。つまり、12月のときにまたそういうことを繰り返しお尋ねしてもいいことなんでしょうか、それとも、それもできないようなことなんでしょうか。
【阿蘇課長】  財政事情等にもよりますので、ここでどこまでの粒度で記載するかというのはあると思います。
【大久保委員】  これって全然儲からない話だから、つまり外部資金が入ってくるというそういった話ではないので、多分一番順位は下の方に下げられるところだと思うんですよね、学術研究船の有効活用。
【阿蘇課長】  ここでは連携の下ということで、よく話をした上で学術研究に関し協力を行うということでございます。
【江川部会長】  これってMDAとかには役に立たないんですか。
【阿蘇課長】  MDAは当然、観測ですので役に立つものでございます。
【江川部会長】  そうしたら、MDAはプライオリティーが高いのではないのですか。
【阿蘇課長】  ただ、将来にわたる予算措置とか、そういうのはまた別の議論になると思いますので、ここではその方針を書かせていただいているというところでございます。
【江川部会長】  はい。
 ほかにございますか。よろしいですか、この議論は。
 では、次に、次期中長期目標(案)に関わる評価軸、それから評価指標(案)について、事務局より説明をお願いします。
【下村専門官】  はい。お手元のタブレットの資料2-3で御説明させていただきます。こちらにつきましては、総務大臣決定された独立行政法人の目標の策定に関する指針、参考資料3としてタブレットに入れさせていただいておりますが、そちらにおいて、目標策定時に適切な評価軸と評価指標を設定して法人に提示することというふうにされているものを踏まえまして、案として策定しているものでございます。
 こちらは、中長期目標のローマ数字の31.2.研究開発成果の最大化に関わる項目についての評価軸と評価指標でございます。
 まず、ローマ数字の31.の5つの研究開発課題のところですが、こちら、評価軸といたしましては、基本的に全ての項目についてほぼほぼ共通するものとして、まず一つ目が、各研究開発を中長期目標・中長期計画に基づいて戦略的に推進し、科学的意義の高い優れた成果が得られているか、アウトプットが意義の高いものになっているかというのが一つ目でございます。
 二つ目の丸のところに書いてございますのは、そういう得られたアウトプットが、求められているアウトカムとの関係におきましてアウトカム創出に貢献しているかという視点からの評価軸でございます。例えば(1)環境の課題のところでしたら、一番上の箱の評価軸の2番目の丸のところですが、得られた成果を国際社会、国等へ提供し、政策立案等へ貢献しているか。その下の(2)資源の有効利用に関する課題のところですと、そこの2番目の丸のところですが、得られた成果を産業界等へ提供し、産業利用の促進が図られているか。例えば(3)地震の課題ですと、ここも一番下のところに書いてございます箱の2番目の丸のところでございますが、得られた成果を国や関係機関に提供し、国等が行う地震発生帯の長期評価等へ貢献しているかというような、こういったアウトカム創出への貢献についての指標でございます。
 3番目のところに書いてございますのは、全ての研究課題について共通でございますけれども、研究開発成果を最大化するための研究開発マネジメントは適切に図られているかというものです。評価軸として5つの課題に共通するものは、この三つでございます。
 次の2ページ目、4分の2ページ目のところに(4)と(5)の記載がございます。(4)の数理科学的手法により情報とデータを統合して課題解決に貢献するという課題と、(5)の挑戦的・独創的な研究開発と先端的基盤技術の開発というものです。こちらにつきましては、情報基盤であるとか海洋調査プラットフォームという、そういったものを有効に活用していくというような内容も含まれてございますので、ほかの課題にはない丸といたしまして、例えば(4)、4分の2ページ目の二つ目の箱のところにあります(4)の評価軸の2番目のところですが、情報基盤の整備・運用が効率的になされ、国内外の関係機関との連携が進展しているかというような評価軸を設定しております。あと、(5)のところにつきましても、2番目の丸のところでございますが、こういった海洋調査・観測技術の高度化や海洋調査プラットフォームの効率的運用により機構の研究開発成果の最大化が図られたかというような、この二つの課題につきましてはこういった評価軸も研究課題の特徴に合わせましてプラスアルファで設定しております。
 関連する評価指標、モニタリング指標のところですが、4分の1ページ目のところに戻っていただきまして、こちら評価指標というのは評価・評定の基準として取り扱う指標ということでございますけれども、これも基本的には全研究開発課題について同じような指標になってございますが、研究開発の進捗状況がどうであるか、あるいは具体的にどんな研究開発成果が得られているか、あるいは国等の政策への貢献や成果の社会還元の状況がどうであるか、研究開発の進捗に係るマネジメントの取組状況がどうであるかというような評価指標でございます。これらにつきまして、参考指標、モニタリング指標としてどういう客観的なデータのようなものが挙げられるかというと、例えば学術論文誌等への論文等の掲載数、これは論文の量の話でございます。二つ目として、その質に関する指標で、例えば論文被引用数はどうなっているか。あるいは、その他社会への還元などに関わる指標として、例えば共同研究の件数であるとか、あるいは課題によっては特許の出願件数であるとかそういったもの、あくまでこれは、「等」と書いてございますとおり例ですが、そういったものをモニタリング指標として掲げてございます。
 4分の3ページに行っていただきまして、ローマ数字の32.のところでございます。こちらは、組織横断的な取組といたしまして、中核的機関の形成に関わる取組について、二つのパーツに分けて記載してございます。一つが連携強化等、研究開発成果の社会還元の推進という項目。こちらの評価軸としましては、非常に端的に、中核機関として、国内外の関係機関との連携強化等を進め、成果の社会還元が図られたかということで、これに関する評価指標としましては、非常にたくさん書いてございますけれども、例えば、大学や研究機関、企業等との連携に向けた取組状況がどうか、知財の利活用に向けた取組状況あるいは研究開発成果の実用化・事業化に向けた取組状況がどうか、あるいは、成果の情報発信に向けた取組がどうなっているか、海外の機関との連携に向けた取組状況がどうなっているかというような指標を掲げてございます。こちらにつきまして参考となるモニタリング指標としましては、従前の法人評価のときにも参考指標としてお示しさせていただいていたものとほぼ同じようなものでございますけれども、例えば機関間の連携協定数あるいは共同研究実施件数がどうか、特許出願数がどうか、組織全体としての論文等掲載数がどうか、外部資金の獲得額あるいは受託件数の額等々の指標を掲載してございます。
 (2)の大型施設設備の供用あるいはデータ等の提供促進に関する評価軸としましては、研究開発基盤の供用やデータ・サンプルの利用拡大を図ることによって、我が国の海洋科学技術の水準向上に貢献したか。こちらは、機構法の4条で機構の目的として掲げられているところに我が国の海洋科学技術の水準を向上させるというのがございますので、こちらの評価軸とさせていただいております。こちらについての評価指標は、研究基盤の外部への供用状況や供用促進に向けた取組状況、学術研究船の運航・運用状況、データ・サンプルの提供の状況あるいはその取組の状況というような指標。参考指標といたしましては、受託航海における船舶運航日数であるとか、地球シミュレータにおける公募課題数、学術研究に係る船舶運航日数あるいはそれによる研究成果発表数等々のモニタリング指標を掲げてございます。
 簡単ですけれども、以上でございます。
【江川部会長】  どうもありがとうございました。
 ただ今の御説明について、御質問、御意見等ございますでしょうか。
【三枝部会長代理】  済みません。モニタリング指標のところで(4)、4の2ページの表の右の端のところに評価指標とモニタリング指標がありまして、それの一番最後に「情報基盤利用課題数、登録成果数」とありますが、これはJAMSTEC側で情報基盤を利用した課題数でしょうか、それとも外部の研究団体などがJAMSTECが作る情報基盤を利用する課題数なんでしょうか。
【下村専門官】  こちらのモニタリング指標は、評価軸のところの2番目の丸に書かれているところで、情報基盤を国内外の関係機関との連携、ちゃんと使って連携が進展していますかというのに係る指標というふうに位置付けておりますので、利用課題数というのは外部も含めた、例えば地球シミュレータが外部でどれだけ利用していただいたかというような話も含んでございます。
【三枝部会長代理】  そうですか。では両方含むということですね。
【下村専門官】  はい。
【三枝部会長代理】  はい、分かりました。
【江川部会長】  ほかにございますか。
【ウォリス委員】  このモニタリング指標というのは、これは例ですね。
【下村専門官】  はい。
【ウォリス委員】  だから、これ、例えば海外の研究機関等の研究機関等とのMOU締結件数、それを余り重視すると、どんどんどんどん意味のないようなものを増やしていくだけなので。
【下村専門官】  はい、確かにそうです。あくまでこちらは参考となる指標ですので、この数字を上げることが目的ではないということは、それは御指摘のとおりでございます。
【江川部会長】  ほかにありますか。では ありがとうございました。
 それでは、続いて、組織マネジメント上の諸課題への対応状況について、海洋研究開発機構より御説明をお願いします。
【篠崎理事】  はい。それでは、資料3の説明をさせていただきたいと思います。
 まず、1の「はじめに」というところですが、前回の業績評価におきまして、機関としての評価というのはA評定を頂いたところですが、ガバナンスについて厳しい指摘を頂いております。これを機構としましては重く受け止めて、機構全体で事案への対応あるいは再発防止策の徹底を行っておりまして、現在の対応の状況について御報告をさせていただきたいと思います。
 申し訳ありませんが、2.の次のページの「個別課題の検討事例」、参考1というところで、そもそも評価のときにどういう事案が問題になったかということについて表がありますが、4件ほど、論文数の誤集計、特許数の誤集計、それから、データの公開・利用に係る手続漏れとか、メールの個人情報の誤送信のような事案ということで、こういうものが今回指摘を受けたものの元になったものですが、一応、原因と、それから一番右の欄に対応等ということで、今日ちょっと時間が短いので細かくは御説明できませんが、総論としましては、個別の事案については対応を即時にやりまして、一応、関係方面にも説明をし、了解を得て、それから、その対応についても公表していて、それぞれの事象につきましては当面の対応というのはある程度もう終わっているということです。
 ただ、ここの委員会で御指摘いただいたのは、こういうものがそもそもなぜこんなに起こったのかと。ここは要するに根幹に関わるような何か問題が組織的にあるのではないかというような御指摘だったので、それについてどう考えているかということが、1枚戻っていただきまして2.の「総論」というところでございます。
 これまでの検討の経緯としまして、内部統制委員会というのを機構の方で持っておりまして、これは外部有識者も入った委員会なんですが、ここの中で共通的問題改善ワーキンググループというのを設置しまして、こういうものの共通的な問題というのを検討いたしました。それから、このワーキンググループのいろいろな検討事項をベースに、内部統制委員会を今までに8月と10月それぞれ開きまして、8月においては、根本原因や再発防止策等の一連の問題に共通する事項等について討議しまして、それを受けて10月、これ、実は先般の火曜日なんですけれども、どういうような本質的な問題があるかということについて、具体的な取組についての議論を行いました。
 その下の原因というところが、そこでいろいろ出てきた議論の概要でございますけれども、業務遂行上のルールの不備や形骸化、あるいは業務の適正性評価の不足、あるいは職員にあるべき意識の希薄化というのが、共通する根本的な原因なのではないかということと、これらを組織の問題、個人の問題、経営の問題というふうに三つのカテゴリーに分けまして、これを位置付けて、こういうものについて経営陣が取り組むべき本質的問題だと認識しております。
 具体的には、組織の問題というのは、体制とか風土とか、要するに、長年、今までの仕事のやり方を是として、余り、現場で問題が起こったとしても、それを問題として自主的に改善しようというような考え方がどうも希薄だったんじゃないかとか、それから、個人の問題は、それ以前に、もともと組織の問題の積み上げとして個人の問題があるわけですけれども、そういうような意識や姿勢が個々の職員にやはり希薄だったのではないかとか、それから、組織同士の連携とかコミュニケーション不足というのがあったのではないかというような問題があります。それから、経営の問題としては、そういう内在的な問題があったにもかかわらず、経営の方がそれを重要な問題だと受け止めていなかったのではないかということで、これをちゃんと経営の問題としてしっかり受け止めて、今後どういうふうにしていくかというようなことについて改めて抜本的にちょっと議論しようというようなことにしています。
 具体的には、ちょっとここには記載していませんけれども、それぞれの現場の内部統制あるいはリスク管理をやる担当の管理職を全員集めまして、役員も含めてグループ討議をして、もう一度、各人の意識徹底とか、何が内在的な問題として更にあるかというようなことを抽出するような議論を近々にやろうと思っています。
 今後の対応ですけれども、今申し上げたことに加えまして、先ほど来いろいろ中長期目標の議論をしていただいていますが、今の見込みですと、恐らく今の研究の立て付けとか分野をかなり抜本的に見直すことになると思いますので、それに伴って組織改編もかなりドラスティックにやることになるのかなと思っていますが、それに伴いまして、経営管理部門もその研究部門の再編成と合わせて組織編成を改めてやりまして、その中で、ここでいろいろ御指摘いただいたようなガバナンスの問題も受け止めた、そういうことが具体的に実施できるような体制をこれからちょっと検討していきたいと思っています。具体的には、どういう部やどういう課を創って、どういうミッションを持たすかとか、あるいは今までやっていた仕事の進め方、会議体の見直しなども含めて、より一層、ガバナンスなり組織力の強化というのを図っていきたいと思っております。
 以上です。
今日【江川部会長】  どうもありがとうございました。
 ただ今の御説明について、御質問、御意見ありますでしょうか。
【鈴村委員】  ガバナンスは確かにそうなんですが、伺いたいのは、某機関である事案が起こったときに、結局、それがなぜ起こって、何が問題になってということの直接の説明が現場にほとんどなく、外向けの公式発表を読んで初めて現場が詳細を理解したという状況がありました。先ほど、機構は今回のこれらの問題を、管理者の方を集めてとおっしゃいましたけれども、職員全員に何か情報共有する予定はないでしょうか。そこがないと、多分ボトムアップでの改善は行われないと思います。現場は「状況を教えてくれないなら協力もできない」という気持ちは働きますので、一緒にやるのであれば、ちゃんと上も下も全員、情報共有をしっかりされた方がいいと思います。
【篠崎理事】  一番問題になったのは、メールの話は、実は加害者でもあり、被害者でもありというようなことで、実際に職員自体も被害者の一人ということで当事者だったわけで、これについては職員への説明会というのもやりまして、今、どういう状況になっていて、どういうリスクがあるかについて、全職員を対象とした説明会というのを2回ほどやっております。
 それから、特許や論文の話も、これは個別の事象なので特別のステークホルダーが一杯いるわけではないんですけれども、やはりこういうことが起こったということをかなり組織として重要に受け止めているんだというようなメッセージを、例えば理事会等でも議題にして報告をし、その議事概要を機構内ウエブで職員全員に見えるようにしている。それから近々にもまたそういうことをちょっと考えておりますけれども、これからやるグループ討議でもそういうことを事案にしながらやっていきたいと思っています。
 それから、これは管理者ですけれども、その管理者から更に現場の人たちにもやっていくような、そういう立て付けのやり方をしたいと思っておりますし、必要であればまた、個々人を集めてそういうような場というのも場合によっては検討しないといけないのかなと思っています。
【江川部会長】  ほかにございますか。
【知野委員】  済みません、よろしいでしょうか。今御説明いただいて、抜本的な体制見直しと。細かいことはまだこれからでしょうが、その抜本的見直しのかなめというか、どのように見直そうとされているのでしょうか。
【篠崎理事】  まず、要するに個人と組織の問題というのは、これ、ちょっと根の深い問題もあるので、一朝一夕ですぐに変わるというふうなことにするのは非常に難しいのかもしれませんけれども、やはりトップダウンで、経営陣がしっかりと問題意識を持って、その問題意識を持っているというメッセージを各職員に周知するというのが非常に大事だと思っています。その中で我々自身もこれをしっかりと重く受け止めているということで、具体的なアクションを、当面とれる話というのは先ほど申し上げたとおりですけれども、更にいろいろやりながら、より組織文化というのを改善できるような取組というのは今後も考えていきたいなと思っています。
【知野委員】  その組織文化というのは、やっぱり現場が緩い、緩過ぎるという、そういう文化なんですか。つまり、ここで原因に挙げられていることというのは、何かすごく普通のありそうなことが書いてあって、何かもう少し原因で踏み込んで分析がなされないと、組織文化を変えるとおっしゃっても非常に抽象的な感じがするんです。
【篠崎理事】  それを少し深掘りをするような討議というのをこれからやろうと思っていますし、やはり一番今までの議論であったのが、ある意味セクショナリズムとか、それから、例えば担当が代わったときに担当に必要な事項を引き継いでなくて、その引き継がれた方が問題の所在をそもそも知らなかったとか、そういうことが結構あったみたいだということで、そういうことがないように具体的にマニュアルを成文化して、担当者が代わる場合にはちゃんと引き継ぎをやるとか、そういうところはもう既に始めておりますが、今は、実際に事案が起こったところだけがその対象になっているんですけれども、恐らくそれ以外の部署でも多かれ少なかれあるかもしれないという仮定で、そういうことをまた水平展開していくようなことをこれから考えていきたいなと思っています。
【江川部会長】  ほかにございますか。
 じゃあ、ありがとうございます。これで予定していた議論は全て終わりました。
 最後に、事務局から何か御連絡事項があったらお知らせください。
【下村専門官】  はい。机上に机上配付資料1といたしまして意見シートを置かせていただいております。こちらは、別紙1が中長期目標(案)について、別紙2が評価軸・評価指標について、御意見を記入いただくものでございます。約1週間後、11月9日の17時までを目途に事務局に返信いただきたいというふうに考えております。このワード版を先生方にこの後お送りしますので、そちらに御意見を記入いただいてメールで送信いただければと思います。
 今後のスケジュールでございますが、机上配付資料2ご覧ください。本日が第15回JAMSTEC部会で、中長期目標(案)について御議論いただいたわけですが、その後、12月7日に第16回JAMSTEC部会を予定してございます。こちらは、本日頂きました御意見、あるいは、この後、机上配付資料1の方で様式配らせていただいているもので更に頂く御意見等を踏まえまして、改定した中長期目標(案)と、これに加えて次回は中長期計画(案)についても御説明して御議論いただこうというふうに考えてございます。その後、12月の中旬頃に予定されています第13回文部科学省国立研究開発法人審議会、親審議会の方で次期中長期目標(案)について御議論いただく予定になってございます。年明け以降、総務省、財務省等と中目(案)について協議をして、2月末頃を目途に中長期目標の大臣決定及び法人への通知、3月末、年度末を目途に中長期計画の大臣認可という、そういう流れになってございます。
 以上でございます。
【江川部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、以上で本日の海洋研究開発機構部会を終了いたします。本日は、お忙しい中、どうもありがとうございました。
―― 了 ――

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研究開発局海洋地球課