国立研究開発法人審議会 海洋研究開発機構部会(第12回) 議事録

1.日時

平成30年5月30日(水曜日) 10時00分~11時00分

2.場所

文部科学省18階 研究開発局1会議室

3.出席者

委員

江川部会長,三枝部会長代理,ウォリス委員,鈴村委員,知野委員,水本委員

文部科学省

阿蘇海洋地球課長,満田課長補佐,下村専門官 ほか

4.議事録

【江川部会長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第12回海洋研究開発機構部会を開催いたします。
 皆様、御多忙中にもかかわらず、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の議題は、お手元の議事次第のとおりでございますが、本日の議題は、全て公開することといたします。
 それでは、まず、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【下村専門官】  それでは、議事次第に従いまして配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の4.のところにございます。資料1-1としまして、平成30年度の海洋関連予算。資料1-2と1-3が第3期海洋基本計画の概要と本文。資料2としまして、平成30年度の海洋研究開発機構部会における業務実績評価等の進め方について(案)でございます。
 参考資料が7個ございます。参考資料1としまして、本部会の委員名簿。参考資料2としまして、海洋機構の中期目標。参考資料3としまして、本部会の平成27年から29年までの改善に向けた意見をまとめた報告書。参考資料4としまして、国立研究開発法人審議会の平成27年から29年までの主な指摘事項。参考資料5と6として、総務省の独立行政法人評価制度委員会の決定等で参考になるものを、参考資料7として、平成29年度の文科省の調査委託事業の結果をまとめた報告書の概要を配布してございます。
 以上でございます。不足等ございましたら、お願いいたします。

(1)議題1 事務局報告事項
【江川部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。
 まず、本日の部会の主旨を事務局より簡単に説明していただいた上で、引き続き、議題(1)の事務局報告事項、平成30年度の海洋関連予算及び第3期海洋基本計画について、御説明をお願いいたします。
【満田課長補佐】  それでは、本日の主旨につきまして簡単に御説明をさせていただきます。
 今年度につきましては、JAMSTEC(海洋研究開発機構)の第3期中期目標期間の最終年度になります。そのため、8月までにまずは一つ目としては、昨年度の業務実績評価、年度評価といわれるものでございますが、こちらを行うこと。二つ目といたしましては、第3期の中期目標期間終了時に見込まれる業務実績評価、こちらは見込評価といわれるものでございますけれども、この見込評価を行うということ。三つ目といたしまして、次期中期目標の策定に向けて、組織及び業務全般の見直し内容についての検討を行うということ、この三つをまず8月までに行うということ。その後、10月以降に、見込評価と、組織・業務全般の見直しを踏まえた次期中長期目標の案の検討を行うというスケジュールを予定してございます。
 本日は、この年度評価、見込評価、組織の見直しに向けた審議を行うに当たりまして、本部会での進め方について御議論を頂きたいと思っております。
 まず、そちらを議論する前提といたしまして、最近の海洋科学技術政策の状況につきまして、私から御説明をさせていただいた上で、今年度、本部会における業務実績評価の進め方について議論をしていただきたいと思ってございます。
 まず資料1-1という横型の資料を御覧いただければと思います。こちらは平成30年度の海洋関連予算、海洋に関係する予算の全体像でございます。
 平成30年度予算額は約373億円でございます。こちらは海洋研究開発機構の運営費交付金が大体313億円くらいでございますので、残りの大体60億円程度が内局予算といいまして、文部科学省本省で行う予算でございます。そちらが合わさった形で計上しているものでございます。
 1ページ目、下の方に大きく四つ書いてございます。こちらは主なものを抜粋しているものでございます。
 あと、追加で御説明いたしますが、右上の方に復興特別会計ということで約6億4,500万円、こちらは東北マリンサイエンス拠点形成事業といいまして、東北の沿岸域の海洋調査などを行っている事業でございますけれども、こちらが別途計上されているという、全体像としてはそういう形でございます。
 簡単に四つの内容を御説明させていただきますけれども、まず国土強靱化に向けた海底広域変動観測、こちらは全体としては120億円程度でございますけれども、簡単に申しますと、海底の地殻変動を観測するといったことに関する予算でございます。地球深部探査船の「ちきゅう」やJAMSTECの一番新しい船であります海底広域研究船「かいめい」などを活用して海底の地殻変動をリアルタイムに観測するシステムを整備する。また、そういったものに基づいたシミュレーションの高精度化を行うといった予算でございます。
 右側の統合的海洋観測網の構築、こちらは簡単に申しますと、海洋や大気といった海洋のデータをいろいろ取得するための観測網を構築するというものでございます。書いておりますとおり、漂流フロートというもの、また係留ブイといわれているもの、そして船舶、こういったものによる各種観測を組み合わせた統合的な海洋観測網を構築する。また、そういった観測網によって得られたデータを基にシミュレーションなどを行いまして、海洋、大気の環境予報システム、こういったものを構築するといった事業でございます。こちらは合計といたしまして約26億円という金額でございます。
 左下のところでございます。上の二つは主に海洋研究開発機構が行っている事業で、下の二つは、主に内局の予算で行っているものでございます。こちらは極域の観測に係る事業でございます。左下の方が北極域研究の戦略的推進ということで、全体として11億円程度でございます。我が国の強みである科学技術を生かして北極に関する研究開発、主には国際共同研究や観測拠点の整備、こういった拠点整備の事業を行っているというもの。もう一つは、海氷下を観測する自律型無人探査機(AUV)に関する技術開発を行うというもの。また、研究プラットフォームとなる北極域研究船の推進を行うといったものでございます。
 最後、右下のところでございます。南極地域観測事業、こちらは南極観測を毎年度行っておりますけれども、そちらの写真にもございます「しらせ」という南極観測船、こちらは南極に観測隊を主に輸送する船でございますけれども、そういった船やヘリコプターなどの保守・整備に係る事業、そして南極の観測といった研究観測に係る事業ということで、全体として大体50億円程度を計上しているものでございます。
 2ページ目以降は、それぞれの項目について詳細に説明したものでございますので、説明については省略をさせていただきます。
 最後のページに、平成30年度予算案の概要という縦紙の資料を付けてございますけれども、こちらは海洋研究開発機構の予算案の内容でございます。
 全体としては、下の方の予算額としまして、先ほど申し上げましたとおり、312億6,100万円ということで、29年度予算額に比べると、若干、4億5,000万円程度減額という形になってございます。全体の年度予算としては少し減額という形になっておりますけれども、戻りまして、資料1-1の1ページ目の一番上のところで、平成29年度補正予算額ということで、29年度に補正予算という形で9億8,800万円が措置されまして、こちらの予算は、実は海洋研究開発機構に措置された予算でございます。
 内容としては、海底地殻変動に役に立つ傾斜計というものを開発する予算と、右側の海洋観測に役立つフロート、こういったものを購入する予算ということで、合計9億8,800万円措置されているというものですので、それを合わせればプラスにはなっているという状況ではございます。
 資料1-1の説明については、簡単ではございますけれども以上でございます。
 続いて、資料1-2につきまして説明をさせていただきます。
 第3期海洋基本計画、こちらは海洋基本法という法律に基づきまして制定する基本計画でございますけれども、ちょうど今回、改正の時期に当たっておりまして、平成30年度の5月15日に閣議決定をされたものでございます。
 JAMSTECは、基本的には国の大方針、主には科学技術基本計画と、そして今回策定された海洋基本計画に基づいて、それを踏まえた形で事業を実施するという形で運営してございますので、その大もととなる大方針が今回改正をされたということでございますので、次期中長期目標の策定に当たっては、そういった今回改正された海洋基本計画の内容も踏まえながら策定をしていくということが必要かと考えてございます。
 簡単に内容を御説明させていただきますけれども、下の方に第3期計画のポイントという枠がございます。大きく変わった点といいますと、第1部というところに赤字で書いております「新たな海洋立国への挑戦」ということを位置付けたということ。その下の方、3のところで総合的な海洋の安全保障ということを政府一体となって取り組むといったことが新たに明記されたということ。
 右側の4番目のところに海洋の主要施策として(1)から(6)、海洋の産業利用の促進、海洋環境の維持・保全、科学的知見の充実、北極政策の推進、国際連携・国際協力、海洋人材の育成と国民の理解の増進、この中で特に北極政策という部分は、今回の第3期の計画で初めて主要施策として位置付けられたというもの。
 また、全体の構成として第1部で総論、第2部で各論という形になっていて、第2部のところでは、各省庁が行う個別の施策が列挙されている形で書かれておるんですけれども、この第2部の各論として約370項目の施策がありまして、その中で文部科学省に関連するところが、大体99項目でございます。今回、実効性を担保するという観点から、それぞれの各論の項目の後ろに実施府省名ということで、例えば文部科学省とか、内閣府とか、国土交通省とか、そういった形で明記をされたというところも一つ変更点としてございます。
 あとは、海洋状況把握といいまして、MDAと略されるんですけれども、そういったところの能力を強化しましょうということで、新たに独立した項目として記載されたということがございます。
 最後、第3部のところで、一つまた新たに今回の第3期の計画で定められたことといたしましては、PDCAサイクルをきちんと活用しましょうということで、指標を用いた工程表を作って進捗を管理しましょうということが盛り込まれました。工程表については、まだ作業が行われておりませんが、予定としては、大体8月ぐらいをめどに各省庁で作業が行われるだろうと聞いてございます。
 内容につきましては、簡単でございますけれども、説明は以上とさせていただきます。
【江川部会長】  ありがとうございます。1-3の御説明は……。
【満田課長補佐】  1-3は、海洋基本計画の本文で、かなり大部になってございますので、今回は省略をさせていただきました。
【江川部会長】  あとで読んでおくということですね。はい、分かりました。
 御説明ありがとうございました。
 ただいまの説明について、御質問等がございますでしょうか。
 なお、議事録を作成する都合上、お名前をおっしゃってから御発言をお願いします。
 では、三枝先生。
【三枝部会長代理】  環境研の三枝です。
 最後に御説明いただきました1-2の右下の方、「海洋状況把握(MDA)の能力強化」を項目として独立されたということですが、このより具体的な内容と、これを独立させたことの意味を教えていただけますでしょうか。
【満田課長補佐】  今回配付をしていないのですけれども、現在、海洋の状況を把握しましょうということで、簡単に申しますと、いろいろな安全保障の面とか、海洋を取り巻く政策課題がいろいろ複雑化しているとか、広域化しているとか、そういった政府全体の、日本全体の状況を踏まえまして、我が国のMDA、要は、海洋状況把握の取組を強化して、海洋に関する様々な事象を常に把握していきましょうという政府全体の動きがございまして、今回、新たに追加されたものでございます。
 内容としましては、3点大きくございまして、一つは、情報をきちんと収集しましょうということ。こちらは、簡単に言うと、船舶などを活用した観測、また宇宙の衛星を使った観測、あとは、それに関係する研究開発、こういったところをしっかり取り組みましょうという、まず情報収集体制を強化するということ。
 二つ目として、その情報をきちんと収集しまして、関係省庁を含めて共有をしましょうということ。こちらは、海上保安庁の方でそういった収集するシステムを今作っておりまして、そういったところにいろいろな取得したデータを集めて共有しましょう。ただ、共有するにしても、それぞれレベルがあると思いますので、例えば安全保障に関わる部分とか、一般の方々が使う部分とか、いろいろなそういった情報を一旦集約した上で、情報のレベルに応じてきちんとそれを共有する、必要な人に必要な情報を共有しましょうというところを、しっかりそういった体制を整備しましょうということ。
 3点目としては、国際協力とか国際連携という観点でございます。そういった情報の収集に基づきまして、いろいろネットワークを強化して、関係各省やそれぞれ諸外国とも連携して対応しましょうというところ、そういったところが大きく3今回追加されたというところでございます。内容としましては、簡単ですけれども以上です。
【三枝部会長代理】  これを今回、今のタイミングで独立させたというのは何か意味があるのでしょうか。
【阿蘇課長】  今、第3期の海洋基本計画の御説明をしました。こちらにつきましては、5月15日に閣議決定をしたものです。そこで、先ほど説明がありましたけれども、例えば北極政策が今回初めて入りました。それから、海洋の状況把握、これはもともと9・11以降にできたアメリカでの考え方なんですけれども、国家の危機、自然災害とか安全保障に関わるものに対するために海洋状況をきちんと把握して、それを活用していきましょう、政府部内で共有していきましょうというコンセプトなんですが、第3期基本計画が5月15日に閣議決定しましたが、閣議決定の前に総合海洋政策本部、総理大臣が本部長で、全閣僚が構成員に入っている合議体なんですけれども、こちらで海洋状況把握の能力強化に向けた今後の取組方針についても本部決定をいたしました。この本部決定の位置付けは、第3期基本計画で新たにMDAという項目が立ったものですから、それをより具体化をするということで、書き下したものでして、同じ日に総合海洋政策本部の決定をしたという流れになっています。
 内容につきましては、今申しましたように三つの観点がありまして、まずアセットということで観測、手段をきちんと整備していきましょう。それから、手段を確保して、情報を収集して、それを利用していきましょう。その利用に当たっては、ネットワークを構築していきましょうという3段階になっておりますし、また、データのところでも、三層構造の概念が示されておりまして、まず、これは文部科学省で進めているようなデータをきちんと集めて、それを広く、例えば科学分野のデータなどはきちんと研究者が利用できるようなものとして、あるいは2層目としては政府部内で利用するもの、第3層目としては、例えば防衛省と海上保安庁できっちりとそういった部局で情報を共有するものというように、情報の性格に分けてきちんと利用していきましょうという方針が併せて説明されています。
 その中で文部科学省の取組の大きな部分は、広くデータを収集する手段、先ほどの予算がありましたけれども、これまで文部科学省は、人工衛星ですとか、船舶、ブイ、フロートといったような観測手段を持っておりますけれども、それを強化していきましょうという観点、それから、更にデータ等の活用ということで、JAMSTECで言えば地球シミュレータのような計算システム、あるいはDIASの取組、そういったところできちんとデータを集積して、それを活用できるようにしましょうという観点で、こちらのMDAのところは関わってくるものだというふうに認識しております。
 何かありますでしょうか。
【三枝部会長代理】  ありがとうございます。
【江川部会長】  三枝先生の御質問に、JAMSTECにとっての意味合いというのがあったと思うので、それも教えていただけますか。特に私は、文科省が管轄していることに象徴されているように、主として研究がミッションだったと思うのですが、ここに、防衛というミッションが加わるような感じがするので、それでどういう変化が生じるのか。それから、こういうことをやってくださいと言われて、それに対する資源の配分があるのか。できないことを言われてもちょっと困るというのもあります。それから、かなり広い概念のようなので、情報をきちんと整理して利用していくのはとても大変ではないかというふうに感じました。逆に目的をはっきりしないと、一生懸命収集したけれども使われなかったとか、あるいは、防衛が絡んでくると、ここまでは見られませんとか、仕切りをしなければいけないので、結果的に情報をたくさん集めても見られる人が少なくて利用されなかったということもあり得るのではないか。幾つかよく分からないところがあるんですけれども。
【阿蘇課長】  分かりました。そういう意味で、5月15日に方針が決定されたということで、具体的にはどうしていきましょうかというのは、まだこれからということです。今、概念、方針として示されたのが、先ほど私から御説明させていただいたことです。今、部会長から懸念があって、リソースをどうするんだ、そもそもJAMSTECの現行業務に照らしてどうしていくんだ、そもそも文部科学省はどこまでやるのか、今、例えば、日本学術会議の方でデュアルユースの考え方も議論されているというのも承知しております。そういった取組、予算的な措置から、政策的な位置付けから、じゃあ、これからどうしていきますかということを、これから話していくというフェーズに入っていきます。ただ、政府全体の取組方針として、ともすれば、これまで各省ばらばらに収集していた観測手段、そういう意味では海洋調査船は水産庁も持っているし、海上保安庁も持っているし、国土交通省もそういう意味では持っているしというところをいかに政府全体のアセットとして運用・活用していきましょうかという方針が今般示されて、それに基づいてこれから考え方が整理されていってということで、私としては、文科省やJAMSTEC大きな部分はこれまでどおり広く公開性の高い学術データなどをきちんと収集していってというところが根幹にあって、その中で、それらのデータはもしかしたら、安全安心のために使われるかもしれません。そういう意味では、これまでもJAMSTECはDONETという地震観測網の整備をして、それを生かしてというような役割を務めてきましたけれども、そういった中でどう活用されていくのだろうか。ただ、見掛け上は予算も減額になっているなどそういう厳しい状況の中で、どこまでJAMSTECとして求められるのか、またそれを果たしていけるのかというのは、これから具体的に議論していきたいと思っております。
【江川部会長】  ありがとうございます。では、よろしくお願いします。
【知野委員】  一つ質問をお願いします。
【江川部会長】  はい。
【知野委員】  この最後の指標を用いた工程管理のところですが、指標ということは、例えば今までのJAMSTECの研究成果にしても、割と漠とした抽象的な表現もあったと思うのですが、具体的に、例えば何本論文を出したなどにとどまらず、いろいろな数値を出してくることになるのでしょうか。その辺のところはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
【阿蘇課長】  まず、今回、第3期基本計画での議論、水本先生にも参加いただいている中で、大きな変更点は海洋施策の実効性を担保するということで、各省の施策、本省庁名をびしっと書いています。責任の所在を明らかにするということ。
 それからもう一つが、PDCAサイクルということで、工程管理をしっかりとしていきましょうというところが、今回の第3期基本計画の実効性を担保するという観点での変更点です。
 具体的には、これもこれから各省間で調整していくんですが、昨年の評価部会の場でもあったんですけれども、資源開発のところ、例えばJAMSTECでは資源開発に関しては、成因分析調査、なぜそこに海底資源がたまっているのだろうか、どのようにたまっていくのだろうか、そういう資源に係る調査をJAMSTECがしているんですが、実際に資源としてそれを採掘して利活用していくまでには道のりが高くてJAMSTECだけではできない。例えば、経産省や民間企業も含めて到達する。こういったことでJAMSTECのここだけで評価をするというのはなかなか難しいのではないでしょうかというような議論が昨年あったというふうに承知しております。
 そういった中で、先ほどの予算で説明させていただきましたけれども、JAMSTECの取組がJAMSTECだけで完結するような、例えば、知野先生からお話がありました論文を書くという指標で完結するようなもの、論文の数という指標であればJAMSTECだけで完結できますし、実際に資源の賦存量をきちんと政府として把握していくというような目標設定をした場合には、JAMSTECだけではできないというところで、そういう意味では、今回、大きいと思いましたのは、府省全体として指標を用いて工程管理をするということで、文部科学省だけで数値目標を設定してきちんとPDCAサイクルを回すとなると、どうしても長い工程のうちの本当に基盤となるもの、あるいは基礎的な段階のものにとどまる可能性もあるので、正直言ってなかなか難しかったところが、政府全体としてとなると、どこまで簡潔にできるか分かりませんけれども、そういった意味では、昨年度とまた違った議論ができるのではないかというように私自身も期待しています。ただ、これまで海洋分野だけではなくて、私が担当してきたところでいうと、例えば文部科学省の取組、研究開発であるとか、人材育成であるとか、それを指標化して評価をするというのは、なかなか難しいなというふうに感じております。ともすると、例えば特許の数を指標として測りましょうということですと、最近の流れとして、あえて公開情報とせず特許を取らないでクローズの環境で産業化を進めていくというような戦略もあるところですので、指標化をしていって分かりやすい評価をしていくというのは、なかなか難しいなというふうに感じていますが、そういったことでこれから各省とも議論していきたいと思っています。まだ現在の段階では、そういった問題意識を持ちながらこれから調整をしていくという段階でございます。
【知野委員】  海洋基本計画では、文科省だけでなく政府としてどこまで進んだかという、そういう指標になるというわけですね。
【阿蘇課長】  はい。その中で先ほどもありましたけれども、府省を明記したということですので、そういった中で各省の役割分担をどのようにして進めていくんですかという議論があります。
 それと、これから議論されていくのだろうなと思っていますのが、約370項目あるといった中で、すべからくやっていくと、多分、膨大な量になりますので、プログラム評価のような形で、ある程度、施策の単位でまとめて議論していくのだろうなというふうに想像しております。
【江川部会長】  ほかにございますか。
【鈴村委員】  鈴村ですけれども、議題(2)でもし御説明があるならスキップしていただいて構いませんが、中期計画の最終年度ということで、今年度の終わりに出てくる中期計画全体の成果に基づいて評価する見込評価というのは、毎年やっている各年度の大臣評価並みに結構重い作業あるいは評価なのか、あるいは、次期中期計画を作る上での事務的な作業レベルなのか、7月以降の負担を含めて教えていただきたいんですけれども。
【下村専門官】  資料2で説明する予定ですけれども、独法通則法上、見込評価も年度評価と同じような大臣評価書を作ることが求められております。
 こちらは、5年間の中期目標期間全体を通して大きくPDCAを回していくという方針の中で、独法通則法上、まず現行のプランであるところの中期目標を機構がDoして、それを点検するチェックの部分が見込評価、それを踏まえて、アクションとしての見直し内容を決めて、更に次の中長期目標のプランを作るという大きなPDCAサイクルがあって、毎年毎年の小さなPDCAを回してやっているのが年度評価で、それに対して大きく中目期間全体を通してのPDCAを回すという中でやるのが見込評価です。ですから、レベルとしては同じか、次のプランの策定に向けては更に大きな意味合いのあるものだというふうに考えてございます。

(2)議題2 海洋研究開発機構部会における業務実績評価等の進め方について
【江川部会長】  資料で御説明いただいた方が分かりやすいので、もう議題(2)に入ってください。よろしくお願いします。
【下村専門官】  では、お手元の資料2に基づきまして、今年度の海洋機構部会における審議の進め方についてということで、御説明に入らせていただきます。
 1.で今年度の審議内容でございます。3点ございます。
 (1)の平成29年度業務実績評価というのが、これが毎年毎年やっております年度評価です。
 これに加えまして、今年度は中目期間の最終年度に当たるということで、(2)でいわゆる見込評価と言われております第3期中期目標期間終了時に見込まれる業務実績評価というものがございます。
 (3)といたしまして、この見込評価結果等を踏まえまして、JAMSTECの現行の機構の組織、あるいは業務をどのように変えていくのか、その見直し内容について審議するという組織・業務全般の見直し内容という、この3点をやることになってございます。
 ここには明記してございませんが、(1)でも(2)でも、例年作っております大臣評価書、大体JAMSTECの場合だと180ページ、190ページぐらいのA3の資料を作るということになっておりまして、(3)はそれを踏まえてどういう点を見直したらいいかということについて、簡単な見直し内容の資料を作るということになってございます。
 ただ、審議が2倍に増えるというのは余りにも非効率ですので、その辺のやり方は工夫してやっていきたいというふうに考えてございまして、(2)の見込評価がこれまでの全体の期間を通しての一体どういう点が良かったのか、足りない点はどういう点なのかということを議論する場ですので、こちらをメインにやりまして、その中で、平成29年度の実績としては何が良かったのか、どこが足りなかったのかという形で、なるべく審議にかける、検討にかける時間は短縮して、部会の先生方に御意見を頂く時間は確保できるような形でやっていきたいというふうに考えてございます。
 1.の今年度の審議内容は以上でございます。
 2.の昨年度からの主な変更点でございますが、こちらは本年2月頃に1度先生方にもメール等で御案内させていただいておりますが、経営管理に関わる評価項目を大くくり化するという変更点がございます。下のところにコメ印で書いてございますように、昨年度の本部会で先生方の御意見を頂いたものの中に、類似業務については評価項目の大くくり化であるとか、あるいは評価項目の簡素化、そういったものを図れないかというような意見がございました。経営管理系の業務と申しますのは、ちょっとページを後ろの方に行っていただいて、別紙3の途中なんですが、25ページ以降のところに、「Ⅱ 業務の効率化に関する目標を達成するために取るべき措置」という大項目がございまして、この表の左側の3列が中期計画の項目に対応したものになってございます。従前は、この中期計画の項目に従いまして、例えば25ページのところですと、(1)から(6)がそれぞれ細かな評価項目であったわけですけれども、部会の御意見を踏まえまして、これを中期目標の目次、項目の体系に合わせまして、一つの項目として大くくり化して評価項目にするというようなことを考えてございます。
 済みません、また1ページ目に戻っていただきまして、「これにより」の部分でございますけれども、こういう形で経営管理系の評価項目について大くくり化することで、主務大臣による法人評価では、この部分につきましては法人にとってのガバナンスの状況がどうであるとか、あるいは、研究成果の最大化に向けてマネジメント上で一体どんな特筆すべき取組があったのか、あるいは看過し難い課題はどうなのかというような重要な事項にだけ焦点を絞ってレビュー・点検するということにいたしたいと考えてございます。
 なお、研究成果の最大化そのものに直結する研究部門の業務等につきましては、中期目標を変更しないまま評価項目を変えると、研究現場の混乱が生じてしまいかねませんので、そちらについては従前どおりというふうにさせていただいてございます。
 ページをめくっていただきまして、3.の評価に当たっての基本的な考え方というところでございます。
 こちらにつきましては、基本的には、昨年度、一昨年度と同様でございます。主務大臣による法人評価は、文部科学大臣決定されている評価に関する基準に基づきまして実施していく。「具体的には」のところですが、研究開発課題につきましては、中期目標達成に向けたフローチャート、別紙2で付けてございますけれども、こういったものを活用して、実施した業務、そこで得られた成果、アウトプット・アウトカムにどう貢献したのかということについて、フローチャート上にしっかり位置付けていただくというようなことをした上で、機構が中期目標達成に向けてどのように取り組んできたのかということを明確にした評価を行うことといたします。
 今年度、見込評価が加わりましたので、新たに追加したフレーズが次の「特に」のところでございます。特に見込評価に当たりましては、このフローチャートを活用するやり方につきましても、各年度の成果が次年度以降の機構の活動であるとか、アウトプット創出にどのようにつながっているのか、どこまで達成できたのかということをしっかり明らかにしていただいて、むしろここの見込評価のところをしっかり説明していただいて、その中期目標終了時点でアウトカム創出へどのように貢献する見込みなのかというところを明確にした評価を行いたいというふうに考えてございます。この中の一環として、平成29年度の年度評価、単年度では何がなされたかということを評価したいというふうに考えてございます。
 続きまして、「また」以降でございますが、開発・運用部門及び経営管理部門の業務についてですが、これも昨年度以前と同様でございまして、自己評価においても引き続きアウトカムが具体的に何を目指しているのか明確にした上で、できるだけ指標を設定して、他機関との比較や年次変化等々も示していただきながら、機構の取組を客観的に評価するというようなことをしていきたいというふうに考えてございます。こちらも「特に」の部分が昨年度と違いまして、新たに追加した部分でございます。
 「特に」のところでございますが、昨年度、本部会の議論でも一つの項目にC評価がございましたし、機構の自己評価でも自らそういう評価を付けてきた論文の誤集計に係る問題でございます。こちらの問題は、研究機関として健全な組織運営管理ができていなかったのではないかという懸念を生じさせた事態だというふうに考えてございます。このため、今年度の法人評価では、この事案に対する個別具体的な改善、対応状況がどうだったかというのはもちろんのこと、これだけにとどまらず、今後、類似の事案が発生しないようにするために、機構が組織全体としてマネジメント上どういう改善を進めたか、こういった問題が発生した共通的、根本的な課題は何で、その原因がどこにあって、これに対してどういうふうにマネジメントを改善しているのかという点について、機構もみずから他の業務も点検して、類似業務の見直しを図るというようなことをしてございますので、それについてしっかりと説明してもらった上でレビューしていきたいというふうに考えてございます。
 先ほどの大くくり化との関係ですけれども、大くくり化したことによって、まさに個々の細かな事項というよりも、むしろこういった大きな組織運営上の改善点なり、組織運営上の留意点といったところに注力して点検・レビューしていきたいというふうに考えてございます。
 続きまして、下の4.部会における審議の進め方でございます。
 (1)が業務実績評価の進め方でございます。こちらは、基本的には従前どおりです。次のページをめくっていただきまして、まず機構からヒアリング、次回の部会になりますが、機構から自己評価結果等々をヒアリングいたします。
 そのヒアリングした後に、マル1、マル2、マル3というふうに書いてございますが、マル1として、機構が自己評定なり、機構が示した評価内容とは異なる評価を付した方がいいだろうというような御意見がある場合、あるいは、マル2として、そういう評定内容等について異議がない場合であったとしても、この点は特に評価に値するであろうというような成果がある場合、あるいは、今後の改善等に向けた課題を指摘した方がいいだろうと思うような場合につきましては、そういった点について、マル3として、これは主として見込評価に関わる部分でございますが、今後の事務事業の見直しとか、新しい中長期目標策定に当たって特にこの点については考慮した方がいいだろうというような事項がある場合につきましては、別途提示いたします御意見を記入していただくシートに意見を記入して事務局に提出していただくということを考えてございます。
 ここで頂きました意見につきまして、事務局が全体をまとめて、大臣評価書案への部会の意見として取りまとめたいというふうに考えてございます。
 続きまして、(2)でございます。こちらは今年度の新しく実施する項目で、組織・業務全般の見直し内容の審議の進め方でございます。
 こちらにつきましては、見込評価というのはまさにこの業務全般の見直しをどうしていくのかということを議論するための前提として行っているものでもございますので、こういう見込評価結果であるとか、あるいは、社会情勢の変化、第3期海洋基本計画の策定で盛り込まれた事項等々、そういった変化を踏まえまして、現行の機構の組織及び業務をどのように変えていったらいいのか、その見直し内容を検討する必要があるというふうに考えてございます。
 これに対しましては、私ども事務局が部会でのヒアリングと並行いたしまして、見直し内容案を作成し、最終回の部会、7月25日の部会を今予定しておりますが、その部会に提示しまして、委員の先生方から御意見や助言を頂くというふうに考えてございます。
 部会におきましては、この見直し内容案が、評価結果であるとか、あるいは社会情勢等の変化を反映した内容になっているのかどうかといったような観点で、同案について確認していただけたらというふうに考えてございます。
 めくっていただきまして4ページ目で、今年度のスケジュールでございます。
 本日、5月30日が第12回の部会で、評価等の進め方等について御議論いただきました。
 この後、6月末までの間に、海洋機構から自己評価書の提出がございます。これは年度評価分と見込評価分の2種類ございます。
 これら自己評価結果等を踏まえまして、第13回部会といたしまして、7月3日の午後に海洋機構からヒアリングをする予定になってございます。
 このヒアリング後に、大体1週間ぐらいをめどに先生方に御意見を提出していただけたらというふうに考えてございます。
 第13回の部会で全ての事項のヒアリングを終えられたら1回で終わるということもあり得ますが、もし積み残し課題であるとか、あるいは追加でこの点についてはヒアリングをした方がいいというような事項がございましたら、7月13日に再度追加ヒアリングを予定してございます。
 夏までに開催予定の部会の最後といたしまして、7月25日の午後ですが、頂いた意見等を取りまとめて、大臣評価書案、これは年度評価分と見込評価分、2冊ございます。それらを取りまとめるということと、もう一つ、組織・業務全般の見直し内容について簡単なA4で三、四ページぐらいの資料になるかと思いますが、そういうものについて御審議いただくということになってございます。
 これらの審議結果につきましては、研発法人審議会が8月中旬に予定されておりますので、そちらの方に提出して、そちらでも議論するということになってございます。
 参考のところでございますが、通常は夏までで全てその年の部会業務が終わるわけですが、今年度は次期中長期目標の策定ということにつきましても、委員の先生方に部会の場で御検討いただくという機会を設ける必要がございます。それにつきましては資料には、おおよそ9月から11月と書いてございますが、例年、他の法人を見ていますと、10月から11月頃に、部会を1回ないし2回開催して、次期中長期目標に関する御意見を頂くことになると考えてございます。日程調整につきましては、また秋以降させていただくというふうに考えてございます。
 以上でございます。
【江川部会長】  どうもありがとうございます。
 これについて、御質問、コメントがあれば、御発言ください。
【鈴村委員】  鈴村ですけれども、前回の第3期に行くときに、ほぼ同じスキームはやられていると考えてよろしいですか。
【下村専門官】  基本的には同じようなことをやっていたかと思います。
【鈴村委員】  では、一応経験はあるということでしょうか。
【下村専門官】  事務局のメンバーが代わっていますので……。
【鈴村委員】  メンバーが代わっているけれども。はい、分かりました。
【下村専門官】  はい。ただ、他法人、昨年、JAXAさんと理研さんが同じように見直しの期間に当たっていまして、今年度から新しい中長期目標になってございますので、同じ手順を踏んで、次期中長期目標の策定に向けた検討をしておりますので、私どもも、そちらを参考にさせていただきながらやりたいというふうに考えております。
【江川部会長】  ほかにございますか。
【知野委員】  一つよろしいですか。
【江川部会長】  はい、どうぞ。
【知野委員】  今度の見直しで、この期間ですけれども、やはり7年にされるのでしょうか。
【下村専門官】  それもこれから……。
【知野委員】  これから。
【下村専門官】  これから海洋機構と詰めていくことになっておりますが、他法人を見ますと、7年にしている法人の方が多いようでして……。
【知野委員】  そうですね、そうなってきていますね。
【下村専門官】  はい。JSTだけは、第5期科学技術基本計画に合わせて5年ということになってございますけれども、それ以外の法人は、新しく目標を定めたときにはJAXAさんも理研さんも7年というふうにはなってございます。何年かというのは、これからまた海洋機構との間で検討していきたいと考えてございます。
【江川部会長】  ほかにありますか。
 では、特に御意見、御質問ないようでございますので、これで本日用意した議題は全て終了いたしました。
 最後に、事務局から連絡等があれば、お願いいたします。
【下村専門官】  もう既に次回のスケジュールを申し上げましたが、7月3日にヒアリング会を予定してございます。ヒアリングの前に委員の先生方にヒアリングで使う資料をお送りして、事前に目を通していただくなど、効率よくヒアリングできるようにさせていただきたいと思っております。
 資料につきましては、少し大部になりますので、机の上に置いておいていただければ、私どもの方から先生方の御住所に送らせていただきます。
 以上です。
【江川部会長】  はい、分かりました。どうもありがとうございました。
 本日の海洋研究開発機構部会を終了いたします。本当にお忙しい中、どうもありがとうございました。



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