国立大学法人・大学共同利用機関法人の改革推進状況(平成22年度)

平成23年10月27日
国立大学法人評価委員会

※ ここにあげる取組については、国立大学法人評価委員会が把握した各国立大学法人等(90法人)の特色ある例をまとめたものであり、全法人が一律に行わなければならないと考えているものではない。

 各法人においては、特色を活かし、様々な取組を行っているところであり、過去に取り上げた取組については、具体的取組の一例を幅広く紹介する趣旨から基本的には取り上げないこととしている。

 

1.管理運営組織の改革と柔軟な資源配分の実施

 第2期中期目標期間の初年度に当たる平成22年度においては、第1期中期目標期間における管理運営組織の在り方を検証し、改革が進められてきており、組織のスリム化・効率化及び他大学等との共同実施等の取組を積極的に進めている法人も見受けられる。

 

管理運営組織の改革

1. 管理運営組織のスリム化・効率化

(具体的取組例)

○ トップマネジメントの強化と効率化のため、「国際本部」、「高等教育推進機構」、「サスティナブルキャンパス推進本部」、「安全衛生本部」を設置するとともに、総長室の体制を「企画・経営室」、「教育改革室」、「研究戦略室」、「施設環境計画室」の4室体制に再編している。【北海道大学】

○ 迅速な意思決定と円滑な法人運営を図るための体制として4学系それぞれに学系長を配置するとともに、附属学校部長について附属学校長経験者の中から学長が指名する制度に改めている。【愛知教育大学】

○ 大学組織と法人組織を明確に区分し、法人経営を担う法人組織に経営企画本部を置き、経営上の意思決定の迅速化を図るとともに、学長補佐制度を廃止して副学長制度を導入して柔軟かつ機動的な業務運営の遂行を図っている。【鳴門教育大学】

○ 学長が特に必要があると認めるときは学長が部局長を指名することができることとし、次期熱帯医学研究所長に外部有識者を指名している。また、学長が指名しない部局長は、学長が提示する全学的課題、部局の課題及び部局自体が有する固有の課題について教育研究評議会で運営方針を表明することとしている。【長崎大学】

○ 国立極地研究所及び統計数理研究所の事務組織を統合し、組織再編にて課長職2名を純減したほか、旅費や契約事務等の事務処理の実質的な効率化を図っている。【情報・システム研究機構】

2.他大学等との共同実施等の取組

(具体的取組例)

《教育・研究》

○ 広島大学と連携して食の機能性に関する研究シーズ4件を横浜の企業等に紹介したほか、北海道・東北地域のライフサイエンス分野の技術移転促進を目的として、岩手大学、弘前大学及び山形大学の有望な研究成果を十勝圏の企業等に紹介するセミナーを開催している。【帯広畜産大学】

○ 文化庁長官と首都圏及び国公立芸術系大学長によるシンポジウム「豊かな感性、強い日本へ」を開催し、26に及ぶ芸術系大学の学長等が参加し、芸術系大学、地域、官公庁など多種多様な組織間のネットワークを構築し相乗効果を生み出すことや、人々のもつ「感性」を育む教育体制の在り方などについて意見交換を行うなど、文化庁と芸術系大学の連携や芸術系大学相互の連携の強化に取り組んでいる。【東京芸術大学】

○ 教員免許状更新講習のe-Learning講習について、愛知教育大学、金沢大学、東京学芸大学、千歳科学技術大学が共同連携事業として運営し、平成22年度は210万円(対前年度比158万円増)となっている。【愛知教育大学】

○ 全国的に不足している病理医、法医解剖医や基礎医学研究者の養成を図るため、浜松医科大学、滋賀医科大学、三重大学と連携し学部・大学院を一貫した新たな研究医コースを設けることを決定している。【浜松医科大学、滋賀医科大学、三重大学】

○ 京都教育大学、大阪教育大学、奈良教育大学で第2期中期目標期間における連携協力した教育の質保証実現と中期計画に沿った事業を円滑に実施するため、京阪奈三教育大学連携推進協議会を設置し、教育や学生支援等の充実に向けて検討を行っている。【京都教育大学、大阪教育大学、奈良教育大学】 

○ 京都大学大学院理学研究科・大阪府教育委員会と連携し、理系の博士学位取得者又は博士課程在籍者を対象に、正規の高等学校教員として科学の魅力と知識を伝え、指導的役割を果たし得る人材育成を目的とする高度専門型理系教育指導者養成プログラムを企画立案して2名を受け入れ、教員普通免許状取得に必要な科目等多くの教職実践の機会を提供している。【大阪教育大学】

○ 大学間交流に関する包括的な連携協力を締結している明治大学との地域貢献分野での交流を促進するため、明治大学、鳥取大学、鳥取県連携講座「とっとりグランマ倶楽部第3期~女性による鳥取素敵化計画~」を開講するとともに、「カレーによる地域活性化と地方活性化」を開催し、明治大学・鳥取大学合同セミナー「日南町地域活性化策への提言」を実施するなど、両大学の立地条件や学部構成を有効活用した連携を行っている。【鳥取大学】

《共同実施等》

○ 学務情報や財務情報等、全学的に重要なデータについて、大学間の相互協力によるバックアップ体制の構築に向けた取組を行っている。【宇都宮大学、横浜国立大学】

《人事交流等》

○ 和歌山県、和歌山市との連携交流協定により、職員を交流研修員として和歌山県庁、和歌山市立図書館へ派遣するとともに、受入研修員として当該自治体の職員を受け入れ、相互派遣研修を実施している。【和歌山大学】

 

大学・機構全体としての戦略に基づく法人内資源配分の実現 

 各法人においては、学長・機構長のリーダーシップに基づき、それぞれの法人の特色に応じた資源配分が行われているとともに、その資源配分が適切かつ効果的に行われたかどうかを検証し、その結果を踏まえて見直しを行う仕組みの整備が進められている。

(具体的取組例)

○ 学長のリーダーシップによる戦略的資源配分を行うため、予算(戦略的経費45億円)、人員(特別教員配置枠62ポスト)、スペース(全学共用スペース・約3万5,000m2)を確保し、重点分野への配分を行っている。【筑波大学】

○ 重点的政策実施のための学長裁量経費として、前年度比1億7,600万円増の3億円を予算化し、公的補助金の終了したプロジェクト研究等を対象にした競争的フォローアップ事業の拡大や重点施策の国際交流拠点支援事業に対して効果的に支出している。【東京医科歯科大学】

○ 6年間を見越した財務運営をさらに計画的に実施するため、中期目標・中期計画達成強化経費を創設し、当該事業に業務達成基準を適用させることにより、特に重要な施策を達成するための予算制度を構築している。【大阪教育大学】

 

2.法人としての経営の活性化

業務運営の効率化及び合理化

 各法人においては、業務改善等を通じて、学内構成員の意識高揚やスキルアップを推進し、業務運営の効率化及び合理化に努めている。

(具体的取組例)

○ 大学運営への学生参画を促すことなどを目的として「学生論壇賞」を創設し、優秀な論文を顕彰するとともにその提言を今後の大学運営の参考としており、最優秀賞である「学校現場において即戦力となる新卒教員を育む大学カリキュラムについて」では、近隣の小中学校との連携等について、「夜間主コースにおけるGPA制度について」では、「表彰」により学習のモチベーションを高めることについて提案があり、教育研究の発展にもつなげようとしている。【福島大学】

○ タブレット型多機能情報端末及び会議専用ウェブサイトを活用し、会議等のペーパーレス化を導入し、意志決定の迅速化、業務の効率化、経費の削減を図っている。【筑波大学】

○ 事務職員について、上位職階への登用制度も含めた「キャリアマップ」を作成し、マネジメントコースとスペシャリストコースのキャリア形成の道筋を明示し、会議や学内ウェブサイトで周知している。【滋賀医科大学】

○ 規則体系の明確化、スリム化、権限と責任の明確化による利用者の利便性向上を図るため、学内規則の見直しを行い、300件以上存在していた学内規則を241件に再構築している。【福岡教育大学】

○ 各種業務の無駄の排除、作業の効率化、事務職員の業務量の適正化を目的として業務改善ワーキンググループを設置し、会議開催原議書の省略、文書処理における専決者の見直し等を行った結果、年間140 件の原議書作成業務の削減及び学長134 件、理事386 件の役員決裁業務の削減を行い、事務処理の簡素化・合理化を進めている。【北陸先端科学技術大学院大学】

○ 新領域融合研究センターでは、「新領域融合プロジェクト」の研究体制を継続・発展させ、研究テーマを新たに追加したうえで、統計数理基盤及び情報基盤と連携した5つの新領域融合プロジェクトを立ち上げ研究を行っている。【情報・システム研究機構】

 

人事評価システムの構築

 教職員の個人業績評価システムについては、多くの法人で導入に向けた検討、試行が本格化するとともに、教育・研究・社会貢献・管理運営等、大学の特色に基づいた評価を本格実施し、その結果を処遇等へ反映する法人も増えてきている。

(具体的取組例)

○ 平成21年度に実施した個人評価に関するアンケート調査の結果等を踏まえて、職員の活動実績がより反映されるよう改善を図り、大学教職員、看護職員及び事務職員等の全職種において個人評価を実施し、評価結果を勤勉手当に反映させている。【新潟大学】

○ 若手教員(助教、講師)の待遇を改善し、大学全体の教育研究活動の活性化を図るため「若手教員の待遇改善に関する特別措置」を定め、若手教員の上位職への昇任審査を部局の実状に応じて行うことが可能となり、専任助教1名について准教授への昇任人事を行っている。【奈良女子大学】

 

財務内容の改善・充実

 財務諸表・財務指標の経年比較や同規模大学との比較等、財務分析結果を大学運営の改善に資するとともに、各法人においては、その特色に則した様々な方法により、外部資金の獲得等による自己収入の増加や、適切な予算管理による経費の節減に努力しており、それぞれ一定の成果を上げ、教育研究に活用している。

1.財務分析結果の活用

(具体的取組例)

○ 第1期中期目標期間における財務状況の分析結果を踏まえ、第2期中期目標の達成と大学運営のさらなる改善を図ることを目的として、中期財政計画を策定している。【北海道教育大学】

○ 第1期中期目標期間中の財務データを分析のうえ、「経費削減」、「業務効率化」、「収入増」の観点から約80項目の課題検討事項を洗い出し、検討の方向性や改善後の効果等についてレポートをまとめる作業を開始している。【広島大学】

2.外部資金の獲得

(具体的取組例)

○ 外部資金獲得者への間接経費の配分割合を10パーセントから30パーセントへの引上げにより研究補助者の採用を可能とするなど研究支援の充実を図っている。【宇都宮大学】

○ 新たに産学官連携コーディネーターを採用し、大学から企業に対して連携研究を提案するなど、能動的にマッチング機会の増大を図り、企業等との共同研究は平成21年度128件から平成22年度140件に増加し、受入額は3億6,320万円となり、前年度比196パーセントの大幅増となっている。【長岡技術科学大学】

○ 科学研究費補助金への申請増加を促進するために、申請しなかった教員の基盤教育研究費配分額を10万円減額することとした結果、新規申請件数は138件(対前年度比61件増)となっている。【愛知教育大学】

○ 「技術移転説明会」を実施し、研究成果を産業界へ技術移転する方法の周知及び意識向上を図るなど、産学官連携センターのコーディネーターを中心に大学が保有する工業技術等の知的財産を活用した自己収入の増加に取組み、平成22年度の知的財産収入は5,999万円(対前年度比4,040万円増)となっている。【名古屋工業大学】

3.コスト削減

(具体的取組例)

○ 病院収入の確保に向けて、目標請求額を160億9,400万円に設定し、病院長ヒアリングを通じて各診療科長に協力を要請し、日々の患者数や手術件数等については速報値としてモニタリングの対象とし、達成が困難と思われる診療科には病院長から改善方策等について適宜協力要請を行った結果、目標請求額を3億900万円上回る164億300万円(対前年度比10億1,200万円の増)の診療報酬請求額を達成している。【旭川医科大学】

○ リバースオークション(価格交渉落札方式)の試行により経費削減を図っている。【筑波大学、千葉大学、東京大学、京都大学】

○ 有効利用が可能な物品について、物品リユース案内を全教職員が共有する電子掲示板に開設し物品の有効利用を図っている。【上越教育大学】

○ 経費削減等行動計画「香川大学ムダ取りアクションプログラム」を策定し、複写機賃貸借契約見直し等による経費削減や診療科ごとの手術時間の割り振りを見直したことによる手術件数増加等による自己収入増加に向けた取組を実施している。【香川大学】

○ 機構内エネルギー利用計画委員会において、大型研究施設の運転計画を調整することで約9,532万7,000円、特高変圧器を停止することで約813万6,000円、冷却水関連機器等を停止することで約5,060万円の電気料金を抑制した。また、前年度のエネルギー使用料の概ね0.5パーセントの金額を次年度の省エネルギー対策の経費として予算化する「省エネ推進経費(省エネファンド)」を利用して、管理的経費の抑制に繋がる高効率化機器の導入を行い、電気料金の削減を行っている。【高エネルギー加速器研究機構】

 

施設・設備マネジメントの推進

 各法人において、教育研究の基盤となり、その活動を活性化させるための施設設備について、全学的視点に立った既存施設の有効活用、多様な財源を活用した整備による施設設備の充実等の施設マネジメント等の取組が進められている。

(具体的取組例)

○ 資産の有効活用のため、固定資産貸付料を見直し、一定時間まで定額制にするなど利用者の便宜を図るとともに、各施設の貸出及びテレビドラマや映画等の撮影等に固定資産の積極的な貸出を行い、貸付件数及び収入額が、平成21年度574件、1,267万円から平成22年度687件、1,603万円にそれぞれ増加している。【東京海洋大学】

○ 民間資金による独立採算型整備事業「大岡インターナショナルレジデンス」が竣工し、民間業務委託により運用を開始している。【横浜国立大学】

○ 授業料収入の6パーセント相当分を環境整備特別経費として学生の学習環境整備に充てることとし、学習環境の向上、安心・安全な大学生活、エコキャンパスをめざす環境の改善を目的に施設整備等を行っている。【愛知教育大学】

○ 体育施設や講義室等の空き時間を利用した有料貸付について、大学ウェブサイトを立ち上げるなど広くPRした結果、講義室等17団体、グランド1団体の新規利用申込みがあり、平成22年度の有料使用料は1,562万円となっている。【名古屋工業大学】

○ 民間事業者に建物譲渡特約付借地権設定契約(31年間)により土地を貸し付け、住宅整備・維持管理運営を行わせる民間資金活用方式により職員住宅2棟の整備を行っている。【長崎大学】

 

省エネルギー対策・地球温暖化対策の推進

 環境保全対策については、全法人において、省エネルギー対策や地球温暖化対策に関する取組など、全学的な取組や対外的な取組が進展している。

(具体的取組例)

○ 経費の節減のため、太陽光発電を利用した屋外照明設備を10箇所で増設したほか、電子ペーパーの学内会議への本格導入を行い、90パーセント以上の主要会議において紙資料を廃止するとともに、学内各所に分散していた業務用のサーバーの仮想化、一元管理により、空調や電力等の消費エネルギーを削減している。【名古屋工業大学】

○ 地元企業と共同で開発した「非燃焼型医療廃棄物処理機(医療廃棄物を燃やさず処理する世界初の装置)」を、平成22年4月から導入・本格稼働し、ゼロエミッションプロジェクトとして、CO2排出量の従来比31.3パーセントの削減、感染リスクの軽減等を進めている。【滋賀医科大学】

○ プライベートクラウド環境の構築を進め、従来使用していた各種サーバーを学内共有サーバーへ集約し、稼働率を向上したことにより、サーバー等を大幅に削減し、消費電力を48パーセント削減している。(平成22年度地球温暖化防止活動環境大臣賞(環境省)受賞)【北陸先端科学技術大学院大学】

 

学術情報基盤の整備

 コンピュータ、ネットワーク、学術図書資料等の学術情報基盤の整備について、情報セキュリティ体制の構築等による全学的な整備に関する取組や、機関リポジトリ等の充実による、学術情報発信強化に関する取組が進められている。

(具体的取組例)

○ 全学情報システムの整備・効率的な運用を行うため、学務情報システム、電子会議資料用サーバー、教員基本データベースについて統合認証(シングルサインオン)の運用を開始している。【電気通信大学】

○ 図書館のM&Dタワー移転を契機に、これまでの図書館機能と情報処理機能を統合した「図書館情報メディア機構」を設立し、新たに担当副学長を任命し、図書館の電子化と情報基盤部門との連携、メディア教育システムの開発と普及を推進している。【東京医科歯科大学】

 

危機管理への対応

 全法人において、危機管理マニュアル等の整備、適切な運用により、全学的・全機構的な危機管理体制が整備・運用されている。

(具体的取組例)

○ 大学が有する知識・技術が大量破壊兵器の開発等に不正転用されることを防ぐために、「安全保障貿易管理に関する研修会」を実施し、教職員に外為法等及び貨物の輸出・技術の提供の適正な手続きの理解を促している。【室蘭工業大学】

○ 学位審査に関係する手続等の透明化・客観性を確保するため、学位論文審査委員会主査について他大学にアンケートを実施し、その結果を参考に学位論文審査に係る審査委員の在り方について検討を開始している。【北見工業大学】

○ 「被ばく状況調査チーム(サーベイチーム)」の大人数編成で長期に渡る派遣計画を策定し、震災直後の3月15日から平成22年度は6チーム36名(延べ145名日)を被災地へ派遣しており、大学院保健学研究科及び被ばく医療総合研究所の教員、附属病院の医師、看護師及び診療放射線技師等に加え、事務系職員の加わるチーム編成となっており、大部分が国内外で高度の専門的研修を受けた者となっている。【弘前大学】

○ 事故や事件に遭遇した場合に備えて緊急連絡先を明記した名刺大の緊急連絡カード学生にを配布している。【宮城教育大学】

○ 東日本大震災の発生直後に、「東京外国語大学多言語災害情報支援サイト」を立ち上げ、日本に住む外国人に必要とされる情報を正確かつ迅速に伝えるために、コミュニティ通訳養成講座修了生及び大学教職員・学生・留学生・卒業生等の協力を得て、多言語による災害情報を提供している。【東京外国語大学】

○ 学長が安全衛生方針を表明し、機器又は設備等が法令に基づき適正に使用されているかの調査を研究室単位で自主的かつ効果的に行うための手段として、機器や使用する材料の危険性、有害性を確認し、あらかじめリスク低減措置を行うことを目的に開発した、セーフティ・データ・シート(SDS)という手法を取り入れている。【長岡技術科学大学】

○ 大学発ベンチャー企業の倒産に対する対応策の検討に資するため、共同研究相手のチェックリスト(企業の研究開発体制・財政状況、過去の共同研究等のデータ等)の作成を開始している。【静岡大学】

○ 東日本大震災における被災地支援については、震災発生翌日の平成23年3月12日には災害派遣医療チーム「長崎大学病院DMAT」を被災地に派遣し、3月13日には緊急医療支援の専門家を被災地に派遣するとともに、附属病院国際ヒバクシャ医療センター所属の医師、診療放射線技師、看護師等を緊急ひばくしゃ医療対応のために福島市に派遣して被災地支援活動を実施している。また、3月14日には緊急支援物資を被災地(福島県小名浜港、岩手県宮古港)に直接届けるために水産学部の練習船「長崎丸」を出航させ、3月16日には岩手県遠野市への医療支援拠点設置を決定して被災地(岩手県釜石市、大槌町等)における医療支援活動を行うなど、東日本大震災発生直後から迅速に支援活動を実施している。【長崎大学】

 

自己点検・評価及び第三者評価

 自己点検・評価、認証評価、国立大学法人評価及びその他の外部評価等の結果を活用し、教育研究等の充実が図られており、自己点検・評価の実施体制等の整備が進められている。また、大学独自のデータベースの構築等を通じて、評価作業の効率化に向けた取組も進められている。

(具体的取組例)

○ 平成21年度に受審した「欧州大学協会機関別認証評価プログラム」の「教員採用プロセス」に関する提言を踏まえ、「総長室人事システム構築WG」を設置し、人材マネジメントの問題点と課題を整理したうえ、改革案の中間とりまとめを行っている。【東北大学】

○ 大学に関する各種データ・情報を包括的に示した「九州大学ファクトブック2009年度データ」を作成し、過去5年間にわたる経年データを活用して特徴や課題を示すことにより、評価専門委員会等でデータを取り上げた意見交換を行っている。【九州大学】

○ 教員の自己申告による基盤的研究経費の減額や、年度途中での当初申請額の変更を可能なようにするとともに、年度当初に研究計画書の提出を義務付け(PLAN)、研究を実施し(DO)、基盤的研究経費の効果的な使用が行われているかのチェック(CHECK)を行える体制づくりをし、改善点を見出す(ACT)というサイクルの導入を検討している。【福島大学】

○ 「中期目標・中期計画進捗状況管理システム」による進捗状況の管理を開始し、各年度計画のモニタリングを行うとともに、年度末の取りまとめ前(11月及び2月)に進捗状況を取りまとめ、計画の進捗状況によっては指導等を行い、その都度改善措置を講じている。【京都工芸繊維大学】

 

3.社会に開かれた客観的な法人運営

外部有識者の積極的活用

 経営協議会の学外委員をはじめとする外部有識者を積極的に活用し、法人運営の一層の活性化を図る取組が進展している。

(具体的取組例)

○ 経営協議会の学外委員からの意見を踏まえ、教育に資する人材の育成及び理科教材の研究・開発を行うとともに、その成果を生かして双方の発展に寄与することを目的とした協定を地元の理科教材メーカーと締結している。【京都教育大学】

○ 経営協議会学外委員からキャリア教育についての意見を受け、教育研究・地域連携センターを教育・学生支援センターに改組し、学生に対する教育支援とキャリア教育を含む学生支援に視点を据えて全学的な学生支援に取り組むこととしている。【宮崎大学】

○ 客員教員からの意見を活用し、大学と企業との連携協力に関する会合が実現した結果、共同研究や人材育成を目的とした包括協力に関する協定を締結することを決定している。【室蘭工業大学】

○ 経営協議会の学外委員からの意見を踏まえ、内部監査室の独立性を確保するため、室長に教員経験者を任命するとともに、構成員の見直しを行っている。【電気通信大学】

○ 外部有識者の意見を法人経営により積極的に取り入れるため、「大学諮問会議」を設置し、各産業界からの提言を大学の経営と運営の改善に役立てており、平成22年度は2回開催し、国際交流及び名古屋工業大学憲章に関する意見を取り入れている。【名古屋工業大学】

○ 経営協議会等での助言・提言を積極的に活用し、「医歯学融合教育」についての意見を踏まえ、平成25年度からの実施予定を、検討を重ね平成23年度からの早期導入を実現するなどしている。【東京医科歯科大学】

 

監査機能の充実

 監事や会計監査人による監査結果を適切に法人運営に反映させる取組が行われている。

(具体的取組例)

○ 監事監査及び内部監査の指摘事項の改善を図る仕組みとして役員会指針「監査業務の推進方針」、「監査業務及び指摘事項に関する法人の検討サイクル」を策定し、執行部(学長、企画担当理事、学長補佐)と監事との協議会の設置、拡大役員懇談会での指摘事項についての問題認識の共有化、各理事室における検討と施策の実行を行っている。【佐賀大学】

○ 監事から全学委員会の合理化についての報告を受け、全学委員会の統廃合の検討を行い、平成23年度から107委員会中21委員会を廃止することを決定している。【長崎大学】

 

情報公開の促進

 社会に対する説明責任の観点から、各法人とも、教育研究等の状況について、利用者の立場に立った分かりやすい内容・形で、引き続き積極的な情報提供に努めている。

(具体的取組例)

○ 大学ウェブサイトに有名動画サイトを活用した動画コーナーを構築し、「サイエンスカフェ」や学内行事、講演等を公開している。【東北大学】

○ 第2期中期目標期間に何を実施するのかを分かりやすく示すため、重点的に取組む主な中期計画を樹木に見立てた絵で表し、ウェブサイトに掲載している。【上越教育大学】

○ 学生が広報活動を行う組織「DAIKYO PRESS」を設置し、学生目線による大学情報の発信を行っている。【大阪教育大学】

○ 地域との相互理解を深める目的で発行している「広報Shimadai」について、研究事業紹介や多方面で活躍する卒業生と学長の対談をシリーズ化するなど誌面の充実を図るとともに、発行回数を2回から3回に、発行部数を3万部から9万9,000部に増やし、島根県下の全世帯へ配布又は回覧するなど地域に向けた情報発信の強化を図っている。【島根大学】

○ 国立天文台では、小学生高学年から中学生を対象として、天文学に親しみや興味をもってもらうため、出前授業(ふれあい天文学)を東北から九州までの全国小中学校50校(受講者総数約6,000名)において実施しているほか、科学データに親しみを持ってもらうとともに、データから浮かび上がるさまざまな科学の姿を体験してもらうため、理科年表シリーズ「マイ・ファースト・サイエンス」(第1巻~第3巻)を刊行している。【自然科学研究機構】

○ 機構長の提案により新たに立ち上げた「KEKキャラバン」プロジェクトにおいて、基礎科学の未来を担う人材養成や機構の研究活動や研究成果に関する情報発信を目的とした出前授業を13都府県の24か所にて実施し、延べ2,000名以上の参加を得ている。【高エネルギー加速器研究機構】

○ 国立極地研究所では、平成22年7月に南極・北極科学館を開館し、一般市民に研究成果をわかりやすく紹介しており、平成23年3月までに約25,000名(約160名/日)の来館を記録している。【情報・システム研究機構】

 

4.教育・研究の活性化に向けた取組

 これまでに引き続き、各法人において、法人化のメリットを活かし、教育方法等の改善・充実や研究活動の活性化に向けた取組等が行われているほか、全国共同利用を通じた学術研究の推進や附属病院、附属学校における機能充実のための様々な取組が行われている。

 

教育方法等の改善

1.指導方法等の改善・充実に向けた取組

(具体的取組例)

○ 海外経験の少ない学部新入生を対象に、早い時期から海外研修・留学に挑戦する動機付けを目的にミニ留学体験型学習である「STARTプログラム」を開始し、オーストラリア及びベトナムの大学に派遣している。【広島大学】

○ 基盤教育合宿セミナー、基盤教育ワークショップ及び公開授業を継続的に実施し、教育方法の見直しと改善を図るとともに、大学が事務局を務めるFDネットワーク”つばさ”において、教職員・学生による教育改善のための学生FD会議を実施したほか、各学部でも独自の方法で教育内容の見直し及びFD活動を行っている。【山形大学】

○ 学士課程において、新教育課程に基づいた実践的指導力をもった教員養成をめざして専門性と実技能力の養成を重視した教育や4年間を通した進路指導計画による組織的な就学指導を行っている。また、全国の学校現場へのアンケート調査や教育委員会・学校関係者からの意見等を踏まえて小学校及び幼稚園の教員養成スタンダードを策定している。【兵庫教育大学】

○ ウェブサイト等を活用した遠隔教育を導入可能なものとするため、外部調査会社による現職教員等に対するニーズ調査を実施し、インターネット大学院基本構想案を策定している。【鳴門教育大学】

○ 放送大学が提供しているUPO-NET(オンライン学習大学ネットワーク)の会員となり、e-Learningシステムの導入が可能な環境整備等に取り組んでおり、教育研究の質の向上を図っている。【山口大学】

○ 博士前期課程の科目に新たにインターンシップを開設し、専門性が必要な受入企業とのマッチングについては、各専攻教員で構成する就職支援室が中心となって行っている。【北見工業大学】

○ 教育の質保証と見える化に向けた改善として、「教科シラバス」に示されるすべての授業の到達目標と各教育プログラムの達成目標(ディプロマ・ポリシー)との関係を明示したカリキュラムマップ(達成目標の確認マトリクス)を作成し、公表している。【宇都宮大学】

2.個性・特色の明確化を図るための組織的な取組

(具体的取組例)

○ 工学資源学部を母体とする国際資源学教育研究センターにおいて、ボツワナ、モンゴル、チリ、カザフスタン等の資源未開発国への技術支援や人材養成に積極的に協力している。【秋田大学】

○ 障がいのある学生が遜色なく情報を得られるよう、全教室に新型のFM補聴システムを更新・整備しており、学生生活の充実・学習の充実を図っている。【筑波技術大学】

○ 秋季に入学する留学生が増加していることから、英語により執り行う秋季学位記授与式・卒業式及び入学式を実施している。【東京大学】

○ 幅広い教養、豊かな感性の涵養を目指す教養科目を医学、歯学の6年一貫教育のカリキュラムに、学年進行に合わせ楔型、串刺し型に入れ込み、哲学に始まる倫理教育では、生命倫理研究センターの参加を組み込んでいる。【東京医科歯科大学】

○ 東京都台東区、墨田区と連携し、GTS観光アートプロジェクトを実施し、大学院美術研究科の大学院生を中心に社会との関係性、表現の多様性、地域への貢献を研究テーマに、研究室の枠を越えた教員との協働による複合的教育の実践を展開している。【東京芸術大学】

○ 「海洋における日中韓高度専門職業人養成-海洋環境・エネルギー分野における国際教育-」プロジェクトにおいて、練習船を活用した協働学習を取り入れた専攻横断的カリキュラムを導入し、国際的に活躍する人材を育成するとともに、教育内容の充実及び学際領域の教育の強化を図っている。【東京海洋大学】

○ 大学の宝である学生への支援を明確化するため「三重大学学生支援方針」の宣言と併せ「ピアサポーター学生委員会」が発足し、多様な教育環境や学生・教員・職員の連携・協働により、大学全体で共に高め合える風土づくりを目指すことを掲げた「キャリア・ピアサポーター宣言」を行うとともに、キャリア・ピアサポーター資格の上級資格取得者を活用するSA(スチューデント・アシスタント)制度を整備している。【三重大学】

○ 小学校教員養成課程と中学校教員養成課程を統合し、教科別専攻制による学校教育教員養成課程を新設する学部改組を行い、小・中接続、子ども理解、学級経営、学校経営といった校種を超えた義務教育の課題に対応できる人材育成等の新しい教員養成の課題に応えようとしている。【大阪教育大学】

○ 近年の脳科学研究の進歩とその社会的活用や人間倫理に関する問題に対応する研究者を養成するために、生命科学研究科生理科学専攻を中心として、脳科学に関連する教育研究を行っている総研大の他専攻(基礎生物学、遺伝学、情報学、統計科学、生命共生体進化学、メディア社会文化等)をつないだ「脳科学専攻間融合プログラム」を実施している。【総合研究大学院大学】

 

学生支援の充実

1.学習支援等の充実

(具体的取組例)

○ 経済的な理由から修学困難な学生を支援するため、大学独自の授業料免除枠を設定し、251名の学生に対して、約5,745万円の授業料免除を実施している。【北海道教育大学】

○ 経済的理由により授業料の支払いが困難で除籍のおそれのある学部生に対し、未納授業料相当額を貸与して学業の継続を支援する「授業料特別貸与制度」を創設したほか、医学科に在籍する生活困窮度の高い学生に対し、学習に専念できる環境を整えるための経済的支援をする「医学科学生に対する奨学資金貸与制度」を創設している。【旭川医科大学】

○ 学部3年次生から大学院生を主たるスタッフとして、学部1、2年次生の学習支援を行う「スチューデント・ラーニング・アドバイザー(SLA)」制度により、学習相談窓口の開設、教員の授業と連携した学習支援、学生による自主ゼミの運営支援を行っている。【東北大学】

○ 入学時の納付金相当額等を免除する「輝け未来!新潟大学入学応援奨学金」と家計急変に伴う学業継続困難者に給付する「新潟大学就学応援奨学金」を創設するとともに、東日本大震災及び長野県北部地震による被災者を対象とした「震災枠」を設けることを決定している。【新潟大学】

○ 学部1、2年次生を対象に、新たなコンセプト(「共に住まい共に成長する」)の学生寮「お茶大Students Community Commons」を竣工している。【お茶の水女子大学】

○ 学生からの成績評価異議申立制度を導入している。【京都教育大学】

○ 優秀な学生に対し経済的支援を行うことを目的に「成績優秀学生等奨学金・研究奨励金」を創設している。【岡山大学】

○ 新たに開所した「学生プラザ」に大学運営支援業務に従事する学生を配置して交流を図る一方、留学生を交えた「インターナショナル・カフェ」を実施するなど、学生交流活動の拠点として活用している。【広島大学】

○ 学生自立活動支援プログラム「おもしろプロジェクト」について、募集期間やプロジェクト期間の見直しを行うとともに、申請にあたっては、プロジェクトをサポートする 協力教員を設定することとし、学生が取り組みやすい環境を整えている。【山口大学】

○ 寄附金運用益3,213万円や個人寄附による株式の配当金3,300万円を返済義務のない奨学金の財源に充当している。【徳島大学】

○ 学生メンター制度を導入することとし、平成22年度に非常勤職員(スチューデントアシスタント(SA))として試験的な雇用を行い、制度整備を進めている。【電気通信大学】

○ 学校医、カウンセラー、相談員で構成する学生相談員体制を継続して運用し、保健センター、学生委員会、教授会等の各部署との連携を図り、学生のメンタル支援について情報収集、支援策の検討、整備を行い、情報工学部では、非常勤カウンセラーのカウンセリング実施日を週2日から週3日に増やしている。【九州工業大学】

2.就職支援、キャリア教育等の充実

(具体的取組例)

○ 同窓会と連携した大学独自の就職セミナーである「緑丘企業等セミナー」(小樽・東京)の開催、札幌サテライトオフィスを利用した「臨時就職支援室」(札幌)の設置等、学生の利用形態に応じた就職支援を行い、学部生の高い就職内定率を保っている。【小樽商科大学】

○ 学部生の国際化を推進し、教育上有益な、外国の大学等との交流活動や外国でのボランティア活動で、将来、国際社会の発展に寄与する医師及び看護師の養成に資する活動にかかる経費を助成する「学部学生海外活動助成制度」を創設し、3名の学生に助成している。【旭川医科大学】

○ 就職環境悪化を背景に増加している学生のキャリア・就職相談に対応するため、キャリアカウンセラー等の有資格者相談員を5名増員し、相談体制を強化している。【筑波大学】

○ キャリアセンターに常勤のキャリアコンサルタントを4名配置し、個人進路相談や各学部・研究科と連携したガイダンス等を開催するとともに、就職活動に取り組む学生からの質問に卒業生が回答する「CANシステム」の運用を開始している。【新潟大学】

○ 大学のアイデンティティを高め、学生の自発性を涵養するために、学長裁量経費による学生自主企画プロジェクトを実施し、学生から申請された事業を選定し、支援した成果として、学生サークルが携帯電話を利用した観光案内や障害者の社会進出支援をテーマとして取り組み、SIFE(Students In Free Enterprise)平成22年度日本大会で優勝、世界大会でもベスト16に勝ち残るという快挙を達成している。【滋賀大学】

 

研究活動の推進

1.資源の重点配分による研究活動の活性化に向けた取組

(具体的取組例)

○ 企業等との共同で「ハイビジョンテレビ放送向け学年別ルビ自動付加リアルタイム文字放送システム」を開発するとともに、企業や情報保障関連のNPO法人等と連携し、大学が中心となり「モバイル型遠隔情報保障システム」を実用化するなど、大学の目的に沿った研究を推進している。【筑波技術大学】

○ 重点研究課題として掲げている「光技術、イメージング技術の医学応用」、「遺伝子、プロテオーム解析に基づく分子レベルでの疾患原因・病態解析」、「細胞、組織、臓器の移植・再生研究」に沿った意欲的かつ斬新な研究内容で、大型外部資金獲得のためのパイロットスタディとなる研究について学内募集を行い、優れた提案21件に対して、計1,560万円の研究費支援を行っている。【浜松医科大学】

2.女性教員・若手教員等に対する支援

(具体的取組例)

○ 社会で活躍できる若手博士研究者や女性研究者の育成と支援を行う「人材育成本部」において、博士後期課程におけるキャリア教育、ポスドク研究員等に対するキャリアデザイン、研究者を志向する女性に対する総合支援を行っている。【北海道大学】

○ 女性研究者の定着・採用促進を図るため、配偶者と同居することが困難な女性研究者に対して、職員の単身赴任手当に相当する「両住まい手当」を新設している。【岩手大学】

○ 教員研究費加算額の配分基準の見直しを行い、育児休業から復帰した教員への教育研究費を20万円まで加算できることとしている。【宮城教育大学】

○ 女性研究者支援室を中心とした取組や「ママさんドクター・リターン支援プログラム」等により、平成20~22年度において教員における女性比率が18.9パーセントから24.0パーセントに増加するとともに、多くの離職女性医師が医療現場に復帰している。【東京医科歯科大学】

○ テニュアトラック制に基づき若手研究者に競争的環境の中で自立と活躍の機会を与える仕組みを導入しており、大学運営費によるテニュアトラック教員の採用を行っている。【東京農工大学】

○ 女性研究者支援モデル育成事業の実施や、新たなキャリアパスの創出と女性研究者支援の観点から「Skilled Specialist」を運用し、出産・育児期間中の女性研究者の実験、資料収集等を支援するなど、男女共同参画推進に向けた取組を行い、女性の採用が促進されるなどの成果が認められている。【金沢大学】

○ 計画的に若手教員を採用、養成するために実施する戦略的なプログラム「若手育成プログラム(Young Leaders Cultivation Program, YLC)」に取り組んでおり、将来を期待できる若手研究者をYLC教員として採用し,育成、支援に取り組んでいる。【名古屋大学】

○ 若手研究者の育成のため、「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」及び「若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP)」を活用した派遣支援事業を積極的に推進し、両事業合わせて、助教7名、博士後期課程学生3名、博士前期課程学生14名、学部生5名を派遣している。【名古屋工業大学】

○ 次世代を担う先見的な研究者の育成を目的とした「白眉プロジェクト」による年俸制特定教員を18名採用し、自由な環境及び研究費を与え全学的に支援を行っている。【京都大学】

○ 男女共同参画に向けて独自の「ウーマン・テニュア・トラック」制度により、4名の女性教員を採用し、研究費を交付してスタートアップ支援を行っている。【岡山大学】

3.研究実施体制の整備

(具体的取組例)

○ 理学研究科、薬学研究院、工学研究科、園芸学研究科の化学と生化学の教員でバーチャル研究機構を形成し、「未来を築く超原子価ヨウ素の構造と物性、機能材料研究プログラム」を開始し、地元メーカーとの共同研究も進められるなど、先駆的・学際的なプロジェクト研究を推進している。【千葉大学】

○ 「朱鷺・自然再生学研究センター」を設置し、「超域研究機構」の充実を図り、特色ある研究拠点化を推進している。【新潟大学】

○ エレクトロニクス基盤技術分野と先端的応用分野(ライフサイエンス・医療・農業科学・環境・ロボティクス等)との新たな融合研究を実施する「エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS)」の設立、ロボットと人、空間、環境の最適共生に関するロボット基盤技術の開発を行う「人間・ロボット共生リサーチセンター」の設立等、融合研究を積極的に推進する体制を新設整備している。【豊橋技術科学大学】

○ 世界初のiPS細胞に特化した中核機関として、「iPS細胞研究所(CiRA)」を設置し、iPS細胞の基礎・応用並びに実用化に向けた研究環境と人員体制を整備している。【京都大学】

○ 専門分野の業績が極めて顕著であり、大学の研究活動の推進に中核的な役割を果たすことが期待される教員に対し、給与面での優遇、研究センターの設置、外国人研究者の雇用経費等を措置する「主幹教授」制度を設けている。【九州大学】

○ 宇宙環境技術研究センターを、超小型衛星試験センター、衛星帯電・材料試験センター、超高速衝突試験センターの3センターから構成される宇宙環境技術ラボラトリーへ統合・改組し、国際標準規格ISO-11221を取得している。【九州工業大学】

 

共同利用・共同研究の推進

※ 共同利用・共同研究とは、大学共同利用機関及び国立大学の附置研究所等において、所有する大型の研究設備や大量の資料・データを全国の研究者の共同利用に供し、または共同研究を行うことで、大学の枠を超えて全国の研究者の知を結集し、当該分野の研究を効果的かつ効率的に推進するシステムである。(平成22年度現在、4大学共同利用機関法人・17大学共同利用機関、26国立大学82附置研究所・研究施設において実施。)

 

1.共同利用・共同研究を通じた学術研究の推進 

(具体的取組例)

○ 生体調節研究所では、研究所が独自に作成した実験動物の成長ホルモン、TSH、プロラクチン等、内分泌物質に対する抗体を12機関の研究者に供与するとともに、同研究所で作成した内分泌、代謝に関連した遺伝子改変マウスを用いた共同研究を展開している。【群馬大学】

○ 素粒子物理国際研究センターでは、ATLAS実験地域解析センターシステムにおいて、gLite と呼ばれるグリッドミドルウエアをインストールし、WLCG(世界規模LHC計算グリッド)の一翼を担っている。年間を通し98パーセントの高可用性は、世界中に100以上ある解析センターでもトップクラスである。【東京大学】

○ 太陽地球環境研究所では、国際共同研究プロジェクト「太陽地球系の気候と天気-II(CAWSES-II)」の国内拠点として、特別経費「太陽極大期における宇宙嵐と大気変動に関する調査研究」を受け、宇宙嵐に伴う粒子加速・輸送機構と、太陽活動変動が地球大気に与える短期・長期的影響の解明を進めるなど、太陽地球系分野国内唯一の共同利用研究所としての役割を果たしている。【名古屋大学】

○ 原子炉実験所では、加速器と原子炉を組み合わせた世界で唯一の加速器駆動末臨界炉体系を構築し、世界初のトリウム体系による加速器駆動未臨界システムの実験に成功している。【京都大学】

○ 地球物質科学研究センターでは、地球惑星科学において必要とされる物質科学的情報を導出できる分析体制とこれまでの研究活動実績が認められ、小惑星探査機「はやぶさ」が、小惑星「イトカワ」から回収し地球に持ち帰った極微小試料の初期分析の中心的役割を担う分析チームとして活動を行っている。【岡山大学】

○ 放射光科学研究センターでは、11基の装置を共同利用・共同研究に供しており、光電子分光装置で世界最高のエネルギー分解能に加え高精度多軸試料マニュピュレータを開発し世界トップレベルの運動量分解能を実現したほか、スピン分解光電子分光装置についてもスピン検出感度を約100倍向上させ、世界最高性能を達成している。【広島大学】

○ 生体防御医学研究所では、琉球大学と共同で沖縄と本州を比較するユニークな人類遺伝学研究である、日本人の可視形質に関わる遺伝背景の研究を展開するとともに、世界最高峰の質と量を誇るプロテオミクスセンターを構築・運営し、かつ技術的にも世界最高レベルの技術を提供している。【九州大学】

○ 熱帯医学研究所では、国内における分析・解析型共同研究とケニア、ベトナムに設置した研究拠点を活用した滞在型国際共同研究を行い、広範囲にわたる共同研究を実施している。【長崎大学】

○ 各地域に特化した研究活動を推進し、イスラーム地域研究、現代中国地域研究に加え、新たに現代インド地域研究を発足させ、京都大学、東京大学、広島大学、国立民族学博物館、東京外国語大学、龍谷大学に研究拠点を共同設置し、拠点間のネットワークを構築するとともに研究を推進している。【人間文化研究機構】

○ 日本に関連する在外の人間文化研究資料の体系的な調査・研究・収集等及び審議・資料の選定・基本計画の策定や評価を、これまで各機関が独自に行っていたが、機構として一体的に行うため、平成22年度より機構本部に、各機関の構成メンバーに大学の附置研究所等の学識経験者を加えた日本関連在外資料調査研究委員会を新たに設置している。この委員会において、2研究課題を選定し、海外の調査対象所蔵機関と研究協力協定の締結、共同研究(17件)、国際シンポジウムの共催(7回)のほか、研究者を95名派遣する一方で28名を受け入れる等、国内外の研究機関との連携を推進している。【人間文化研究機構】

○ 国立天文台では、ハワイ観測所のすばる望遠鏡において恒星の周りを回る惑星の公転軸が恒星の自転軸から大きく傾いている系を複数発見し惑星系の形成過程に新たな問題 を提起している。また、チリのアタカマ高地に設置したサブミリ波望遠鏡ASTEで多数のサブミリ波銀河を検出し、初期宇宙に激しい星形成を示す大質量の銀河が多数できることを発見したという研究成果をあげている。【自然科学研究機構】

○ 核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)計画は、核融合炉プラズマを見通せるプラズマ性能の観点から国際的にも注目が集まっており、プラズマ加熱電力の増大と加熱物理の研究によって、定常装置として世界最高値であるイオン温度7,500万度、電子温度2億3,000万度を達成している。【自然科学研究機構】

○ 大強度陽子加速器施設(J-PARC) では、ニュートリノを用いたT2K 実験において、世界最高感度に相当するデータ量を収集し、併せてK中間子等を用いた実験も実施している。また、ミュオンによる実験において、世界最高強度を誇るビームラインを用いて、鉄系超伝導、非破壊元素分析の分野で顕著な成果を上げている。【高エネルギー加速器研究機構】

○ 国立情報学研究所では、国公私立大学図書館と協定を締結し、学術情報の確保と発信の一層の強化を図るとともに、世界的な電子ジャーナルアーカイブCLOCKSSとの連携・協力を国公私立大学の各図書館コンソーシアムと行い、電子ジャーナルアーカイブの国際連携を推進している。【情報・システム研究機構】 

2.共同利用・共同研究の体制の整備・充実

(具体的取組例)

○ 原虫病研究センターでは、診断治療部門、国際連携協力部門、感染免疫部門の3部門の設置や任期なしの教員を配置するとともに、大学事務局内に新たに共同利用・共同研究拠点係を設置するなど、運営・支援体制の強化を図っている。【帯広畜産大学】

○ 大気海洋研究所では、新研究棟の最新研究装備及び広大な観測機器棟を整備したほか、所内の技術職員を結集した共同利用共同研究推進センターを新設するなど、学術研究船(白鳳丸・淡青丸)と大槌キャンパス(国際沿岸海洋研究センター)との連携の下で、強固かつ先端的な共同利用・共同研究を推進するための基盤構築を進めている。【東京大学】

○ 疾患酵素学研究センターでは、最先端酵素学を基盤とする医学応用のための拠点形成を目的として、3部門(先端酵素機能解析部門、酵素・蛋白質・遺伝子リソース部門、酵素学教育・講習部門)を新設するとともに、教職員の配置を行うなど、運営・支援体制の強化を図っている。【徳島大学】

3.共同利用・共同研究を活かした人材養成

(具体的取組例)

○ 和漢医薬学総合研究所では、寄付研究部門「漢方診断学部門」を正規部門化し、「臨床科学部門漢方診断学分野」とするとともに、和漢医薬学総合研究所の使命を達成するために、准教授、助教のスタッフに加えて特命准教授、特命助教を1名ずつ増員して、重点課題である漢方医学における診断治療体系の客観化と漢方医療従事者の育成に関する取組を行っている。【富山大学】

○ 再生医科学研究所では、共同研究に非常に多くの大学院生が参加することにより、再生医学・医療分野の次世代若手研究者育成に取り組むとともに、ヒトES細胞等の各種研究資源を提供している。【京都大学】

○ 微生物病研究所では、「感染症研究国際ネットワーク推進プログラム」に基づき、タイ王国における国際共同研究拠点を拡充し、タイ王国において若手医師を対象にした熱帯感染症に関するトレーニングコースを開催している。【大阪大学】

○ 海洋コア総合研究センターでは、アジアモンスーンに関する国際共同研究を実施し、国際性を備えた内外若手研究者の育成とアジアモンスーン変動に関する国際共同研究ネットワークの構築に向けた取組を行っている。【高知大学】

○ 生理学研究所では、総合研究大学院大学と連携し、専攻を超えた教育システムの構築を行うモデルケースとして「脳科学専攻間融合プログラム」をスタートさせ、遠隔講義システムを活用し、7専攻から合計32名の大学院生が受講している。【自然科学研究機構】

○ 講義・演習・実習・テキスト・ウェブサイト等では学ぶことができない先鋭的な技術について、専攻分野の枠を越えて取得することを目的として「技術武者修行制度」を新たに実施し、自然科学の研究分野において共通的に必要となる高度な先端技術要素の教育を行っている。【高エネルギー加速器研究機構】

4.研究者等に対する情報提供

(具体的取組例)

○ 社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターでは、Web上で統計分析ができるリモート集計システムを利用して分析を学べる教科書を出版しており、平成22年度には2,472件の活用実績をあげている。【東京大学】

○ 生存圏研究所では、データベース利用型共同利用・共同研究において、生存圏データベースとして、材鑑調査室が1944年以来収集してきた木材標本や光学プレパラートを公開するとともに、大気圏から宇宙圏、さらには森林圏や人間生活圏にかかわるデータを電子化し、インターネットを通して提供している。【京都大学】

○ 人間文化研究情報資源の学界連携の推進のために、平成22年7月より国立国会図書館デジタルアーカイブポータルPORTAとの双方向検索を開始し、PORTAより人間文化研究機構の106件のデータベース、統合検索システムよりPORTAの5件のデータベースの検索を可能としている。【人間文化研究機構】

 

社会連携・地域貢献・国際交流等の推進

1.地域貢献の推進

(具体的取組例)

○ 横手分校での取組として、学生と協働した特産の「いぶりがっこ」作り、内蔵を利用した町づくり、廃棄されてきた農産物を使った健康食品素材の開発等の地域資源の活用策に取り組むとともに、新たに開設した北秋田分校においても、特産品開発や学生によるフィールドワークの拠点とし、珪藻土や鉱山等の多様な資源を活かすなど、地域活性化と地域文化の発展に分校を役立てている。【秋田大学】

○ 小金井市及び地域住民との連携による「公共施設接道部緑化計画」に基づき、大学敷地の公道接道部のコンクリート塀を撤去し、季節ごとの花や樹木を植樹した遊歩道として整備している。【東京学芸大学】

○ 産学官連携推進本部を中心に農産物直売所の担い手育成を目指す講座「信州直売所学校」を開講し、地元農産物の販売を目的とした直売所を地域活性化の拠点に位置づけ、講義・研修(実地研修を含む。)を行っている。【信州大学】

○ 「しずおか防災コンソーシアム」の中核団体のひとつとして、静岡県内の防災研究・教育・対策に関わる組織・団体・個人と有機的に連携し、知識・情報・人材の交流、防災関連事業の共同企画と実施、地域・市民のさまざまな防災活動の支援・育成等を行い、地域の防災力の向上に積極的役割を果たしている。【静岡大学】

○ 浜松市内の4病院が協働して「5大がん」に対する地域連携クリティカルパスの共通化作業を行い、「患者手帳」を完成させている。【浜松医科大学】

○ 京都府・京都市教育委員会と連携し、京都教育大学運動部活動指導者育成事業連絡会議を設置し、この事業プログラム修了者には資格証(仮)を発行することとし、それに向けた評価項目等の検討を行っている。【京都教育大学】

○ 奈良市教育委員会と連携し、教育支援人材の育成を目的にスクールサポート研修会を実施し、研修を修了した学生には認定証を発行することとしている。【奈良教育大学】

○ 和歌山県内の自治体等と連携のうえ、海南市で津波避難訓練を実施したほか、広川町で防災教育セミナー、田辺市で出前講座、紀の川市で防災ジュニアリーダー育成講座等を開催している。【和歌山大学】

○ 医師としてのキャリアアップと島根県内の医療機関で安心して働ける環境づくりを支援するため、島根県からの寄附により医学部に「地域医療支援学講座」を開設している。【島根大学】

○ 宮崎県内で感染拡大を続けていた口蹄疫の感染及び拡散防止のため、口蹄疫危機対策本部を設置し、防疫対策を定めるとともに、対応マニュアルを作成して防疫措置を実施している。【宮崎大学】

○ 医学部医学科では、大学の教育研究・診療の質の向上を目指すため、離島・へき地医療、地域医療の実習を通して、地域医療にかかる医療人養成に取り組んでいる。【琉球大学】

2.産学連携・知的財産戦略のための体制の整備・推進

(具体的取組例)

○ 民間機関等との間で大規模な共同研究を実施する際の拠点となる組織を設け、新たに雇用する教員を配置し、特定分野の研究を一定期間継続的に行うことを可能とする「共同研究部門」の制度を創設している。【九州大学】

○ 学長が理事等とともに佐賀県内58企業、5つの商工会議所、1つの業界団体を訪問して各機関の代表者とトップ会談を行い、地域ニーズとのマッチングのための取組課題を抽出するなど、産学連携の実質化の推進に向けて取り組んでいる。【佐賀大学】

○ 県内企業と協力して製作した超小型人工衛星がHⅡAロケットに搭載され打ち上げられ、人工衛星からの電波受信に成功している。【鹿児島大学】

○ 産官学連携推進本部のコーディネーターが大学の知的財産の全把握に努め、迅速な発明の承継判断、ライセンス・共同研究・競争的資金等の獲得に向けた特許出願を行うため、厳格な評価体制を取り、大学が承継する知的財産は速やかに権利化を図っている。さらに、発明者とコーディネーターによる密接なコラボレーション(特許戦略検討会議)で情報共有し、市場開拓・製品化を目指し、産業界への大学の研究成果の還元を行うなどにより、ライセンス等契約35件、5,830万円の契約実績をあげている。【奈良先端科学技術大学院大学】

3.国際交流、国際貢献の推進

(具体的取組例)

○ APRU(Association of Pacific Rim Universities)、T.I.M.E(Top Industrial Managers for Europe)、AEARU(The Association of East Asian Research Universities)の年次総会等への積極的な参加、大学間交流協定校である中国の3大学で「東北大学デイ」の開催、大学間交流協定校や関係大学における大学紹介、主催フォーラムの実施など、国際交流・連携の強化を行っている。【東北大学】

○ 学外より151名の看護系実習生を含む397名(前年度比8パーセント増)のコ・メディカル実習生及び研修生を受け入れ、積極的に地域医療に貢献している。【滋賀医科大学】

○ 国際的な教育体験を充実させることを目的として、米国、シンガポール、韓国に学部生・大学院学生を派遣するとともに、台湾から現職教員である大学院生を受け入れて台湾の言語・文化講演会を実施している。【兵庫教育大学】

○ 日韓欧12機関でパートナーシップを形成し、教員、研究員、大学院博士課程の学生の交流を行う事業「エラスムス・ムンドゥス2009-2013」に採択され、コンソーシアムを形成し、研究者の派遣及び受入れ等の交流を行っている。【岡山大学】

○ インドネシアのガジャマダ大学・ボゴール農業大学・ハサヌディン大学と香川大学・愛媛大学・高知大学で熱帯農業に関するSUIJIコンソーシアムを設立し、コンソーシアムを通して、ダブルディグリープログラムを推進し、学生交流や研究交流の発展、強化を図ることとしている。【香川大学、愛媛大学、高知大学】

○ アフリカにおける教育・研究の拡大と学際化を推進するため、アフリカ海外教育研究拠点をケニアに設置し、水産学及び歯学領域における共同研究プロジェクトを開始している。【長崎大学】

○ 独立行政法人国際協力機構との連携により、中東地域女性の健康支援を含む母子保健方策やインドのUTTAR PRADESH州における地下水砒素汚染の総合的対策を実施し、国際貢献に取り組んでいる。【宮崎大学】

○ 国際社会で活躍できる人材育成を図るため、学生海外研修支援事業を制度化し、米国、中国、韓国、ミャンマー、ベトナム、フィリピン、モンゴルに学生122名を派遣している。【鹿児島大学】

 

附属学校の機能の充実

(具体的取組例)

○ 秋田県教育委員会より推薦を受けた実務家教員が特任教授(1名)、客員教授(2名)として着任し、その3名を中心に教員養成と現職教員研修の統合を目指した「まなびの総合エリア」の多面的プロジェクトを実施している。県教育委員会、市町村教育委員会、秋田県総合教育センター、公立学校及び附属学校園と学部・大学院をつなぐ連携役として3名が活動するとともに、実践家としての視点から、教職実践演習の予行や、1年次教職志望学生への個人面談の実施、教職カルテの作成などに当たっている。【秋田大学】

○ 附属大泉小学校、附属国際中等教育学校と大学が一体となり、日本国内に在住する外国人児童生徒の効果的な受入れ体制の在り方、初等中等教育における効果的な日本語教育の内容・方法の検討、「イマージョン教育」の見直し、グローバルな学力の定着・活用についての調査研究を行っている。【東京学芸大学】

○ 保護者アンケートの実施結果及びPTA役員会からの意見や要望を活用し、教育実践研究会(研究活動)の成果が児童生徒への還元内容を保護者と共に確認する協働学習会、国語科・算数/数学科の学習内容を保護者に知らせる学習ノート及び自由に校内参観できる学校参観週間を実施している。【富山大学】

○ 附属特別支援学校では平成22年度から、和歌山県立医科大学及び和歌山県発達障害者支援センター(ポラリス)の専門職員と連携し、地域で発達障害を抱える子ども・大人の相談援助システムを構築している。附属中学校では、アトランタのロンクラークアカデミージュニアハイスクールの教員・生徒20名を招聘し、授業交流、全米ナンバーワンティーチャーによる公開授業を実施するなど、特色ある国際交流活動への成果を上げている。【和歌山大学】

○ 平成22年4月、総合大学が学部の枠を超えて教員養成に取り組むという全国初の「教師教育開発センター」が設置されたことを契機に、同センターと連携して教育実習の事前・事後指導の徹底,学校サポータ活動の実践など,教育実習体制の改善を進める一方、地域社会全体を視野にいれた協力体制が確立されている。【岡山大学】

○ 文化教育学部と工学系研究科知能情報システム学専攻が共同して書字困難児対象の漢字学習支援システムを開発し、漢字学習支援システムを活用できる体制を整えるなど、附属学校園を実験的・先導的に活用している。【佐賀大学】

 

附属病院機能の充実・強化

1.教育・研究面

(具体的取組例)

○ 「緊急被ばく医療に強い救急総合医養成プログラム」を実施し、総合内科医・救急医・緊急被ばく医療専門医の三役を担える医師の養成を行い、被ばく医療の向上に貢献している。【福井大学】

○ 国立病院機構滋賀病院内に設置した「東近江総合医療センター」内に、滋賀県や東近江市、国立病院機構との連携により、総合内科学講座、総合外科学講座を設置し、臨床研修医等の能力向上や地域医療の向上に取り組んでいる。【滋賀医科大学】

○ 西日本の大学等15施設からなる西日本橋渡し研究アライアンス(ACT west)を設立して、優れた基礎研究シーズを実用化し、産業化するための総合的な橋渡し研究及び開発を進めている。また、橋渡し研究拠点として、未来医療センターを中心に学内発のファースト・イン・マン研究を推進するなど、先端研究の推進に取り組んでいる。【大阪大学】

○ 近赤外蛍光術中ナビゲーションカラーイメージリングシステム(HEMS)や増感放射線療法(KORTUC)等、大学独自の高度医療の開発に取り組んでいる。【高知大学】

2.診療面

(具体的取組例)

○ 「東北がんネットワーク」において、山形大学の医師が中心となり、東北全域の病院で実施している放射線治療に関する情報をデータベース化し、ウェブサイトで公開するという全国初の試みを実施するなど、がん医療の推進に取り組んでいる。【山形大学】

○ 重粒子線治療が平成22年6月に先進医療として認可され、年度内に約90名の治療を行っている。また、県内の医師会・病院会と連携し、県内の病院を対象にプロトコールや重粒子線治療の適応、治療までの流れについて説明会を開催するなど、治療方法等の周知を行うとともに、患者支援センターの受入体制の整備、ウェブサイトの改訂を実施し、重粒子線治療の推進に積極的に取り組んでいる。【群馬大学】

○ 高度救命救急センターと大阪府内の救急病院(4病院)を高速ネットワークで結び、各病院では対応が困難な症例に関して、医学部附属病院の専門医がオンラインでサポートする体制を平成22年8月から本格稼動させ、救命救急体制の充実に努めている。【大阪大学】

3.運営面

(具体的取組例)

○ 自立的な病院運営を行うため、全職員を対象とした附属病院運営方針説明会を開催し情報の共有化を図るとともに、病院の経営基盤の確立に向けた具体的な行動計画として、「附属病院収入・支出目標達成のためのアクションプログラム」を策定し、経営の効率化に取り組んでいる。【筑波大学】

○ 「病院経営広報」、「経営改善アイデア大賞」等により病院全職員の経営・業務改善意識を高め、対前年度比大幅な増収を図っている。【千葉大学】

○ 長時間勤務が困難な女性医師に対する育児等支援の一環として柔軟な勤務態勢が可能な「病院診療医」を新設し、女性医師の勤務環境の改善に取り組んでいる。【東京大学】

○ 独自に開発した「佐賀大学方式管理会計システム(Sagacious)」の導入により、病院経営指標の多くが改善され、平成21年度と比較して大幅な増収及び医療費率の削減を達成している。【佐賀大学】

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国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

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