国立大学法人・大学共同利用機関法人の改革推進状況(平成19年度)

平成20年10月9日
文部科学省

※ ここにあげる取組については、国立大学法人評価委員会が把握した各国立大学法人等(91法人)の特色ある例をまとめたものであり、全法人が一律に行わなければならないと考えているものではない。

1.管理運営組織の改革と柔軟な資源配分の実施

管理運営組織の改革

 中期目標期間の4年目となる平成19年度においては、これまでの管理運営組織の在り方を検証し、管理運営組織の改革が進められてきており、管理運営コストの削減に向けて、管理運営組織のスリム化・効率化を積極的に進めている法人も見受けられる。

1.管理運営組織のスリム化・効率化

(具体的取組例)
  • 大学の経営戦略機能の強化を図るため、財政企画室、人事企画室、大学運営会議及び将来構想会議を統合して、新たに経営戦略会議を設置している。【東京外国語大学】
  • 文系6部局の事務部を統合するとともに、これまで複数部局に分散していた環境学研究科、情報科学研究科の事務処理体制をそれぞれ統合し、管理運営組織のスリム化・効率化に取り組んでいる。【名古屋大学】
  • 全学的な委員会は、入学試験委員会や全学教務委員会等必要最小限とし、基本的に理事の下に設置した各種業務遂行のためのタスクチームによる効果的・機動的な運営を図るとともに、会議開催回数の縮減等による簡素化を図っている。【富山大学】
  • 事務改革の更なる推進を図るため、事務連絡会議、事務改善委員会、事務情報化推進室を廃止し、「事務改革会議」に一元化している。【大分大学】

大学・機構全体としての戦略に基づく法人内資源配分の実現

 各法人においては、学長のリーダーシップに基づき、それぞれの法人の持つ特色に応じた資源配分が行われているとともに、その資源配分が適切かつ効果的に行われたかどうかを検証し、その結果を踏まえて見直しを行う仕組みの整備が進められている。

  • 学長等の裁量の定員・人件費を設定している法人:82法人【平成18年度:75法人、平成17年度:66法人、平成16年度:64法人】
  • 法人内における資源配分が適切かつ効果的に行われたかどうかを検証する仕組みを整備している法人:90法人【平成18年度:67法人、平成17年度:54法人】

(具体的取組例)

  • 既存の機動的、短期的な総長裁量人員の配分に加え、教員の一定数を、比較的長期を見据えた新規及び継続的(既存)教育研究事業に、役員会のイニシアティブの下、学術諮問委員会の評価を経て配分する「教員採用可能数学内再配分システム」を新たに導入し、平成19年度分11名、平成20年度分19名の再配分を決定している。【東京大学】
  • 科学研究費補助金における間接経費の配分方法の見直しを行い、全額を学長が管理し、学内共同利用施設等の整備、維持及び運営経費、並びに施設整備マスタープランに基づく施設設備等の全学的な研究開発環境の改善経費とすることを審議・決定している。【東京海洋大学】
  • 各部局が自助努力で計画的に先行投資することへの支援や、部局の不測事態に対応するため、「学内資金貸付制度」を設け、歯学部附属病院の本館改修に伴う特殊要因により生じた支出超過を補填するための支援を行っている。【大阪大学】
  • 政策経費について、戦略性の高い事項に限定した整理を行い、全学的な取組を推進するための「重点施策推進経費」と教育研究基盤としての施設・設備を中長期的計画に基づき整備するための「教育研究基盤環境整備費」に区分し、その配分は学内ヒアリングによりこれまでの事業の中間評価や申請事業の内容を精査して決定している。【岐阜大学】

2.法人としての経営の活性化

業務運営の効率化及び合理化

 各法人においては、業務の積極的な見直しを図り、計画的な業務量の削減、業務コストの分析、業務のアウトソーシング等を通じて、業務運営の改善への取り組みを進め、業務運営コストの削減に努めている。

(具体的取組例)

  • 業務改善を継続的に推進する「業務改善等推進室」を設置し、47の改善事項を策定し、改善に取り組んでいる。【山形大学】
  • コンサルティング会社による分析手法を基に独自に事務局各課及び各学部事務の所掌業務内容等を選定の上、コスト分析が行われている。【宮崎大学】
  • 日給月給制の週40時間勤務職員を退職金・賞与相当額を加味した年俸制へ移行し、大幅な勤怠管理事務・給与事務の省力化・簡素化が実現されている。【九州工業大学】
  • 旅費規程の改正等により、出張依頼手続きを省略(年間約8,000件)するとともに、共同利用者の宿泊施設使用料の旅費との相殺制度を導入(年間約3,000件)し、事務の合理化を図っている。【高エネルギー加速器研究機構】

人事評価システムの構築

 教職員の個人業績評価システムについては、多くの法人で導入に向けた検討、試行が本格化するとともに、教育・研究・社会貢献・管理運営等、大学の特色に基づいた評価システムを構築し、評価を本格実施し、処遇へ反映する法人も増えてきている。

  • 新たな個人業績評価システムを構築し、評価を本格実施して給与等処遇へ反映している法人:32法人【平成18年度:17法人、平成17年度:9法人】

(具体的取組例)

  • 教員の教育、研究、管理運営、社会貢献に関する実績を評価し、インセンティブ付与に結びつけるシステムについては、平成18年度に策定された「教員の業績評価システムについての基本方針」に従い、各部局等において具体的な基準及び評価項目等を策定し、平成19年12月期勤勉手当の成績優秀者の選考及び平成20年1月の昇給に係る勤務成績判定に反映させる取組が行われている。【北海道大学】
  • 平成19年度に教員の個人評価を本格実施するとともに、評価結果を昇給に反映している。また、評価結果を参考に、特に顕著な功績を挙げた教員を「教育特別貢献者」として表彰する取組を実施している。【豊橋技術科学大学】
  • 全職種(事務職員、教室系技術職員、教員、医療技術職員、看護職員)の人事評価を本格稼働し、勤勉手当及び昇給に反映している。【岡山大学】

財務内容の改善・充実

 財務諸表・財務指標の経年比較や同規模大学との比較等、財務分析結果を大学運営の改善に活用するとともに、各法人とも、その特色に則した様々な方法により、外部資金の獲得等による自己収入の増加や、経費の節減に努力しており、それぞれ一定の成果を上げてきている。

  • 部局等の自己収入増加のインセンティブ付与に関して特に予算配分に反映させている法人:90法人【平成18年度:83法人、平成17年度:59法人、平成16年度:32法人】

1.財務分析結果の活用

(具体的取組例)
  • 隔月ごとに役員会に平成18年度同月のデータを比較材料とした貸借対照表及び損益計算書、附属病院収入に係る各種データを提出し、必要に応じ担当部署による実態調査を行うとともに、これらの情報を中間決算書を分析するための指標とし、経営協議会及び役員会により予算執行状況の中間的な評価を行い、効果的な配分を行っている。【東京医科歯科大学】
  • 毎月、予算の執行状況及び収入実績を経営企画室会議に報告し、対前年同月の比較分析を行っているほか、財務指標の経年比較や他大学との比較検討を行った結果を踏まえ、教育・研究設備への投資等、次期事業年度の計画の作成・実施に役立てるなど、財務情報の分析結果を効果的に大学運営の改善に活用している。【浜松医科大学】
  • 財務部職員、教員で組織する「財務分析タスクフォース」において、財務分析を実施し、「財務報告書(ファイナンシャルレポート2007)」を利害関係者のわかりやすさに配慮して取りまとめ、また、財源・経費別執行状況を部局別及び年度別に比較するとともに、さらに四半期ごとに大学運営費、自己収入、病院収入、外部資金獲得状況等の各種財務状況について、財務管理の観点から検証している。【京都大学】

2.外部資金の獲得

(具体的取組例)
  • 共同利用スペースを設け、外部資金導入に積極的な教員4名に期限付きで貸与したほか、ポスドク等による研究支援体制を充実した結果、外部資金全体では、平成16年度(約2億5,705万円)と比較し平成19年度(約4億2,860万円)は67パーセント増となっている。【北見工業大学】
  • 個人研究費の配分にあたり、外部資金獲得のインセンティブがさらに働くよう、教授、准教授、助教の個人研究費については、必要と考えられる額を保証しつつさらに減額を行い、留保分を科学研究費補助金に採択された教員のみならず申請を行った教員に追加配分している。【政策研究大学院大学】
  • 職員宿舎の効率的運用の観点から貸与基準を緩和し、常勤職員以外の再雇用職員等入居対象範囲を見直すなど、学内資源・設備の開放による自己収入の増加方策に当たっての取組が図られている。【小樽商科大学】

3.コスト削減

(具体的取組例)
  • 目標チャレンジ活動による経費節減に積極的に取り組み、電気料で473万円(対前年度比7.2パーセント減)、定期刊行物購入費で253万円(対前年度比23.5パーセント減)、清掃費で369万円(対前年度比9.9パーセント減)等、一般管理費全体で9,437万円(対前年度比7.1パーセント減)の経費削減に努めている。【三重大学】
  • コスト削減に関してインセンティブを付与する仕組を稼働させ、環境意識の向上とともにコスト意識を醸成・向上させるため、光熱水料の部局別比較をウェブサイト上で公表するなどの取組により、一般管理費比率は4.3パーセント(対前年度比0.3パーセント減)となっている。【和歌山大学】
  • 教職員が出張する際にウェブサイト上で航空券の発券手続き等ができる旅費システム(Q-HAT)を本格的に実施し、回数券等の利用による経費削減額が約1,100万円となっている。【九州大学】

健全な財務運営のための定員・人件費管理の推進

 各法人が中期計画において総人件費改革を踏まえた人件費削減目標を定めており、この達成に向け、着実に人件費削減が行われている。

  • 中期目標期間における人件費所要額を見通した人件費管理計画が策定されている法人:91法人【平成18年度:63法人、平成17年度:21法人】

(具体的取組例)

  • 総人件費改革に対応するため、各学部における現有定数相当のポイントを一定の計算方式で算定した上で、4年間の人件費削減を見込んだ各年度の目標ポイントを設定し、柔軟な人事計画を作成する人件費のポイント制の運用を開始している。【信州大学】
  • 人件費を適切に管理し、効果的な投資を行うため、月ごとの人事計画に基づく人件費シミュレーションを四半期ごとに実施し、第2四半期末時点で決算額に近い年間総人件費見込額を把握している。【京都工芸繊維大学】
  • 各学部における教員の定年者の7割を大学管理人員として事務局が管理し、学長の裁量により弾力的かつ機動性を持たせた人員配置を可能とする取組が行われている。【高知大学】

施設・設備マネジメントの推進

 各法人において、教育研究の基盤となり、その活動を活性化させるための施設設備について、全学的視点に立った既存施設の有効活用、適切な維持管理、多様な整備手法による施設設備の充実等の施設マネジメントの取組が進められている。

  • 共同利用スペースを確保している法人:91法人【平成18年度:89法人、平成17年度:83法人、平成16年度:83法人】

(具体的取組例)

  • 全学的な視点から学内全建物、インフラ設備等のライフサイクルコスト(LCC)を算出し、施設の計画的修繕を行うための施設修繕基盤経費を創設するとともに、全建物の現地調査を行い評価基準に基づいた優先性を考慮した年度計画を策定し、屋上の防水改修、トイレ改修、エレベーターの更新等、リニューアルにより良好な教育研究環境の確保に努めている。【横浜国立大学】
  • 学長裁量経費の中に学術研究用設備整備マスタープラン対応経費として、新たに「特別教育研究支援経費」枠(1億円)を設け、文系・芸術系の設備にも配慮しながら、学術研究用設備の整備を行っている。【富山大学】
  • 安全・安心・快適なキャンパスの構築を目指して立ち上げた施設部長特命ワーキンググループの下にある10のワーキンググループが活動を行い、「緑地を適切に維持管理するための計画に関する報告書」等をまとめている。【神戸大学】
  • スペース、コスト、クオリティの観点から施設マネジメントシステムを導入し、コスト及びクオリティについては維持保全のため全学営繕執行計画に基づき業務を実施し、スペースについては広島大学面積基準によりスペースの是正を開始している。【広島大学】

省エネルギー対策・地球温暖化対策の推進

(具体的取組例)

  • 省エネルギー啓発・検証活動などの取組や成果が評価され、平成19年度省エネルギー優秀事例全国大会で「経済産業大臣賞」を受賞しているほか、環境に配慮した取組を積極的に実施している事業所として、名古屋市から「エコ事業所」に認定されるなど、省エネルギー対策に大学全体として積極的に取り組んでいる。【名古屋大学】
  • 学内ESCO(Energy Service Company)事業を実施し、平成19年度エネルギー優秀事例全国大会(財団法人省エネルギーセンター主催)において、「省エネルギーセンター会長賞」を受賞するなど、省エネルギー対策や環境に配慮した取組を継続的に実施している。【滋賀医科大学】

学術情報基盤の整備

 コンピュータ、ネットワーク、学術図書資料等の学術情報基盤の整備について、情報セキュリティ体制の構築等による全学的な整備に関する取組や、機関リポジトリの充実による、学術情報発信強化に関する取組が進められている。

(具体的取組例)

  • 北海道大学の教育・研究成果を蓄積・公開する「北海道大学学術成果コレクション(HUSCAP)」の充実に努めたことにより、平成19年度の収録文献数が10,031件(平成18年度:9,311件)、累積で23,171件(平成18年度:13,140件)に達し、同種のコレクションの中では世界で20番目、国内では最大規模となっている。【北海道大学】
  • 総合メディア基盤センターが、情報セキュリティポリシーを策定し、コンピュータウイルスや不正アクセス等に対する安全管理の国際認証(ISO27001)を取得している。【宇都宮大学】
  • 情報ネットワーク倫理委員会を設置し、資産利用のためのルールの改定を行い、情報倫理に係る事案への対応が図られ、情報資産のより適正かつ円滑な利用が確保されるとともに、違反行為が発生した際の対処や連絡に関わる体制を整備している。【京都大学】

危機管理への対応

 全法人において、危機管理マニュアルの策定等、全学的・全機構的な危機管理体制が整備されている。

  • 危機管理マニュアルを策定している法人:91法人【平成18年度:90法人、平成17年:75法人】

(具体的取組例)

  • 外国人留学生・研究者の比率が高いことを考慮し、災害・事件・事故等に対応するための「危機管理マニュアル」の英語版を作成し、学内ウェブサイトで全学に周知している。【北陸先端科学技術大学院大学】
  • 静岡県立大学、富士常葉大学、東海大学と「しずおか防災コンソーシアム」を結成し、静岡県防災局等の行政と連携しながら、防災マイスターの養成、防災現場での体験授業、防災知識のアーカイブ化等、防災教育・事業を展開することとしている。【静岡大学】
  • 「渇水対策マニュアル」を作成し、香川用水の取水制限の状況と高松市渇水対策本部等と連携を取りながら、学内の節水対策を行っている。【香川大学】

自己点検・評価及び第三者評価

 自己点検・評価、認証評価、国立大学法人評価(年度評価)及びその他の外部評価等の結果を活用し、教育研究等の充実を図っている。また、ウェブサイトの活用や大学独自のデーターベースの構築等を通じて、評価作業の効率化に向けた取組も進められている。

(具体的取組例)

  • 充実した情報基盤の上に、教育研究、管理運営に必要な様々なデータベースシステムを整備しており、それらを活用して中期計画、年度計画の進捗状況管理、実績報告書作成作業等の効率化が図られており、その結果、関係教職員の実務負担が軽減されている。【東京工業大学】
  • 中期計画・年度計画の進捗状況管理システムを活用し、学内の諸活動の進捗状況を役員、関係教職員が常時把握できるようになっており、実績報告書の作成等の評価作業の効率化・負担軽減が図られている。【一橋大学】
  • 年度計画の毎月の進捗状況をウェブサイト上で教職員全員が共有し、年度計画の推進を図るとともに、評価意識の向上を促すことを目的に独自で構築している「年度計画進行管理システム」に加えて、新たに「中期目標・中期計画進行状況管理システム」を構築しており、さらなる評価作業の効率化を図っている。【福井大学】
  • 自己点検・評価制度における評価結果等を活用し、教育部門、研究部門それぞれに「ベストティーチャー賞」(賞状及び副賞(教育研究費20万円))を授与する「優秀教員表彰制度」を設けている。【鳴門教育大学】
  • 基礎生物学研究所では、全ての教授、准教授について、3名の外部評価委員(うち1名は外国人)により、10年間の業績とコミュニティに対する貢献等の観点から、各自1時間を越えるインタビュー形式による評価等を実施している。【自然科学研究機構】

3.社会に開かれた客観的な法人運営

外部有識者の積極的活用

 経営協議会の学外委員をはじめとする外部有識者の積極的活用により、法人運営の一層の活性化を図る取組が進展している。

  • 経営協議会からの意見を活用している法人:91法人【平成18年度:89法人平成17年度:85法人】

(具体的取組例)

  • 大学の取組に対して、学外有識者の視点からの助言を得るため、経営協議会の学外委員を話題提供者とする「全学対話集会」を全教職員及び学生を対象として開催し、大学の今後の在り方について意見交換を行っている。【お茶の水女子大学】
  • 知的財産本部会議、発明審査委員会に新潟TLOや特許事務所から発明コーディネーター等の学外専門家の出席を求めて、審議を行っているほか、各部局においても、人文社会・教育科学系談話会や歯学部諮問会議等、学外有識者の意見を反映させる体制を整備し、部局運営の改善に活用している。【新潟大学】
  • 経営協議会の意見を法人運営に積極的に活用するとともに、アドバイザー会議を開催し、大学の国際戦略、技術者教育の今後と大学の役割等について助言・提言を得るなど、学外有識者の提言等を取り入れる工夫を行っている。【豊橋技術科学大学】
  • 経営協議会委員等を講師に大学運営全般に関わる基本的知識の取得とマネジメント能力の向上を図ることを目的とした「三重大学マネジメントセミナー」を開催し、トップマネジメントによる速やかな意思決定と戦略的運営の向上に努めている。【三重大学】

監査機能の充実

 監事や会計監査人による監査結果を適切に法人運営に反映させる動きが進展している。また、内部監査については、全ての法人において、事務局から独立した内部監査組織の設置など、監査対象組織からの独立性が確保された内部監査の実施体制が整備されている。

  • 独立性を担保した内部監査組織が整備されている法人:91法人【平成18年度:81法人、平成17年度:73法人、平成16年度:49法人】

(具体的取組例)

  • 内部監査として、全部局を対象に科学研究費補助金を主とした補助金等の会計監査を実施したほか、随意契約すべてを対象とした監査を実施している。【一橋大学】
  • コンプライアンス委員会を設置し、外部の有識者をアドバイザーとして参加させ、監査報告及び監査計画等について意見交換を行っている。【浜松医科大学】
  • 機構本部において、監査部門を事務局から独立させ、中立性を確保するとともに、外部講師を招聘し、内部監査に関する講習会を実施することにより、監査員の資質向上を図っている。【情報・システム研究機構】

情報公開の促進

 社会に対する説明責任の観点から、各法人とも、教育研究等の状況について引き続き積極的な情報提供に努めている。

具体的取組例

  • 大学教員が講師となって全国の高等学校を訪問し地球環境問題に関する講義を行う「北海道大学プロフェッサー・ビジット2007」を実施し、全国28校を訪問し7,540名が講義に参加し、北海道大学の地球環境問題に対する取組を全国の高校生に向けて発信している。【北海道大学】
  • 創立130周年を迎え、11月の記念式典をはじめとして、シンポジウム、海外大学とのスポーツ・学生交流、展示会・展覧会等の多様な記念事業を実施した。また、「知のプロムナード」構想として、各地区キャンパスに、研究成果等のモニュメントやベンチを設置するなど学生、教職員等の知的交流を深める場を美化・整備している。【東京大学】
  • 日本工業規格(JIS規格)の高齢者・障害者等配慮設計指針等を踏まえ、大学ウェブサイトの充実につとめた結果、「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2007/2008」において全国国公私立大学200校中1位となっている。【徳島大学】

4.教育・研究の活性化に向けた取組

 これまでに引き続き、各法人において、法人化のメリットを活かし、教育方法等の改善・充実や研究活動の活性化に向けた取組等が行われているほか、全国共同利用を通じた学術研究の推進や附属病院、附属学校における機能充実のための様々な取組が行われている。

教育方法等の改善

1.指導方法等の改善・充実に向けた取組

(具体的取組例)
  • 教養教育、専門基礎教育及び専門教育からなる学士課程教育の総合的な目標と教育目標達成に向けた全学の基本方針として、学群・学類ごとに学士課程の教育目標、教育の内容・方法、達成すべき水準、教育の質の保証等を示した「筑波スタンダード」を作成し、在学生、教職員、高等学校の進路指導教員等に配付するなど、ウェブサイトを通じて広く公表している。【筑波大学】
  • 海外ファカルティ・ディベロップメント(FD)研修として、教員6名をノースカロライナ大学へ派遣し教育能力を高めるとともに、海外FD研修の成果や学外有識者による授業参観の報告等、教員の教育能力の向上に取り組んでいる。【奈良先端科学技術大学院大学】
  • 全学教育、学部専門教育における教育内容の一貫性を向上させるため、全学部において、全学教育、学部教育をつなぐコースツリー(科目系統図)を作成し、案内冊子等に掲載している。【名古屋大学】
  • 教授方法改善に資するため、教職員のみではなく学生の視点からの教育改善を提起するシステムを構築し、学生の企画により他大学の教育システムを学生が調査・分析し、学生と教職員の懇談会で報告する取組が行われている。【鳥取大学】

2.個性・特色の明確化を図るための組織的な取組

(具体的取組例)
  • 国内外の研究機関での、「食の安全確保」に関わる就業体験を通して、国際的に活躍できる研究者を養成することを目的とした「インターンシップ演習」を必修科目として開講するなど、国際的活動能力の養成が図られている。【帯広畜産大学】
  • 大学の長期戦略の達成に向け、「文理融合21世紀リベラルアーツ」のカリキュラム設計を行い、学部及び大学院の教育改革を推進している。【お茶の水女子大学】
  • 世界銀行等からの委託を受けて、新たにインドネシア・リンケージプログラムを設置するなど、積極的に国際的な活動を実施している。【横浜国立大学】
  • 大学独自の資格「環境学習支援士」を設けており、平成19年度では14名(対前年度比4名増)が修了し、本制度の一層の充実のため、修了生が地域や学校で環境学習支援活動を進めていくための活動に取り組んでいる。【滋賀大学】

学生支援の充実

1.学習支援等の充実

(具体的取組例)
  • これまでの貸与制奨学金や授業料・入学料の免除に加え、新教育プランにおける4年間の一貫的な博士課程教育を行うスーパードクタープログラムの学生を対象とする大学独自の給費制奨学金を創設し、最高で年間180万円を給付する経済支援制度を整備している。【北陸先端科学技術大学院大学】
  • 教育実習における学生のメンタルヘルス支援に関し、委員会を設置し、うつ病やうつ症状、不安症状等ケアの必要な学生に対する具体的な支援活動を開始している。【東京学芸大学】
  • 学生の自主性、積極性、創造性等を高めるとともに、地域の活性化を図ることを目的に、学生が企画した魅力的・独創的なプロジェクト事業に対して経費の支援を行う「香大生の夢チャレンジプロジェクト事業」を実施している。【香川大学】

2.就職支援、キャリア教育等の充実

(具体的取組例)
  • インターネット上において、卒業生と在学生との情報交流の拡大と促進、卒業生から在校生に対する就職活動支援等を目的として、学生及び卒業生並びに教職員間のコミュニケーションツール「Curio」を導入している。【千葉大学】
  • 大学教育総合センターに、キャリア教育推進部を設置し、特任教員を採用したほか、「キャリアデザインファイル」をツールとして、学生、教職員、社会を有機的に組み合わせた実践的キャリア教育体制を構築し、社会人として質の高い人生を送るのに必要な職業能力を身につけ、自己啓発力と広い視野を持ったリーダーとして社会で活躍する人材を養成する各種プログラムを充実させている。【横浜国立大学】
  • 入学から卒業までの学生個人ごとのキャリア形成に必要なデータ(正課キャリア、就職支援、就職指導)を総合的にデータ化した「学生進路・就職情報ファイルシステム」を構築し、教員等による実践的な運用が行われている。【滋賀大学】

研究活動の推進

1.資源の重点配分による研究活動の活性化に向けた取組

(具体的取組例)
  • 時限的、横断的研究組織である研究ステーションとして、新たに「Social Informatics研究ステーション」、「情報理論基礎応用研究ステーション」及び「イノベーティブ・ネットワーク研究ステーション」の3つを設置している。【電気通信大学】
  • 外部に開かれたオープンな研究の促進を目的として学部横断型の「研究推進体」制度を活用し、平成19年度までに42グループを認定し、重点的支援を行っている。【山口大学】
  • 従来の「学長指定重点研究」を発展的に見直し、「弘前大学機関研究」制度に改編し、大型競争的研究資金獲得を見据えた大学の広告塔となりうる研究に対しての研究費の重点配分システムの強化を図っている。【弘前大学】
  • 重点的に取り組む「健康生命科学」、「社会技術科学」、「地域創生総合科学」のため、パイロット事業支援として、生命科学分野「機能性食品を対象としたトランスレーショナルリサーチの推進」ほか7研究を重点支援している。【徳島大学】

2.女性教員・若手教員等に対する支援

(具体的取組例)
  • 「女性キャリア支援・開発センター」において女性キャリア支援のための特任教員制度を継続するとともに、育児・介護クーポンの配付、講演会の開催、小金井キャンパスへの保育所誘致の決定等女性研究者の支援策を講じている。【東京農工大学】
  • 女性教員に適合した雇用環境モデルの構築を推進するため、職員の勤務時間の有効活用を取り入れ、9時~5時勤務が可能な体制作りを行っている。また、女性教員の採用を促進するため、学位・業績・能力等が均等の場合、女性教員を優先する原則を継続しており、新規採用教員38名中32名が女性となっている。【お茶の水女子大学】
  • 職場と家庭生活の両立支援の具体策として、育児のための短時間勤務制度の整備と、ベビーシッタークーポンの導入や医学部附属病院の事業場内保育施設「あいあいキッズ」の設置により女性教職員の勤務環境の改善に取り組んでいる。【愛媛大学】
  • 学長のリーダーシップにより研究活動の一層の活性化を図るための施策に対して学長裁量経費の重点配分を行うとともに、若手教員の独創的・意欲的な研究活動に対して「若手教員研究スタートアップ」経費を措置している。【山口大学】

3.柔軟な研究実施体制の整備

(具体的取組例)
  • 異分野の学術領域の融合により形成された新融合領域における世界的なトップランナーとしての若手研究者を養成するため、「国際高等融合領域研究所」を設置している。【東北大学】
  • 大学における研究の基本的な在り方を示した「東京工業大学の研究ポリシーと研究戦略(研究ポリシーペーパー)」を策定し、1萌芽的・挑戦的・独創的研究の発掘・育成・強化、2強い研究分野のさらなる強化と世界的研究拠点育成、3研究成果の活用を通じた社会への貢献の3重要事項を推進することを、大学として組織的な研究活動を行う指針としている。【東京工業大学】
  • 経営企画委員会において、「一橋大学の長期研究戦略-21世紀の経済・社会への挑戦-世界水準の社会科学の創造と総合を目指して」を策定し、大学全体として組織的な研究活動の推進を図っている。【一橋大学】
  • 「iPS細胞研究センター」を設置したことに伴い、1拠点に勤務する教員の研究業績、進捗状況結果等を基に支給する拠点手当、2拠点経費を財源とする「特定拠点教員」、3年俸制、裁量労働制による「特定拠点研究員」(4名雇用)等の制度導入を行っている。【京都大学】

全国共同利用の推進

※ 全国共同利用とは、大学共同利用機関及び国立大学の附置研究所等において、所有する大型研究設備や資料・データを全国の研究者の共同利用に供し、または共同研究や研究会を組織することにより、大学の枠を超えた当該分野の研究を効果的かつ効率的に推進することを目的とした我が国独自のシステムである。(平成19年度現在、19国立大学47附置研究所・研究施設において実施。)

1.全国共同利用を通じた学術研究の推進

(具体的取組例)
  • 環境リモートセンシング研究センター(千葉大学)、気候システム研究センター(東京大学)、地球水循環研究センター(名古屋大学)及び東北大学理学部附属大気海洋変動観測研究センターは、気候関連研究部局としては初の全国的な連携システムを構築し、「地球気候系の診断に関わるバーチャルラボラトリー(VL)の形成」事業を実施している。平成19年度は、各大学でVL推進室の整備や衛星データの受信装置等の導入等、共同利用の体制を整備するとともに、データ収集等を開始している。【千葉大学、東京大学、名古屋大学、東北大学】
  • 全国7大学情報基盤センター群及び東京工業大学学術情報国際センターは、各大学等で開発された計算機ソフトウェアの産業利用の拡大を目的とする「先端研究施設共用イノベーション創出事業」の拠点として、それぞれ、民間企業の利用に供するための内規の整備、知的財産権の取扱の明確化等を含めた体制整備を行い、全体で21件の民間企業ユーザー支援を行っている。【北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学、東京工業大学】
  • 空間情報科学研究センターは、地理情報システム学会と共同で「学術的データセットのピアレビュー制度」の検討を進めている。これにより、「データ論文」という新しいカテゴリーを設けて、学術的なデータセットを解説文書と合わせて整理・公開した場合には、論文と同様の査読制度を適用し、学術的な成果として評価・認定することにより、研究者がデータを共同研究用に公開するインセンティブを自然に持てるようにしている。【東京大学】
  • 生命科学分野におけるデータベース統合化の拠点形成を目的として、機構直属のライフサイエンス統合データベースセンターを設立し、関係機関と協力して国内外のデータベースの利便性を高めるための情報技術の開発やポータルサイトの整備を行っている。【情報・システム研究機構】

2.全国共同利用の体制の整備・充実

(具体的取組例)
  • 平成19年度に新たに全国共同利用の研究施設となった海洋エネルギー研究センターは、海洋温度差発電により得られるエネルギーと海洋のエネルギー物質・資源の有効利用のための研究を実施している。平成19年度は、学長裁量経費により、海洋温度差発電装置への発電機の搭載を行うなど、共同利用のための設備の充実を図っている。【佐賀大学】
  • レーザーエネルギー学研究センターは、共同利用者等からの意見を踏まえ、大型レーザー装置の運転時間の不足を解消するため、レーザー運転を外部委託することで2シフト制での運用を実現し、実験ショットをほぼ倍増させている(16年度254回から19年度413回)。【大阪大学】
  • 海洋コア総合研究センターは、全国共同利用研究について、従来2回申請する必要のあった前期・後期を通しての利用を1回の申請で行えるよう改善するとともに、緊急性を有する研究課題のため、随時受付の制度を新たに設定したことにより、利用者の利便性が向上しており、利用件数が62件(対前年度比21件増)となっている。【高知大学】
  • 人間文化に関するデータの統合検索システムである「人文研究資源共有化システム」については、平成20年度からの一般公開に備え、システムの機能拡充等を図るとともに、各機関にシステムの責任者、実務担当者を置くなど実施体制を整えた。【人間文化研究機構】
  • 日本原子力研究開発機構と共同で推進している大強度陽子加速器施設(J-PARC)の平成20年度からの運用開始に向け、J-PARC利用者協議会のメンバーを再編成し、中性子及びミュオン分野の利用者懇談会を設立するなど、研究者コミュニティの意見をより適切に反映するための体制を整えた。【高エネルギー加速器研究機構】

3.全国共同利用を活かした人材養成

(具体的取組例)
  • 放射光科学研究センターは、平成19年度から、大学院カリキュラムに、放射光ビームライン等を活用した「院生実験」を導入し、放射光科学から加速器科学にわたる幅広い分野の将来を担う人材養成を行っている。【広島大学】
  • アジア・アフリカ言語文化研究所では、「中東イスラーム研究教育プロジェクト」の下、ベイルートの海外拠点において、大学院博士後期課程在学者等が国際的な場で専門家と議論を行うことを目的とする「若手研究者報告会」を開催するなど、実践的な人材養成を行っている。【東京外国語大学】
  • 国立情報学研究所では、「NII国際インターンシッププログラム」により、8か国47名(前年度比20名増)のインターン学生を受け入れるなど、海外の機関との連携等による人材養成を積極的に行っている。【情報・システム研究機構】

4.研究者等に対する情報提供

(具体的取り組み例)
  • 低温科学研究所は、全国共同利用の設備を用いて得られた観測データを、ウェブサイトにリアルタイム画像として掲載するなど、全国の研究者等に対し、積極的な情報提供を行っている。【北海道大学】
  • 金属材料研究所では、共同利用研究のうち特に優れた成果等を広く海外へも紹介するため、平成19年度から、英語版の「IMR KINKEN Research Highlights 2007」を発行することとし、国内外の大学・研究所等(国内約700機関、海外約500機関)に送付している。【東北大学】

社会連携・地域貢献・国際交流等の推進

1.地域貢献の推進

(具体的取組例)
  • 子ども育成支援プログラム事業「わくわくJr.カレッジ」として、「わくわくサイエンス屋台村」、「未来のスーパーアーティスト・アスリート養成講座」、「子ども料理教室」等を実施し、特に、子供たちの科学への関心を高めるため活動である「わくわくサイエンス屋台村」では約2,000名の参加者を得ている。【福島大学】
  • 社会連携活動の総合窓口として「社会連携センター」を整備し、体制を強化し、「上野タウンアートミュージアム」、「取手アートプロジェクト」といった自治体との社会連携事業に積極的に取り組んでいる。【東京芸術大学】
  • 岐阜県との協定に基づく官学連携融合事業として、野生動物救護センターを設置し、野生動物救護を通じた野生動物医学の卒前卒後教育、傷病野生鳥獣からみた環境モニターリングを行うなど、野生動物救護の拠点施設として取り組んでいる。【岐阜大学】
  • 古代奈良を中心とした歴史的文化遺産のデータ化、まちづくり支援事業、生物資源の保全を目的とした農山村活性化事業、地域女性リーダー育成事業、健康なら21Stepアップ事業、次世代自立支援の子ども学、奈良女子大学サイエンス発信広場の7事業の推進による地域貢献に取り組んでいる。【奈良女子大学】

2.産学連携・知的財産戦略のための体制の整備・推進

(具体的取組例)
  • 共同研究の新スキーム「Proprius21」について、複数企業の参加する研究会方式の実施や、中小企業との産学連携を促進したほか、国際的な産学連携推進のため、英語版である「Global Proprius21」を作り、申込書・契約書等の整備、規則類・契約書雛形・パンフレットの英文化、産学連携本部英文ウェブサイトの開設等により、海外企業等へメッセージ発信を行っている。【東京大学】
  • イノベーション共同研究センターは、「産学社学官連携研究分野マップ」、「共同研究シーズ集2007」、「教員の持つ研究テーマや共同研究に向けて取り組んでいる課題をまとめた教員研究課題データベース」の作成等を通じて、研究成果、学術情報の公表を推進している。【静岡大学】
  • 知的財産権に関しては、知的財産本部にて厳密な審査を行い、大学が承継すべき案件を決定するとともに、「大阪TLO」、「関西TLO」並びに「TLOひょうご」とも連携し、特許申請及び技術移転を積極的に推進し、国内特許申請数は241件、技術移転、成果有体物の移転収入も大幅に増加している。【大阪大学】
  • 国立天文台と核融合科学研究所は、機構内連携を軸として、光学機器メーカーやセラミックスメーカー等、異業種間にネットワークを構築し、ゼロ膨張セラミックスを用いた大型超精密光学機器製造技術開発を進めるなど、高度産業基盤の構築・産学連携活動の推進を図っている。【自然科学研究機構】

3.国際交流、国際貢献の推進

(具体的取組例)
  • アジア・アフリカ言語文化研究所において、文部科学省委託事業「世界を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業」の「東南アジアのイスラーム」プロジェクトを推進し、ベイルートに続く海外研究拠点として、コタキナバル・リエゾンオフィスを開設している。【東京外国語大学】
  • アフガニスタンの復興支援に関し、「東京地区アフガニスタン大学情報交換会」の開催、大学間ネットワークの構築、文部科学省の国際協力イニシアティブ教育協力拠点形成事業の委託による「日本の大学によるアフガニスタン高等教育復興支援」シンポジウムの開催等、積極的に復興支援を実施している。【東京農工大学】
  • インドネシアでの定置網技術移転を目指した「JICA(ジャイカ)草の根技術協力事業」について、インドネシアの現地調査、定置網の敷設、インドネシア漁業従事者の技術研修等を実施している。【東京海洋大学】
  • 国立天文台では、80台の電波望遠鏡で深宇宙を探査する国際プロジェクトである「アルマ計画」において、国立天文台アルマチリ事務所をサンチャゴ(チリ)に設置し、参加国間の調整を行う合同アルマ事務所との協力体制を確立した。【自然科学研究機構】

附属病院機能の充実・強化

1.教育・研究面

(具体的取組例)
  • 医師、看護師、コメディカルスタッフ及び学生を対象に、スキルスラボによる外科トレーニング研修及び看護技術研修等を実施し、実践的な臨床教育に努めている。【山形大学、信州大学】
  • ナノバイオウィルス製剤「テロメライシン」の第1相臨床試験の実施、エイズ治療薬「darunavir」が日本国内での認可を得るなど臨床研究の推進に努めている。【岡山大学、熊本大学】
  • 重粒子線を中心としたがん治療の開始に向けた取組を行い、がんの教育・研究、がん治療の向上に向けた取組を行っている。【群馬大学】
  • 県工業技術センターと連携して、非侵襲的血糖測定機器を開発するとともに、学内連携により、肺音の収録、整理、識別の研究活動を行い、研究開発を促進している。【長崎大学】

2.診療面

(具体的取組例)
  • 計画的な看護師の確保努力の結果、多くの附属病院で7対1看護師配置基準を取得し、手厚い看護を提供している。【弘前大学 他26大学】
  • クリニカル・インディケータを継続して測定しているとともに、バランススコアカードの構造化と効率的な測定・分析・公開を目的として院内情報収集フローを作成し、医療と安全の向上のためのクオリティマネジメントの充実に努めている。【大阪大学】
  • 全国で最も高い糖尿病死亡率を低下させるため、「糖尿病センター」を設置するなど、地域の医療ニーズに対応した診療体制を構築している。【徳島大学】
  • 産科医の負担軽減や、妊婦のニーズに応えるため「助産師外来」を設置して、医師と助産師の役割分担を明確にしつつ、産科医不足に取り組んでいる。【山梨大学、信州大学】
  • 救急搬送患者が口腔裂傷している場合に歯科病院からの応援を得ることや、院内患者の口腔ケアの実践等、医科と歯科の機能的連携を推進し、医療の高度化を図っている。【東京医科歯科大学、新潟大学】

3.運営面

(具体的取組例)
  • 保育施設の開設や保育時間の延長等により、教職員の勤務環境を改善し、ライフ・ワークバランスを確保するとともに、女性職員の確保と安定雇用に努めている。【鳥取大学 他6大学】
  • 患者や家族にインターネットやビデオ、書籍等で病気や治療に対する情報を提供する「病院ライブラリー」を開設し、患者参加型医療の支援を図っている。【旭川医科大学】
  • 品質マネジメントシステム(ISO9001)、環境マネジメントシステム(ISO14001)、財団法人日本医療機能評価機構による病院機能評価(Ver.5.0)の取得や更新をするなど、外部評価を積極的に実施し、病院管理体制の向上に努めている。【山形大学 他8大学】
  • 市内デパートで無料医療福祉相談「あいナビステーション」を設置し、地域貢献を行うとともに、地域の医療ニーズの把握に努めている。【愛媛大学】

附属学校の機能の充実

(具体的取組例)

  • 附属中学校では、教科毎に研究会を設置し、全教科にわたり教育学部の教員が共同研究者として参加し、教育課程編成の教育課題について共同研究を実施した。その成果を基に実際に授業を実施し、共同研究成果の検証を行うなど、課題の特定から解決のための実践研究、その有効性の検証までのシステマティックな教育実践研究が定着している。【茨城大学】
  • 研究会共同研究24件、研究プロジェクト(学内)14件、学校教育総合研究センター各分野の研究プロジェクト4件、特色GP1件において、大学教員と附属学校教員が連携して行うアクションリサーチを附属学校の教育課程に位置づけて実施している。(例えば、附属小学校では、総合的な教育活動(生活科)や英語活動等において、大学教員と大学院学生が教室に入り、新たな知見に基づく試行的な授業を担当教諭とともに展開・実施し、その実際の授業を通して明らかになった成果(子どもの学ぶ姿の傾向、効果的な指導法等)を附属小学校の研究会等において公開し、更なる教育課程の改善に結びつけている。)【上越教育大学】
  • 大学・学部との連携及び協力の強化に関する具体的方策として、附属明石校園において、発達科学部教員と共同して、幼稚園・小学校・中学校の12か年一貫教育を基盤においた「カリキュラム開発研究センター」での発達支援カリキュラムの開発を進めている。【神戸大学】
  • 特別支援学校では、「巡回相談会」(22園118回)、「スキルアップセミナー」(8回)、「ボランティア入門講座」(4回開講)を実施している。ボランティア講座受講者が、学校の様々な行事や学習にゲストティーチャーやサポーターとして協力することにより、特別支援学校における授業の充実を図っている。また、以前から準備を進めていた「附属学校園特別支援教育推進研究協議会」を教育実践総合センタースクールカウンセラーとの連携で開催し、特別支援教育等について協議することで、大学附属ならではの充実した特別支援教育システムが構築されている。【鹿児島大学】

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局高等教育企画課国立大学法人評価委員会室)