国立大学法人分科会 業務及び財務等審議専門部会(第23回) 議事録

1.日時

平成22年6月15日(火曜日)16時から17時

2.場所

文部科学省東館16F1会議室

3.議題

  1. 国立大学法人の財務諸表の承認及び中期目標期間終了時における積立金の処分に係る承認について

4.出席者

委員

﨑元部会長、宮内委員、金原臨時委員、舘臨時委員

文部科学省

永山国立大学法人支援課長、寺門企画官、玉上大学病院支援室長、平野国立大学法人支援課課長補佐、鎌塚国立大学法人評価委員会室室長補佐、粟井教員養成企画室室長補佐、松永整備計画室室長補佐

オブザーバー

村松委員長

5.議事録

【﨑元部会長】
 所定の時間になりましたので、第23回国立大学法人分科会業務及び財務等審議専門部会を開催いたします。本日は国立大学法人の財務諸表の承認及び中期目標期間終了時における積立金の処分に係る承認、この2点についてご審議をいただきます。
 まず、事務局から、配付資料の確認をお願いいたします。

【事務局】
 それでは配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の裏面に、配付資料の名称等があるのですけれども、まず資料1として、財務諸表の承認及び中期目標期間終了時における積立金の処分に係る事務局における確認についてという資料がございます。その後ろに別紙の資料が何点かついていまして、その次に資料2として、財務諸表承認及び中期目標期間終了時における積立金の処分スケジュール(案)というものがございます。その後ろに参考資料がありますが、部会への付託事項のうち4番の積立金の処分、8番の財務諸表の承認についての意見について、ご意見等いただくこととなります。
 それから、皆様の左手のほうに、机上資料として参考の1から7までございます。その中で、参考の2がA3判になっているものですから、順番が一番下のほうに入っているかと思いますが、もし不備等ございましたら、お申しつけいただければと思います。配付資料としては以上になります。

【﨑元部会長】
 それではまず、国立大学法人の財務諸表の承認及び中期目標期間終了時における積立金の処分に係る承認について、事務局から説明をお願いいたします。

【事務局】 
 それではお手元の資料1及び資料2についてご説明申し上げます。まず資料1でございます。財務諸表の承認及び中期目標期間終了時における積立金の処分に係る事務局における確認です。
 まず1点目でございますけれども、中期目標期間中における取り扱いとの主な相違点ということでございます。ご承知のとおり、平成21年度の決算と第1期中期目標期間の総決算という意味合いを持っているところでございます。したがいまして、これまでの期中における決算と若干取り扱いが異なっている点がございます。具体的に申し上げますと、従来の期中の決算でありますと、業務達成基準でありますとか、費用進行基準等でやったものにつきましては、事業が終了していない場合については、運営費交付金等は負債で残るという形にとっていったわけでございますけれども、今回の決算におきましては、期末時点の運営費交付金債務につきましては、すべて精算のための収益化を行ってございます。
 また、期中における剰余金、これは当期総利益でございますけれども、国立大学法人法第35条において準用します独立行政法人通則法第44条1項に基づき、すべて積立金という扱いになるわけでございますけれども、その積立金のうち国立大学法人法第32条第1項に基づき、文部科学大臣の承認を受けた額につきましては、次期の中期計画の期間に繰り越すことができるというふうになっているところでございます。また、その繰り越された相当額につきましては、次期の事業に供するということが認められているわけでございますけれども、繰り越せなかったものにつきましては、7月10日までに国庫納付するということで決まっております。
 今回の財務諸表あるいは積立金の処分にかかる取り扱いについて、事務局における確認の方針でございます。
 財務諸表につきましては、国民その他の利害関係者にしっかりと財政状況あるいは運営状況を適切に開示するといったことが必要であるわけでございます。また、決算における積立金の額につきましては、その額が適正かどうか、繰り越しに当たりましては、次期の中期目標にある程度書き込むということがあるわけでございますけれども、そういったものが適切になっているかどうか、繰越申請を受けた額が適正かどうかといったものについて確認する必要があります。
 したがいまして、合規性の遵守あるいはその表示内容の適正性の観点から確認を行ったところでございます。あわせまして、財務諸表等の数値につきましても必須記載事項の遺漏とか、書類相互間における計数の整合性といったものにつきましても確認を行ったところでございます。
 確認内容でございます。財務諸表の承認及び中期目標期間終了時におけます積立金の処分につきましては、法令上の位置づけといったものは異なるわけでございますけれども、先ほど説明しましたとおり、合規性の遵守でありますとか、表示内容の適正性といったものにつきましては、ある程度重複が認められるものでございますので、まずそれにつきましては、ここに記載してございますとおり、下記のとおり一括して確認を行ったところでございます。
 まず1つ目の合規性の遵守でございます。チェック項目としましては、大きく3つございます。まず1番目に、提出期限が守られているか。そして2番目に、必要な書類がすべて提出されているか。3番目に、監事及び会計監査人の監査証明に対しまして、財務諸表の承認に当たり、考慮すべき意見がないかどうか、といったところでチェックをしたところでございます。その結果としまして、財務諸表並びに積立金の処分につきまして、提出期限につきましてはすべての法人から期限内に財務諸表等の提出を受けたところでございます。積立金の処分につきましては、ここに書いてございますとおり、84大学となってございますけれども、2大学については該当がなかったとご理解いただければと思います。また必要な書類がすべて提出されたかにつきましては、財務諸表並びに積立金の処分に当たりまして、すべての大学法人から必要書類が提出されているところでございます。また監査人等の意見につきましては、今回の承認に当たりまして、考慮すべき特段の意見はないというふうに確認してございます。
 2つ目の表示内容での適正性でございます。チェック項目としましては、記載すべき項目について、明らかな遺漏がないか、あるいは計数が整合しているか。これは1つの書類に対しての計数でもありますし、またその下にございますとおり、書類間の相互の計数といったものの整合がとれているかといったところで、確認を行っております。また、行うべき事業を適切に行っているかといったところでもチェックをしてございます。また、運営費交付金にかかる会計処理の適正性についてもチェックを行っております。そして、積立金処分につきましては、執行計画及び繰越申請額の相当性が失われていないかどうかについても確認を行ったところでございます。そのチェックの結果としまして、財務諸表並びに積立金の処分につきましてですけれども、遺漏がなかったかどうかにつきましては、明らかな遺漏はないというふうに確認を行ってございます。また、計数につきましては、書類間の計数、整合性も含めまして、きちんと整合を確認しております。
 次に行うべき事業でございますけれども、期間進行基準の事業につきましては、学生の収容定員の超過、あるいは未充足といったものを指標としまして判定をしているところでございます。学生収容定員が未充足のところが、90%を満たしていない法人が17大学、定員超過率が120%以上となっている法人が3大学あるといったことを確認してございます。また、業務達成基準でありますとか、費用進行基準の適用事業につきましては、財務諸表の補足資料等によりまして、すべて行うべき事業を行っているといったことについて確認をしております。
 会計処理でございますけれども、すべての大学における期間進行基準の適用事業につきまして、先ほど、その上段でご説明したとおり、学生収容定員を満たしていない大学を除きまして、すべて期間進行基準より適切に収益化されているといったことを確認しております。また、すべての大学におきまして、業務達成基準の適用につきましては、これは業務を行っていない大学といったものは、その相当額が運営費交付金債務として残っておりまして、それを最終的には精算のための収益化を行っているといったものが確認されております。また、すべての大学におきまして、費用進行基準のうち、退職手当でございますけれども、この発生相当額について運営費交付金債務で、債務が収益化されておりまして、その残額につきましては、最終的には精算のための収益化が行われているということを確認しております。それ以外の費用進行基準の適用事業につきましても同様でございます。
 積立金の処分の関係でございますけれども、第2期中期計画に照らした執行計画あるいは繰り越し承認申請といったものが、相当性を失したものとなっていないかどうかについて確認をしましたけれども、これについては妥当であるといったような判断をしているところでございます。
 4つ目に、その確認結果及びコメントでございます。財務諸表の承認につきましては、事務局としまして特段、今回の承認に当たりまして、コメントあるいは意見はございません。また中期目標期間終了時におけます積立金の処分でございますけれども、すべての法人で、この積立金の範囲内での承認申請が行われているといったところに関しては、特段の意見はございません。ただ、積立金の処分につきましては、各法人からの承認申請額の範囲内におきまして、今後、財政当局等と協議が行われるわけでございます。この協議におきましては、若干数字の変動が予定されているところでございます。
 続きまして、資料の2をごらんいただきたいと思います。こちらが財務諸表承認及び中期目標期間終了時における積立金の処分スケジュールでございます。左側が財務諸表の承認でございます。本日15日に、当専門部会が開かれました後、6月末をもって財務諸表の承認になるといった運びでございます。一方、積立金の処分でございますけれども、本日の部会終了を受けて、現在、事務的には財務省と交渉等を行っておりますけれども、今後正式に財務省との協議にかかるという状況でございます。そして、6月末時点で、財務省の協議を終了しまして、繰り越し承認に至るというスケジュールでございます。そこで、お手元にあります机上資料の参考の6をごらんいただくと、これが今、積立金の処分に当たりまして、次期への繰り越し等の一覧でございます。1枚紙でございますけれども、上段が積立金残高の内訳でございます。このうち目的積立金、真ん中ほどに目的積立金が278億7,700万円ございます。これは平成20年度までに発生した目的積立金でございます。そして今回の、当期未処分利益のうち目的積立金相当額が190億4,500万円ございます。このうち申請の出てきている、これは右側の欄にございますけれども、そういったものについて財務省との協議を進めるといったところでございます。
 最後に右側に書いてあるのが、国庫納付予定額でございますけれども、この繰り越しの承認申請額の中で、今後、財務省協議によって数字の若干の変動が生じ得る可能性があるということでございますけれども、我がほうとしましては、大学からいただきました承認申請額に、できるだけ近づけるような努力をしていくというふうに考えております。資料の説明は以上でございます。

【﨑元部会長】
 それでは、ただいまご説明があったところが、あまり全貌がわからないと思いますけども、それも含めて質問をお願いいたします。ご意見等ございましたらお願いいたします。

【宮内部会長代理】
 剰余金のうち、現金等の担保のない剰余金というコンセプトがありましたよね。それはこの中のどれに該当することになるのですか。

【事務局】
 参考の6をごらんいただきますと、この積立金といったところが、まさに現金の裏づけのないところでございます。あと、積立金相当額というのが、まさにそうです。
 参考1でごらんいただいたほうがよろしいかも知れません。参考1が、財務諸表の概要ですけれど、これで全体像がわかりますので、それの2ページを開けていただきますと、貸借対照表があります。その純資産のところをごらんいただきますと、資本金があって資本剰余金があって利益剰余金の内訳としていくつかあるのですけれども、そこで積立金が1,943億円あります。これは会計処理上の形式的・観念的利益であり、実際に法人に現金等が残っているものではないというもので、これは現金がないので国庫納付ができないので、自動的に次期に繰り越すというものです。積立金の上の目的積立金というのは、いわゆる現金の裏づけがあるものですが、下の当期未処分利益というものの中に、積立金相当額と目的積立金相当額があります。それは参考6のほうを見ないとわからないのですけれども、そういう構成になっています。

【村松委員長】
 例えば病院が訴訟されたというようなときに、費用がかかりますね。その費用は当該法人の持っている資力の中で対応するわけですか。

【事務局】
 原則はそうです。原則という意味は、法人化後に起こりました医療訴訟等にかかわるものについては、各法人で保険等も入っていますので、それは法人が負担をします。ただ法人化前のものについては、一部引き継いでいるところがありますから、それは各大学にバラバラと入っていますけれども、原資としては法人化前のお金が引き継がれております。

【村松委員長】
 項目でいうと、どういうところに入ってくるのですか。

【事務局】
 例えば、訴訟等が起こった際に弁護士費用でありますとか、訴訟の一連の経費が発生するわけでございますけれども、法人化後、法人化以前にかかわらず、損益計算書の中に、例えば費用につきましては、弁護士費用とかそういうものが、医療が中心であれば、診療経費のところに内訳として出てくるといったところでございます。この参考1をごらんいただきますと、全体の表でございますので、内訳はわかりづらいわけでございますけれども、例えば費用については、医療訴訟であれば診療経費にといったところでございます。
 そして、参考6の先ほどの資料をごらんいただきたいわけでございますけれども、当期未処分利益のところに、承継剰余金の未使用額といったものが、上から2番目に17億円ほどございます。こちらが、法人化以前の国の時代における訴訟案件等につきましては、ある意味、国としての責任を負うということで大学に承継剰余金という形でお金を預けていたところでございまして、これは各大学がいろいろ訴訟案件等で使ってきたわけでありますけれども、そういったことについても今回は最終的には収益化をしております。これについて、翌期にまた繰り越しをするかどうかというのは、今後、財務省との判断もあって協議をしていくといった状況です。

【﨑元部会長】
 退職金の未使用はどこに入るのですか。

【事務局】
 参考の1でごらんいただきますと、2枚めくっていただくと、損益計算書の概要がありますが、まずそこの期末不要額等のほとんどですけれども、約700億円に入っています。それから貸借対照表上は、その左側ですけれども、純資産の中の、利益剰余金の中の、当期未処分利益の中に入っています。

【村松委員長】
 準備しておくというようなことにならないですか。

【事務局】
 退職手当につきましては、第1期の間ずっと運営費交付金で毎年度配分していたのですけれども、結局使えなかった額というのがあって、いわば退職者がいなかったというものについては、1期の精算をする際に、最終的に国庫納付という形の処理になり、2期に引き継ぎません。それが期末不要額等というふうにはしていますが、退職手当未使用額が入っているところです。

【宮内部会長代理】
 今の期末不要額等というのは、参考資料6でいくと未処分利益の内訳の中の、未使用額730億4,600万円と17億5,800万円の合計額ということですね。

【事務局】
 そうです。

【宮内部会長代理】
 次期中期目標期間への繰越申請額というのは、基本的には翌年度において使用予定のものか何かに限定されているのですね。

【事務局】
 第2期中期目標期間で、ということです。

【宮内部会長代理】
 第2期の第1次年度ではないのでしょうか。

【事務局】
 必ずしもそうではありません。
 参考1をごらんいただきますと、表紙をめくっていただくと、貸借対照表のうちの、まず資産が出てまいります。特に平成21年度に特徴的なのは、固定資産のところで建物が非常に増えている。3兆3,189億円ですけれども、これは補正予算ですとか、さまざま、あるいは、それこそ目的積立金で建物を建てたというような額が積み上がりまして、こういった額になっています。同様に、工具器具備品も、設備ですけれど、これが1,452億円増えて1兆4,146億円となっており、これも同様の理由です。トータルで、3,000億円ぐらい資産が増えて、9兆5,542億円になっております。
 めくっていただいて、裏が貸借対照表の中の負債と純資産ですが、先ほどごらんいただきましたけれども、負債のところでまずごらんいただきますと、固定負債で資産見返負債と、これは運営費交付金ですとか授業料などで、固定資産を取得した場合には、負債に計上されるわけですが、これも1,221億円増になっています。それから、センター債務負担金というのは、法人化前の附属病院の整備にかかる借金の償還によって減っていきます。毎年減少します。長期借入金というのは法人化後の病院の債務ですけれども、これは新たな借入額が償還額より多いため増えています。
 それから流動負債のところをごらんいただきますと、ここが今年度、非常に特徴的なのですけれども、運営費交付金債務がゼロになっています。要は債務について収益化をして、積立金にいくので、ここはゼロになります。これは初めてこういうことになるわけです。また、建物を建てたなどということもありますので、未払金が非常に増えています。
 それから純資産のところでごらんいただきますと、資本剰余金が非常に増えているわけですが、これは施設整備補助金ですとか、目的積立金で施設をつくりますと、ここにチャージされますけれども、これが非常に増えています。それから利益剰余金の中で、会計上の現金が残っていない積立金が非常に増えています。それから当期未処分利益は、先ほどちょっと議論になりましたけれども、これも非常に増えていますけれども、要素としては参考6にあるようなことで、これも例年にないイレギュラーな要素が入ってきているということになります。
 それから損益計算書をごらんいただきますと、教育経費、研究経費は、増えてございます。それから診療経費も相当伸びていますが、これはその下の附属病院収益とある意味見合いの経費ということです。それから、経常収益のほうをごらんいただきますと、運営費交付金収益が減っているということと、病院収益が増えているということと、補助金が倍ぐらいになっています。これはちょっと我々も分析してみないといけないなと思っていますが、相当増えているということで、経常利益のトータルでは336億円です。その下の臨時損失、臨時利益で期末不要額等、本来この期末不要額というのは臨時利益に入れてもいいのでしょうけれども、わかりにくいので、これは別建てしていますけれども、先ほど申し上げたような理由で748億円というのが、これは例年にない、期末処理特有のもので上がってきています。当期純利益が1,043億円で、目的積立金を286億円取り崩して当期総利益は1,329億円になっているというのが概要です。

【宮内部会長代理】
 ちょっと確認したいのですが、資料1の2ページ目の、一番下なのですが、全ての大学における期間進行基準の適用事業について、学生収容定員超過・未充足の大学において、期間進行により相当額が運営費交付金債務として残っており、かつ、その残額の運営費交付金債務全額が収益化されていることを確認したというのは、結果的には貸借対照表には残っていなくて、先ほどの期末不要額の中に込み込みで入っちゃうということですか。

【事務局】
 運営費交付金債務として残っているのではなくて、最終的には期末不要額のほうに全部入るということです。一定の考え方のもとに、そういった数字を定めていただきまして、本来であれば、それ以外は期間進行で収益化するわけですけど、その部分を各大学は使ってしまわずに、ちゃんと当期未処分利益のほうに振りかえをしていただいているということが確認をとれているということでございます。

【﨑元部会長】
 それはどの時点での超過、充足率というのを考えているのですか。

【事務局】
 5月1日現在です。

【宮内部会長代理】
 未払いでずっと債務に上げておいて、中期目標期間中に積み上げた債務を全部ここに吐き出したってことですよね。

【金原委員】
 資料1の2ページの、例の収容定員に満たない大学があると言いましたが、これと参考6の資料の関係はどこで確認するのでしょうか。例えば参考6の一番右の国庫納付予定額、これにつながる話だと思うのですけれども、何かペナルティーがあると思いましたが。

【事務局】
 最終的には国庫納付につながります。これは運営費交付金の未使用額というところに入っております。
 運営費交付金未使用額の内訳を書いたほうがわかりやすかったのかもしれませんけれども、この中に、定員未充足のものとか、それから一番大きいのは退職手当の不要額で、これは国庫納付をします。それから個別のプロジェクト的なもので、もうそのプロジェクトをやめたものは国庫納付なのですが、いろいろ事故等があった結果、次期においてもそのプロジェクトを行うというものは次期に繰り越すというものもあります。

【宮内部会長代理】
 それもとりあえず期末不要額の中に一旦入れて、繰越申請の中に含めるという形になっているのですね。

【事務局】
 そうです。

【宮内部会長代理】
 そのまま未払い、債務に残しておいたほうがわかりやすいような気もするのですが。

【事務局】
 そうですね。そこは法律上のことです。

【舘委員】
 参考6の資料の目的積立金ですが、下の繰越理由の、法人の責めに帰せない理由というのは何でしょうか。

【事務局】
 例えば、いわゆる事故繰越的なものでございますけれども、契約がしてあって、支払いまで完了していれば、すべて業務として終わっていたわけですけど、支払いが完了していないとか、業務自体がまだ完了していないというようなものについて、これを国庫納付してしまうと、支払い財源がなくなってしまうので、繰り越す必要があるようなものについては、法人の責めに帰せない理由によるものということで整理させていただいております。その上段の概念については今回繰り越しをするに当たって、私どものほうから、ある程度、大学のほうに、こういう方針でということを示させていただいたわけでありますけども、少なくとも次期、第2期の中期計画に、第1期からの繰り越しをするのであれば、プロジェクトあるいは具体的な使途といったものをきちんと書き込むようにお願いしてございまして、そういった使途が限定されているものが、この上の上段にかかっていると、こういったものでございます。

【舘委員】
 お金が現実に残っていて、法人の責めに帰せない理由というのは、既にもう支払いが決まっちゃっているものということでしょうか。

【事務局】
 支払いが残っているとか、業務が完了してないということです。また前払いは、例えば建物を建てるときに、その4割分だけ払ってしまっているので、現金がないということであります。

【舘委員】
 何となく、目的積立金という理由からいくと、目的があるので積み立てているはずなので、どれもほんとうは、中期計画に記載しているプロジェクトに従っているという理由ではないのですか。その中で既に、この期で切ると今後支払いが発生するものと、支払いが決まっているものと、一部支払っているものという、違うジャンルが並んでいるような気がするのですね。理由が、非常に消極的に聞こえます。目的積立金ですから、これは要するに、目的に従って積み立てられてきたのだというのがわからないと、素人が見ると、何となく残っているのではないかと見られます。

【事務局】
 そういう意味で見ますと、目的積立金と目的積立金相当額と、下の欄を見ていただきますと分かれているわけですけども、目的積立金というのは、ある意味、業務が限定されているというふうに思っていただいても結構でございます。ただ、そのうち、全く業務がまだ行われてないものが、そのうちの大型プロジェクト等の100億円程度のものになっていて、業務が決まっているうち、本来であれば、その期中に完了すれば良かったわけですけども、完了しなかったものが78億円ほどあって、もう1つは支払いだけ終わっているので、何て言うのでしょうか、現金として国庫納付できるものがないというのが99億円であります。

【舘委員】
 だとすれば、全部が、中期計画の大型プロジェクトとかそういうもので、目的が決まっているというのが理由ですよね。その中で、支払いの時期で切ったときの支払いの違いを言っているだけじゃないかという感じがします。そうだとしたら、そのように表現しないと、目的積立金による理由で、国庫納入しないのだということにつながらない。表現の仕方がちょっと気になるということです。

【宮内部会長代理】
 金額的には、278億7,700万円というのは、上の図でいくと、もう既に過去5年間の中で、既に目的積立金として計上されてきたものという概念になるので、これはみんな大型かどうかはともかくとして、プロジェクトとして認定されたものだということですね。認定されたもののうち、まだ実行してないというのが、一番上の大型プロジェクト事業によるものというものの中で、その下は実行しているけれども、まだ完成してないということですね。完成してしまえば資本剰余金にいったりしているのだけれども、まだいってないからここに宙ぶらりんに残っていると、そういうことですよね。だから、やっぱり確かにこれでやると、法人の責めに帰せない理由というのは何なのかという感じがするのですけどね。

【舘委員】
 ただ、実態は私が経験したところによると、目的積立金といいながら目的が抽象的なのが多くて、あるいは前の中期計画中にもせっかく明確に書いてあるのに、あいまいにするという、中期計画の書き直しなんかされたところがあるのですね。そうすると結果的に、そこのところを強く出せないことがあるのかも知れないのですけど、しかし仕組みとしては、はっきりそうしておく必要があります。それから今、大学に求められたとおっしゃったけど、やはりきちんとそこのところは大学に求めておかないと、残せないことが起こっちゃうと思うのですよね。ですから、その辺をちょっと注意してください。

【事務局】
 はい。

【宮内部会長代理】
 そういう意味では下の目的積立金相当額の中に、法人の責めに帰せない理由によるものというコンセプトが入っちゃっていて、大丈夫なのかという気がするのです。もう使ってしまっているよという話になってしまうと、おかしくはならないのだろうかと思います。

【事務局】
 ですから、非常に承認から使う期間が限られているところですね。実際、平成21年度は承認があったのは今年に入ってからです。

【宮内部会長代理】
 そうですよね。だから逆に言うと、今年度出てきたものについて、今年度の財源をもう使っているという概念が果たしてあるのでしょうか。

【事務局】
 21年度発生した財源のうち、あらかじめ使途限定をしたものについてはプロジェクトということで整理をしているわけですけれども、ですから21年度に発生する利益というものを、あらかじめ使途を限定して第2期の計画に書き込んでいただいているのですね。それで、そういった繰り越しの部分がここに137億ほどあるのですけども、もう1つのほうは、これは逆に言いますと、ほんとうに業務が完了しなかったものということでございます。

【宮内部会長代理】
 それは、上のほうでは、全額充足はできないということですか。

【事務局】
 そうですね。

【宮内部会長代理】
 今年度の利益を引き当てに、既に使ってしまったという金があるということですよね。

【事務局】
 使ってはいないのですけれど、使う予定があるということです。プロジェクトで書いているということですね。
 例えば2期の計画を立てるときに、今年度発生する利益もあてにして、そのプロジェクトが次期の計画に書かれています。

【金原委員】
 大規模改修なんかがありますと、どうしても工期が長くて、翌年度にまたがるという場合なんかも、大型プロジェクトの事業によるものですか。

【事務局】
 手をつけてないものについては、大型プロジェクトに入ってきます。

【宮内部会長代理】
 プロジェクト自体手がつけられてないと、一番上に入っていて、いくらか手がついちゃうと下のほうにいくという意味です。

【事務局】
 はい。そういう意味です。

【金原委員】
 あと、経費の節減で努力した結果、剰余金が出ています。それは具体的にはどのところに入るのでしょうか。

【事務局】
 今回で言うと目的積立金相当額といったものが、全体がそこに入ってきます。

【宮内部会長代理】
 だからすごく難しいのは、本来は経営努力認定を行ったものが目的積立金になりますと言っているのだけど、努力認定は例の90%との関係でいくと、90%をクリアしていない部分については努力が足りなかったと言えるけれども、それ以外のものは、結果的に努力されたのだという整理の中で考えざるを得ないという状況で、行われているというふうに言えるのかもわからないです。

【﨑元部会長】
 今の参考6の、下のほうの表現の問題は、どう扱いますか。確かにこれはわかりにくいです。でも今の議論を聞いて、何かわかったような気になりましたが、こういうふうに書かないといけないということが決まっているのですか。

【事務局】
 これは特段そういうものはございません。

【﨑元部会長】
 そうすると、要するに、ここの専門部会で特に意見があるかないかということなのですが、その部分を意見にするか、しないかということについては、どう考えたらいいでしょうか。

【事務局】
 参考6はあくまでも、今回のこの部会における資料というかたちです。
 中期計画に記載の大型プロジェクトは未着手ということですけれども。その下は、中期計画に記載してはいるけれども、一部着手しているとかですね。ただ法人の責めに帰せないというのは、ちょっと表現として、財務省といろいろ議論している中で出てきている言葉なものですから、これはちょっと残したいとは思いますが、抽象的であるにせよ中期計画にあることは間違いないです。

【﨑元部会長】
 中期計画の目的積立金とか、そういう相当額とかいう話まではあるけれども、この内訳の説明は出てこないですね。今の議論は、内訳の説明をするところはわからないという話ですね。

【事務局】
 そうですね。

【﨑元部会長】
 目的積立金あるいは相当額ということで、各法人に財務省との協議もあるのですけれども、どういうふうに説明しておられたのか、何か資料はありますか。

【事務局】
 各法人に繰り越せるかどうかの説明書ですか。

【﨑元部会長】
 そうです。

【事務局】
 それは去年の2月に各大学に配っています。

【﨑元部会長】
 配っているのですか。

【事務局】
 はい。おおむねその中期計画に書いてある大型プロジェクト事業であって、それでいくつか要件があるのですけれども、それを文部科学大臣がきちんと認識しているということとかですね。学内でも、そこはきちんとオーソライズされていることであるとかですね。2、3条件を付して渡していますので、大体大学もそれに沿って、繰り越しに向けて今回準備をしてきたと思います。

【﨑元部会長】
 それで、個々でやることと財務省協議との関係なのだけれども、そういうふうに各法人に示達されて、上げてきて、事務局がチェックして、それを我々が意見があるかどうかと聞かれているのだけれども、ただその後に財務省協議があって、この数値は動きますよということならば、ここでは何を見たら良いのか。

【事務局】
 財務諸表自体の数値が動くということではありません。最終的に、その繰り越しで持っていける額について、若干の変動が生じる可能性があるといったところでございます。

【﨑元部会長】
 今日、2つ意見が求められているのですけれども、財務諸表の承認ということに関しては、すべての財務諸表を見るわけにはいかないけれども、一応、各法人が出してきたものがあります。特に積立金の処分に関しての数値が動いたら、何が動くのですか。

【事務局】
 参考6で、ここに示しているとおり、承認申請額というのが大学から出てきているわけですけれども、これがそのとおり、認められるかいかんによって、国庫納付予定額が変わってくるといったところです。

【﨑元部会長】
 それは、戻って財務諸表には影響はないのですか。

【事務局】
 財務諸表には影響はないです。

【宮内部会長代理】
 最初のところの剰余金処分は財務諸表の中には入ってないのですか。

【事務局】
 入っていないです。承認の後です。

【宮内部会長代理】
 そういう意味では、参考資料でさっきいただいたものの中の4と8については、今の段階ではわかるのだけれども、9の剰余金の使途の承認についての意見に関しては、目的積立金の使い道について、これでいいかどうかということの承認であり、剰余金の使途の承認については、今回のテーマにはならない。

【﨑元部会長】
 32条2項という、これは当然わからない。2項は、「前項の規定による承認をしようとするとき、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない」ということで、前項32条の本体が問題だから。「財源に充てることができる」。

【宮内部会長代理】
 32条の2項は実際に積立金を処分するときの話ですよね。

【事務局】
 はい。財務諸表を承認して、積立金の処理をして、それを国庫納付するか繰り越すかということです。

【宮内部会長代理】
 そうですよね。目的積立金になってから後の実際の使い道の話ですね。

【事務局】
 集めたときに繰り越すかどうかということですね。期末の処理だけちょっと違っていて、当期総利益で一旦目的積立金は従来ですと、目的積立金か積立金かに分けるのですけれども、最終年度に限っては、目的積立金というプロセスを経ずに積立金という中に全部入れて、積立金を2つに分けるわけですね。国庫納付するものと、繰り越すもの。その処分という意味ですね。

【宮内部会長代理】
 それを処分と言っているわけですね。

【事務局】
 はい。

【宮内部会長代理】
 ということは、今回まさしくやっている作業そのものだということですね。

【事務局】
 はい。この参考6がそうです。本来ですと、財務省とも全部調整済みでお諮りをしないといけないのですけれども、見込みとしては国庫納付をする額は、繰り越し申請がないものはもうしようがないのですけれども、申請があった中で若干繰り越せないと言われそうなものが出てくると、金額的にはどれぐらいになるかです。特に目的積立金相当額とされている中で、大型プロジェクト事業によるもの、法人の責めに帰せない理由によるものというのがあるわけですけれども。180数億円のうち、10億とか20億とかそれぐらいの額がさまざまな理由で繰り越せないというものが出てくると思いますが、今日の時点ではまだ最終調整がついていないので、大変は申しわけないのですけれども、調整がつき次第、またご連絡をさせていただきたいと思います。私どもとしては、基本的に繰り越せるようにという方向で、当然ながら議論はしています。

【金原委員】
 あと毎回マスコミでも書かれますけれども、現金の裏づけのない積立金について、20年度までに1,900億円ほどありますが、この数字はこれからもずっと引きずっていくのでしょうけれども、増えていくのですか。

【事務局】
 これはずっと増えていきます。

【金原委員】
 引きずっていくわけですね。

【事務局】
 結局、国庫納付できませんので、基本的には増えていくのですが、増えていく大きな理由が、附属病院の債務償還の関係なのです。要するに、償還する金額と減価償却の額に毎年タイムラグがあるということで、タイムラグ分が利益ということで出てくるのですが、当然上限はあります。4,000億円ぐらいです。それは法人化時の評価額と債務償還額との差ぐらいのところで上限になるのですが、基本的にこれからずっとしばらくは増えます。

【金原委員】
 非常に裕福だというような誤解を受けそうな、新聞にもよく書かれましたけれど、この辺が説明の仕方によって、一般の方が全容を知るわけではないですけれども、誤解されてしまう。

【事務局】
 公表資料の中でも、ここは注書きなりするようにして、現金があって自由に使えるという、いわゆる埋蔵金ではないのですというのは注意するようにはしております。

【﨑元部会長】
 タイムラグというのは、5年間償還猶予というものですか。

【事務局】
 病院の場合は減価償却が大体49年とかそんなものなのです。毎年49分の1ずつ減価償却していきます。

【﨑元部会長】
 すぐ発生するのだよね。

【事務局】
 償還はですね、そうですね、おっしゃった25年で返すわけです。そうすると、25分の1ずつ返していきますが、その差額分が利益という形で出てくるのですけれども、現金はもう償還してしまうから、ないという利益です。

【﨑元部会長】
 それから、細かい話だけれども、法人化する前の授業料前納分をこの期末に処理している大学が全てなのですか。

【事務局佐】
 両方ございます。例えば、17年で処理してしまった場合もあります。それは大学の資金繰りの状況に任せざるを得ません。

【宮内部会長代理】
 切りかえのときのカットオフが、うまくいかなかっただけです。

【﨑元部会長】
 くれればよかった。国庫にとられた。ほかにいかがでしょうか。一応時間が来たのですけれども、今の説明は宮内委員が詳しいですが、よろしいでしょうか。

【宮内部会長代理】
 1つだけ私がわからないのは、中期計画の中に記載されているプロジェクトにあるものについては、目的積立金で良いということですが、そのときに、それは今中期計画、現在進行形の中期計画の中に全部入っている、全部というか、そこに触れられていないとだめで、翌期の次期中期計画の中に埋め込みたいのだけれどもというたぐいのものについては、目的積立金の中にはもう認めないという状況になっているんですか。
 それとも、次期に繰り越すものもひっくるめて、中期計画に記載される、ないしは予定のものというコンセプトがそもそもあり得るのか。もともと中期計画で認められているものとの関係でいくと運営費交付金が来るものの中で、まだやらないようなものについては出さないよという考え方が当然あるのだろうと思うのです。計画を立てて、その中で自助努力して稼いで、だから、それを今回のプロジェクトの中に入れていくという考え方もあるし、稼いだものを次期計画の中に当て込む財源として確実なものにしてから計画を立てたいという財政方式をとる法人もあるかと思うのですけれども、その辺のところの切り分けが私の頭の中ではずっとわからないままで、中期計画に記載されているというコンセプトの中でまざり込んで、実際にはどういうふうにやられているのだろうか、というのがわからなかったのです。

【事務局】
 現実には、大学によってまちまちな部分は確かにあるわけですけれども、例えば、第1期に積み立てた目的積立金として既に財源確保ができているものについても、これを翌期に繰り越すときに当たっては、ちゃんとプロジェクトなり、その使途を限定してやっていただいているところでございます。
 ただ、そのうち例えば、それが10億円の事業で、今までためていた目的積立金では8億円しかないといった場合については、今期の発生した21年度の利益を当て込んでいる場合もございますし、逆に言うと、その22年度以降の自己努力によってその不足分を補ってやっていこうと考えているところもありますので、そういう意味で言うと、ちょっといろいろ混在をしている部分はないとは言えないと思います。
 ただ、いずれにしましても、目的積立金を財源にする、あるいは今回発生している当期の目的積立金相当額を財源にするものにつきましても、翌期に繰り越すものについてはちゃんと中期計画に書いてあることが前提になっております。

【宮内部会長代理】
 卵が先か、鶏が先かのようなことで、ずっとあります。

【﨑元部会長】
 現場は、それは結構難しい話だと思う。だから、それだけ予定して、要するにお金を予定して目的積立金化して、長期計画に書き込むでしょう。現場では財務省との折衝がどれぐらい確実なのかがわからないから、それができない部分がたくさんあります。

【事務局】
 それは我々も困っていたところなのですけれども、財務省と議論をしても、その場にならないとわからなく、今回初めて繰り越せるものの要件的なものの事例ができるわけです。だから、今後は今回の事例を見て、判断いただけると思います。結果的には、相当部分は繰り越せることになりそうです。

【宮内部会長代理】
 ですから、計画に書いちゃったら、それを執行していないと、目標を達成していないと、評価のほうから言われてしまう。だが、そこに書いていないと剰余で出たものをそこには持っていけないという、非常にジレンマに陥る構造になっていて、それは一体どう解決されるのか、思い切ってやるしかないという扱いなのか。

【村松委員長】
 最初にスタートした独立行政法人が60ほどあったと思うのですけど、そこは中期目標期間が短いので、経験があるわけです。

【事務局】
 ですが、現実問題は、独法については年度を越える目的積立金をほとんど認められていない。もともと目的積立金はあまりなかったのですけど、期をまたぐものについては、ほとんど実績がないのです。

【村松委員長】
 国立大学法人というのが、非常に特別なところがあるという主張はやはりあるということなのでしょう。

【事務局】
 そこは財務省の中でもいろいろな異論はあるみたいです。大学については、現金があれば、逆に努力をしたのかという考え方をとっていいのかという議論はあるらしいのですけれども、それを認められるもの、認められないものと分けていくと、大学も面倒くさいから、全部使ってしまうのではないかと思うのです。そうすると、法人化前と結局変わらないことになりますから、むしろ独法制度の趣旨を体している運用というのは大学のほうだろうということです。独法でも特に研究開発関係の独立行政法人などは大学と近親性がありますので、相当不満は出ていると聞いています。

【宮内部会長代理】
 努力認定しないという、入り口がシャットアウトされているのが、独法の実態です。だから、こちらがとりあえず90%をクリアしていると、努力はしていたのだという世界の中に落とし込めたというのは、文科省の成果だと私は高く評価しています。

【事務局】
 ただ結果的に、それでほとんど固定資産というか、施設設備に充てているので、その分での国庫負担を抑制しているという効果はあるので、長い目で見れば、国益にかなっていると思います。

【﨑元部会長】
 それが隠れていることを主張すべきです。

【事務局】
 もちろん、しています。

【﨑元部会長】
 特殊法人はみんな、そういうふうに使っている。それはだから、将来の文科省の施設整備費をかなり軽減しているのだと思います。

【事務局】
 そうだと思います。

【宮内部会長代理】
 財務省からすると、先に勝手に使うなという思いは多分あると思います。

【事務局】
 特に21年度は補正予算もあったりして、目的積立金と合わせて、1,000億円を超えて使っています。いろいろな見方はできると思いますが、我々としては絶対やらなければいけない老朽化とか更新とか、国ができなかった部分を今回は行いたいということで、別に余っていたとか、駆け込みで使ったとかいうことでは、実態は違うと思っているのです。

【金原委員】
 大規模改修の予算の内示が大体年末遅いのです。そうすると、こういった状況で、その年度内にどうしたってできるわけがないのです。やはり、そうすると、目的積立金に入れるしかなくなります。

【事務局】
 大規模改修はそんなに遅くないとは思うのですが、財源がとにかく全然足りないので、大学からの申請でほとんど新規はできなくて、補正予算で耐震化とか、最近ある程度できていたというぐらいのことですので、福利厚生施設などは補助金をほとんどもらっていません。その分をかなりこの目的積立金でやっているというのが実態だと思います。

【﨑元部会長】
 そんなにたくさんはできないです。ちょっとしたものを建てる程度で大規模改修はできないです。

【宮内部会長代理】
 そうですよね。だから、逆に言うと、備品のところが増えているというのは、大規模までは手をつけられなかったという実態をあらわしているのかもわからないです。

【事務局】
 そうですね。ただ、1,000億円以上を使っていますので、今回については、21年度は結構建物を建てているところもあると思います。

【宮内部会長代理】
 あと積立金の問題ではなくて、前から気になっているのが、運営費交付金債務が今回きれいになくなったという関係でいくと、寄附金債務がかなり多いです。これがどんどん増えていくようなパターンになっていくと、寄附をした人たちの意思を全く無視し続けているのかという社会的な批判が出てくる可能性があるので、この辺は文科省がどうこうするという話ではなくて、各法人がそれぞれの方針を明確に持ってやっていかないとまずい、というたぐいものになるのではないかという気がするのです。

【事務局】
 寄附金債務自体は、法人化前もこの程度はありました。2,000億弱ぐらいはあったのですが、毎年変動があるのです。どういう寄附目的かにもよるのだと思うのです。何か建物をつくるための寄附というのであれば、それは建物をつくらないと、何だとなりますけれども、ある大学のこの分野の教育、研究の充実のような形であれば、むしろ基金的に置いてもらって、今は運用益は出ませんけれども、運用益でやっていくというやり方もあるでしょうし、ここは寄附目的によると思います。いわゆる昔で言う委任経理金ですね。

【﨑元部会長】
 それはおっしゃるとおりであると思います。

【事務局】
 国立大学法人全体でも2,000億円しかない状況です。
 ハーバードとかに比べれば、とても少ないです。やはり寄附金が欲しいというのは非常に強い要望があるのです。積立金だとどうしても、繰り越しが悪くなっちゃうようなことがあるので、自由に使えるお金、繰り越せるお金の要望が強くて、大学もそういう名目でおそらく寄附を集めているところも多いと思います。

【﨑元部会長】
 何か起こったときのバッファーというのはほとんどないです。病院で何か事故が起こった場合は、文科省に助けてくださいと言うわけにもいかないし、銀行から借りられないし、現場はそういうところである程度工夫するしかないです。

【宮内部会長代理】
 財政的には多分そうなのでしょうけれども、それを負債に上げておくというのはどうなのか。負債というのは、要するに返すお金ですから。

【﨑元部会長】
 そうなのですか。債務をまだ履行していないというお金ではないですか。

【宮内部会長代理】
 いいえ、債務として特定されているものでなければ、負債にならないです。だから、通常、寄附金というのは、現金収入で入ってきたときに収益に上げなさいというのが、会計のゼネラルルールですから、これを負債に上げているというのは独法の会計の特殊なやり方であることは間違いないです。これ自体は、当たり前の会計処理ではありません。だから、独法、国大法人は社会に対する債務と考えるか、何と考えるかはともかくとして、一定のやるべきものが決まっていると、明確に決まっているというたぐいのものであります。それが長い期間、それがずっと実行されないという状態が適切なのかという問題は、多分違った観点から言われるのではないかと思います。
 ただ、現実の今の状況の中で、これを収益に上げて、全部剰余金のほうに行ってしまうと、剰余金に色がないから、返せという話になって、民間から寄附いただいたものを国がインターセプトするのかという話になりかねないという問題があるのも絡んで、ここでためている状況が起きていると思います。

【﨑元部会長】
 ただ、あまり細かい議論をしても仕方がない。例えば、ある法人に10億円あったとすると、例えば上の5億円ぐらいは常に目的に応じて使っているのです。新たに入ってきたものと、出ていくものが、たまっている部分は、この数字としては出てくるのだけれども、その年度、年度にはその目的を遂行してお金は動いている、という理解です。

【宮内部会長代理】
 そういう意味でいくと、損益計算書は562億円、寄附金収益が上がっています。これは固定資産等に行っている部分については除かれていますから、キャッシュフローに出るのですか。

【事務局】
 収入はでています。

【宮内部会長代理】
 寄附金収入は704億円ですか。

【事務局】
 704億円です。

【宮内部会長代理】
 そうですよね。だから、704億円がキャッシュフローで入ってきて、計上されているけれども、負債のほうに2,075億円あるという状況ですから、上のほうが入れかわっていますよというのには、ちょっと理屈としても数字的に合わないです。公益法人などでも寄附をもらったのは、正味財産に入った上で、色分けするというやり方が通常、純資産のほうで色分けするというやり方がとられているけれども、国大法人の場合には、そこの色分けができないです。そのことについては、やむを得ない部分があると思います。

【﨑元部会長】
 ありがとうございます。時間を大分超過しているのですけれども、いろいろご意見をいただきましたけれども、財務諸表等の承認、それから中期目標期間終了時における積立金の処分、この2点に当たって、先ほど部会と分科会の話がありましたが、この部会の決定が分科会の決定になるという意味で、規則を見ていただいたのですけれども、文部科学大臣に対して、意見を申し出ることができることとなっていますけれども、また目標期間終了時における積立金の処分に当たっては、今後、財務当局との協議により、繰り越しの金額が変更となる場合が想定されるというふうにご説明がございました。
 ここの審議ではいわゆる正式な意見はなしということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【﨑元部会長】
 それでは、そのようにさせていただきます。
 今後の日程について事務局から説明をお願いいたします。

【事務局】
 本日の審議の内容につきましては、次回の総会が6月28日に開催される予定になっていますので、その場で本日の状況について報告いたします。それ以外に、また必要に応じて本日の専門部会を開く場合もあるのですけれども、それにつきましては後日改めて連絡を差し上げて日程調整をさせていただければと思っております。

【﨑元部会長】
 それでは、本日の議事はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

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高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)