資料2 今後の産学官連携の推進に係る主な論点(案)

1.今後の産学官連携の在り方についての基本的な考え方

【課題】

・ これまでの産学官連携の推進のための様々な施策やその成果・課題を踏まえて、今後の産学官連携の在り方についての基本的な方向性をどのように考えていくべきか? 

2.イノベーション創出に向けた産学官連携の深化

【現状・基本認識】

・ 大学等における民間企業からの研究資金の受入額は、共同研究については、平成15年度から平成20年度にかけて大幅に増加しているが(平成15年度152億円→平成20年度339億円)、受託研究については、平成16年度をピークに減少している(平成16年度127億円→平成20年度113億円)。また、共同研究1件当りの受入額は、平成16年度からほぼ横ばいとなっている(平成16年度246万円→平成20年度249万円)。(参考資料1「大学等における産学官連携の現状について」)

・ 大学の特許出願件数、特許実施件数とも着実に増加しているものの、社会ニーズを踏まえた研究テーマの設定支援、有用な技術の評価・選定、権利取得・管理、企業への新しい事業コンセプトの提案など、大学の知的財産を産業界へ効果的に移転させるための総合的な機能は未だ弱い。(「第3期知的財産戦略の基本方針」知的財産戦略本部)

・ オープン・イノベーションの進展等に伴う世界的な知的財産獲得競争への対応として、共同研究における知的財産権の帰属の在り方、特許関連経費の負担の在り方等、大学発のイノベーションを加速する知的財産システムに関する総合的な検討を行うことが必要。(「知的財産推進計画2009」知的財産戦略本部)

・ 権利活用の際、関連する権利をばらばらの権利者が保有していると活用が困難であることもあり、知的財産(権)をグループ化すべくパテントコンソーシアムや組織を超えたパテントポートフォリオ、パテントプールの構築等の検討も場合によっては必要。(「知的財産戦略(2009年)」総合科学技術会議)

・ 大学等発ベンチャーの累計数は着実に増加しているが(平成19年度1775社)、各年度の設立件数は平成16年度の245件をピークに減少傾向となり、平成19年度の設立数は131件とピーク時の半数程度となっている。(参考資料1「大学等における産学官連携の現状について」)

【課題】

・ イノベーションの促進に向けて、大学等において、基礎から応用までを見通した長期的な視点に立って、民間企業との共同研究・受託研究等を推進していくためにはどのような方策が必要となるか?

・ 産学官が有機的に連携して基礎研究から事業化等までの活動を推進し、持続的・発展的なイノベーションを創出するため、産学官連携拠点の形成を支援していくことが必要ではないか?

・ 大学等における特許等知的財産の戦略的な取組をいっそう推進するため、特許関連経費の減免措置(アカデミック・ディスカウント)の拡充等の支援策が必要ではないか?

・ オープン・イノベーションの進展に対応して、大学等における権利の活用や研究の活性化を促進するために、パテント・コモンズや組織を超えたパテントポートフォリオの構築等の支援が必要ではないか?

・ 特定の研究分野(例えばライフサイエンス等)に係る産学官連携体制の充実を図るためにはどのような方策が必要となるか?

・ 大学等発ベンチャーの創出、創出後の発展を支援していくためにはどのような方策が必要となるか?

3.国際的な産学官連携活動の推進

【現状・基本認識】

・ 経済のグローバル化が進展するも、我が国の特許の海外出願率は欧米の1/2以下にとどまっているなど、未だ海外展開に対する意識が低い面もある。(「第3期知的財産戦略の基本方針」知的財産戦略本部)

・ 基本特許につながる可能性の高い発明を多く生み出す大学等における海外出願数は増加してきているものの、その将来の有用性から考えるとさらにグローバル出願率を高めるとともに、特に将来の発展可能性のある発明の海外出願ができるような支援の促進、さらに権利行使や紛争に備えた対策にも配慮しておく必要がある。(「知的財産戦略(2009年)」総合科学技術会議)

・ 国際的な産学官連携活動の推進に向けて必要な人材の確保や育成、必要な英文契約書の書式整備、大学等が保有する知的財産を海外にライセンスする際の参考となるガイドラインや事例をまとめる等の国際的な産学官連携活動に係る体制整備を支援することが必要。(「知的財産推進計画2009」知的財産戦略本部)

【課題】

・ 大学等と海外企業との共同研究・受託研究等の国際的な産学官連携活動を促進させていくにはどのような方策が必要となるか?

・ 優れた知的財産を国際的に保護し、わが国の国際競争力強化や技術流出防止を図るため、将来の発展可能性のある特許の海外出願を推進していくためにはどのような方策が必要となるか?

・ 大学等における国際法務機能の強化や紛争予防に向けてどのような支援が必要となるか?

・ 国際的な産学官連携活動を推進していく際に、大学等における機微技術、安全保障関連技術の管理体制の構築を支援していくべきではないか?

4.大学等における産学官連携体制の整備

【現状・基本認識】

・ 知的財産の創造・保護の早い段階から、出口戦略を念頭においておくことが、今後ともますます重要な課題であるが、一方で腰を据えて自由な発想で研究開発に集中することの重要さも指摘され、大学等における研究開発の取組方についての多様性をどのように受け止めていくかも今後の課題。(「知的財産戦略(2009年)」総合科学技術会議)

・ 大学等における知的財産体制については、今後とも国際的な活動又は地域における異分野融合等の特徴ある産学官連携戦略を十分展開できるような体制の整備について積極的に支援を行っていく必要がある。(「知的財産戦略(2009年)」総合科学技術会議)

・ 大学等とTLOとの一本化や連携強化が進んでいるが、産学官連携機能や技術移転機能が最適に発揮できるよう、その分野融合や学・学連携等の多様性も考慮したうえで更なる促進を適切に図っていく必要がある。(「知的財産戦略(2009年)」総合科学技術会議)

・ 我が国の研究環境の国際化や大学における研究支援者等の確保を支援し、大学が知的財産の活用に必要な人材を十分に確保することを可能にすることが必要。(「知的財産推進計画2009」知的財産戦略本部)

【課題】

・ 大学等における研究を活性化し、独創的、先進的な研究成果を生み出し、そこから見出された知的財産を企業等との連携等により活用していくためには、大学等における研究活動や産学官連携活動の支援体制をどのように整備していくことが必要となるか?

・ 国際的な産学官連携活動の強化や地域の特色を活かした地域貢献型の産学官連携活動の推進に向けて、知的財産本部等の体制整備をどのように支援していくことが必要となるか?

・ コーディネーターの活用など、個々の大学等の枠を越え、企業ニーズ・地域ニーズと大学シーズのマッチングや産学官共同プロジェクトの企画・調整を推進していくために、どのような体制整備の支援が必要となるか?

・ 大学等から企業への技術移転の促進に向けて、大学等とTLOとの関係、TLOの機能をどのように改善していくことが必要となるか?

・ 大学等において産学官連携活動を担う人材を育成し、確保していくためにどのような方策が必要となるか?

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研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)