大学知的財産本部審査・評価小委員会(第14回) 議事録

1.日時

平成19年7月6日(金曜日) 10時~12時

2.場所

学術総合センター1階 特別会議室101、102

3.議題

  1. 今後の大学等における産学官連携・知的財産活動の推進施策について
  2. その他

4.出席者

委員

 石田(主査)、飯田、石川、田村、馬場、本田、松重、三木、森下、渡部

文部科学省

 佐野研究環境・産業連携課長、吉田技術移転推進室室長補佐、井出研究環境・産業連携課課長補佐 他

5.議事録

(1)今後の大学等における産学官連携・知的財産活動の推進施策について

(2)その他

 事務局より資料2、資料3、資料4、資料5に基づき説明があり、委員による自由討議が行われた。その内容は以下のとおり。

【主査】
 それでは、ただいま事務局から説明をいただきまして、今後の大学等における産学官連携、知的財産活動の推進施策につきまして議論してまいりたいと思います。
 事務局から説明をいただきました資料5について、3.を中心に議論を進めてまいりたいと思います。
 なお、資料5の3.につきましては、4ページの(1)から5ページの(7)まで挙げてございます。
 先ほど簡単に説明がございましたが、(2)(3)につきましては既に昨年度、当委員会において議論されたところでございます。したがいまして、本日は、(2)(3)を除いた5項目について進めさせていただきたいと思います。時間配分としましては、それぞれ平均的には10分前後、重点事項で多少のずれはあると思いますけれども、そういうことで進めさせていただきたいと思います。
 最初に(1)大学の知的財産人材の育成・確保につきまして御発言をいただきたいと思います。お願いします。

【委員】
 よろしいですか。

【主査】
 どうぞ。

【委員】
 この人材の確保のところですけれども、基本的にはやはり、知財本部がどれだけ経済的な面で自立できるかというのが大きな要素になってくると思うのですが、1つはやはり今回の知財事業が来年終わるということで、非常にその後がどうなるのかということで、これはいい面では、自分たちで自立しなければいけないということでかなり健闘されているところが増えてきていると聞いていますが、反面で、全くその先が読めないので組み立て方がちょっとよくわからない。
 どういう形の事業が、あるいは継続なり、あるいはマッチング方式なりでてくるのであればそういう考え方もできると思うのですけれども、その辺が全く読めないので、自立の組み立て方が非常につくりにくいという声を聞いています。
 そういう意味では、支援事業が全くなくなるのか、それとも自助的な努力をベースにすればある程度のところが絞り込まれてあるのか、そろそろ方向性を示してあげないと、なかなか知財本部の中、あるいは大学の中での議論というのがちょっと進まないのではないかなという印象を持っています。
 それから、それに絡んで、知財本部の予算というのでかなり確保されているところが増えてきているらしいのですけれども、大阪大学のケースは、知財本部自身が予算を持っていて、その知財本部の中で繰り越しとかもできるようになったらしいんですね。
 そうすると、節約をかなりしているという話で、逆に将来性がないような特許は出さないとかいろいろなことをされているらしいのですけれども、予算はあっても、大学の経費の中に入っているために自由度がなかったり、予算ごとに大学に経費を出さなければいけないので、結果的にはほかの予算との兼ね合いで抑えられたり、本来1割を確保するという規定に大学内でなっていたとしても、なかなか使えないことがあったりすると聞いていますので、これはむしろやはり、知財本部の財源をある程度大学内で独立した形で見えるようにした方が結果的には自立が進むのではないかという気がしますし、逆にそこが十分担保されるのであれば、それに見合うような形でマッチング形式で、例えば次のポスト知財本部のときにお金をつけてくるということも、逆にやりやすくなるのかなという気がしています。
 そういう意味では、やはり知財本部の事業としてどれだけ、独立採算とまでは言いませんけれども、ある程度別の財布になるような形を追求していかないと、いつまでたっても本部のところの予算の枠の中で議論がされてしまうのではないかという気がしていまして、このあたりも人材育成の中で、そういう独自財源、独自財源とは言いませんけれども、やはり財源の明確化というのは少し打ち出してもいいのではないかなという気がしております。

【主査】
 ありがとうございます。
 ほかに、発言はございますでしょうか。どうぞ。

【委員】
 新たな展開という形で先ほどの5項目があるのですけれども、今の阪大の例もありましたように、まずこれまでの5年間の経緯の中で、実は各大学とも、まだ確固たる方針が立っていない、先が見えていないという状況が一番不安材料としてあるのではないかなと思います。
 だから、知財人材というのも重要なのですが、その前に、今まで進めていることを検証し、さらに確保できるようにし、不安を払拭していくのが、まず重要な視点としてあるのではないか。その次に、人材であるとか、発展というところがある。そうした認識を私としてはやはりつけ加えていただきたいと思います。
 それから、人材についても、例えば大学によっては法科大学院とかがありますので、そうしたところとの連携もつけ加えるべきでは。今までの経験を踏まえて、今後どうあるべきかというのは各大学、地域によって随分違うと思いますから、状況に応じて柔軟に対応するというのが重要かなとも思います。

【主査】
 ありがとうございます。
 ほかに、どうぞ。

【委員】
 4ページの○(丸)の下の方で、知財専門職員の職域の確立という、これは多分、結構前からそういう指摘があって、通常の事務職員ではなくてスペシャリストとして地位をはっきりさせようと。
 ところが、個々の大学に聞いてみますと、大学のほかのいろいろな専門的な業務に関してもこういうニーズがあると、それを大学として取り扱ってそういう専門職的なカテゴリーをつくるということも考えるのだけれども、どうもニーズが何か知財しかない。わからないんですけれどもね、知財しかないので、余りそれを表立ってやりにくいみたいな話も聞いたことがありまして、どうも現実には、今、事務職員と教員との間のような、何かよくわからないような状況で運用されているのだと思うのですけれども、これをはっきりさせるのはやはりすごく重要だと思います。
 本当に知財しかニーズがなければ、もう知財は別にちゃんとそういうふうにしてくださいと言ってしまうか、ちょっとこれ、このままにしておくとぐちゃぐちゃっとした状態になっていて余りよくないかなという感じがします。
 それから、あと、先ほどの法科大学院との連携、これは学内でやはり結構いろいろなところが知財だとかマネジメント教育だとかそういうことをやっていますので、そういうところと連携するプログラムというのを、かなり積極的に押した方がいいのではないか。
 今回も、国際産学連携で、国際知財人材の育成ということで、知財本部の事業としてやっていただくような形になっていますけれども、結局これも、話を聞いてみると「結構あれは重いよな」という、それは結局、毎日仕事がある中で人材育成をするというのがたいへんだという、やはりそこは現場では。だから、そこは連携でもう少ししっかり取り組んでいだだくというのが必要なのではないかと思います。
 以上です。

【主査】
 ありがとうございます。
 他に何かございますか。では、どうぞ。

【委員】
 先ほど御指摘のありました、特に大学の知財人材の育成と確保というところですが、必ず問題になる人の問題で、やはり知財に精通した専門家というのは全国を探してもなかなか少ない。特に地域というのは非常に人材が少ないという話もあって、幾つか携わらさせていただく大学でも、ある大学、専門大学院大学とか、MOTとかMBAの学生を1つの授業の中として、一緒に、知財をどうやって運営していくかというような、授業のプログラムに入れるというようなことを実際にやっているところも幾つか出てきています。そういうところから、大学院生が実際に人として育っていくというようなことをもう少し推進していくとともに、成功事例が出てきたならば、紹介していくというようなことが今後必要なのではないかなという気がします。

【主査】
 ありがとうございます。

【委員】
 昨日久しぶりに某大学の産学連携の人たちと話をする機会を持ち、現在どういう状況になっているのかということを聞いてまいりました。そうしましたら、一応補助金がなくなるということを前提にして、それなりのものは考えて、現実に対応してるようなのですが、人材の点がやはり一番問題になっているようです。
 ある程度、知的財産の処理手続きができるようになると、その事務担当者が異動で部署がかわってしまうというのが一番のネックなのです。しかしながら、それよりももっと心配しているのが、先生方への教育が行き届いているようでそうでないところがあることです。例えば学会発表の前に出願しなければいけないなという気持ちはあるのですけれども、その後の守秘義務のことを完全に忘れてしまっておられたり、それから、院生に簡単に話してしまって情報が漏れてしまうというような事案が実際に発生しています。先生方の教育も含めて、もう一度全体の教育を行っていただく必要性があるのかなという感じがします。
 次に、インターンシップのことが書いてありますが、企業・法律事務所における実務研修、これはついては特許事務所の方でもインターンシップの受入れをお願いしたいという強い要請があり、弁理士会でも各事務所にインターンシップ受入れを要請しています。
 それから、名古屋の方でも、大学から特許事務所に何人受け入れてもらえるのかということを要請しておりますので、もっと文科省の方からも日本弁理士会に強く協力要請をしていただいて、弁理士にもっと強く意識付けしていただけると、さらに大学が知的財産部門でのインターンシップ制度を使いやすくなるのかなと思います。実務研修ですね。
 なぜかというと、大学の中で1人、2人で事務処理等を行なっている段階ですと、自分たちが有している経験上での話しかできないものですが、特許事務所でインターンシップを経験する、あるいは法律事務所で経験していただきますと、そこでの人的関係で、後々事務所の人に質問がしやすくなるということで、学校側からすれば、あまりお金をかけずに相談が後々できるということになります。
 人的関係ができると、法律事務所にしても特許事務所にしても、簡単な質問に一々お金はもらえませんよね。そうでなくて正式に相談ということで依頼されるとお金を請求するところも出てきますので、ぜひインターンシップを、学生ではなくて、事務を行う人のインターンシップをぜひ企画していただけるとよろしいのではないかなと思います。
 それと、法科大学院との連携は進んでいるようですが結構難しいですね。実務よりも法律的な専門の先生になってしまっていまして、大学知財を実務的にどう処理するという理解がある人ならばいいのですけれども、実務的でない一般論のところで話される先生の方が多くて、「何か話がかみ合わないよ」ということをよく聞きます。そこは「知財本部と法科大学院は全く違う」という意識を法科大学院のトップが持っておりますとうまくいかないものです。学長、あるいは理事長が上手にコーディネートしていただかないとうまくいかないのかなという感じがします。
 それともう1つ、専門指導員による徹底したマンツーマン指導、これは実質的には今の大学のシステムでは不可能だと思っています。マンツーマンではなくて、やはり2~3人ずつ集めてグループ学習的に指導していただいた方がいいと思います。
 最後にいろいろ伺っていますと、知財担当を経験された方がほかの部署に一度異動し、もう一度戻ってこられる場合も最近ありますね。特に会計業務のところに一度異動されて、それからもう一度知財に戻ってこられた事務担当者は運転資金の捻出・処理が上手です。そういう人事異動をうまくやっていただけるシステムにしていただけるとありがたいなと思います。
 以上です。

【主査】
 ありがとうございます。
 この問題は非常に重要なので、次にという進行をしにくくなってしまいましたが、何か本テーマで。どうぞ、今のテーマで結構です。

【委員】
 もうちょっと別の意味でもよろしいのですか。

【主査】
 はい、どうぞ。

【委員】
 大学知財、それから産学連携活動、第1期と見るのか、それとも実はその前に第1期があって1.5期を今やっていたのかは別としまして、この整備事業が終わった時点で第2期というふうに定義するのだとしますと、ちょっと抜本的に考えておくようなことがあるような気が僕はしています。
 1つは、大学自体の機能をいろいろいじってくる。その周りのTLOであったり、そういったことを今まで政府の施策としてもかなり打ち出してきたのだと思うのです。
 一方、大学では、ある種のもともとノンプロフィットの機関であって、しかもイノベーションというのはプロフィットを生み出す話ですので、ここで幾つかの機能を本当に大学の知財本部とTLOとかだけで済むのかという問題が、イノベーションの問題に関しては僕はあると思っています。
 それから、もう1つ大きな問題は、大学の、今回当面の話としては財務的な話が絡んできているのだと思うのですけれども、やはり財務はすべてのベースですので、その上で人がいたり機能があったりという上部構造が動いているわけですから、下部構造のところが各大学の状況というのはどういう状況なのかというのを本当に見ておく必要はあると思います。
 その上で、実際には多分やっていけるのだと思うのですけれども、実はもう1つ大きな観点で見ますと、先ほどの共同研究とかいろいろな経費の分類何かにしても同じなんですけれども、やはり大学がスポンサード・リサーチみたいなことをやるとか、スポンサーからの何かを受けてやること、それから本来的に大学がやることというのが、財務構造上もはっきりないといけないんですね。
 そういうふうに考えますと、現在の運営費交付金というのは、もともと教育研究ということでの運営費交付金だったというふうに各大学は認識しているのだと思うんですよ。
 教育基本法で、今回初めて明解に「社会貢献」ということを大学の機能として入れられた。こういう時期に、運営費交付金の本来の性格が、教育基本法に基づいて考えてどうなのだろうということをもう一度きちっとしておかないと、そういうメッセージも出しておかないといけない時期なのだと思うんですね。
 ベーシックスのお金という部分、これは研究においてもやはりベーシックスのお金は動いていますし、それから、スポンサード・リサーチにも二通りあって、民間からのスポンサード・リサーチとガバメントからのものがあって、ガバメントのものでも、ベーシックスに近い科学研究費補助金のようなものと、それから戦略的なスポンサード・リサーチ、こういうふうに分けていくと、財務構造上、非常に分けやすいのだと思うんですね。
 そういうようなものの見方をするようなことを今回、第2期に入るときに、こういう委員会の中で何らかの取りまとめの文書のようなところで出していかないと、何となくお財布会計的な議論ばかりが行われる。これは、ちょっとよくないことではないだろうかと思っています。そういうふうにして、基本的に大学の経営の方針であったり、いろいろなものに踏み込むような意見を、小委員会としては出す方がいいのではないかというふうに思っております。
 あとは、その上に乗っかる上部構造のいろいろな機能に関しましては、例えばさっき私が言いました、来期までを考えてみて、イノベーションに向かって大学自体だけで閉じた形で、外部人材を入れた程度で本当にやれるのでしょうか。不足している機能がそこにまだあるのだとしたら、民ベースの何かと大学のものをどうつなぐのでしょう。そういうような、次のステージのアイディアなり、そういったものを、ビジョンなりを出していかないといけない時期に来ているのではないかというふうに思っています。
 特に民間の方で見ますと、特許情報は当然、膨大な特許情報がありますし、これを大学の中では、例えばJSTの新技術説明会とかああいった場で整理された形で、1つのモデルみたいなものも提示しながら出していっている例もありますし、それからTLOは当然、どういうビジネスでということを想定してシナリオを出しているわけですけれども、TLOだって経営基盤は極めて弱くて、そんなことが十分にできるわけではない。
 そうなると、例えば民間のところで、今後そういう大学の知恵を使うようなイノベーションを起こしていくような、そういう機能を果たすような民間、そういう産業をつくっていくのだとか、それと大学がどういうふうにして、「イノベーションプラットフォーム」という言葉は僕は余り好きではないのですけれども、プラットフォームというのは、地域で各県がプラットフォームをつくってタコ壺化したのでうまくいかなかった例が多いので、余りよくないのですけれども、そういうような機能をもう一度提言するような形、その中から本当の重点的な施策と、それから当面、今までのものをフォローアップしないといけない施策、そういったものを、政府がよくやるS・A・B・Cみたいな形で整理していくような、そういう転換期に来ているのではないかというふうに私は思っております。

【主査】
 ありがとうございます。
 非常に重要な発言をいただきまして、実は資料5全体が大きな1・2に分かれて例案をお示しいただいているわけですけれども、2の1.あるいは2の2.あたりに、それらの理念が多かれ少なかれ盛り込まれると期待しているのですけれども。
 まあ、そういうことで、そういう基本的な枠組みといいますか、フレームワークを押さえながら、人材のポジショニング、位置づけも考えていくべきだと。

【委員】
 そうだと思います。

【主査】
 イノベーションという大きな点を論じるときに、この3.のところで言っている知財人材ということから入るのでは、入るのが必ずしも十分ではない、そういう指摘と理解してよいでしょうかね。

【委員】
 もちろん、こういうまとめ方というのは過去を踏まえてのことなので、それはそれとして1つの見方ですけれども、未来から今を見てどうするかというもう1つのスコープが要るのではないでしょうかという趣旨です。

【主査】
 はい。あわせて、先ほど副主査からも冒頭に「方針」というようなキーワードが出ていますけれども、人材を論じる場合でも、結局、知財、全体ポリシー、組織論もそうですし、人材論もそうですけれども、そういう中において人材ということを考えていくというお考えだろうと思うのですけれども。
 わかりました。さりとて、個別のテーマにつきましても整理をしてまいりたいと思いますので、ほかにございますか。どうぞ。

【委員】
 今のお考えとちょっと似ているというか、関連で私も発言したいと思うのですが、一般的な国民の立場で発想してみると、今、90年代から急速に変わった技術革新と、それから産業構造の大変革という時代の波を受けて、大学の産学連携とか知財活動というのが出てきたと思うんですね。
 そういううねりの中で出てきている。しかも、国際競争力ということが問われるという時代の中で、大学の人材育成、それから組織の改変ということが今問われているわけで、いわば質的変換を問われているし、また、それに応えていかなければならない。
 産学連携と言うけれども、大学は産業界の僕ではないし、企業の下請でもない。ですから、学問の自由と学問の創造というのは堅持していかなければならない。そういうことを国民に理解してもらうということは、非常に重要なことだと思うんですね。
 知財人材の育成というと、いかにも何か知財だけに特化しているような印象を与えますけれども、実はそうではなくて、そのような産業構造の変革とか技術革新とか、そういう時代のうねりの中で、大学の質的変革が問われるという中で出てきている重要な課題なのだという受けとめ方は、社会一般にも訴える必要があるし、また、理解してきていると思うんですね。
 それで、この事業ですが、第1期、第2期というふうに呼んだらいいかどうかわかりませんが、5年かけて一応1つの区切りができたわけですけれども、私も当初は5年ぐらい国がある程度支援すれば整ってくるのではないかと思っていましたけれども、現状をいろいろ見ていると、これはやはりあと5年ぐらい、手を変え品を変えてやらないと無理なのではないかというふうに思い始めて、あと5年ぐらいやったらどうかということを言おうかなと思ったぐらいでございます。それで、人材は簡単には育たないということをいろいろなところで見たり聞いたりしております。
 そういうことを考えると、一般的には、この事業を受け入れられるかどうかということを私なりに考えると、やはりさっき言ったような大学の質的変換とか時代のうねりという背景の中で考えれば、大きなというか、半分以上の支持は得られると思うんですね。
 余計なことを言いますと、昔やってきたような農村の失対事業に名を借りた公共事業を考えると、大した金ではないんですね。それよりもはるかにいいことを私は、やると思います。ですから、やる以上は確かなビジョンを前面に出して堂々とやったらいいと思うんですね。5年やったけれども、やはりこれでは不足だ。だから、もっと日本の大学の質的転換を目指して、積極的に人材育成のために国はこのように投与していくべきであるというような強いメッセージを出した方が、私はいいのではないか。あと5年ぐらいやってもいいのではないか、そういう気持ちを持っています。

【主査】
 ありがとうございます。
 進行の仕方をちょっと提案させていただきたいと思います。(1)(4)(5)(6)(7)、これをおよそ10分ぐらいで区切ってという提案を冒頭にさせていただきましたけれども、ちょっと方向転換をさせていただきまして、区切り方式をやめまして、それぞれについてキーワード、重要な問題がありますので、抜けのないようにさせていただきますけれども、そういう方向転換をさせていただきます。
 どうぞ、(1)にこだわらずですか。

【委員】
 (1)にちょっとこだわっているというか、そこにこだわるわけですが。

【主査】
 (1)的なところを一端まとめたいと思いますが、何か。
 どうぞ、結構です。

【委員】
 よろしいですか。今、お話がありましたけれども、私自身が思っていますのは、この(1)に関しても、ポイントは、今までよりも高い水準の活動をつくることなのだと思うのです。それさえやれば、人材は必ず育成される。
 個々のこと、その中で問題点、個々に挙がっているポツというのはいろいろな問題点も含まれているわけです。例えば大学事務局におけるいろいろな問題とか、そういったものは、高い活動を求めてさえいけば、自然にそれを解消するしかリソースはないわけですから、そういう方向で、国際産学連携にしましても、いろいろなものがより高い水準の、こういうモデル、民間と一緒にしながらでも何でもいいですけれども、そういうものを今から必要としますよというメッセージを出す方が、そこに例示が幾つかある、障害因子になっているものはこんなものがある、こんなふうな形で行けばいいと思っていまして、そういう意味では、単に不十分だからまた5年延ばすというのではだめで、高い水準のものを示すことがやはり人材育成にも必要だというふうに思っております。

【主査】
 ありがとうございます。
 どうぞ。発言をお願いします。

【委員】
 ちょっと全体的な話に移ってしまうのですが、先ほどのお話の中で思うのは、やはり大学知財本部の「あるべき論」というのがどこかに書いてあった方がやりやすいのかなという気がするんですよね。
 各大学でもいろいろな独自性はあるにしても、知財本部というのはどういう役割を担うべきなのかというのがだんだんちょっと薄れてきて、何となく小手先の話が、各大学ともやはり中心になってきているような気がしますので、やはりこういうことをやるために知財本部が大学の中にあるのだというところは、もう一度どこかで示してもいいのではないかなという気が1つはします。
 それは先ほどに関係する話なのですが、それ以外のところに関して言いますと、ちょっと国際的な産学連携で気になっている話がありまして、ある、これは東海地方の大学ですけれども、先生の方は海外の企業と連携ができて、向こうの企業もお金を払いたい。ところが、知財本部の方で特許の話の契約が勝手がつかずに、結局提携ができなかったというか、連携ができなかったというケースがまた出てきているそうで、ちょっと本末転倒の話が大分ふえ始めているのかなという気がしまして、国際的に産学連携をしなければいけないという中で、不実施事項とか、いわゆる国内的な話を海外に求めているような話がやはり結構あるみたいでして、そのあたり、これは人材がいないからという話で行けるのかもしれませんけれども、かえって知財本部の役割が、先ほど言ったようにちょっと不明確になってきているのではないかという気がしています。
 それから、3番目のライフサイエンス分野のところで、臨床研究の利益相反ですが、これは奨学寄付金についても、ちょっと書いていただく必要があるのではないかという気がしています。
 厚生労働省のタミフルの件以来、奨学金の本来の趣旨が、どうも勘違いされている方が非常に、マスコミ関係の方も含めて多い様でして、奨学寄付金を出すと利益相反になるのではないかとか、非常に不思議な議論が実は結構いろいろなところから出てきていて、本来一番研究のしやすい部分だったやつが、かえって受託研究とかと何か同じようなところの話になってきているのではないか。
 これも非常に、大学にとってはやはり奨学金というのは大きな存在ですので、この位置付けをもう1回、文部科学省の方で明確にしていただいて、利益相反では本来はない部分のお金ですから、そこはやはり明確にしていただきたいと思います。
 同じ絡みで、実は今度ジャスダックに新しい新興市場、「ネオ」というのが誕生する予定になっているのですけれども、そちらへ出る予定のバイオベンチャーから、証券会社の方から「奨学寄付金を入れていると、利益相反になるので上場できないのではないか」という質問があったとか、「大学の関係者が株を持っていていいのか」とか、非常にプリミティブな質問がふえているそうです。
 そこは決して小さいところではなくて大手の一角ですけれども、(6)番の事業化支援機能にも絡むのですが、どうも証券会社も非常に知識が低いというか、ちょっと考えられないようなことが今起きているかというふうに思います。
 これは、彼らも、人がどんどん移るので、一番最初のときにした人がもういなかったりして、文部科学省に聞いたらと言うのですけれども、文部科学省に聞くのは何か恐れ多いようでして、「なかなか何か質問もしづらい」とか言っているので、少しこの支援機能のところで、やはり上場という出口まで絶対に必要だと思いますので、ベンチャーキャピタルだけではなく、証券会社なども含めたような連携と事業化支援体制という形で、是非お願いしたいと思います。
 特に奨学寄付金に関しては、これはかなり誤解が本当にまかり通っているみたいですので、ぜひ明確に奨学寄付金の位置づけというのはどこかで確認していただかないと、これはせっかくある意味、もともとの共同研究としての非常に大きなベースだった部分がちょっとゆがんできているという危険性を感じていますので、これはどこかで一言言っていただく必要があるのではないかなというふうに思っています。

【主査】
 ありがとうございます。
 (4)(5)(6)(7)あたりのテーマに関連する御発言がちょうだいできると、ありがたく思います、どうぞ。

【委員】
 すみません、(4)(5)(6)というところではなくて、また人材のところにちょっと戻ってしまうのですが、人材のところで、国際特許の侵害訴訟等に精通した人材であったりとか、海外出願の特許戦略を策定する人材が不足しているというようなことが書かれているのですけれども、実際にそういう人材を大学の内部に持つ必要が、そもそもあるのかどうかというのをまず考えるべきではないかなというふうに思います。
 海外出願の特許戦略を策定するって、では実際に具体的には何かといったら、多分海外の特許制度を知っているか知っていないかというところだと思いますので、何か特許戦略というと、大層な何か戦略を立てなくてはいけないのではないかというイメージでとらえてしまって、すごく壮大な人物というようなイメージにとらえてしまうと思うのですが、実際のところは、海外の法制度を知っているかどうかというところで、そこを内部の人間が知っていなくてはいけないのかというと、例えば発明が生まれたときに、当然それは特許事務所であったりというところに相談すると思いますので、そこの利用の仕方で補える部分はかなりあるのではないかなというふうに思っております。
 ですので、いろいろ、こういう人材が不足している、不足しているということが書かれているのですけれども、そもそも内部でそのファンクションをきっちり持つ必要があるかというのは、考えていかないといけないと思います。
 また、特許侵害訴訟に精通した人材というふうに書いてしまいますと、大学って、積極的に侵害訴訟を自ら訴えを起こすような機能も、もしかしたら考えていかなくてはいけないのではないかというふうに誘導してしまう可能性もありますので、そもそもこれを書いた背景というのをきちんと伝えていかないと、間違った方向に行ってしまう可能性はあるかなというふうに考えております。
 また、ライフサイエンスの分野というのは、何か特徴があって、そこに集中して1つの大学に、こういうライフサイエンス分野に特化したような戦略が実行できる人材を確保するということもあるのだとは思うのですが、ただ、今やはりライフサイエンス系の研究でおもしろい研究をしているところって、いろいろな大学にあると思うんですね。
 各大学でこの機能を持てるかといったら恐らく持てないと思いますので、そこは何か、例えばスポット的に、コーディネーターみたいなところが、この案件に限って入っていただけるというようなことができれば、例えば(4)にもつながっていく、脆弱な大学の知財戦略みたいな、そういうところの補強にもなっていくのではないかなというふうに思いますので、1大学にそういう機能をそれぞれ持つというよりも、もう少し、幾つかの大学でその活用ができるというか、多くの大学で活用できるような人材というのも考えていかなければならないのだろうというふうに思います。
 あと、先ほどもからちょっと御発言がありましたが、まだまだやはり大学の先生方というのが、やはり産学連携ということを今随分注目して、大学の中でも力を入れてやっているところだとは思うのですけれども、実際に、研究者のところと産学連携を実際に実行しているような人との温度差は、まだ少しあるのかなというふうに思いますので、知財本部の整備事業の機能として、特許出願の件数であったり、ライセンス件数というところで評価する以外にも、例えば大学内での活動をどのぐらいやっているかというような、研究者の啓蒙の活動であったりとか、その辺のところをどのぐらいやっていて、どのぐらいの研究者の出席率があって、非常に注目をして大学が一環となってやってるというような、そういうところの指標という、指標にはしにくいかもしれないのですけれども、そういうところのファンクションというのをもう少しウォッチングして、そちらの方向に誘導していくということも大切なのではないかなというふうに思います。
 以上です。

【主査】
 ありがとうございました。
 (4)(5)(6)(7)を中心にしたテーマで、何か御発言されますとありがたいですけれども。どうぞ。

【委員】
 (6)の事業化支援機能の強化ですけれども、大学からの技術移転とライセンス契約とか、そういう分野の支援体制というのは、もうちょっと強化するべきではないかというふうに思います。だから、そういう文言をつけ加えた方が私はいいのではないかと。
 これは、先日行われた知財学会のベンチャー支援のセッションで、アライアンスをやっている企業の方が言っていましたけれども、ライセンス契約をする場合でも、問題があるのは企業側ではなくて発明する側、アントレプレナーの企業、そちら側に問題がある場合の方が多いということを言っておりましたので、やはりそういう人材がいて、支援する適切なやり方があるのではないかというふうに感じたものですから、そういうことはやはり強化すべきかと思って申し上げます。

【主査】
 そうですね。ありがとうございます。
 どうぞ。

【委員】
 今の(6)のところに関連することなのですが、特に事業化支援の機能の強化のところで、人の問題にも関係するのかもしれませんが、これまでは割と事業を、ベンチャーを育成する、増加させるというところの数の議論が多すぎたのではないでしょうか、実際に大学発ベンチャーの支援をさせていただいているのですが、今試みていることは、いろいろの案件を持ってきてくださった先生方、また大学院の生徒たちのビジネスプランを、時間をかけてブレーンストーミングを行い、まだ起業の段階ではないのではないかというようなことの相談をしています。実際の事例で、ある大学でヒアリングしたら、あのときキャピタルに入れなければまだ存在していたのではないかという、もっといい技術として、彼は着々とやっていたのではないかという事例がぽつぽつ見えてきていますので、起業イコール、キャピタルの連携、証券の連携というのが余りにも強くなりすぎているので、相談の窓口のところで、出口が多様にあるというようなこと、このバリエーションももう少し見せた方がいいと思います。
 それによって、どういうつながりがあるのかというようなものも見せるというような、その支援の強化というものをいろいろ、段階ごとにあるというようなところをもう少し強調させた方がいいと思ったので、その辺をつけ加えていただければと思います。

【主査】
 ありがとうございます。
 ほかに。どうぞ。

【委員】
 (4)(5)(6)にも関連して、それから先ほどの人材育成もそうなんですけれども、まず、基本的にはやはり各大学である程度の基本的な人員配置と制度を持つというのが必要だと思いますけれども、すべての大学、地域も含めてそれが可能かというと、そうではないという現実もあります。
 したがって、ある程度、地域に知財にも詳しいし、ベンチャー支援にも詳しいし人材のプールのようなのもあってしかるべきかなと思います。
 特に最近言われているのは地域との連携、大学の社会への貢献というのがあります。もちろん海外も含めてでしょうけれども、やはり地域への貢献が、国民といいますか、納税者、また財務省からも含めてそういうような要望はあると思うんですね。
 そうしますと、いろいろな形態があって、例えば文科省の施策で「知的クラスター事業」というのがあります。そこでも実は知財の専門家がおられますね。大学にもおられる。そうすると、何か二重になっているような形であって、それを非常に有機的な形でできないか。整備するのは大変かなと思うのですが、各地域にそういうふうな仕組みないしは人材プールがあればいいと思うのですけれども。
 ただ、今現実としては、例えばJSTの方で「プラザ」を通していろいろな事業展開をされているわけですけれども、あそこも1つの核になるかなと。今は「イノベーションプラザ」というふうに名称が変わっているかと思うのですが、コーディネーターがおられるんですね。それから経産省でも地域の連携の拠点をつくるようなことをやっています。それで、省庁横断も含めて、各地域でそういうような人材とか統合的な支援体制というのも1つの考えであるかなと。
 ただ、こういう施策は、予算が3年であるとか5年でという形ですので、継続性がないというのが1つ弱点で、やはりある程度は大学独自で基盤は持っておく必要が私はあるかなと思っています。
 大学のスケールにもよると思うのですけれども、すべて1大学でいろいろな人材、各分野、医薬から材料から、情報関係、すべて持つのは難しく、地域との連携の中で有効的に資源配分をするというのが国の施策としてそういう配慮の中でやられる方が効果的かなとは思いますけれども。

【主査】
 ありがとうございます。
 どうぞ、お願いします。

【委員】
 先ほどの「知財本部の位置づけをもう一度明確にしよう」という話は、政策提言という観点からしますと第1期でもうやったことなので、これは再確認だと思いますね。すると、再確認のところを前面に押し出すのはなかなか、次のジャンプアップのための政策提言としては弱い感じがするのです。
 そうすると、今までの再確認をした上で、次に何をやるかという提言が必要かなという気がするんですね。そのときに、今、先生がおっしゃったように、全国の産学連携のアクティビティの中で、大学がやるべきことと、全国でやるべきことのきちんとしたすみ分けが必要かなと。
 そのすみ分けをやるためには、産学連携全体、国全体の産学連携事業の事業マップのようなものが必要で、国が何をやり、大学が何をやり、それから人材育成で何をやり、知財の何をやりというマップが必要で、本当はそこにコストバランスも含めてのマップなのでしょうけれども、それをつくった上で、ではどこを重点的にやりましょうと。今度は、年次計画というか、ロードマップのようなのをつくって、では第2期のジャンプアップはここを重点的にやりますという提言に仕立て上げていかないと、細かいところは当然書くのだと思うのですが、当然書くのですが、細かいところでは戦えないと思いますので、全体として何を打ち出していくかのポイントがそういったところに見えてくるのではないかという気はいたします。そこの議論が一番重要ではないかなと思います。細かい点は私もいろいろあるのですが、それはちょっと一言言えば済む話ですので、そういうところが言いたかったのですが。

【主査】
 はい。ほかに。どうぞ。

【委員】
 ちょっと全体的なことは一番最後にして、まず、今日の資料でありましたように、今までの産学連携関係の施策というのは、知的財産管理活動をしっかりすることで全体、共同研究も含めて活発化しようということで、基本的にはそうなっているわけですけれども、それを細かく見ていくと、例えば知財管理活動と、それから例えば共同研究活動の間のリンケージは、基本的には相互関係がすごくあって、知財活動が活発だったら共同研究も活発で、共同研究が活発だったらそこから知財がたくさん生まれてくるというのが普通なんですね。ところが、よくよく見てみますとそうなっていない領域が幾つかあって、そこに多分課題があるのだろうと思います。
 1つは、実はライフサイエンスがそうなっていないのが、これはちょっと不思議なので、それは理由を調べないといけないのですけれども、もう1つ、明らかにそうなっていないのが、共同研究、企業との関係で言うと、大企業やベンチャーではリンケージが非常に強いのですけれども、中小企業は余りリンケージがないんですね。大学の知財活動と、中小の共同研究との間に余りリンケージがない。
 これは、実はいろいろなところのヒアリングもやっていて、ほぼ間違いないなと思っているのは、やはり大学と中小企業との共同研究というのは、大企業に比べるとものすごく多様性があって、大学にある技術が中小企業に移転するみたいな、そういうスキームではない場合の方が多いんですね。大学が評価のところで貢献していたりとか、いろいろなパターンがあって、そういうことに対して、現在の大学の知財管理活動が余り対応できていないということを示唆している可能性が高いですね。
 それは、実を言うと、では中小企業の方が知財はどうでもいいかというと、それは全然違いまして、中小企業の最近の知財に対する関心とアクティビティの高さというのは、それはそれですごくあることがわかっている。
 ですから、この(5)番のところの中小企業との連携というのは、知財のところがまだうまく対応できていないという1つの領域だろうと思いますので、これについてはいろいろな形でどういうメカニズムでやっていったらいいかというのを明らかにして、促進をしていく課題があると思います。
 それから、(6)番のベンチャーに関しては、基本的に今ベンチャーはいろいろな意味で時代が悪いというか、環境がよくない。税制だとか、ファンドの連結だとか、もう踏んだり蹴ったりみたいなところが基本的にはあるわけですよね。
 あと、知財の関係で言えば、営業秘密漏洩の刑事罰則がついてというのもどうも影響しているのではないかということもあって、これは私、何か聞いたら、アメリカではカリフォルニアだけ何かトレードシークレットは違う判断をしていて、それが何かベンチャーの人材の流動性に影響しているのだという話もありましたけれども、結局余りそういうところで手を打てないんですね。出資も大学はできないし、そういうところでほとんど手がない中で、あとは残っているのはやはり人材、先ほどあった話で人材のところで工夫していくというのが一番効果があるのだろう。
 プールという話をされましたが、これも前からベンチャーの人材、経営人材のプールという話はあるのですけれども、プールという概念はやはり余りよくなくて、優れた人材というのは少なくとも、どこかにたまっているものではないということです。プールではなくて、もっとモビリティの高い状態に対応する仕組みをつくるということで、いろいろ検討は今まで本当にしてきました。
 例えばアントレプレナー・イン・レジデンスみたいな仕組み、これはアメリカのやつとか、そういうのはもっとやはりこれ、大学発ベンチャーの周辺にそういう施策が誘引されるような仕組みというか、施策があってしかるべきだと思っています。
 それで、そういうような個別の項目はいいのですけれども、最後に、これは多分こんなことを言うと困ると思うのですけれども、いろいろなこういう話をしていて、多分上位の委員会とかいろいろなところへ行くと、何か技術移転とか、もういいのではないのとか、確かにそんな雰囲気がときどきあるのですけれども、言葉が多分、小さく見えるんですね。ここの議論って、人材育成から社会連携から、すごく幅広で、さらに国際から。これがなかなか何か上の方に、うまく伝わらない。
 例えば、もう産学連携ですか、産業連携課ではなくて大学の第三の責務課とか、それから技術移転室ではなくて、もう産業連携・人材育成室とか、何か文科省も名前を変えていただくといいかもしれないという。ただ、そういうような大きさでいろいろ、背景で話をしていかないと、言葉で何か引っかかってしまうことがあるなというのが印象です。
 以上です。

【主査】
 ありがとうございます。
 ほかに、(4)(5)(6)(7)のテーマでございますか。どうぞ。

【委員】
 (4)と(5)に絡んでなんですけれども、知財基盤が弱いというところですけれども、特に人文社会系を含むというふうに書いてありますので、こうしたらいいのかなと思っていることが1つあります。
 もともと私立の大学、総合大学でも知財に対する取組みというのは非常に低い。理由は、今まで先生方が勝手に企業とやっておられて、それを取り上げるというのは、やはり普通の私企業、いわゆる私立ですから私企業ですので、そういう段階として急に取り上げるというのはやはり難しいという意見をよくお聞きします。
 でも、先ほどもありましたが、最近インターンシップがすごく盛んになってきたときに、人文、いわゆる文系の学生でも、企業の方に派遣したときに、いろいろな問題を知財に絡んで起こしてくることがふえてきているものですから、まず一番最初に取り組んでいただくのは、いわゆるインターンシップ用の学生に対する知財教育というところでぼんと出していただいて、「それをやるためには、そういう専門の先生、あるいはセクションをつくってくださいよ」という言い方をされると、まだ比較的受け入れていただけるのかなと思います。
 それから、それをちょっと進めていただいて、個別に企業とやっておられる先生方の権利の帰属を法人の方に帰属できるように徐々に持っていっていただければ、まだスムーズにいくのかなという感じがするんですね。
 中に、「旧国立大学にいると機関帰属になってしまうから、私立に行って自分でもらっていた方がいい」と言われて私立に行かれる先生、たまに話を聞くものですから、そういう人たちの意識改革もちょっと必要かなとか思いますので、そのためにはもう、そういう分野ではなくて大学全体が知財を守るというシステムにしていって、それから大学の収入を得るのも、そちらからも入るべきだよというのを法人の理事側に説得する1つの起爆剤として、インターンシップ用の学生のところから入っていくと、文部科学省としてはやりやすいのではないかなという感じがします。
 それから、地域における産学官連携も、自治体と、それから弱小大学との関係も絡んでくると思いますので、これはやはり、最近よくやられてきましたけれども、大学間連携をうまく活用していただいて、この間、新潟大学と山梨大学、あんな離れたところでうまくやれるのかなと思いながらやって、試みとしてやっておられますけれども、そこに自治体がもう1つ加わってやられると、非常にいいものが――情報源が今、ともかく少なくて困るものですから、そういう情報源をどこかで集約していただけると、小さい大学もそこに乗っかっていきやすくなって、自分たちが開発したものも、ほかのところで花が開くという仕組みができるので、よろしいのではないかなと思っております。
 以上です。

【主査】
 ありがとうございます。

【委員】
 私もそうなんですけれども、きょう皆さんいろいろな知財の在り方というか、大学の在り方、それぞれまだまとまっていないといいますか、いろいろな本音があると思います。
 ただ、こことしてはある程度の方向性を出さないといけないと思うのですけれども、今までの議論はやはり大学の知財の機関帰属が前提のもとでのものですけれども、世の中の変わり方を含めると、もう少し上のレベルの在り方も、どこかで検討していかないといけない。国としての知財戦略。
 といいますのは、ちょっと先ほど「イノベーション25」の話を私も出したのですけれども、今言われているのは、国際連携の中で日本が例えば環境とかエネルギーとかそういった、世界に日本のリーダーシップを含めてできるようなことをある程度やっていこうという。当然、知財の在り方もそこに含まれると思うんですね。
 そうすると、そのときに、機関帰属何々という形だけをすると、それを前提にすると、必ずしも国際連携の中で、各国がイノベーションのいろいろな施策をやっている中で、そこでコンフリクトではないですけれども、いろいろな競合になってくる。
 そうすると、イノベーションという形が、知財も含めていわゆるある面の第2の経済戦争というか、的な要素をも含める。それをもう少し、やはり知財の、例えばオープン知財戦略であるとか、新しい形の知財の在り方もあると思うんですね。
 きょう、皆さんの意見も、私もそうなんですけれども何となくまだこう、どうあるべきかというのに迷いがあるので、やはりここの中でそういった次の知財の在り方に対する検討もやっていくというようなところの姿勢もあった方が、次につながるのではないかなという、私はちょっとそういうコメントをさせていただきます。

【主査】
 ありがとうございます。
 それでは、ちょうど時間となりましたので、本日の議論、これまでとさせていただきたく思います。
 締めくくりとして事務局からございますでしょうか。

【事務局】
 今日はどうもありがとうございました。
 一つ一つ、皆さんからまた、この場以外でも御意見を承りながらまとめていきたいと思っていますので、またよろしくお願いします。
 お配りいたしました技術移転事例集ですが、初めて英語で出しました。これは、必要があれば皆さんにまたお届けしますけれども、海外へもどうやって情報発信していくかということも非常に重要でありまして、御活用いただきたいと思います。

【主査】
 どうもありがとうございました。
 本日は、大変貴重な議論をいただきましてありがとうございました。
 では、本日の議論はこれにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。

7.今後の日程

 次回については7月25日(水曜日)午前10時~午前12時に開催する旨事務局より連絡があった。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)