産学官連携推進委員会(第31回) 議事録

1.日時

平成18年12月5日(火曜日) 15時~17時

2.場所

キャンパスイノベーションセンター 国際会議室

3.出席者

委員

 白井(主査)、石田、清水勇、武田、田村、平井、清水啓、長尾、本田、三木、渡辺

文部科学省

 藤木研究振興局審議官、川上振興企画課長、佐野研究環境・産業連携課長、井上技術移転推進室長、上田研究環境・産業連携課長補佐、中川研究環境・産業連携課長補佐、小石専門官 他

4.議事録

  • 議事に先立ち、事務局の異動について事務局より紹介があった。

(1)国際的な産学官連携活動の推進に関する状況報告

  • 資料3-1、3-2、3-3、4-1、4-2、4-3に基づき事務局より説明があった後、質疑応答が行われた。その内容は以下の通り。
    (◎…主査 ○…委員 △…事務局)

主査
 今、議題の(1)の国際的産学官連携活動の推進に関する状況報告、その他について、事務局からご説明がございましたけれども、ご質問とかご意見のある方はお願いいたします。
 これは来年度予算が成立したら、こういうテーマで募集をやりたいというのがここでの答申案としたいと。

事務局
 というよりは、来年度1年間で実施するものを、年度途中の7月から始めていただくのではなかなか成果が出ないということもありますので、なるべく4月から始められるように下準備は進めていく必要があると考えまして、進めているということでございます。

委員
 質問ですけれども、資料4-1で、総合科学技術会議のプロジェクトチームによる「ライフサイエンス分野におけるリサーチツール特許の使用の円滑化に関する指針」と出ていますね。これのこの後の扱いはどうなるんですか。これは何に使うんですか。

事務局
 これはまだ途中の段階のものでございまして、現在、企業の方々、製薬協会や製薬業界の方々、バイオベンチャーの方、平井先生や森下先生のような大学や法務に詳しい方々がお入りになられて議論を重ねているところでございまして、総合科学技術会議としては、企業と大学が合意できる部分について、強制力はございませんが、ガイドラインということで指針としてまとめた上で、大学や企業で基本的な考え方として共有していただいて、事業戦略上支障がないというような限定的な部分もありますが、日本全体として研究に必要なリサーチツールについてはなるべくその使用を円滑化していこうということを考えております。また、ここはいろいろ議論があるので、今後どうなるかわからないのですが、研究開発の公募などの場合に義務づけたらどうかというような議論もございまして、まだまだこれから議論がなされて、取りまとめがなされるということでございます。

主査
 ガイドラインを整理したとして、うまくいくものなんですか。

事務局
 ライフサイエンス分野に特化しているわけではなく、また、大学間だけで企業は含められていないのですが、研究を広くする、基礎研究を進めるためには、みんなで研究者を囲い込むというのは問題があるのではないかということで、大学における研究のためといった非営利目的な使用であれば大学間では融通しあいましょうというガイドライン、研究ライセンスのガイドラインというものが既にできておりまして、これを各大学においてポリシーとして定めていただいて、基本的な考え方として共有するということは進められております。ただ、そこは企業が入ってきていませんので、ライスサイエンスの分野については企業と大学も含めて基本的な考え方を共有した方がいいのではないかということで、総合科学技術会議で議論がなされているところです。

主査
 よろしいでしょうか。

委員
 1点だけよろしいですか。

主査
 どうぞ。

委員
 「事業戦略上の支障がある場合」というのはどういうふうに読めばいいんですか、今の段階で。

事務局
 そこは、例えばリサーチツール特許で事業を成り立たされているバイオベンチャーのような場合には、リサーチするための特許なんだから低廉な価格でライセンスをしてくださいとなると、ベンチャーの存立基盤自体が危うくなるということもあるのではないかといったような議論がなされた上でこういうことが書かれているのではないかと思うんです。
 今後、議論がされて、製薬業界の大企業、バイオベンチャー、そして大学といった日本全体のライフサイエンスの研究コミュニティとしてある程度了解できるものについて指針としてまとめようということで取り組みがなされているところでございます。確固たる定義があるわけではございません。

委員
 一点教えてください。今、ご説明があったように大学がアカデミアの中でのルールは出てきているんですね。今、ご検討されているやつはどこから要請があって、今これが議論の俎上に乗っているか。私の経験ではリサーチツール特許は論文とかも出ていますし、あまり問題にしていませんし、価値については、言ってみればまさにビジネスの世界で動いている話だと思うので、今、「事業戦略上の問題」というような指摘があったんですが、それを含めて見ると、世界で普通に処理できうる話なのかなと。どこからどういう要請があってこの問題が前面にきたのか教えていただけるとありがたいんですが。

委員
 これはかなり前から議論が出ていまして、1つは、浜松医科大が海外の企業から訴えられるケースがありました。それから、国内に関しては、支援企業からルールを明確にしてほしいという要望が以前からあったということ。ただ、国内においてもリサーチツールの取扱い自体が、大学の場合にはできたんですけれども、実際上まだあまり動いていないのではないかとか、そういうものを含めてリサーチツール、特にライセンス領域は値段が、買いたい側と売りたい側に非常に開きがあると。国内でも直接的な紛争はまだないんだと思いますけれども、ケースによっては高額の要求料を、要求というのはおかしいですけれども、どちらが高いか安いかというのは、それぞれの立場で違いますので、必ずしも言えませんが、その中で吸収されていないといったようなお話も出ていますね。

委員
 私の方が対処できるようなところがいっぱいあるかと思うんですよ。これがライセンスの仕方だとか、あるものについては、将来の価値を見定めるについては初め指示来て、後の位置決めをとるような、いろいろなビジネスがいっぱい動いてきている。しかし、これは産業界の方から出てきたような感じを私は受けたんですけれども、産業界の方はこれこそTLOとか認定機関が担っているところで、TLOだったら動かしたいわけですから、動かすためには、研究を前に進めるためには高いハードルを設けることはないのではないかと思うんですね。そのかわり後でうまくいったときにリターンが返ってくるんだと。皆さんのところもそういうふうなご意見を持っているんだろうという感じがしていまして。いずれにしても、企業の方から一律に一つのものでというニュアンスが感じ取れるので、そっちへ向かっているのか。これは非常に難しいと思うんです。

委員
 必ずしも一律にこの値段という話では決してありません。ここからは平井先生と本田先生と私と、3人いると思いますけれども、企業サイドも製薬協も値段が同じでないと困るんだという話ではなくて、不当に高いやつは困るというニュアンスが非常に強いのと、もう1つはリサーチツールの際にリーチスルーという、さらに次まで引っ張るようなやつは、創造・活用の中でかえってマイナスになるのではないか。そういった要素も彼らは主張していますね。実際にはアメリカのNIHがリサーチツールについてホームページをつくって、そうした一覧の販売も、販売というのもおかしいですが、一覧のマスト・オブ・サービスを始めているということで、例えばそういうことも考えられるのではないかといったような議論も出始めているということですね。全体としては、前回の内容をまとめたやつを、ベンチャー企業とか産業界も同じルールに乗れないかということで、基本的には産業界ですので、民間ということで必ずしもこういうガイドライン、100パーセントそうかというと、そこは非常に微妙な面もあるんですけれども、一応は目標で共有しようというのが、今言っている趣旨ではないかと思います。

事務局
 あと、大学の中での研究ライセンスについては5月に指針ができているのですが、それについては私どもの調査だと20近くの大学でポリシーが定められているという状況になっております。前回、本田先生からご質問があったのですけれども、そのような話があるかと思います。

委員
 ちょっと補足をしたいと思います。主査からこれはどのぐらいの効力があるのかというお話がありましたけれども、これはガイドラインですので、これを受け入れる土壌がなければ意味がないわけですね。法律でもありませんし、強制的な効力はございません。だから、これを受け入れる土壌が効力が出てくると思うんですね。既に森下先生からお話がありましたが、上流の研究領域においては、なるべくリサーチツールに対する助成権の弊害を排除して、皆さんが自由に使ってイノベーションを起していこうという機運はございます。これはアメリカでももちろんLICCにございますし、日本でもございます。製薬協はこの価格に基本的には同意しているんです。ですから、今お話があったように大学でもという話がきつつあるわけですから、日本を含め米国、世界中の視点から見てこういうガイドラインはだんだん受け入れられていく土壌はあると思うんです。そういう中でこれが一つのルールづくりとして機能すると思っております。
 この「事業戦略上」というところはまだ文言が確定したわけではなくて、前回の委員会でもかなりご議論いただきましたし、今、質問が出ましたが、皆さん価格イーブンというのがあるんですね。皆さんが重視するのは、研究に使えるスクリーニング系とかリサーチツールでも、それを開示してしまうと自らの事業分野に影響を与えるやつがあると、企業の方はそうおっしゃるわけです。そこをどうやって放流させようかということでこの文言が出ている。これはまだ未改訂ですから、もしかするともう少し詳しくなるかもしれないし、文言が変わるかもしれない。ファイナルが出るのは来年3月ですので、その段階で決まると思います。
 以上です。

主査
 ほかにございますか。いずれにしても、研究の促進というのか、イノベーションの促進ということから言えば、基礎的なものはできるだけ開放して使える状況にするのが望ましいというのは、その後の研究が進むということになるんだろうけれども、これに関してはそれは置いていこうという原則は当然あるだと思うんですよね。

委員
 ディテールは変えません、最初に質問していただいた意味としては、ガイドラインの意味です。具体的に先ほどの訴えられたりという問題のように、現実に起きていることにまず対応しなければいけないということから、かくあるべきというガイドライン。ガイドラインをつくったことが、訴えてくるような人たちに有効であるかと、主査のご心配のようにですね。こういうことで訴えられて、ガイドラインをもって牽制していくということはあるにしても、バイオ分野にくるというのでは、民間のベンチャーの動きとか、そういうのは必ずしもこのガイドラインどおりにいくとは思えないということで、引き続きアカデミア側は、このガイドラインを信じてすべてをやれば救われるというガイドラインになりそうにないものですから、その辺は若干配慮すると。ガイドラインはこういう趣旨だけれども、一方で現実に起きている国際競争、あるいは、アメリカのグローバルスタンダードと称してとんでないことが起きることに対してリスクについては何がしかの警報は必要ではないかなと。しかも、ライフサイエンスでは、リサーチツールに続いて有体物の問題ですね。この国際間の問題も引き続き問題になりますし、さらには、理研などでやっているタンパク3000とか、次々に網羅的に生み出されているデータに対しての財産としての、そういう主張の問題が国際間で問題になるでしょうし、日本としての国益を考えた対応が必要になると思うのです。各国がある意味では国益を考えた主張をする場合、あるいは知財を生かす能力をこの国が身につけるかどうかによって、主張の内容も考慮すべきで、それを踏まえたガイドラインを決めていきませんと、世の中はユートピアではないので、各国が事になっているので、引き続き専門部会の検討を期待しております。

主査
 ここはアメリカでも問題になっているわけだから、NIHでも、という取り組みがあるわけで。これはNIHなどとの情報交換というのかな、ガイドラインをつくるにしても、日本でどのぐらい可能で、それがNIHでやっているものとどういうふうな違いがあるかとか、そういうことはわかっているんですか。

事務局
 NIHでは、一部なのですが、データベースでリサーチツールみたいなものは公開されていまして、値段は出ています。製薬業界の方々からは、大学の中で死蔵された有益なマテリアルとかリサーチツールがあるということをもっと見えるような形、データベースみたいな形にして、例えば値段を、膨大な高額な値段を書いても困るんですけれども、書いてもらうと、リサーチツールをもっと活用できて、研究が進んで、日本のライフサイエンスの研究が進化するのではないかというようなご意見が、このプロジェクトチームの中で多々出ておりました。

主査
 ああ、そうですか。訴えられるところがどうされたらいいかわからないわけで、そういう場合に世の中、ほかでしている努力と日本の国内の経営努力というのが、内容的に等しいかどうかは別としても、同じようなレベルでやっているかやっていないかというのは。訴えられるか、訴えられないかという問題も含めて。それから、現実にどこまでやるのが妥当かということもありますよね。そういうものも参考になるし。相手方に情報を送るというやり方もあるでしょうし、要は今後の行き方ですよね。
 よろしいですか。ほかに何か。ここは頑張っていただくということでお願いをしたいと思います。
 国際的な産学官連携活動推進のための体制整備について、今後の進め方はどのようになりますか?

事務局
 来年になりましたら、もう一回、この委員会でご議論いただく予定です。

主査
 そういうことで一応準備はしていきたいということですよね。ありがとうございました。

(2)ライフサイエンスなど先端科学技術分野の知的財産問題についての審議状況

  • 資料5-1、5-2に基づき石田委員より説明があった後、質疑応答が行われた。その内容は以下の通り。

委員
 この問題は日本の臨床研究から治験承認までの非効率性、極めて時間がかかっているのをいかに短縮するかという問題とあわせて議論しないと、知財とか産学連携以上に大きな問題があるわけですね。今、ちょうど、イノベーション25でも取り上げてもらうように我々も一生懸命頼んでいますし、そこで議員連盟ができましたよね。ああいうところと一緒に活動しないと、これだけやってもあまり効果がないんですよね。それだけちょっと。

主査
 ありがとうございます。確かにそういうことかもしれないので努力いたします。

委員
 あわせて、合わせ技をぜひやっていただきたい。これだけ取り出して提言しても、その中の位置づけとしては極めて小さい。

主査
 ほかに何かご質問、ご意見ございますでしょうか。こういう分野は問題はかなり明らかというか、はっきりして、そこは指摘されているんですよね。ただ、いごっそう的な日本の制度においてもそこはそのとおりなので、そういうものをどういうふうに進めるかということですよね。今の生駒先生のご意見のようにTRとかなんか、全体のシステムとしてはどこら辺と今後どういうようなアプローチをすれば、こういうものが総合的に解決できるというのか。できなくても、方向に向かうか。

事務局
 先生のご指摘のとおり、今、ライフサイエンス分野については、当局のライフサイエンス課で橋渡し研究についての予算を要求したり、また、治験について検討がされたり、あるいは、総合科学技術会議も先ほど申し上げたリサーチツール特許とか、それ以外の周辺部分についても検討がされておりますので、そういう部分と歩調を合わせながら、知財等についても検討を進めていきたいと思っております。

委員
 一言。橋渡し、トランスレーション・リサーチを超えた概念が必要だと思うんです。アメリカのTRを国が出すという話もあるんだけれども、TRという概念はとみに消えつつあって、日本は後を追っているわけです。それから、ICR、飯村先生が関係官で、インテグレーティブ・セールディティール・リサーチという、基礎研究から承認までの期間を今の半分ぐらいにすると、そういうシステムをつくらないといけないんですね。その中で、例えばライフサイエンスは産業界とかライセンシングというちょっと特殊な事情にあるんですね。ですから、その中でライセンシングとか産学連携を考えていってほしいと。
 10年来これをやろうと思っているんですが、全然動かなかった。僕がいろいろ調べてみると、今の問題をあしたに解決しようと思っているから全然動かないんですよ。10年、15年、20年先を見越したシステム改革をやりましょうという長期スパンで考えて、世の中を動かそうかと思って、今、その提案をしているところなんです。TRという概念はもうすっ飛ばしたいんですよ。あれがある限り、基礎があって、前臨床、臨床1、2、3があって、小児科で臨床4がある。この時系列をいかに壊すかなんですよ。普通そんなことをやっていないわけ、ライフサイエンス以外は。だから、非常にインパクトのある概念変化をした上で制度設計をしてほしいということなんですね。

主査
 いろいろなプロセス全体を破壊するといっては何だけれども、確かにおっしゃるとおりですね。

委員
 これは議員連盟とか「イノベーション25」にはもう既にインプットしかかっているんですが、具体的に何をやるかというのを、大きな話として法律を変えなくてはいけない。法律をつくらなくちゃいけないとか幾つかのことがあるので、それは提言します。その中の一つがここの問題としては非常に大事だと思います。

主査
 今日のご報告は非常に現実的問題をご指摘、まとめていただいていると思うんですが、今のような観点から、こういう文章は、正直言うとたくさん字が書いてあるし、今言われたようなことだとすると、新しいシステムを創造するとしても、どういったものが解決されなければいけないのか、どういうふうな時間スパンとか、どういう内容が進まなければいけないかとか、その要件の方からやって、それをきれいに並べて整理してもらった方が考えやすいと思うんだね。こういうふうに書かれると、今のこれについてはどうだというふうな議論にどうしてもなってしまうから。これもあしたに向けては大事なのかもしれないんだけれども、せっかくそういう概念が出てきているとすれば、ぜひここを皆さんの部隊もそれに合わせた大きいシステムの、まさにイノベーションだから、それを考えて設計するようなまとめ方もされるといいのではないかと。

委員
 ちょっと補足させていただきます。今おっしゃられた、我々小委員会ではどちらかというと知的財産問題をフォーカスした審議をしておりますけれども、主査におっしゃっていただきましたように、今日の報告はそういうことではございますが、考え方を大きくと、そういうふうに理解させていただきます。ありがとうございました。

主査
 それでは、この件は、特になければよろしいでしょうか。そういう方向で進めていきたいと思います。

委員
 ちょっといいですか。私は核酸創薬のベンチャーにかかわっていて、今のTRの話というのは非常に感じるんですが、こういうシステムはすごく重要なんですけれども、文化というか、例えば新しいタイプの医薬だと厚労省が通すのにすごくヘジテートしますよね。時間をかけて丁寧にやろうとするんです。やはり何か問題が起きれば訴訟なり、これまでも訴えられてきていますし、今も真っ暗みたいで。ベンチャー企業はそういう状況をよくわかっていますので、比較的新しいタイプの医薬があれば、まずアメリカでやろうと考える。私がかかわっているところもまずアメリカに、企業としてFDAを通してから、いずれは日本市場にと、そういうパターンですね。ビジネスマンの感覚からするとそれはしようがないと思うんですね。我々がいかに日本からやるんだといっても、ビジネスですので、そうならざるを得ない。だから、システム、レギュレーションも大事なんですけれども、もう少し大きな部分で、例えば訴訟が起きても、責任を一部制限、あるいは、ブロックできるような仕組みを何か考えてあげないと、厚労省の医薬行政にかかわる人々も思い切った方向には動けないと思うので、そういった点も配慮してほしいなと、一ベンチャーにかかわる人間としてはそのように思います。

主査
 ここは委員のお考えを支持して、先生も。

委員
 臨床研究基本法というのを制定していますが、この中には患者の保護とか、リスク管理、先ほどの免責のようなものとか、そういうような条項を盛り込んだ、薬事法との関係をどうするかはまだよくわからないんだけれども、新医療技術に関する薬事法的なものの制定や、臨床研究基本法をつくるのが一番いいと思うんです。その中でこういう産学連携の問題も推進するとか。それから、PDMAの抜本的な改革でね。あれをゾウキョウイでやったらだめだけども、全く新しい、承認機関から支援機関にすると、投薬の支援機関に。FDAというのもそうだと思うんですね。そういうものを盛り込んだものを制定するのが一番いいのではないかなと思っていましてね。我々のセンターではそれを今考えて提言しようと。その中にどういう項目を盛り込んだらいいか、ぜひ教えてください。これとは違うかもしれないけれども。

委員
 非常にいい話を伺いました。我々はベンチャー、もう自由にうたったりとかはしてみたんですが、ベンチャーをサポートするインダストリーがないんですよね。したがって、さっきおっしゃったようなアメリカへ行ってしまう人がいる。向こうへ行けば全体にそれがあると。せっかくベンチャーを起しても、その一つひとつ、外注先もあるわけでありません。装置もつくらなければいけない。いろいろありますので、ぜひベンチャー、まさに研究の創薬の支持とビジネスをつなぐ間がベンチャーの大きな栄誉だと思うので、そのベンチャーをサポートするインダストリーがどんどん動くように、ぜひ生駒構想の中に入れていただけるとありがたいと。

委員
 生駒構想ではなくて、飯村構想です。飯村先生にやってもらって。

委員
 ベンチャーの話が出ましたので、追加で1点ほど言わせてもらいます。これのどこかにベンチャーは未成熟だというお話がありましたけれども、現場で感じるのは、1つは日本版ソックス法の問題と上場基準の関係なんですね。ソックス法の方で言いますと、つい最近新聞で多少見たのによりますと、米国では中小とかベンチャーについては企業統治を緩めるという方向にまず来るんじゃないんですかね。日本では資本金が大きければベンチャーであろうが何だろうが、法律はかかっていると。ベンチャーの現場ではそれはわかっているんですけれども、できないので、今放っております、あんなお金をかけても。つまり、法律があっても意味がないというのが現実の状況だと思います。これはおかしいですよね。ですから、日本のベンチャーあるいはライフサイエンスベンチャーをきちんと育成するのであれば、ベンチャーのフェーズに応じた企業ポリシーを考えて、日本版ソックス法の修正ないしは例外がほしいと考えているんです。大きな企業も小さなライフサイエンスのベンチャーも、単に資本金が大きいからということで一律に同じ法律がかかるのはおかしいと。
 もう1点は、上場が難しくなってきまして、最近かなりとまっています。これで首を絞められているベンチャーがたくさんあります。これは東証とか大証がやることなので、周りからとやかく言うことはできないかもしれませんけれども、投資家は投資家のリスクできちんと投資をしてもらえば、ある程度のレギュレーションをするにしても、あまり厳しいとベンチャーは簡単に死んじゃいますので、何かご配慮いただきたいなというふうに、現場サイドからはそう思います。以上です。

主査
 厚労省はできるだけ何もやらないと言っても、何もやらないのが患者の防御になるかというと、外国に行ってやっちゃうとかいろいろ出てきちゃうから、現実にはある程度そういう方向から勇気を出して総合的に考えてやってもらわないとしようがないということだと思うんですね。もちろんベンチャーの問題もあるかもしれないんですが、ぜひ生駒委員の、ワーキングの先生はしらないけれども。

委員
 期待しています。

(3)大学等(TLO含む)の産学官連携・知財の組織的・戦略的な対応及び人材育成の強化についての審議状況

  • 資料6-1、6-2に基づき石田委員より説明があった後、質疑応答が行われた。その内容は以下の通り。

委員
 小委員会で報告したことは、きょうお2人の委員が参加しておりますので、どうぞ突っ込んだ質問などお願いいたします。

主査
 いかがでしょうか。ここでまとめていくのに、今の議題は、この委員会の終りに担当する部分というのかな、役割として関係は最も直接的だと思うんですが、1つは、知財本部とTLOは、両者違う機能があるというので2つ同時に設けたわけではなくて、2つできてきたという経緯があるので、ここに至っていろいろなことが読めてきたという意味では、ここのご意見で統合するなり何なり、新しい形で一本にした方がいいのではないかというのは大体共通の意見だということだけれども、TLOは必ずしも今のとおりでも採算があっていることではないから、簡単に取り込むと赤字を背負い込むということにもなるので、それはどうするんだというようなご指摘が一番のポイントになっていると思うんですが、もうちょっと希望が持てるような、こうすればというようなご意見とかございますか。スケールを大きくするだけなら、幾つかが一緒になってTLOをつくっていくとか、知財本部を全部一緒にできるのかどうかというのはあるけれども、共通とわかることで、例えば専門の部門を、専門ごとにまとめていくとか、そういったアイデアもあるんじゃないかと思うけれども、そういうことをやると採算性がよくなるということにはならないね。

事務局
 資料4-3の6ページをお開きいただきたいと思います。これは内閣官房の知的財産戦略本部で議論されたときの資料でございますが、ここに国立大学法人やTLOに関する最近の動きというのがございます。国立大学はもともと法人格は持っていなかったので、TLOを別につくっていったという経緯があったわけでございますが、国立大学法人という法人格を持ったということで、例えば今進んでおりますのは、法人内部にTLOを設立するという動き、具体的には、現在、清水先生がお詳しいと思いますが、東工大で外にございましたTLO、財団法人理工学振興会という東工大のTLOを内部化していくということも出てきております。これは今年に入ってから起きたことでございますが、新潟大学が新潟TLOに対して出資するというようなことも出てきております。なぜ新潟大学からTLOに出資したかと言いますと、新潟TLOは、新潟大学だけを相手にしているわけではなくて、新潟県内のほかの長岡技術科学大学や県内の私立大学の技術移転もお手伝いしていたんですが、新潟大学が一番関係が深く、そこは連携強化を図りたいということがあります。それ以外にも、四国については四国TLOというのがございますが、4にございますように、四国の国立大学法人が一括でテクノネットワーク四国、四国TLOと呼んでおりますが、そこと連携協定を結んで広域型のTLOとして機能しているということもございます。いろいろな形態が出てきておりまして、現在、それぞれの大学、TLOで最適化に向けて努力をしております。ただ、まだ採算性がよくなるというところまでいっていないということでございます。

委員
 このTLOというのは経産省もお金を出しているんだっけ。

事務局
 TLOにつきましては、承認後5年間、経済産業省から立ち上げ支援ということで経費の3分の2を支援しております。ただ、大体のTLOについては立ち上げ5年間がたちつつございまして、現在支援しているのは十数TLOと聞いておりまして、ほとんどは支援していないということでございます。ただ、TLOの特許出願経費等については、JSTや経産省から支援しているということでございます。

委員
 それを入れて黒になっているという報告ですか。4機関ほど高いんだというのは。

事務局
 それを入れて黒になっているのが二十数機関ございまして、国や都道府県から助成金を出している場合が含まれるのですが、そういうものを除くと、黒字になっているのは4機関という状況でございます。

委員
 JSTを経由しながらTLOをやっているところは、特許出願の費用を持ってもらうから何とか黒字になっているという話で、それもなくても黒字が4つ。そういう意味ですか。

事務局
 経産省からも都道府県からも助成金がなくて、経常利益として黒字になっているのは4機関ということでございます。

委員
 ここで大学のも含めて国が面倒を見すぎている。本来、大学にものを投げちゃって、お金も要らないのか要るのか、そこだけで。こんなところまで面倒見て突っ込む必要はないので、TLO予算を切りましたと、一発で大学、やれる話ですよ。ここは市場メカニズムに任せてやらないと、かえって駄目じゃないかなと見ている。知財本部というのがいいと思うんだけれども、TLOに関しては市場のメカニズムじゃないかなという気がします。

委員
 今度はちょっと反対なんですけれども。TLOというのは存在意義があると思うんですね。例えば、大学の中に入ってしまうと、人材は3年とか2年でほとんど替わっていっちゃうんですね。そういう大学の人的な管理システムに組み込まれてしまう。これは非常につらいところですよね。TLOは外部でもある程度人材を養成できる。これは非常にメリットがありますし、ガバナンスも、大学から離れて、ある程度自由にできる。これも非常にメリットがあるんですね。歴史的には、もちろん法人の問題もあったんですけれども、大学の中につくると非常に硬直した組織になるから外につくろうという、一種のモチベーションというか、動機づけがあったと思うんですね。ですから、今回の報告書でも一本化の方がいいのではないかというふうに書いてありますけれども、安易に一本化の方向だけを押し進めると、必ず弊害が出ると思います。ここに幾つか最適化の例が出ていますけれども、各大学組織によっていろいろあると思うんですね。それぞれが一番いい方法を探せばいいので、一本化しようがしまいが、それはいいのではないかと私は思います。この問題は新しくて古く、考えてみれば、CASTIはもともとこういう議論をやっていましたし、CASTIの創設当初は、日本全国のバイオシーズを扱う横断的組織になろうということで動いていた時期もあるんですね。だから、最初はCASTIは日本でその分野での唯一最大の機関になろうとして動いた時期はありました。それが現在、東京大学とやろうということで非常に緊密な関係になりましたけれども、私が外で見ている限りは、東大はそんなに完璧に同一化させてないんですね、僕があまり知らないだけかもわからないけれども。それは放棄したらいいんですけれども。多分うまく距離をとっているということもあるかもしれません。そこは距離をとるということがかなり重要で、そこがマネジメントの難しさだという気がします。

委員
 僕の意見は一本化に賛成と言っているんじゃないんです、要らないと言っているんです。国が援助しなくていいと言っているんです。TLOはつくりたければ株式会社がやればいい。

委員
 援助は要らないと。

委員
 ええ。一本化したらなんて言っていない。要らないと言っているんです。

委員
 それはちょっと賛成しかねます。というのは、私は大学のTLOを立ち上げた立場と、もう1つはテクノマートと言いますか、知財のマーケット取り分で日本にそういうものを立ち上げようという立場と2つあるんですけれども、今、現実に知財を取引して自活できるような企業はありません。また、そういう文化もこの国にはないので、そこだけは引っ込めといてほしいんですが。

委員
 いえいえ、よく知っているから言っているわけです。

委員
 大学は特許をとっても、それを自分で使うところではないので、必然的に技術移転の人材も育つし、逆に言えば国としてこれを育て上げないと、グローバルに戦略の立てられると言いますか、環境のいい国に、ベストマッチングなんて今言っていますけれども、ほとんどは相手にとられる負けマージャンの典型をやっているわけですね。それを全部パラダイムシフトしようというのが国全体の施策であって。私、全部を知っているわけではないんですけれども、私たちの事業でやっている部分においても、もうそろそろやめた方がいいのではないかという議論もいっぱいあります。では今までの話はどうなっているんだと、こういうものは研究と同じで、愚鈍なぐらい努力して、どこかから神様の声がぱっと聞こえてくるんですね。計画どおりにいくんだったら、戦争なんか世界からなくなるんです。これは非合理的であっても、我慢のしどころを逸脱してはいないと考えないと、私が今までやったことは何だったのかという話になってしまうので、そこは少し考慮してほしいというのが私の2つの立場からの意見です。

委員
 私は企業におりまして、今、理研のようなアカデミアにいって、従来、大学も含めて例えば職務発明という概念がなかったということで、今、課題になっているイノベーションとか産学連携ということについて言うと、未開拓な状況から急速立ち上げを視野に入れている。したがって、産と学の人材の移動もあまり円滑ではなかったということも含めて、大きな穴が日本の中には開いていると。最終的にはそれは人材によって、先ほどの橋渡しも含め橋渡しできる人材が育たないと、制度をどうやってもうまくいかないであろうというのが一つの私の見方なんです。人材育成に時間がかかることと投資がかかるんだという仮説に立って、政府が何らかの投資ということでこれまでTLOとか知財本部、その他大学発ベンチャーとか、合計しますと、かなりの投資を行ってきた。今後どうするのか。もう投資は要らないのかという以前に、私はCSTPでイノベーションの予算の提案を見ていますと、いつも同じ話になるんですが、文科省が出している事業と、経産省がTLOをサポートしている話とか、これを一回皆さんご相談になって、相談した結果として、それでは文科省はこの部分の助成の事業を引き受けるよと、経産省はここを引き受けるよという意味では、お互いそれぞれのミッションがあるわけですから、切り分けをしていただくことが必要かと思います。ここまで急速に立ち上げるためにそれぞれが思いを込めて、お金もいっぱい投じてきたことのレビューを、省庁を越えてもっとやっていただかないと。やっていただいているのかもしれませんが、少なくともきょうのCSTP評価に出てきている概算要求その他を見ている限りにおいては、もう既にやられてきたことを各省庁ごとの事業として総括しておられますけれども、やっているのかなということが大きな疑問点として一つあります。
 もう1つは、前提としながらもう一回見直して、引き続き日本はそこにもうちょっと国としてお金をかけようといったときに、国がかけるべきお金のかけ方の問題になってきたときに、理研もそうですし、アカデミアもそうですが、もうこの辺でシーズ側に備えるべきなんだろうというのは、どう考えてもマーケティングをやったり、テクノロジーの理論でうまくやるということはできないんですね。
 大学で言えばすべての部門に対してきちっとした特許を出そうじゃないかとか、こういうのは載せちゃいけないという最低限のミニマムファンクションは引き続き持たないと。もともと職務発明という概念がないままきたところに、付随して大学には最低限特許のわかる人がいて、申請ができて、違反は起こさなくてと。しかし、サービス精神だったら、そこに売り込む力とか、情報発信というのは限度があるということは知るべきで。一方で、育ててきたコーディネーターとかいっぱいいますよね、ああいう方たちを専門職としてマーケットをつくってあげなければいけない。そうするとお金の投じ方が別の方にいって、端的に言えば科研費だ何だという、研究資金の中にこの研究はイノベーションにつながる可能性があるんだったら、弁理士を雇いなさいよとか、そっち側にお金をつけて、研究をやっている側がどこかにいい人がいないかなというときに初めて、この数年間で育てられたコーディネーター、何々大学で活躍したあの人を使いたいとか、そういうマーケットができていて、さっき言った橋渡しの人たちが政府によって割り当てられて配られて、労賃でやっている世界ではなくて、そういう人たちが積み上げてきたノウハウがバリューとして通用するようなマーケットができるような方向のお金の投じ方というのを見直す必要があるのではないかなと、そんな気がしています。私が一番よく知っている世界で言えば、ベンチャーの育成がそうで、ベンチャーを育成するために政府は何をすべきかといったときに、一番最悪なのはベンチャーはお金が足りないからと、国のお金をベンチャーにあげちゃうことですね。それに何百億も出すお金があるんだったら、ベンチャーの製品を最初に買った方にお金をつけて、ベンチャーの製品を買ってみて駄目なところがついたら買わないよという、顧客側に立つ方にお金を使った方がベンチャーを育成できると思うんです。それと同じように、同じお金を政府として投じるなら、どちら側に投じるかという意味での見直しをしていただいた方がいいのではないかなという気がします。

委員
 大分はっきりしたご意見がいっぱい出たんですが、大学が知財の管理に特化するのか。生駒先生は大学が技術移転をやってもいいと。TLOはやめろということですか。

委員
 TLOは要らないということですね。

委員
 武田先生のご意見は技術移転のファンクションは要らないと、そういうふうに理解したんですが。

委員
 TLOファンクションは、ある意味で生駒先生と同じで、自分がこれは見込みがあるなという人がとりに行けばいい。

委員
 わかりました。

委員
 TLOを国が援助している。

委員
 それはよくわかりました。要するに、大学で生まれた知財を移転する、そういうファンクションをどこに必要だと、そういうことですね。

委員
 移転ではなくて売るんです。知財本部は商品を自分の中で蓄えて、すなわちライセンスが入っている、それを売るということです。いろいろ言うと長くなるのであまり言いませんけれども、売るという行為にTLOといういわばリクルートみたいなものがあれば、市場メカニズムができるわけ。自分で売れる人は何もそんなもの介さないで売りましょうと、商品になるんです、そこで。

委員
 それを実現しているのは、学内に一体化したやつがそういう形をとっているんですね。それから、企業の偉い方々は皆オープン・イノベーションということを考えておられるわけですが、オープン・イノベーションというのはライセンスインするということであると、自分たちの技術をマーケットに置くということだと思うんですね。ところが、我々の立場から見ますと、おっしゃっていることとやることは全然違う。企業は相変わらず自前主義ですし、自分のものは出しませんし。オープン・イノベーションになっていれば、武田先生のおっしゃることは成り立つと思うんですけれども、それはそういうふうに動いていない。どこでやるかは別にしろ、やっと知財と技術移転という一つの大きな流れが出てきたのではないか。それを今までのTLOと知財をどうするか、これはいろいろなご意見があったんですが、今一番大事なのは、この世界では清水勇先生と、私の方がちょっと長いかな、随分おもしろい世界なんですね。新しいものも出ますし、非常にエキサイティングで、非常におもしろい世界、魅力のあるところだと。それが今、この魅力をうまく外にアピールできていないから、いい人もなかなか集めにくいという感じがちょっとしております。 もう少しこの世界の魅力を外に向けて。そのために一番大事なことはリーダーですね。その中で一番核になるリーダーをうまくつくっていって、リーダーと仕事の魅力で新しい人がどんどん集まる、そういう仕組みになると一番いいと思っています。それから、先ほどご説明があった研究戦略部門、これはちょっとよくわかりませんけれども、今一番大事なのは、本当におもしろい仕事がある。そのおもしろさを人にわからせることと、おもしろいことをうまく動かすリーダーをつくっていく道はないかと思っています。

委員
 この報告にも書いてある委員会の中で、私はTLOのデータについて報告させていただきました。これは2003年の時点ではTLOのデータ、パフォーマンス上ロイヤリティーをパフォーマンスでとって、どういう組織的な要因が関与しているかということを見たんですけれども、例えば、いろいろな活動をやっている中で、マーケティングと広報的な活動と分析的な活動の比率で言えば6対2対2が一番よくて、そこが外れていくとどんどんパフォーマンスは落ちるとか。あるいは、非常勤のスタッフがうまく活用できていないとか、あるいは、ミッションが地域の企業に技術移転しようとすると、的がすごく小さくなるのでパフォーマンスに影響するとか、そういうようないろいろな要因が分かりました。 逆に言いますと、そういう要因を全部ベストパラメータにもっていきますと、結構いいパフォーマンスが出るはずだということがいえる。今4つのTLOが黒字になっているということですから、そういうことを目指してやっていけば、かなりパフォーマンスは高くなるはずです。ところが、それが実現できない阻害要因がある。たとえば、マーケティング6対2対2というのは分担でできる業務ではないようですので、そうしますと、そういうことが全部できる人がいないとできない。もう1つはミッション、これは設立の経緯から、例えば地域だったら、地域のためにならないと駄目だということになっているんですね。そういうような阻害要因をどうやって解決していくかということが一つの課題となる。
 それからもう1つは、三木先生が指摘されていると思うんですが、大学TLOというのは組織が独立しているということで効率性がはっきり分かる。これは非常に重要であって、効率性向上に取り組まざるを得なかった。その結果、技術移転ということに対する効率性が、ある程度高くなって大学の中に取り込まれて、その構造が維持されれば、大学にとっては非常にいいことではないかというような意味合いもあると思うんです。当然、足りない部分がいっぱいあるわけだけれども、そういうような意味で効率性ということは視点からは外せない。そして最後の姿を考えていったときに、技術移転という機能を、ここにも書いてあるんですけれども、技術創造活動に匹敵するような機能があるということを言っています。これはデータから導き出していることなんです。具体的に言うと、開示された発明とライセンスされた技術とは異なっていて、ライセンスするための活動で相当程度いいプランが創造されている。もっとわかりやすく言えば、そこらのあまり質のよくない先生にお金を渡すよりは、いいライセンスアソシエートに技術移転させた方が技術が創造されるという結果になる。それを考えると、大学が持つべき技術創造という機能に技術移転が組み込まれている。そこを最後の姿として大学の持つ機能として見たときに、最後に残ってくるのはマーケットなんですね。マーケットも、知財本部とかTLOを集約していくというか、選択と集中をしていこうというときに、残ったところはどうするのか。本当は効率よく低コストでアクセスできるマーケットがあれば、どこでもいいわけだけれども、それが十分にない。今から誰かが助けてあげないといけないというわけではないけれども、一方でちゃんとしたマーケットをつくらなければいけないという役目があると思うんですね。というようなことを考えたときに、最後の姿は、大学の中に機能としての技術移転があって、そしてマーケットだと。そこの機能の中に技術創造の機能があって、そこにどういう形でお金を入れれば効率がいいのか。最後は、JSTも書いてありますけれども、JSTだって結局国のお金が回るわけで、完全な民間だけでそれができるというところで、技術創造が十分できればそのほうがいい。何を言っているかというと、TLOという組織を維持するために助成するのではない、技術創造のための助成すると。そういう考え方をたどっていったときに、どういう姿になるかということを議論しているんだろうと理解しています。

委員
 TLOのファンクションが大学知財本部のファンクションとある部分はオーバーラップしながら、ところがTLOになるとファンクションの一部分しかない。その部分が通常は技術移転とか特許の理解という非常に単純化された視点で言われるんですけれども、実際のところは大学の中のイノベーション力を上げるための研究力の改善のために、マーケット情報に基づいてまた研究者にいろいろな情報が返っていくという考え方ですね。ですから、ある面でいうと大学の研究者のタコツボ化防止に大きな格式を連ねているんですね。それがもっと時間がたっていけば、そのファンクションが多分なっていい時代が出てくるはずですから、こういうファンクションをもう一度いろいろな形で整理していって、それぞれの大学が今の時点ではどの形態が一番コストパフォーマンスがいいか、大学と一体化した場合にはどういうメリットが大学側にもあるのか、こういった中長期のビジョンをはっきりするということがこの1、2年、2年もたってはいけないですね、1年ぐらいではっきりと持っていくということで、今、大事な時期になっているというふうに理解しています。そうしない限り、第1ステージの産学連携が第2ステージに上がっていかないという感じがあるんです。

委員
 私も報告者として少し補足させていただきたいと思います。生駒委員の論調的な論調も小委員会でも多々ございました。ただ、結論的なコンセンサスとしては、TLOにしても大学の知財本部にしても、機関を国が支援するという考え方から、機能ですね。機能、役割をきちっと整理して、しかる後に支援の考え方を従来と違う形で整理しているときではないか。そして、知財本部とTLOの統一化につきましても、一律に考えるという考え方はとるべきではない。すなわち、大学あるいはTLOの事情を考慮して結論を自己責任的に出すべきだと、コンセンサス的にはこういう雰囲気だと私は認識しておりますので、補足させていただきます。

委員
 TLOに働く者から委員として出た立場から、TLOの話題になっているので、ここで発言しないということはないだろうなと思いますので、発言させていただきます。
 コーディネーション機能とか、そういうマーケットをつくっていかなくてはいけないというようなお話がありましたが、そういう動きが実際にあるのではないかと思います。内部にTLOを置くのか、外部TLOにするのかといったときに、TLOというのはサービス業というか、産業界との連携を橋渡ししていったり、産業界の情報を入れていくというようなサービス業的な仕事がメインになりますが、そのファンクションとして、有能な人材を内部に固定しておきたいのか、それとも、組織として魅力があるんだったら、その組織とどう連携するかというところで、大学は選択されているんだと理解しております。TLOの中にいる人間としては、お客様である大学に対してどう魅力ある組織として機能していくかというところで、そういう評価をされている場面ではないかなと思っています。ですので、大学が欲しているようなニーズ、いかにイノベーションを起していくかというところで、私たちがどういうサービスを提供できるかというところで大学から評価をされている。組織として魅力があれば、組織とどういう連携をしていくのか。人として興味を持った、この人がいいということであれば、ポイントで何でもいくというようなデータバンクがあるのではないかと思います。ですので、そこはTLOという分野での業界というか、そこの市場原理がこれからも働いていって、内部に置くのか、外部組織として連携するのかというのは、これからそういう動きというか再編はあるんだと思います。ですので、それは一律にこうしようと決めるよりも、自然の流れのままに再編されていけばいいなと私自身は思っています。

委員
 小委員会の中で出てきた議論の最大のポイントというのは機能に対して支持をする、あるいは、支援をすると。TLOとか知財本部という組織ということではなくて、どういう機能が大学から産業界への技術移転が必要か。その必要な機能に対して支援をしていくので、それがTLOであれ大学知財本部であれ、そこのところは各大学の中での仕分けという要素が強いんだろうと思います。問題なのは、最終的には知財本部もTLOも国の予算がなくてもやっていけるというところに持っていくわけですから、その間の中でいつまでどういう支援をするかという中で、財政的なグラント事業の中でどういうふうにその方向に持っていけるか。今後はそうした意味での産学連携事業としての位置づけをしていく必要があるんだと思います。初期の段階では、各大学にとりあえずつくらなければいけないという意味で、ばらまき的要素もある程度必要だと。それを越えた中で、今度はその機能がそこの大学にとって要るのか。大きいところはすべて要るからそのとおりだと思いますが、小さいところは本当に要るのかと。それは地域の中で補完できるのか、国として補完していくのか。そうしたいろいろなモデル事業を進める中でそれぞれの組織の変革と再編を促していく。そういう要素をこれから入れていかないと。今のやり方でいくというのは、恐らくどなたも考えていない話で、どうやってその方向に持っていくのか。そこに対して政策的な課題をちゃんと提示できるかどうか。そうしたフェーズに、第2フェーズとして入っていく時期ではないかという気がしています。

委員
 違った視点でTLOのことを申し上げますと、赤字といったときに組織論の話ですね、赤字になるからまずい云々ではなくて、どういう組織形態がいいかという議論が必要ではないか。株式会社という本来営利主義を目的にしている法人形態を使うということは適当なのかと。理工学振興会はたしか財団法人にされていまして、収益事業でそういうのをやられたかもしれないわけですけれども、そうすると資金の調達として寄付とかいろいろやりようがあると思うんですね。ですから、この際、日本の世の中は法人形態で、合同会社とか有限責任組合とかいろいろ形ができているので、そういったものを使うというところもいけるよという機能を、よりスピーディーにやるということはありえるのではないか。株式会社を前提にしているというところが今ひとつ、赤字の根源は結局、株式会社であれば赤字は必ずPL上出てきますから、それを隠すわけではないけれども、それを極小化するという意味でのありようはあるのではないかなと。それと助成の受けやすさということがあると思います。もう1点、前回うがった形質の意見を出して事務局に怒られましたけれども、資料6-2の4ページで、選択されて集中してそういった機関がなくなったら、一つの機関が受け皿として機能を担うことになるので検討するというのは、また新たな独立行政法人をつくる含意があるというふうに理解してよろしいんですか。

事務局
 全く考えておりません。

委員
 技術移転という言葉を使っているから、ミスリーディングですよ。技術の売買と思った方がいい。技術移転というのは官から民へ移転するんだと。そうではなくて、IP、技術というのは売れるものをつくる、大学は売れる技術、IPをできるだけつくろうというのが知財で、その知財の中にマーケティング機能があれば、そこが売ればいいけれども、そうじゃない場合には別の業界、リクルートと同じですよ。技術のリクルートをつくると。リクルートをぼかしているんですよ。TLOも官の援助など受けないで自分で株式会社をつくられたらもっともうかりますよ。今のアイデアを全部変えちゃうんですよ。ライセンスイコールになったってだめで、もしIPが悪ければ、ほかのIPと組み合わせてワンパッケージで売るとか、サイズのIPをいいものにして、場合によっては自分で研究所を持ったっていいんです。あるいは、研究自体をどこかにスタッフドリサーチとかに出してIPをよくしていくと、すごくもうかるビジネスになるので。今、官製のTLOにいる人はぜひやめて、株式会社TLOでうんともうかるビジネスになると。これはマーケットが大きく開けて、サービス産業の新しい市場をつくる。これはサービス・イノベーションになりますから、ぜひこの際TLOには官からのお金はやめると、サービス・イノベーションが起こりますから。

委員
 反対です。技術移転は基本的に売買しないんです。コミュニケーションです。特許権の移転というよりも、ノウハウの移転とか技術指導が生まれるのがはるかに大事だし、共同研究もすごく大事ですし、技術というのはトータルで移転していくんですよ。あれは売るものじゃないです。そういうふうにあれを商品として考えたら、大学が絡む、民民の場合はいいですよ、そうではなくて、アカデミアとプライベートカンパニーが絡むエリアの技術移転はうまくいかないと私は確信しております。

委員
 若ければ僕はTLOをつくって立証してみせるけどね。

主査
 いろいろありがとうございました。大変貴重な意見交換ができたのではないかと思います。
 もともとは大学には何かあるのではないかということで、それを管理しないと駄目よと。ゼロックスにあるものはできれば技術移転しましょうというようなところからこれは起こってきている。だけど、ここにきてかなり結果もはっきり見えてきているわけで、それに適した組織を考えていく、あるいは、これを国としてさらに進めなければいけないとすれば、どういうところに投資していけばいいのかということを、ここはあと何回かあると思いますので、もうちょっと詰めていただければと思います。
 いずれにしても、今のご意見を伺いますと、知財本部とTLOはまとめればいいやというものでもないし、TLOはTLOだけで独特に自立してやっていって、大学などに依存していないというか、特定の大学の持ち物でもないという行き方だって当然あると。これは確かにあると思うんですね。そういうような行き方もあるので、そういうようなケースで考えないといけないのではないかというご意見が全体に強かったように聞いておりました。
 あとは、大学が産んだものを単純にトランスファーするというよりは、プロジェクトというのは初めからイノベーションを産むんだという覚悟で決めたとすれば、そういうプロジェクトマネジメントは初めからすべきだというふうに考え方がだんだん変わるのではないかと思うんですね。大学の中で蓄積されているから、それをどこかに移せばいいという考え方は、さっきのライフサイエンスの例ではないんだけれども、既存の組織に拘泥した考え方であるような気がするんです。そういう意味では、TLOというのは、名前がいいかどうかわかりませんが、可能性はあると思うので、これをいい形に議論をしていくというのは非常にいいのではないかなと。実際できてから5、6年たたないとものは出てこないんですね。皆さんのを拝見しても、ようやっと外にプロダクトが出ていっているんですよね。そういうことから考えれば、さっき4つしか成立していないとおっしゃったけれども、まだまだこれから希望はあるのではないかという気もするから、ぜひ。例えばほかのところをやめて、予算をとってきてそれを伸ばすようなことを考えるべきかもしれない。

(4)その他

  • 資料7に基づき、事務局より今後の予定について説明があった。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)