産学官連携推進委員会(第30回) 議事録

1.日時

平成18年8月2日(水曜日) 15時~17時

2.場所

キャンパス・イノベーションセンター 国際会議室

3.出席者

委員

 白井主査、石田委員、北村委員、武田委員、松重委員、安井委員、伊藤委員、長尾委員、清水啓助委員、本田委員、三木委員、吉田委員、渡部委員

文部科学省

 徳永研究振興局長、藤木大臣官房審議官(研究振興局担当)、井上技術移転推進室長、上田研究環境・産業連携課長補佐、笹川技術移転推進室長補佐、小石専門官

オブザーバー

報告・説明者
 安井委員(大学知的財産本部審査・評価小委員会主査)、石田委員(大学知的財産本部審査・評価小委員会副主査)、本田委員

4.議事録

(1)国際的な産学官連携活動の推進に関する進捗状況について

  • 資料3‐1、3‐2に基づき、安井委員、石田委員より報告があった後、質疑応答が行われた。

 その内容は以下の通り。
 (◎・・・主査 ○・・・委員 △・・・事務局 □・・・説明者)

委員
 私は知財・技術移転の世界に入って既に8年近くなりますが、正直言って今の国際的な展開の話を伺っていますと、現状とこれから展開されようとする国際的な産学官連携とはすごいギャップがあるのではないかと感じています。今はやはり国内の技術移転だとか共同研究などを通して国内でまずイノベーションを起していくことが一番重要で、そのメカニズムをどうやって創っていくか、まだこれが途上ではないかという気がしています。それから海外の技術移転がうまくいっていないじゃないかというご指摘もあったのですが、これは国内でも同じでして、良い研究成果があれば黙っていても国内も外国も進むのではないかと思います。従いまして、一番必要なのは、まず国内の産学のメカニズムを構築することが先ではないかというのが、今お話を伺っていて素朴に受けた印象です。
 それから、国際的な産学官連携についてはいずれ大事な話になるとは思いますが、ここでいくつか挙げられている課題について簡単に意見を述べさせていただきます。まず最初に国際的な産学官連携ポリシーを作ったらどうかということですが、知財本部を始める前か後か各大学によって違いますけれども、産学連携ポリシー、知財ポリシーの中にはもう既に国際的な産学官連携ポリシーが含まれているのではないか。このグローバル化した時代で、国内だけを念頭においてポリシーを作った大学はないのではないかと思います。今説明を聞いたばかりなので詳しく見ていないのですが、正直言いまして一体どんなイメージのものを作らせようとしているのか、いま一つわからないのです。今さら国際的と銘打ってやるという段階はとっくに各大学は越えているのではないかと思いますので、国際的な側面を強化しろというぐらいの方がいいのかなという気がしております。
 それから、人材の話が再三にわたって出てきているようですが、ご説明があったように技術がわかって、知財がわかって、交渉ができるという人材は全くいないんじゃないかと思います。では、どうやっていくかといいますと、いずれかのポテンシャルをもっている方を実際の現場に連れてきて、現場で能力を向上させていくべきではないかと思います。今、例えば弁護士、弁理士をお願いしても、言われたような能力のある人は多分誰もいないと思います。やはり、現場の経験を踏まえた上でやっていく話であって、産学コーディネーターを派遣するというのはちょっとあたらないのではないかと思います。こういう分野に取り組む人材については、各大学が主体的に能力のある人を採用、育成するやり方でやった方がいいような感じがいたします。
 それから、国際的展開という問題で一番ひっかかりますのは、やはり日本はジャパン・ファーストでいくのではないかということです。外国の問題に関しても日本で技術移転や共同研究などが進んでいれば、日本の企業を通じて国際的に展開するというのが普通の形なのではないかという気がします。結論から言って、良い研究であれば特別に国際的な展開というものを考えなくても研究成果は学会等で全部海外に流れていきます。いい研究であれば間違いなく外国の企業なり研究機関からコンタクトがあると思っています。
 ですから、いい研究をすることが何しろ一番大事なわけでして、それでも積極的に日本独自でやりたいということであれば、イギリスの場合はBTG、ブリテッシュ・テクノロジーグループというものがあります。これがイギリスの研究機関や大学の研究成果を積極的に海外に紹介するスキームを作っています。国際的なコーディネーターを派遣するよりも、そういう機能が必要であるとすればJSTでも何でもいいですから、そういうファンクションをもつ機関を作った方がうまくいくのではないかという感じがしています。いずれにしても、今一番大事なのは如何にして日本の大学・研究所がいいと海外から思われるか、魅力ある研究成果を出せるかということだと思います。魅力あるものを出せば国内でも技術移転は動きますし、必ず海外の企業も寄ってくると思います。正直言いまして私どもの経験からいきますと、国内企業よりも海外企業の方がそういうことに対して非常にドライだし、契約条件についても国内の大企業のように従来の横並びだとか慣行だとかにとらわれずに、こちらの条件に対して非常にジェネラスなオファーをしてくれると感じております。
 従って、国際問題をどう位置づけるかという前に国内の問題をまずしっかりやっていただきたいと思います。それから国際的展開については国際的なポリシーを作るということについては、もう既に各大学のポリシーに入っている話ですので、側面的に強調するようなやり方があるのではないかと思います。それから人材については、今文科省さんがやってくださっています産学コーディネーターの国際版みたいなことではなくて、各大学が主体的に育てられるスキームが必要です。もしそれ以外に必要であればBTGみたいな機関を考えたらどうかなと思います。今説明を伺ったばかりで理解が不十分であると思いますが、ぜひそういったものを踏まえてご検討をいただければありがたいと思います。

委員
 まず、基本的なところなんですけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、すべての大学がこういった国際的な産学連携ポリシーは作るのですけれども、積極的に取り組むという形でのポリシーを作るのではないのではないかと思っています。そして、その海外対応を考えるときに、1つは共同研究を取りにいくというかなり攻撃的な対応と、国内特許は出したけれども、海外に特許を出していないゆえに非常に無防備になっているという、2つの面を両方考えなければいけないと思っています。どちらかというと先ほどご説明いただきました4ページにありますように、日本の大学がどんどん海外特許を出さないと、日本の特許をウォッチしている例えば途上国は、ただでいろいろな知識が入ってくるとかいうようなこともあり得るわけです。
 ですから、海外といってもどっちを見るか、途上国側を見るのか、先進国を見るのかというようなところも両面ありますし、いずれにしてもそろそろこういった海外対応というものを考え始めておかないと、時期を逸してしまって、非常に大きな損害が出るのではないかという認識で今回の検討が始まっているのではないかと思います。ですから、やり方の細かいところとか、それから人材の話をどういうふうに具体的に進めるかとか、いろいろ問題はあると思うのですけれども、全部の大学が同じような形で対応をとるのでは全くないのではないかという気がします。

委員
 全部は全然必要ないんじゃないかと思っているんですけれども、正直今の話を伺っても何でポリシーを作らなければいけないのかよくわからないところがあります。技術流出の問題が大きく騒がれていますけれども、これは特許の戦略や特許制度に絡む問題でありまして、これを全部知的財産権をとってカバーしようというのはコストを考えた場合にとんでもない話です。途上国全部に取るのか、先進国全部に取るのかといったことは、コスト面、それから知財のメカニズムを全く理解していない議論ではないかという感じがいたします。
 従って、日本の知財の流出や漏洩を防止するために、それだけ費用がかかるのだから大学の管理当局がそういう費用に対してある程度コミットメントを与えるためにポリシー作るのだという理屈付けだけですと、非常に弱いと感じるのですが、これは皆さんと議論が必要であると思います。

事務局
 すみません、小委員会の議論でもポリシーは別に新たに作るというわけではなくて、例えば慶應大学のように既存のもので代用するのであれば、それでも構わないというような議論はあったところでございますし、ポリシーについては例えば7ページの2つ目の上のところにございますように、ポリシー自体は理念的なものにとどめて、詳細な部分については内規などの対応で柔軟なポリシーを作ってもいいのではないかというような意見とか色々な意見がございます。ポリシーを作るということは、戦略をもって産学官連携を進める必要があるんだというような議論が小委員会で起こって、そういうポリシーのようなものが今出来ていない大学の中でもしやろうとするところはそういう戦略をきちっと文章として明らかにしていけばいいのではないかというようなことであって、特に今あるもの以上のものをやるのであればそれでも構わないというような議論は当然あったところでございます。

委員
 私も本当は専門家ではないのですけれども、大学の知財本部長というのをやっていまして、いわゆる国内での知財活動が十分ではないのではないか、それがまず先決だというお話はあると思います。それは私も実感として思います。ただ、現状として本当に日本の大学の知財を世界に伍していくということになると、実際的には海外とか世界のことに対応できていないと、だめじゃないかなと思います。中国とかいろんなところを見ると、日本はわりあい時間もかかるし遅い状況になっている。国内をしっかりやるという観点からも、私としてはポリシーを作るかどうかはまた別の問題として、海外の対応がちゃんとできるようにすることが日本の大学としても必要ではないかなと感じています。
 具体的に例えば医学部関係で言いますと、マテリアルトランスファーの話がくるんです。これは国内よりも海外からの大学、企業からでして、今日も見ていて外為法とかそういったものも実は抜けているところもありますし、おそらくリスクの問題が非常に大きいと思います。だからそういうものも含めてやらないと、我々自身も海外との共同研究をやろうとしているのですけれども手が出せないという感じを持っています。私としてはやはりこういうものも、日本の大学も早くある程度の検討を進めた上でやるべきかなという感じを持っています。

主査
 こういう海外のことを議論しておくというときに、非常に防御的な、要するにこういうことをやっちゃう場合よく考えておかないとこれから具合悪い、要するに、国内だけの問題ではない異質の問題があるということと、どうしても積極的に外に行くのにはそれなりの戦略が必要だという両方の面があるというようなことが言われたわけですが、一体どういうことを最低限やっておけばいいと思いますでしょうか。

委員
 私もどういう方向がいいのかということは別にして、多分皆さんと問題意識は同じだと思います。しかし、やらなければいけないことは山ほどあるわけです。なので、どっちから先にやるかというのはなかなか難しい問題だと思います。
 まず、何のための産学連携をやるかですが、日本の大学における研究能力の国際競争力を高めて日本のイノベーションの種を生み出す原動力にすることだと思います。産学連携を活発にすることで産業界のニーズを知り、その応用と方法を知ることで、さらに基礎研究も含めて研究に対してのフィードバックが非常に期待でき、その結果大学の研究能力を高めるはずであると思います。そこで、ポイントを2つ取り上げたいと思います。
 1つは、産学連携の相手を日本の産業だけでよいのかという点。日本の産業のフィードバックだけに期待するのかと言えばそれではいけないと思います。いわゆるキャッチアップではなく、大学が明日の日本のための研究でイノベーションを目指した時、連携相手の産業を考えると、世界の中で日本の中に強い産業界もあればまだそれなりの競争力を持っていない産業もあります。例えば、エレクトロニクスとか自動車とかそういう日本の産業が強いところは、何も海外とらからやらなくても日本の強い企業と連携を深めることによって強力な研究成果が出る期待があります。一方で、まだ日本がそれだけの競争力を持ちえていない分野、例えばライフサイエンスの世界に目を向けていますと、海外企業と付き合うことが強くなる近道と思わざるをえない領域があろうかと思います。そういう領域については、向こう傷を受けるというか、ある程度転んですりむくくらいは覚悟しなければいけない。だけど致命傷は負わないための策が必要です。何がしかリサーチをしながら、やっぱり果敢に付き合うということも今の日本では必要ではないかと思います。ですから強い研究能力を育て、大きな成果を生むための産学連携の一つとして海外との付き合いは必要ではないかなということが1つあります。
 そこで、もう1点は、海外との産学連携を問題なく活発に進める仕組みの問題があります。これには先ほどの知財人材問題も関係します。ここで注意しなければいけないのは、単に知識を身に着けるだけでは難しいところがあるということです。最近、知財の分野でも、日本の若い人で意欲的で素晴らしい人が多い。例えば私の研究所で知財をやってもらっている人の中には、弁理士の資格を持っているけれどもバイオでもちゃんとPhD持っている人もいるんです。もうダブルメジャーなんです。非常に能力があります。このぐらい能力があれば、アメリカに行っていればすばらしい稼ぎをしているはずなんです。
 この間も、バイオの分野で米国で活躍して多額の給料をもらっている弁理士と名刺交換をしたら、こちらの方はPhD持っていますが、向こうはケンブリッジ大学でバイオの学士だけですといって恐縮したくらいです。ただ、向こうは知財問題について司法制度の違いもあって、毎日訴訟でファイティングしているわけです。そのファイティングしてトレーニングを受けた人と日本のようなところで知識や能力は優れているけれども、けんかはあまり普段やっていないという、このような違いをどう克服するかということも含めて、大学がこれから海外とのライセンスの話をするときには、どういうフォーメーションをとるべきかということをリサーチした上で、このフォーメーションだったらここだけは日本人でちゃんと固めておくけれども、ここからはファイティングするやつを使うんだというようなこともある程度見極めた上での人材育成をしませんと難しいかなと思います。これも実は一昨日ですけれども、これは私立大学の医学部の先生ですが、先生の特許を見てアメリカのベンチャーがライセンスしてほしいというメールを送ってきた。そこの医学部にはあまり強力なTLOがないものですから、個人的なルートで私に相談がきてどうしようかと思いました。一度も外国企業とライセンス交渉とかそういうのをやったことがないから、そこで止まっているわけです。やはり国内外、今の時代はある程度同時にプライオリティーの高いところはやらざるを得ないのではないかなという気がいたします。

委員
 二、三点気づいたことをお話させていただきたいと思います。この文章の中で紛争が起きた場合の費用負担というふうな言い方をしているのですけれども、特許とか知的財産というのはむしろ紛争を起していくというのも大事なわけですね。戦っていかなければいけないですから、主張しないと権利がありませんから、そういうものも含めた仕組みもぜひお考えいただきたいなと思います。
 それから大学での取り組みは大学に委ねるだけではだめでインセンティブを作らないといけないということも非常に大事だと思うのですけれども、ディスインセンティブシステムではたくさん皆さん戦っているわけですから、やはり外から助力してあげる必要があるのではないかと思います。
 今、TLOとか知財本部とかいろんなことで皆さん努力されているのですけれども、イノベーションのプロセスの中で点だけしか押さえていないような気がします。やはり、その芯になるためにはそれぞれの働きかけが必要だと思います。この間、ケンブリッジ大学のビジネススクールの人が来て、製薬会社の重役、部長さんクラスの人なのですが、これの研修をケンブリッジ大学でやるんだといってセットしに来られた方にお会いしたのですけれども、そういうふうに大学で営業が必要で営業があって点が線になり、線が面になると思います。
 成功例を作るということは非常に大事だと思いますので、COEによる大型助成金を研究とか特許とかそういった点だけではなくて、線から面になるような仕組みの提案者のところに助成していくとか、そういうことは考えられているとか思います。成功例をつくるというのはもう既にあると思いますけれども、そういう成功例が増えてくると既存の仕組みをそちらの方に誘導していこうという力が大きくなると思いますので、あらゆるものは立ち上がりのところが原価費用が非常に高いわけですので、そういうところをお考えいただければなと思った次第です。

委員
 先日、半導体関係のお祝い会みたいのがありまして、そこで日本の先端半導体を開発している組合の社長さんがご挨拶をなさったときに言っておられたことが、研究のシーズの青田買いが行われているということなのです。日本の企業は数百万しか研究費を出さないのに対して海外の企業がすぐ数千万の研究費を出すから一緒にやらないかということで囲い込み、青田買い刈をされる例がたくさんあるということでした。特に半導体などですとアイデアなどがかなり決め手になりますから特に行われているようです。ですから、ぜひ日本の会社に皆さんいいアイデアがあったら出してくださいというお話がありました。
 それと似たようなことで特許になる前の段階でいろんな契約書が結ばれています。私も実際に経験があるのですけれども、向こうは何とか州の法律に基づいて、相談もしなかったことを契約書の段階のペーパー段階になって書いてくる。これはもう当たり前のことですからということで、そんなことは私は知らないと言ってやり合ったことがありますけれども、そういうことに関する知識が、先ほどの大学に知識がある方がおられるときはきちんとした契約のもとにやって、きちんとしたこの特許がそのあとで出てくる成果が守られると思いますけれども、その前の段階でかなりサーチをかけていますから、そのサーチでいいシーズほど向こうは早めに持っていこうとしているわけで、そのことに関する研究者側を守るといいますか、大きくいえばやはり日本では税金で動いていることが多いわけですから、その日本を守るためのそのシステムをこの案の中に、ぜひ入れていただければというのが私の感じたところです。

委員
 今日お話を聞いたことと事前に読んだことで思ったのですが、ちょっと私は別の視点でこれを見ていまして、要は審議会の圏内ですから、名宛人としては文科大臣になって最終的には国ということになるわけですから、はっきり言うと政策的なインセンティブを与えると言っている以上、そのインセンティブを与える前提となるのは大学がどう考えているかということで、そういうこということをちゃんと国は考えてほしいと思います。
 従って、7ページになるほどと思ったのは、尚書きのところが僕はポイントだと思っていまして、柔軟でいいですよということは、国がそれだけオープンで我々が待っているんだと、だから皆さん主体的に考えてくださいねというサインだと私は受けとめました。また、書きぶりでここがポイントじゃないかと思うことがありまして、非常に不謹慎な発言ですが、10ページで外為法の話を書いているということは、ポリシーを作れば国が審査したら外為法の規制ははずしてあげますよというふうなサインとして私は受けとめたのですが、もしそうであればポリシーをつくる意味は非常に大きいと思うし、政策的なインセンティブが付加されるのであればポリシーをつくる意味は非常に大きいというふうに理解した上で、政策をどうやるべきかという手続、ステップを経たときに、このポリシーというのはこういう意味があるのかなというふうにポジティブに受けとめたということです。
 中身については今までいろいろな先生からご議論があったように、いろいろ課題があるわけでございますので、そういうふうになると、これはすごいことをするのだなというふうな印象を受けた次第ということで、感想ということでちょっと述べさせていただきました。

主査
 僕は全然わからないのですが、大学のいろいろな研究を国外でも国内でもいいのですが生かしていく、大学に猛烈なインセンティブになるような意味での政策というのはどんなものが考えられるのですか。今、外為法のことを言われたけれども、いや、大きいことは根本的にそうですね、わざということはないけれども、ちょっとそういうことではどういうことがあると大学にとって極めて、大学でなくてもいいかもしれないけれども、要するに知財を外に売っていくというようなことからいったときにあるんですかね。

事務局
 少なくとも外為法の件は、そもそも大学の研究者の方はこういう法令で規制がありまして、違反がありますと。罰則のかかるような極めて重大なものなのでございますが、それはきっと研究者に周知をされていないということもございまして、こういう国際的な産学官連携で共同研究をやるようなところにおかれては、戦略を進めるとともにこういう規制の内容については法令でございますので、法令重視ということでしっかり周知をしていただくことが必要ではないかということで書いてあるところでございます。
 インセンティブにつきましてはいろんな方策があるかと思います。予算上インセンティブというのはありましょうし、制度上インセンティブをいろいろ与えるということもございますし、また、先ほどディスインセンティブというものを外から解消させていただくということはありましょうが、ただ、私どもとしては、やはり大学の主体的な活動ということ、やりたいところに対して、ただ大学だけではできないということについて予算またはそれ以外の情報提供、いろんな形を通じてインセンティブを与えていきたいなと考えているところでございます。この報告書等のご意見をいただきまして政策等をまた考えていきたいなと思っておるところでございます。

委員
 これは私の意見でございまして、審査をした追加でこれを審議していただこうというわけではございませんで、ちょっと今読んでみてこんな観点を足した方がよいかなということが2つほどあるのですけれども、1つは、やはりいろいろな経験を積んでいくと相手の出方とかやり口とかわかってくるのですが、産学連携は本当に初期、黎明期にはお互いにまだ手さぐり状態でわりあいと情報を交換するような場みたいなものを作ろうという意識があったのですけれども、このところどうもライバル意識にだんだんなってきて、むしろ情報交換をするよりも競おうというような状況になっているように思うのですが、海外に関してはまだ黎明期じゃないかという気がします。ですから、その当時ありました連絡協議会とか名前は何がいいかわかりませんけれども、何かこう自主的な海外に関する経験なり、よい経験もあり両方含めてでありますが、そういったノウハウなりを交換するような自主的組織というものを、インセンティブなしに動くかどうか難しいですけれども、何かそういうようなものが必要かなと一つ思いました。
 それからあともう1つ、この中にも多分読み取れるのだと思うのでありますけれども、ある大学がうちは地域社会を対応してやるよと、ですから国際的な方は何か出たらほかのところに頼むと、そういうスタンスになったときにこれをどう取り扱うかということをもう少し書いた方がよかったのかなと思います。一つは多分JSTとかああいうところがやるというのもあるのですが、どこかの大学に、海外に関してのみは協力関係をちゃんと作るみたいな、そんなイメージをもう少し書き込んた方がよかったかなというような気もします。

委員
 先ほど情報共有という話が出ましたので、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。実際にそういう協議会というのは現実にありまして、大学技術移転協議会というのがあります。そちらの方では国際化というのはやはり重要というふうに考えておりまして、9月にその協議会のセミナーというかシンポジウムがあるのですが、そこでは教育的なセッションというような形で英文の契約書をどうするかというような具体的な議論というのも共有していこうという話が動いています。私が思うのは、やはり大学での成果というのは製品化というのをすごく強く意識した場合には国内企業ではなくて、国内企業も外国の企業も同等に見て、どこがきちんと製品化してくれるのかという視点から本当は垣根はなく見なくてはいけないだろうとは思います。そういう意味では国際化というのは国内と同等に重要になっていくことかと思います。
 また、以前のこの委員会の中で議論があったかと思うのですが、共同研究に関しては、やはり外国の大学に関してはかなり基準が高いというかサービスが高いというか、そういう議論があったかと思います。ですので、ある程度共同研究に関しても大学がそういう大型のものをとってくるということになると、やはり大学でもその辺をどう考えていくかというような視点も考えていかなくてはいけないことになるかと思いますので、大学のそういう共同研究の出口を見せた研究の仕方というか、そういう基準の引き上げというのも国際化することによって基準が上がってくるのではないかというふうに思いますので、共同研究にしてもライセンスということに関しても、やはり国際的という視点は今後も、もう今既に重要になっているのではないかなというふうには思っております。

委員
 この書類の中で具体的には書かれていないかもしれないのですけれども、多分こういう国際産学連携、それから知財の海外戦略について仮に大学単独で考えたときにポリシーを明解にしようと、戦略を明解にしようということで大学が投資、それからリターン、これは時間軸のこともありますね、さらにコスト、それから法務的なことまで含めたリスク、こういう4つの要因を大学は責任をもって考えるということがすごくポイントになるのだと思います。もちろん、海外戦略を重視する大学、それから地域戦略を重視する大学、いろいろあると思うのですけれども、それぞれにおいてやはりこれは考えなければいけない。その上でいろんな形態がそこに生まれてくるわけで、例えば海外戦略を本格的に考える大学、十分の一の重みで考えるような大学、いろんな大学が出てくると思うんですね。そのような複数の形態がありうるということだと思います。それを明記することが大事だと思いますし、この委員会のあとでまたいろいろ検討する過程ではその複数の形態、「例えば」というようなものを示してあげていくということが今から大事になるのではないかな思います。小委員会でいろいろな議論をして、私も参加していたのですけれども、それを踏まえて今日の最終報告を拝見して今後のことを考えるときにそういう観点が必要ではないかなと思います。

委員
 先ほども申し上げたのですが、6ページのところにもはっきり書いてあるのですが、「公的資金や税制優遇等によって支えられており、国民の理解と支援を得ることが重要となる。このバランスを考える必要がある」と、こう書いてあるわけですが、日本という国は面白い国でして、他の国は外国へ出願する場合には国の認可を受けるのですが、日本の特許法ではそれがありません。バイ・ドール法も同じでして、アメリカのバイ・ドール法はアメリカファーストです。まずアメリカの企業にライセンスがいく、特に中小企業へライセンスがいくようになっている。公的資金が入っているため国民に理解を求める必要があるということであれば、日本のバイ・ドール法はジャパンファーストとはどこにも書いてないのですけれども、そこをうまく説明していく必要がある。そのための説明をワンフレーズでもいいですからやっぱり入れていただくことが必要であると思います。

委員
 盛んにインセンティブというお話が出ていますけれども、国内の制度や社会環境ではディスインセンティブというか、難しい面があります。私のところも既にかなり国際競争力のある研究をしていると思うのですが、もっと強くなるためには国際的な、はっきり言えば外国にも研究所を持ちたいと考えています。この間もシンガポールに事務所を開設したのですが、シンガポールあたりはメジャーリーグみたいにタレントを買っている。しかし、独立行政法人では給料は理事長の10倍を払うわけにいかないよなんて議論はしているわけです。
 冗談は抜きにして、研究者にとってのインセンティブは何かということを非常に突き詰めて考えているのですけれども、やはり原点に帰りますと、少なくとも国際競争力のある世界的なレベルの研究をしようということについて、それを担う人材にとってのインセンティブは何かということを考えると、世界的な問題に取り組んでいるということではないかと思います。自分のやっている研究は世界から見てももっとも注目され、意義のある研究をしていて、その成果を自分は出しているということがまず第一であり、2番目には、それを言えるためには、自分は世界的な人たちと付き合っているということであると思います。3番目には、立派な研究環境を持っているということだと思います。この3点セットが揃うと給料とかボーナスとかストックオプションどうのこうの、そういうことだけをいう人は相手にしなくてもいいんじゃないかと思います。
 ですから、やはり国際的なレベルの研究をしているということの一つの証として日本の企業も来ますけれども、海外の企業も来ていますとか、海外からも注目されていますというようなことが本来、大学の研究者にとっては最大のインセンティブになるはずではないかと思います。
 研究環境ということでは、研究者への報酬よりも、必要な資金や経費の手当てが大事だと思います。つまり、本当に意義のある競争力のある研究をするための国際学会への出張やイベントの費用とかの充実も重要だと思います。大事なことは世界的な仕事をしているという状況を作ることで、やはり日本の大学の競争力を高めるためにはそのことが重要な要素ではないかと思います。ですから、やはり注意すべきは、そのときのインセンティブは、今のような考え方に対して阻害要因になるものをどうやってある程度緩和するかと、国も大学もみんな国際化すべきだと言っておきながら、何かしようとするとこういうことが起きる、ああいうことが起きるというのはまだ多分いろいろあろうかと思うので、そういうもののうちの本当に隘路になっているものを除いていくということが、インセンティブを考えることではないかなと思います。

委員
 意見というか、伺っていて気がついたことですが、多分この話というのは同じ国際と言っても、アメリカのことを思い浮かべていらっしゃる方と、それから発展途上国、それからライフサイエンスの分野とかあるいはそれとは異なるそれこそ生産技術の分野とか、それから積極的に行こうとしていらっしゃる観点と、それから海外から話がきちゃって困っている状況や、あるいはもっとレベルが低くて何かぼろぼろ変な契約をして、その特許を出す前からみんな取られちゃうというような話とか、かなり混ざっているので、発言を伺っていて、もしかするとそれぞれのご意見がつながっていないのかなという気も多少しています。
 私は小委員会の方に出ていて伺った事例で、例えば奈良先端なんかがどういう考え方で、どういういうふうにやっているかについては非常にわかりやすかったと思います。奈良先端では、先ほどのバイ・ドール的な規範をもって、こういう基準でこういう戦略でやっていますというような話をしていましたのでわかりやすいのですが、抽象的な話だけで出てくると、少しわかりにくいかもしれないなという気がいたしました。多少事例というかあまり宿題を出せるのかどうかわかりませんけれども、少し具体的な話を織りまぜて、ポリシーといっているのは具体的にはそういうことをやりなさいということがわかるように、少しそういうものをわかりやすくしないと、このままいったときに少し抽象的かなという気がいたします。

委員
 一大学でも非常に意見が多様なんですね。まず特許といったときに我々は当然そういったものに権利とか何とかいうのですけれども、大学の中にいると、特許というと何か排他的だな、学問はそういうものですか、という議論から始まるのですね。それだけの広さがあるというか形があります。それが1つなんですけれども、もう1つ、日本の例えば第三次の科学技術基本計画でもかなりの予算が科学技術に投入されているのですけれども、本当に国際戦略そのものがあるのだろうかなと思います。今回は知財を含めての話なんですけれども、これは先端技術だけあって実は基礎研究とかそれにも非常に大きく絡む話だと思います。
 私自身はあまり研究時間に割けていないのですけれども、分子コンピューターというのをやっているのです。これを海外でやるといろんな人が来ているのですね。どういう人が来ているかというと特許事務所の人が来ているのです。我々は気づかなかったのですけれども、そういう話に対して海外は戦略として国益として捉えている。そういう視点が日本の研究者にはないんじゃないかなと思います。これは基礎になればなるほどある面では重要なところですね。だからこれは単に経済的な観点から特許で収入を得るというわけではなくて、やはり知的な生産物をどうするかという観点の中でこういうものを捉えていると思います。だから、国際的な特許についても先端の人の工学系の話だけではなくて理学系の人、特にバイオとかそういった人でも関係するというところの視点も重要かなと思います。やはり、産学連携というのは経済的な側面ばかりだけではなくて、社会的な側面があるわけです。基礎研究をいかに社会に還元するかと、その中に知的財産をどう捉えるというところで、それはやはりちゃんと対応が必要だと思います。ちょっと総論的な話で恐縮ですけれども。

主査
 それぞれ問題意識が確かに違っていろいろ散漫になったかもしれないのですけれども、かなり重要なポイントは出たような気がするんですよね。特許というか、産学官連携の中ではとりわけ国内特許、それから国際ときたわけですけれども、こういうことをしていくということは国のポリシーとして何でやるのか、私はじめはちょっとよくわからなかったところもあるんですよね。何で特許をとるのに補助金が出るのか、やりたいところは、取りたければ取ればいいのだから、それが本当に商売になるのだったらお取りになればいい。それを国がとらなければいけないといって一生懸命民間企業の手助けみたいなことを何でやるのか私にははじめは全然よくわからなかったのですが、今もよくわからないけれどもね。そういう観点からちょっと言い過ぎなのですが、もちろん国のポリシーとして国益ということは当然あると思うのでそういうことがあっていいと思うのですがね。
 いくつかあったかと思うのですが、これも私が前に意見を言ったのですが、国内である分野、ある研究というようなテーマを取り上げたときに、私はこれについては成果が非常に上がっている分野はたくさんあると思います。要するに日本の研究はイノベーティブではないなどということは全然なくて、ものすごいものがある。ただ、それをどういうふうに産業界にうまく結びつけていくとかそういう観点は確かにないのです。それを商売にしている人もはっきりいってない。それから、例えばCOEにはそういうことが生まれてきていると。で、どことどこのCOEでは非常に近い分野でもっていい成果が生まれている、そうしたらそれをどういうふうに国内戦略としてやっていくかなどというのは、国がまさにお金を出してやった研究成果なんだからそれをどういうふうに生かしていくのか、特許戦略でどういうふうにするんだと考えるのは当たり前だし、当然だと思います。それを大学が自由におやりになっていいよというんでしょうかね。僕はちょっとそこは非常によくわからない。理解できない。そこにいいものが生まれていってそれは税金でやった成果なので、そしたら当然国が権利としてガードしてやっていっていいんじゃないでしょうか。そういうような観点はまさに線から面にいけるような一つの方策ではないかと思います。
 ですから、特許を取るとか取らないとか、産学連携をどういうふうにしてやるかというノウハウをみんなでやっていきましょうよと、もちろんそれも非常にいいと思うのですけれども、現実に我々のもっている知財というものを、じゃあ、どういうふうに生かしていくのか。とりわけ、国のお金でやっているようなものについて言えば、戦略があってしかるべきだというふうに僕は思うのですけれども、これはちょっと民間の方から見たときにどういうふうにお考えになるのかちょっとわからないところはある。しかし、成果がいつも散漫で日本はいくらお金を使っても何も出てこないじゃないかという悪口を言う人もたくさんいるわけですから、そうすると、そういうものに対してもうちょっと戦略があっていいのかなというのがまず1つです。
 それから、プロがいなければいけないというのは多分そうなんだと思います。これは大学全体がまさに素人みたいな集団で我々はやっているわけだから、これをどういうふうにするかということは非常に重要です。そうすると、その機関はいったい何かということです。そして、そこに働く人は何のために働くのかということになってくると思う。その人たちは儲からないとまずやりませんよね。だからこれは何か考えないとできない。要するにビジネスでなければ本気で働いたり戦ったりする人が本当にいるだろうかということです。僕は今の戦略でこういうものができて皆さんがそういうことが必要だと、そういう方を派遣したらいいだろうとか言うのですが、現実にそんなものの役に立つやつがいるのかどうかというのが、ちょっと疑問です。
 ですから、この分野を、こういう目的のものを海外まで含めて日本が本当にやっていこうというのだったら、それは一体どういう人であって、どういうビジネスなのか、あるいはビジネスとして成立しない、要するに儲からないというのであれば国はどうするのかということになるのだとに思います。国は国益というのがあるから、そのためにやるとかあるいは民間からとるとか色々あるのでしょうけれども、そういう仕組みが必要です。決して各大学が基本的知識を持ちなさいとか、もちろんそれがだめと言っているわけではないのですが、それだけではなかなかやる人のインセンティブが低過ぎるのではないかという気がします。
 そういうことが出来てくると、僕は日本の技術が加味されたものが本当に戦っていく力になると思います。これは別に国際的ではないですよね。国内でも同じことが言えるんですよ。今そういうことの仲介となるシンクタンクみたいなものもほとんどないし、そこをやってくれる人たちがいない。その人たちは今のところ商売として成り立つと思っていない。だからそれをどうしたらいいか。これはまさにつながっていって、非常にプロフェッショナルでないと出来ないから、今までみたいな取り組みではちょっと難しいなと思います。だから、次のフェーズに入ったのだというふうに思った方がいいかもしれないと僕は思ったのですが、そういうような方向性も少し書き込んで次の段階に進まなければいけないと私は思いました。皆さんのお話を伺っていて勝手にまとめていますけれども、別にまとめたつもりはなくて私の勝手な意見かもしれません。

事務局
 私も今日何年ぶりかに産学官連携の議論を聞かせていただいて、この産学官連携というものの考え方の幅が随分広がってきたような気がしながら議論を聞かせていただいておりました。というのは、私の産学官連携の認識というのはいかに産学官の研究リソースをお互いに融通し合って、いかに有効な成果を、優れた成果を出していくか、そこにいろんな障害物があればそれを取り除いていくといった観点から行われてきたいわゆる伝統的産学官とでもいうのでしょうか、そういう視点で行われてきた。すなわち、いかに優れた成果を出すか、そういう目的意識からの産学官連携、そういうのが過去はかなりずっと長く議論されてきた産学官連携だったと思うのです。
 今日の議論の大半はそうではなくて、むしろ優れた成果があるのにその出口戦略としてそれが有効に活用されるようになっていないのではないか。そこに何か制度的障害があるのではないか。あるいは各組織の側の意識がそこまできていないのではないか。そういった問題意識からのご議論だったと思うのですね。今日は国際という視点での報告でありましたけれども、どうも産学官連携そのもののまさに議論だと思いながら聞かせていただいておりました。
 そこでこの委員会でご審議いただきました結果は、結果として国の政策として何らか対応しなくてはいけない。具体的政策に結びつけるべきものであるというふうにこの議論の結果をいただきたいと思っております。そのためにおそらく、今日も2つの側面からの議論が確かにあったように思いますので、この産学官連携は何の目的でやるのかということによっても同じ産学官連携といっても違うような気がするのです。先ほど伝統的なものであれば国の制度的隘路、法律的隘路を取り除いていくというようなのもありましょうし、交流のためのソフト経費をどんどんつけていくというみたいな形のポジティブなものもありましょうし、大学にとっては例えば外国から優秀な人材をその機関に確保してきて研究に参加させる、そのための何か隘路があるのではないかとか、いわゆるその隘路をどうするかという問題が、多分前者の伝統的なもののところにまだ問題があるとすれば、そこの具体的な隘路を明確にして国の政策としてそれを解消していくという、その問題意識があると思います。
 一方では、日本は確かに優れた成果をいっぱい出している、出しているのにそれを活用する戦略に欠けているのか、あるいは何か制度的に問題があるからそれが活用されないのか、あるいはそもそも活用する意識が関係者にないのか、その辺の具体的な問題は何のためにこの産学官連携をやるのかという目的によって多分違ってくると思うんですね。そこでこれの議論の中で、ぜひお願いしたいと思いますのは、国にとりまして知財というのは、この国で生まれた財産なわけですから、それを出来るだけ大きく増やすような戦略をこれから国として考えていくと。これは大事なことだと思いますし、現場で大学の方がこの知財を活用して、先ほどおっしゃったようにいい研究者が出てくるとか、あるいはそれをうまく活用すれば大変な研究資金を稼ぐことができるのではないかとか、多分大学によって目的意識も違うと思うのです。
 先ほどこの資料をちょっと見せていただくと、特許料収入はほとんどないので今の段階で収入で経営を成り立たせるなどということを考えるのは絵空事かもしれませんが、しかしながら、過去の日本の経験でもDNAのシーケンスの特許など取り得れば取り得たような知的財産があったけれども、外国に出し抜かれて取れなかった、あれは今はもう何百億、何千億の産業を生み出したと思いますが、そういうのをもし大学発の知財の中に持っていれば、それだけで一つの大学が成り立つような規模になってしまうかもしれない。ですから、そういう問題意識もありましょうし、そうではなくていい人材を集めてくる、そのためにステータスを持つ、そのためには国際連携が必要だという考え方も、そういう戦略もあって多種多様だと思います。そういう問題意識をきちっと明確に絞っていくとそれに対して、じゃあ、何が問題なんだという問題意識もはっきりしてくるのではないかなと思います。私も久しぶりに参加させていただきましたので、ピントが非常にぼけているかもしれませんが、そういう印象を持たせていただきました。
 そこでぜひ、お願い申し上げたいのは、今日せっかくこれだけ議論していただいたので、その成果として私どもはこれを是非何らかの政策としてきちっとこれに対応させていただきたいと思います。具体的にどういう政策を打ったらいいのかと、そういう具体性のある政策です。先ほど各大学には基本的な戦略を作ったらいいんじゃないかというようなご提言があったと思いますけれども、それから先ほどの外為法もあるかもしれませんが、いわゆる国の持っているあるいはやっている、あるいは現在持っている考え方の中で、ここをこう具体的に直したらいいんじゃないかというような、そういうご提言をいただければ、もちろん出来ないものは出来ないかもしれませんが、出来るだけそういった具体的な提言をいただいて、ぜひ対応させていただきたいなと思いますので、その点是非よろしくお願い申し上げたいと思います。突然の参加で大変僣越なものの言い方だったかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

主査
 せっかくまとめていただいて、こちらがあまり勝手な注文をつけては悪いのですが、若干これ長いかな。重複を出来るだけ省くような方法ってないですか。力作だと思うのですが、さっきどなたかおっしゃられたけれども具体例だとかそういうようなことを少し付録でもいいし、適当な言葉があった方がわかりやすいというようなこともあって、もう少しシンプル、簡素でもいいんじゃないかなと思います。長くないとアピール度が低いということはないと思うのでそういう感じがしました。ただ、今日出た意見は随分新しいところもあるので、ぜひ加えていただければと思います。あと、もちろん委員の方でお気づきの点、お寄せいただければと思います。
 さきほどちょっとまとめさせていただいた中でもあるのですが、私が政策として入れるとすれば、やはり、今日の意見の中で結局オーバーヘッドが例えば30パーセントぐらいみんなについてくるといようなところがあったのですが、そういう種類のものから、もっと出口に使っていくというような施策が必要だと思います。出口のところは各大学に任せるみたいなものは正直言ってほとんどレベルアウトにならないと思います。うちの大学だってレベルは全然わからない。色々な人を派遣していただいたりしているけれども、このぐらいではとてもじゃないけれども太刀打ちなんか出来ない。いきなりドーンと厚いのがきたら、もうとてもじゃないけれども嫌になっちゃうというかやる気が起こらないというような状態だと思います。
 ですから、企業の方とかもそういうことをやっておられるレベルで出来るのは何かといったら、やはり1つか2つかそういうようなレベルの高いところがどう出られるのかだと思います。JSTさんでやられるのでもいいし、民間企業で全然もいいと思う。何かそういう種類のものが施策になって、そこにお金が流れる方法を考えないと出来ないと思うのです。そこが商売として勝てば儲かるという仕組みであればしっかりやってくれると思います。そうでないと、これはとてもじゃないけれども取り組めないと思います。そういうものにお金が回るような、要するに出口にお金を使っていいんだと。営業しなさいと。そういう意識をもっと高めることがすごく重要だという気がします。ちょっと余計なことを申し上げたかもしれませんが、少しそういうような意識でいくと、産学連携もさらに発展するのではないかなと思います。

(2)先端技術(ライフサイエンス)分野における知的財産問題について

  • 資料6‐1、6‐2、6‐3に基づき事務局より説明のあった後、引き続き、資料5に基づき本田委員より説明があり、その後、質疑応答が行われた。
    その内容は以下の通り。

委員
 まず、一番申し上げたいことは、最初にイノベーションということを言ったときに21世紀の最大のイノベーションの源は、私はライフサイエンスだと思います。これは各国ともそう思ってやっています。これは国の競争になっていますので、そういう意味でライフサイエンスに関しての国策というのが、私は絶対必要だと思っています。エレクトロニクスとか自動車とかITはもう日本が強い産業を持っていますから、ここにおける国の果たす役割より、ライフサイエンスにおける方が遥かに重要と思います。今もお話にあったようにライフサイエンスから何が生まれるかというとすぐ医薬と出てくるのですけれども、全然それだけではないと私は思っていて、次々と発見される生命科学の発見は人間の生命から生活から、もう自然界のことからいろんなことにものすごいインパクトを与えて、そこから新たな産業も含めて生まれてきます。逆にすぐ製薬、製薬と言っているからこそ先が見えていないなという気がします。もちろん製薬の問題も大事なのですけれども。
 そういう意味でまず国の姿勢といったときにこの知的財産推進計画2006の中には、重点分野でデジタルコンテンツを大事にしようと書いてあります。これは大事だと思いますけれども、私が非常にがっかりしたのは、ライフサイエンスというフォーカスがこの2006年の計画になかったということで、ここはものすごく重要なことだと思っていますので、一般論で申し訳ないのですが、それが一点。
 それから、ライフサイエンスにおける知的財産というのは工業所有権における特許とは全く違うということです。これは我々が今まで工業製品でこういうような特許性があるとかないとか、まじめにやって知的財産として積み上げてきたものと、今現在ライフサイエンスにおける特許性というのはおそらく全く異質なものだと思います。もともとはこんなものは工業所有権上は特許にならないはずのものが、もはや今は特許になりつつあるということです。だから、特許一つとっても超大国がどんどんルールを変えていますから、日本では特許にならない例えば医療技術がアメリカで特許になるとか、そういうふうに露骨な国際競争が行われているということが一つです。
 それから知的財産は特許だけではない。というのは、ゲノムのシーケンスデータ、それから今理研でやっているようなタンパク質の構造解析データ、それから遺伝子と病歴の関連と、こういったデータ類というのがものすごい財産なんです。物理科学のように論文情報中心で新しい発見をするというのと違って、次のライフサイエンスの恐るべき発見もこういう豊富なデータから生み出されるのです。でも、データをとるためには国からの大変な投資が行われなければならず、これは途上国では出来ません。非常に大きな設備、例えば理研のSPring‐8だとかNMRだとかああいうところでどんどんデータをとっていく。ただこれは公開が原則です。だからフリーの財産ですね。しかし、国はそれに投資をしています。ここで生まれたデータを日本の力で活用するというのも、重要な国策なんです。
 それから先ほどから出ているマテリアル、生物資源ですね。マテリアルトランスファーの問題。これは国際的には、お互いが提供し合うというのがルールなんですが、中国は絶対に持ち出させないしないようにしています。これからマテリアルはまさに重要です。これは途上国でも出来るのです。ちょっとした技術を持っていればいろいろな品種の植物であるとか動物であるとかというものを生み出すことができる。だから、各国はこれは自分たちの財産だと言い出すような事態が起きるだろうということを想定しますと、ライフサイエンスにおける知的財産、科学技術立国、日本、イノベーションといったときにはもうちょっと掘り下げた各論での国策レベルでのある種のコンセンサスを作らないと、もう振り回されるばっかりで全部後手を踏むような気がしていまして、それだけはまずは申し上げておきたいということでございます。

主査
 いや、私も本当に大賛成ですね。知財をやるのでも本当にやらなければいけないと思うのですが、その戦略は根本的な考え方が、もちろんその特許性の違いなどもあるし、そういう総合的な戦いになっているということを考えないと、国策上はもうだめだと思います。今までの取り組みでは本当にどうにもならないというふうに、最近特に思います。ですから、ここの委員会は極めて重要な任務を帯びているのかもしれません。

委員
 産学連携だけの問題ではないですね。

主査
 そう、産学連携の問題だけじゃない。ただ最近、イノベーション戦略とかいろいろ出てくるのですが、もし、もう少し国としての戦略を議論しているのだったら、そういう今おっしゃったようなことをちゃんと取り組まれなければいけない。そして取り組むためには取り組む姿勢とか、そういうものがなければ出来ないと思います。これは言っては悪いのですけれども、各省庁の今までの戦略みたいなものでやったって無理がある。だからこれはどうしたらいいのかというのは、まさにそこのところが国策を考えなければならないのではないかと思います。

委員
 とても細かい話になるのですけれども、ずっとこのバイオ関係に携わっていますとやはり一番大きいのはインキベーションの支援です。諸外国ものすごくいろいろな形態のインキベーション支援を工夫してやっています。JSTもやっと始めたようですけれども、もっと多彩なプログラムがあっていいのではないかと思います。これが一番目の意見です。
 もう一つの意見なのですが、ベンチャーと言うものは不思議なもので研究するステージと開発ステージと、実際のビジネスのステージにおいては全部プレイヤーが違うのですね。言ってみれば超一級の人たちがはっきりした目標を持って各ステージに挑戦するような、そういう世界にしていかないと動かないと思っています。研究段階はうまくいって次に開発段階になった場合、最初の経営チームはもう機能しないのです。要するに各段階で中心となるCEOを勤める良い人が見つからないとうまくいかない。ですから、どうやって魅力ある世界にして有能な人材を集めていくかを考えていかないといけないと思います。理研はたくさん立派なシーズを出したけれども、ビジネスは全部海の向こうで成功したというのでは始まりません。理研と慶應のライフサイエンスも鶴岡でジョイントしていますし、コラボレーションもうまく言っているようです。これらが発展して地域のバイオのイノベーションの拠点になるような仕組みをぜひ考えていきたいと思っています。

委員
 勢いで暴論とまともなものを述べます。暴論の方でいきますと、私もベンチャービジネス、一番エグジットの方にかかわった経験でいくと、このあたり最近IPOでみると、今日委員でご欠席ですけれども、アンジェスが出て以来それほどベンチャーは出ていない、かなり厳しい状況だということでふと考えるのですけれども、特許を取るのもどうかなと思います。要は人類の健康に役立つのだからもうさっさと論文を書いて発表すればいいと、それで世の中の評価を受けて再現可能なデータとして特許をとったらそれでいいじゃないかというように、個人的には思っているんですが、多分この委員会の議論には受け入れられないですね。ちょっとそういうようなことを思います。
 それからもう一つ、売れ筋ということでいくと、この図でいくと4ページのところでデザインが出来ると、「創薬シーズの選別ができ、医療開発の過程に知識を有する人材の拡充」ということですが、そのデザインのところがセンスがないんじゃないかなと思います。これは私はこういう立場でいうのも失礼なんですが、大学ということで高度な技術だからハイエンドを狙うのが非常に強いのではないかと思います。じゃあ、薬何やるんですかと、癌ですと、それとかエイズですと、みんなやっているんですよね。だからもっと違う、そんなブロックバスター的なものでないもっと違うところを狙うというセンスもあっていいんじゃないかなと思います。そのデザインをする人がいて、薬理と言うんですかそのメカニズムを開発してこういう病気はこういう原理でこことここを押えれば出来る、じゃあ、この化合物を見つけようとそういうデザインを出来る人がいれば、そんな大きくなくても小振りな成果がすぐ出るんじゃないかと思います。だから何ごともバイオに限らずですけれども、ITの分野とかナノにしてもみんな聞くとハイエンドばかり狙っている。
 関係者の前で失礼なんですが、大学の人はおそらくそれでいいんですけれども、もうちょっと目線を下げてやさしいやつやったらいいんじゃないかと思います。エグジットに近い方からの意味でいつも思うところなんですが、バイオの分野で今日の本題の話を聞くと、先生何やっているんですか、HIVです、エイズ、癌、脳溢血だとか、そうじゃない、ちょっと違う分野もあってしかるべきじゃないかなという気はしました。

主査
 でも、日本人は大体ものを作るとやたらと凝りに凝って作るのが好きだと思います。製品を見るとわかりますよ。同じMRIの装置でも日本のメーカーが作られたものだと全然違うんですよね。設計一つ違うのですよね。だからどうしてもハイエンドのものを徹底してやりたいんですよね。非常にいいことだと思うんだけれども、だからこれは文化ですよね。

説明者
 すみません、ちょっと3ページを開いていただきますと、一応青字のところは比較的大学で研究が盛んで、研究自体もリードしているというようなものを書いたのですが、逆に青字ではない部分というのは、ほとんどが日本の例えば製造業の方が関わっているシーズ、大学で生まれてきたその研究を、製品化というところでは企業のサイドで主にやっていただいています。例えばよくDNAチップというような話があるかと思いますが、もともとDNAチップ自体は主に研究者の中でやっているのですが、今はもう多くの製造業者、かなり広い製造業で日本の中でも研究開発をしています。そういう意味では大学の研究というのがかなり色々なライフサイエンス分野ではないようなところに波及しているというのが現状でして、ただ、なかなかカバーしていただけない、フォローしていただけない技術もあるかなと思います。青の部分がそういう意味ではあまりまだ参入していないというか、企業も参入が遅れている部分ではないかなというふうに思っております。これがどういうふうに表になっていくか、これ以外にまだ書かれていないものがどんどん出てくるかとは思いますので、その部分でどういうふうに広がっていくかというのは非常に楽しみな分野かとは思います。ただ、大学だけで研究をしているようなものをどうアウトプットしていくかというのは大学での問題かなと思いますので、今後テーマとして取り組んでいきたいとは思っております。

委員
 ちょっと補足しますけれども、今の資料の2ページと書いてあるところで「青字は大学での研究が盛んな技術、または大学が研究をリードしている技術」と書いてあります。国レベルで考えるときには医療関連というのがもちろん大きな一本ですけれども、先週も私、アメリカをずっと回ってきたときにバイオエネルギーというのにこれから非常に力を入れるという話でした。それから一番下に「遺伝子組み換え植物を受け入れる企業が極めて少ないため」とありますがこれも問題でして、植物の研究の出口というと農業や林業です。しかし、遺伝子組み換えをタブー視すると日本の国内では無理になります。日本の問題はやはり先端科学をもっともっと啓蒙していかなければいけなくて、危険はいっぱいありますけれども知らしむべからずになっちゃうと放射能と同じで遺伝子組み換えと聞いた瞬間にもう国民は拒否反応を示すみたいなことになってしまうと思うので、是非こちらにいらっしゃるマスコミも含めて啓蒙していただかなければいけないと思います。
 世界レベルで言えばアルゼンチンはじめ遺伝子組み換えで国を立てようという動きがあるわけなので、本当は今日の前半のところで議論した本質論の国際化という面で言えば、バイオの分野は仲良くするかけんかをするかも含めて、本当に最初から国際的な位置づけで研究をしませんと、日本人の高い研究能力がいい形で生きるかどうか懸念を持っております。農業とそれからエネルギーというところもサイエンスイノベーションの大きな可能性を持っていて、日本の果たす役割もあると思いますので、補足させていただきます。

委員
 国民の情緒的反応のかなりの部分にマスメディアが関係しているんじゃないかと思って、何とかしたいとは個人的には思っているのです。それはそれとして一点だけ意見を言いたいと思うのですけれども、色々この施策に反映したいことがあって、今日のライフサイエンスもそうですし、その前の話もそうなんですけれども、本体の研究を何とかしたい、イノベーションを何とかしたいということのほかに間接的に支える人材が必要だと思います。それで実際金はどうするんだとか、国の支援制度でいうと何か必要だから新たな制度で助成とか仕組みを作ると、それはそれで今までの制度との整合性はどうなるのかと、独立に付加するのかとか、そのお金の使い方は細かく縛られるのかとか、現場としては間接的なところにいっぱい人も金も要るというところを何とか助成するとすれば、使い勝手のいい仕組みにしないと煩雑さが増すとか、金の使い方も面倒くさいだとか、人を派遣してくれるよりは自前の人を養成するのにお金を使いたいというようなことでいうと、やっぱり現場自体の柔軟性があるように考えていかないと、辛くなるのかなという気がしますので、行政的にはそういうことをちょっと考慮していただければいいんじゃないかと思います。

主査
 まあ、メディアにも色々な情報を提供していただきたいと思います。もちろん正確な知識とかそういうのは大事ですけれども。
 今、言われたことの中も日本の政策として根本的なところだと思うので細かい話になってしまうのですけれども、アメリカだったらお金をかけるところはもう決まっているのです。それ以外のところは基本的にマーケットメカニズムというか競争原理でいきます。あとはルールしかしない。そういうやり方に対して日本はどうするのかというと、ここのところが足りないから国が手伝ってあげようとか、非常に親切でその親切さをみんなが期待するものですから、それがなかったらそこは何も動かないという非常に悲劇的なところがあると思います。だからどこかでお金を投下しなければそれは動かないということは事実だと思います。しかしそれは全部のところを歩かせるのか、そういう必要性があるのかどうかだと思います。ですから、僕が先ほど言ったこともあるのですが、要するにどこかからお金は必ず回ってくるような仕組みさえあればいいと思います。それはルールがあればいいというふうに僕は思います。

委員
 いっぱい余計なことを言いますけれども、TLOとか知財本部のような形で助成してきたということを一回総括する必要があるのではと思います。いわゆる基礎研究資金として科研費だとかいろいろありますが、ああいうもののよろずの研究資金の中にそのエグジットを考えるための活動をちゃんと提案をしてきたら資金を出すというふうにするべきではないかと思います。テーマごとに力点がおかれるものが違うわけですから、一律オーバーヘッドとかそういうことではなくて、産学官連携のファンドを用意して、ここへ提案していらっしゃいと、企業と一緒に提案してきたらお金あげますよと、そういうことが大事なのではないかと思います。すべての研究にその研究のフェーズに応じた研究者だけを雇って研究をするという分、プラスアルファーに弁理士やコーディネータを3カ月ぐらい雇って特許やマーケティングをやらせるとかという部分をつけ、研究費から払うと。研究をやってる主体は、産学連携も含め、常にやはり研究者側にあるんだということで研究をしている人たちも次第にいろんなことを学び、リソースの使い方をただ研究の材料を買ったり、ポストドクターを雇ったりするところだけにしかお金を使い方を知らない先生ばかり作らないで、プラスアルファーでちょっとこれはマーケティングが必要だからこういう人を雇いたいなということをプラクティスでやるようなことをしないといけないと思います。知財専門家やコーディネータ、さらには国際連携の専門家を大学の産学連携本部の中の一部門に5年間だけお金出してあげるから付けてあげるというやり方ではいけないような気がするのです。このようなお仕着せ横並びでなく、やはり中心は研究者ですから、研究者が必要に応じて雇うというような、研究者の裁量の中である程度こういうことにもちょっと手をつけておこうという余地を与えることを少し工夫されたらいいんじゃないかなという意見です。

主査
 是非、ここの提言を政策に出来るだけ早い時期に思い切って入れて、国のイノベーション創出総合戦略を徹底的に見直すようにしてもらいたい。研究者は、何とかのワクチンを作ったからこれの特許をとって絶対に自分のところで事業化して儲けようと思う人と、いや、これは人類のたくさんの人に役に立つのだからどこかが占領することはやめようという人といる思います。それは研究者のあるいはそこで作った人たちに判断する権利があると思います。しかし、もしそれを商売にしたいと思ったら商売する人はまた別な観点だと思います。これはやはり分業しないとちょっと無理がある。
 また、ライフサイエンスのところはもっと広く大きいわけですから、今日のご指摘はこれだけ課題がたくさんありますと、そうするとそれをどうやってやればこなせるのか。もちろん研究分野によって、それからいろいろなステージによったりして、そう簡単に一個の方策でうまくというわけにはもちろんいかないのですが、これまでの延長上ではないような気がするので、そこを見直していけるような政策に組み換えたらいいんじゃないですかと思います。我々も出来るだけ協力をして少しずつ新しい政策を出していけたらいいのではないかなと思っています。
 特になければ時間が過ぎてしまいましたので、一応これで今日の委員会は終わりにしたいと思います。ご苦労さまでした。

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