産学官連携推進委員会(第18回) 議事録

1.日時

平成15年3月6日(木曜日) 15時~17時

2.場所

経済産業省別館 1020号会議室

3.出席者

委員

 末松(主査)、生駒、市川、小野田、川崎、岸、北村、清水、田中、田村、堀場

文部科学省

 丸山審議官、坂田大臣官房審議官、林科学技術・学術政策局長、井上科学技術・学術政策局次長、田中研究環境・産業連携課長、尾山政策課長、小山技術移転推進室長、佐々木技術移転推進室長補佐  ほか

4.議事録

(1)「官」と「産」、「官」と「学」の連携について

  • 岸委員から「独立行政法人における産学官連携の現状と課題」について意見発表した後、その内容に関する質疑が行われた。
    その内容は以下のとおり。
    (○・・・委員)

委員 幾つかお伺いしたいことがある。第1番目は資料1の2ページ目の図である。ここに箱が4つあって、パッと眺めると、学独は左の上1箱で、あとはみんな産独と見たほうがいいのか、あるいは右下にも学独の要素、すなわちハイテク・ベンチャーを立ち上げるときに大学と独法とが協調して環境整備をするというようなことがあり得るのか。

委員 研究を主体にやっているこうした機関では、民間より大学との接触が非常に強い。大体、研究者はみんな大学を出ているので、それなりの非常に強いコネクションを持っている。直接我々のところが産業界と連携するのと同時に、大学が間に入ったり一緒に連携するということがかなり多いというのが実感である。

委員 その場合、比較的に形式化されないまま物が動いてしまうことはないか。

委員 大学との間では、ほとんどの場合、形式化されないままで動いている。

委員 そうであれば、学独を含む関係をどのようにして形式化するか、ちょうど今、産学の間を暗黙から形式化するように移そうというふうになっているが、それと同じようなことが必要ではないか。あるいは形式化すると、かえって阻害になるのか。

委員 ある規則の範囲で行いたいという気もするが、そうすると大学の方のメンタリティー(物の考え方)に合わないと思われる。暗黙知の中で大学とできるだけ交流を密にするほうが、我々としては少なくとも、得か損かでいえば利益が多いという気がする。

委員 予想どおりの答えである。次に、人の動きについてであるが、産独の場合に産から独へというのは独法化したことによってあまり問題ないと思うが、独から産へというものはまだ公務員型のために併任がかけられない。兼業は可能であり、総務省がどのような判断をするかだけの問題であるが、併任がかけられないということについての不便は何かあるのか。

委員 併任をしてほしいというプロポーザル(申込み)がたくさんでてくることを期待しているというか、待っているということが半分現状だと思う。そのときには非常に積極的に対応しようと思ってはいるが、ほんの少しの例外を除いて産業界からそうプロポーザルが来るということが少ない。できるだけやるように鼓舞はしているが、現状はそうしたところである。それから、確かに産業界からは人が来てくれており、この2年で十数人に来ていただいている。かなり優秀な方も来てくれるが、こちらから産業界が採ってくれるということは本当に少ない。これは今の現下の経済状況なのか、または我々の実力なのかいろいろ問題はあるかと思うが、この動きがもう少し出てくることが全体の流動性において一番大事なところだと思う。また、大学にはかなり人を採っていただいているが、いい人だけ持っていくというところが非常に頭の痛いところでもある。

委員 将来の大学と独法の併任を考えれば、国立大学が民間と同じ法人になるため、国立大学との併任はできなくなる。兼業は例の兼業規定でできると思われるが、併任はできない。併任と兼業とでは何が違うかといえば、兼業には必ず時間的制約があるが、併任は少なくともその制約がない。そこで学独関係の上で今の公務員型は邪魔にならないか。

委員 現在、公務員型であるので、先ほどお話ししたように大学と行ったり来たりすることが難しくなることを危惧している。非国家公務員型については真剣に考えなければいけないと思う。

委員 最後に、外国人の役員の問題であるが、外国人が何らかの長につくことが制限されているのは国の機関である。独法になった場合、理事長、監事は直接国が決めるので、外国人はなれない。しかし、理事などは理事長が任命するから、各部の部長と同様に理事までは外国人でもなれるのか。

委員 部長、または我々で言うところの研究所長、センター長までは可能であるが、理事は少し難しいというように理解している。

委員 研究者の評価、それに対応した処遇といった問題に関して、特に産独連携のような施策、実績等々はどんな形で反映するよう仕組みが動いているのか。

委員 評価法をまず独自に作成した。これは非常に難しいもので永遠の課題だと感じている。論文、パブリケーションに関する指標、パテントとその応用に関する指標、それから、物を作り出すといったプロダクト(製品)、ソフト、計測機器、インストルメンテーション(器械の使用方法)等に関する指標の3つの指標と、科学技術貢献の4本柱で今評価は走っている。論文指標ではいろいろ批判もあったが、とりあえずということでインパクトファクターを入れている。これはいろいろ問題がある。それで、ある種の評点をつけて、合計するとつまらないので、各分野でいい人、上位の人を選ぶという評価法を作り上げた。これで一番大事なのは、俗に言う一芸に秀でるということで4つの指標をバラに見ようということと、客観評価と主観評価の割合で客観を少し多くしたいということである。どうも好き嫌いだけで人事が動いてしまうということもあるので、よくやる研究者などには客観的な論文やパテントなどで評価することも必要ではないかと思う。それをどう処遇に生かすかについては、1年間の処遇は次の年の賞与の勤勉手当の約0.何カ月かを全部引いてしまい、そこにその割合分を入れてしまうということを行っている。それについては、自由にいろいろやれるし、組合交渉でもオーケーが得られている。よくやる人とそうでない人がいるのでということで大体妥結している。あと、昇給・昇格については、今年から評価を入れたばかりであるので、ほんの参考値であり、やはり論文や特許などの今までのパフォーマンスを2段階で足し合わせて判断するということにしている。ただ、昇格の基準などを少し低い年齢層に入れたので、賞与まで入れると随分大きな格差が出てくるという言い方ができると思われる。ちなみに、賞与等は一番多い人はちょうど2倍ぐらいになるというところまであるが、まだ最初でどこからがやりすぎになるのかよくわからない状況である。

委員 連携大学院制度の活用について、学生の受け入れ、それと学位のいわゆる認定、この辺に関しては独法化になって新しくなったということはあるのか。

委員 それは大体昔の制度である。今、筑波大学等ともう1段踏み込んだものも可能かどうかということについて、我々が専攻科的なものを持ち得るのか得ないのかを含めて検討している段階である。

委員 研究所に若い人の血が入るということはかなり研究を促進する上で大事だと思うが、今度は大学側から見ると、学生をそのまま無条件に預けてしまうのは教育上、学生にも問題が出てくる。その辺の何か新しい工夫が、独法化するとかなり自由度が出てやれるのかなと思ったが、従来どおりなのか。

委員 今のところは動かしていない。ただ、先ほどもお話ししたチェコのカレル大学などでは、1年に1回、必ず学生が帰ってきてくれないと、きちんと自分たちの範囲の指導ができないということがある。指導教官の問題は、全部こちらに来るかどうかが大事なところである。結構難しいところは、やはり研究所であるので、教育というセンスが正直言うとあまりない。研究だけ進めばいいということでやっているので、うまく連携しないと教育に支障をきたして大変だと思う。

委員 大学の研究との違いについてであるが、教育研究と社会貢献という大学のミッション(使命)から教育を取ってしまったような形になっているのか。その点で私が聞きたいのは、国立大学を法人化して、だんだんと国公私立の差がなくなってきたときに、研究面ではそれらとの競合関係が起こるのか。それとも全然別のミッションなのか。あるいはある部分は重なっているのか。

委員 結論的に言うと、部分としては重なっているところは多数あると思う。ただ、一応、我々のほうは中期目標、中期計画において、研究の目標、ミッションとして最初に設定し、それを限られた資金と限られた時間で行うということで、やはり最初にトップダウンがある。その意味で、大学が基本的にボトムアップの研究を進めていくこととは一線を画すと思う。それから次に、大学といっても、大学の研究所と我々がどう違うのかということもまた大きな課題である。ただ、やはり全体の研究のマスがまだ小さい状況である日本の状況で、大きく研究を広げるということが一つあると思うし、基本はやはりミッションが非常に明確になった中でのボトムアップの研究という感じでとらえている。

委員 外国からいらっしゃるといった、人事交流の事例が今後も増えると思う。研究成果の扱い等について何かもめごとの種になりかねないという状況が生ずるかもしれないと思われるが、その辺はどうしているのか。

委員 外国人研究者の成果物については、今のところ、ごく普通に日本人並みの扱いということで、すべて行っている。おもしろいことに外国の留学生の方はあまり特許に興味がない。研究でどの順序で名前をつけるかということを除いて、あまり問題が起きたことはない。

委員 フィールドリファインド(分野限定)の研究、ターゲットオリエント(目的限定)の研究、それから、それに関連して研究テーマは誰がどのようにして決めており、研究のプログレス(経過)状況は誰がどのようにして決めて、どこで発表するか決めているのか。これによって大学と国研の違いがすごくはっきりする。

委員 形の上では間違いなく大きなフィールドミッションとして、文部科学省がまず我々に目標という形のものを与える。例えば基礎基盤研究をやるとかいった、内容の話はこれからし、基礎基盤研究をやるとか、研究者の人材育成とか、共有施設をできるだけ外に開放して、役目を果たしなさいとかいうことがまず大きくある。次に、研究に関しては、ナノのマテリアルをやりなさいということと、安全のための材料をやりなさいということと、環境エネルギーをきちんとやりなさいということと、標準化データベースまで入れた基盤研究をやりなさいという4本柱ぐらいある。それを受けて、我々が計画を立てて、今のところは約27プロジェクトという形で提案している。その中期計画を文部科学省が行ったり来たりしながらチェックして進めるということがスタートラインである。研究の4本柱ともう少し大きい基礎基盤研究とか、大型施設の開放といったことを要素として、縦軸と横軸がある。その中で27のプロジェクトを立てて持っていったものに対して中期計画が可なら可ということで最終的に合意して、5年間のタームを行うわけである。それを評価委員会が毎年評価するということになっている。

委員 大型設備を貸すということはミッションでも何でもなく、手段である。

委員 大型の共有施設をがっちり維持して貸し出すというようなところとか、縦軸でいえば、データベース、標準化その他をきっちりやるということについては、大学にはなかなか入りにくい部分がある。ナノとか何とかいうところをこなしていくところが似ているだろうと言われれば似ているかもしれない。

委員 要はNIMS(物質材料研究機構)としてのミッションが何かという質問である。その各プロジェクトのミッションは、それは目的にあるのでデファイ(無視)できる。NIMSはなぜ存在するのか。

委員 NIMSはなぜ存在するかといえば、質、材料感、技術に関する基礎基盤研究をするためである。それらの研究成果を社会に還元するということや、大型のいろいろな施設を開放して、共用施設とするということが確かに大きなミッションになる。

委員 各研究テーマを決めるのは誰か。

委員 それは、例えば企画室などというところで、縦軸の中の細分化したプロジェクトを作り上げていくことになる。誰が作るのかといえば、理事長がつくるとも言えるが、発足前に中期目標、中期計画ができており、その後、理事長が決まってやってくるということになるので、その辺について深く追求されると難しいかもしれない。

(2)産学官連携推進委員会運営規則の一部改正について

  • 参考資料に基づき事務局から国立大学法人法案等について説明した後、その内容に関する質疑が行われた。
    その内容は以下のとおり。
    (○・・・委員 △・・・事務局)

委員 前の議論のときに、1大学1法人という話がずっとあったかと思うが、この法律要綱と法案を読む限り、国立大学法人、現在は1法人1大学になっているが、将来にわたって、2大学、3大学にすることは可能なのか。国立大学法人の今の法文上はそれを規定するものはないような感じがするが教えていただきたい。

事務局 実際には参考資料3の真ん中あたりに大学名が列挙されている別表がある。ここで初めて出てくるので、1法人1大学に限らなければいけないという規定があるというよりは、ここの別表で大学ごとに法人格があるという形になっていると理解していただきたい。その意味では、将来、立法政策として1法人複数大学もあり得なくはないのかもしれないが、今のところ1大学1法人ということで立法化されており、法人化後に大学の統廃合、再編統合があった場合、一々この別表を改正して2つの大学が統合するときには、新たな1つの大学法人をつくり、その大学法人がその大学を設置するという書き方に改めるという方式である。考え方として1大学1法人とが今後も維持されるのではないかと思う。

委員 借り入れと債券発行が可能になって、その返済が難しくなったときに、国が出資した財産を処分することはできるのか。

事務局 その法人自身の財産が責任財産になるのが基本であり、あとは償還計画を法人が定めるということになっている。それは具体的には法案の34条にあるが、長期借り入れと債券を発行するときは毎事業年度、償還計画を立てて、文部科学大臣の認可を受けなければいけない。そこでしっかり金額等々をコントロールするということになると思われる。ちなみに、債券を発行した場合、債券は優先弁済権というか、先取得権が与えられるというような形で資金調達をする。ただ、責任財産は法人自身のものである。

委員 責任財産は法人自身のものであるということは、一番最初に移行するときに、国が出資した財産も責任財産になるわけであるので、例えば返済計画はそのとおり進めば何の問題もないわけであるが、経済情勢の変化などでそうならなくなったとき処分できるということか。

事務局 国が債務を負うわけではないので、冷たいようであるが、制度上はそうなると思われる。

委員 今説明された法律案の中では、教授会については一切触れていない。これは各大学で自由におやりなさいということだと思うが、一方で、大学の設置については、学部学科の届け出とか、申請とかがあって、勝手に置けるような問題でもないように思うので、その点を教えていただきたい。

事務局 説明はしなかったが、内部組織、学部、学科、研究科等については結論的に中期目標や中期計画で書かれるということになった。調査検討会議の報告書の段階では、文部科学省令で書くということも含めて位置づけを検討するとなっていたが、法案の段階では省令に書くということは書かれてなく、目標・計画の段階で初めて出てくる。したがって、大臣の認可行為はかかる。計画・目標を定め、計画は認可するが、大学共同利用機関の研究所や附属学校は独立の存在であるので、省令上書くという整理になっている。学部、研究科、附置研究所等の内部組織は省令に書かずに、目標・計画で初めて出てくるという制度になっている。それから、教授会は法人法では出てこない。こちらは学校教育法本体の国公私問わずの教授会の位置付けで対応できる。

委員 教育公務員特例法はどうなるのか。

事務局 これも関係法律の整備法の中で国立大学絡みの規定がばっさり削除になっている。職員が非公務員となることによって、教育公務員でなくなるので、教育公務員特例法上の関係規定を削除するという措置がなされている。

  • 資料2-1、2-2に基づき事務局から産学官連携推進委員会報告書骨子案について説明した後、その内容に関する質疑が行われた。
    その内容は以下のとおり。
    (◎・・・主査 ○・・・委員 △・・・事務局)

委員 3ページの「3.今後の産学官連携の在り方」(1)の2で大学公的研究機関の公共性と産学官連携(利益相反への対応等)とあるが、こうしたところに情報公開の問題を入れておいたほうが記述しやすいのではないか。それから、これはまだほとんど我々は議論していないが、ぜひ次のフェーズで議論していただきたいこととして、就職活動とそれの大学教育に及ぼす問題について一言触れていただきたい。これは産業界への要望にもなり、あるいは産学での共同作業にもなると思う。これは日本の特異的な状態なのではないかと感じている。これは産だけでも、学だけでも対応できない問題かもしれないが、日本の大学から産業につながってくる接点として大きな問題を抱えているのではないかということについてテイクノート(記述)していただきたい。

主査 重要な指摘である。情報公開の件と就職活動に伴う問題についてどこかに書いていただいたらどうかということであった。

委員 先ほど説明のあった国立大学法人法案を見る限りにおいては、国立大学を設置、運営、管理するために国立大学法人があると考えられるわけであるが、大学というのは、国立大学法人の中の一部の機能である。この報告書骨子案の中において、国立大学法人と大学のどちらのレベルで産学官連携をいうのか。法人の責任なのか、法人の一構成員である大学そのものの責任なのかということが、若干従来よりもあいまいになったような気がするので、必要なら定義をはっきりしておいていただいたほうがいいのではないか。それが第1点。それから、第2点は、その場合に、我々の議論の対象は国立大学なのか、それとも公私立大学も含めたものであるのかということである。それから、もう一つは、大学の個性ということを非常に強くうたうということで法人になったかと思うが、先ほどの先行独法の説明であったように、産学連携の対応は千差万別である。人材交流、共同研究、TLOを通じての技術移転も含まれると思われる。そうなると、むしろ、前回の中間答申は、なべて産学連携を推進するためのハザード(障害)を除くという趣旨でまとめられたが、今回もし報告書をまとめるとすれば、大学法人ごとに選択できるよう整理すべきである。我々のところは人材交流を中心に産学連携を行うといった対応別の施策を少し整理するという案はいかがか。

事務局 国立大学の設置者は誰なのかということについて、一応法文上は、「国立大学法人は、別表に掲げる国立大学を設置する者とする」となっており、法人が設置者であって、大学は設置される機関ということになる。ただ、先ほど申し上げたように、1大学1法人の原則が採用されており、かつ、学長が法人の長となり一体となっている。したがって、論理上、設置する者、される者は別であるが、実は一体であって、そのトップは学長であるということなので、両者の関係があいまいになる。加えて、学校教育法上は国立とするということであるので、公立、私立、法人立という区分が新しくできるわけではなくて、あくまでも国公私立という分類はそのままである。そのような一体性を強調した制度になっていることは確かかと思うので、法人の業務、あるいは大学の業務と仕分けして書くというよりは、大学と法人の一体性を前提として書くということが大事であると思う。それから、本報告書の性格として、説明も十分足らなかったが、あくまで、国公私を問わず、大学ごとに個性や特色を生かして考えていただけるよう、その参考となるべき報告書として取りまとめていただきたい。国立大学の法人化が大きな契機となるということであり、考え方としては、国公私全体をターゲットに入れた報告書をまとめていただきたい。

委員 今の委員が言われた、大学ごとにというのを私はさらに展開して、大学の中でもということにする必要があると思う。非公務員化が起こって、マネジメントをしっかりやりなさいとなっているが、マネジメントの中には、人事マネジメントも当然あるわけである。それから、大学なのか法人なのか難しいところがあるが、それも当然機能分解されているわけである。したがって、例えば3ページの下から3行目にあるように、「教職員に対する評価において産学官連携の実績を適切に反映」というような漫然とした話ではないと思われる。要するに、大学が大学の中の組織を適当にこしらえて、その組織の中で働く人は何を職務、任務とするのかということがある。それは教育だけの場合もあるし、研究だけの場合もある。場合によっては、産学連携だけもあるのかもしれない。それを教員と呼ぶかどうかは別として、こうした漫然としたものではなくて、産学連携という身分を負った人、あるいはさらに言うならば、大学法人と産学連携をすることを契約の中に規定された人は当然評価され、それが規定されてない人は評価に入らないとすればいいのではないか。同様のことが、今度は8ページにもあり、これは利益相反の責務相反のところであるが、「教職員の兼業活動を許可する場合には、大学の職務に支障を生じないように就業規則で適切に対応」となっている。これは一様にしておいて規則で縛ろうという思想であるが、人事のマネジメントがあるとすれば、こうしたことは何も書く必要はないわけであり、これは明らかに大学との契約任務に反しているかどうかだけの問題である。したがって、これだけはっきりと法人化をし、マネジメントを導入したとすれば、こうした全般的に規則をかけるといった姿でなく、大学の中で機能分解し、任務を定めて、それに従ってきちんと働いているかどうかということで評価する、あるいは罰を下すという線にすべきではないかと思う。

主査 教職員の任務が多様化してくるわけであり、それに対応した評価が必要であるということであった。

委員 5ページの産業界に期待される項目のところで、「企業側が国の大学等の能力を一層戦略的に活用するという観点」という大変弱い表現になっているが、我が国の企業は、自分の国の大学を一層戦略的に活用せねば将来大変になるともう少し脅しをかける必要があるのではないか。それに関連して、9ページのまとめのところに、産学連携による国際競争力向上のための企業の協力とあるが、産学共同は大学のためにやってあげているので、企業も応援しなさいという書きぶりになっている気がする。何か産学連携というものが、勝手に学と官がやっていて、産は横から見ていて、応援してやろうか、してくださいという形で参加するように感じとれた。もう少し、やらなければダメである、何を考えているのかといった論調を出してほしい。

委員 3の「今後の産学官連携のあり方」の中で、1から7のかなり重要項目という形で書かれているが、国際という開かれた文字がこの中にあまり見つからない。産学連携事業の関係で海外に進出する企業の方々とのいろいろな交流で、国際的な視野に立った特許の取得は必然として企業で行われておって、実際に、技術移転をするときには、大学のアカデミックなヒューマンネットワークの効用というのはかなり期待されている。ビジネス自体は国際、グローバル化しているので、その辺、例えば知的財産権というのはグローバルな対策を立てざるを得ない。その部分がどこか欠落しているように思うので、どこかに入れてほしい。

主査 国際的視点、ビジネス視点を入れようというこおである。

委員 産学連携活動に対する評価のところにある、大学や教師の産学連携に対する社会的評価の向上というところをもう少し具体的な表現にするというか、もう少し強調したほうがいいのではないか。

主査 社会的評価に関して、もう少し書き込むべきであるということである。

委員 現実の問題としては、国際的といって、欧米だけではなく、隣の中国、韓国、台湾、東南アジア等との企業、大学との話し合いがある。そこに進出している日本の企業はどうなっているのかという点が現実の問題として出ているので、4の下の中長期的なところの将来像として、中国、韓国等も視野に入れて考えているという程度の書き込みはしていただいたほうがいいのではないか。

委員 1つは、もう産学連携をさんざんやってきたので、歩みのところだと思うが、従来の産学官連携を阻害していた障壁が過去どのような状況でバリアがなくなったかということを即物的に書いてもらいたい。それから、どの障害がまだ残っているか。それから、それはネガティブサイドで、ポジティブサイドで、どのようなインセンティブをこの10年間で与えたかということについて歩みのところなどでまとめてきちんと書いておく必要がある。もう1点は、内閣府の総合科学技術会議が行っている産学官連携プロジェクトの対応を出してほしい。そこの報告書とどういう対応しているのか、中身が全く同じものを書いているのか、全然違うことが書いてあるのか、何が対応しているのかといったことについて整理してほしい。その対応を、報告書に書かなくてもいいが、少なくともここで1回見せてもらえないか。

委員 知的財産や産学連携を具体的に現場でどうしていくかということ以前に、知的財産そのものの重要性を世の中に広げていかなければいけないという側面がある。教育というところは、実際に社会に貢献するというところもさることながら、自分の学内で重要性をいかに教育していくかみたいなことについても強化しなければいけないという議論があるので、その辺についてどこかに書き込めないか。

5.今後の日程

 次回は3月中旬に開催する予定とし、各委員との日程調整の上、事務局から改めて連絡することとされた。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)