産学官連携推進委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成13年6月27日(水曜日) 10時30分~13時

2.場所

文部科学省 別館 第1会議室

3.出席者

委員

 末松(主査)、市川、伊藤、川合、川崎、岸、北村、清水、白川、田中、田村、丹野、平井、古川、堀場、安井、吉田

文部科学省

 坂田審議官、中西研究環境・産業連携課長、磯谷技術移転推進室長、柴田技術移転推進室長補佐  ほか

オブザーバー

意見発表者
 近藤正幸教授(横浜国立大学大学院環境情報研究院)

4.議事録

(1)カレッジ・ハイテクベンチャー創出のドイツモデルについて

  • 近藤教授、白川委員からベンチャー創出のドイツモデルについて意見発表をした後、その内容に関する質疑が行われた。
      その内容は以下のとおり。

【委員】
 東西ドイツの統一後だと思うが、関連する法整備その他はいつごろから出てきたものかという点と、資金に困った大学が始めたベンチャー企業なのか、国による産業界への施策として出てきたものなのかを知りたい。

【意見発表者】
 制度的なものについては詳しく調べていないが、新しい制度のためにできたというわけではないようである。任期付き採用で更新をしないといった制度はあったようである。また、大学やマックスプランクにおいては垂直的な昇進が禁止されていたため、実質的には任期付き採用であった。ただ、それについて1985年頃から政府が厳しく言い始め、任期の更新をあまりさせないようにしたと聞いている。
 そのほか、大学の中でインキュベータのような施設を企業に貸すということは、いつ頃からできたかわからないが、雇用が厳しくなったころから緩和されたと言われている。それから、フラウンホーファー、マックスプランクといった研究所については、スピンオフをするようにという勧告が、1990年代に出されている。
 ヒアリングによれば、東西ドイツが統一し、財政が厳しくなったため、大学に対する助成をある程度減らさざるを得なくなり、人件費が減ることによる人員削減を避けるため、積極的に外部資金を入れるようになったと聞いている。アメリカの大学のように外部資金で正規の職員を確保できる制度は従前からあったようである。
 実際に、大学にどのくらい政府から資金が流れているかを調べてみると、東西統一があった1990年から実質的に下がっていないことがわかった。結果としては、人件費などは削減したかもしれないが、政府から大学へ流れている資金は減っていない。

【委員】
 資金がないため、逆に外部資金を入れることに積極的になったドイツの話と、今の日本のように科学技術の資金を増額し、産学官連携を推進させるという話は矛盾するのではないか。

【意見発表者】
 先ほどの回答を補足するが、政策自体は1990年代半ば頃に、ザップというソフトウエア関係のベンチャーが、ドイツのコール首相に提言し、それを受けて教育科学省、経済技術省が各々いろいろなプログラムを始めたということを聞いている。今の資金に関しての問題については、私がよく言うことであるが、大学にはそれぞれの特性に応じた役割があり、経営においては、ポートフォリオマネジメントをする必要がある。基礎研究に対する予算については別の基準で厳しく評価し、産業界志向の応用開発研究に対する予算については産業への結果主義で厳しくする。例えば、ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーがある大学で、ベンチャービジネスがスピンアウトしていないところに対しては、厳しい措置をとるなど結果主義でいく必要があると思う。
 新しい政策を打ち出すよりも、結果重視を厳しくして、ペナルティーを課すことにより、応募してくるところに対して、リスクを覚悟した上で応募させるようにすることが重要である。
 また、ドイツの大学には産業界の資金がかなり入っており、アメリカの大学の倍近いという驚くべき状況がある。日本でもそうした大学に対するファンディングは、ある程度認めたほうがいいと思う。ただし、企業との共同研究を企業の定めたテーマで行う場合、トップの判断が必要になるぐらいの金額を企業から出させないと、本気で企業も取り組まない。なおかつ、結果を厳しく評価するようにすれば、大学もかなり変化するのではないか。
 参考資料にあるように、大学活動におけるベンチャーとして4種類を定義している。まずは「営利型」で本当に儲けるためのベンチャーである。これには、「急成長型」と技術重視の「ニッチ(すき間)型」がある。ドイツはニッチ型が多い。それから、「非営利型」というものがある。「非営利型」の一つに、教育や研究の振興を目的とする「研究・教育振興型」がある。白川委員が携わっている会社もこれに該当するのではないかと思われる。また、もう一つの「非営利型」として、環境保護などを目的とする「社会目的型」がある。この具体例としては、高知工科大学の先生で、四万十川の自然を守る事業を行う会社の社長を無給で勤めている人がいる。このように大学にはいろいろな役割があり、そのポートフォリオを把握し、応募した大学に対しては、その成果をフィードバックしなければならないというリスクを負わせる形が良いのではないか。

【委員】
 私も実は、日独ハイテク環境協議会というものに参加しており、1999年から、新企業のスタートアップに関するワークショップをやってきている。今の議論でいろいろと誤解が出てくる心配があるので何点か指摘しておく。
 まずドイツは州立大学であり、予算については連邦と州が半々ずつ出すという、ドイツ連邦の文部大臣管轄下の所管会議で明確に定められたルールがあるということが1つ。
 次に、ドイツではプロフェッサーは終身の資格であり、企業に勤めようとプロフェッサーである。そのような意味では、どこにでもプロフェッサーはおり、表札にもプロフェッサーを書くという社会的ステータスがドイツにはある。
 また、定員制である医学部関係や生物系を除いては、州ごとにあるアビトゥールの試験に受かっていれば、どの大学へでも転部、転科が自由である。学生もそういう意味では移る自由を持っている。
 最後に、アメリカへの頭脳流出がドイツ国内では非常に問題となっている。アメリカに流出した人が戻ってくるポストがないという問題など、国内問題と同時にアメリカとの関係、あるいはヨーロッパ内での関係といったような条件が日本の閉鎖社会とはかなり異なっており、学生も多国籍化している。
 これらの点を前提として考えておいた方がいいのではないか。

【委員】
 白川委員の資料では、50万件設立して43万件倒産という、約90%が倒産するというノーマルな数値が示されており、一方、近藤先生の資料では、3年以内と限ってあるが、約6%が倒産と示されている。数値が異なるが、どちらも事実なのか。

【意見発表者】
 確認していないのではっきりしたことは言えないが、白川委員が配布した参考資料は、ドイツ全体の企業を対象としていると思われる。

【委員】
 多分すべての企業を対象としている。

【意見発表者】
 また、グイード・バラノフスキー氏(ドイツにあるインキュベーター法人の理事長)からいただいた資料によると、ドイツにあるテクノロジー起業家センターというインキュベータに入っている企業の中で倒産した割合は非常に低いとなっており、そこから引用した数字を参考資料に載せている。

【委員】
 資料の6%という数字は、異様に倒産率が低く非常に良好だという印象を受ける。最初から有望な企業を選んでいるかもしれないが、同時に優遇することにより表面上は倒産していないように見えるのではないか。本当に事業が進んで、倒産していないのか。あまり成功していないが、多くの企業を優遇することにより表面上少なくなっているのか。これらは成功か成功でないかを判断するときに重要な要素だと思われる。

【意見発表者】
 グイード・バラノフスキー氏の話によれば、テクノロジー起業家センターが支援を積極的にしているということが一部のセンターにあるように思われる。これに対して、ケルン大学のタマセイ氏の論文によると、ドイツのほとんどにあるテクノロジー起業家センターのようなインキュベーターは大部分が箱物であると調査分析している。一部のテクノロジー起業家センターでは積極的に支援しているが、そうでないところがかなりあるというのが実状ではないか。
 また、優遇しているかいないかについては、テクノロジー起業家センターには多くの企業を優遇するほどの財源がないので、該当しない。そこへ入っている企業がかなり優秀であり、公的なファイナンスも受けやすいため、生存率が高くなっているのではないか。

【委員】
 この数字から本当の意味で成功しつつある比率が非常に高いと考えていいのか。

【意見発表者】
 私がインタビューしたところは大体良好なところしか紹介してもらっていない。確かに30代若手で、一流の研究所を出て起業し、技術的にもしっかりしており日本にも輸出しているといった企業やパテントを核にしたかなり良いスピンオフ企業がいくつか入っていることは事実だと思われる。

【委員】
 アンインスティチュートの兼業に関してであるが、これはプロフェッサーなどの本務を持ちながら、同時に何%かの時間を兼業に使えるように変わったと考えていいのか。

【意見発表者】
 もともとあったと思われる。州によって異なるが、大体アメリカと同じで、勤務時間の20%を兼業に充ててよいようになっている。ただ、州によって解釈が多少異なり、バーデンヴェルツベルグでは、20%とは勤務時間5日間のうちの8時間のことであるとしており、一方、ベルリンでは、1日当たり勤務時間24時間の5日分の2割であり、週24時間まではいいとしている。週24時間という解釈と、週8時間という解釈の違いはあるが、いずれにしろ勤務時間の2割は兼業に充てていいとなっている。

【委員】
 2点聞きたい。一つは、技術だけでは会社はできないはずなので、ビジネス教育はどういう仕組みになっているのか。それからもう一つは、民間のベンチャー・キャピタルが審査して、それに公的機関が乗るという話であるが、民間のベンチャー・キャピタルはどういうイニシアチブで作られたものなのか。企業、ベンチャービジネスのOBとか金融機関など、いろいろな形があると思われる。

【意見発表者】
 ビジネス教育については、私が訪問したベンチャーはある程度成功しているところであり、常識があれば経営はできる、経営者は何でもできなければならないといったスーパーマンのような人が割と多かった。EXISTというプログラムができる前は、起業教育の講義はあったが、講座つまりチェアはゼロだったが、その後どんどんチェアができ、講義も増えてきている。それから面白いと思われたのは、これをビジネススクールだけではなく、工学部の方でも教育していることである。どういうことをするかというと、講師自体が起業経験者であり、工学部の学生に対し企業から課題を持ってきて、バーチャルの研究開発をさせ、その際に採算などを全部計算させるといった実習的なことをやらせる。これを、日本で言うと大学4年生から修士の1年ぐらいにあたる学生にやらせている。また、ドレスデンでは、ビジネススクールの学生と工学部の博士課程の学生でチームを組ませ、それを指導しながら何回か泊り込みでビジネスプランを作らせた上で、そのプランをベンチャー・キャピタルの前で発表させるという面白いことをしていた。
 民間のベンチャー・キャピタルの主体の出身はどこかについては調べていない。

【委員】
 何か特定の企業が、イニシアチブを取って、ベンチャー・キャピタルを作って、大学と結んでベンチャー起業を行うということではないのか。

【意見発表者】
 フォルクスワーゲンなどがベンチャーキャピタルを作っているが、そこが大きな勢力であるとは聞いていない。

【委員】
 何点か聞きたい。第1点は、大学のAUTMなどでは、例えばその州で雇用はどのぐらい発生したかとか、産業はどのぐらい育成されたかとか、実際の雇用の増加に関する具体的な数字の資料があるかということ。あともう一点は、日本ではベンチャー・キャピタルにしても何にしても資金はかなりある。ただ、シーズを選択する段階が非常に厳しく、うまくいかないため、ベンチャーの数は必然的に絞られるという傾向があるが、ドイツでこれだけ多くのベンチャーができるのは、かなり優良でなければおかしい。もしこれが電気機械産業系で、割とトランスレーターがきくような分野であれば可能なのかと思われるので、分野ごとのベンチャーの数の構成を聞きたい。

【意見発表者】
 まず、雇用がどれくらい出たかということについては、AUTMもそうであるが、バンクボストンなどがやっているが、そういった形の数字は目にしたことはない。白川委員の配られた資料にある、テクノロジー起業家センターの中で大体5万5千人という数字以外は知らない。ただ全体的な印象としては、ドイツの場合は急成長をねらうベンチャーは少ないが、技術がしっかりしている。大体大学かトップクラスの研究所の特許を核にしているので、安定成長をねらっている。そのため、企業の従業員規模が7年で12人ぐらいなど、あまり急成長せず、雇用が急激に増えることはないと思われる。
 それから、分野については、参考資料2にあるtbgの投資先の技術分野を見ると、ライフサイエンス分野がトップで、その次にソフトウエア分野、コミュニケーション分野、メディカル分野が続き、MStR(マニピュレーター、ロボット)などの機械系分野がある。その次に、マルチメディア、それからエレクトリカル、レーザー、プロセシングと続く。ハード関係の分野もあるが、多いのはトップで2割を占めるライフサイエンス分野である。それにソフト、通信を加えると、3、4割を占める。それから、基礎研究中心の大学、マックスプランクではライフサイエンス関係が多い。ビオレギオやバイオ2000という、特別なプログラムをやっている関係があり、ミュンヘンのほうにはジーンバレーというものができ、ライフサイエンスが盛んである。

【委員】
 今の質問の答えになるかどうかわからないが、私がワークショップで驚いた、いくつかの実例があった。東ドイツ側の学校の先生たちが研究をしても資金がないため、西側から資金を得るために、会社を作った実例が非常に多くある。例えば、水素の燃料電池の会社を作り、その燃料を学校の教材として使えば、政府が援助してくれるので、何とかやっていけるというものがあった。

【委員】
 ある年度の廃業率と、新しく企業が起こった件数はわかるが、A社ならA社がベンチャーで成功したとか、歩どまりがいいというのがわからない。何年間企業が続いたときをもって成功率が高いとしているのか。世界の標準として、例えばベンチャーの場合、生存率5年以上が成功と見るのか、あるいは10年ぐらいもたないとだめなのか。

【意見発表者】
 ドイツに限ったものではなく、一般的な話でよいか。

【委員】
 例えばドイツの場合、成功率が非常に高く、倒産はわずか6%だという話であるが、そのわずか6%というのは1年以内に死んだのか、2年以内に死んだのか、3年以内に死んだのか、その辺を教えて欲しい。

【意見発表者】
 たしか、3年か5年のどちらかと思われる。

【委員】
 日本の場合はどうか。何か資料がないのか。今から3年ほど前に調べたとき、業種によって生存率がものすごく違っていた。業種によっては5年も生きたら長生きと言えるものもあるし、業種によっては10年生きても短命と言えるものがある。企業にとっては生存率というのが重要なので、この点についてもこれからいろいろベンチャーを論じるときに必要ではないかと思う。

【委員】
 ドイツの場合、東西ドイツの統合など客観状況がプラスに働いているようであるが、連邦政府として、ある時期から主体的にある事業を推進したというよりは、諸般の状況からこうなってきたという理解でよいのか。例えば、利益相反みたいな部分について、ある時期に国としてのものごとの整理などが行われたのか。国の統一的政策というよりも現場実態としてうまく運んでいるということなのか。

【意見発表者】
 ベンチャーの育成、特に大学のベンチャーの育成については、政府がはっきりと方針を示し始め、形となったのがEXISTプログラムである。それから、アンインスティテュートについて、その利用は1980年代から少しずつはやっており、これほど盛んになったのはどうも1990年代だと思われる。そのような制度が以前からいくつかあったと思われるが、やはり加速したのは、東西統一以降であり、アメリカのシリコンバレーの成功などの情報を受けてからである。こうした前提的な情勢があり、その中で政府がある程度決断してやっていったというのが確かだと思う。
 利益相反については難しい問題であるが、ドイツでは、憲法でもって学問の自由が保障されており、大学の先生の身分というのは大変なものと聞いている。特許もドイツの場合、大学の先生の個人所有となっており、大学の先生個人の自由度がかなり高いと思われる。それから、利益相反かどうかわからないが、20%兼業というのは州によってルールが決まっている。ある州立大学の先生の場合、教授、公的な研究機関の研究部長クラス、企業の社長と3つ兼業しており、企業で多くの時間を使っていると言っていた。ただし、その企業はその公的研究機関が100%出資で作った会社である。公的研究機関も、条件があるかもしれないが、100%出資で企業が作れるので、大目に見ているところがある。実態としては、かなり大学の先生の自由度というのが尊重されているようである。

(2)中間取りまとめ案について

  • 資料2「中間取りまとめ(案)」に基づき事務局から説明した後、その内容に関する質疑が行われた。
    その内容は以下のとおり。

【委員】
 個々の具体的内容に入る前に、この中間取りまとめの構成について、主査のお考えを確認する必要があるのではないか。確かに、この委員会で出た意見、それに事務局で考えたものを付け加えて、このスケルトン案はきれいにまとまっていると思われるが、事の本質に迫っているのかという疑問がある。表面に現れているいくつかの問題には、それぞれの原因があり、その原因を突き詰めて、それに対する処置を行うことが必要ではないか。例えば、委員会の第1回で、今まで日本で産学官連携がうまく動かなかったのはその必要がなかったからであるという話が委員の中からあったが、その問題自体はまだ残っていると思われる。
 今、産業側で必要としているのは、改善研究をする能力は自分たちが持っているので、そうではない新しい産業創出につながるようなブレークスルーであり、それを大学から出してほしいということが、スケルトン案の中にも書かれている。とすれば、なぜ日本の大学あるいは公的試験研究機関からそれが出ないのかということについての回答若しくは措置が書かれるべきである。大学あるいは試験研究機関から本物の研究が出れば、産業界はそれをほうっておくわけがない。戦前の例から言えば、MK鋼、酸化鉄磁石の事例などたくさんあり、戦後で言えば、ビタミンCなどがある。そうしたものを産業界は絶対ほうっておかない。今まで産業界はほうっておいて済んだわけであり、その原因はどこにあるかということがポイントだと思われる。
 そのように、事の本質に迫らないで、表面的に問題だと言われていることに対して、政策的な措置を行うと、それは傷の上にばんそうこうを貼っていく話になる。ばんそうこうは貼りすぎると硬くなり、かえって動きが取れなくなる。具体的には、現場の方が何かしたいと申し出た場合、それに対する施策がないから新たな政策を考える、という話になる。こうした施策を次々と打ち出していくことが、かえって将来に向けて拘束を強くしていることになりかねない。
 さらに、何から何まで国が世話をすることが本当によいのかという問題がある。アメリカの特許政策というのは、実に戦略的に見えていたが、アメリカの特許関係の人と話をしたら、別にアメリカの特許局がそのように考えているわけではないという、非常に明快な回答が返ってきた。民間企業が特許に関してやりたいということをどんどん挙げていき、特許局は、それを邪魔しているものを排除しているだけであるとのことであった。それが戦略に見えるのかもしれない。この場についても同じことだと思われる。本当に皆さんがやりたいと思っていることを挙げてきて、それを邪魔しているものの本質は一体何かということを分析し、除去するという方向で基本的に進めるべきではないか。
 国が世話することの典型的なものが、「産学官対話会議」、「知的クラスター」という新しいものの導入である。国がこういうことをやってうまくいった例を、大変失礼であるが、あまり聞いたことがない。通産省が行ったテクノポリスは今日一体どんな意味を持っているのか。厚生省が行ったリゾート開発はどんな意味を持っているのか。地方自治体の負債を増やしただけである。さらに言うならば農水省がやっている農業基盤整備事業は結局、セーフガードを発動して強いしっぺ返しを受けているような農業しか作っていない。国が何かこういう器を作るので、どうぞ皆さんお作りくださいという方法はやめてはどうか。そういう保護主義的なことをやるとますます後進性が強くなり依存性が強くなる。そうではなく、だめなところはつぶす。30大学という話があるが、だめなところはつぶれるので皆さん必死で生き残りなさい、生き残る上で1つの途として産学官連携があるでしょう、それを進める上で邪魔なものを取り除きましょう、といった基本的なスタンスを作らないと、この委員会でどれだけ議論しても、箱庭と雛人形ができただけという気がする。

【主査】
 ただいまの指摘は多くの委員の方が賛同しておられると思われる。奥に潜んでいるものを除去する、あるいは強化するということが一番大事なポイントであり、大くくりにそこを出していきたいという提言である。そのとおりであると思われるので、これからそういう方向に意見をいただければと思う。

【委員】
 今の指摘があった3点は大変重要であり、私は全面的に賛成したい。それに一言だけつけ加えると、ここにいろいろ書かれていることは、全部大学の教授側がやることになるのか。要するに大学における教育なり、研究なり、あるいは共同研究なりをやるサポート体制としては事務局があるが、現在の事務局は本当にそういう教官の活動を助けるサポート体制、いわゆるサービス精神で仕事を行っているのか。特に、特許侵害を受けて、それに対する守りをどうするかということが入ってくると、現実に大学の工学部なら工学部の専任の先生が教授会で集まって、知的所有権委員会をして云々という話になると、いわゆる組織有の発想を導入した後、途端に数は減るのではないか。組織有にするのであれば、大学の中における特許を取るためのサービスを行う人材なりノウハウなりというのが、拡充されたのかどうかを検証しないと言えないことではないか。もう一つ重要なこととして、教員の活動を支える、サポート体制について、是非付け加えてほしい。

【委員】
 現役の大学教官として言わせてほしい。この文章で言うところの3ページの施策の方向性について、やはり大学が何をやるかという視点が非常に重要であり、努力しなければつぶすという先ほどの指摘は確かにそのとおりだと私も思うが、一方で、日本の企業、特に大企業がその産学連携をやる気があるのかという点も書き込んでほしい。連鎖モデルと書いてあるが、その下を見ていくと、大学が、大学が、としか書いてなく、大学側がそれを改善すればやれると読めるので、これはいかがかと思う。
 最近のファンディングシステムは、かなり集中化が行われているが、そのバランスの点で産学連携に対するファンディングが遅れている。奨学寄附金等の表面的な付き合いだと、企業はほとんど何も言わない。本当の企業ニーズというのは、企業に金を出させることであり、より良いファンディングシステムを使って、円滑にプロモートする仕組みを是非書き込んでほしい。

【主査】
 企業が本当にやる気があるのかということについては、大学人は率直にそう思っている。この点についても、是非これから詰めていく議題の中に入れていただきたい。同時に日本全体のファンディングシステムが的確に動いているかについても、是非検討していただきたい。

【委員】
 産学連携支援のファンドの準備のための実際の作業を通じての立場から発言したい。実は産学連携については、今いろいろな先生からも話があったように、アメリカなどに比べると、いろいろ遅れていることをよく言われる。しかし、私自身の認識は若干違っており、これまでも産学連携というのは、名前はともかく実態的にはそれなりに日本でも行われてきたと思う。ただ、これまでは、その技術移転の仕組みについて透明なルールが明確にできていなかったがために、大学の先生と企業との間で、アンダーグラウンドなルートも含めて、連携あるいは活用があっても見えてこなかった。これからは透明性の確保が非常に重要であるので、そのような仕組みをきちんと設け、ルールを作った上で、大学の中で産学連携が円滑になされるような仕組みを作ることが重要だと思う。また、大企業の方も行き詰まってきているところが大分出てきているので、大学の技術については相当期待を持っている。ただ、これまで国と大手企業との間の共同研究は、かなり行われてきたが、その成果が必ずしも大企業の中で日の目を見ないまま終わってしまっていることがある。大手企業でも休眠特許みたいなものは相当数あるわけだが、やはり、ある程度のマーケットの規模が出てこないと、企業の相手にされない。これはある大手企業の方の話であるが、月商数億円のマーケットがないと取り上げないということが現実にある。今回の提言の中に大学発のベンチャーについて相当書かれているが、大学からの技術移転を円滑にするために、企業と大学との間にベンチャーを作って、そこで様々なチャレンジをやってもらうことが重要だと思う。
 こうした点を踏まえて、今回の提言の内容については、きちっとした産学連携の仕組みとルールを定めてもらうこと自体に大きな意味があると思う。その上で、産学連携を円滑にする方策の一つとしてベンチャーの活用というのが求められているのではないか。

【委員】
 産学連携を国立大学で進めている立場から言うと、この答申の骨子のようなものを明確に文科省あるいは経産省の行政の方で示していただかないとなかなか産学連携は先に進まない。昔のいわゆるおんぶに抱っこの段階ではなくて、小さい部分ではいろいろと問題があるが、各大学が独自に産学連携の推進に向けて行動していく上でいろいろ突き当たった問題点がこの答申に挙げられていると思われる。先ほど特許の発明の帰属が組織有に向きつつあることについて、昭和52年の学術審議会答申の際にさんざん議論したではないかという話が出たが、当大学の実例を話すと、一流の研究者の集団ではあるが、組織としてしっかりとした研究管理がなされていないので、研究管理を欧米の研究大学並みにする必要があるという趣旨の下、産学連携の窓口を作ろうという動きが起きた。ここから出発して、特許出願及びそのライセンシングなどを最初のステップとして、平成11年にTLOを設立した。
 設立前に予備調査で大学の教官が出している特許を6年間にわたって調べてみると、毎年大体230件ぐらいの特許が出ており、そのうち発明委員会に届けられているのは20件程度しかないことがわかった。要するに大学の教官にも事務局にも大学当局にも特許出願について全くインセンティブがないという状態であった。承認TLOになり、教官個人有の研究成果を譲渡してもらい、特許出願を行ったところ、発明委員会に毎年230件ぐらい発明委員会に出るようになった。TLOの経済的なポテンシャルもあるため、出てきた発明をすべて出願するわけにはいかないが、現在1年半ぐらいで150件の特許出願を達成している。それを基にしてライセンシングしたところ、当初は大学の発明が売れるのかと危惧したが、現在23件ライセンス契約が成立している。
 大学の教官の給料はそんなに高くないので、自分で特許出願をして特許管理をすることは不可能である。大学が組織として、そのような機能を作れば、一部の先生を除いて、大部分の先生はこれに対して非常に関心を持つと思われる。
 特に国立大学については、国の政策として行わないと、リーガルステータスがないため、研究費を一切使わずに、このようなことを行わなければならない。早急にまとめてほしい。

【委員】
 やはり現在の大学の事務局の体制、それから経験、知識等を勘案すると、まだまだ未成熟である。ここの「当面の施策」の2.に、大学の組織有原則へ転換することを検討と書かれているが、結論としては、私は絶対正しいと思う。組織有を必ずゴールとしなければならない。ただ、例えば来年からこれを組織有に転換したら、全く動かなくなってしまう。現在、各TLOはいろいろな形で苦しみながらノウハウを蓄えてきているところである。JSTなど部分的にノウハウがあるところもあるが、大学の事務局にはまだこれを受け入れる力は全くないと思う。帰属の転換の検討は非常に重要であるが、是非大学の事務局をどのように組織として持っていくのか、場合によっては、外部で育ったTLOを吸収する、ないしはそのノウハウをどうやって移植するというようなシステムを是非検討してほしい。
 アメリカのワシントン大学においては、プロモーストという地位にある人が極めて強い権限と管理能力を持っており、事務方をしっかり管理して、テクノロジー・トランスファーを仕切っている。しかも外部にワシントン・ファンデーションという組織があり、そこの財政的な能力などを活用している。さらには州の弁護士、州の長官の力を使うなど、いろいろな形でリソースを活用している。そのような大学の事務局の機能拡充と組織化、さらにそれをうまくコントロールする能力、それにTLOやJSTのノウハウをドッキングさせることを強く意識しないと、非常に苦しいことになると思われる。アメリカでも1つの共同研究計画を結ぶのにサインが二十いくついると言われており、やはり2カ月から3カ月ぐらいかかるらしい。アメリカの担当者もこれは官僚化との戦いだと言っていた。日本でもそういうことが起きると思われるので、その戦いを覚悟しなければならない。
 この施策の中には、保護主義的なものがかなりあると思われる。この中にある、学生に特許明細書を書かせるということは経験としてはいいと思うが、明細書を書かせてもあまり意味がないと思われる。むしろ、どうしたら弁理士とコンタクトを取れるのか、さらに取った権利をどうしたら有効に使えるのか、というアウトソーシングの仕方を徹底的に学ばせて、外部の弁理士をうまく使わせる方がいいのではないか。契約について事前に明確化するとか、あるいは目利きを700人作るといった、保護主義的なパターナリズムを立ち上げるよりも、結果として気がついたらそうなっていたというような形を作る方がいいのではないか。

【委員】
 大変いいと思うが、例えばこのベンチャーのところについて、どういうイメージを考えているのか。ベンチャーというのは、いろいろなステージがあり、あまり例がよくないかもしれないが、例えばソニーみたいに大きくなっても大学の中にいていいのかということはあり得ない。1つのモデルとしてM&Aによって一部局となり技術移転をする、あるいは継続的、計画的に受託研究だけをやっていくといった、いろいろな形がある。それに応じて仕組みが違ってくるので、対象となるベンチャーについて十分整理しておいた方がいい。大学発のベンチャーでも、いろいろな仕組みで議論するとき、出口(成果)についてあまり明確にしていない。ベンチャー・キャピタルで一番重要なのは出口であり、入り口はある程度一生懸命やれば良く、ちゃんと儲けるという出口をしっかりイメージできるようにしてもらいたい。
 ここにあるベンチャーファンドとは多分、研究型ベンチャーのインキュベータのようであるので、産業界の研究資金の受け皿になるようなものが良いのだろうが、このファンドを実際に作るのは、非常に難しい。大学は民主主義にすぐ言及するが、こうしたファンドは独裁的に実行しなければ成功しない。この仕組みについて十分検討しないと、ほとんど意味のないことになる。
 研究型ベンチャーということになれば、最初、顧客がつくことはそうないので、まず大学が顧客になれるような仕組みにしなければならない。研究委託をして、その研究室の研究の一環としてやらせるということもできるようにするとか、あるいは科研費等競争的研究費をこれから増やしていくことになっているから、そうした資金をベンチャーへ研究委託するための支出に使える仕組みにしておかなければならない。また、具体的にファンドとしての資金だけではなくて、運営のための資金がちゃんと入るような仕組みにしておかないと、枠を作っただけで全然資金が入ってこなかったら意味がない。
 多くのベンチャーの場合、ディスクローズが大変重要である。しかし、ディスクローズが日本ではちゃんとできないため、ベンチャーはいろいろな問題を起こす。ディスクローズやビジネスプランをもって投資家を説得することが必要であり、そのためには全体像を自分で1つの形にして説明できなければ問題になる。あまり詳しく知らなくてもいいから、広く全体を知らなければいけない。そうしないと投資家を説得できない。その点をどう教育するかということは、まだまだ日本の中では難しい。全部できるスーパーマンはなかなかいないので、いかにパートナーをつくるか、アライアンスをつくるか、といったことができやすい環境を作る仕組みがあればいいのではないか。
 ベンチャーファンドを作ることは大変難しいので、安易に作っていいと言うだけでは意味がない。アメリカの大学のように、回収できるようなファンドにするというのが面白いと思う。

【委員】
 これはフォローであるが、産学連携に配慮したファンディングについて話があったが、私の経験上、いい研究者はお金が入ったら、あんまりこちらのほうを向かないと思う。ただし、すばらしい研究や基礎研究であれば産業につながるので、そこは資金をもらった人が多分責務を負うだろうということになるのではないかと思う。この骨子案を読んできたが、産学連携については、特に公務員倫理法ができてから、不安を抱えながら行っているのが事実である。教育研究に加えて、この社会還元を今の時期にもう一段打ち出すということに意味があると思う。
 一番踏み込んでいると思われるところはは、6ページの第6項目で、「一週間に1日の兼業」という文言である。本当に年俸制を導入して、9カ月なり、10カ月の給与制を導入するということも、無理があるのはよくわかっているが、是非検討課題に入れてほしい。
 もう一つが、いろいろなところで流動性の重要性を書いてあるが、退職金がある上での流動性について書かれていない。難しいのであれば留保という形でも結構なので、退職金を給料に上乗せして流動性が促進されるということを検討課題に入れてほしい。そうすれば、6ページの第6項の兼業週1日などが少し具体化してもっともらしくなるのではないか。

【委員】
 先ほどから企業が本当に産学協同を望んでいるのかという話があったが、逆に、我々産業界からすれば、大学は本当に産学協同を望んでいるのかと伺いたい。産業界側から見て産学協同を阻害するものは何かというと、信頼性である。一番大きな阻害要因は、大学側に納期の観念が全然ないことである。例えば、「こういうものをよしやったろう」という話になって、「これはどうしても今年中に何か目鼻をつけたい」とお願いすると、「わかった」と言われるが、その年の暮れになると、「そんなもんできるか。忙しくてなわしも。」と言われたら、もうそれでおしまいになる。
 我々のところのような規模の会社でも、アメリカとドイツの会社であれば、より多くの資金を出しているし、人も出している。なぜかというと、契約が明確であるからである。これを2年間でこのレベルで行うが、そのためには、これだけの金と人員をどれだけ出せというように、ビジネスとしてやっているので信頼性が高い。また、向こうから我々の会社のカタログを見て、「きっと、わしの研究はそちらの役に立つはずやから契約しよう」と売り込みをしてくることが多くある。日本の大学の先生からの売り込みなんて一回もなかった。たまにこちらから行くと、「しゃあないな、やったろうか」と言われ、こっちが「お願いいたします」と言うことになり、結果的にはイコール・パートナーにはならない。やはり大学の先生は偉くて、我々が頭を下げてお願いに行って、納期が遅かろうが、何だろうがかまわない、という感じである。いかに信頼性がないかということについて、もう一つ言わせてもらうと、大学の製品の品質管理ができていない。製品というのは学生である。入るときはものすごく品質管理するのに、出るときは全然品質管理されずに出してしまう。日本の商品が今までなぜ売れたかと言えば、やはり最終製品の品質管理が良かったので、世界中から高く評価されたためである。どんな有名大学でも、入るときの材料の検査はものすごくするが、出るときは何の品質管理もせずに4年間たったら、あるいは2年間たったら、あるいは3年間たったら、マスター、ドクターと出してくるので、「こんなん、むちゃくちゃやないか」と言っても、「それはしゃあないな、お前のところかてちゃんとせい」と言われる。この品質管理について何らかの形でここに載せてほしい。
 大学や国研がニーズを吸い上げると書いてあるが、シーズをディスクローズするということはこの中に一言も出ていない。まず売れなければダメなので、シーズをディスクローズしてほしい。京都の方では4千人の先生の人名とその仕事及びその成果についてデータベースを作成しているが、当初は先生がたはものすごく反対していた。「お前のところにそんなこと言えるか」と言われたが、何とかたらして、たらして、ようやくこれができ上がるところである。先生方のやっている研究内容を我々企業が知らなかったら、どこへ行っていいかわからないのである。
 それから、もう一つ、ベンチャービジネスというのは、私の考えでは母集団をとにかく多くして、100の中から2つでも、3つでも成功させるべきであり、成功率の高いものを一本釣りするというのは非常に難しい。そのため、母集団をたくさん作るために、この施策はやるべきだと思う。その場合にたくさん死ぬことになる。たくさん死んだ人をどう七転び八起きさせるかということは、この項目の一番最後の10番のところにも出ていたが、それを徹底的に行わなければならない。今の日本の場合は一転びアウトなので、これを何とか七転び八起きにして母集団をたくさんにするということを、是非この案の中に何らかの形で取り上げてほしい。

【主査】
 かなり大学と産業界の間の本音の議論が今始まりかけたところであり、この議論の中からちゃんとしたものを生み出していかなければ、本格的な産学連携はできないと思われる。大学がイコール・パートナーとしてやる気があるのか、納期を守って本当にやるのかといったところを、大学側としては受け止めていく必要があるのではないか。
 それから、ベンチャービジネスはたくさんできて、たくさんつぶれるという話は、先ほどの統計のとおりである。それをきちんと認識した上で、甘い考えではなく、いかに再起させるかというあたりの手厚い支援が必要ではないか。

【委員】
 実際にベンチャーを作ってみて非常に感じることは、ベンチャーを作ったことによって、大学院の学生のシーズの中に今まで考えられないようなシーズが入ってくるということである。この「2)大学等から見た産学官連携の意義」というところに、産学連携により今まで考えられないようなシーズが入ってくるということを書き入れてほしい。
 それからもう一つは、すぐベンチャーを作れとか、単なる過保護な政策をするというのは、いくらベンチャーに資金をつぎ込むと言っても、何の意味もないと思われる。先ほど言われたように、つぶれる企業はつぶれるという形で、かなり冷たくしたらいい。ただ、大学におけるインキュベーション機能については、大学にPhDの学生が必要なため、研究の継続性がないと、インキュベーションができないことが非常に多い。共同研究でも、委任研究でもいいが、PhDの学生に対して、給付金を与えるというシステムを入れてほしい。いろいろな過保護はもう結構であるが、制度だけ少し変えて、公的資金を学生の給料に与えることができるようにすれば、研究の継続性が可能であると思う。それによってインキュベーション機能が上がってくるので、是非ともそのような制度を導入してほしい。

【委員】
 これをずっと拝見していると、だんだんこの提案が人に重点が移ってきていると思う。それは大変重要であると思う。例えば、今までだと、地域共同研究センターの組織を作った、建物を作った、誰か行きなさいという形であった。その段階から、人に重点が移ってきているということで、非常に評価したい。アクションプランをどう書くか非常に興味がある。実際、現場でTLOやリエゾンをやったりして、人材が最も不足しているのは、コーディネーターあるいはリエゾンスタッフである。また、TLOのアドバイザーやベンチャーサポーターも不足しており、必要な場合はボランティアでお願いする以外に方法がない。しかし、わずかボランティアだけではやっていけないので、成功報酬であるとか言いながら、ある意味ではごまかしながらやってきている。その辺を抜本的に出してほしい。人を重点に置くということを一つ根幹に入れて、重点的にやってほしい。

【委員】
 人の流動性が、やはり日本は一番問題が大きいと思う。その点の仕組みをもう少し具体的なものが出たらいい。先生方も、例えば授業するとき、どこかの会社の方へ行ってそこで講座も行うとかいう形で、もっと密接になるような仕組みづくりができたらいいと思う。その辺も加えてほしい。

【委員】
 最初の議論に技術移転で大企業の話が随分出たが、技術移転は大企業だけではなく、特にハイテクの技術移転については、判こが1つ、サインが1つの、社長がサインをしたらオーケーとなるような中小企業に行くケースが、TLOなどをやっていると多く見かける。だから大企業に非常に行きにくい点があるのも事実なので、是非その辺も含めて、広くやっていきたい。
 それから、人も重要であるが、現場の機能を高めるために、今回この中にも入れていたが、認定TLOの問題その他を是非推進してほしい。

【主査】
 最後に少し付け加えさせてほしい。いろいろな委員の発言や、近藤先生の図面や、白川委員の資料にもあったが、やはり大学の機能として、産学連携にはなじまないが、いつか大きなブレークスルーを出すかもしれない基礎的、創造的、長期的視点の研究に従事する人たちに対して理解し、支援することを大々的に行うべきである。
 そのようなパラレルに現時点で企業と連携ができる分野、あるいはそういう人たちの集団、あるいは研究の熟成度に応じて、その連携を充実していくべきである。また、柔軟性のある運営、資金の充実などについても御配慮賜りたい。

5.今後の日程

 次回は7月に開催する予定とし、各委員との日程調整の上、事務局から改めて連絡することとされた。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)