第12期 技術士分科会 制度検討特別委員会(第1回)議事録

1.日時

令和6年3月14日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 主査代理の指名について(非公開)
  2. 第12期制度検討特別委員会の検討方針について
  3. 技術士CPD活動の状況について(日本技術士会)
  4. IEAのGA/PCの改訂に係る対応について(日本技術士会)
  5. 技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめ(案)について
  6. 技術士の活動状況について
  7. その他

4.配付資料

  • 資料1:制度検討特別委員会設置要領
  • 資料2:第12期技術士分科会制度検討特別委員会委員名簿
  • 資料3:技術士制度をめぐる現状と課題
  • 資料4:技術士CPD活動の状況(日本技術士会作成)
  • 資料5:IEAのGA/PCの改訂に係る対応について(日本技術士会作成)
  • 資料6:技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめ(案)
  • 資料7:「令和6年度能登半島地震」における日本技術士会の取り組み(日本技術士会作成)
  • 参考1:技術士分科会運営規則
  • 参考2:第12期技術士分科会の組織構成について
  • 参考3:第11期技術士分科会における技術士制度改革の検討報告

5.議事録

(人事案件を含むため、技術士分科会運営規則に基づき議題1は非公開)
佐藤主査によって、黒﨑委員が主査代理に指名された。
 
【橋本課長補佐】  傍聴の皆様に入室いただきましたので、議題1を踏まえまして、佐藤主査と黒﨑主査代理から一言ずつ御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【佐藤主査】  私、主査に指名されております千葉大学の佐藤之彦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 この技術士に関しての議論については、少し前から加わらせていただきまして、いろいろな課題ですとか、今後の目指すところというものが少しずつ分かりかけてきたところでございまして、技術士の方々がもっと世の中で活躍していただけるためのこととか、それから、国際的な通用性を高めていくことですとか、あと、次を担っていただける若い方々に、この技術士の制度を生かしながら育っていっていただくような仕組みとして、もっと活用いただけるようなことということで、そういったことを目指して、少しでもお役に立てればと考えております。
 この委員会の皆様のお知恵を拝借しながら、方向性が見いだせればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、主査代理の黒﨑さん、お願いしたいと思います。
【黒﨑主査代理】  昨年の6月に技術士会の会長を拝命いたしました黒﨑でございます。
 技術士会は御案内のとおり、技術士の制度とともに果たすべき役割というのをそれぞれ変化させながら70年になる年数を歩んできたわけでございますけれども、今まさにこの時代が、本日の議題にもございますけれども、技術士の制度に関して様々な制度の改善だったりとか、拡充が検討されているという非常に大きな転換期にあると認識しておりまして、このことが技術士の資格の活用、あるいは技術士の活躍の場の拡充、こういったことにもつながっていくというふうに期待していきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、議題2の、第12期制度検討特別委員会の検討方針について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
 それでは、橋本さん、よろしくお願いいたします。
【橋本課長補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。
 それでは、資料3といたしまして、技術士制度をめぐる現状と課題ということで資料をお示ししております。
 1ページ目をおめくりいただきまして、これまでの技術士法の改正の経緯ということで、昭和32年、技術士法制定以降、昭和58年の全面改正と平成12年の大幅改正を踏まえまして、現在に至っている状況でございます。
 2ページ目でございます。
 これまでの技術士分科会での審議状況ですが、第10期の技術士分科会では、技術士制度改革に関する論点整理に基づき、多くの若手技術者や修習技術者が技術士を目指すとともに、国際的な実質的同等性の確保や技術士資格の活用を図るため、初期専門能力開発(IPD)から、技術士資格取得、資格取得後の継続研さん(CPD)及び資格活用に至るまで、生涯にわたり一貫した整合性のあるシステムの構築・改善を行うための検討を進めました。
 第11期の技術士分科会では、第10期の技術士分科会での審議を踏まえ、国際的な実質的同等性の確保の観点を十分に加味した上で、以下、(1)から(6)の項目について検討を進めていただきました。
 3ページ目でございます。
 第12期以降の技術士制度改革における継続的検討事項ということで、第12期の技術士分科会では、第11期の技術士分科会での審議に続きまして、特に第9期以降精力的に御審議を重ねていただいておりますIPD制度について、技術士をめぐる国内外の情勢変化等も踏まえつつ、制度の具体化について一定の結論を出すことに注力しつつ、以下、1から8の項目まで継続的に検討を実施してまいりたいと考えております。
 まず、1ポツ目でございます。
 IPD制度の整備・充実ということで、我が国の科学技術の発展に向け活躍が期待される若手技術者が、技術士として求められる資質能力を早期に修得し、技術士として活躍できることを社会全体で支援するため、コミュニティーの形成及びIPDシステムが社会に取り入れられ応用・展開される社会実装に向けた具体的な方策について、海外事例の調査も行いながら、検討を進めてまいりたいというものです。
 また、産業界における実態把握や、IPDの認知度向上に資する取組のため、企業等にIPDヒアリングを実施しています。
 2ポツ目、技術士補制度の見直しです。
 技術士補制度につきましては、IPDの作業部会、第11期で、IPDでの履修による専門科目の補完は可能と考えていただき、指導技術士の部門制限を撤廃するべきであるという結論に至っております。第12期、今期におけるIPD制度の整備・充実に向けた検討と併せて、この技術士補制度の見直しに向けて継続した御審議をお願いしたいと考えております。
 次、4ページ目でございます。
 3番目、技術士第一次試験の適正化ということで、平成15年に部門の見直しを行っておりますが、その後、第8期においては、専門科目を「系」に分類するといった大くくり化の考えが示されているところでございます。
 第12期におけるIPD制度の整備・充実に向けた検討と併せまして、指導技術士の部門制限の撤廃、また、それに連動する形で専門科目の大くくり化の是非について継続した御審議をお願いしたいと考えてございます。
 4番目でございます。
 継続研さんの充実・強化ということで、令和3年度の技術士法施行規則の改正に基づき導入した、CPD活動の実績管理及びCPD活動の活用に関する公的枠組みというものは、技術士としての資質・能力を維持するために行うといった側面が強いものです。
 今期、第12期では、このCPD活動を技術士としての活動範囲の拡大、技術士の資質・能力のさらなる向上に資するべく、また、APECエンジニアや総合技術監理部門(総監)へのステップと位置づけることについての御審議をお願いできればと考えてございます。
 また、IPD活動から技術士資格修得後のCPD活動への連続的につながる一連のシステムとすることを視野に入れ、また、制度の定着に向けた広報活動、継続研さんを積んだ技術士の積極的な活用を目指した働きかけなど、こういった内容につきましては、活用促進・普及拡大と同一に検討できればと思います。
 また、更新制の導入でございますが、こちらにつきましては、CPD活動の公的な枠組みのモニタリングを行いながら継続的に検討したいと考えてございます。
 おめくりいただきまして、6番目でございます。総合技術監理部門の位置づけの明確化というところです。
 いわゆる総監の部門につきましては、日本独自の技術部門です。こちらにつきましては、海外の資格との関係性、国内外における位置づけの明確化が必要という御指摘をいただいております。
 技術士会にて実施した総監に関するアンケートの結果、あるいは国際的同等性の観点といったものを十分に考慮しながら、現状把握と課題の分析を進めて、こちらの位置づけの明確化についても継続して審議できればと考えてございます。
 7番目、技術士資格の国際的な実質的同等性の確保ですが、こちらはIEAが2021年にGA及びPCを改訂してございます。こちらに準拠した資質能力につきましては、第11期で改訂を済ませましたが、今後、改訂版のGA&PCの適用に向けたロードマップの作成等も通じて、国際的な要請に対して確実に対応をしていきたいと考えております。
 また、こういった認められた要件を満たすAPECエンジニアの皆様方が国内外でより活躍できるようなシステム、仕組みを検討したいと考えております。
 8番目、活用促進・普及拡大でございます。
 こちらにつきましては、文部科学省と日本技術士会が連携して、技術士の活動事例を紹介しつつ、技術士資格の社会における認知度を高めるとともに、他省庁の皆様や産業界の皆様に対して、技術士資格の活用を周知してまいりたいと考えております。
 特に今般、皆様に精力的に御議論いただいております、このIPDシステムにつきましては、導入に係る関係機関との連携、あるいはCPD活動の促進に向けた産業界や関係省庁への働きかけ、こういったものを通じて、活用促進・普及拡大を継続的に実施したいと考えております。
 これらの8点の継続的検討事項ですけれども、方向性といたしましては、技術士の人材育成に当たりましては、IPDから資格取得、資格取得後のCPD及び技術士資格の活用に至るまで、一貫した整合性のあるシステムが必要であることを考えております。
 また、国内外の社会情勢の変化、あるいは科学技術・イノベーション政策の動向、そういったものも留意しつつ、8点検討事項ございますが、それぞれの検討事項間での関連性を踏まえ、俯瞰的視野、不断の制度改革に向けた検討を追求してまいりたいと考えております。
 さらには、資格受験者の応募のしやすさ、あるいはIPD/CPDの受講者に対して利便性向上を図るという観点で、デジタル技術や新システムの導入を検討していきたいと考えております。
 6ページ目には、御参考といたしまして、第11期分科会における制度改革の検討の方向性をお示ししております。
 また、7ページ目、会議ごとの検討事項の割り振りですが、制度検討特別委員会、略称制特委 でございますが、こちらは技術士分科会の下に設置されているものでございまして、制度検討特別委員会の検討内容については技術士分科会への報告を行っていただく、あるいは技術士分科会から制特委に対して検討内容に対するレビュー結果のやり取りというものがございます。
 また、制特委の下にIPD懇談会を記載しておりますが、こちらにつきましては、IPDに関する社会の理解・促進に関すること、あるいはIPDについて仕組みの構築に関することを御議論いただいているもので、制特委ではこちらの懇談会からの検討内容の報告聴取、あるいはレビューを行っていただく予定です。
 7ページ目、下3分の1ほどに検討スケジュールということで、予定を含む形で、本日の制特委(第1回)を書かせていただきましたが、近々の予定といたしましては、令和6年春頃にIPD懇談会、また、令和6年の夏頃に制特委の第2回の開催を考えております。
 8ページ目以降につきましては、参考資料という形とさせていただきましたので、説明は割愛させていただきます。事務局からは以上でございます。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に関しまして、委員の皆様から御意見などございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 今期の課題ということで、IPDからCPDに。
 高木委員、お手を挙げておられますね。よろしくお願いいたします。
【高木委員】  高木でございます。大変分かりやすくまとめていただいてありがとうございます。
 説明を省略されました資料3の9ページについて確認させてください。「昨今の技術士資格に係る国内外の情勢」というページですが、ここでWFEOという団体が紹介されています。これは世界工学団体連盟で、ナショナルメンバーが日本学術会議、アソシエイトメンバーが日本工学会で、4年に1回、世界工学会議を主催しており、2019年11月のオーストラリアのメルボルンで開かれた世界工学会議には、日本学術会議の立場と、日本工学会の両方の立場で参加いたしました。
 その2019年のときに、ユネスコ、WFEOとIEAがMOUを結んで、正確に言うと、改訂し合同ワーキンググループを設置して、GA&PCの改訂をスタートしたと理解しております。この記述を見ますと、上から4行目に2020年となっていますが、これは2019年の間違いではないでしょうか。2019年に合同ワーキンググループが設置され、2019年から2021年の2年間活動をして、GA&PCを改訂したと理解しておりますが、確認をお願いできますでしょうか。
【佐藤主査】  御指摘ありがとうございます。事務局としてはいかがでしょうか。
【橋本課長補佐】  事務局でございます。御指摘ありがとうございます。後ほど確認して必要あれば訂正させていただきたいと思います。
【高木委員】  よろしくお願いします。
【橋本課長補佐】  御指摘ありがとうございます。
【高木委員】  実際にメルボルンでの世界工学会議に参加しており、これが記憶にありましたので、2021年2月5日の第10期の最後の技術士分科会で、GA&PCがこの合同ワーキンググループで改訂されているので、技術士に関わるプロフェッショナル・コンピテンシーも改訂しないといけないということを発言させていただいた記憶があります。よろしくお願いします。
 この2019年というのは、GA&PCの改訂内容が記載されたIEAの公式文書の最後の部分に経緯が説明されていて、やはり2019年11月にMOUを改訂してワーキンググループがスタートしたと明記されていますので、よろしくお願いします。
 それから、細かいことですみませんが、その3行下ですが、2021年開催のIEAとWFEOの総会で最終決定が⾏われたとありますが、WFEOの総会、ジェネラル・アッセンブリーといいますが、これは2021年ではなくて2022年に延期になっています。パンデミックがありまして、WFEOのジェネラル・アッセンブリーでは会長選挙、副会長選挙などを行いますので、オンラインではなく、パンデミックが落ち着くまで待って対面で総会を開きましょうということでした。実際にはパンデミックは収まらなかったのですが、WFEOでは2022年の総会、ジェネラル・アッセンブリーで承認されていますので、そこも併せて御確認をいただければと思います。
 以上です。
【佐藤主査】  御指摘ありがとうございました。それでは、事務局のほうで確認していただきまして、必要な修正等を施していただければと思います。
【橋本課長補佐】  かしこまりました。
【佐藤主査】  そのほか、何か御意見ございますでしょうか。特によろしいでしょうかね。
 それでは、今期は今御説明いただきましたようなところを中心に検討を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、次の議題に進みますが、議題3の技術士CPD活動の状況についてということで、日本技術士会より資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【日本技術士会(中川氏)】  それでは、日本技術士会で制度検討委員長を仰せつかっております中川のほうから御説明をさせていただきます。
 次の資料をお願いします。
 新・技術士CPDというふうに呼んでおりますけれども、活動の経緯ということで、御案内のように令和3年に大臣通知が出まして、技術士会がその任を担うということになっております。
 それから、同年の9月8日に技術士法の施行規則の一部改正をいただきまして、技術士の戸籍に当たる名簿、これにCPDの取組状況を記載できるようになったという2つのイベントがございました。
 これを受けまして、技術士会はCPDセンターであるとか、関係学協会連絡会であるとか、こういう組織を新たに設けました。
 このタスクを達成するために、技術士会のアクションということで、これは会員、非会員を問わずということになっておりますので、システムの整備であるとか、説明会の開催、それから拡大のためのキャンペーン実施と、こういうことをやってまいりました。
 これは周知活動の例でありますけれども、広報ビデオ、それから、広報活動のためのリーフレット、これを活用してまいりました。
 それから、続いてガイドラインとマニュアルの改訂になるわけですけれども、このシステムがスタートしたときに、ガイドラインについては制度検討特別委員会に報告、それから、マニュアルについては特に必要ないということでありましたけれども、令和4年のときにもガイドライン、マニュアルの双方を報告させていただきましたので、今回もそれに準じて報告させていただきます。
 まず、ガイドラインの改訂でございますけれども、先ほど高木委員の話にもありましたけれども、技術士のコンピテンシーが見直されたということもありまして、令和5年1月、分科会において改訂が行われて、継続研さんが新たに付け加わったという形になりましたので、これに伴う改訂をVer.1.2ということで行っております。
 続いて、マニュアルのほうの改訂でございますけれども、これは幾度かあって、細かい点で改訂をしておりますけれども、特にここで黄色のハイライトがついておりますけれども、講演のところ、これは特に、先ほどパンデミックのときに、ウェブの講習を幅広く認めようということで、それには何らかの証明書が必要であるということで、これは制限をしようということではなくて、活動の証明書、実績の証明書も含めて、参加名簿であるとか、あるいは講習受諾のメールであるとか、そういうものを幅広く活用して承認しようと、そういうことを基準の中に盛り込んでおります。
 それから、次に移っていただきまして、マニュアルの中にあります手数料の関係でございますけれども、ここでは特に、年度1回、前年度の実績を翌年度に記載申請するという流れになっておりますけれども、年度で複数回この手続をされる方がいらっしゃるということで、その費用を高めに設定しておったんですけれども、これがかえって記載申請を委縮させるということもあるので、非会員の方を中心に1,000円に値下げしようということになりました。
 次、お願いします。
 それから、Ver.1.4とありますけれども、これは今年の4月に改訂予定ということで、こちらは承認をいただいておりますけれども、これを見ていただきますと、移行措置と通常認定とありますけれども、通常認定は、5年分、年間50時間以上ということなんですけれども、移行期間の措置として、2年間50時間を満たせば、CPD認定を認めようということでやってまいりました。
 現状を見ていただきますと、通常認定よりも移行措置が圧倒的に多くて7割を占めているということです。後ほど出てまいりますけれども、まだまだ記載申請そのものが進んでいないということで、この現状では、移行措置をここでなくすのはいかがなものかという意見がありまして、当面、2024年度、来年度いっぱいは移行措置を延長しようということを決定いたしました。4月からスタートいたします。
 次、お願いします。
 それから、新・技術士CPD制度登録状況、記載申請の状況でありますけれども、見ていただきますとおり、この1月末の状態で3,000名強という少し残念な状態であります。括弧の中がCPD認定でありますけれども、1,300名弱ということです。
 下のほうにグラフがありますけれども、これを見ていただきますと、やはり年度ごとの申請ということになりますので、3月、それから、新年度の4月、5月、こういったところで登録が急激に増えるということになりますので、今年、既に3月ですけれども、3月から年度明けの4月、5月、こういったところで記載申請が増えることを期待しております。
 次、お願いします。
 それから、関係学協会を通じた登録の実績でありますけれども、現在14の学協会に実施法人になっていただいております。ここで特に注目していただきたいのは、農業農村工学会、ここからの申請が400名弱というふうに、圧倒的に多くなっているということでございます。
 次、お願いします。
 農水省におけるCPD認定の活用例ということがございます。上の段に農水省が発注のコンサルさんの総合評価案件、この評価基準にCPD認定が1ポイント加算されたということでございます。たかが1ポイントというふうに思われる方もいらっしゃるかと思いますけれども、実際の入札の価格でいうと結構な額にこれが相当するということであります。
 これにつきましては、今日は小林委員が御参加だと思いますけれども、農業部門の技術士の方から強力な働きかけがあって、この制度、システムが実現をしております。結果として、先ほど農業部門のCPD認定が増えたという御説明をいたしましたけれども、下の表を見ていただきますと、農業部門で約300人、農業部門の10倍建設部門の技術士の方はいらっしゃいますけれども、建設部門の半分以上、農業部門からCPD認定を出していただいているということで、やはり、こういう活用が広がってくれば、CPD認定、さらには記載申請の数が増えると考えております。
 次、お願いします。
 これらを踏まえた新・技術士CPD制度の推進と定着に向けてということで、1つ目にさらなるCPD活動の充実と広報活動の継続ということで、当然ながら機会の拡大とコンテンツの充実、こういったものを図っていきたいと思っていますけれども、4つ目のチェックのところでございますけれども、CPD登録システムの改良ということで、これは前回の制特委のところでも、システムが複雑ではないかという御意見をいただいております。極力、一般の方にも登録しやすいシステムの改良、そういうものを目指して進めております。
 それから、2番目の資格活用との連携ということでございますけれども、1つ目のチェックの下にCPD認定の活用促進というのを記載していまして、先ほどの農業部門がそうであったように、こういったものの活用が広がっていけば、記載申請の増にもつながるということで、技術士資格活用委員会とともに、こういう活動を進めていきたいと、こういうふうに考えております。
 この後ろに、CPDのガイドライン、それからマニュアルの改訂版をつけておりますので、時間があるときに御一読いただければと思います。
 私からの説明は以上です。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、今、御説明いただきましたが、委員の皆様から何か御意見等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。今後の推進と定着に向けて、いろいろな取組がなされているというようなことですとか、それから、今、農業農村工学会のところが増えているということに絡んで、こういった活用の事例なども報告していただきましたので、こういったことをヒントにしながら、さらに拡大していくのかなというようなことを感じましたけれども、どうでしょうか。いかがでしょうか。
【小林委員】  委員長、小林でございますけれども、よろしゅうございますか。
【佐藤主査】  どうぞ、よろしくお願いいたします。
【小林委員】  先ほど御紹介がありました農業農村工学、私、農業土木の技術士なんですけれども、やはりCPD認定を進める上では、何かメリットのようなものがあると非常に進みやすいということでありましたものですから、関係者と農水省の担当の方のほうにお願いに何回か伺いまして、御理解をいただいたというような経緯がございます。
 ほかの分野の皆さんにおいても、まさに活用促進と一体のものだろうと思うんですけれども、そちら、こういったCPD認定を明確な指標として活用いただくことと併せて、活用促進でさらに進めていただければ幸いかなと感じております。
 以上です。
【佐藤主査】  ありがとうございます。そういった取組が実を結んでこういう形になっているんでしょうけれども、これをもっと広い分野でもというようなことにつながっていくのかなと思いますが、こういったところは一つの論点かと思います。
 ほか、何か御意見等。
 石田委員、お願いいたします。
【石田委員】  石田でございます。私もこういう技術士活用、資格活用という形の観点から見ておりまして、実際、衛生工学と総監と建設部門を取得していますが、建設部門はいろいろな業務、多種ありまして、先ほどの総監のほうにも触れますが、総監との差別化がなかなかされていないですとか、CPD認定がまだまだ行き渡ってない、こういうところがありますので、やはり省庁、それから地方自治体、御担当者の方へのPR等も欠かせないなということは実感しております。
 技術士としての活動も進めてまいりますが、意見としてちょっと御留意いただければと思います。
【佐藤主査】  ありがとうございました。活用促進に向けて、省庁や自治体への働きかけなどもきちんとやっていく必要があるんじゃないかと、そういう御意見だと思います。ありがとうございます。
 その他、いかがでしょうか。よろしいですか。
 では、よろしければ、このCPDの活用の状況については、情報共有と意見交換をさせていただいたということにしたいと思います。
 そうしましたら、次へ行きまして、今度は議題4でございます。IEAのGA&PCの改訂に係る対応について、日本技術士会より御説明をお願いしたいと思います。
 これは日本技術士会国際委員会の神田委員長にお願いをするということになっております。よろしくお願いいたします。
【日本技術士会(神田氏)】  よろしくお願いいたします。国際委員会の国際委員長を務めております神田です。
 次のページをお願いできますか。
 まず、背景・経緯から簡単に御説明します。IEAでは、GA&PCの第4版を制定しております。これに基づいて、IEAから各国、各地域に要請がありまして、要請の内容は、各エコノミーと呼んでおりますが、エコノミーが定める技術者の資質能力基準、それから審査基準と、このGA&PCの第4版とのギャップを分析しなさいと。それから、ギャップがあれば、ギャップ解消に向けたロードマップを2024年1月までに提出するようにということで、総会で依頼がありました。
 このギャップ分析を、技術士会としてどういうふうに行ってきたかということですけれども、9月7日に国際委員会の下にワーキンググループを設置しております。このワーキンググループには技術士会のメンバーはもちろんですけれども、佐藤主査にも御参画いただいておりますし、建築技術教育普及センターの方にも御参画いただいて、ワーキンググループを結成しております。
 昨年12月までに分析、それから、ロードマップの検討を終えまして、理事会で承認を受けた後、APECモニタリング委員会を通じて審議を行って、1月末までに分析結果の資料をまとめて提出する用意ができているというところです。現状、ようやくIEAのほうで受付が最近始まったということで、実際の資料の提出はこれからになります。
 次、お願いします。
 IEAとはということで、非営利の国際組織ということで、右下に示しますアコード、アグリーメントから構成されている組織になっておりまして、29か国41地域が参画しているところになります。
 この中には日本技術士会が、IPEAとAPECエンジニアのアグリーメントに参画しております。また、JABEEさんがワシントンアコードのほうで参画しているということになっております。
 次、お願いします。
 IEA GA&PCは、エンジニアリング教育の認定基準とか、それから、エンジニアリング専門職に期待されるコンピテンシーや、相互の関係性を整理した文書になっておりまして、2021年6月21日に第4版、Ver.4と呼んでおりますけれども、発行されております。先ほど話題にありましたWFEOとのMOUに基づいてIEAと一緒につくり上げたものになっておりまして、改訂内容は幾つかあるんですが、大きいところでは、SDGsに関連して新たな技術、それから新たなエンジニアリング分野等、新しい価値観等に対する要求を反映しているというものになります。
 次、お願いします。
 GA&PC、初版と第4版で多少異なるところはあるんですが、最新のVer.4では、ここに示すような構成になっておりまして、一番下からお話ししますが、PCのプロフィールというのがまず設定されておりまして、EC1からEC13という番号がついていますけれども、13項目にわたって必要な資質能力が定められております。
 また、真ん中の段、協定教育プログラムのプロフィールということで、こちらはGAに関するプロフィールがさらに2つに分かれておりまして、それぞれ9項目、11項目から成り立っております。
 また、特にPCのプロフィールの中から呼び出される形で、定義が共通レンジという名称で示されておりまして、複合的なエンジニアリング問題、それから複合的な活動という言葉について、それぞれ7項目、5項目でエンジニアリング問題とはどういうことなのか、それから複合的な活動とはどういうことなのかという定義が載せられておりまして、PCのプロフィール等からこの定義を呼び出していて、その定義はこの共通レンジに書かれていると、こういった構成になっています。
 次、お願いします。
 一方で、ギャップ分析を求められているわけですけれども、我々として何に対するギャップ分析を行うかということで、まずは技術士に求められる資質能力、コンピテンシーというものが技術士分科会で制定されておりますので、これに対するギャップ分析をまず行っております。
 こちらも初版、それから改訂版がそれぞれ出ておりまして、今、文章が長いので、以降、初版は技術士PC2014、改訂版は技術士PC2023と仮に呼ばせていただいておりますけれども、いずれも専門職に期待されるコンピテンシーを整理したものになっております。
 特に、技術士PC2023では、このGA&PCのVer.4になったことを踏まえた改正がなされているというところが大きいなところです。
 次、お願いします。
 それからもう一つ、APECエンジニアとIPEAの国際エンジニアの資格制度がありますけれども、この資格要件、それから審査に対して、Ver.4とのギャップというところも分析をする必要があります。
 次、お願いします。
 こちらはイメージです。枠の大きさとかが何かに比例しているという意味ではないので、あくまでイメージなんですが、横軸にGA&PCの要件がどれだけあるかという軸、それから縦軸にそれ以外の追加要件の軸というものを設けて、今あるGA&PC Ver.3とかVer.4、それから、技術士PC2014、技術士PC2023、それから技術士試験、それからAPECエンジニア等の審査について、イメージを載っけたものになります。
 IEA GA&PC Ver.3を中心に書いておりますが、Ver.4というのはGA&PC、要件が広がっておりますので、GA&PCとしては幅広い要件が必要になります。
 それから、技術士PC2023は、先ほどVer.4に沿った形で改正ということで、後ほど結果をお話ししますけれども、ギャップは基本はないという結果になっていますが、これはあくまでこういうところを分析しますよということで、Ver.4とPC2023のギャップがあるのか、あればどういうところがギャップになっているのかというところを分析したというところになります。
 それから、APECエンジニア等についても、Ver.4とのギャップ分析を行ったというものになります。
 次、お願いします。
 分析の結果に移ります。まず、言葉の定義を示してあるレンジ、GA&PC Ver.4でレンジと呼んでいるところですけれども、こちらについて分析をしたところ、技術士PC2023では、キーワードの明示が不足している項目というのはありました。これは、実は技術士PC2023では言葉の定義自体をあまり載せていないということもあって、一対一ではなかなか対応していないというところはあるんですけれども、ただ、重要なのは、このレンジ、必要最低条件というのが定められておりまして、ここは満足しているということになります。ですので、全体レンジに対して、全体的には満足していますという結果にはなります。
 それから、APECエンジニア等の審査に関するギャップ分析ですけれども、こちらも同様に、一部定義不足のところがありますが、ただ、必要条件は満足しているという、こちらも同じ結果になっております。
 また、建築士からAPECエンジニアを取得する道もあります。こちらは相互的にチェックしたところ、ギャップがないという判定になっております。
 重要なPCの部分については、技術士PC2023については、きちんとVer.4の内容が反映されているということが確認できましたので、ギャップなしという結果になりました。
 それから、APECエンジニア等の審査については、こちらは技術士PC2014という古いVer.に準じていることから、ギャップがある結果となっております。
 一方で、建築士からのルートの審査に関してはギャップがないといった結果になっております。
 次、お願いします。
 今申し上げたのを星取表にしたのが、こちらの図になりますが、ざっと御覧いただいて、技術士PC2023は、PCのプロフィールに対して全部適合していますということで、ギャップがないということです。
 APECエンジニア審査については、先ほど申し上げたように、技術士PC2014に準じていることから、一部足りない部分がありますという結果です。
 右側の上下2つにある表は、それぞれ言葉の定義になりますけれども、三角が幾つかあるように、ギャップはあるんですけれども、技術士PC2023、それから、APECエンジニア審査、いずれについても最低限、必要条件は満たしているという結果になっております。
 次のページをお願いします。
 IEAが本来1月までに提出せよと言っていたものには、ギャップ分析と、それからギャップ分析の結果を踏まえて、どうギャップを埋めていくのか、ロードマップを示しなさいという、その資料も提出を要求されておりまして、そのロードマップを書いたものがこのページになります。
 下の表で緑の線をまず御覧いただければと思うんですけれども、毎年、夏にアセスメントステートメントに基づいて、APECエンジニア、それから、IPEAの国際エンジニアについては受付を始めて審査を行っておりますが、2024年、今年の夏、それから来年の夏はまだVer.4に対応した審査というのはできないので、現行のアセスメントステートメントで審査を行っていきますけれども、2026年の夏から始める審査に関しては、アセスメントステートメントを改訂して、GA&PC Ver.4に準じた形での審査が行えるようになると考えております。
 ここに向けてアセスメントステートメントに書いた赤い棒グラフのところですけれども、モニタリングがあったりとか、あと、アセスメントステートメントに基づいて審査方法等も整備していかなければいけないということで、簡単ではありますが、このようなロードマップを引いているところです。
 次のページをお願いします。
 こちらは直接ギャップ分析には関係ないんですが、補足情報としてお知らせするものです。IEAでは、各国各地域に対して、アグリーメント等にちゃんと各国が適合しているかという監査を6年に1回行っておりますが、日本は今年から監査が始まるという、そういった時期になっております。
 日本技術士会としても、ここにきちんと対応するようにスケジュールを組んでおりまして、IEAに対してレビュー用の文書の提出を4月以降行いまして、恐らくですけれども、7月ぐらいにレビューチームが構成されます。まだ現時点では構成国等は未定ですけれども、大体3か国から4か国ぐらいで構成されると、例年の例でいくとそうなりますが、ここが文書をレビューしていきます。来年の4月頃までにはレビュー報告案が出ますので、日本としてここに意見をしていって、6月、来年の総会で審議されるという流れになっております。
 重要なのは、最後の備考のところですけれども、今回のレビューは、GA&PC Ver.3に沿ったものでありますので、6年前に監査を日本は受けていますが、そのときと同様の対応ということで、我々も準備を進めているところになります。
 説明は以上になります。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました内容に関しまして、委員の皆様からの御意見等がございましたら、御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
 今、御説明いただきましたように、基本的にキーワードが少し不足しているところなどはありますがギャップはないということですけれども、今のAPECエンジニアの審査などはVer.3を反映したものなので、これについてはアセスメントステートメントの改訂ですとか、そういったことが今後予定されているということで、今、お示しいただいたところでございます。
 いかがでしょうか。
 なければ、これを情報共有していただいたということで、先に進みたいと思います。どうもありがとうございました。
【日本技術士会(神田氏)】  ありがとうございました。
【佐藤主査】  そうしましたら、次の議題へ参りまして、今度は議題5の技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめ(案)についてということで、これは技術士会の資料の説明をお願いしたいと思います。
 これは、資料の説明は橋本さんでよろしいでしょうか。
【橋本課長補佐】  事務局より御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめということで資料6を御説明させていただきます。
 まず、はじめにでございますが、これまでの議論の経過といたしまして、IPD制度の充実・確保については、第9期の技術士分科会で取りまとめた技術士制度改革に関する論点整理の中で、技術士制度改革に向けた検討に当たっての6つの論点のうちの一つとして整理され、その後、継続的に審議を実施しているものでございます。
 第10期の技術士分科会の下に設置されましたIPD作業部会においては、このIPDの導入に関する基本的事項を取りまとめ、第11期から第12期にかけて、民間企業にヒアリングを実施するとともに、若手技術者の育成に関連のある業界の皆様の協力の下、IPD方策を立案するためのコミュニティーの構築や、IPDに関する社会の理解を深める活動を実施してきております。
 このIPDシステムの検討に当たりましては、まず、関連ステークホルダーの皆様との意識の共有、関係機関の協働意識の醸成という観点から、日本技術士会の下にIPD懇談会を設置し、文科省と技術士会とともに議論を牽引してきてございます。
 そして、一定のロードマップや論点の方向性が整理された段階以降、審議の場を文部科学省のIPD懇談会に移し、具体的なシステムの在り方に関する検討を継続してきております。
 この議論のまとめ(案)としては、これまでの議論の中間的な報告として取りまとめたものです。
 1ポツといたしまして、技術士をめぐる状況ということで幾つか記載をしております。
 生成AIなど新しいテクノロジーが次々と登場する中、複合的な問題を総合知により解決し、社会変革を牽引するポテンシャルを持つ技術者の役割というものは、一段と世界の中で拡大しているところです。
 また、我が国のGDPの世界全体に占めるシェアが低下する中で、経済成長を実現すべく企業活動の一層のグローバル化といった流れは不可欠で、こうした状況の中、国際水準に達した専門的な知識と応用能力を持つ高度な技術者集団の底上げといったものは急務です。
 また、今委員会の中でも何度か言及いただいておりますが、2021年6月のIEA総会においてGA及びPCが改訂されており、我が国としても現行の技術士制度との比較(ギャップ分析)を実施するとともに、適用に向けたロードマップを作成するといった国際的な要請に対応するということは喫緊の課題として上げられています。
 また、技術者に期待される役割の変化としては、従来のものづくりへの貢献にとどまらず、未知を求めて新しい時代を切り開く役割といったものも技術者に対して求められるようになってきております。
 また、人材の流動化も見据え、自身の専門知識はもとより最先端の技術革新に適応できるよう研さんを積み、コンピテンシーを能動的かつ体系的に習得し続け、科学技術・イノベーションの推進に向けて、グローバルな社会課題に果断に挑戦する姿勢というものが技術者には求められているところです。
 さらには、令和3年4月に、科学技術・イノベーション基本法が改正され、主に企業活動の担い手である技術者の育成・確保についても、政策上の位置づけがより明確化されているところです。
 こういった中、優秀な若手技術者の育成・確保というものは非常に重要な課題で、各国の技術士資格を取得する平均年齢を比べましても、若年層の技術者としての高度なスキルを持つ人材育成や確保を確実に図っていくことは我が国の課題であると言うことができます。
 また、工学系教育機関を卒業した若手技術者、技術士資格を取得する前の段階における修習技術者といった方々が、いち早く国際的に適応できる高度な技術者になっていただくべく、スキルの獲得の仕組みといったものは社会全体で構築することが肝要です。
 このような状況を踏まえまして、IPDシステムの構築に向けて、IPD懇談会では、目的、運営主体、システムの在り方、関係機関との連携といった4つの論点ごとに御検討をいただきまして、その結果といたしまして、以下に示しております。
 まず、(1)といたしまして、目的(利用者の明確化)ということです。
 このIPDシステムの立ち上げにおいては、まずは、技術士を目指す技術者をターゲットとすることが望ましいとしております。
 また、一方で、将来的には、このIPDシステムが技術士のみならず、国際標準の資質能力を備えた技術者全体の育成と日本の技術力の向上に寄与するということを念頭に、制度設計の精緻化を図っていくことが必要であるとさせていただいております。
 (2)IPDシステムの運営主体でございます。
 IPDシステムの運営主体といたしましては、ターゲットとする利用者に対して効果的にアプローチできる組織であることが望ましいとさせていただいております。
 ですので、まず、技術士を目指す技術者を対象として立ち上げるに当たりましては、技術士制度の普及、啓発を図ることを目的とし、技術士法により明示させていただいております、我が国唯一の日本技術士会が既に立ち上げていただいておりますCPDシステムも参考にしつつ、主体的に運営を担うことが合理的でございます。
 また、運営主体は、多様な研修プログラム等の提供機関と強固に連携をした中、確実に機能するシステムのプロトタイプをつくり、小さくスタートさせつつ、順次拡大させ社会実装を図る方向を模索するのが現実的とさせていただきました。
 また、提供される研修プログラム等のコンテンツについては、技術者全体に遡及できるものとなることを目指し、また、運営主体の活動自体には若手の技術者の方が積極的に参画することが期待されます。
 また、このIPDシステムが透明性・公正性を確保しつつ機能していることを立証する必要があることから、運営主体とは別に、例えば日本工学会といった学術団体のような第三者組織がありますので、第三者組織による認証・評価の仕組みといったものを導入するのが望ましいとさせていただきました。
 この認証・評価の仕組みの構築に当たっては、日本工学教育協会さんなど、国際基準を設定しているものもありますので、こちらの認定・評価制度等の仕組みを参考にすることも一案と考えております。
 IPDシステムの在り方として(3)に示しております。
 このIPDシステムを利用する利用者として想定される技術者を抱える企業においては、IPDシステムの構築の前に、社内での研修システムが既に確立されていることもありますので、新たに構築するIPDシステムというものに対しては、こちらで答えることが期待されるニーズの明確化、プログラム提供機関や利用機関、双方にとってメリットのあるコンテンツを提供することが求められます。
 このコンテンツにつきましては、大企業のみならず中小企業や個人経営の方のニーズも視野に入れつつ、技術士に求められる資質能力の獲得に寄与するものが重要です。
 例えば、知的財産に関する知識や、サステナビリティへの考慮、人権デュー・ディリジェンスの観点、あるいは最先端の技術や経済安全保障への対応といった、次々に生じる課題に迅速に対応するのは、企業単体、あるいは個人では難しいことも想定されますため、IPDシステムでこのような課題を捉えたコンテンツをいち早く提供することが期待されます。
 また、このIPDシステムでどのようなことを学び習得されたかにつきまして、客観的に評価・記録される仕組みが標準化され、企業の人事考課等で御活用いただくなど、社会全体で共有されることが理想的です。
 このIPDシステムに基づく活動につきましては、CPD活動への連続的なつながりを考え、一連のシステムとすることが理想的であり、こういった一連のシステムにより、リカレント教育的な役割を担うということも期待されます。
 (4)関係機関(産業界、教育機関、学協会等)との連携です。
 IPDシステムの運営主体は、こういった関係機関との連携を図り、人的交流の場を形成することも期待されます。
 例えば、教育プログラムのつくり込みに御注力いただくということもありますが、そういったことに比べましても、既に企業等、教育機関等がお持ちの既存の教育プログラムを相互に共有し合えるような場の提供、あるいは運営主体同士が提供するような仕組みというものも効果的です。
 加えて、このような場を技術者同士の人材交流の場として機能させることで、交流促進といったものも期待されます。
 3番目といたしまして、中長期的な検討事項です。
 このIPDシステムのさらなる発展に向けて、IPDシステムが、技術士を目指す技術者のみならず、技術者全体の育成を担う段階においては、この運営主体の在り方や、IPDシステムの持続可能な収益構造の観点といったものも含めまして、改めて制度設計の進化に向けて検討を行うことが必要と考えております。
 本格的な制度設計に当たりましては、欧米等で先行する事例があると承知しておりますので、こういったものも調査し参考にすることが必要であると考えております。
 また、IPシステムを実質化させるに伴いまして、IPDシステムを活用する利用者の皆様のインセンティブといったものも視野に、技術士制度の見直しに向けた検討も必要と考えております。
 また、総合技術監理部門、総監、先ほど資料3でも述べましたが、我が国独自の技術部門ですが、国内外において認知度があまり高くないという現状があります。その位置づけや求める資質能力に対しては認識が曖昧な部分もありますので、こちらについても継続的に検討が必要ということです。
 一方、令和3年4月から施行されました科学技術・イノベーション基本法でも、総合知の概念が新たに提唱されているといった状況に鑑みましても、多種多様な分野を技術的な観点から総合的に監理することが求められる総監の皆様方の重要性は、今後ますます高まることが想定されます。
 こういった状況も踏まえまして、国際的同等性の観点も考慮しつつ、総監の位置づけについて明確化させるべく検討を行っていくことが必要ということです。
 さらに、6ページ目におきましてはIPD懇談会の名簿、参考資料2といたしまして、7ページにIPDに関するヒアリングを民間企業様に実施させていただきましたので、その時期とどういった業種に対して行わせていただいたのかの実績、参考資料3といたしまして、IPD懇談会の検討スケジュールの実績について記載しております。
 資料6に関しまして、事務局からの御説明につきましては、以上でございます。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 本日はこのIPD懇談会の主査の岸本先生にも御出席いただいております。岸本先生のほうから何か補足などございましたら御発言いただければと思いますが、よろしくお願いいたします。
【岸本IPD懇談会主査】  ありがとうございます。岸本でございます。
 今回、資料6として提出させていただいたこの内容につきましては、IPD懇談会の皆様と、先ほどスケジュールの紹介がありましたけれども、議論を重ねて取りまとめてきたところでございます。私は11期までの制特委の主査をしつつ、IPDの作業部会のところでも議論をしてきたということで、IPDについて、ようやくこういった形にまとめられたかなと思っているところであります。
 高等教育を受けてから技術士になって活躍していくところの制度を一体的に整合性のあるものにしていこうという中で、CPDについてはある程度仕組みができてきたところなんですけれども、IPDについては、主体的にこれを担っていく組織が現状では無いので、どんな形でこれを立ち上げていくのか、IPDの制度としてはどんなものが必要なのか、周辺状況も見ながら検討してきて、こういったような取りまとめになったところでございます。
 これからは、世界の動きを見てもエンジニアを取り巻く環境が変わってきておりますので、我が国としてもしっかりした形で技術者の人たちが育っていく、その中で技術士というのは非常に大事な資格だということで、このIPDについては、検討してきた中でぜひ我が国の中でしっかり立ち上げて、制度として社会実装されていくことが必要じゃないかなということで、こんな取りまとめになっております。
 まだまだ検討しなきゃいけないことも多いかと思いますけれども、検討や議論も必要なんですけれども、実際にスタートさせて、スモールスタートの中から大きく育てて社会実装をしていくということで、きちんとエコシステムになっていくということで進められればなと思っておりまして、ぜひ今日の議論の中では、どうやったらこれが本当に立ち上がって、仕組みとして社会実装されていくのかという観点から議論いただければありがたいなと思っております。
 周辺の状況についても議論が必要だと思いますけれども、是非そういうところも含めて議論していただいて、これから社会実装していくに当たって、どう進めていったらいいかということで、御検討を賜ればと思っております。
 私からは以上になります。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 今、岸本先生からもお話ございましたように、このIPDのシステムが社会実装されていくことに向けて、今日御出席の委員の皆様からの御意見、あるいは御示唆等をいただければと思っております。
 それでは、少し時間を取って意見交換ができればと思っておりますが、どうでしょうか。
 江黒委員、お願いいたします。
【江黒委員】  弁護士の江黒でございます。IPD懇談会に参加させていただいておりましたので、若干というか、参加させていただきました感想も含めてコメントさせていただきたいと思います。
 まず、IPD懇談会に参加しまして、この技術士ですとか、IPDシステムというものの議論を通じて、ここに集っておられるような科学技術分野のリーダー的な存在のそうそうたる皆さんが、科学技術分野に入ってこられる若手の方のエンパワーメントのために非常に情熱を持って熱心に御議論されているということに感銘を受けたというか、敬服をしております。
 私個人的な意見ですけれども、このIPDシステムとか、それを通じて技術士の知名度が上がっていくことが、日本の科学技術分野の人材的なダイバーシティーの拡大にとって突破口になるのではないかと考えておりまして、自分自身のキャリア選択のことを振り返ってみましても、結局、文系に進んで弁護士になったんですけれども、もともと中学校とか高校のときは、部活とかも理系の部活で、理系の科目が好きで、結構、理系が好きだったんです。
 今も知財とか新規事業系の仕事をすることが比較的多いんですけれども、仕事を通じて、エンジニアの方とか研究者の方のお手伝いをするというのは非常にわくわくする、楽しい仕事になっておりまして、しかし、なぜ理系に進学しなかったのかということを思い返してみると、やっぱり資格職、女の子は資格を取りなさいとどうしても言われます、女性だけじゃなくて、障害があったり、病気があったり、あとは男性も含めて、LGBTQ+、同性愛とかトランスジェンダーで弁護士になった人にお話を聞くと、やっぱり一生生きていくのに資格が必要だと考えたというお話が必ず出るんですけれども、ダイバーシティーを高めていくためには、やっぱりマイノリティーに属する人間は資格を取りたいということが一つありますので、中学校、高校の頃にこの技術士という資格を知っていて、例えば池田委員のように、女性で技術士事務所を独立して開業されていて、活躍されて、大企業の経験もおありでという方のお話を講演会なりでお伺いする機会があったら、もしかしたら自分の人生も違ったかなと思ったりしながら参加をしていた次第でして、今、ジェンダード・イノベーションという言葉もあるぐらい、イノベーションにとっては、ジェンダーダイバーシティーというのが必要不可欠だというのがグローバルスタンダードの考え方になっていると思いますので、ぜひ中学、高校レベルのこれから進路を決めていくような若い方にも、こういった明るい未来が君たちは待っているという、こういうシステムで国も応援していますということを知ってもらって、指導者の教師の方とか、保護者の方にも知ってもらって、理系の学び手の方も安心して進学してもらえるようになったらうれしいなと思う次第です。
 先ほど農業分野でだんだん増えて、注目が集まってきているという話もCPDのところでありましたので、今、知名度の伸び代があるというのは、これからますます発展できるということでもあると思いますので、ぜひ、このシステムを成功してもらいたいなと思っている次第でございます。
 以上でございます。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 そうしましたら、本当に皆様から何か一言ぐらいはいただきたいなと思っておりまして、ほかの委員の方々からもぜひ御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  小林でございます。ありがとうございます。
 私もIPDの仕組み自体は本当に必要だと思っている一人でございます。そういう中でCPDの関わりのときに、学協会の関わりといいますか、連携というものが非常に大きな役割を担うということだったと思います。
 先ほど御紹介いただいたようなことで、私の属する学会も主体的にCPDの活動を応援したり、あるいは関わったりしているということがあるわけですけれども、IPDを進めるのときに、こうした学協会の役割というのは、CPDと同じような形を考えていらっしゃるのかどうかということを、お伺いしたいのが一点。
 コンテンツを一緒につくったり、あるいは何かそういったことだけなのか、あるいは今のようなCPDであれば、CPDのポイント、学協会のものをそのまま活用してCPDの認定のほうにも活用できるというような仕組みがあるわけですけれども、そういったところとの関わりといいますか、そのようなイメージなのかという点が一点。
 それともう一つ、先ほどの御説明の中長期的な検討事項というところで、改めて制度設計の進化に向けて検討という項目がございますけれども、前にも私、御質問をさせていただいたんですけれども、大学のJABEEという仕組み、聞けばなかなかそのJABEE自体が今厳しいといいますか、運用も御苦労されているということをよく聞くものですから、こういった技術士の卵という位置づけの学生さん方を支援するJABEEの仕組みも、連携といいますか、一体といいますか、将来そういった形での検討されていく必要を考えていらっしゃるかという点についてお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【佐藤主査】  ありがとうございます。
 先ほどのCPDと同じような仕組みなのかということについても重なる部分も結構あると思いますが、この辺、少し違った部分もあるかと思いますし、それから、今、JABEEのお話が出てきましたけれども、まず、高等教育とIPDを結びつけるあたりのところで多くの人の目に触れるような仕組みをつくるということが非常に大事だと思っていますが、主査の岸本先生、何かコメントいただけますでしょうか。
【岸本IPD懇談会主査】  ありがとうございます。IPDにおいて学協会との関わり合いというのは非常に大切だということで位置づけていかねばと思っております。IPDの活動をCPDで通常行われているようなポイント制にするのか、学協会でいろいろと技術者の育成支援をしているところ、講習会などのプログラムを履修した人たちが、どういうことができるようになったかという達成度を確認するというようなことで進めるのか、やり方については、これからも検討していかなきゃいけないかなと思っております。
 いずれにしても、学協会との連携というのは非常に大切だと考えて議論してきているところでございます。
 また、JABEEにつきましては、私自身もJABEEの会長をしておりますので、IPDについては強い関心を持っております。技術士会とJABEE、ちょうどIPDに両方で取りかかることかなと思っておりまして、ぜひ連携を強めて、IPDシステムをうまく立ち上げていければなと考えてございます。
 主査の立場とJABEEの会長の立場と、両方が混同した答えになりましたけれども、両者とも非常に大事だと考えております。ありがとうございます。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 小林委員、よろしいでしょうか。
【小林委員】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【佐藤主査】  そうしましたら、高木委員、手を挙げておられますので、よろしくお願いいたします。
【高木委員】  どうもありがとうございました。日本工学会の高木でございます。
 何点かコメントがございますが、まず、ただ今の直前の議論で、学協会の役割ということは大変重要だと思います。その件について若干コメントさせていただきたいと思います。
 私ども日本工学会は約100の工学系学協会の連合体ですが、その中で特にCPD活動が活発な約20の学協会を中心にCPD協議会を組織しております。私も副会長ならびにプログラム委員長を拝命しておりますが、現状ではCPDのアクティビティーについて温度差があります。
 そこで、例えば日本技術士会のCPD活動関連学協会連絡会でのいろいろな情報を日本工学会のCPD協議会の皆様と情報共有する、そして議論するということを、昨年からスタートしています。今の問題、そういう場でもいろいろ議論させていただきたいと思います。
 前置きをさせていただきました。
 このまとめに対するコメントに戻りますが、私もIPD懇談会にメンバーとして参加させていただいております。非常によくまとまっていて大変すばらしいと思っております。大筋としてこれでいいと思いますが、逆に細かいところになりますが、コメントをさせていただきたいと思います。
 まず、1点目ですが、1ページ目、10行目から14行目になりますが、ここでIPDの定義について述べておられます。これは非常に重要だと思います。CPDという用語は、IEA、国際エンジニアリング連合が、今回GA&PCを改訂したときの公式ドキュメントにも言葉の定義が載っていますが、実はIPDの定義というのはありません。少なくとも国内で議論を進めていく上で、IPDの定義は大変重要だと思います。冒頭で明記していただいておりますので、大変よろしいと思います。
 それから、2点目ですが、これは文章表現についてのことになります。2ページ目になりますが、20行目、「科学技術・イノベーションの推進に向けて」という文章があります。これは昨年1月に改訂されました技術士の資質能力(コンピテンシー)の前文にも書かれているんですが、その前文では、科学技術・イノベーションの推進に向けての前に、「SDGsの達成やSociety5.0の実現に向けた」とつけられています。
 実は、これは私のほうで追記を提案した経緯もあり、結果的に採用していただきました。少し拘りを持っておりまして、これは文章の整合性、政策の整合性から3つ理由があります。
 まず、1つ目の理由は、このページの上のほうにも記載がありますが、もともとこの技術者のプロフェッショナル・コンピテンシーをIEAが改訂した背景は、IEAとWFEO、そして、WFEOの背後にはユネスコがおります。ユネスコはSDGs推進ということが目的にありました。そこで両者で合同ワーキンググループを設置して、今回プロフェッショナル・コンピテンシー並びにGAを改訂したという経緯があります。
 本文章でも、10行目に「国際的要請に対応することが喫緊」との記載があります。まさにこの要請がSDGs推進です。我が国としてこれを受け入れたという立場がありますので、やはりSDGs推進という文章は入れるべきだと思います。
 それから、2つ目の理由は、このページの下に科学技術・イノベーション基本法の記載がありますが、これを基にして策定された第6期の科学技術・イノベーション基本計画にもSDGsやSociety5.0が明記されています。
 それから、3つ目の理由ですが、日本技術士会さんが経団連の月刊誌に、経団連会員企業のIPD導入の検討を依頼する文章を出されておられます。やはりその中でSDGs達成、Society5.0の実現ということを明記しておられます。
 以上の理由で、「SDGsの達成やSociety5.0の実現に向けた」を入れるのが全体の流れとして適切だろうと考えております。
 委員の皆様におかれてはいろいろなお考えはあるかと思いますが、日本技術士会のお考えとの整合、それから、国際的要請と本まとめとの整合性という観点から、追記すべきと考えます。
 以上が2点目です。
 それから、3点目になりますが、これは3ページの26行目になりますが、「小さくスタートさせつつ、順次拡大させ社会実装を図る方向性を模索する」の部分です。これはIPD懇談会でもトライアルで小規模に回すことについて議論をさせていただいておりましたが、小さくスタートする、プロトタイプとして回すということであれば、そのときにどの部分を小さく回すのか、全体を回すのか、もし全体を回すのであれば、IPDで今議論されているインセンティブ、技術士制度との関連、この議論も必要になってくると思います。
 そこまで含めて考えないと、小さくスタートさせるという内容が変わってくると思いますので、幾つか仮定条件を置いてスタートするということが現実的だろうと思います。
 長くなりましたが、最後に4点目になりますが、4ページ目の41行目です。「IPDシステムを活用する利用者のインセンティブも視野に、技術士制度の見直しに向けた検討も必要」という記載があります。これは今申し上げた3番目とも関連しますが、これが一番のポイントになると思っております。
 特に、このIPDシステムをもし登録ということと結びつけて考えるとすれば、本日、資料4でご説明いただきましたが、CPDの登録申請数が伸び悩み、なかなか苦戦しているというお話がありました。資料の中に、実施法人別の申請者数の表がありましたが、この表のうち3団体が、先ほど申しました日本工学会のCPD協議会のメンバーでしたので、委員会で昨年のデータを基に議論させていただきましたが、分野によってはインセンティブがほとんどないということを明言されておられました。先ほど、インセンティブを工夫されて申請者数を増やされたという良い事例がございましたので、これは引き続き検討する必要があるのかなと思いました。
 長くなりましたが、以上でございます。ありがとうございました。
【佐藤主査】  ありがとうございました。様々な観点からの御意見をいただいたところでございます。
 その他、まだ御発言をいただけていない方で、何かございますでしょうか。
【黒﨑主査代理】  それでは、日本技術士会の黒﨑でございますが、よろしいでしょうか。
【佐藤主査】  よろしくお願いいたします。どうぞ。
【黒﨑主査代理】  議論をどうもありがとうございました。日本技術士会といたしましても、このIPDにつきましては、技術士会の中でも議論を重ねてまいりまして、前提といたしまして、技術士会がその役割を担うということを想定した上で議論を重ねてまいりました。
 資料の中にもございますけれども、当会といたしましては、技術士の合格の年齢が非常に高くて高齢化しているということ、これは一つ大きな課題だというふうに認識しておりまして、一つは、大学を卒業してJABEEのコースが終わって技術士を目指す方にとっては、二十幾つぐらいで大学を出て、今のこの平均の合格年齢の四十ちょっとまで20年ぐらいの期間が空いてしまっている。
 その間に企業の中でいろいろな研さんはされていますけれども、例えば、一次試験を受けて技術士補を取得するとかいうプロセスがあれば、ある程度途中でマイルストーンのようなものができますけれども、20年ぐらいの間、なかなかターゲットを意識することができないのではないかと思っておりまして、そういった意味合いで大学を卒業してからこういったシステムにきちんと乗っていくということによって、自分の将来的なターゲットが明らかにできることは、この技術士の資格というのを意識していただくという意味で非常に重要だと考えております。
 一方で、今申し上げたとおり、これからIPDのシステムの体系利用を大学を出て始める方々が技術士の資格を取得するという時期になりますと、恐らくこれから10年、15年ぐらいのタームでこのシステムを利用していくということになると思いますので、このシステムの構成そのものは、恐らく2035年とか2040年とか、それぐらいまで使われるということを意識した、割とロングタームの計画になってくるだろうというふうに認識しておりまして、そういう意識のもとに、この中でもいろいろな枠組みをつくられる必要があるだろうと思っております。
 これは、一つは、私の技術士会としての立場でございます。
 もう一つは、これは個人的な立場ですけれども、私の場合、技術士系の会社の経営者として若い技術者を育てていかなければいけないという立場からしますと、やはり昨今で非常に人材が流動化していく中で、企業の中だけでは人を育てていけない、あるいは外から人材を確保するときに、その人材がどういった経験を積んできたのか、あるいはスキルを持っているのかというのは非常に重要なポイントでございまして、そういった意味合いにおいて、企業として人材の流動化が進むことがいいかどうかという議論はまた別途あるわけですけれども、そういった社会背景の中では、こういった技術者の研さんのシステムというのがきちんと出来上がってくるということは、企業としても大変ありがたいですし、重要なことだと認識しております。
 以上でございます。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 その他、まだ御発言いただいていない方、いかがでしょうか。
 池田委員、お願いいたします。
【池田委員】  ありがとうございます。池田紀子です。
 一言申し上げたいことがございまして、制特委として、我が国を含めアジアは科挙制度の流れとして試験制度を持っておりますが、欧米、例えばイギリスのチャータード制度等は、試験制度がなく、うまく技術士相当の技術者が育成されておりますので、試験制度という、制度のメリット、デメリットも見直して、スモールスタートから国際的な調査が並行されるということですので、その点も今後議論していきたいと私は考えております。
 また、IEAの改訂の文書を読んでいきますと、ホリスティックウェイということで、関係性を持った形で進めることの重要性も期待されておりましたので、欧米系のスペシフィックとは違う面での制度も検討できたらと考えております。
 以上です。
【佐藤主査】  ありがとうございました。非常に大きな視点からの検討も重要ではないかという御指摘かと思います。ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 石田委員、お願いいたします。
【石田委員】  石田でございます。
 先刻、江黒委員のほうからダイバーシティーというお話も出されました。SDGs、ダイバーシティーということに鑑みますと、私、今年6月で日本技術士会の男女共同参画推進委員会の委員長を卒業いたしましたが、それまで委員長の立場で、いろいろ女性の技術士資格取得、それから、女性が技術者になるためにはどういう形で活動していったらいいか、日本技術士会の男女共同参画推進委員会として、活動しておりました。
 その中で、日本技術士会は男女共同参画学協会連絡会というところに所属しております。これは自然科学系の120の学協会団体がございます。先ほどの化学工学会様も日本物理学会様も所属されております。そういう中で、技術士のIPD、それから、技術者として女性が活躍していくための下地、それはやはり大学の先生方への技術士資格のPRが一番ということを考えておりまして、そういう形で学協会のほうでは技術士資格、また、日本技術士会の委員会が開催しております技術サロン、そういったものを随時御案内させていただいております。
 ホームページでも公表しておりますけれども、女性技術者の登録者数は僅か2.4%でございます。0.8%の時代から承知しており、十何年たってやっと2.4%になっております。今後、女性の活躍の場を増やしていく、そういうためにはこのIPDシステム、学協会の先生方にもぜひ御承知いただいて、連絡会等も通じて資格活用、それから広報拡大、そういったことを進めていければと思っております。
 
 技術士会の男女共同参画として発言させていただきました。
【佐藤主査】  ありがとうございます。まず多くの人に知っていただくということと、ダイバーシティー推進の一つの材料にもなっていくということが非常に望まれると、そういう御意見だったと理解いたしました。
 そうしましたら、塩原委員、いかがでしょうか。
【塩原委員】  ありがとうございます。まず、技術士の合格平均年齢が43歳ということで、これを若返り化するためにはスモールスタートで早く進めていくということは非常に大事だなと感じます。
 あと、続いてインセンティブのところなんですが、建設系以外の技術士にとって、あまり技術士を取ることが、それほどメリットがないと。そういう中で、若手にIPDシステムで勉強してもらうということを考えますと、ここにまた費用もかかるということを考えますと、インセンティブがなかったらますますハードルが高くなるような可能性がございまして、やはり、うまくインセンティブを設けてIPDシステムを受講する人を増やすと、そういうことが必要だと感じております。
 以上です。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 その他、いかがでしょうか。
 それでは、比屋根委員、お願いいたします。
【比屋根委員】  非常によくまとまった御報告になっているなと思って、感心して聞いておりました。
 IPDのシステムというのが、実は私自身が思っているのは、技術士制度、技術士というのが問題解決人材をつくる、そういうものであろうと考えているわけですけれども、だから、本当はより低年齢からなっていただかなきゃいけない資格のはずが、なぜか広がらないという問題があるということなんだと思うんですが、このIPDのシステムをつくることが、実は技術士をどういうものとするかという、社会の中で要求されている姿とか、そういったものが実は見えてくるんじゃないかなと逆に期待しています。
 小さなところから始めていくというところは非常に現実的でよくて、特に技術士制度そのものに価値を置いておられるところから、まず始めていかれると、多分そうなってくるんだろうなとは思うんですけれども、そういったことによって、今の問題解決人材としての技術士に必要なコンピテンシーの、大きなコンピテンシーはありますけれども、実際的な内容、その辺りが積み重ねられていくというか、詰めていかれるというか、そういったことが行われると技術士制度そのものの形が逆に定まっていくんじゃないかなとも期待しております。勝手な意見ですが、そんなことを思いました。
 以上です。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、林委員、もし何かあればコメントいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
 特になければ、大体予定の時間になっておりますので、ここで次の議論に移りたいと思います。非常に多岐にわたるいろいろな御意見をいただきましたので、また、今後の検討の具体化に反映していきたいと思います。どうもありがとうございました。
 そうしましたら、次ですけれども、議題6の技術士の活動状況について、日本技術士会より資料の説明をお願いしたいと思います。
 眞先専務理事にお願いしているということでございますが、よろしくお願いいたします。
【日本技術士会(眞先氏)】  日本技術士会専務の眞先でございます。よろしくお願いします。
 本日、資料7ということで、令和6年能登半島地震における日本技術士会の取り組みという資料を用意させていただきました。
 先ほど来、お話が出ておりますように、技術士制度は意外に知られていないということで、よく知っていただくということも、とても大事な取組だろうと思っておりますが、実際の技術士さんの活動実態をよくよく情報発信できてないんじゃないかという問題意識がありまして、今般、能登半島地震において実際に汗を流していらっしゃる技術士さんはたくさんいらっしゃるということもあって、この実態をうまいこと情報発信しようと思いまして、この資料をまとめております。
 まだまだ技術士そのものの活動自体、多くの活動はやっぱり企業内で活躍される技術士さんの活動ということになるものですから、なかなか発信しにくいところもあるんですが、ちょっと工夫しておりますので、お聞きいただければと思います。
 次のページをお願いいたします。
 まず、技術士会として、今般の能登半島地震に対してどう対応したかということを御紹介させていただいております。1月1日に能登半島で震災が発生いたしましたが、技術士会におきましては、ここにあります防災支援委員会という枠組みがございまして、こちらのほうで、こういう大規模な自然災害が発生したときの体制をもともと組んでおりますが、その活動方針に従いまして、今回も発災直後の1月2日に能登半島地震災害復興支援プラットフォームを設置して活動を開始しております。
 次のページをお願いいたします。
 この中で、今般の能登半島地震に対して技術士会としてどのように対応しようかということを、方向性を取りまとめたのが取り組み2の資料でございます。大きく10項目、喫緊の課題6項目、それから、中長期的な課題4項目という形で、どういった取組をしていくかという方向性を示しております。
 喫緊の課題の取組ということで言いますと、まず、これは技術士会の特徴であります21技術部門を持っておりますが、その英知を結集して技術の幅広い視点から支援を実践していこうということ。
 それから、被災者の生活不安等、懸念材料の払拭に向けてほかの士業団体と連携しながら被災者の相談対応をしようと。被災者の相談というのは、非常に多岐にわたります。そういったときには弁護士さんとか、いろいろなほかの3大士業の皆様も対応されますが、とりわけ技術に関わるような御質問、御相談については、やはり餅は餅屋ということでございますが、やっぱり技術士の出番であろうということで、こういった士業連携の体制の中での活躍という場面が想定されるものですから、そういう相談対応はしていこうということです。
 それから、被災から復旧・復興へ向けての技術的課題についても分かりやすく説明していく。
 また、現地の被災状況を確認し、生活再建に向けての復旧・復興への技術的支援活動を実践していく。
 それから、被災自治体の復興計画づくりに対する支援、また、二次災害防止への提出、こういったような項目を喫緊の課題として上げております。
 また、中長期的な課題という意味では、エネルギー問題等への提案であるとか、復興まちづくりでの自治体支援など、長い目線での、特に自治体さんからの御相談への対応ということが中心なのかと思いますが、こういう枠組みで取組をしていこうということで、これは技術士会のホームページにも載せております。
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 実際に、どのような取組をしてきているかということでございますが、特に北陸本部の会員によります、所属企業・団体における防災支援・災害復興支援の実行と、これについては次のページでまた詳しく御説明させていただきますが、これが極めて多い活動になっています。
 また、北陸本部のホームページにおいて、これまでの防災支援活動で作成した資料と今次の震災で専門分野技術士の活動で得た資料の公開をしている。
 それから、次の項目ですが、統括本部の防災支援委員会委員を中心に、プラットフォームにて委員等の安否、また、地域本部・支援機構などの情報・連絡状況の共有。
 それから、これは外部からの依頼によって、統括本部と北陸本部協力の下で新潟市の液状化被災地域の現地調査を行う、こういった取組をしています。
 これは訂正をお願いしたいんですが、日本技術士会より7名参加とありますが、実はこれは9名の間違えでございます。数字が間違っておりますものですから、後にホームページで公開されるときに訂正をお願いできればということで思っております。9名でございます。
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 具体的に北陸本部でどのような技術士の活動がなされているかということでございます。実態について、なるべく分かるように説明したものがこの資料でございます。書いてございますように、北陸本部に所属する技術士の多くは企業内技術士でありまして、災害に対して次の立場で活動しているということでまとめております。
 一つが、北陸地方整備局、北陸農政局、地方自治体との災害協定の中で、いろいろな業協会と協定が取り交わされておりまして、協会に所属している企業が災害対応に当たっている。
 その中で、特に能登半島地震での災害対応業務として、公共施設復旧でありますとか、土砂災害に対する調査・設計が主体になります。そういった意味で、建設部門、応用理学部門、農業部門といった部門の多くの技術士が従事している状況にございます。
 実際に業務を遂行する上では、技術士だけではなくて管理技術者とか、主任技術者として必須の資格であって、業務を統括する役割を担って従事しているというのが、実際の活動実態ということでございます。
 能登半島での復旧工事、道路と港湾、この辺の啓開が行われている段階であるということですが、工事の分野では、工事をするという意味では、技術士は必須の資格ではないものの、工事に携わっている企業にも建設部門の技術士が多く在籍しており、早期復旧に従事している状況にございます。
 また、災害対象によって、道路、河川、港湾、農業などのインフラ、斜面崩壊や地滑りによる民家への土砂災害でありまして、膨大な被災箇所数に及んでいると、こういう実態になります。これらの被災箇所に対してそれぞれ専門とする分野の多くの技術士が早期復旧に向け尽力している状況でございます。
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 具体的に道路被災箇所の調査・復旧設計、よくあるそういう業務でございます。これについては、建設部門の道路、トンネルの技術士が主に従事している。
 また、土砂災害箇所の調査・復旧設計に当たりましては、建設部門の河川・砂防及び海岸の技術士が主に従事している。
 あと、港湾施設被災箇所の調査・復旧設計、これについては、やはり建設部門でございますが、港湾及び空港。
 それから、農業施設被災箇所の調査・復旧設計に当たりましては、農業部門の農業土木の技術士の方々が従事している。
 また、被災箇所の地質調査・地質解析、こういった対応につきましては、建設部門の土質及び基礎、また、応用理学部門の地質の技術士が従事をしている。このような実態で、実際に現場において汗を流した実態がございます。
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 これは御参考までですが、北陸本部の部門別会員数ということでございまして、一番下に実人数がございます。お一人の方が複数の技術部門を取得されているケースもございますので、実人数だと684名、うち半数以上が建設部門ということであります。建設、農業、応用理学といったようなところが人数的に大変多くを占めている、こういう実態になっております。
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 こちらのほうが北陸本部で公開している資料の一覧ということで、順次公開をしているということでございます。後で御覧いただければと思います。
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 こちらのほうがホームページで公開しておりますハザードマップ等の資料でございます。サンプルでございます。
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 現地調査の状況でございます。これは写真だけで、調査内容については非公表ということでございますので、調査をしている様子だけ示させていただきました。
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 最後に、同じような取組はこれまでにもやっております。東日本大震災におきましても、当時はプラットフォームという枠組みじゃなくて、防災会議という枠組みで活動しておりましたが、あのような災害対策でございますとか、復興支援活動などについて、技術士会でも取組を行ってきたところでございます。
 このような実態があるわけですが、なかなか世の中に情報発信できていなかったということもありまして、機会を捉えて、このような活動についても発信をしていければなと思ってございますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
【佐藤主査】  ありがとうございました。ただいま能登半島地震に関係します技術士の活動についてということで御紹介いただきました。
 特に何かコメントなどあればと思いますが、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
【日本技術士会(眞先氏)】  ありがとうございました。
【佐藤主査】  そうしましたら、先ほど5の議題のときに林委員がミュートの解除に手間取られたということで、もし御発言あるようでしたら、御紹介いただければと思いますが。
【林委員】  林でございます。大変失礼しました。話題が戻ってしまって恐縮ですが、私、思ったことを1点だけ、お願いいたします。
 日本技術士会の一員として研修委員会の中にIPDワーキンググループというのがございまして、そこにも参加させていただいているんですが、IPDシステムを利用する立場の方と、それを支援する立場の方、2通りあると思うんですが、支援者向けのガイドブック、あるいは支援者向けの指針みたいなものを、今、検討しております。
 IPDシステムそのものが、まだ形が出来上がってない中で、支援者はどういう立場でどういうことをやるのかという、その第一歩をドキュメント化できればと思っておりますので、今日はいろいろ過去の論点とか経緯をお聞きして、頭の中も再整理できましたので、その辺を今後進めていければなと思います。
 感想ですが、以上でございます。
【佐藤主査】  ありがとうございました。また今後の議論に反映させていきたいと思います。ありがとうございます。
【林委員】  ありがとうございます。
【佐藤主査】  そうしましたら、ほぼ予定の時間になっておりますので、よろしければ本日の議題は以上でございます。
 事務局から連絡事項についてお願いいたします。
【橋本課長補佐】  事務局でございます。本日の資料につきましては、修正等ありますので、作業が済み次第ホームページにて公開をさせていただく予定です。
 また、議事録につきまして、確認のため後日、御発言者の皆様宛てに送付させていただきます。御確認いただきました後、非公開の議題が本日ございましたので、こちらの議題を除く部分につきまして、文部科学省ホームページにて公開予定です。
 本委員会の次回の会合につきましては、改めて日程調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【佐藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、以上で本日の会議は終了いたします。どうもありがとうございました。
 
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