第7期 技術士分科会 制度検討特別委員会(第12回) 議事録

1.日時

平成26年11月26日(水曜日)10時00分~11時41分

2.場所

文部科学省15階 局1会議室

3.議題

  1. 今後の技術士制度の在り方について~第二次試験~
  2. 作業部会について(報告)
  3. その他

4.出席者

委員

池田主査、福山主査代理、岩熊委員、奥野委員、中谷委員、吉田委員

文部科学省

片岡人材政策課長、杉浦専門官ほか

オブザーバー

経済産業省、公益社団法人日本技術士会

5.議事録

開会10時

【池田主査】 皆さん、おはようございます。ただ今から、科学技術・学術審議会技術士分科会第12回制度検討特別委員会を開催いたします。御多用中、御出席いただきましてありがとうございます。
 まず、事務局から資料の確認をお願いします。
【小林係長】 お手元の資料でございますが、議事次第に基づきまして申し上げます。その下に配付資料が、資料1から4までございます。3は3-1、3-2とございます。その下に参考資料としまして、1から6までお付けしております。
【池田主査】 資料4もありますね。
【小林係長】 そうです。資料4の下に、参考資料1から6までございます。いつもながら、机上左上に今年度の技術士試験の申込み案内と第二次試験と法令集と紙ファイルがございます。御確認をお願いします。
【池田主査】 皆さん、いかがでしょうか。お手元にありますでしょうか。
 それでは、議題1、今後の技術士制度の在り方についてに入ります。今日は、第二次試験についての御議論が中心になると思います。
 前回の特別委員会においては、今後の第二次試験の在り方の事務局案をもとに御議論いただきました。各委員から頂きました御意見等を事務局において集約していただきましたので、前回の主な発言について説明をお願いします。
【小林係長】 9月11日の技術士分科会を経まして、今後の第二次試験の在り方につきまして、9月に一度、10月29日に前回の特別委員会を開催していただきました。そこでは、事務局としまして、今、資料で申し上げますと、資料3-1の昔のバージョンをお示ししたものでして、それに基づきまして御意見を頂いたと承知しております。
 主に挙げますと、やはり第二次試験の段階に応じて御意見を頂いたと思っております。まず受験申込みの段階で、業務経歴票や推薦書について御意見を頂いたところでございます。
 業務経歴票につきましては、現行は、1枚の業務経歴票の中に業務経歴と、その中の一つを取り出して業務内容の詳細を書いていただくという様式になっておりますけれども、それを技術士コンピテンシーを意識しながら詳細に記入してもらうという方向での御議論を頂いたと思っております。ただ、この業務経歴票の内容が合否に結び付くのか、合否判断材料になるのかという視点と、筆記を経た口頭試験の中で、この業務経歴票を参考になるという御議論もございましたので、総合的に判断するものになるのではないかというような御意見を頂いたと思っております。
 また、この経歴票の中では、自らのキャリアを履歴書的に書くのではなく、技術士コンピテンシーを身に付けているかどうかを分析して、受験者御自身が説明をしていただく、レポートのように書いていただくということでどうか御議論だったと思います。
 また、推薦書のところにつきましては、私どもの提案の資料の中で、技術士の資格をお持ちの方が受験者に対する証明とか推薦をしてもらう「推薦書」を添付してはどうかということを御提案申し上げたところですが、御意見の中では、受験者を狭めることになりはしないか、受験者が合格するためには、それは試験委員が判断することであって、第三者の技術士有資格者がお墨付きを与えて合格するものではないというような御意見を頂いていたと思います。
 続きまして、筆記試験のところと口頭試験のところにつきまして申し上げます。
 まず筆記試験のところですが、今の第二次試験の必須科目については、知識を問うているという部分について、断片的な知識を問う形になっていると。これまでのこの特別委員会での議論を見ますと、このような知識を問う形は適切ではないのではないかという御意見だったと思います。
 2ページ目、裏になりますけれども、一つ一つの専門用語を知っているかどうかということよりも、汎用的な原理、広く共通的な概念、本質的なことが理解できているかどうかを問い掛けることで専門知識を確認できるのではないかというふうに頂いております。
 また、2ページ目の上の黒丸のところですが、第一次試験の合格者については、技術部門がどんな部門であっても、第二次試験は希望する部門を選択して受験できるということですので、第二次試験での知識を問う問題というのは、技術部門の技術者として技術士資格を付与してもいいかどうか検査するために必須科目があるのではないか。この科目を設けた意味、また、それを廃止する場合も、その意味を考えないといけないという御意見だったと思います。
 また、中段のところですが、筆記試験の中で、「技術者倫理」について問うてはどうかという事務局の資料でございましたけれども、第一次試験で問う技術者倫理に関する知識と質が違うと。第一次試験の場合は大学等卒業程度の知識で、第二次試験で問う程度は、こういった10年程度の実践を積んだ上での知識ということで、これは択一式で問うやり方よりも、口頭試験で判定できるのではないかという御意見だったと思います。
 また、下の方ですけれども、課題解決能力を問うという観点からにつきましては、今でも「選択科目」に関する課題解決能力を問う問題がございますので、それを浸透させていく。試験を受けていただく方、また、試験を作る方に、それをもっと理解を深めていただくということによって、こういった問題に対応できるのではないか。また、今ある試験問題についても検証しながら、良い問題を残していくことが改善になるのではないかという御意見だったと思います。
 また、採点に関しましては、採点委員が公正に判断できるようにするには、どういったレベルがあれば、どういった観点があれば、それは採点の加点の対象になるのかということが重要になってくる。そういったことも、やはり採点マニュアル等できちんと記載していく必要があるのではないかという御意見だったと思います。
 3ページ目でございます。ComplicatedとComplexの定義――この前、Complexの資料につきまして中谷委員より頂きましたけれども、こういった定義を明示することによって、問題を作る方にも、複合的な、複雑な問題というのは何かというのを知っていただいて、それを問題を作る作業に反映することができるのではないかという御意見だったと思います。
 また、口頭試験のところでは、技術士コンピテンシーに合致するかどうかという判定等については、筆記試験よりはむしろ口頭試験で担う部分が多いということで、口頭試験を充実させて、合否判定に重きを置くという体系にすべきではないかという御意見だったと思います。
 最後の方ですが、試験全体を通したバランスやレベルですが、まずバランスのところでは、業務経歴票に今までよりもコンピテンシーを意識して書いていただくということになれば、受験者にとって負担になってくる。そういった場合に、筆記試験とか、口頭試験とか、全体を見たときにバランスを考えていく必要があるのではないか。さらに、第二次試験の筆記試験の必須科目のところをどうするのかという点が大きなポイントになってくるだろうと。
 また、日本の技術士制度については、筆記試験もやる、口頭試験もやって、業務経歴票も提出させるというふうに、諸外国に比べて良さがあるが、筆記試験にバランスが偏りすぎている、この三つのバランスを改善しないといけないという御議論だったと思います。
 レベルのところにつきましては、実務経験10年程度とか35歳程度で技術士資格を取っていただくというメッセージを発信することで、若い技術者にこの資格を取得することを目指してもらうことを明確に打ち出していった方がよいのではないかという御意見があった一方で、レベルをどうするのか。第一次試験につきましては、大学の専門教育課程修了程度を確認するというように明確にしておりますけれども、第二次試験も何らかの指標を示す必要があるという御意見だったと思います。
 最後のページ、裏でございますけれども、レベルのところにつきましては、必ずしも年齢に着目して問題のレベルを設定するのではなく、経験をどのように積んできたのか、自分がどのようなことを身に付けてきたかを確認するプロセスがあれば、受験者年齢も若返ってくるのではないかというような御意見を頂いていたと思います。
 以上でございます。
【池田主査】 どうもありがとうございました。
 本日は、これまでの御意見を踏まえて事務局にて修正案を作成いただきました。これについて説明をお願いします。
【小林係長】 資料2、3、4を申し上げます。
 資料2につきましては、これまでの御議論を踏まえまして、事務局にてそれをまとめさせていただいたものです。本日御議論いただきまして、そこで頂いた御意見を加えながら、いずれ親委員会であります技術士分科会で、特別委員会として報告を頂きたいと考えております。事務局としての案ということで、今日御意見いただきたいと思います。
 まず、資料2のところでございますが、基本的な考え方のところから、試験の目的、程度等、記載しております。
 まず基本的な考え方のところでございますが、技術者の方にやはり取ってもらうということを見ますと、若干読み上げるところになりますが、高等教育機関等卒業後、民間企業等で、専門の技術分野に関する一定の基礎的学識を有しながら、今、技術者の方々は日々研さんを積んでいらっしゃるというふうに、我々のヒアリングの中でも、そういった実態を承知しておるところでございます。実務経験を重ねる中で、専門的見識を兼ね備え、高等な専門的応用能力に基づき、様々な次元の技術的問題に対応しなければならない。
 こういった現状を踏まえながら、国際的な視野で見ますと、IEAが定めている「エンジニア」に相当する技術者が、資格取得段階において、複合的なエンジニアリング問題を技術的に解決できることが求められているというふうになっております。複合的な問題等については、原文又は日本語訳の中でも、こういった特徴があると思っております。Complexな問題というのも、ここに関わってくるものだと思っております。
 技術士の資格につきましては、こういった国際的通用性を確保するとともに、IEAが定めている「エンジニア」を目指す技術者が取得するにふさわしい資格であるために、IEA-PCを踏まえて、今年3月に分科会でまとめていただきました技術士コンピテンシーを念頭に置きながら、第二次試験の在り方を見直していくという考え方にしております。
 試験の目的のところでございますけれども、試験の目的や程度のところは、ちょっと似たような表現になっておりますけれども、やはり複合的な問題を技術的に解決することが求められる技術者が、問題の本質を明確にし調査・分析することによって解決策を導出できる能力を確認することを、この試験の目的としてはどうかということでございます。
 程度のところは、そういった問題解決の過程において、多様な視点から、論理的かつ合理的に考察できることを試験において確認するとふうにしてはどうかと思っております。
 3ポツのところですが、確認内容のところで、受験申込みの段階、筆記試験の段階、又は、2ページ目になりますが、口頭試験の段階というふうに分けて記載しております。
 受験申込みの段階につきましては、実務経験年数が4年間又は7年間を超える年数であるということを証明する「業務経歴票」に加えまして、業務における技術的な内容等が、コンピテンシーに掲げる「問題解決」等に関する素養や姿勢を御自身が備えているということを記載した「業務説明書」というものを提出を求めてはどうかと思っております。業務経歴票につきましては、客観的な事実ということで、形式的な受験要件があるのかどうかという役割だと思っておりますが、それに加えまして、受験者御自身のこれまでやってこられたこととコンピテンシーの照らし合わせた何らかの媒体、記載された資料というものを求めてはどうかということで、業務説明書というものを提出を求めてはどうかということでございます。
 この説明書につきましては、後ほど申し上げますが、口頭試験の諮問の際の参考にするということとしてはどうかと思います。
 筆記試験のところでございますが、1段落目とその下、「また」、「さらに」というふうに3段落ございますけれども、これはイメージとしては、今の必須科目、選択科目のこの枠組みとひも付けができるのかなと思っております。
 専門の技術分野の業務に必要な汎用的な専門知識を確認するということで、「業務に必要な汎用的」という言葉を加えさせていただきます。IEAのコンピテンシーの中でも、汎用的な原理に基づく高度な知識を求めているというふうにございましたけれども、こういった、断片的という、反対の概念になるのかにもよりますけれども、汎用的な専門知識の確認は、普遍的とか、もう少し実践的なというようなニュアンスだと思います。
 「また」のところは、これまでもこれは記載しておりますが、応用能力の確認。「さらに」のところは、社会的なニーズや技術の進歩に伴い、社会や技術における様々な状況から、複合的な問題等を把握し、社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析、解決策の導出にあたって論理的かつ合理的に説明できる問題解決能力、課題遂行能力等の確認をするということでいかがかと思っております。
 筆記試験の回答の一部、具体的には、問題解決能力のところでございますけれども、ここは口頭試験における諮問の際の参考にしてはどうかということでございます。
 2ページ目です。3)の口頭試験のところにつきましては、今申し上げた「業務説明書」と筆記試験の解答の一部に基づきまして、技術者倫理に相当する公衆の福利等のところでございます、倫理的に行動できること、多様な利害を調整できること、明確かつ効果的に意思疎通できること、また、筆記試験でもありましたけれども、問題解決能力を確認するというふうにしてはどうかと思います。
 「また」のところですが、CPDにつきましては、技術資格をお取りになった方の努力義務ということになっておりますけれども、取得後の資質向上の責務に鑑みまして、CPDに対する基本的な理解、また、これまでの自己研さんに対する取組姿勢等についても併せて確認してはどうかということでございます。
 4ポツのところですが、試験各段階の中の筆記試験のところを取り出しておりますけれども、A)、B)、C)とありますように、必須科目等の、これは現行の枠組みを記載しております。ただ、これまでも御議論になっておりますけれども、知識の確認のところで、断片的な知識を確認する問題になっていないか等につきましては、25年度からの試験改正によって、25年度、26年度の試験問題の検証を踏まえまして、やはり改善を図っていくという方向でどうかと思っております。
 5ポツのところでございますけれども、試験方法・時間・配点等につきましては、試験方法については、例えば、筆記試験であれば、択一なのか記述なのか、また、出題数はどれぐらいあって、その中から選択をどうするのかということ、また、口頭試験については、諮問事項をどのようにするのか、また、試験時間や配点等について、これは今後決めていかなければならないと考えております。
 なお書きのところですが、「必須科目」と「選択科目の1」のところにつきましては、役割分担を見直した上で、専門知識の確認というのは、どういった範囲での専門知識の確認が必要になってくるのか、それはやはり択一で確認するものなのか、記述で確認するものなのかということも併せて試験方法等に含めておりますので、そこで検討していくということでどうかと思っております。
 6ポツのその他のところですが、試験全体を通じた受験者の負担や確認内容のバランスを考慮しまして、筆記試験のところでの負担軽減を図る方向で検討してはどうかと思います。後ほど資料4で申し上げますけれども、負担が増す部分があれば、やはり減らす部分も考慮しなければならないと考えております。
 資料3-1以降につきましては、簡単に申し上げさせていただきますが、資料3-1は、前回お示ししたものから、今申し上げた資料2を落とし込んだものになっております。ただ、左下のところに、更に議論を深めていただきたいポイントとしましては、何度も申し上げていることになりますが、「専門知識」の確認は必要になってくるのかどうか、それは「断片的」でなく、「汎用的」な知識の確認が必要なのか、一次試験との差異をどのように図るのかという点がポイントになってこようかと思います。御意見を頂きたいと思います。
 筆記試験で確認すべき難易度、レベルのところにつきましては、これまでは数字で10年程度ですとか、35歳程度というふうに、これまでのキャリア形成スキームの中で落とし込んできておりますけれども、試験で問う難易度を考えたときに、35歳程度の方のレベルといったときに、ちょっとまとまりづらいのではないかというふうに、これは事務局の中で検討した結果、余りそれを記録として残していく段階ではそれを書いていないという、やはり複合的な問題とか、年齢という着眼点よりも、どういったプロセスを経た技術者の方が取っていただくのかというところに力点を置いてレベルを設定してはどうかと考えております。
 資料3-2につきましては、これも前回お示ししたところでございますが、黒い丸のところは、これは前回ここに書いてあったものがなくなりましたという意味で、ちょっと分かりづらいんですけれども、例えば、資料3-2の1ページ目の1番、普遍的知識を確認するところで、受験申込み時の欄に丸が付いてあるところは、これは前回の資料の中では、申込み時の段階でも、どういう知識を持っているかということの確認をここで求めるという案を当時しておりましたので、そういったところを除いております。ですので、知識の確認は、やはり筆記試験のところで確認すべきものというふうに書いております。そういった資料でございます。
 資料4につきましては、新しくお示しするものでございますが、受験者の負担や確認内容のバランスのところで、今の体制、今の制度からどのように変わるのかということで、下線を付けたところが、新しく設ける、新しく追加されるところだと考えております。業務説明書のところが加わってくるとしましたら、申込みの段階で負担が増してくるということで、さらに口頭試験のところにつきましては、マル4番、マル5番のところで、より具体的に確認していく、また、CPDのところが新しく加わってきますので、諮問事項、諮問する内容としては増えてくるということになりますと、全体としましては、筆記試験のところで何らか軽減を図る方向はできないのかというような資料でございます。
 本日のポイントとしましては、こういった試験の目的のところですとか、知識の確認とか、全体を見た負担軽減のところで御意見を頂きたいと思います。
 以上でございます。
【池田主査】 どうもありがとうございます。
 それでは、これから事務局の提示案につきまして御意見を頂きたいと思いますが、資料2については、本日の御議論を踏まえて、次回の技術士分科会に報告する資料になるかと思います。資料3-1は、資料2をイメージ化したもの、資料3-2は、IEA-PCを踏まえて策定された技術士コンピテンシーを念頭に置いた段階別の判定項目を一覧化したもの、資料4は、受験者の負担、あるいは、確認内容のバランスという観点からの取りまとめだと思います。
 御議論いただく前に、もう一回振り返ってみますと、資料2を御覧いただきまして、これまでと一番変わっているところは、技術士のコンピテンシーを確認するという試験体制に基本的には変わっていくことだろうと思います。
 その中で、試験の目的として、複合的なエンジニアリング問題を技術的に解決することができる、そういう技術者を求めているということですね。
 それから、枠の中の3ですが、その中で、「業務説明書」について提出していただく。御自身がどういうPCを身に付けたかということを中心に書いていただくということだと思います。
 それから、あと専門の問題があるわけですが、汎用的な専門知識を確認するということで、汎用的な専門知識とはどういうことかということを御議論いただく必要があるかと思います。
 それから、次のページについて、必須科目で、今申し上げたような汎用的な専門知識を確認するわけですが、テクニカルな問題として、「足切り」という問題が入ってきていますので、それをどう考えればいいかということについても御議論をお願いしたいと思います。
 それから、口頭試験ですね。「業務説明書」等を中心に種々聞かないといけないわけですが、これまでのように20分でよろしいのかと、そういうことが今日の議論の中心になるかと思いますので、是非活発な御意見をお願いしたいと思います。
 それでは、どなたからでも結構ですので、御意見をお願いしたいと思います。
 まず、資料2からいきましょうか。「業務説明書」の提出を求めるということだったんですが、これまでは「業務経歴票」が中心で、その下に、あれは何百字だったですかね。
【小林係長】 参考1にございますけれども、720字程度書ける枠を用意しているということでございます。
【池田主査】 720字ですかね。これでよろしいのかどうかということから、多分、議論が中心になっていくだろうと思いますが。
【吉田委員】 よろしいでしょうか。「業務説明書」というのは、初めて聞く名称ですが、これは平成24年度までだったですか、筆記試験合格者に対して、口頭試験を行う前に、幾つかの自分がやってきたプロジェクトを何文字かで書いて提出しなさいと、それに近いことを望んでいるんでしょうか。
【小林係長】 今おっしゃったのは技術的体験論文で3,000字程度記入するものでしたが、近いものと言えば、そうだと思います。ただ、技術士コンピテンシーを満たすというか、コンピテンシーに照らして、御自身の業務はどうなのかということを書いていただく書類としては、それよりも規模が小さくなるものを想定していると思います。
【吉田委員】 いや、だから、そこなんですけど、これから技術士資格を取得しようとしている受験者が、この「コンピテンシー」という、技術士が具備すべき資質能力、特にIEAが付し、先だって技術士分科会で検討したものについて、これを熟知して、この13項目か何項目を念頭に、自分は今までこうやってきたということが果たして記述できるのかどうかということだけど、やはりそれは審査する側が、こういう論文の中で、この人はそういう資質を有しているね、あるいは、全く有していないねと判断するのであって、書く側が、これから試験する側が、本当に技術者の資質能力が求められていますよということを認識した上で書けるんでしょうか。私は甚だ疑問に思うんですが。
【池田主査】 私の方からちょっと説明させていただきたいと思いますが、この「業務経歴票」がありますね。上の欄は、とにかくどういう仕事に従事したかということですよね。例えば、水門の設計だとか、そういう。この下の方は、その業務をすることによって、例えば、いろんな問題が多分起きてくると思うんですけれども、それに例えば自分がどのように対処して、それから、その結果、例えば、非常に難しい問題であれば、住民に説明したり、お役所に詳しく説明しないといけないですよね。こういうことで説明能力が開発された、というようなことを書いていただくようにしてはどうかということです。
 今の様式ですと、業務内容について、これは多分一つだけについて書いていただいていると思うんですね。上の方のどれかをピックアップして。それでは多分足りなくて、700字ではなくて、もう少し字数は減らしてもいいんですけれども、例えば、もう少し複数、三つ4つ書いていただくということによって、口頭試験のときの試験委員が試問しやすくなるのではないかと、私は思うんですね。そういう面で、これをもう少し詳しく書いていただいてはどうかということです。
【吉田委員】 多分、イメージは、この中から自分が従事してきた何かのプロジェクトを抽出して、どういう立場で、どういうことをやってきたか、その中で何か問題点が惹起されてきたのか、それはどういう観点から解決していったのかという、いわゆる説明はできると思うんですよね。だけど、それが、僕が言うように、コンピテンシーに合致していることをやってきたかどうかと聞かれると、分かるのかしらと。
 逆に、自分は、このプロジェクトに対して、こういう立場で、こういう従事の仕方をしながら、こういう問題点をこういう方法でもって解決してきましたと。これを、例えば、自分の今の持っている技術でしてみると、これが最良の解決策であったとか、あるいは、考えてみると、これは何年か前のものを選んだとすれば、こういう書き方もできると思うんですね。今の自分が有している技術をもってすれば、このときのこの問題の解決の仕方は、こういうことができたんじゃないかというような記述はできると思うんです。それは読み手の方が、受ける側が、この人は、そういうコンピテンシーの中の技術開発の能力だとか、あるいは、説明だとか、いろんなものをちゃんと身に付けてきましたねというふうに読むだけであって、書く側に求める問題ではないんだろうと思います。
【池田主査】 それは説明していただくんですね。
【吉田委員】 ええ、もちろん。
【池田主査】 最終的には、やはり判断は当然試験委員がやるわけです。でも、そこはやはりある程度意識して書いていただかないと、問う方もなかなか難しいんだと思うんですね。
【吉田委員】 ですから、そういう簡単な注意書きをして、そういうものを説明文を書かせると。こういうこと、コンピテンシーなんか言われると、はたと考えちゃうんじゃないかと思うんですがね。
【池田主査】 うん、慣れていないとは思うんですけどね。基本的には、最初に確認したように、今度の技術士試験制度で一番これまでと違うところは、それぞれの、これまでどういうことをやったかということだけではなくて、どういう能力をこれまで開発してきたかという観点で試験をやりましょうということですので、私はそこを意識していただいた方がいいんじゃないかと思うんですね。
 例えば、このコンピテンシーの表を中に付けることができるのかな。そういうものを付けて、それを見ながら書いていただくというのができないかなと思っているんですけど。
 ほかの方の御意見もちょっとお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【奥野委員】 吉田委員がおっしゃったのは、まさにそのとおりだと思うんですけど、コンピテンシーと言われると、受験者あるいは志願者が非常に混乱するということだろうと思うんですね。ですから、何字ぐらいにするかというのはあるんでしょうけど、現在の業務内容の詳細が、「当該業務での立場・役割・成果等」という表現だけなので、このままでは、こんな点に苦労して、こういう相反する課題をこういうもので解決したという記述は、多分期待できないんだろうと思うんですよね。ですから、その辺は、コンピテンシーという言葉ではなく、もうちょっとかみ砕いて、どのような相反する課題を解決したかとか、そういうようなことも書いてくださいという趣旨を徹底すれば、書ける人はいるんじゃないかと思いますね。
【池田主査】 多分、これ、今までですと、例えば、主任の立場としてやったとか、それで、これを完成させたとか、そういう書き方だと思うんですね。
【吉田委員】 そうですね。私は、これだけではまた不十分だと思うんです。説明ではですね。ですから、一時期、随分前の技術士の試験問題には、自分がどういう立場でやってきたのか、それを最新の技術を踏まえて照らし合わせたときには、どういう解決ができるだろうか、それを考察せよとかという問題があったと思うんですが、そういうのに近い設問を、ちょっとかみ砕いて簡単に、こういう課題解決については、もし過去のプロジェクトであれば、最新の技術を使ったらどういう解決ができるんだろうかと、そういうことも加えてくださいとか書いておけばいいんだろうと思うんですよね。
【池田主査】 それももちろん大事でありますよね。
 例えば、倫理的な問題、多分、大きいと思うんですよ。そのとき、自分はどう考えて、どのような対処をしてきたかとか、そういうものをここで書いてもらうような方がいいのではないかと思います。
 それで、多分、一つだけだと、一つの業務でいろんな様々な技術者として求める能力を書くことはできないと思うので、もう少し数を増やして、ただし短めにして。
【吉田委員】 余り短いと、非常に書きにくいんだろうと逆に思うんですよね。説明がしにくい。だから、2,000字なら2,000字ぐらい書かせたらいいと思うんですよね。2,000字以内で書きなさいとかね。
【池田主査】 いや、それは負担の問題があるんですよ。今度は、あとの負担のバランスの問題があって。今まではA4で2枚書かせたんでしたっけ。昔は。
【奥野委員】 口頭試験の前ですか。口頭試験の前に。
【池田主査】 口頭試験の前に。
【日本技術士会】 1,500字2枚で、3,000字以内です。
【池田主査】 でも、あれは第二次試験筆記試験に合格した人。
【日本技術士会】 筆記試験合格者のみです。
【池田主査】 筆記試験合格者のみですから。提出時に余りたくさん書かせるというのは、相当受験する方の負担になりますので、そこのバランスがあるんですよ。
【吉田委員】 ただ、余り短いと、なかなかこの説明が足りなくなるということで、字数を短く限定することは非常にいいと思うんですが、余り短くすると、なかなか自分の思っていることを説明できない方々の方が多いんじゃないかと思うんですね。ある程度…。
【池田主査】 それは逆に言うと、説明能力になると思うんですけどね。
【吉田委員】 いや、文学じゃないんですから、例えば、300字で書けとか言われても困ると思うんですよね。内容によっては、もう少し書きたいという、説明したいという人もいると思うんですよね。
 だから、例えば、800字以内ぐらいとか、1,000字以内とか、僕は2,000字ぐらいというのは別に負担にならないんじゃないかと思います。ちょっと書き始めると、すぐ2,000字ぐらいになるんじゃないかと思うんですけどね。
【池田主査】 私はA4・1枚ぐらいには収めたいと思っているんですけど。
【奥野委員】 A4・1枚ですと…。
【吉田委員】 1,200字?
【池田主査】 1,400、そんなものだね。
【奥野委員】 そういうイメージですね。
【池田主査】 それで、例えば、上の業務から三つぐらいピックアップしていただいて、できれば、いろいろ違うタイプの仕事を選んでいただきたいですよね。それでチェックして、どういうものが、ここでどういう観点でそれを解決したかとか、あるいは、どういうふうに対処していったかとかですね。むしろ技術者として、どういうことを考えて行動したかということを書いていただきたい。
 何かものを作って完成させたというのでは、これは上の一つの業務経歴にはなるんですけれども、技術者としての経歴、行動という観点からは、やはり違う観点で書いていただくことが必要かと思うんですけれども。
【吉田委員】 これをお作りになった事務局としては、どのぐらいの字数で説明ができると。
【小林係長】 そこまでは検討しているわけではないんですけれども、参考1の今ある業務経歴票にあるような業務内容の詳細なところは720字以内で簡潔に分かりやすく記入するようにと受験案内でもありますけれども、こういった形のものが、主査おっしゃったような、二つ三つ、これまでの業務について書いていただくというイメージなのかと。それ以上は、何か何千字ということは検討していないです。
【池田主査】 そこは受験時に提出する書類ですから、余り詳しく書かせると、この受験者が減ってしまう可能性がありますし、負担がすごく増えるんですね。だから、そこのバランスの問題だと私は思うんですけどね。例えば、A4・2ページを書かせることになると、受験者としては、かなり負担になるような気もするんですけどね。
 筆記試験を合格してから、口頭試験まで時間が余りないですよね。ですから、そのときに書いてもらうというのも、また混乱を起こす可能性がありますから、どうなんでしょうか。
【中谷委員】 二つの観点があるような感じがするんですね。受験する方に対して、業務の、どういう仕事をやってきたかという証明書類の代わりとしての業務内容を問うという話と、それから、合格した後に技術士として活動できるのかという、コンピテンシーを問うという、その二つの役割があると思うんです。
 そうすると、池田主査の意図としては、受験のときに提出する資料が複雑になることによって、あるいは、労力が必要になることによって、受験者数が減るのは問題であるということであれば、やはりここはもう、この業務内容の詳細のところに書く分量、つまり、自分がどのような経験をしてきたかという証明をする、あるいは説明をするための資料としては、簡単なものでいいのではないかと思います。
 前にやっていましたように、技術的体験論文でしたでしょうか。
そういう形で、技術士になった後に、コンピテンシーを持っているのかどうか、そういう考え方ができる人物なのかどうかということを問うためには、やはりああいう形の論文が必要なのではないかと思います。だから、目的はちょっと違ってくると思うんですよね。
【池田主査】 そうですね。おっしゃるとおりだと思います。私は、前半部分、ここで業務経歴を確認したいと思うんですよね。これは一つの証明になるわけですね。
【中谷委員】 はい。
【池田主査】 その中で、技術者としてどういうものを身に付けていったかというのを後段で書いていただければ、両方が確認できるような気がするんですね。そういうことで御意見申し上げているわけですけれども。
 その中で、余り複雑にする、たくさん書かせると、今度は受験者が、まだ筆記試験を合格していない段階で、余り複雑なことを、たくさんのことを書いてもらうと、もうそれでちょっと嫌になるなという、受験者が減るというのをちょっと恐れているものですから、そこのバランスの問題ではないかと思うんですね。
 吉田委員がおっしゃっているのは、多分、そういうことを確認するのは問題だということでは私はないというふうに理解しているんですけど。
【吉田委員】 ええ。私は逆に、資質能力、コンピテンシーなんていう、技術者にこういう能力が具備しなければならんよというのは知っていますか、それに基づいて、自分がやってきたことがどうなのか説明しなさいって書くだけで、受験生が減ると思いますよ。
【池田主査】 そうですか。
【吉田委員】 「資質能力、えっ?」となりますよ、それは。
【中谷委員】 まあ、ちょっと大変な。
【吉田委員】 間違いなく減ると思いますよ、これ。
【池田主査】 そうですかね。
【奥野委員】 中谷委員の御意見は、従前のように、ここの部分は筆記試験合格者に書いてもらって口頭試験に臨むと、それがいいのではないかという御提案ですよね。
【中谷委員】 ええ。あるいは、もう一つの観点としては、口頭試験のときに、例えば、倫理的な観点から、今までの経験、業務の中でどういう工夫をしてきたんですかとか、あるいは、今までの経験の中で新しい技術を適用するとしたら、どういう問題が解決できたと思うかとか、そういったことを聞けばよいと思うんですけれども、聞いたときに、果たしてそんなことを聞かれるとは思わなかったというような形になってしまわないか。つまり、先ほど作文するのが大変だというお話ありましたけれども、それに相当するようなお話になりますよね。実際にフェース・トゥ・フェースで顔を合わせたときに、いきなりそういうことを聞かれるというのは、受験者にとって、果たして答えられる人たちがどれだけいるかということをちょっと心配します。
 であれば、ある程度の時間を取って記述できるような論文形式の書類を提出していただくというのがいいかなと。そして、面接のときに、その書類に基づいて質問をしていくと。であれば、事前に考えておくことができるという。
【池田主査】 実は、昔はそれをやっていたんですね。
【中谷委員】 やってましたね。
【池田主査】 それが、実は、うまくいかなくなって。私がそれを防ぎたいのは、例えば、この部分とこの部分とこの三つ、自分の業務をベースに下に書いてくださいというふうに言わないと、何か一般的な話になってしまって、コピーが蔓延する可能性があるんですよ。そういうことが実は起きた。それを防ぐために、いろんな改革をやってきたんですが。そうすると、元へ戻ってしまうことになるので、ちょっとどうかなという気がするんですけどね。
【岩熊委員】 同じようなことばかり書いてくるようなこと。
【池田主査】 ええ、テクニカルな問題があるんですよ。
【岩熊委員】 その問題ですね。
【池田主査】 ええ。
【吉田委員】 技術的体験論文でコピーが出回るの? 信じられない話で。
【杉浦専門官】 例を挙げますと、過去において、パターンとなる論文が出回って、それを皆さんコピーを取ってやっていたという事例が結構あったらしくて、そういった事情を踏まえつつ、要するに、ちゃんとしっかりとして書いていただきたいという。池田主査や事務局等が考えたのは、昔のやり方はやり方としてあるとは思うんですけれども、ただ、我々が知りたいと思ったのは、あくまでも中身の話でありまして、中身を書くのはどうしたらいいのか。バランスとして、どういう負担のかからないような形でやるのがいいのかといって、このような形で事務局として御提案させていただいた。
 先ほどの資料4にございますように、バランスで、ここでもし負担をある程度増やすのであれば、逆に、試験の中身のバランスを減らすとかといった、先ほどの議論からバランス論も考えながら、どうしたらこの時代に合った、IEAの考え方とかを受験者にも念頭に置いておいていただきたいという趣旨で、このようなまとめ方をしたということで御理解いただきたいと。
【吉田委員】 だから、そこが疑問なんですよ。受験者が、IEA、国際エンジニアリング連合があることすら知っているのかどうか。そこで、そこの組織が何にあって、皆合意して、当事者のエンジニアにこれぐらいの資質能力は具備しなさいよと言っていることを、果たして受験者がどれだけ知っているのかと。
【池田主査】 いや、知っているかどうかではなくて、知っていただかないといけないと思っているんです。
【吉田委員】 いや、それは技術士資格が取れてからの話で十分だと思うんですよ。あるいは、それをごくごく自然に、何も作られたわけではなくて、自然にそういうものを業務経歴の中で身に付けてきて、試験をして、技術士の資格が取れるはずなんですよ。
【池田主査】 いや、確かにそうです。ですから、業務経歴の中で身に付けていって、それをやはりここでは試験として確認をしましょうということで。
【吉田委員】 だから、試験の中で確認をすると。
【池田主査】 そうです。
【吉田委員】 はい、そういうことです。
【池田主査】 そうです。
【福山主査代理】 よろしいですか。今の議論を聞いていまして、皆さん同意されていると思うんですけど、今回の技術士制度の改革、特に第二次試験においては、技術士コンピテンシーを確認する試験なんだと、そこは大丈夫ですよね。
【池田主査】 はい。
【福山主査代理】 そうすると、その確認の仕方の議論に今入っていると思うんですけど、第二次試験で確認するコンピテンシーというのは、経験とか技術的な体験を通して得られるものだという、そういう質のものだと思うんですね。そこもきっと皆さん同じ考えで頂いていると思うんです。
 今、私たちの日本の技術士制度が改めて考慮しなくてはいけない点は何かというと、国際的に日本の制度が通用するか、若しくは、海外の方がお見えになったときに、日本で受け入れられるかと、そういうところも一つあって、その標準をIEAに求めようとしたわけですよね。ですから、私は、IEAの求める、いわゆるエンジニアというのはどういう資質を持った人だよねというのは、少なくとも第二次試験を受けるぐらいの人は勉強する必要があるんじゃないかと思っています。
 それで、その勉強した結果を試験で問うということであって、特に筆記試験の段階では、いろんな経験の中で時間軸とともに得られた知見はこういうものですよと、それは本当にIEAが求めるエンジニアとして大丈夫なのか、過不足はないのかというような検証は、第二次試験を取ってからでもできるとは思いますけれども、私は第二次試験の前にそういうエンジニアがいた方がいいんじゃないかという気はしますけどね。
【吉田委員】 いや、私が言っているのはそういうのじゃなくて、こういう言葉を本当に受験者が知っている必要があるのかということです。つまり、試験の中で、IEAが求めるプロフェッショナルエンジニアが具備する13の資質能力を様々な形で、様々な手法で問題の中に入れ込んで解答させるわけです。その解答ができない人は、ないと判断するわけです。できる人は、あると判断するわけだけど、できる人が、受験申込みのときにそういうことを知っている、そういう言葉を知っているかどうかなんていうことは必要ないわけですよ。
【福山主査代理】 今、言葉の定義にはいってないと思いますよ。
【吉田委員】 いや、違う、違う。つまり、言葉の定義なんですよ。この説明書の中に、そのコンピテンシーをどうやって身に付けてきたかということを説明させるなんていうのは難しいでしょうと言っているわけです。
【福山主査代理】 いや、それはやらないと、誰も確認できないんじゃないですか。
【吉田委員】 いや、そうじゃなくて、自分の…。
【福山主査代理】 吉田委員が言葉は要らないとおっしゃる、それは同感します。何もコンピテンシーとか、そういうのは使わなくてもいいと思いますし、IEAも要らないかもしれない。
【吉田委員】 そう、そういうのは要らない。
【福山主査代理】 しかし、背景には、やはり自分たちの資質能力というのをきちんと問うのが第二次試験ですよというのが明確に打ち出され、確かにこの人は第二次試験を合格するのにふさわしい人だというのが試験で確認されないとだめだという。
【吉田委員】 いや、それは確認しなきゃならない、それは認識しているわけです。
【池田主査】 いやいや、確認の仕方の問題なんですよ。
【福山主査代理】 そう。私は、吉田委員のお話だと、結果として判断することはできるかもしれないですけれども、その人がいずれ自分が技術士として世の中に貢献していくためには、経験されていく中でそういう考え方が積み上げられなくてはいけないんじゃないかと思います。
【池田主査】 私は、IEAとかコンピテンシーの言葉は出さなくていいと思うんですよ。ただ、やはり技術士として、技術士分科会で決めていただいた資質能力はどういうものかというのは、これはやはり確かめていかないといけなくて、それは日本語でもう定められているわけですから、それに照らし合わせて、自分はどういうふうにこれを身に付けてきたかという、やはり経歴を、私は経歴書の中に書いていただきたいと、そう思うんですね。
【吉田委員】 それはもう賛成なんですよね。だから、経歴書の書き方を……。
【池田主査】 そういうことを申し上げたいんですが。
【吉田委員】 書かせ方をどういうふうにするかということだと思うんです。
【池田主査】 はい。
【奥野委員】 例えば、今のお話ですと、コンピテンシーがありますよね。受験申込み案内の業務経歴の下の欄に、IEAとは書かないまでも、技術士に求められる資質能力に照らして、あなたの過去の業務からどうのこうのというふうな書き方をしたら、分からないんですよね。技術士に求められる資質能力というのは、普通の知識としては受験者全員にはあり得ないということですよね。ですから、その中で、特に口頭試験あるいは業務経験の中で確認したいこと、それは現在は立場とか成果なんですけれども、それに加えて、マネジメント能力を問うとしたら、組織のリーダーであったか―それは立場でいいですよね。あとは、Complexの問題を解決してきたかという点については、相反する要求事項についてどう対処し、どう提案したかを記述してくださいというような形式にしておけばいいと思うんですよね。
 あと、コンピテンシーということで、多少、やはり試験を受けるからには知っておいてほしいというのであれば、この技術士に求められるコンピテンシーではなくて、資質能力と、技術士とはこういうことが求められていますというのを、この受験申込み案内の1ページ目に、こういうことを問う試験なんですよというのを書いてもいいかもしれませんよね。
【岩熊委員】 私もそう思います。これを見ていると、案内では業務経歴が中心になっていて、法律ではこういう人はいいとはあるのですが、どういう資質能力があればいいのかということは、どこにも書いてなかったですね。ここにきちっと13項目を日本語でということですね。
【池田主査】 全部じゃなくていいんですよね。開発できたものを書いていただければいいので。
【岩熊委員】 ということでは、技術士がどういうものかというのを、受験者の方には近づいてくるのではないかと思います。これだけ見ると、やはり経歴中心にどうしても書かざるを得ない。
【池田主査】 そうです。
【奥野委員】 そのときに、私は、IEAの13項目ではなくて、こちらを使っていただきたい。
【池田主査】 もちろん、IEAは使いませんよ。
【奥野委員】 これは翻訳したものですからね。
【池田主査】 あれはIEAのスタンダードですから、日本語は、それを考慮しながら、これを作ったわけですから、当然、これなわけです。
【岩熊委員】 こちらで考えた定義がいいと思います。
【池田主査】 もともとはIEAの考え方があって、それを日本に落とし込むとどういうことかということで、皆さん、さんざん議論していただいて決めたわけですから、それを確認したいということです。じゃ、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、次に、第二次試験の筆記試験ですね。特に、これまで課題解決能力とか、そういうものについては特に御意見なかったと思うんですけれども、必須科目、これをどうするかというのが大きな問題ではないかと思うんですね。これは今20問出して、15問選択回答していただくということで。
 それから、これはテクニカルな問題ですけれども、もう一つは、第一次試験との差別化をどうするかと、内容をどのように考えないといけないかということだろうと思うんです。ここに資料2に書いてあるのを読みますと、「業務に必要な汎用的な専門知識を確認する」ということになっているわけですね。上の括弧内の「試験の目的」を見ると、複合的なエンジニアリング問題を解決するということが求められているわけで、それと照らし合わせて、汎用的な専門知識というのはどういうものか、それを問うためには、どのような試験の形式があるかということを、筆記試験がいいのか、あるいは、今のようにマルティプルチョイスがいいのか、そのあたりについても御議論をお願いできればと思います。
 これは、今、2年間だけ「足切り」やっていないですよね。一応は採点をしているということなんですが、そのあたりについても御議論をしていただかないといけないと思います。
 専門知識というからには、第一次試験の専門知識とは当然違うだろうと思うんですね。第一次試験、JABEE認定課程を修了して、基本的には十何年、ひょっとすると20年近くなるかもしれませんが、その間に技術者としての専門的な能力を開発していっていると思うんですけど、その専門というのは何かということについて御議論をお願いしたいと思っています。その中で、選択、マルティプルチョイスがいいのか、記述式がいいのかというようになってくると思うんですけれども。
 日本技術士会に登録された組織で、技術士で構成された技術図書刊行会の方で大変立派な『技術士ハンドブック』が出ましたね。これを拝見すると、かなり学部の試験、大学とは大分専門の内容は違うような気がするんですね。例えば、技術者として、環境、マネジメント、エネルギー、いろいろありましたね。
【岩熊委員】 そうです。
【池田主査】 そういうものが中心になっていて。
【岩熊委員】 共通的にやはり知っておかなければいけないことについてです。
【池田主査】 知っておかないといけない専門知識。
【岩熊委員】 はい、深く知るか、さらっと知るかは別として、このぐらいの項目は守備範囲に入っていてほしいというようなことです。
【奥野委員】 安全、環境、エネルギー。
【池田主査】 あ、安全だ。
【岩熊委員】 そうです。安全、環境。
【奥野委員】 経営・生産マネジメント、建設マネジメント、情報。マネジメントがずっと、若干分野別に分かれてございますね。
【岩熊委員】 そうですね。
【奥野委員】 あとは倫理。
【池田主査】 倫理とかね。
【奥野委員】 問題解決とか。
【池田主査】 倫理は、多分、ほかのところで聞けると思いますので。
【奥野委員】 人材育成。ここでちょっと分野別に分かれているのが、建設ですとか、情報ですとか、そういう形ですかね。
【岩熊委員】 そうですね。部分的にそれを入れたのは、やはり若干共通的にならない部分があったりします。
【池田主査】 こういう題目でいいのかどうかというのは別にして、多分、これは基本的に技術士として身に付けないといけない、ある面では、それぞれの土木工学だとか、機械だとか、そういう以外に技術者として身に付けないといけない専門能力というふうに私は読んだんですけど、そういうことでよろしいんでしょうか。
【岩熊委員】 そうです。100%全部を100点満点にするかどうかは別にして、このぐらいの守備範囲で、ある分野に応じて深く身に付けておいた方がいいというものです。だから、建設も、やはりマネジメントの部分だけを取り上げていますよね。
【福山主査代理】 これを見ると、総合技術監理部門の試験で問う5つの項目が入っていますよね。
【岩熊委員】 そうです。入っています。最初に、前作で企画したときに、いわゆる青本も参考にしています。
【池田主査】 総合技術監理部門ほどではないけれども、いろいろな分野の技術者もやはりこういうことを最近求められているんじゃないかという気がするんですね。それぞれの部門で。
【岩熊委員】 はい。
【吉田委員】 それは、どのような専門分野を持とうと、少なくとも、この分野、広く身に付けていないと、多分、この求められている複合的な問題解決に入れないと思うんですね。
【池田主査】 入れないですね。おっしゃるとおりです。やはり第一次試験とか、あるいはJABEEとは内容が違うんだろうと思うんです。もし必須の試験をやるとすればですね。そこで差別化をして―差別化というんですかね、試験の中身を変えていかないと、第一次試験と同じことをやったら、どうして2回やらないといけないんだという御指摘が当然出てくるんだろうと思うんですね。
【奥野委員】 平成24年度以前は、この必須科目も記述式で、多分、部門によっては、数が違いますけれども、幾つかの設問があって、そのうちの一つを解答していただく、そういう格好だったんですね。
【吉田委員】 24年というか、平成12年の改正以前ということですよね。
【奥野委員】 いや、24年以前の必須科目。
【吉田委員】 いや、選択問題もありますよね。24年度以前の。
【小林係長】 24年度までの…。
【奥野委員】 必須科目。
【小林係長】 何年かというのは、ちょっとあれですけど、必須科目は、「『技術部門』全般にわたる論理的考察力と課題解決能力」と、参考3にございますけれども、記述式で。
【奥野委員】 記述式ですよね。
【小林係長】 はい。
【奥野委員】 25、26年と択一式に変えられてやってこられた、こういうことになるわけですね。
【池田主査】 負担の問題で、それから、足切りを入れて、そこで、ある基準を満たさない人は次の採点はしないというようなことをやってきたわけですけれども、果たしてそういう方法が今後も続けられるのかどうか、そのあたりの議論も少しやらないといけないと思うんですけど。
【奥野委員】 そうすると、択一式か記述式かは別として、例えば、建設部門であれば、その建設部門全般にわたるというので、あそこにあったような安全、環境の問題、道路だ、河川だということには特化しない設問をというようなイメージになるんでしょうか。
【池田主査】 そういうイメージになりますかね。
【奥野委員】 そうすると、総合技術監理に若干近づくようなね。そこまではいかないというイメージで。
【池田主査】 基本的な知識があるかどうかということですよね。余り難しくすると、合格率がすごく下がる可能性があるので、そこはもうごくごく、ここで汎用的な、あるいは普遍的というふうに言い換えてもいいと思うんですが、そういう専門知識を確認するという程度にとどめておかないと、ネックになる可能性がありますので。
【福山主査代理】 汎用的という言葉は、例えば、常識的なとか、そういうことですか。また違いますか。
【小林係長】 幅広く、いろいろなものに応用できる基本的な原理、知識というか、そういった意味があるということで用いてきたと。
【福山主査代理】 そういう意味では、汎用的という文言をもう少し具体的に書けませんかね。取る人によって違ってきますよね。汎用的な専門知識。
【岩熊委員】 第一次試験ではどういうふうに書いてあるのでしたか。
【奥野委員】 第一次試験、どうだったですかね。
【小林係長】 全体的には、大学での専門教育課程修了程度というふうに。
【岩熊委員】 という書き方になっているのでしたか。
【小林係長】 はい。
【池田主査】 それぞれの専門、ですから、JABEEだったら、いろんなものをそれぞれの分野ごとに、こういうのを取りなさいよというのが決まっているわけですよね。それを問うということになると思うんですけど。この前はやめたらどうかという御意見があったんですが、今日は、特にやめろという御意見はないように思うんですが。やはり中身を変えてですね。
【岩熊委員】 問題の作り方になりますね。
【池田主査】 作り方の問題でしょうね。それはやはり残さないといけないですよね。
【岩熊委員】 それで、やはり定義が重要になるだろうと思います。
【池田主査】 そうです。
【吉田委員】 これは、汎用的って、確かに言葉は、作問する側は、この言葉だけだと、どの程度で、どういうものかという具体性がイメージがわかないかもしれないですね。
【池田主査】 そうです。わかないですね。そこはちょっと言葉として。
 註釈を付けるという手はありますね。一言で言うのは難しいので。
【小林係長】 IEAでは、“advanced knowledge of the widely-applied principles underpinning good practice”というように、widely-appliedというのが…。
【吉田委員】 広く適用できると。
【小林係長】 汎用的というふうに、これまで…。
【池田主査】 要するに、皆さんが知っていないといけないような知識ということですよね。
【小林係長】 そういう趣旨だと。
【池田主査】 基本的な知識か。広く応用されるような基本的な知識ということでしょうかね。
 そうすると、今度、また大学で教えないようなことを出されると非常に困るので、そこは注意しておかないといけない。
【吉田委員】 ただ、第二次試験は、ある実務経験を経ていますから、学校で習わない、実社会で実務をやりながら身に付けたというか、広く使われている専門知識というふうな捉え方をすればですね。
【池田主査】 もちろん、そうです。そうしないと、大学を卒業して15年ぐらいとか、それぐらい経ったときの身に付けたものを問えないわけですから。
【吉田委員】 そうですよね。だから、第一次試験と差別化。
【池田主査】 差別化、別じゃないといけない。
【吉田委員】 はい。ただ、今の第一次試験が、本当に自然科学系の大学卒業程度かどうかというのも検証しなきゃいけないですよね。
【小林係長】 それは後で申し上げる予定ですが、制度検討特別委員会に置く第一次試験適正化検討作業部会の中で、今まさに第一次試験の専門性は何かというので、大くくりの議論を検証していただいています。
【池田主査】 そうですね。
 では、そういうことについて試験するというのは、皆さん、よろしいでしょうかね。残すということは。
 それで、中身についても、今申し上げたようなことを問おうと。それを記述式にするのか、選択式にするのかという問題はあったかと思うんですけど、どうでしょうかね。記述式にした場合に、そういういわゆる汎用的な専門知識を確認できるのかどうかという問題はありますよね。
 それから、やはり採点する側の労力の問題がありますよね。記述式というのは相当大変だと思うので、マルティプルチョイスの方がいいのか。
【奥野委員】 現在は、何となく我々建設部門で言えば、ストレスストレイン系の問題が多いようですね。
【池田主査】 そうですね。
【奥野委員】 数式を使ったやつとか。
【池田主査】 バネとか、これはやはりちょっと違うな。
【奥野委員】 先ほどの安全とか環境とかというイメージとはちょっと違うような出題内容になっていますね。
【池田主査】 違いますね。
【吉田委員】 今現在、多分、どこの部門も違うと思いますね。
【池田主査】 これだと、多分、梁(はり)がどうとか、大学と同じですよね。だから、やはり中身を代えなきゃいけませんね。
【岩熊委員】 第一次試験とあまり変わらないのではないか、こういう二次だと。
【池田主査】 変わらないですよね。これだと、当然、第一次とどう違うのという話になりますよね。
【吉田委員】 ですから、検証しなければいけませんけれども、第一次試験と第二次試験が、部門によってはかなり類似した問題が幾つか散見されると言われているんですよね。ただ、これは検証しないと、私も何とも、本当なのかどうか分かりませんけれども。
【岩熊委員】 難しさがひっくり返っていたりするような問題もあるという話は聞きました。
【吉田委員】 そうそう。
【池田主査】 これ、何か解析的に解くような問題が多いですよね。例えば、安全についてどう考えるかとか、その部門で、環境についてはどういうふうに認識していますかとか、そういう問題の方がいいんでしょうね。その方がむしろ負担にならないような気がするんだけど、どうでしょうね、受験者にとっては。
【奥野委員】 どう考えるかと問うと、やはり記述式になってしまいますね。
【池田主査】 そうか、考えると。
【奥野委員】 択一式ですと、今度は答えの選択肢の書き方が非常に難しい。一行一行ではなかなか書けないような。
【池田主査】 出題が難しいんですかね。
【奥野委員】 本当にその人の考え方なり、汎用的な知識をお持ちかどうかということを確認するための択一式というのは、なかなか難しい。だから、大体択一式でこういう数式でないもの、数字を問わないものは、言葉で少し受験者を惑わせるような、そういう設問が多くなるんで、それは本質的ではないんですよね。
【池田主査】 そうなんですよね。なかなか難しい。
【奥野委員】 だから、難しいような気はしますが。
 ただ、本当に分野に共通のということであれば、択一式で幾つかの課題に答えていただくというのができれば、その方が、汎用的な知識をお持ちかどうかというのは確認できるんですね。
【池田主査】 いろんなものは聞けますよね。
【奥野委員】 安全、環境、いろいろですね。
【池田主査】 例えば、20題出して、15題選択回答して、その中にいろんなのが入っていると。
【吉田委員】 入れて、幾つかを選んで記述しなさいと。
【奥野委員】 ええ。幾つかを選んで記述というのは、あるかもしれませんね。しかも、簡単に、100字以内とか、そういうイメージですか。
【池田主査】 試験部会の方での議論になると思うんですけど、2年間やりましたね。その後、足切りをするということなんですが、そこのデシジョンをしないといけないと思うんですけれども、それはどういうふうに考えればいいですか。今の段階では。
【杉浦専門官】 一般論で申し訳ないですけれども、言葉ですが、平成25年度の改正をしたときに、27年から、いわゆる足切りといいますか、選択科目を解答した者、合格していない者については、筆記試験について採点をしないということを試験部会で決めていただきました。
 実は、2日後に試験部会を開きますので、そのまま、以前からオープンしていますので、それを試験制度、今みたいに変えられませんので、このまま実施するということになるかと思います。
【池田主査】 あれ、条件なしで、もうすぐ実施ということでした? 何か調査して、その結果を見て判断するということにはなっていない?
【小林係長】 留保的な条件はないかと思いました。
【杉浦専門官】 確かなかったと思います。
【池田主査】 留保条件ないですか。
【小林係長】 平成24年6月の技術士分科会でお決めいただいた中では、参考3の筆記試験の枠の下の※印の表現で固めていただいていると承知しておりました。
【池田主査】 ここにあるわけね。
【杉浦専門官】 それで、それは実施の話ですので、事実関係ですが。いわゆるこの議論については、何度も言いますけど、やはり本質的な、どういう試験があるべきかの議論だと思いますので、それは手法の話かと思います。
【池田主査】 実施するにしても、これは今までずっと議論してきているものが、これが実際の実施に落とすときには、しばらく時間はかかるということですね。
【杉浦専門官】 そうですね。また何年か。
【池田主査】 そのときにもちろん変えれば問題ないですよね。
【杉浦専門官】 はい。
【池田主査】 なるほど。どちらがよろしいでしょうかね。
【杉浦専門官】 あくまでもそれは手法、実施の方法ですので、本質的には、やはり試験でどのような問いで、どういうふうな対応をしていくのかというのが考えるべきではないかとは思ってはございます。
【池田主査】 ありがとうございます。それを聞いてちょっと安心しました。それだと、ちゃんと議論できますので。
 内容については、今議論していただいて、皆さん合意していただいたと思うんですが、やり方ですよね。やり方をどうするか。
【奥野委員】 選択記述というのは、今回の技術士分科会へ報告するときまでには、この委員会の一つの方針として提言するというのは決めなければいけないんですか。
【小林係長】 択一か記述かという方法の話は、今後検討する。まず全体的な方針をお決めいただければ。
【池田主査】 中身は、皆さん、これは今見ても、やはり第一次試験と余り変わらないので、これは変えないといけないというのは認識されたと思うんですね。その中身については、技術者として働いてきた中で、身に付けるべき専門的な能力は何かという観点から出題しましょうと。
 第一次試験は大学を卒業するレベルで身に付けるべきものを取っているわけですから、当然違うわけですね。今のこの中身を見ると、必ずしもそこがはっきり明確にされていないということだと思います。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。もう少し時間ありますので、択一式、記述式についても御意見がもしあれば、お伺いしておきたいと思います。
【福山主査代理】 岸本委員がいろいろおっしゃっていましたから。今日はおられませんので。
【池田主査】 岸本委員いらっしゃらないので。岸本委員から何か御意見ありました?
【吉田委員】 記述式がいいとおっしゃっていましたよね、基本的には。
【奥野委員】 基本的には、そんな感じでしたね。必須科目以外の話題でもよろしいですか。
【池田主査】 もちろん、結構です。
【奥野委員】 5の試験方法のところに、「必須科目」と「選択科目1」については、択一式・記述式のいずれによる方法が適当なのか、併せて検討するとあるんですけど、でも、選択科目1も、択一式という手法は考えられるということでしょうか。これは選択科目の専門知識と応用能力なんですけど。
【小林係長】 これは、今おっしゃるように記述式になっていますけれども、知識の確認をするときに、今は…。
【奥野委員】 択一式もあるかということ。
【小林係長】 はい。その確認はどういった手段が適当なのかという。
【池田主査】 なるほど。
【奥野委員】 これも今決める必要はないと、こういうことですね。
【小林係長】 そうですね。
【奥野委員】 ただ、御意見が出るかもしれませんね。分科会の席で。
【小林係長】 はい。
【池田主査】 岸本委員は、何か特に御意見なかったですか。これは御覧になっていますかね。この資料2は。
【小林係長】 お送りしていないんです。
【池田主査】 そうですか。じゃあ、意見ないですね。
【小林係長】 岸本委員の前回の御発言では、資料1、選択科目1の方が、もう少し広い形で問題を作り込んでいるとおっしゃっておりまして、必須科目はないとしても、選択科目としての知識を確認することができるのではないかというようなことはおっしゃっていました。
【池田主査】 なるほど。今回、基本的な知識は、やはりその必須科目で確認しようという話に基本的には皆さん御意見ですので、今、先生がおっしゃったようなことは、ある程度そこで、必須科目の方で確認できると思いますので、選択科目1については、むしろどちらかというと、専門的な知識があって、それをいかに応用できるかということが中心の試験になるのではないかと思いますけど。
 さて、それから、もう1点、口頭試験のことを御議論していただかないと。これまでと大分、資質能力を確認するということが中心になってきましたので、これを確認していかないといけないわけですね。その中で、口頭試験の果たすべき役割というのが、先ほどのこの表を見ても、かなり大きくなりつつあるんじゃないかと思うんですけど。
 今、口頭試験が20分ですかね。口頭試験は随分時間が変わって、もっと前は30分だったんですかね。
【岩熊委員】 いえ、45分と書いてあります。
【池田主査】 30分が45分になって、その次は20分になったと、そういうずっと長い歴史があって、そのあたりのバランスをどうするかという議論が必要な気がするんですね。こういうコンピテンシー、いわゆる資質能力を確認するのは、20分で果たしていいのかと、そういう問題があるんじゃないかと思うんですね。
【奥野委員】 これに関して、前回でしたか、吉田委員からお尋ねがあって、どなたかからのお話で、口頭試験で本当に落とすんですかというようなお話がどなたかからあったように思うんですけど。今、口頭試験では、もちろん口頭試験でだめだという方はいらっしゃると思うんですけど、筆記試験合格者で、口頭試験で不合格というのは何%ぐらいいらっしゃるんですか。
【日本技術士会】 8%程度です。
【奥野委員】 9割方は合格されるということですね。
【日本技術士会】 はい。
【吉田委員】 ずっと大体1割弱ぐらいでしょう。
【日本技術士会】 試験時間が45分のときが15~6%程度落ちています。
【池田主査】 そんなに。短くしたら、やはり。
【吉田委員】 長くやると落ちる率が多くなる…。
【池田主査】 資質能力の確認というのが試験制度の大きな目的に入ってきたんですけれども、20分でそれが確認できるかという問題が出てきているんじゃないかと思うんですね。
 これまでの試験制度は、そういう意識は余りなかったので、主に人物を当初は確認して、そのうちに、今、日本技術士会がおっしゃったようなことを、応用能力みたいなものを確認したということですが、それ以外にも確認をしないといけないことができつつあるわけで、そのあたりについて、皆さんの御意見を頂きたいなと思っているんですけど。
【奥野委員】 何年後かに行われるという審査ですか、IEAかどこかがおやりになる、そういう方面への説明上も、この辺は変えましたというふうなことを言う必要があるんでしょうか。それは別に、こういうことを問うていますということでやればいいんですよね。
【池田主査】 それは別に、確かに担保できていれば、もう問題ない。時間の問題ではないと思います。
【奥野委員】 はい。
【福山主査代理】 問題解決の質疑に対しては、問題解決の答えは一つではなくて、幾つもあります。その中で、試験委員の方と受験者の方の意見が違った場合に、自分は合格できるかどうかすごく心配みたいなのを聞いたりすることがありますよね。ですから、試験制度とか中身よりも、すごく属人的なと言うとおかしいですけど、そういう要素が口頭試験には加わる要素がありますよね。
【池田主査】 一方、私はもうこの前申し上げたように、このバランス、日本はやや試験に中心が置かれていて、これまでの業務の中で培われた能力とか、あるいは、口頭試験がやや弱かったと思うんですけれども、そういうバランス的に考えてどう考えればいいかということと、外国、APECエンジニアでも口頭試験だけで、これは1時間ぐらいやっているみたいですけど、やっているところもあって、各国によって違うと思うんですが。私は、口頭試験だけよりも、やはりいろんな面からその人の能力をチェックした方がいいと思いますので、我が国の方の方が優れていると思っているんですけれども。
 ただ、バランスの問題だと思うんですね。20分でいいのか、あるいは、もうちょっと長い方がいいのか、そのあたりを少し御議論をお願いします。例えば、これが30分になったときに、すごく負担になるとか、試験する方が負担になるのか、あるいは、受ける方が負担になるのか、そのあたりはどうなんでしょうかね。
【吉田委員】 両方じゃないかと。
【池田主査】 両方ですか。
【吉田委員】 多分、30分あるいは40分にすることによって、やはり会場の確保の問題も出てきますし、それから、受験者も、今事務局が説明したように、どうも長くやると落ちる人が増えると。というのが本当に正しいのかどうか分かりませんけれど。
【奥野委員】 今までの話の流れからいきますと、かなり大事な部分を口頭試験でというふうな話になっていますので、ここでふるい分けられる人は、必然的に今までより率が上がってくるということになると思いますよね。ところが、ただ、我が国の常識で、大体試験をやって、口頭試験で落ちるというのは、そんなに大勢いないというのは、大体の皆さんの理解ではないかと思うんで、この辺の意識を変えていくというのは、やはりちょっと時間をかけてやらないといけないんじゃないかという気はしますけどね。
 それとの関連で、その他のところで、筆記試験にかかる負担軽減を図るということは、現時点ではまだ明記しない方がいいのかと。負担増にならないようにバランスを考慮するというぐらいの表現の方がいいのではないかと思ったんですけど。受験者の意識もそうですし、それから、技術士資格を持っている人の、今まではやはり筆記試験がメインでやってきていますから、その技術士を活用しようというふうな立場でも、筆記試験の負担軽減を図るというと、何かすごく易しくなっちゃうのかというイメージを持たれるのではないかと思うんで。実際はそうではないと思うんですね。口頭試験、これだけ充実して、本当に確認したいことを確認するんだということだとは思うんですけど。ただ、その辺の理解が浸透するには若干時間がかかるんで、そこは少しずつ変えていくというようなイメージはあるのではないかとは思いますけどね。
【池田主査】 口頭試験で聞く中身については、こういう資質能力を確認していくと。それは皆さん御確認をしていただいたと思うんですね。
【奥野委員】 それは、今までの議論の中でですが。
【池田主査】 あと、テクニカルには、どうすればいいかという問題が出てくると思うんですね。
【福山主査代理】 今、主査がおっしゃっているのは、資料4に関連して議論すればいいということなんでしょうか。下の口頭試験が増える方向にあるよねと。
【池田主査】 資料4ですね。
【福山主査代理】 この口頭試験のところの下線二つに書いてある、これですね。
【池田主査】 そうですね。これを見ると、かなり増える可能性はありますよね。
【奥野委員】 今までの試験の流れから言いますと、平成25年度に変えたのは、筆記試験に合格して、口頭試験の間に、自分のいろんな業務に照らした考え方を書いていただいて、それをベースに口頭試験を45分やるというのを変えたときに、筆記試験の課題解決能力の問題というのが出てきたわけですね。
 これはもちろん要らないとは言わないんですけど、課題解決能力の判定が、従前のように、どちらかというと口頭試験と業務経歴をベースに、ここで議論されるということになると、筆記試験の課題解決能力というのは、選択科目の専門知識と応用能力をしっかり確認すればいいのかもしれません。いや、それがいいと言っているわけではなくて、その辺は今後の口頭試験で、どう聞いて、どんな判断をするかとか、それから、どの程度の人がこの口頭試験を本当に、筆記試験を合格した人の半分ぐらいはこれで落っこてしまうというようなことになっても全然おかしくないのか、その辺の見極めが必要ではないのかというふうに思いますね。
【池田主査】 筆記試験で採点はかなりするわけですよね。
【奥野委員】 ええ、それは今でも現実に取っている人がいるわけですから。
【池田主査】 だから、採点しているわけで、ここはそれを確認するということですから、そんなにすごく落ちるようになるとは思えないですけど。
【奥野委員】 口頭試験では。だから、やはり筆記試験で、この課題解決能力も確認させていただけるということであれば、では、口頭試験の方は、課題解決能力もありますけど、やはり倫理ですとか、コミュニケーション能力とか、CPDへの姿勢とか、そういったところを中心にお伺いするというふうなことになるのかもしれませんね。そうすると、あんまり20分を…。
【吉田委員】 オーバーしなくても、設問の例示をしておいて、こういうのを聞いてくださいと言われれば。
【池田主査】 そうですね。ですから、もし問うとすれば、業務の中で、書いていただいたものについてちょっと質問すると、そういう話になりますかね。
【奥野委員】 ええ。これは最初に吉田委員がおっしゃったように、あなたはこれこれこういう業務でどうしましたかというようなことをここで確認していただければ、そんなに時間をかけなくても、ちゃんとやったかどうかというのは分かるんじゃないかと思うんです。
【池田主査】 なるほど。
【吉田委員】 一番重要なのは、本当にそういうことをやってきたかどうかということが分かればいいわけでね。
【池田主査】 そうです。
【奥野委員】 ということで、最後は、全体のバランスを考慮するのは当然ですけど、どれを軽くするとか重くするとかというのは、まだ少し議論が必要かと思ったんですが。
【池田主査】 そうですね。やはり面接を延ばすというのは、かなり負担が大きくなる、両方の負担が大きくなるということでしょうかね。
【吉田委員】 だから、やはりしっかり試験で問うて、筆記試験で問うべきは問うておいて、それで採点をしておいて、口頭試験では、その確認をするというぐらいの。
【池田主査】 確認ですね。
【吉田委員】 程度にとどめるのがいいんだろうと。余り口頭試験で、筆記試験に合格した人を、本当に奥野委員が言うように半分も落ちてしまったら、この試験、何なのとなってしまいますよね。
 特に、現行の制度だと、口頭試験で落ちたら、また翌年、筆記試験からやらなきゃならないわけですから、やはり1割程度というんですか、それが妥当かどうか分かりませんが、ずっとこれまで1割程度落ちているんでしょう。平均的に、口頭試験では。
【池田主査】 45分のときに、10何%、15%?
【日本技術士会】 45分のときは、先ほどのお話に出ましたように、要は、3,000字の技術的体験論文について本当にあなたが書いたのかという、それを突き詰めるようなものだったので、ぱんぱんに時間を使っていて、今ですとそういうことがないので、実際の試験のときに使った答案と業務経歴票でできるという形になっております。その45分のときは、そういうことで、ちょっと落ちた確率が高かったと。
【池田主査】 業務経歴書の中で、そういうのをしっかり説明してもらって、それを活用しながら、要領よく確認するというのがいいでしょうね。それは面接をする方の能力というんですか、そういうのも大事になると思うんですけれども。いたずらに長くするだけが能ではないような気もします。
【福山主査代理】 筆記試験が終わった段階で、ほとんどの能力確認はできていると。そして、口頭試験で実際に何を実行されたかとか、何を気付きで得られて、今後どうしますとか、そういうことの確認でしょうね。
【池田主査】 確認ですかね。
【吉田委員】 あと、その過程において、ちゃんとコミュニケートが、こちらの言っていることが理解できて、ちゃんと説明できるかということが確認できればいいわけですね。
【池田主査】 分かりました。
 それでは、口頭試験についても御意見を頂戴しましたが、あと御意見ありましたらお願いしたいと思いますが、もしなければ、次の。
【奥野委員】 最後に、文章だけの問題で、中身の問題ではないんですけど、よろしいですか。
 この基本的な考え方の段落の二つ目で、2行目の右端から、「複合的な問題とは、広範囲な問題を含み、その問題を把握する時点において明白な解決策がなく」と、ここまではいいんで、その次の「重大な結果をもたらすものであり」というのは、どこに続くのかよく分かりにくい表現になっているので、ここは少し訂正していただいた方がいいかもしれません。
【池田主査】 ええ、ここはちょっと文章的に分かりにくいので、お願いします。
 ほかにはいかがでしょうか。
【福山主査代理】 もう一ついいですか。前回の議論で、推薦人の話を岸本委員ほかおっしゃったんですけど、あの結論はもう出たと思っていいんですか。
【小林係長】 一応、前回の御意見を見ると…。
【吉田委員】 資料3-1を見て、出たと判断していますけど。
【小林係長】 抜いています。
【福山主査代理】 確認だけです。
【池田主査】 資料2には出ていないですよね。
【小林係長】 ないです。
【福山主査代理】 ないんです。
【池田主査】 ないということの理解はしているんですけど。これで資料2はないものですから。
【福山主査代理】 私としては結構議論させていただいた項目だったので。
【池田主査】 すいません。
 やはり推薦人ということになると、有利不利も出てくるでしょうね。
【福山主査代理】 バックグラウンドはどうしてもね。
【吉田委員】 それと、やはりその業務経歴が正しく記述されていますよという証明は、その事業主なり上司がするわけでありますので、それが技術士でなくてもですね。
【福山主査代理】 はい。岸本委員に御了解を得ておいていただきたいんですけど。今日いらっしゃいませんので。
【小林係長】 御報告します。
【池田主査】 よろしくお願いします。
 それでは、議題2の作業部会について、報告をお願いしたいと思います。
【小林係長】 今、二つの作業部会がございまして、第一次試験の適正化検討作業部会と情報処理技術者試験の総合活用作業部会の方、両方検討していただいているところでございます。
 情報処理技術者試験の方につきましては、今、中谷委員と児玉委員らにおいて御尽力いただきまして、第二次試験の情報工学部門の必須科目相当の知識体系をおまとめいただいているというところでございます。ただ、本日の親委員会の御議論も踏まえまして、必須科目、専門知識のところをどうするかという議論も反映させた上で、もう一度作業部会に御相談させていただこうと思います。
 大くくりの方、第一次試験の適正化作業部会の方につきましては、先週開催いたしまして、今ある告示に定めている20の技術部門の専門科目の範囲を、大学で教えている中身、カリキュラムの推移に照らしてどうなのかということを、作業部会の中で御検討いただいておるところでございます。余り細かく各部門ごとに知識項目等を定めていきますと、大くくりに結び付くのかどうかという点もございましたので、ある程度のところでとどめて、5つの系を事務局として御提示したというところでございます。系をもとに、系に結び付く専門科目の範囲を御議論いただいて、ある程度固まってきたというところでありまして、次回作業部会の中では、系と専門科目に照らして、この知識項目のところを本質的に書くのか、それと例示的に書くのか、それはやはり受験者ですとか試験を作っていただく方に、参考なのか、それとも、それをもとに書いてくださいというものなのかという程度の問題がありますので、そこはまだ事務局として、岸本主査等に御説明した上で、交通整理をして、次回の作業部会に諮っていくというふうに思っております。
 後ほど申し上げますが、特別委員会にも御報告をすることになりますが、さらに、分科会の枠組みとしてはそういうことになるんですけれども、技術士会の各部会ですとか、JABEEの方の各学会もございますので、そういったところにも御意見を頂きながら、文科省としてどうしていくかというふうに検討させていただこうと思っております。
【池田主査】 分かりました。大体いつ頃を目途にまとめる予定でしょうか。
【小林係長】 分科会の任期もございますので、今期につきましては、形式的には来年2月14日までですので、本特別委員会ももう一回、作業部会ももう一回でおまとめいただける方向にと思っております。
【池田主査】 分かりました。ありがとうございます。
 ほかに何か御質問等ありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 まだちょっと時間が早いんですが、それでは、今日の御議論を終了させていただきたいと思います。
 事務局から何かありますでしょうか。
【小林係長】 本日の議事録につきましては、後日、私どもよりお送りさせていただきまして、御確認を頂きたいと思います。その上で、文部科学省のホームページに公開することとさせていただきます。
 また、次回の制度検討特別委員会につきましては、既に御案内しております、来年1月28日水曜日なんですけれども、実は分科会の開催日との調整もありまして、若干、1週間程度早めて開催させていただきたいと思っております。1月22日又は1月23日でまた調整させていただきまして、調整といいますか、こちらからきょう御案内させていただきます。できますれば、この局1の会議室が1月22日の午後しか空いていなかったものですから、1月22日の午後でいかがかというような趣旨で、またちょっとお尋ねさせていただこうと思います。
【池田主査】 分かりました。お願いします。
【小林係長】 はい、メールいたします。
【池田主査】 メールでということですね。1月22日の午後が候補ということですね。分かりました。
【小林係長】 以上です。
【池田主査】 どうもありがとうございます。
 それでは、以上で委員会を終了したいと思います。どうもお疲れさまでした。どうもありがとうございました。

閉会11時41分

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