第7期 技術士分科会 制度検討特別委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成26年2月19日(水曜日)9時59分~11時58分

2.場所

文部科学省16階 16F1会議室

3.議題

  1. 今後の技術士制度の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

池田主査、福山主査代理、岩熊委員、奥野委員、岸本委員、中谷委員、吉田委員

文部科学省

松尾人材政策課長、吉田専門官ほか

オブザーバー

経済産業省、農林水産省、公益社団法人日本技術士会、一般社団法人日本技術者教育認定機構

5.議事録

午前9時59分開会


【池田主査】 皆さん、おはようございます。今日はとりわけ寒いようですが、年度末のお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただ今から科学技術・学術審議会技術士分科会第7回制度検討特別委員会を開催いたします。御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それではまず、事務局から資料の確認をお願いします。

【小林係長】 お手元の資料でございますけれども、配付資料が資料1から5までございます。参考資料につきましては、参考1から参考8までございまして、いつもながら机上資料として左上に、今年度の第一次試験の試験問題、基礎・専門・適性科目の試験問題と、法令集と紙ファイルがございます。また、委員席だけでございますけれども、5年前に日本技術士会の「技術士試験に係る問題等検討チーム」で作成された、「技術士第一次試験専門科目の試験方法の検討について」という資料があります。御確認いただければと思います。

【池田主査】 ありがとうございます。資料、いかがでしょうか。お手元にございますでしょうか。
 それでは早速ですが、議題1、今後の技術士制度の在り方についてに入ります。
 1月下旬に開催されました前回の技術士分科会では、これまでの本委員会の議論の途中経過報告を基に議論いただきました。そこでは、「技術者キャリア形成スキーム」、「技術士に求められる資質能力、コンピテンシー」についてはおおむね御理解いただいたものと思います。
本日は、技術者のキャリア形成スキームを踏まえて、まず第一次試験の在り方について、より具体的な議論をお願いしたいと思います。
 まず、前回分科会における主な発言内容について、事務局から資料の説明をお願いいたします。

【小林係長】 資料1につきまして説明いたします。
 1月22日の前回の技術士分科会におきまして、テーマは3つございました。技術者キャリア形成スキームと、技術士に求められる資質能力、コンピテンシーと、総合技術監理部門を主に議題としまして、分科会委員より御意見を頂戴したところでございます。
今、主査からお話がございましたとおり、参考1と2にございますように、技術者キャリア形成スキームの例示やコンピテンシーにつきましては種々御意見を頂きまして、コンピテンシーについては、その後野間口分科会長に修正案をお示しして、御了解いただいたものが参考2としてございます。
 資料1につきまして、簡単に申し上げます。
技術者キャリア形成スキームにつきましては、全体を通して、多くの技術者の方々に技術士制度を利用してもらいたい、巻き込むべきだというお話がございました。民間企業で、入社後何年したら技術士補になって、技術士になるというストーリーをイメージさせることが必要ではないかということ。また、若い人々が目指すべきキャリアパスが、この資格の位置付けによって見えてくるのではないかという御指摘、御意見を頂戴したところです。
 第一次試験や技術士補につきましては、技術士補という称号やそれに代わる称号によって、ほかの技術者とは違うことを明示することが重要になってくると。ただ、第一次試験合格から第二次試験受験までの間、技術士補としての登録の有無によって、経験年数にも違いが出てくるという、この制度が複雑になっているのではないかという御意見を頂いたところです。1ページ目の下の方ですけれども、理系では大学卒ではなく大学院卒、少なくとも修士課程修了者はかなり多くなってきているという御意見がありました。このような実態を踏まえて、第一次試験のレベルをどのように考えるのかという話でした。
 裏を見ていただきますと、第一次試験の専門科目の大くくり化の議論につきましては、今後検討というように事務局からも申し上げたところでございますけれども、大くくりのやり方によっては受験上、学習すべき範囲が広くなってしまうために、受験者が躊躇(ちゅうちょ)するのではないかという御意見がありました。また第一次試験については、基礎的な学力を確認するのか、専門的な学力を確認するのか、このどちらに重きを置くのかによっては考え方が変わってくるのではないかという御意見です。
 大学教育については、このように大学教育とのリンケージを考えていく必要があるという話でした。
コンピテンシーにつきましては、このように国際的通用性や問題解決、評価、判定方法等で御意見を頂きまして、それを踏まえたものが今回、参考2としてまとめられたものでございます。
 3ページ目でございますけれども、総合技術監理部門につきましては、21技術部門の中で質が異なる部門として位置付けることが適当ではないかと。技術者の方は、縦の専門性や横の専門性を複合したような姿が理想的であるという御意見を頂戴したところでございます。
 本日の議論に関係するところにつきましては、以上です。

【池田主査】 どうもありがとうございます。
   前回の分科会ではここの議論を報告いたしましたが、おおむね御了解を頂きつつあるという印象を受けました。
 それでは、本日は今後の具体的な議論のために、福山主査代理において私案を作成されたと聞いておりますので、福山主査代理から御説明をお願いしたいと思います。

【福山主査代理】 福山でございます。これまで数次にわたりまして制度検討特別委員会や、技術士分科会でいろいろな議論がなされて、幅広く深掘りもできたと思うんですけれども、私自身、少し考え方を整理する必要があると思いまして、この私案というのをまとめさせていただきました。間違っているところがあったり、理解不足があったり、いろいろあろうかと思いますけれども、是非委員の先生方の忌憚のない御意見、御指導をお願いしたいと思います。
 それでは、早速説明させていただきます。
1番目に、この新しい技術士制度に求められる条件というのを5つまとめました。
1つは、グローバル化に対応する国際的同等性の確保。2番目が、社会や企業が求める技術士を効率的に輩出する制度。3番目が、技術士の知名度を向上させ、技術士制度の普及に寄与すること。4番目が、若手技術者が技術士資格を取得し、自己のキャリア形成に活用できること。5番目が、現行の技術士制度の課題を解決し、今後少なくとも10年間ぐらい通用するような制度になること、というふうに条件を定めてみました。
 2番目に、現行技術士制度の問題点を少し掘り下げてみました。ここは私の理解不足もあるかと思いますけれども、御批判を頂きたいと思います。「2.1」で、技術士資格を取得する試験の流れと問題点を、図1にまとめてみました。具体的にこういう図があるわけではございませんけれども、入り口のところが2つ大きくあるという観点から流れを作りました。
 上のグループ1は、指定された教育課程、すなわちJABEEの認定課程を修了された方が、技術士になるまでの流れであります。下のグループ2は、JABEE以外の方に対する試験の流れでございまして、まず大きな違いは、グループ2、JABEE以外の方は第一次試験を受けなければならないということでありまして、修習技術士以降は、基本的には同じ流れになっております。
 グループ1に戻りまして、詳細を少し説明させていただきますと、JABEE認定課程を修了されました方は、いわゆる修習技術者になられるわけであります。そして登録することによって、技術士補になられます。技術士補を登録されない方もおると思います。結果として、技術士補になられた方は、実務4年で総監以外の第二次試験、実務7年で総監の第二次試験をお受けになります。技術士補になっておられない方は、実務経験7年総監以外の第二次試験、実務経験10年で総監の第二次試験を受けられます。
この結果、総監以外の技術士と総監技術士が生まれてくるわけでありますけれども、この2つを合わせた21技術部門の技術士の方は、CPDとか実務経験を経てAPECエンジニアに申請・登録する流れとなっております。
一方、日本技術士会の運用によりまして、CPDを積まれた方については日本技術士会のCPD認定会員になるという制度がございます。これが現行の大きな流れかと思います。
 次を開けていただきまして、このような中で、私が問題点だと思っていることを、以下述べさせていただきます。現行制度ではJABEE認定課程修了者、以下グループ1は、WA、ワシントン・アコード認定大学卒業者と同等の学業レベルにあることが保証されて、第一次試験が免除されます。一方、JABEE認定課程修了者以外、グループ2は、第一次試験によってWA認定大学卒業者と同等の学業レベルにあることが保証されますけれども、工学系の大学を卒業した者とそれ以外は、明らかに工学的知識に差があるにもかかわらず、画一的に第一次試験が課されています。
 それから、総合技術監理部門、以下総監部門と、それ以外の技術部門、以下専門部門とに要求される実務経験年数には、3年の差がございます。その差がどういう根拠であるかというのが明確にはなっていません。総監部門に求められるプロフェッショナル・コンピテンシーを明確にする必要があります。現状では求められる経験年数が長いために、若いうちに技術士資格を取得するのは難しい状況になっております。
 修習技術者制度は技術士資格を取得する動機付けでありますとか、キャリア形成のために有効であります。しかしながら反面、指導技術士とか優秀な技術者を確保することが難しい場合がございまして、そういう方にとりましては、公平性が必ずしも担保されているとは言えません。このようなことによりまして、現行制度を見直すに当たりまして、以上の問題点を解決する必要があると思います。
 一方、総合技術監理部門の在り方について、考えをまとめてみました。1番目に、技術士とか技術者には縦の専門性と横の専門性が求められておりますが、現行制度ではその点が明確にされておりません。T型人材の考え方に基づき、ここでは総監部門を横の専門性、その他の20の専門部門を縦の専門性と定義します。横の専門性を追求したい技術者は総監部門、縦の専門性を追求したい技術者はその他の部門、あるいはその両方を追求したい技術者は総監部門とその他の技術部門を選ぶことができるようにすることによりまして、選択肢が広がって、技術者は自分が求める技術士の道へ進むことができると考えます。
 また、今回の分科会の論点であります企業とか社会が求める技術士像のミスマッチを、少なくすることもできるんではないかと考えます。ただし、横断的な監理技術を取得するには、相応の長さの経験年数と監理技術が必要であることを考慮することが必要であります。総監部門は、いずれかの専門部門の資格を取得した後、又は第一次試験合格後、しかるべき年数を経て受験することができるようにすれば、現行制度の軽微な変更によりまして実現可能ではないだろうかと思います。
 現行制度の問題点を以下に述べます。
表1に、平成25年に改定されました現行の第一次試験、第二次試験筆記試験及び口頭試験に関する試験科目、問題の種類、試験方法、試験時間及び配点を示しました。論点を絞るために、表1には総監部門と専門部門の試験内容を、横に対比してまとめてみました。
第一次試験の基礎科目は、科学技術全般にわたる基礎知識に関する問題というふうになっておりますけれども、IEAのGA、卒業生としての知識・能力との整合性を考慮した問題を追加すべきではないか、例えばデザイン、コミュニケーションの初歩的なものを加えるとよいのではないかと考えます。
 総監部門と専門部門では、要求されるPCとそのレベルが異なっておりますために、経験年数に差が付けられております。技術レベルの差なのか、レベルは同じでも質が違うのか、その根拠を論理的に明確にする必要があると考えます。
制度検討特別委員会での議論にもあるとおり、総監を他の20部門の上に位置付けるのか、21部門の1つと位置付けるのか、専門技術部門と異質の21番目の部門と位置付けるのか、議論に時間を要しておりますけれども、早急に方向付けることが求められていると思います。
 ただし、この点につきましては過日の分科会におきまして、上に付けるということよりも、21部門の1つとして考えるべきではないかというように御意見があったと理解しております。
先日のごとく、総監部門は横の専門性、専門部門は縦の専門性であり、質の異なるものであると定義すれば、現行の試験制度の2つの異なる試験があることも問題にはならないと。また、これまで議論された上とか横とか独立とかいう考え方も、整理できると考えます。
 一方、経験年数が長いほど横の専門性が広がる、幅ができるということを検証する必要があるのではないだろうか、経験年数に差を付けるのではなく、必要なPCを重点的に検証する試験内容とするのも一案であると考えます。現在求められております5つの監理項目で十分なのかどうかを見直す必要があろうかと思います。
 下の表の左側の一番上、第一次試験の基礎科目というところがございますけれども、ここについて、これでいいのだろうかという提起をしたわけでございます。いろいろな考え方の下に、新しい技術士制度に関する提案という形でまとめてみました。基本的な考え方、(1)国際的同等性が担保されているグループ1を標準とし、それ以外はIEAのGAを確認するために第一次試験を実施する。ただし、JABEE認定課程修了者の登録及び試験の受験状況とか、大学におけるJABEE制度の位置付けに関する問題も多々あると聞いておりますけれども、こういう点を考慮して、課題の掘り下げと改善を実施する必要があると思います。
 図1を基に、現行制度ではJABEE認定課程修了者はWA認定大学卒業生と同等の学業レベルにあることが保証されているわけであります。
(2)第一次試験では、グループ2は工学的知見の差を考慮して、グループ2とグループ3に区分けして考える。(3)新しく区分けした後のグループ2は、第一次試験を課すけれども、工学的専門性を考慮して、試験の一部を免除する。(4)グループ3は工学系大学卒業相当のレベルを確認するために、従来どおりの第一次試験を課すということでどうだろうか。
 提案の内容と流れでありますけれども、以上の点を配慮しまして、(1)第一次試験にIEAのGAとの整合性を考慮した問題を追加する。(2)グループ1は修習技術者及び技術士補登録後、専門部門は実務4年、総監部門は7年で受験できるようにする。これは現行どおり。(3)グループ2は第一次試験に合格し、修習技術者及び技術士補に登録後、専門部門は7年、総監部門は10年で受験できる。これもほぼ同じでございます。ただし、グループ2といえども第一次試験を合格するというのが大前提であります。(4)グループ3は第一次試験に合格し、登録後、専門部門は7年、総監部門は10年で受験する。現行の修習技術者及び技術士補制度は、技術士を目指す技術者の動機付け、及び技術力の向上のために継続する。それから、(6)5つの条件と2つの附則を満足する技術士は申請により、APECエンジニアに登録することができる。これも現行どおりでございます。
 (7)技術士は実務経験3年と所定のCPDを取得した後に、日本技術士会の審査を経て、CPD認定会員となる。(8)相当の実務経験とCPDを積み、社会的に認められた技術士は、より高度な資質を有する上級技術士であるCPD技術士としての称号が与えられる。こんなふうに整理してみました。
 左下に載せてありますように、グループ1、2、3がありまして、それぞれ通るべき流れを明確にしてありますけれども、右の端の方の技術士21部門には総監部門が含まれております。これを取られた技術士は、選択肢が右のとおりございます。実務3年とCPDでAPECエンジニアになるもよし、実務3年プラスCPDで日本技術士会のCPD認定会員になるもよし、相当の実務、CPD、審査を経て、CPD技術士となるという道もあるのではないかと考えます。今回は右端にありますCPD技術士を求めて、企業において、また社会において自己研さんされることが、技術者としてのキャリアパス、キャリア形成に役立つ、そして、そういうものに役立つ技術士制度であるべきではなかろうかと考えて、まとめてみました。間違っているところもあろうかと思いますけれども、是非御議論の中に組み込んでいただいて、参考にしていただければありがたいと思います。以上でございます。

【池田主査】 どうもありがとうございました。問題点の御指摘、御提案を頂戴しました。この私案に対する御質問につきましては、事務局の説明後に、一緒にお願いしたいと思います。
 続きまして、技術士制度の広報、第一次試験の目的・程度、免除、それから専門科目の大くくり化について、事務局から説明をお願いします。

【小林係長】 資料3以降につきまして御説明申し上げます。資料3につきましては、おとといメールでお送りさせていただきましたので、ここでは省略させていただきまして、具体的な提案としまして資料4、5、また参考資料について説明したいと思います。
 資料4につきましては、広報についてということで、多くの技術者の方に技術士制度を活用していただきたいという趣旨で、いろいろな巻き込み方策があるかと思うんですけれども、第一次試験の段階で、在学者、卒業者の方に、第一次試験をまず知っていただくということがあろうかと思います。巻き込み方策2としては、新卒、新入技術系社員の方が、企業の中の学力試験でこの第一次試験を活用できる可能性はないのかということで、2点ほど書かせていただきました。
 1点目につきましては、ここにありますように大学の教育課程の中で、例えば授業科目は技術者倫理とか科学技術倫理等とありますけれども、昨日別件で、大学の教員として大学生に教えられた技術士の方にもお話ししたところ、早い段階で「キャリア教育」というような場で技術者、卒業した後に教員になるとか研究者になる道だけではなくて、技術を持って、それを仕事としていくような道もあるということをガイダンスとして教える中で、技術士資格を取得することもキャリア形成に資するということを教える可能性もあるのではないかということも考えました。入学時のガイダンス、オリエンテーションで、技術士の存在を紹介するとか、昨日もあったんですけれども、いろいろな良好事例を集めまして、大学に働き掛けていく方法があるのではないかと考えております。
 依頼方法1や2についても、これは例示ではありますけれども、依頼方法1のところでは、大学の工学部担当者を集めた会議等とありまして、例えば国立大学の工学部長の会議等が年に1回2回ございますので、これはそれぞれ当番校が毎年決まっておるとのことと、テーマが毎回あるということでありますけれども、文科省においても高等教育局専門教育課ともこれから相談になりますが、文科省の所管事項の説明、予算等の説明をするような時間の中で、この制度があるということをアピールしていくという方法もあろうかと思いますし、また資料の中でチラシ等を盛り込んでいくという方法もあるのかと思っております。
 依頼方法の2は、地道な活動としまして、日本技術士会の中のいろいろな大学技術士会というのが数十、組織されておりますので、そこを通じて、我々としても大学の在学者や卒業者に対して、この資格の存在意義を説明してまいるという方法があろうかと思っています。
 巻き込み方策2につきましては、若干記載不足のところで申し訳ないんですが、小さな字で書いておりますように、一般社団法人日本機械工業連合会という団体がございまして、ここが平成23年度から理数系グローバル人材教育に関する調査専門部会を立ち上げて、調査研究されていると聞いております。
今年度につきましては、製造業が求める技術系グローバル人材の立場から、理科教育充実のための具体的方策を検討されているということで、先日開催されたシンポジウムでの御説明を聞いてまいりました。
 その中で、幾つか提言をまとめられましたが、提言は大きく分けて3つございまして、小中高における理数教育の話、大学の理工系教育の話に加えまして、製造業が取り組むべき課題もあるだろうと。
企業としては、自らの求めている人材の能力や学力を明確にすること、また企業として採用時に学力試験を行うというような御提言をされておりました。
 その問題意識の背景としましては、民間企業の若手技術系人材について、基礎学力が不足している、また能力が不足しているという問題があるということです。例えばというふうに書いてありますけれども、工学系の基礎知識、4力学などの知識がないという認識が、企業の中であるということでございます。企業としては、採用した社員の方に一定、3か月とか数か月の研修を経て学力試験を課すというところもあると聞いておりまして、それは独自に企業としてやっていらっしゃることもあるんですけれども、この技術士第一次試験も何らか活用する余地がないのかということで、こういうふうに考えております。
 資料4につきまして、巻き込み方策はほかにもあろうかと思いますけれども、まずは第一次試験についてこういうふうな方法でアピールしていくということがあろうかと思います。
 資料5の第一次試験につきまして説明申し上げます。目的・程度、免除と、専門科目の大くくり化というふうに大きく分けて説明申し上げます。
目的・程度のところ、現状としましては、技術士となるのに必要な科学技術全般にわたる基礎的学識や適性、また技術士補となるのに必要な技術部門の専門的学識を判定するということが目的になっております。
程度のところは、分科会でお決めいただいた技術士試験実施大綱の中で、4年制大学の自然科学系学部の専門教育程度というふうに書いております。前回分科会を踏まえて、大きな方向性としては、第一次試験は大学のエンジニアリング課程により習得すべき能力の確認という大きな位置付けでいいのではないかというような方向性を頂いたと思っております。
 今回、具体的に御議論いただきたい視点としましては、大きく3つあろうかと思います。
国際的通用性としましては、IEAのGraduate Attributesを踏まえて試験の程度を考えていく必要があるという点、高等教育との接続という意味で、技術者教育によって習得すべき知識の確認、また先ほど申した民間企業等の技術系社員に対する学力試験等に活用できないかという点、視点3につきましては、個々の新人技術者の視点から見ますと、最低限身に付けるべき知識を有することの証明であるとか、周りからエンジニアとしての期待や信頼を得るという意味で、第一次試験を課すということでどうかと思っております。
 2ページ目の免除のところでございますけれども、これは前回の特別委員会で1度お示ししております。現状を申し上げますと、JABEEの認定課程修了者で、形式上、文部科学大臣の定めた告示の中で記載されている大学の課程がございまして、その課程を修了した方が第一次試験を免除されているというのが現状になっております。非JABEE課程で、かつ大学等エンジニアリング課程の修了者については、一部免除ができるのではないかということで、はてなというふうにしております。それ以外の高専、工業高等学校等、非JABEE課程でかつ大学等エンジニアリング課程でない方の場合は、免除せずに第一次試験を課すという内容になっております。
 3ページ目でございますけれども、専門科目の大くくり化につきましては、現状はこういうふうに基礎科目、適性科目、専門科目は技術部門ごとに設けられているのが現状になっております。大くくりする場合の視点としまして、これは案でございますけれども、まず視点1としましては、新人技術者として最低限身に付けるべき知識とは何なのかと。第一次試験の専門科目では、どの程度、どの範囲の基礎知識と専門知識を確認すべきかという視点での御議論があろうかと思います。
 大くくりする場合の視点としては、まず専門科目の範囲というのがございまして、文部科学省告示の中で専門科目の範囲を定めておりますけれども、これをそのまま変えないで、受験者の選択する専門科目の種類、選択肢を増やすということはどうかということで、これから御説明しますけれども、4ページ目にそのイメージを書かせていただいています。また、視点2の2)のところで、告示を改正すべきということであれば、専門科目の範囲を大学の専門教育程度として告示の内容を変えていくというイメージがあろうかと思います。
 4ページ目を御覧いただきますと、今申し上げた1番目の方法を書かせていただいています。例えば機械部門の専門科目につきましては、告示の中で専門科目の範囲が材料力学、機械力学・制御、熱工学、流体力学と書いておりまして、これらを内容とした専門科目の試験があります。現行は、機械部門の専門科目につきましては、全てその回答に当たっては機械部門の専門科目で占めているところを、例えば例1から例4にありますように、回答数における割合を3分の2ですとか半分程度にして、残りを機械部門以外の部門の専門科目から選択する、また選択する中身をもう少し隣接部門から限定するという方法も考えられるのではないかと思っております。
 5ページ目でございますけれども、これは今ある専門科目の範囲、告示を改正した上で、現行の機械部門、船舶・海洋部門、航空・宇宙部門などにおける力学とか共通する分野を集めた上で、機械部門の新しい専門科目の範囲を定めていくと。その過程によって幾つか専門知識の共通的な部分が見えてくるもので、系としてくくっていくという次の段階があろうかというイメージを作っております。
 参考としまして、机上配付させていただいておりますけれども、4年前に「技術士試験に係る問題等検討チーム」で作られた案というものもお配りしております。この中では2ページ目、一番後ろにありますように、技術部門の中で共通するものをグループというか、系という分け方をしまして、例えば機械部門の専門科目を受ける場合、「機械・システム系」の問題の中から選ぶとか、そういうようなイメージで過去に研究されたという経緯がありますので、資料をお付けしております。
 以上でございます。

【池田主査】 どうもありがとうございました。
 それでは、これから御議論を頂戴したいと思いますが、福山主査代理の私案につきましては第一次試験、それから第二次試験、総合技術監理部門、CPDと多岐にわたっておりますが、本日の議題は第一次試験でございますので、その部分に絞って御意見を頂戴したいと思います。また、事務局が説明した第一次試験の目的・程度等、技術士補の称号についても併せて御意見をお願いしたいと思います。広報につきましては、また後で御議論をお願いしたいと思います。
 それでは、これから議論したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
まず、第一次試験の目的あるいは程度ですが、福山主査代理からもIEAのGAを踏まえた試験の程度とすることがよろしいのではないか。あるいは、高等教育機関における技術者教育によって習得すべき知識を確認すべきではないか。そういう御意見を頂戴しています。
これらについて、少し御議論をお願いしたいと思います。
 私が知っている限りでは、先ほど御説明いただきました資料5の専門科目の大くくり化も関係するんですが、それぞれの部門ごとに、10年ぐらい前に内容を見直したと思います。そのときに、部門によって随分考え方が違っていて、私はそこのところの整合性がまだ十分とれていないのではないかと思います。機械部門は4力学が中心になっているんですけれども、部門によっては第二次試験と全く同じ専門科目ということになっているところがありまして、そのあたりは今後、考え方を統一していくべきではないかと思います。
 ここでは基本的な方向性として、例えばIEAのGAのようなものを意識して、試験制度を設計すべきではないかという御提案があったと思います。そのあたりを、御意見を頂戴できればと思います。

【岩熊委員】 よろしいですか。私は、技術者教育に関する分野別の到達目標の設定に関する調査研究に2年間参加させていただきました。工学系の学生が卒業したときにこれだけは身に付けてほしいという、到達目標を、5つか6つぐらいの専門系で整理してあります。これはGAも参照したもので、大学教育の連携とか大学教育とのつながりもあるので、そういうのも参考にしていただければと思います。調査研究の報告書(緑本)の中に、各専門分野別に5段階程度の表があって、普通はこのぐらいだけれども、このぐらいまでやってほしいと整理したのがあります。

【池田主査】 基本的な方向性をまず決めておかないと…。

【岩熊委員】 そうですね。

【池田主査】 なかなか後の試験制度の議論が進まないものですから、そのあたりをまず、私は確認しておいた方がいいのではないかと思います。

【奥野委員】 ちょっと質問ですけれども、今、JABEEの認定課程を修了された方は、第一次試験免除というか、適性科目だけを見させていただくということ?

【小林係長】 免除です。

【奥野委員】 適性科目も免除ですね。この方たちが登録する専門技術部門と、大学の学部学科というのとは、マッチングはどういうふうになっているんでしょうか。学科ごとに部門が指定されているんですかね。土木工学科であれば建設部門だとか、そういうふうなことですね。

【小林係長】 そうですね。

【池田主査】 もし、基本的にGAを中心にすると、先ほど係長から提案があったように、資料5の5頁、専門科目の範囲はそれぞれの部門で変わらないように、基本的に考え方を統一した方がいいのではないかと。実務側からの視点でまとめている専門科目のところと、大学側からの視点でまとめるところと、両方入っていまして、そこはちょっと分かりにくくなっているような気がします。
 この前の改革のときにそういう方向になってしまったので、これから技術士制度が国際的な視点で通用する、あるいはそういう視点で考えると、大学の卒業程度の学力を確認するという方に統一していった方がいいような気がするんですけれども。その場合、今いる技術者をどうするかという話が出てくるんですが、それは例えばある程度、この新しい制度が何年か先にスタートする、その間の猶予期間がありますので、その間に取っていただくとか、そういう方向があり得るかと思います。
 ほかの委員の方々の御意見を頂戴したいと思います。そこのところをしっかりしておかないと、また議論が蒸し返されると大変なので。どうぞ。

【吉田委員】 私も、福山主査代理の私案にも記載されておりますし、事務局の用意した第一次試験についてにも、ほぼ基本的に原理原則では合っている内容になっていると思うんですね。
1つは、先月の技術士分科会で承認されました来年度の試験実施大綱で求められている技術士の第一次試験の中身というのは、それにIEAのGAと同じで、ずっと協議してきて双方がそれで認めてきた、いわゆる自然科学系の大学ではある程度、基礎・専門学識を勉強する、その程度を検証すればいいという中で、前にも私がお伺いしたように、JABEEの認定基準はワシントン・アコードに合致しているから第一次試験免除ですと。
ただ、福山主査代理からも御指摘があったように、私も日本の法制度の中での高等教育で、理工系の課程を卒業した人間、JABEEの認定は受けていないコースを卒業したんだけれども、やはりここは、資料5の2頁にあるように、基礎科目と専門科目は第一次試験の中で免除してもいいのではないかと。
 何が違うんだろうかというと、現行の試験制度の中では適性科目というのがあるんですね。これだけは、JABEEの認定課程以外の卒業者は受けてくださいと。それから、大学課程ではない、いわゆる工業高等学校、あるいは、もっと言えば義務教育しか受けていなくとも、独学で勉強して技術士になりたいという道は残すべきであって、それは第一次試験の全ての科目を受けてもらうという、福山主査代理が示したいわゆるJABEE認定コースを卒業した修了者と、そうではないけれども大学のエンジニアリング課程を卒業した方と、それ以外の方というふうに、3つに分けて試験制度を整えていくというのが最もよろしいのではないかと思います。
 そこで、この大くくり化ですが、実はこれは日本技術士会の中で検討してもらったんだろうと思うんですが、ある系で大くくりする。私はこの文科省の告示というのがよく分からないんですが、拘束力がどうあるのかが分からないんだけれども、告示が変更できるような資料の記載があるとすれば、変更しても、もう少し大くくりに、今の学問というのは機械工学でも、ほかのいろいろな学問と余りはっきりボーダーが分かれていないですね。例えばロボット工学を見ても、機械工学も必要であるし、制御工学も必要であるし、電気工学も、全て必要なわけですよね。だからそんな中で、そういう複合的な技術を有する技術者が今後育たないと、産業界も立ち行かないと思うので、もっと大くくりにして、広い範囲の中から自分の専門性を見つけていくというのがいいのではないかと思います。

【池田主査】 今、吉田委員がおっしゃったのは、法令集の中に。

【吉田委員】 はい。

【池田主査】 72ページに出ています。ここで告示されています。ここは明瞭に決まっていますので。

【吉田委員】 だけど、告示が変えられるという記載があるので、それであれば、変える方向で大くくり化した方がいいのではないか。告示があるのは知っているんですけれども。

【池田主査】 私が申し上げているのは、この中でそれぞれの部門ごとに、中身は随分違うんですね。考え方が違うので、そこはきっちり整理しておかないといけないだろうと。その整理するときになる根拠というのが、GAを確認するということで整理していった方がいいのではないかと私は思うんですけれども。
 これを見ますと、これはちょうど10年前に議論したときに、大学卒業程度という大学の側、卒業制度の方から改正して変えた部門と、使用者側からの意見が強いところと両方あって、そこのところがうまく整理できなかったというのが10年間続いているわけですね。それについて、今回は整理しておいた方がいいと思います。そういうことになると、この告示の試験、専門科目の範囲を整理しておくべきではないかと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

【吉田委員】 はい。

【岩熊委員】 私もそう思います。というのは、この平成22年の検討資料を初めて見ましたけれども、同じようなことをずっと気にしていまして、基幹技術系と、それから技術を施す系と、必要なことは違ってくる。明確にできない系列もあります。そういう観点から今の部門を大くくりしていくということと、大学教育の現状をしっかり受け止めた整理をすべきではないかと思っています。
 法律を改正したりしなくてはいけないので、ちょっと乱暴かもしれませんが、今の第一次試験は、今の技術部門の名前にこだわらなくてもいいのかなぐらい、少し飛んで考えてみたらどうかと思っています。

【池田主査】 ありがとうございます。分科会の方で、大くくりにしたときに範囲が広がるので…。

【岩熊委員】 そうですね。

【池田主査】 場合によっては不利になる人が出てくるという御意見があるのは、これはテクニカルに私は解決できるのではないかと。

【岩熊委員】 はい、そうですね。

【池田主査】 その部門で試験を出して、それで選択を3分の2で取るとか、そういうふうにすれば解決できる問題ではないかと思いますね。そうすると多分受験者も、ほかのことに少し関心を持って、少しは勉強するかもしれませんので。第一次試験は公表しますよね。ですから当然、勉強するときにはほかのところも読むはずですから。

【岩熊委員】 そうですね。

【池田主査】 私はその方が、若い人たちが勉強してくれるのではないかという気がいたします。

【岸本委員】 よろしいですか。

【池田主査】 どうぞ。

【岸本委員】 流れとしては同じように考えていますが、表現の仕方を変えていった方がいいかなと思います。現在は第一次試験、第二次試験と呼んでいますが、適格認定された教育プログラムの卒業者は、卒業した時点で「技術士補」になれて、実務経験をしかるべき行えば、技術士の本試験(第二次試験)が受けられると整理した方がいいのではないでしょうか。
そうでないプログラムの人たちは、どういうプログラムをちゃんと勉強してきたかが客観的に分からないので、試験を受けてもらって、それによって適格認定されたプログラムを修了したものと同等の能力があると認められれば、そこから先は修了者と同じようにしようというふうに整理した方がいいと思います。第一次試験、第二次試験というと、どうしても免除とかいう話になるので、もともとはそういう仕組みであるというふうに考えを変えた方がいいかと思うのが1つです。
 では、福山主査代理が言われるような「グループ2」、「グループ3」というものの試験免除をするときの根拠が、実は非常に難しい意味もあるのではないかと。というのは、大学側が自由に教育している状況なので、それが外から、どういう内容で教育しているかが分からない状況で免除という、個人的なことで免除はやはりできないのかという気がしているんですね。

【池田主査】 そうですね。

【岸本委員】 何らかの証明が要るので、それをどうするかという問題は、慎重に考えた方がいいかと思います。

【池田主査】 実はそれを、私も考えて、実際に、免除するときにどうしようかということになると、相当難しいですね。そのエビデンスがなかなかとれないような気がするので。

【岸本委員】 大学がエンジニアリングの学位を与えているといっても、それは分野別で認証していないので、どこからも外からカリキュラムの内容で、やろうとしたらシラバスをちゃんと調べて、どういう基準で単位を認定しているかを調べるということまでやらなければいけなくなると、JABEEが認定するのと同じぐらいのことを実際にやらなくてはいけない。

【池田主査】 それもなかなか、そうなんです。

【岸本委員】 だから、むしろこういう大学が全部、ちゃんと適格認定してもらう方向に仕向けていった方がいいのかというふうにも思いますので、安易にここのところで、受験者を増やすために免除という形にはいかない方がいいのではないかということもあるので、慎重にした方がいいというのが1つ。
 もう一つは、そういった中で、第一次試験の分野と、技術士になるときの分野は、直接はつながっていないんですね。ということは、第一次試験の分野と第二次試験の分野を余り連結させない方がいいのではないかというのが考えられます。
一方でば、大学のプログラムがある分野で認定されると、その分野でない技術士補に登録できないという問題があって、実は別の分野の技術士になりたいんだけれども、技術士補に希望する分野で登録できないという課題があると伺っています。これは記憶で言っているので間違っているかもしれませんけれども、そのあたりの課題もあるので、そういうことがないようにするまでには、いわゆる第一次試験をおおくくりにしていった方が、いろいろな部門を目指す人にとっても道が開けるのかと思います。

【池田主査】 そうですね。どうもありがとうございます。

【岩熊委員】 今の御意見に関連するのですけれども、先日、日本技術士会の第一次試験合格者の祝賀会のときのアンケートで、20代の参加者が31人いました。技術士補に登録すると答えた人が11人いました。それから、数年後に第二次試験を受験するというのが13人です。すると、技術士補に登録しようと思っている11人の方たちが、今委員のおっしゃったようなところに、かなりつまずくのではないか。合格したときは細かいことは知らないので、登録して進んでいこうと思っておられると思うのですね。ですから、前回の議論にもありましたね、そこのところのハードルを少し考え直さないと、こういう人たちのモチベーションを上げていくというところで少し気になるところです。

【池田主査】 そうですね。それは福山主査代理からも問題提起があったと思いますね。

【岩熊委員】 はい。

【池田主査】 それでは、技術士補の称号の問題も私はあると思うんですが、第一次試験の名前をどうするかというものを、今、問題提起があったと思いますが、その後の第二次試験に至るまでのプロセスで、今3つのコースに分かれているわけですが、そのあたりについても御議論をお願いしたいなと思います。
 これは、修習技術者になるということで、そこで登録すると技術士補になるわけですね。そこで技術士補になった方は4年、総監は実務7年ということなんですが、指導技術士を得られない方は、また年限が違うというような、非常に複雑なプロセスになっているわけですが、そこもできるだけすっきりさせた方がいいのではないかと個人的には思っていますけれども。そのあたりについての、あるいは技術士補という名前がいいのかどうかということも含めて、御意見を頂戴できればと思います。

【奥野委員】 発想はどういうところにあったんでしょうかね。指導技術士がいて、そこで修業を積めばいいと。ある種の徒弟制度のようなものが一番根幹にあったのでしょうか。

【池田主査】 経験を積むプロセスですので、指導者がいた方がいいのではないかというような、考えがあったんでしょうね。

【奥野委員】 そういうことなんでしょうね。

【池田主査】 それが得られない方は、優秀な技術者というのが何か定義されていて、その方に付くということも可能だということになっていると思います。できるだけ指導してもらって育っていくというような考え方なんですね。
 それから、いろいろ考えて、補というのは言葉として問題があるのではないかと思うんですね。測量士補というのは、測量士補でも仕事ができるんですね、基本的に。ところが法律の場合は、司法修習生じゃなかったかと思います。あれは試験を通っただけでは恐らく仕事ができないんですね。その場合は、だから補の形になっていないんですね。ですからそこは、技術士補と称しながら、実際は仕事ができないというのは、普通ではない名前になっているんじゃないかという気がいたします。そのあたりを、本当に指導制度が効果を上げているのか、あるいはむしろCPDに倣って、IPDみたいな形をスタートさせた方がいいのか、そのあたりは議論しておく必要があるのではないかと思います。

【奥野委員】 ここは指導を受けた、受けないの問題ももちろん、技術士としてのいろいろな技術だけじゃなくて、適性的なものもいろいろ指導を受けるという意味はもちろんあるんだろうと思うんですけれども、大事なのは、どのような実務経験を積んでこられたかということなんだろうと思うんですよね。そうすると、第二次試験を受ける段階で、これまでの実務というものをちゃんとチェックする仕組みがあれば、補であるかそうでないかを分ける必要はないのかもしれないという気はいたしますね。

【池田主査】 今は第二次試験のときに業務経歴を、前よりは大分詳しく書いていただくことにはなっていますよね。

【奥野委員】 そうですね。試験の中からこれまでの実務経験の記述が大分簡略化されたものですから、むしろ経歴をしっかり書いてもらって、口頭試験の段階で確認できるようにということで、制度も少し運用が変わっていますけれども、そういったことも含めて、しっかりとした経験を積んでいるということのチェックを、第二次試験でちゃんとやるということも考えられるかと思います。

【池田主査】 やはり技術者が、若い方が成長していくのは、みずから学ぶということと、業務の中でトレーニングを受けるという、2つあるのではないかという気がするんですね。その中で、指導技術士の位置付けというのは今、実際はどんな状況でしょうかね。それが効果を上げているのかどうか。そのあたりは何か調べたことはありますかね。データとしてはないですか。

【吉田委員】 簡単に言えば、第一次試験に合格して、登録して、4年間で第二次試験を受験している割合がどのぐらいあるかということ。それは、データとしてはないですか。実務経験4年で。

【日本技術士会】 今年度の第二次試験の受験申込者を調べましたところ、全体のうちの約95%が7年の実務経験で申込みされていらっしゃいました。

【吉田委員】 7年ですか。

【日本技術士会】 あと、技術士補と、優秀な監督者の下での実務経験というのが合わせて約5%ですが、その中で、技術士補の実務経験として願書を出した方は1.6%ですね。その中で本当に技術士補としての実務経験でしか受験できない人は、1人ぐらいしかいませんでした。実際、今、第一次試験の合格発表後に技術士補の登録の申請が出てきていますが、40代、50代の方も非常に多く申請されています。多分、理解していないで技術士補の登録をしているのではないかと思います。、したがって、本当の意味で技術士補の実務経験での受験者というのは、ほとんどいないと思います。

【池田主査】 なるほど。実態としてはそういうことになっているわけですね。

【日本技術士会】 はい。

【奥野委員】 やはり補という名前は、これで何か仕事ができるというイメージは強いですよね。

【池田主査】 ですね、基本的には。

【奥野委員】 ただ、それを本当に諦めてしまうのかというのは、先日来もう一つ話題になっています、第一次試験合格者をもう少し活用する手段がないのかという、これは何度も同じことを申し上げますが、活用するかしないかは活用する側の論理であって、試験制度としては、そういう人はいますよということを保証すればいいということだけなのかもしれませんけれども、大くくり化の話ともつながるんですが、何かある分野を任せられる仕事をしてもらえる人だという位置付けをするのかどうかというのと関わってくると思うんですね。

【池田主査】 基本的に大学卒業程度の学力確認ですよね。そうすると、それで何か資格として仕事できるというのは、やはりちょっと無理があるような気が私はするんですね。そのあたり、どうでしょうか。

【岸本委員】 そのあたりは、例えば会社の中で、エンジニアとして採用した人と総合職として採った人とでは、最初から違う仕事をさせていますよね。今、修習技術者であるかないかというのを、会社の方が区別していませんが、そこで区別すれば、と申しますか,自然に区別されていると言った方がいいのかもしれませんけれども、実際の仕事は自然に異なっていると思うんですよね。それを、より明確にしていただければいいのかという気もしているんですね。ちょっと話が曖昧かもしれませんが。

【福山主査代理】 これは技術士になるための試験制度であって、試験制度というのはできるだけ多くの方が受験して、合格していただけるような仕組みになっているのではないだろうかと。だから、技術士補になって、指導者の下に勉強、研さんを積んでいくと、技術士になりやすいですよと。
 ところが一方で、時代がだんだん変わってきて、中小企業の方が技術士を目指したいといったときに、なかなかそういう優秀な技術者とか、指導していただける技術士がおられないために、試験制度上は仕組んだんだけれども、その制度にうまく適応できないグループもきっとある。そこを何か手当てしないと、公平性が保たれないのではないかという私の感覚なんです。
 一方で、今議論がありましたように、技術士補というのを企業とか社会で有効に活用するにはどうしたらいいかという議論は、余り深まっていないのではないかという気がして、でもそれは、この技術士制度を普及させていく、社会に役立つ技術士制度を作っていくためにも、すごく重要な観点ですよね。その名前を変えることも含めて。だから、制度がうまくいくための、若しくは技術士をたくさん創出するための流れと、できあがった技術士をどうやって使っていくかという流れと、2つ考え方があるのではないかという気はするんです。

【岩熊委員】 もしお分かりだったら教えていただきたいのですけれども、昭和58年に技術士補ができ、この頃というのは吉田委員、御存じですか。技術士そのものを、建設分野で活用はまだしていなかったですか。技術士は今、建設分野は非常に活用が進んでいますけれども、そもそもこの技術士補を作ったときに、技術士そのものも単なるキャリアの証明であって、資格として業務に活用するという動きがどうだったのか。

【奥野委員】 建設部門はもう昭和58年だと、活用していたはずです。

【岩熊委員】 活用していましたか。

【奥野委員】 ええ。

【吉田委員】 いや、補は別として。

【奥野委員】 技術士は。

【吉田委員】 技術士は活用されていた。

【岩熊委員】 そうすると、そのときに建設分野で技術士補は、特にそういうことは全然取り上げなかったということですか。

【奥野委員】 その議論は余りなかったかもしれない。昭和58年頃も…。

【吉田委員】 私の記憶が曖昧なんですが、国会の科学技術委員会でこの制度改正の議論をした議事録を読むと、昭和58年ぐらいのときに、いわゆる差別だという話になったんですね。それまでの技術士試験というのは、受験要件に大卒という学歴要件があったんですね。そうすると、工業高等学校を卒業した者はなれないのかと。それでもって、こういう制度を仕組んだんですね、第一次試験を。だからそこを、工業高等学校とか、いわゆる大学卒業者以外は必ず第一次試験を受ければいいのに、そういう話だったんですよ、昭和58年は。だから、大卒は第一次試験なしでもずっと、7年の実務経験で第二次試験が受けられたんです。
 その上に、APECエンジニアプロジェクト創設のときに、ワシントン・アコードだとかごちゃごちゃになりまして、結局第一次試験はマストというか、全てのJABEEの認定を受けていないところを卒業した人は、学校の種別に関係なく全員受けなければいけないと。それがIEAのGraduate Attributesと合致するんだという、非常に乱暴な話で決まったんじゃないかと個人的に見ているんです。というのは、日本のいわゆる大学設置基準とか、国内法できちんと大学の高等教育はこうあるべしというふうに決まって、その認可を受けて、カリキュラムは、全ては認証されてはいないものの、いわゆる基礎工学だとか、そういう専門的な知識は全部、卒業までに修得して卒業しているはずなんですよね。

【岸本委員】 でも、そこのところが大学の多様化なので、必ずしも技術者教育をしているというわけではないというところもあって。

【吉田委員】 だけど、例えば今でもそうだと思うんですが、工学士という学士を与えるんであれば、これは国内においては大学のエンジニアリングコースを卒業したんだと認めてやるべきだと。それは第一次試験免除であろうが何であろうが、結局本試験である第二次試験を受からないと技術士になれないわけだから、免除してもいいと思うんですよ。第二次試験でできなければ、いくら受けても技術士になれないわけですから。ハードルがもう一つあるということだから、免除してもいいのではないかと言っているわけです。

【池田主査】 工学のところと、それから、これは部門が広いので、農学とか応用理学みたいなところがあって、必ずしもGAで要求しているものが合致していないところがあるんです。そこはなかなか難しくて、そうすると、今岸本委員もおっしゃったように、非常に今の大学教育、多様なものですから、例えば、数学はやらずに理数系と称して卒業するところもあるし、それを、1つ1つプログラムをチェックするということになると、これは相当な労力が必要になってくるので、本当にそこまでできるのかという心配を持っています。

【岸本委員】 結局、プログラムごとにチェックしないとならないということになるように思いますが。

【吉田委員】 いや、技術士制度側から見れば、第一次試験はいわゆる工学の自然科学系の基礎的な学識があるのではないかというふうに規定するんであれば、もうJABEEの認定コース以外の大学の工学あるいは理学、農学という、いわゆる大くくりで技術系の大学を出た者は免除して、それで第二次試験というか、本試験の技術士の試験をきちんと通らないとならないわけですから。

【岸本委員】 例えば技術士資格の国際的通用性を考えたときに、既に日本の技術士の試験試験のやり方は他の国とは違うと、言われているのは、要するにエンジニアリング教育を受けてきていない人たちでも、試験を受ければこのパスができること自体が、少し問題にされているわけですね。その中で、適格認定がされていないところまで全部免除するということになると、国際的同等性に対しては非常に問題が大きくなってくるのではないかと思いますけれども。

【池田主査】 そうね、そこはちょっと心配なところですよね。

【松尾課長】 パスを作ったとしても、最後の第二次試験のところで確認して、落とすと。そうすると、パスがあったとしても、それは確実に落ちるので。

【岸本委員】 もともとエンジニア教育を受けていないものがエンジニアの実務ができるかどうかということ自体に対しても、問題視されるわけですね。要するに、実務経験を積む時点で…。

【松尾課長】 基礎能力がないのに。

【岸本委員】 基礎能力がない人にエンジニアリングの仕事をさせていること自体を問題にされると。

【松尾課長】 なるほど。入り口で落としておかないと、実務経験をさせることもできないはずだということ。

【岸本委員】 これも問題になるのではないかと。

【池田主査】 いわゆる高等教育相当だということを証明しておかないといけないですね。

【岸本委員】 いけないということですね。

【池田主査】 そういう証明されていない方がエンジニアリングの仕事をしていいのかということを問われる可能性があるのではないかと。

【吉田委員】 いや、私はないと思いますね。それは説明の仕方だと思いますね。というのは、現実にJABEEの認定コースを卒業した方の受験者数は非常に少ない。それで受験者に対しては、合格率はものすごく悪いと。一般の大学にいるよりは。

【岸本委員】 だから、今は国内のことを中心に考えているから、そうだと思いますけどね。

【吉田委員】 それで日本技術士会としては、ワーキンググループの中で、第二次試験の中で、IEAが求めるProfessional Competencyを含んで、きちっとそういうものが確認される試験であると。また、そういう試験にすべきだということで検討して、報告書を出させていただいていると思うんですけれどもね。そこで、第二次試験でそういうのが確認できればいいわけですね。

【松尾課長】 そこはエビデンスですよね。例えばワシントン・アコードにしても、APECエンジニアにしても、最初でそれに必要なのか、最後だけでいいのか。そこは国際通用性でやるのであれば、その国際的に通用するシステムがどちらかによって、合わせていけばいいことになるわけですよね。

【池田主査】 第二次試験は基本的に、ユーザー側ね。

【松尾課長】 ユーザー側です。

【池田主査】 というのを意識したら、私はいいと思うんですよ。第一次試験はやはり大学卒業程度の学力を確認するというのが基本ではないかと思うんですね。

【奥野委員】 技術士へのステップの第1段階として、国際的に通用する素養を身に付けているかというチェックだという御指摘だと思うんですけれども、それはそういうふうに理解すれば分かるんですが、技術士試験の第一次試験で、ちゃんとした大学教育を受けているかをチェックするんだと余り言い過ぎると、試験が本末転倒でないかという気がするんですよね。だから、あくまでも技術士へのステップ、その前提で皆さん、お話しになっているので、そのとおりだと思うんですけれども、免除するかしないかは別として、第一次試験の意味付けとしては、技術士へのステップとして、これだけは身に付けておいてもらいたい素養をチェックするんだというようなことなんでしょうか。

【池田主査】 それが、素養というのがGAだと思うんですけどね。

【奥野委員】 そういうことですね。それは特に国際的通用性ということを念頭に置いたときに、必要とされる素養だと思うんですね。海外で仕事をすることを前提にしなければ、何もGAに合致していなくたって、日本国内で認められればいいわけですから。だけど、これからはそうはいかないということだろうと思うんですよね。

【福山主査代理】 それと、海外の方が日本で仕事されるときに、ちゃんとしたGAを持った技術士であるかどうかというのは、それなりに評価して受け入れなくてはいけないんだと思うんですよね。

【奥野委員】 そうですよね。

【福山主査代理】 それは双方向にあるような気がして。

【奥野委員】 双方向ですよね。

【松尾課長】 ポイントは、入口でそれを確認する必要があるのか、出口でやるのかと。もし実務経験をするにも入口でそれが必要なのであれば、それに合ったようなものにしていくということですよね。それがもし、例えば言われたように、JABEE認定課程であればそれを全部満たしているので、免除ということではなくて、これが基本ですと言ったときに、基本ですと言えば。あと、大学卒業程度ということであれば、例えば工学系を卒業していれば、それでよしとして、GAと合致しているのかどうかと。あとは適性だけ。
 これは免除と言うから難しくなるので、なしを前提にして、みんなとにかくJABEE認定課程だと技術士補になれるところというか、技術士を受けられる資格を設けられるということにして、それをメインにすれば、それに足りないものを足していけばいいことになりますよね。それが例えば工学系の非JABEE認定校であれば、基本的に大学卒業程度の学力は卒業生だからあるとすれば、適性を付加し、それ以外の校であれば、大学卒業程度の試験を受けて入口に出るという付加をし、というようなことでいいんであれば、何となく福山主査代理の、発想は免除という発想ではなくて、付加という発想になるんですけれども。
 そうすると、はっきり言えば、補というのは要らなくて、とにかく第二次試験はみんな受けられますと。とにかく実務経験があってという発想に立てば、福山主査代理の案はすごくしっくりくるんです。でも、それがおかしい、やはり補が必要で、そのハードルはというのであると、またちょっと発想を変えなくてはいけないんですけれども、それはもう国際通用性なので、どちらで見るのが国際通用するかというのを、エビデンスを確認すればいいだけのような気が。

【福山主査代理】 今、吉田委員がおっしゃったことに関連して、私の私見の3ページの3.1の(1)に、「国際的同等性が担保されているグループ1を標準とし」と書きましたけれども、この標準というのを何か作らないとだめなのではないかと思います。それで標準は、WAとかのGAだと。

【松尾課長】 これも標準です。

【福山主査代理】 それを標準にしながら、いろいろなそれ以外のところを、どうやって合わせていくかということではないかと思っているんですよね。

【池田主査】 基本的にはそうですね。それに合わせるんだけれども、本当に工学系の大学を卒業しただけで、それが合っているかどうかということが…。

【松尾課長】 そうです。そこはエビデンスを確認。

【池田主査】 それが外国に対してちゃんと言えるかどうか。

【松尾課長】 言えるかどうかです。

【池田主査】 そこのところをしっかりしておかないと、技術士全体を問われるので。

【松尾課長】 おっしゃるとおり。

【岸本委員】 日本が先に工学分野が、教育が発展していたので、こういう制度を作らなくても、エンジニアで働いている人がたくさんいて。

【池田主査】 実態はね。

【岸本委員】 それが実態になっているんですけれども、これから新しく制度を作っていく国では、適格認定されていないプログラムを出た人は、エンジニアとしての登録さえできなくなっていくという形で、職に就くかどうかという問題ともなってくるので、そういった意味からすると、修習技術者というのはエンジニアの職に就ける人たちの集団ですけれども、日本はそれだけで囲ってしまうことができないので、どうしてもある程度、現状と考え合わせながらものを作っていかなくてはいけない状況にあると思いますけれども、だんだんほかの海外でやっているエンジニアの働き方とそろえていく必要があるのではないかと思うんですよね。

【福山主査代理】 あと1つ、私の資料2の4ページの、グループ1、2、3と分けましたよね。これはあくまで考え方の問題なんですけれども、それを整理したつもりです。実態はどうなんだと。例えば昨年の受験者をグループ1、2、3と分けると、ここはどういう比率になって、どの流れを通った人が一番メインになっているんだと。そういう実態を見て、もう少し軌道修正をするなり、何かする必要があるのではないかと思っていまして、そういうデータを提出していただくことは可能ですかね。

【池田主査】 感覚的には、グループ2がメインストリームのような気がしますね。

【吉田委員】 まずグループ1は、やっと1,000人超えた程度ですから、パーセンテージから言ってもえらく少ないですから。

【福山主査代理】 そうですよね。それで、グループ1を標準にすると言いながら、しかしそこが少なくて、しかもそこの人が技術士になる可能性というか、確率はすごく低いということは、逆に言うと、IEAのGAを標準とすると言いながら、標準が生かされていないことだよねと。これに対して、日本の技術士制度はどう思うのと問われたときに答えがないような気がしていて、こういう課題がありますよと書きました。

【吉田委員】 いや、逆に、分かりませんけれども、エンジニアを育てるのに、IEAのGraduate Attributesが本当に正しいのかどうかという問題があるわけです。私はそう見ているの。なぜかといったら、技術士になるのが少ないんですよ。こういう認定コースを出てエンジニアになりたいという人が少ないわけだから。

【中谷委員】 それは広報の話と交ぜて話をしていかないといけないと思うんですよね。

【池田主査】 システムの問題なので。

【中谷委員】 大学でJABEE認定の教育を受けた人たちが、自分たちのキャリアの目標値に技術士というものがあるんだということを知らないという状況もあるわけなんですよね。ですので、グループ1というのが実際に…。

【吉田委員】 3万枚お配りして。

【中谷委員】 3万枚配っても、それは。

【岸本委員】 それと、今の日本の若い人たちにとって、それだけ技術士資格が魅力があるのかという。

【中谷委員】 必要性も感じていないと思うんです。

【岸本委員】 必要性を感じていないということだから、取らないんだろうと思うんですよ。

【奥野委員】 一番根本は、そこだと思うんですよね。

【吉田委員】 それは否定しません。技術士の魅力がないというようなね。これは技術士の生い立ちからそうなんですよね。名称独占ですから。

【中谷委員】 そうすると、日本として、グループ1、2、3、どれを推奨していくのかということを考えていかないといけないと思うんですね。もしも大学に対して、きちんとしたカリキュラムを作って認定を受けて、そして教育して、修了者を出していくということを推奨していくのであれば、やはりグループ1を基本とするべきだと思います。
 で、JABEE認定を受けていない人たちというのは、それなりにガードをくぐり抜けていってもらわないと、技術士としての基礎知識を持っているかどうかというのは、どこでも検査されないですよね。その基礎知識を持っているかどうかというのを第二次試験で検査しようかというと、そうするとJABEE認定を受けた教育をきちんと受けてきた人たちが、そこにひっかかってきますから。そうすると第一次試験というのは、やはり必要な関門にならないといけないと思うんですよ。

【吉田委員】 第二次試験も、専門的な問題を出しているわけです。

【中谷委員】 もちろん。基礎的なということです。

【吉田委員】 だけど、これができないんですよね。要するに、JABEEの認定校を卒業した人たちは。それが明らかなんですよ、合格率からいっても。十七、八%、一般であるとしても、JABEEの…。

【岸本委員】 もう一つは、今の技術士の第二次試験が適切なのかという。

【吉田委員】 先生、そういう議論をしたら、僕が言った議論になるわけですよ。今のJABEEが適切なんですかというのになるわけです。

【岸本委員】 両方の話。

【池田主査】 実態は、日本人の議論というのは、まず実体論から始めるんだけれども、国際的な流れは、体制、システムなんですね。システムをしっかりしておかないと、そこを突かれてしまうんですよ。日本の、外国へ行くときに、いつもそこを突かれてしまうんですよ。あれもそうですよね、何というんでしたっけ。

【岸本委員】 ISO。

【池田主査】 ISOとか、ヨーロッパの人々は非常に上手で、そこで突かれてきて、やられちゃうんですね。私はやはり今回は、仕組みをしっかりしておくべきではないかと思っているんですけれども。

【奥野委員】 そういう位置付けだとしますと、今の第一次試験が4年制理工系大学程度の専門的学識の有無を判定するという、この目標設定がおかしい。これは、国際的に通用するエンジニアの入口として、それを持っているかどうかを判定するというように変えないと、おかしいんですよね。なぜなら、文科省でおやりになっていることで、4年制大学、工学系の認可した大学を出てきた人が、この人がひょっとしたら専門的能力を持っていないかもしれないと。文科省の立場としては、それは言えないはず。

【中谷委員】 文科省は何をやっているんだと。

【奥野委員】 そういうことになると思います。

【池田主査】 確かに言われてみると、そうですね。

【吉田委員】 卒業試験を合格して卒業してきたのに、卒業したかどうか、もう一回やるぞと。

【奥野委員】 もう一回、卒業試験をやる。

【吉田委員】 だから、学士を持った人間は、あるものだけを受けて、それを通ってくればいいと。

【池田主査】 第一次試験を、とにかく基本的なところを確認するという試験にして、これは本当に合格率を常に50%以上になるように設定して。

【奥野委員】 そうしますと、単なる免除ではなくて、グループ2と3の方で、試験の問題をがらっと変えてしまうということもあるのかもしれないですね。

【池田主査】 そうです。

【岸本委員】 私はそうすべきだと。

【吉田委員】 免除と言うから何かおかしいんですね。

【奥野委員】 グループ2の人は、大丈夫だと思うけれども、国際的な面からちょっとチェックさせてくださいと。それからグループ3の方は、基本的な素養をチェックさせていただきますということになるのかもしれないですね。

【福山主査代理】 今おっしゃったようなお考えで、私はいいと思うんですけれども。

【池田主査】 今の状況から言うと、全く何もしませんというわけにはいかないでしょうね。これは日本の資格制度そのものを疑われる可能性があるので、そこはやっておいた方がいい。これがとにかく、問題としては本当に基本的なところを聞いて、専門的なところは第二次試験でしっかり確認できるので。

【奥野委員】 最終的には。

【池田主査】 そういう方向がいいのではないかと。

【岸本委員】 専門的なところというのが、単に知識を問う形になってしまうとまずいと思います。現在は、、問題解決能力だとか課題設定能力だということを問いましょうとしているので、それは単なる知識ではないはずです。専門といったときに、どこまでの範囲に絞るかというのも、現状でいいのかどうかという課題もあります。技術士の、20の技術部門でも細かく分かれ過ぎている嫌いもあるわけで、その方も大くくりするのかという議論もありますが、そこまで踏み込んでしまうと、今回とても間に合わないので、そちらはちょっと置いておいてもいいかと思いますけれども。

【池田主査】 第二次試験はユーザー側の論理がありますので、これは福山主査代理のお書きになったように、社会や企業が求める技術士をという議論がありますので、そこはそういう需要があるということを前提にすると、余りいじれないところもある。

【岸本委員】 例えば逆に言うと、技術分野があっても、ここの技術士の部門としてないものがあったり。

【福山主査代理】 岸本委員、私は提案にも書きましたけれども、第一次試験の基礎科目というのがありますよね。この基礎科目の中に、IEAのGAに出ている、例えばマネジメントやリーダーシップとか、チームワークとか、デザインとかを入れたらいいのでないかと。それは難しいとまた合格しませんので、一般的な本当の基礎がきちんと問われるような問題。だから、試験問題の作り方がまた難しいかもしれないんですけれども。

【松尾課長】 試験にする内容ですね。

【池田主査】 そうですね。基礎科目は見直す必要があるでしょうね、恐らく。

【福山主査代理】 そうすると、第一次試験でGA相当というのが担保されるのではないだろうかと。もうちょっと話をしますと、総合技術監理部門というのが、21部門としたときには、やはり第一次試験を受けてもらいたいと。

【池田主査】 そうです。

【福山主査代理】 そうすると、みんな21部門はGAだとなると思うんですよね。

【池田主査】 そうです。それは今度、総監のところでも議論になると思いますが、第一次試験をやはり課すべきだろうと思いますね。課すべきというか、その道を作るべきだろうと思いますね、21ということになれば。

【松尾課長】 総監を取れるようなルートということですね。

【池田主査】 ルート。

【岸本委員】 実際にそれを、理想的には試験でできればいいということですけれども、例えば、OECD AHELOの取組で、期待する学習成果に対応する問題を作って試験をして,その達成度を世界的に比較できないかという研究が行われました。実際には、個々人の達成度を測ることができるかということに対しては、記述試験も含めてやっても非常に難しいということになっています。現状の問題を相当工夫しないとそのような能力を測るのは本当は難しいのかと。やはり大学教育がちゃんとされているということを、分野ごとに適格認定していった方が本当はいいんですけれども。でも、やってみようというのは大事なことだろうと思います。

【福山主査代理】 それで、先ほど申し上げた1、2、3の流れに、どういう分布で受験者が入ってきて、結果がどうだというのは、何かデータを出していただくということをここでお決めいただくと、私も次の発展形が作れるような気がするんですけれども。

【岸本委員】 そのデータなんですけれども、ある程度、経時変化が見える方がいいかと思うんですよね。

【福山主査代理】 そうですね。

【岸本委員】 どういうふうに変わってきているか。

【福山主査代理】 トレンドがね。

【池田主査】 そうですね。グループ3というのは、どれぐらいいるんでしょうね。この中の10%ぐらいですかね。分かりませんか。

【日本技術士会】 今はデータがございません。毎年それは集計しております。

【池田主査】 基本的には、第一次試験の目的について、奥野委員から御指摘いただいたように、GAを踏まえた試験の程度と、資料3のここに書いてあるように、これを1つの目的にして、試験のやり方についてはもう少し工夫するということでしょうか。それは工学系を卒業している方とそれ以外とで、ちょっと試験の中身が違うかもしれないということかと。

【奥野委員】 国際的にということですから、そういう方向性になると思うんですけれども、この技術士制度がJABEEの認定をサポートするのはいいんですが、何となく、それをやらせるがために技術士制度があるということにならないような作りは必要だと思うんです。JABEEの認定は大変大事なことだと思うんですけれども、かなりの大学で認定を受けておられないということの現実というか、それはどういうところから来ているのかというのは、これはこれでチェックする必要があるのではないかという気はいたします。

【池田主査】 そのあたりはJABEEでいろいろ分析されていると私は思うんですけれども、1つは、アクレディテーションの意味がよく理解されていない場合があるのではないかと。自分のところはもっとレベルの高いことをやっているので、こういうところを認定してもらっても意味ないという意識を持っておられる方もいるし。

【奥野委員】 そういうチェックを受けること自体がおもしろくないと。そういうところもあるんでしょうけどね。


【池田主査】 それから手間が掛かるという、これはテクニカルな問題ですけれども、そういうのもあると。それから、今、大学はお金がないので、認定料がかなり掛かるというのもあるのではないでしょうか。

【奥野委員】 そうなんですか。

【中谷委員】 あともう一つ、グループ1のJABEE認定を受けた人たちがちゃんと技術士になるという太い道筋が今、見えていないので、JABEE認定を受けていない大学にとっては、別にそんな認定を受けるという労力を払っても、どれだけのメリットがあるのかという疑問を持っているんですね。

【奥野委員】 すると広報は、むしろ大学生ではなくて、高校生あたりから広報して、JABEE認定を受けている大学に行きたいというふうに思ってもらうことも必要ではないでしょうか。高校時代でどの程度、自分の将来、確たるものを持っておられるかというのはありますけれども。

【池田主査】 分かりました。
 あと、まだ議論しないといけないことがあるんですが、技術士補の称号を議論しておいた方がいいのかと。それから、広報は後で少し御議論をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

【中谷委員】 あともう一つ、よろしいですか。今日の議題というのは、第一次試験ですけれども。

【池田主査】 主に。

【中谷委員】 この福山主査代理の資料を見ていますと、第二次試験を受けるために実務4年とか実務7年という数字があるんですけれども、この根拠というのはどういうところにあるんですか。

【池田主査】 ここも議論しておいていただきたいと思いますね。

【中谷委員】 例えばチェックリストのようなものがあって、こういう経験を積めば丸とか、三角とか、あともう少しとか、次のプロジェクトでこれを学ぶとかという、何かあれば、別に4年、7年という縛りも不要になるのではないかと思いますけれども。

【池田主査】 7年というのは、APECエンジニアプロジェクトで根拠がありますね。

【岩熊委員】 昭和32年以来、そうなので。

【池田主査】 APECと同じですね。

【岸本委員】 そのときの指導がどうなるかということですね。ただ実務をしているだけではなくて、どういう考えでその実務に携わるかということで、日本技術士会の中でも修習技術者に対して、どういう観点からトレーニングしたらいいかという議論をされていらっしゃいましたね。

【岩熊委員】 ええ。基本修習課題があって、それに基づいた。

【岸本委員】 このため、ただ漫然と実務をやるのではないということで、本当に4年で必要なのかどうかという議論も。4年掛かって何をしているのか。

【池田主査】 でも4年の中に、修士課程を修了すれば2年入るんですね。だから実質的には、大学院で2年やった後、外へ出てから2年やれば、これを受けられるんですね。

【岸本委員】 プロジェクトを何回回しているかということで、大体1年で1つずつで4つとか、そういう話もありますよね。

【中谷委員】 それで、この4年、7年という実務の内容が重要だと考えるのはなぜかというと、これは第二次試験で何を問うかということにも関係してくると思うんですよね。今、私も第二次試験の試験問題を作ったことはありますけれども、そのときに何を問うのかというと、教科書的な話と、あとは考えるというと応用問題になってしまって、実務の経験とどういうふうに関係するのかという問題は、実は作れなかったんです。これは大きな問題だと思います。
 これは試験の作成委員に対しても、どういう目的で第二次試験をやっていて、第二次試験でどういう項目を問わないといけないかということを、もっと明確に言う必要があると思うんですよね。現在では、問題解決能力を解く問題を作ってくださいとか、そういうことしかなくて、作る人間が例えば大学教員だとすると、応用問題というふうに考えてしまって作っているところが多いと思います。なかなかその辺が、技術士とは何ぞや、経験を問うとは何ぞやといったところと試験の内容とが、うまく一致していないような感じがします。

【池田主査】 それは、例えば標準的な問題みたいなものを示して、具体例でやらないと、多分よく分からないので。

【中谷委員】 そうですね。

【池田主査】 そういうことはされているのではないですか。

【日本技術士会】 しております。

【池田主査】 それを試験の作問委員の方々が十分に理解しているかどうかということもあるかもしれません。

【日本技術士会】 平成25年度では結構そろっております。

【池田主査】 そうですか。

【日本技術士会】 平成25年度、26年度やれば、非常にいい結果が出てくるのではないかと思っております。

【中谷委員】 試験の内容は変わりましたよね。

【日本技術士会】 はい。

【岸本委員】 変えた中で、1年目に出した問題をチェックして、2年目にフィードバックしてマニュアルを変えたという作業を今して。

【日本技術士会】 そのようにしております。

【岸本委員】 試験問題はよくなりつつあると思います。

【日本技術士会】 ありがとうございます。

【岸本委員】 それをもっとどうしていくかというのはあるとは思います。

【池田主査】 またもとに戻しますけれども、技術士補について御議論を、御意見を頂戴したいんですが、これは本当に、全員を技術士補にするのか、もうこれはなくすのか、そういうことではないかと思うんです。

【岩熊委員】 特別な形で存在しているのが、もう30年ぐらい続いてしまっていますよね。昭和58年ですから。先生のおっしゃるように、ありかなしかぐらい、かなりドラスティックに考えた方がよろしいのではないかと思うのですけれども。

【池田主査】 今、先ほどの話では、1.6%しかないと。

【岩熊委員】 ええ。

【池田主査】 ということですよね。

【岩熊委員】 20年ぐらい前までは、本人のモチベーションや、ステータスの問題で、登録した方がいいよという話をしたのですが、どうもこの流れを見ると、なかなか活用されていないし、現実に指導技術士がいないとハードルが高いというのであれば、そういうのは一切なしにしてしまって、第一次試験に合格したということを評価する形の方がよいのではないかと思っていますけれども。

【池田主査】 むしろそこでIPD(注:Initial Professional Development=初級技術者の継続能力開発のこと)を、自分が成長するために推奨すると。

【岩熊委員】 そうですね。

【池田主査】 例えばIPDをやった方は、例えば何単位以上やっていれば第二次試験の口頭試験で少し加点できるとか、そういうインセンティブを与えた方が、みずから勉強するのではないかという気が私はしているんですけれども。

【岸本委員】 ということもあるかもしれませんけれども、大学を卒業した時点でいろいろな会社に入るわけですね。社内研修が整っている会社であれば、自然に高まってきますけれども。

【池田主査】 学科でもあるのではないですか。

【岸本委員】 でも、多くのJABEEの修了者は、そういう環境にない場面もあるのではないかと思うんです。そうすると、技術者としての能力を高めていくには、周りから見ても分かるような形にしてあげないと、会社としても対応しにくいのではないかということで、何かの、修習技術者なら技術者という名前があって、私は今こういう状況だから、公的に勉強しに行けるんだというようなものを。

【池田主査】 それは、名前は何か、残した方がいいと思います。

【岸本委員】 残して。

【池田主査】 もちろん。何もなしということでなくて。

【岸本委員】 名前はどうするかというのはまだ良い案がありませんけれども。

【池田主査】 そうですね。

【松尾課長】 修習技術者。

【池田主査】 司法制度みたいなのだと修習なんでしょうけど。修習ではおもしろくないかもしれない。もうちょっといい名前がないかという気がするんですけれども、それは全員それにして、あと、第二次試験を受けるまでは、例えばIPDをやって、そうすると、いろいろな学協会も若い人が入るのではないかという気がするんですね。

【岸本委員】 IDカードか何か、ちゃんと渡して。

【池田主査】 それで勉強してもらう。


【岸本委員】 その方がいい。

【池田主査】 それで第二次試験のときに、例えば何かでそれを加点するような。ほんの少しでいいと思うんですよね、しておけば、インセンティブは出てくると思う。

【奥野委員】 イメージとしては、実務経験の年数の縛りは、技術士補をなくしたときに、これもなくすのか、あるいは7年にするのかなんですけれども、4年のルートがなくなってしまうんですね。

【岸本委員】 4年のルートは残っています。修習技術者でも、しっかりした技術者の下で勉強すれば。

【奥野委員】 ですから、技術士補を取ってしまえば。やめてしまえば。全部一緒にするという議論ではないんですか、今。

【岸本委員】 修習技術者の中でも、ちゃんとトレーナーの人がいれば、それが4年でよくて、何もいなくて独りで活動しているときは、7年。

【奥野委員】 トレーナー制度は残す?

【岸本委員】 はい。

【岩熊委員】 そうですね。

【奥野委員】 それで、技術士補という名称はやめると。

【岸本委員】 やめるのか、全員を技術士補にするのか。

【池田主査】 あるいは、トレーナーでもいいし、IPDでも私はいいと思うんですよ。

【岩熊委員】 そうですね。

【池田主査】 今、IPDは随分、遠隔教育できるようになっていますよね。国立情報学研究所もそういうシステムを作られているし、活用できる。今はもう本当にインターネットが発達していますから、できると思うんですよ。

【奥野委員】 そこで、技術士に付いて4年、付かない場合に7年という仕組みになっているんですけれども、それをなくして、IPDというのは自己研さんですよね。

【池田主査】 若い人の。

【奥野委員】 CPDのようなものですよね。


【池田主査】 CPDは、技術士になった人がCPDで。

【奥野委員】 そうですよね。そのIPDなるものを試験制度の中に、法律上取り込めるかというのが文科省の御判断になると思います。それはどうでしょうか。

【池田主査】 ですから、これは指導技術士と同じような扱いにすればいいですよね。

【岸本委員】 実務経験4年という証明書にすれば。

【池田主査】 それはIPDをやって何年間で、4年間で例えば200単位とかね。

【奥野委員】 200とかね。

【池田主査】 取れば、それは4年で受けられますよ。

【松尾課長】 相当だということにすればいいだけのことですから。

【奥野委員】 ということですか。そうすると、そのIPDは誰が管理するかというと、日本技術士会で管理されるとなると、日本技術士会に登録する修習技術者の数は増えますよね。

【池田主査】 そうですね。

【松尾課長】 管理しないといけないですからね。

【奥野委員】 誰か管理しないと、学協会でも相互乗り入れをやっていますが。

【岸本委員】 学協会か、どこかに登録してもらうというのがいいと。


【池田主査】 例えば土木学会でも、学生会員が5,000人いるんですけれども、かなり減るんですね、実際に大学を卒業してしまうと。それがIPDをやると、多分残る可能性が非常に高いので。

【岸本委員】 それだと、すごく喜ぶと思います。

【池田主査】 そういう手を考えておいた方が、私はいいのではないかと。

【松尾課長】 そういう手があるのか。

【池田主査】 学生も学会の講演会や講習会みたいなものに出られます。そういう制度にしておいた方がいいのではないかと。

【松尾課長】 それ、いいですね。

【池田主査】 それ、いいですよ。


【松尾課長】 学会のためにも。それ、いいですね。

【岸本委員】 共通IDがあると一番いいですよね。

【池田主査】 そういう、名前をもう少し。
 それでは、もう一つ、これは皆さんに次回までに名前を少し考えておいていただくことにしまして、あと、広報について、少し御議論をお願いしたいと思いますので。
分科会でも、若い技術者がチャレンジできるような制度という御意見がありましたので、裾野を広げることが重要だと思われます。これについて御意見を頂戴したいと思います。
 このあたりは岸本委員、いかがでしょうか。
大学についても、これを活用するようにお願いするということをここに書かれていますけれども。

【岸本委員】 1つは、JABEE認定校については、あのパンフレットを作って、JABEEと日本技術士会と共同で。


【中谷委員】 どちらに配られていますか。

【吉田委員】 JABEE認定校に。

【岸本委員】 全員に配っているような。

【中谷委員】 是非、企業の人事部の採用担当に。どうですか。


【松尾課長】 それはいいと思うんですが、その枚数ですね。

【中谷委員】 企業側からJABEEの認定コースを受けた修了者を採ろうという、こういう文だと、ちょっと弱いような感じがするので。

【岸本委員】 そういう意味で、JABEEだけで活動しているのも、やはり弱いんですね。そうすると、日本技術士会と歩調を合わせるとか、もう少し関係者を増やして、共同でやった方がいいのかというのがあります。あとは、大学の教員自体が、なかなかこういう制度を理解するところまでいっていないので、先ほどありましたように、いろいろな場面で広報活動してくるのもいいのではないか。

【池田主査】 工学部長会議とか。

【吉田委員】 ちょうど参考3というのがお手元にお配りされていると思うんですが、実は日本技術士会の中に、もうやめてしまいましたけれども、広報戦略特別委員会を設置し、4年間活動しました。もうこれをなくして、この一部を各常設委員会のワーキンググループの傘下に持っているんですけれども、これはちょうど岩熊委員も、たしか広報戦略特別委員会のメンバーで。

【岩熊委員】 はい。

【吉田委員】 これをまとめたんだろうと思いますけれども、ここに今までとこれから、広報はこうあるべしということは示唆されているんですよね。それと同時に日本技術士会としても、裾野を広げることはとても重要なことなので、これまでも様々な機会やツールを使って広報してきております。最近では、各出身大学別の大学技術士会が、たしか24校、今年できていると思うんですが、全国組織、大学技術士会連絡協議会というのがあるんですが、そこにお願いして、大学技術士会から自分のところの大学の学生に技術士制度の広報、あるいは技術士資格を取得するように斡旋(あっせん)してもらったりしているんですね。
 民間企業はなかなか難しいところがありまして、いわゆる業種によっては、技術士というのに非常に重きを置く業種もあって、そういう企業もあると。でもやはり、まだそういうところまで浸透していないし、技術士そのものが職業独占法、寡占法ではありませんので、この辺はなかなか企業に何かをお願いするというのは難しいだろうと。

【池田主査】 技術士そのものというより、むしろ第一次試験を課すことによって学力確認ができますよということを、採用担当にお知らせする方が。

【奥野委員】 それはJABEEの宣伝?

【池田主査】 JABEEの宣伝になる。

【奥野委員】 なるのではないでしょうか。

【池田主査】 いや、技術士第一次試験で。

【吉田委員】 ここでGraduateを担保していますよ。確認をしていますと。

【奥野委員】 だけど第一次試験は、JABEE以外は卒業してから受けるんですよね。

【岸本委員】 いや、在学生でも受けている人がいるんですけれども。

【奥野委員】 大学生でもいますけどね。4年制大学の修了程度の学力という、これは今度、IEAのGAの整合性を保たなければいけない。

【岸本委員】 試験の時期が10月ですよね。なので、もう就職が決まっているというか。

【奥野委員】 最近は就職活動が早くなっていますね。

【岸本委員】 修士課程に行く学生たちは、そこで受けていればいいので。

【奥野委員】 修士はね。

【岸本委員】 そういうのをちゃんと書けるというのも1つあるんですけれども、学部卒の人だと、ちょっと時間的に厳しいんですよね。

【吉田委員】 ただ、データ的には学部学生が受験する人数は増えているんですね。全体的には減っているんですが、わずかながら学生が受験する数は増えているんです。

【池田主査】 学生は割と敏感ですから、これが学力確認できるとなると、私は受ける人が増えてくるのではないかと思う。

【吉田委員】 それと、ある一方では、企業がそう思っているかどうか分からないけれども、学生の方が就活のツールに使えるのではないかとは思っている気配はあります。

【奥野委員】 そうすると、3年生ぐらいで、学部卒を前提にすれば。大学院なら別ですけどね。大半の学生が最近は大学院に行くようですから、学部卒ぐらいで取っておいて、大学院を出るときの就活の材料にはなるのかもしれませんけれども。

【池田主査】 私立大学はそうでもないですよ、まだ。そんなに…。

【奥野委員】 大学院は少ないですか。

【岸本委員】 就活が早くなってしまっているので、なかなか難しいんですよね。

【奥野委員】 そこの評価につなげるには、やはり学生のうちに受けてもらうしかないんですかね。

【松尾課長】 就活は、今年から3年生の3月です。

【奥野委員】 3年3月で受けて、受かってしまう試験も、実は問題なのではないかと。

【松尾課長】 それは大学の学力確認ということで、卒業前に学力が。

【奥野委員】 まあ、それは優秀な人は。

【松尾課長】 優秀な。

【吉田委員】 9歳の少年が去年は受かりましたからね。

【岸本委員】 学生によっては3年生で受けているのではないですか。

【奥野委員】 それは、受けるのはいいと思うんですよね。

【池田主査】 あれは3年から受けられますよね、アメリカの場合はたしか。

【奥野委員】 そうですか。

【池田主査】 パンフレットが来ていますよね。

【福山主査代理】 広報活動に関する企業の役割というのは大変大きなものがあると私は思っております。もともとこの分科会が発足するに当たって、製造業の分野における技術士の活用度が低いのではないかとか、ミスマッチがあるのではないかというお話がありましたよね。私どもの会社でも、技術士を企業戦略の柱に組み込んで活用するとか、人事制度はこうあるべきだとかいうことについては、整合性がなかなかとれておりませんで、それでこのたび30周年記念を迎えるに当たって、組織内の人事部門との社内広報活動をきちんとやっていこうとしているんですけれども、正直言いまして、技術士補を持っている持っていないとかも、技術士を持っている持っていないも含めてかもしれませんけれども、極めて企業内の認識度が低いというのが実態ですね。
ですから私としては、もう少し社内の広報活動をきちんとして、枠組みの中に組み込んでいただけるように活動しなくてはいけないと思っております。

【松尾課長】 あと、企業だと経団連もありますけれども、例えば技術同友会とかにちゃんと広報していくというのは、我々はツールがありますので、そこはやっていくことになるんですけれども。

【奥野委員】 本当は企業の中で、いずれキャリアを積んでいくプロセスで選抜試験的な意味合いが持たれれば、大分違ってくると思うんですよね。いろいろな組織で、昇任試験のような制度もあります。公務系統が多いんですけれども、そういうものの代わりに、こういった資格の有無が1つの判断材料になるというような使い方をされれば、受ける人は随分出てくると思います。

【池田主査】 そうですね。

【吉田委員】 東京都あたりは、何かそういう。

【奥野委員】 東京都は試験があるんです。

【吉田委員】 試験があって、技術士を持っていると、一部専門科目の試験を免除するというようなことに活用されていただいているんです。

【池田主査】 それは昇任のときなどに、資格で取っていないと上に上がっていけないというシステムですね。

【吉田委員】 そうですね。だから、技術系で技術士を持っていれば、一部の試験を受けなくてよいということではないかと思うんですけどね。極めてレアなケースですね。

【池田主査】 そういうインセンティブがあるといいですよね。

【吉田委員】 ですから、話は脱線しますけれども、前回の技術士分科会の中で、各省庁が持っている規制法、設置法の中での技術士の活用の在り方みたいな形で、例えばダム水路主任技術者の中に、建設系の第一次試験合格者も第二種ならば組み込んでもらえるというようなことになれば、そこを受けて意味があるわけですよね。

【池田主査】 そういう面もありますよね。企業と、いわゆる教育機関もあるし、そういう相互認証みたいなものも、広げていくために必要でしょうね。
 これはなかなか結論が出そうにないので、それぞれ…。

【奥野委員】 池田主査、土木学会の2級は、大体学生時代に受ける人が多い?

【池田主査】 いや、減ってきているんですよ。

【奥野委員】 やはり減っているんですか。あれを最初は就職活動に使えるようにというような。

【池田主査】 基本的にはそうです。

【奥野委員】 そういう目標がありましたですね。

【池田主査】 はい。だけれども、広がりがもう一つですね。

【福山主査代理】 品質管理学会では品質の日というのを作って、例えば1か月間を強調期間にして、各企業にポスターを配っていますね。同じように、例えば技術の日とか、機械学会は機械の日とかありますよね。

【池田主査】 あれは土木の日の方が、実は先なんですよ。機械が後から作られていて。技術士の日?

【福山主査代理】 私も技術士の日とか、技術の日みたいなのを何か。

【池田主査】 何かあるのではないですか。ない?

【福山主査代理】 ないですよね。

【池田主査】 何かあるように、私は昔。

【吉田委員】 広報になるかどうか分かりませんが、日本技術士会では毎月、月刊技術士というのを会員に発行しているんですが、これも理系の教育機関あるいは官公庁、学協会、図書館に1,000部近く、毎月送っているんですね。ただ、送っているだけで、そういうものが図書館に飾られて、誰が見るかどうかが分からないですけれども。

【池田主査】 例えば日本技術士会でそういうイベントをされて、例えば土木学会は土木の日、あるいは土木の週間というのがありまして、支部はたしか8つあると思うんですけれども、それぞれの支部の方もそれに参加して、私は実はその責任者もやっていたんですけれども、参加者トータルで50万人とかね。駅などでやるんですよ。講演会とか。そういう努力も必要かもしれませんね。

【福山主査代理】 そうですよね。

【池田主査】 一般の方に知っていただくような広報活動も必要かと思いますね。

【福山主査代理】 50万人って、すごいですよね。

【池田主査】 全国で。

【吉田委員】 日本技術士会も全国に、地域本部がありますので。

【池田主査】 そうですよね。

【吉田委員】 あるいは、県支部も20できていますから、そういうところを通じて地域の大学、特にJABEE認定校などに説明に上がったり、あるいは、岩熊委員が御説明した方が一番いいんでしょうけれども、JABEE認定校の先生方を集めていろいろな説明会を実施したりもしているんです。地道な活動は、日常ずっと切れ目なくやってはいるんですけれども。

【福山主査代理】 そこらは何か…。

【岩熊委員】 先ほどの大学との連携ですが、大学の先生方あるいは学生に届けたいということを、ずっと何年もやっているのですけれども、なかなか先生方が受け止めてくださらないのでしょうか、逆に言えば、学生がかわいそうだなと思うときがあります。知らないで卒業していく。こういうキャリアもあるということを知らないのは、学生さんがかわいそう。

【池田主査】 逆に、今の教員は成果を上げるのをすごく求められているので、なかなかそこまで目が行かないと。

【岩熊委員】 ただ、学生のために何ができるかという見方を…。

【池田主査】 そう、本来はそうなんですよ。

【岩熊委員】 持っていただけるようにしていきたいですね。

【池田主査】 特に若い先生は、今はものすごく評価が厳しいので。

【岩熊委員】 そうですね。

【池田主査】 自分の成果を上げることに汲々(きゅうきゅう)とされているところがあるのではないかという気がするんですね。そうすると、学生がキャリアとして、技術士などについて考える余裕もないし、頭の中にないのではないかという気がしますね。ちょっと困った状況だと思いますけれども。
 さて、それでは、広報はまた、これを議論し始めてもなかなか結論が出ないと思いますので、様々な手段を使ってということだと思います。
 それではよろしいでしょうか。
時間になりましたので、各委員から頂きました御意見等を事務局にてまとめていただきまして、次回の制度検討特別委員会で議論を続けてまいりたいと思います。
 最後に1点、報告をいたします。
情報工学部門の技術士第一次試験と、情報処理技術者試験との相互活用について、これまで中谷委員のお世話でいろいろ話題になっていますけれども、特別委員会に作業部会を置き、議論を開始することにいたしました。
作業部会のメンバーにつきましては、特別委員会設置要領により主査が指名することになっておりますので、後ほど事務局を通じて御連絡いたします。
 それでは、事務局からお願いします。

【小林係長】 本日の会議の議事録につきましては、またお送りさせていただきまして、御確認いただきたいと思います。
 次回の制度検討特別委員会は、3月19日水曜日午前10時より開催させていただきます。

【池田主査】 どうもありがとうございました。
 それでは、以上で本日の会議を終了いたします。どうもありがとうございました。


午前11時58分閉会

お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

(科学技術・学術政策局人材政策課)