第7期 技術士分科会 制度検討特別委員会(第6回) 議事録

1.日時

平成25年12月19日(木曜日)10時00分から12時12分まで

2.場所

文部科学省東館15階 局1会議室

3.議題

  1. 今後の技術士制度の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

池田主査、福山主査代理、岩熊委員、奥野委員、岸本委員、中谷委員、吉田委員

文部科学省

松尾人材政策課長、吉田専門官ほか

オブザーバー

経済産業省、公益社団法人日本技術士会、一般社団法人日本技術者教育認定機構

5.議事録

10時00分開会

【池田主査】 皆さん、おはようございます。年末の大変お忙しい時期にお集まりいただきまして、ありがとうございます。それでは、ただ今から科学技術・学術審議会技術士分科会第6回制度検討特別委員会を開催いたします。
 まず、事務局から資料の確認をお願いします。
【小林係長】 お手元の資料の確認をお願いいたします。配付資料と参考資料、机上資料がございます。配付資料につきましては、資料1から8、8は8-1から8-4でございます。8-4は、8-4と記載しておりませんが、日本技術士会が作成したリーフレットでございます。参考資料につきましては、1から6までございます。参考2につきましては、大学の事例ということで、2-1から2-3までございます。机上資料につきましては、前回と同じですけれども、法令集と紙ファイルの論点整理等を集めた資料になっております。今年度の第一次試験の問題等につきましては、日本技術士会の封筒に入れております。最後に、総合技術監理の技術体系、いわゆる青本を左上に置かせていただいております。
【池田主査】 よろしいでしょうか。
 それでは、早速ですが、議題1、今後の技術士制度の在り方についてに入ります。
 前回委員会では、技術士補・第一次試験、それから、総合技術監理部門、技術士に求められる資質能力について御議論いただきました。
 今回は、これらの議題について更に検討を深め、ある程度の方向性を出したいと思います。検討の途中経過又は結果については、次回の技術士分科会に報告したいと考えています。
 それでは、まず前回委員会における主な発言内容、今回の主な検討事項について、事務局から説明をお願いいたします。
【小林係長】 資料1と2を説明申し上げます。
 1につきましては、前回の特別委員会で御議論いただきましたものの中から、主な発言を記載しております。大きく分けますと、第一次試験や技術士補に関すること、総合技術監理に関すること、技術士に求められる資質能力、コンピテンシーに関することと分けることができるかと思います。
 第一次試験や技術士補につきましては、第一次試験の免除をどのように考えるのかというところから議論を始めた方がよいのではないか。それによって、技術士補の位置付けや活用方法も議論した方がいいと。
 また、免除につきましては、工学系大学等を卒業するなど、ある一定の教育を受けてきた者については、学歴要件を適用して免除とすべきではないかと。
 また、工業高校等を卒業して技術士になる道も残すべき。
 プロフェッショナル・エンジニアの資格に向かうプロセスについては、大卒であることが必要なのかという議論、工学系の大卒者に対して第一次試験を免除することが適当かという議論を考えないといけないという御意見がございました。
 また、JABEEにつきましては、JABEEの認定課程の修了生がなぜ第一次試験免除なのかというのを明確に整理しないといけない。その上で、第一次試験とは何なのかということも整理する必要があるという御意見も頂きました。
 また、これまでも何度も頂いておりますけれども、第一次試験というのは、ある程度の大学等卒業レベルに達しているかどうかを確認するという位置付けに整理することもあり得ると。
 さらに、第一次試験の技術部門や試験の科目、具体的には専門科目のことかと思いますけれども、今20に分けられている部分については、「一つの」試験、もっと大くくりにした方がよいのではないかというような御意見も頂いております。
 裏を御覧いただきますと、上の方ですけれども、高齢になって技術士になろうとする方については、第一次試験が一番難しい、それで資格を取得できないという現状もあるというようなお話もいただきました。
 総合技術監理部門(総監)につきましては、総監と総合工学の話が現在ございまして、まず総監につきましては、現行の位置付けをどうするのか。運用上は20プラス1のままなのか、21の一つとするのか、まずこの位置付けを決めることが重要だと。
 また、総監に関しては、一番下のマルでございますけれども、総監の位置付けがやはり曖昧である。この位置付けを整理しないといけないと。
 総合工学につきましては、日本学術会議が提言された総合工学というものを資料として配付させていただきまして、この総合工学については、知の統合、いろいろな分野を統合して総合工学にしていくことが基本的な考え方であったと。どの技術者になっても総合工学の基盤、工学基礎は必要な工学的知識だというふうな御意見もございました。
 ただ、総合工学の中身については、今回の御説明、御議論にもなろうかと思いますけれども、今後どういうふうに活用されるのか、イメージがどんなものなのかというような御発言もございました。
 次のページでございますけれども、コンピテンシーのところにつきましては、前回、事務局の素案をお示ししたところでございます。それにつきまして、前回の限られた時間の中で御意見いただきまして、当方でお示ししたキーワード、カテゴリーがまずこれでよろしいのかどうかという、そのキーワードがいいという場合であっても、その中身についてこういう整理でいいのかということと、それが議論した上で、今後どのように試験に反映していくかという、こういう議論になっていくだろうというお話がございました。
 カテゴリーの中でも、水準の高さ・深さというのをどのようにはかるかというのは、やはり共通認識として持っておくことが必要であるというお話。
 また、中身の中では、海外における業務に携わる際は、語学力だけでなく、多様性や異文化の理解も必要になってくるのではないかというようなお話も頂きました。
 資料2では、今回何を御議論いただくのかということを簡単に記載しました。前回の議論に加えて、更に御意見を頂戴できればと思っておりますけれども、技術士補や第一次試験につきましては、技術士補の位置付けや活用、第一次試験の位置付け、目的、程度等をどのようにするのか。やはり免除の話と、技術部門というか、専門科目の大くくり化の話、また、いわゆるベテランの技術者の方が技術士になる、なりやすくなるには、第一次試験をどのようにしていったらいいのかというような工夫策について御議論いただければと思います。これらにつきましては、資料3から5で御説明させていただきます。
 総監につきましては、先ほど申し上げた、ポツが3つございますけれども、20プラス1(上)という位置付けなのか、それとも横なのか、21の一つなのかという議論がございました。20プラス1(上)というのは、前回の分科会で賛否両論いただきましたので、果たしてこれでいいのかというようなこともあろうかと思います。20プラス1(横)ということで、技術者、エンジニアとしてのキャリアパスの一つとして、複数の技術部門という意味で取っていただくという考えもあるのではないか。また、21の一つとして、今は「機械部門」とか「電気電子部門」とかありますけれども、それと同列に扱うという考えもあるのかどうかということがあろうかと思います。
 ただ、その場合であっても、試験とかで「業務経験年数」についてはやはり違いを設けていますし、「問題の種類」、必須科目や選択科目の中でも総監とそれ以外というのはやはり違いを分けていることをどのように考えるのかという点が今後の課題になってこようかと思います。
 また、制度上は、今、総合技術監理については、第一次試験に相当する段階で技術部門がない、この現状をどのように考えるかということも問われてこようかと思います。
 また、総監につきましては、これまでも何度もございますけれども、5つある事項、安全管理等の事項で十分なのか、議論が必要なのかと思います。
 総合工学につきましては、本日、岸本委員から御説明を頂くことになりますけれども、その必要性を踏まえて、総合工学を今後どういうような位置付けに持っていくか。その上で、今の総監とどういう関係性を持たせるのかという議論が必要になってこようと思います。その際に、総監の名称、意義や必要性もやはり改めてきちんと決めて御議論いただこうかと思っております。
 3番のコンピテンシーのところは、前回お示ししたものから本日まで、委員の皆様から御意見をいただきましたので、それを踏まえて、修正案を、資料7でお示しさせていただいております。
 4番の継続研さんのところにつきましては、次回以降の特別委員会で議論していただきたいと事務局では考えておりまして、技術者の方が資格を取った後にどのように研さんすることがふさわしいのか、適当なのかという御議論になろうかと思います。そのときに、CPDの在り方、これまで出ていましたフェローの在り方について、どうするのかという話なのかと思います。以上です。
【池田主査】 どうもありがとうございます。
 それでは、早速ですが、ただ今御説明いただきました資料2に基づきまして、本日は議題ごとに資料の説明を受けて、検討を進めてまいりたいと思います。
 まず、第1の技術士補・第一次試験についてです。事務局から資料の説明をお願いいたします。
【小林係長】 資料3から5まで、参考1につきまして説明させていただきます。
 資料3につきましては、現状がどうなっているかということを資料にさせていただきました。技術士制度(試験)の変遷について御説明いたします。
 昭和32年に制定された際に、当時は予備試験と本試験と分けておりました。予備試験につきましては、短大卒程度の学力をはかるということで、大学において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者については、予備試験を免除されていました。本試験につきましては、予備試験に合格した方又は免除された方が受けることができるという要件がありまして、加えて、通算で7年を超える業務経験が必要とされていたということでございます。この当時は、予備試験につきましては、科学部門4つ、本試験については、16の技術部門でした。
 1枚おめくりいただきますと、次の大改正が昭和58年でして、このときに、予備試験につきましては、高学歴化の進行によって免除される方が増えてきて、予備試験の意義が薄れ、廃止になったという経緯がございます。これによって、当時の審議会に相当する有識者の報告では、「技術士補試験」と「技術士本試験」ということでどうかという議論もあったんですけれども、最終的には、「第一次試験」と「第二次試験」という名称になって今に至っているということでございます。
 第一次試験につきましては、四年制大学の自然科学系学部卒業程度の能力をはかるということになっておりまして、大卒者を免除しなくなりました。第二次試験につきましては、ここで第一次試験と第二次試験の間に黒いバーのようなものをつけておりますけれども、第一次試験の合格は要件にはなっていないということで、第一次試験を受けなくとも、技術士補として4年を超える補助期間、又は通算で7年を超える業務経験を要件として第二次試験を受けるというような制度になっております。
 1枚おめくりいただきますと、平成12年の改正後から現在ということになっておりまして、いろいろな選択肢が増えてきたという経緯がうかがえるかと思います。このときに第二次試験の要件の中で、第一次試験の合格が必要になってきたということでございます。
 資料4に移ります。これは案でございます。これからの技術士補や第一次試験につきまして、どのように考えるかという案をお示ししたものでございます。
 技術士補につきましては、エンジニアの基礎的素養(基礎的学識)を有する者という位置付けにしてはどうか。例示的に、「技術士候補者」「技術士予定者」というような名称がありますけれども、こういうような位置付けにできるのかどうかと問題提起させていただいています。
 活用の仕方につきましては、技術士補でないとできない業務というのは今のところないわけでございまして、ただ、新入技術系社員の方の基礎学力、基礎的学識をはかる手段として、今後活用できるのではないかと考えております。
 第一次試験につきましては、これは平成12年の技術士審議会の答申でございましたけれども、大学のエンジニアリング課程(工学、農学、理学等に係る技術系を含む)により習得すべき能力の確認ということをやはり明確に打ち出した方がいいのではないかということで、ここに書いております。
 四年制大学の自然科学系学部の専門教育程度ということで、部門につきましては、再編・統合ということで、案1は技術部門の再編、案2は、技術部門は残したままで、試験を運用する上で、専門科目の再編という案をお示ししております。
 また、免除につきましては、今、実態はJABEEの認定課程の修了者が全面免除ということになっていますけれども、一部免除として、JABEEの課程ではないけれども、大学等のエンジニアリング課程の修了者がなり得るのかどうかということで書いておりますけれども、ただ「はてな」を付けております。次のページで御説明いたします。
 ベテラン技術者の方に対する工夫策につきましては、実務経験年数に応じて試験を受けやすくする、段階的に減免するという案がどうかと考えました。1つの例としては、年数に応じて、5年とか10年が議論になろうかと―更に上の年数が必要になるという御議論もあろうかと思いますけれども、基礎科目を免除するとか、科目の何らかの形で免除することでどうかというような案。また、例2としましては、加点方式といいますか、15点満点のところ、3分の1はもう取ったものと見なすとか、そういった、それによって取っていただくようになるかどうかというようなことで、案1、2を作らせていただいています。
 次のページでございますけれども、免除の案でございますけれども、JABEEの修了者で、非JABEEの修了者で大学エンジニアリング課程の修了者の方、それ以外の方というふうに分けたところで、どういうように免除するのかということを書きました。
 JABEEの修了者については、現状、全面免除ということで、基礎、専門、適性を免除していると。その考えにつきましては、第一次試験というのは大卒の確認をすることを目標にしており、JABEEというのは、実際JABEEの課程の審査基準等を見ますと、JABEEの修了生が第一次試験で確認するものを満たしているというような考え方でこれまできておりますので、その考えで全面免除とする案でどうかというふうに考えております。
 真ん中のところでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、JABEEのアクレディテーションがない中で、大学のエンジニアリング課程の修了者をどのように見たらよいのか。例えば、こういうものを能力として満たしているから免除すると言えるのかどうかということを、事務局の中でもいろいろ調べてはおりますが、やはりJABEEと同じように認証評価するような機関というのは、今、日本ではないため、そこで、誰が評価するのか、大学が自身で学生の能力を評価することで足りるのかということがやはり問われてくるかと思います。そうすると、やはり客観的な指標として今第一次試験というものがあるので、それをどう考えるかというところは、まだ我々事務局の中では結論は出ておりませんでしたので、「はてな」という形にしております。本日御意見を頂ければと思います。
 資料5につきましては、技術部門、試験科目の再編であり、今、現状こうなっているというものをお示ししております。
 資料5の1枚目につきましては、これまでも御議論ありますけれども、第一次試験で取得した技術部門であっても、第二次試験ではそれにこだわらない。機械部門をお取りになった方も、その後の業務経験に応じて、機械部門ではない別のものを取って技術士になるというのが、今、制度上可能になっております。この中では、総合技術監理というものが第二次試験のところにありますけれども、第一次試験のところでは今ないと。
 2ページ目、3ページ目と御覧いただきますと、技術部門の再編なのか、専門科目の再編なのかということになろうと思いますけれども、まずは第一次試験で、部門の再編なのか専門科目の再編なのかによって、「系」という言い方も適当か、20をもう少し大くくりにしてはどうかというイメージをここに書かせていただいております。
 3ページ目は、第一次試験と同じように第二次試験も大くくりにした場合はどういうふうにできるかというイメージをつけさせていただいております。
 以上です。
【池田主査】 どうもありがとうございます。
 技術士補・第一次試験についての課題、あるいは案を御提示いただきましたが、これについて御意見を頂戴したいと思います。30分程度を予定しております。よろしくお願いします。
 それでは、私の方から、まず皮切りに発言させていただきたいと思いますが、先般、APECエンジニアのモニタリング委員会がありまして、3つのコースがあるのではないかという方向になったと思います。
1つは、認定された教育課程を修了していると。これが国際的にはスタンダードですが、日本の場合はJABEEだと。もう一つは、認定されていないコースを修了しているんだけれども、これは普通の大学。それを堂々と認めるために、第一次試験を課して、それでJABEEと同等だと。もう一つは、その他の方ですね。今ここで御説明があった工業高校とか、それ以外の方についても救うべき道をちゃんと残すべきではないかと。この3つのコースがあるのではないかということになりました。それはIEAのスタンダードに合わせるようにやっていっているわけですが。
 そうしますと、ここで議論になっているように、特にベテランのエンジニアについて、年数だけで軽減していくというのは、ちょっと国際的には難しいかと思います。それから、特に、10年で全面免除ということになると、これは大学を卒業して―大学卒業しなくていいのか、実務が30歳とか30歳前後でもう第一次試験を受験することなく、第二次試験を受けられるということになるので、これは現在の我が国を取り巻く状況からは難しいと思います。
 もし年配者を救うとすれば、ひょっとするとCPDを活用する方法はどうか。国際的にはやはりエビデンスが必要ですね。ですから、CPDの中の基礎的な部分がありますよね。そういうの、ありませんでしたか、カテゴリーとして。
【吉田委員】 そういうカテゴリーはないですね。
【池田主査】 こういうの、細かいのはないのか。CPDを活用する方法も、ひょっとするとあり得るかもしれません。これだと、クレジットで証明になりますのでね。それも、あんまり若い人でない人を対象にということはあり得るかと思います。皮切りにちょっと申し上げました。
 それから、もう一つ、技術士補という肩書きでできる仕事はないんですね。測量士も測量士補というのがあるんですが、あれは何か簡単なことができるのではないかと思うんですけど。いや、詳しくは調べていないんですが。技術士補という割には、これで権限があってできる仕事ではないので。私自身は、どちらかというと、大学卒業程度の検定試験的な要素の方が素直なのかという気はいたしますけど。そのあたり、皆さんにいろいろと御意見を伺いたいと思います。
【奥野委員】 今の技術士自身が持っていなければ仕事ができないというのは、現時点では非常に少ないんですよね。建設部門は、公共の設計等を発注する場合には、技術士はかなり評価されている。だけど、技術士でなければならないというところまではいっていないので、そういう意味では、さらに、技術士補ができる仕事というのは、どういうふうに位置付けるかというのが非常に難しいところがあると思うんですね。おっしゃるとおり、測量士補、あるいは、建築で言えば、一級建築士と二級建築士で、二級建築士は規模の小さな建築物の設計は、これはもう二級建築士ができることになっています。
【池田主査】 あれはできますね。
【奥野委員】 ええ、できますので。
【池田主査】 木造物は可能だと思いますね。
【奥野委員】 そうです。ですから、そのようなので、非常に分かりやすいんですよね。
【池田主査】 分かりやすい。これ、分かりにくいんですよ。
【奥野委員】 ただ、そのためには、技術士自身が法的にどういうことかというところが本来は整理される必要があるのかという気はします。しかし、もう50年以上経っている話だから、なかなか難しいかもしれません。
【池田主査】 もともとの議論は、これがないと仕事できないようにしようと、将来的にはですね。
【奥野委員】 そうですよね。業務独占という。
【池田主査】 最初からそのようにスタートできないので、今のような形でスタートしたんだと思うんですけど、それが、今更それを業務独占にはできなくなる、難しいということだと思うんですけど。
【奥野委員】 建設部門では、多少、技術士補を持っていればこういう特典がありますなどというのは、導入する可能性はないことはないと思うんですけどね。これからですよね。
【池田主査】 もともとは、予備試験の扱いだったんですね。これは非常にはっきりしていますね。予備試験ですから、何か名乗るということはなくて、本試験に受かれば技術士という扱いだったんですね。
【吉田委員】 ですから、先ほど事務局から説明がありましたように、昭和58年の法改正で、実はこのバイパスができて、技術士補を作ったんですが、結局、技術士補の活用の場というものを規定しないで技術士補だけを作って、しかも、どういう議論があったか詳細は分かりませんが、学歴要件を外した上で、7年の実務経験があれば学歴に関係なく第二次試験が受験できてしまうという形態になってしまったんですよね。それまでは一応学歴要件があって、大学を卒業していれば7年の実務経験で受けられると。ここから、結局、平成12年までの間、このままの制度で来て、12年で、いわゆるAPECの域内での国際同等性の資格を作る議論の中で、日本の技術士って学歴要件ないじゃないかと。そうすると、工学系のエンジニアリングコースを卒業したという担保がどこにもないねと、こういうので、第一次試験をいわゆるその代わり、合格者は修了したと認める、見なすよということで、第一次試験を義務化したわけですよね。
 でも、相変わらずこのときも、技術士補というのは、第一次試験合格者は登録すれば技術士補なんだけれども、議論されていないですよね。技術士補の活用の在り方とか、こういう場で活用しろとか。それは、今、奥野委員がおっしゃったように、もともと技術士そのものが名称独占で、業務独占がずっと与えられてこなかったわけですよね。最初は、ある一定数の技術士が生まれたら法を改正して業務独占を与えようというコンセンサスはあったと思うんですけれども。ただ、今おっしゃるように、もう制度ができて何十年も経ってしまっていますので、今更数万人いる技術士でなければこういう業務はできませんよと与えてしまうと、逆に混乱が生じると思っています。
 ただ、それだけの法に規定されているような能力を有していると認めて技術士を与えているわけですから、私が言っているのは、技術士補もそうなんですが、何か他省庁の設置法だとか規制法の中でいろいろ国家資格がありますよね。そういうものと同等ですよと。ですから、申請するだけでそういう仕事ができるような、技術部門が合致するんであれば、そういう作り込みができるのであれば、技術士補も活用の場が出てくるんだろうと思っていますけれども。
【岸本委員】 今のような形で、要するに、技術士、技術士補の方々が独占的に仕事ができるような環境を整えていくというのも1つあるだろうし、今までは専門職としてのエンジニアというのが日本の中で非常に曖昧になってきている。なので、どこまでが専門家としてのエンジニアでどこから素人なのかというのが非常に曖昧なために、専門職としての技術屋が育っていかないのではないかというようなことがあるように思います。そこで、「准技術士」だとか、そういう称号を付与したことによって、その人たちがきちんと仕事をしていく、それによってこの名称が定着していくというふうなやり方もあるのかと思うんですね。今までは、持っていても持っていなくても同じような形で仕事が与えられてきたのを、それを徐々に会社の中なり社会の中で変えていくか、その称号を持った人たちが、自身としてそういうことを主張して、自分が仕事をしていくという中で変えていくというのもあるのではないかと。
 それをしていかないと、ただこれを持っているだけとなってしまうので、やはり持っている人たちがどういうふうに活躍していくのかというのを、自分たちのものとしてやっていく必要があるようにも思うんですね。それが言えるような形として、公的に称号を付与するというのでまずは進むのがいいかと思っているんですけれども。そうしていかないと、待っているだけだと、この資格を持っている人たちの資格というのが生かされていかないのではないかと。
【池田主査】 いや、先生のおっしゃることは分かるんですが、技術士の活用もなかなか進まない中で、第一次試験に受かった方を「准技術士」としていっていいのかというのは、今の段階では相当無理があるのではないかという気がするんですけど。経験もないし。
【岸本委員】 例えば、ほかの資格の場合だと、薬剤師にしても、医師にしても、それなりの試験を受けた段階でインターンをやるとかということで、位置付けがはっきりしますよね。外から見ても、あの人はああいうことをやる人だというのが分かるんですけれども。エンジニアについても、エンジニアの専門家になっているんだということを外からでも分かるようにしてあげるというのが大切なのではないかと。やはり普通に会社に入ってきて一般的な仕事をするのとは違う職業を目指している人だということが分かった方がいいのかと思うんですね、これからは。
【池田主査】 お医者さんというか、看護の世界では、准看護師、「准」というのがありますよね。あれは何か仕事できるんですよね。その資格で。
【岸本委員】 ないとできない仕事なんですよ。
【池田主査】 あれは業務独占になっているから、持っていないとやってはいけない。
【岸本委員】 やってはいけない。
【池田主査】 その場合はやりやすいですね。これは、それが業務独占がないので難しい。
【岸本委員】 ほかとの、持っていない人との競争にはなるんですけどね。
【松尾課長】 今委員が言われたように、インターンなのか、持っていないとできない仕事なのか、多分、位置付けはあると思うんですけれども、そこは技術士自身が業務独占になっていないので、そこを明確にするのはなかなか難しいところがあると思うんですけれども。
 吉田委員が言われたように、現実的に、他の業務独占の資格があるということになると、活用を広げるという観点から言えば、やはり他の、中谷委員からも前に御紹介いただきました、情報処理技術者のところとの、相互乗り入れという言い方は変ですけれども、ここのレベルは同等だとか、そういった形でうまくつないでいくような形で少し広げながら、技術士の活用を広げ、そして、ほかの業務独占のところともうまくリンクさせながら、建設とかはもう全てそこでうまくいっていると思うんですけれども、他の広がっていないところというのは、そういった形で広げることによって、少しパイを広げて、その中でやはり技術士というのが人口に膾炙(かいしゃ)できるような形にしていって、その下の技術士補というのがうまく活用されていく、そういったことを併せて広げていかないと、技術士の制度だけぴかぴかにしたからといって、そこは多分広がっていかないような気はするんですけれども。そこの合わせ技で全体をやっていかざるを得ないのではないかという。それで、他省庁の資格とうまく我々も仲介して、どのレベルのあれなら技術士と相当しているかというのをやっていく活動をした方が。
【池田主査】 これは2つ方向が分かれると思いますね。例えば、技術士補という形を残して、これは一種の資格ですから、その場合は、やはり第一次試験という位置付けにしていかないといけないと思うんですけれども。学力確認だと、これはどちらかというと技術士補という資格ではない方向ですよね。そうすると、大学の専門課程を修了したというような能力を検定すると。
【松尾課長】 足切りするということですね。
【池田主査】 そういう方向と、2つの方法があり得ると思うんだけど、そのあたりはどうでしょうか。それはやはり1つの岐路にあると思うんだけれども。
【吉田委員】 確かにそうなんですが、そうなると、昭和58年以前の状況に戻すと。予備試験みたいな。
【池田主査】 一種のそういうイメージ。
【吉田委員】 イメージはですね。だから、資格は付与しないと。ただ、技術士になる過程の中で、ある一定の要件を満たした方ですよと、こういう人にするということ。今の技術士補の資格を有して、登録して資格を有している方、何人ぐらいいるか記憶に数字はないんですが、活躍の場がないですから、特に問題が起きるようなことはないのではないかと思うんですけれども。
【池田主査】 日本技術士会に技術士補の資格で何か入るようなものはあるんですか。
【吉田委員】 日本技術士会としては、準会員になれるわけですね。日本技術士会の会員になれば、技術士補を有している方は準会員ということで。
【池田主査】 準会員の制度があるんですか。
【吉田委員】 そうすると、様々な日本技術士会内の委員会の中での委員補佐か何か、になれる委員会もあるわけですよね。
【岩熊委員】 それは技術士補ではなくても、第一次試験に合格していればなれますから。
【吉田委員】 もちろん。技術士補に登録していなくてもいいんですか。第一次試験合格者は準会員になれるんですか。補に登録しなくても。
【日本技術士会】 技術士補の登録は必要ありません。
【吉田委員】 なるほど。
【岩熊委員】 どちらも。
【吉田委員】 ということは、問題にならないということですよね。
【池田主査】 そうですね。
【吉田委員】 技術士補という名称を廃止しても。
【池田主査】 それがもしあって、日本技術士会に登録する道を閉ざすというのは、まずいと思うんですけど。
【吉田委員】 ええ、それはもう閉ざすことはないと思いますけど。
【池田主査】 それはないわけですね。国際的には、その方がすっきりしているような気が私はするんですけど、どうですか。
【吉田委員】 私もその方向は正しい道だと思うんですが、説明が必要ですよね。技術士補をどうしてなくしたかという。
【岸本委員】 もう一つは、第一次試験が、あるレベル以上の仕事をできるというか、その能力があるということを計ったわけですよね。だとすると、その合格者については、単なる実務をする能力を待っているというのではなくて、今までどおり、それなりの称号を与えた方がいいのではないかと思うんですね。それを技術士補と呼ぶか、准技術士と呼ぶか分かりませんけれども、やはりそれなりの仕事を任せられるということにはなるわけですよね。そういう形で第一次試験をしっかりさせていこうというのであれば、大学で学んだこと、JABEEの課程はきちんとその中に含まれていますけれども、これが合格したことによってあるレベルのことができるという意味で合格者にしているんだとすれば、そこをうまく活用していった方がいいのではないかと思うんですけどね。そこは意見は分かれると思います。
【池田主査】 それは、今の第一次試験、技術士補は、何か仕事をできるということではないような気がするんだけれども。例えば、経験年数を何年か積んだときには、そういうことはあり得ると思うんですが、第一次試験に受かったということは、これは今は、基本的に大学卒業程度の学力を確認するという試験になっていると思うんですよね。
【松尾課長】 根本的なことをちょっとお伺いしたいんですけど、技術士補であることとないことで何が問題かというと、登録だけの問題と理解すればよろしいんでしょうか。
【吉田委員】 いや、もう一つ、技術士補を登録すれば、次のステップが4年間に短縮できると。指導技術士の下で実務経験を踏めば。だから、この特典があるだけなんですね。
【日本技術士会】 技術士補の登録で受験する場合は、例えば、実務経験がない大学生が、技術士補に登録して、最短の4年で受験しようとする場合であり、社会人の場合はと言いますと、監督者の下で実務経験を積んでが4年で受験する方がほとんどです。いずれにしても、4年で受験しようとする人は、全体の2~3%しかおらず、ほとんどの方が7年の実務経験で受験されているというのが実態です。
本当に必要性があって技術士補の登録で受験される方というのはどれくらいいるのかという状況です。
【池田主査】 下の修習技術者からも4年で行けるんですね。
【日本技術士会】 4年で受験できます。
【池田主査】 だから、技術士補の位置付けというのが何かはっきりしていないんですね。
【岸本委員】 そういう意味で、今の話ですと、JABEEを卒業して、なかなか受験生も増えないというものの一つは、要するに、技術士の資格そのものが曖昧だという、自分がその課程を修了したときの位置付けというのも曖昧だと。だから、エンジニアとして、外から見て曖昧な状態で仕事をしている。だから、そのままでいいというのであればそうかもしれませんけれども、ちゃんと自覚をして働いてもらうということであれば、何か付与しておいた方が、若い人たちにとっては、自分のキャリアパスが明確になっていいのではないかと。むしろ若い人たちは、そういうふうなことをやっておいた方が、これからの日本の若い技術者が増えていくという意味ではいいのかと思っているんですね。
【日本技術士会】 そうしますと、4年で受けられるということになりますと、要は、手段です。技術士補と監督者の下でとは、同じ4年で受験できるのに、技術士補の登録にお金を払うのかということです。
【岸本委員】 制度設計がですよね。
【日本技術士会】 その通りです。
【奥野委員】 技術士補という資格で何か仕事をやれるということに―建設部門などは、もう技術士はかなり位置付けられていますから、技術士補ならこの程度の仕事を任せてもいいのではないかと、そのような議論はしやすいとは思うんですけど。
 そうしますと、やはり今の制度の変遷の中で、平成12年度でも、技術士補となるための技術部門の専門的学識を問うているわけですね。これはどうしても必要になってくるんだと思うんですね。お仕事してもらうためにはですね。
【池田主査】 そうですね。
【奥野委員】 そうすると、大卒程度の学力プラス何がしかの専門性というのは必要になってきますし、この前から議論あるような、技術士はもう第一次試験は全部ひとくくりでいいのではないかという議論は多分成立しない。やはり部門は明確にしておかないと、使う方が非常に使いにくいという実態は生ずるのではないかという気はしますね。
【池田主査】 これが入った途端にですね。マル3が入った途端に。
【奥野委員】 ええ。あるいは、それでもって何か仕事をしてもらうということになれば。
 私は、技術士補で、最初おっしゃったように、測量士補とか二級建築士とか、そういう世界と同じように、それなりの能力があると認められているわけですから、少しほかの人とは違う仕事の任せ方をしてもいいのではないかという気はするんですけど。そうすると、ちょっと専門性は残しておかなければいけないのかという議論になってしまうような気はするんですね。
【池田主査】 そうですね。なかなかこれは難しい。
【岸本委員】 専門的学識と書いてあるのが、そこの分野のことの知識をその時点で持っているのかどうかということと、もう一つは、エンジニアとしての問題解決能力が身に付いていて、新しい仕事を任せたら、自分できちんとそれを調べて、知識として習得して、仕事ができるという、そういうサイクルが回せるかどうか。今、どちらかというと、後者の方を大学時点での教育に期待されているので、知識的なことは、書物などを調べればできるので、それをテストで持っているかどうかを問うというのではまだ不足しているのかと思うんですね。むしろ、問題を抱えるとか、実務を回せるかどうかという能力をきちんと試験としてはかっていかなければいけないというのはあるんですけどね。
【奥野委員】 これは使う方の問題ですけど、技術士補に登録して、ある分野の業務を何年かやった人には、そういう仕事をお願いするという仕組みを、これは使う方の判断ですよね。制度の問題というよりは。
【池田主査】 そうですね。
【奥野委員】 それと、もう1点、本当にこの第一次試験が大学卒業程度の学力を持っているかということだけに特化しますと、第一次試験受かってから本当の技術士の試験を受けるまでの期間というのは、ある程度短い時間に制限しなければいけないのではないか。第一次試験の時点ではそれなりのいろいろな基礎学力等はお持ちでも、時間が経つとこれはなくなっていくんですよね。今、40歳過ぎたらもう第一次試験は受からないと言われているのは、大学卒業程度の数学とか、そういうのを全部忘れてしまっているわけですよ。やっている仕事によっては。だから、そこら辺の、もう随分昔に認定を受けたけど、本当にこの人、今でも大学卒業程度の基礎学力を持っているのかというのは、そこはどこかで割り切らなければいけないような気がするんです。
【池田主査】 私は、それは割り切るべきだと思うんです。
【奥野委員】 そうですか。
【池田主査】 いや、そうなんですよ。我々も、高校とか大学でやった数学を今すぐ解けと言われると対応できない。しかし、どうやってやればいいかということは知っているわけです。そこは大事だと思うんですね。一旦修めたものというのは、やはりもう一回教わらなくても自分で理解できる能力があって、だけど、それは問題を解くのとちょっと違うんだと思います。そういう素養があるかどうかというのが大事で。
【奥野委員】 かつてあったというのは、今でも。
【池田主査】 ですよね。
【奥野委員】 その一部はしっかりと残っていると。DNAとして残っていると、こういうことですね。
【池田主査】 やり方を知っている。
【中谷委員】 それで言うと、まさに昔学んだことは知っているという、知っていたということは知っているということは、それを技術として使えるということですよね。聞かれたときに即答えられるか答えられないかではなくて、あれも使えば解けると分かることが重要だと思うんですよね。
【池田主査】 それが大事だと思うんですよ。原理を理解して、それを使えるというのが求められているんですね。
【吉田委員】 だから、引き出しの中にはしまってあるけど、引き出しを開けてもう一回ひも解けば何とかできるよと。
【池田主査】 そうそう、それはやはりね。
【奥野委員】 さび付いて開かないという心配はないか?
【吉田委員】 いやいや。だけど、やはりそれは認めてやらないとね。大学卒業した者が10年経ったら、今この問題ができないと大学卒業と認めないよというわけではないと思うんですね。
【岩熊委員】 ちょっといいですか。資料3の3ページ目ですが、第二次試験の受験要件で、今、技術士補の話をずっとしていましたけど、この要件マル1に加え、マル2又はマル3を有することというのが違うような気がしますけど。
【吉田委員】 どこですか。
【岩熊委員】 3ページ目の第二次試験の、第一次試験の合格が要件で、1番目は、技術士補として登録して、技術士の補助をしながら仕事をして4年間ですね。2番目は、職場の技術者とか上長の指導を受けて4年間ですね。3番目が、通算7年ですが、この書き方だと、技術士補でなければ第二次試験に行けないみたいになってしまいます。
【小林係長】 すみません、正確には書いていないです。
【岩熊委員】 そうですね。今お話をしている中で、技術士補の話をしていたときに、技術士補の活用もあるのですけど、先ほど、2番目の登録しないでも、優秀な指導者の下で指導してもらえれば4年間で技術士受験資格はあるというコースは、ちょうど私がこの頃、当時の技術士補対策委員会委員をしていたときに、大分議論がありました。技術士補の登録というのは、指導技術者がいないとできないから、職場に優秀な指導者がいれば、その方の指導で研さんしていけばいいという道を作ってほしいという話があったと思います。そのときからもう技術士補というのは、先細りということではないですが、そのようなイメージはあったのです。現実に10年経ってなかなか活用されていないということと、多くの合格者は登録しないで4年以上でチャレンジしてくる人は多いと思いますね。4年でチャレンジしてくる方は多く、受かる受からないは別にしてもそういうコースをとっておられるので、技術士補が更に曖昧になってしまっているような気がします。
【池田主査】 そうですね。それでは、こればかりの議論はできませんので。
 あと、資料5の御意見もちょっと伺っておきたいんですが、どうでしょう。現状と、それから、科目の大くくり化をするということと、技術部門全体を大くくり化するという3つの案があり得ると思うんですが。これについて議論を進めておきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 ここでは、これまでの議論では、第一次試験は大くくり化又は一本化という話があったと思うんですけれども、先ほどのように、ここはやはり最初の議論がこれはすごく効いていて、もし技術士補みたいなものを活用するという方向だと、大くくり化あるいは一本化というのは相当難しいですね。ですから、そこが分かれ目になると思うんですけれども。もしそうではないのであれば、大くくり化は可能ではないかなと思うんですけれども、どうでしょうか、そのあたりの御意見は。
【吉田委員】 まさに関連性があるんで、そういう議論になると思うんですが。やはり技術士そのものが極めて曖昧な、職業寡占的には曖昧な立場にあるので、やはりここは一旦整理する意味で、技術士補というのは廃止の方向で検討するということで、第一次試験も、できるだけ大くくり化をすると。ただし、ある自然科学技術系の選択科目として、自分の専門とするところは、そこから必須科目として選択して受けなければいかんと、選んで回答しなければいかんと。だけど、基礎科目とか、そういう工学的なものは一本にしてしまうとか、それは工夫があると思うんですね。
【岩熊委員】 今の大学の課程には、あまりない科目があるということと、JABEEの課程でも、こういった単一の形ではなくて、もうちょっと幅広く学んでいるようなところもありますので。
【池田主査】 そうですね。
【岩熊委員】 いつまでも第一次試験のこの部門にこだわるというか、制約されるのは、少し気になるところです。
【池田主査】 学科も、例えば、上下水道とか衛生工学という学科はないですよね。もう今はね。
【岩熊委員】 そうですね。
【池田主査】 それから、資源工学ももうほとんどなくなっていますしね。マテリアルですよね。化学、繊維とか、恐らく金属とか資源なんていうのはマテリアルになっているのではないか。
【岩熊委員】 そうですね。
【池田主査】 かなり大くくり化されていると思いますね。
 第一次試験の、大学を卒業した程度で受ける方が、もう最初からこんな狭い世界で生きていくんだよというのをここで推奨するようなというのは、私はやはりちょっと考え直した方がもうそろそろいいのではないかという気がするんですけど。そういう面でも、日本技術士会で大くくりの議論をされていますよね。5つでしたか。5つはちょっと少ないかもしれないんですけど、もう少しあってもいいんですが。
【奥野委員】 以前は5つぐらいあったですね。試験だけですけどね。前回のここの場で議論されたのは。
【池田主査】 5つでしたっけ。
【奥野委員】 5つぐらいだったような気がしますけど。部門ではないんですよ。試験。
【池田主査】 試験ね。部門でなくて、試験のくくりが。
【奥野委員】 そうです。
【吉田委員】 部門はいじっていないんですよ。
【奥野委員】 まだそこまでは議論は進んでいないのではないかと。
【吉田委員】 確かに、第一次試験で、こんな細かく専門を自分で選んで回答しろという必要もないと思うんですよね。ましては、この試験制度そのものが、第一次試験をどこで取ろうと、次の第二次試験の技術士の部門は別なところを選んでいいわけですから。
【池田主査】 今後、やはり自分が技術者として生きていこう、キャリアを積んでいこうというときに、最初から入口を狭くする手はないですよね。
【吉田委員】 そうですね。ある程度、何々系みたいなね。
【池田主査】 そうですね。
【岸本委員】 両方あると思うんですね。両方あるという意味は、今、技術士になったときの部門も、かなり細かく分かれているので、そちらの大くくり化も一緒に考えていった方がいいのではないかというのが1つ。今21部門なので、それも多いかもしれない。そういう形で技術士は今働いていないかもしれない。となったら、そちらの方の議論もあるし、それとともに、第一次試験の大くくり化の方を先に進めるのは、確かに先に進めた方がいいと思います。
 ただ、今の第一次試験が、例えば、IEAのGraduate Attributeである、学士卒業のところの能力をきちんと計った試験になっているのかどうか、その同等性をどうするかということも踏まえた上で、ただAとかBとかという系に大くくり化するだけでなくて、それをしていかなければいけないのではないかと思うんですけれども。それをただ筆記試験だけでやっていこうというのが非常に難しいことでもあるので、その設計については慎重にやった方がいいのかなと思いますけれども。
【池田主査】 それはそうですね。
【岸本委員】 それはともかくとして、第一次試験を大くくり化して、きちんとしたGraduate Attributeをはかれるような試験に持っていくというのはあると思います。
 それと、先ほど、ちょっとしつこいようですけれども、技術士補とか准技術士の称号を付与するのとは連動させても良いと私は思っているんですけどね。大くくりになったから技術士補の方はなくしますよというふうには、必ずしもならないと思いますので、少し切り離して議論した方がいいかと思う。
【池田主査】 そこは、そうすると、議論の余地はあるということですね。
【岸本委員】 はい。
【池田主査】 皆さんの御意見を伺うと、基本的には第一次試験というのは、大学卒業程度の学力を確認するという試験だと。ただし、それを活用するという観点も残っているという議論だと思うんですね。それから、第一次試験については、これは大くくり化の方向でいくと。ただし、そのときに、Graduate Attributeをきちんとはかれるかどうかという試験の観点が必要であると。そういうことで、皆さんよろしいでしょうかね。そんな方向ではないかと私は思っていますが。
【奥野委員】 大きな考え方はそうなんですけれども、先ほど来のGraduate Attributeは、外国ではどういった形で認証がなされているんですか。
【池田主査】 それは、JABEEのように、認定された…。
【奥野委員】 機関が位置付けられているんですか。
【池田主査】 はい、機関が位置付けられている。
【岸本委員】 このプログラムは、例えば、アメリカの場合だと、ABETの認定されたプログラムなので、それを修了した学生は、例えば機械工学関係のエンジニア、あるいは土木工学関係のエンジニアになる道がありますという形で書かれています。
【奥野委員】 その認定というのは法的に位置付けられているんですか。
【松尾課長】 民間です。
【奥野委員】 民間ですか。
【岸本委員】 第三者機関がやられていることなので。
【奥野委員】 第三者機関ですか。
【吉田委員】 ただし、それは大学教育のカリキュラムを認定するわけですよね。
【岸本委員】 そうです。本人の能力ではない。
【吉田委員】 だから、そういう認定されたカリキュラムを卒業すれば、そういうことで認めますよと、engineering facultyを出たということでですね。
ただ、日本は、大学教育というのは、各大学が独自にカリキュラムを組んで、それを認定する組織というのはないんですよね。ただ唯一、JABEEがそうやっているんですけれども。
【奥野委員】 JABEEの法的な位置付けは、技術士法に出てくる、これだけですか。
【吉田委員】 技術士法にも定めはないでしょう、JABEEは。
【奥野委員】 免除されるわけでしょう。
【松尾課長】 その免除の行為があるのは、多分それだけで。
【奥野委員】 技術士法で、文部科学大臣が指定した課程というのが個別列挙されていて、その課程というのは、JABEEの認定を受けている課程と一対一だと、こういうことですね。
【池田主査】 そうです。
【岸本委員】 文部科学省の内規において、文部科学大臣の指定にあたってはJABEEの認定を踏まえることと定められています。そこで指定された課程が、第一次試験免除になります。
【奥野委員】 JABEEそのものは、法的な位置付けはないですね。機関としては。
【松尾課長】 JABEEというのが、法律的な何かであるかどうかというのは、それはなくて。
 アメリカでは、いろいろな大学があるので、大学といっても、すごくいい大学から悪いところがあるので、それで、多分、そういう認証がないと認められないと。ただ、日本の場合は、おおよそ多くの大学はいい大学だということで。
【奥野委員】 そういう前提の上に立って。
【池田主査】 いいかどうかは別にして、最低限の教育はされていると。
【松尾課長】 そうすると、JABEEとかがもしなくても、多分、世界的には認められると。ただし、それが今になってみると、そういう認証機関があるところがすごく認証しているということで、よくなっていて、日本もしなければいけないと。だけど、日本の風土では、そういうのはなくても一般にいい大学は多かったという、多分、その歴史的な背景の違いというのはあると思いますね。
【奥野委員】 将来、可能性として、そういう認証機関が国内で複数出てくるという可能性はあるんですか。
【松尾課長】 あると思います。
【池田主査】 あり得ますよね。
【岸本委員】 あるんですが、例えば、ワシントンアコードに加入するのは一国一機関なので、そうすると、海外との同等性を考えると、ほかがやっても、それは同等性が担保できなくなる。
【池田主査】 そう、認められない。
【吉田委員】 それはもう独占になっているわけですね。
【奥野委員】 あと、そのワシントンアコードに加盟するにあたっては、何か審査のようなものがあるんですか。
【岸本委員】 はい、あります。
【松尾課長】 それは結構厳しいです。
【奥野委員】 だから、そういう審査を受けた機関が、唯一国内で認証するということで、国際的な同等性が保たれる、こういうことですね。
【松尾課長】 それは入るのが結構大変なんですよ。結構厳しいですよ。
【岸本委員】 入るのが大変なのと、5年ごとにレビューを受けなければいけないので、それに対する準備だとか、5年間何をやってきたかというレポートを作るので、維持していくところについてもかなりしっかりやっていかなければいけないという状況です。
【奥野委員】 なるほど、分かりました。すいません、基本的なところで知識が不足していたもので。
【福山主査代理】 主査、ちょっといいですか。
【池田主査】 どうぞ。
【福山主査代理】 議論を戻すことになるかもしれませんけれども、私自身は、やはり技術士を作るというのが技術士制度の最終目的であると思います。例えば、極端なことを言うと、技術士補であれ、JABEEであれ、それは技術士になるための一つのプロセスであるというふうに考え方を整理しますと、第一次試験も要らないのではないかと。本試験で通る実力を持っている人を技術士にすればいいのではないかということで。ただし、本試験の内容は、本当の技術士のコアコンピテンシーは何だというのをもう一回整理し直して再編成する必要があると思うんです。
 私は、昭和32年の制定された仕掛けというのが、一番すっきりしていていいのではないかと思うんです。これに現状のいろいろな環境の変化でありますとか、試験制度の変化でありますとか、そういうのを加味して、再構築する。基本は昭和32年のものというふうにするというのはいかがでしょうかね。
【池田主査】 これは学力確認なんですよね、基本的には。昭和32年というのは。学力確認をすると。
【福山主査代理】 ですから、例えば、経験が必要であるというのが技術士としての要件であるとすると、学校を卒業して技術士経験が何年というのを入れたらいいのではないかと思うんですね。その技術士経験をどうはかるかというのは、今も試験を受けるときに、過去の自分の実績を全部記載しますよね。
【池田主査】 それは、多分、国際的には非常にまずいことになると思います。日本の技術士自体が国際的に認定されないことに。
【中谷委員】 いや、ですから、今の御意見は、多分、JABEEの認定を受けた大学を卒業した人は、第一次試験を免除して、本試験(第二次試験)を受けて技術士になるという、その基本ルートのお話だというふうに解釈した方がいいと思うんですね。
【岸本委員】 そうです。
【池田主査】 基本ルートはそうです。
【中谷委員】 基本ルートはそれなんですよね。話をややこしくしているのは、それ以外のルートを設定しようとしたことで、技術士補であるとか第一次試験ということが必要になってきていると思うんですけれども、今JABEEというものが走っているので、単に大学を出ただけで第一次試験免除ということは、これは問題が出てくると思うんですね。差分が出なくなりますから。ですので、その辺を考えなければいけないかと。
【池田主査】 ですから、それはもう議論として何回もやっていて、それを出ていない人たちは―これは個人を救わないといけないので、そのために第一次試験を課して学力確認をするということにしているわけです。そうしないと、国際的に成り立たないことになるので、日本の技術者が国際的に活躍する場を剥奪される可能性が非常に高いので、そこはやはりちゃんと確認をしておかないといけないんです。
【松尾課長】 今、福山主査代理が言われた話はもっともな話で、それはJABEE認定の根幹として。
【福山主査代理】 それは私の考えの中にも、JABEEはもう既に環境の変化でできあがったプロセスだから、JABEEと第一次試験なしの第二次試験、いわゆる本試験というルートが基本にあって。
【松尾課長】 だから、それが基本で、それ以外の人をいかに救うかということで、多分、こういう技術士補であるとかが出てきていると。ただし、問題は、JABEEが細ってきているので、根幹と言っていても、根幹よりも根幹でない方が太くなってきているところが。
【池田主査】 こちらがメインストリームにまたなりつつありますよね。聞くところによると、様々な大学がもうやめたいとおっしゃっているところがすごくあって、困った事態が。
【吉田委員】 現実に技術士の合格者を見ても、何回も言っているように、JABEEのコースを卒業して修習技術者になった方が受験しないんですよね。だから、メインストリートだけを注目すると、やっと1,000人受けているんですよね。それで86人しか合格しないんです。つまり、合格率は8%台なんです。ところが、第一次試験合格者は17~18%の合格率を持っているわけですよね。
【岸本委員】 それは、もう一つは、今の技術士の第二次試験が、4年の経験ということを言いながら、それに対応する試験になっていないということで、しばらくまだJABEEの受験生、だんだん増えてきていますけれども、もうちょっと時間がかかるので、それを逆にアナウンスとして出してしまうと、やってきたことが全部、今途中経過で、これから行くところを全部消してしまうので、それはメッセージとして言わない方がいいと思って。
【吉田委員】 いや、だけど、それは一回整理した方がいいと思いますよ。JABEEそのものがどうだということは。なぜならば、平成14年3月からJABEEの修了生は出ているんですが、累計で18万人ぐらいいるんですね。それで、7年間の実務経験を経て―4年と言わずにですよ、指導技術士いなくて、7年の実務経験をした人が、累計で大体5万6,000人ぐらいいるんですよ。このうちの半数の2万8,000人が技術系の産業界で働くとして、技術士の資格があった方がいいねというようなところで働くとすると、2万8,000人が受験対象になってもいいのに、1,000人しかいないんですよ。
【岸本委員】 それは、もう一つは、技術士を受けてみたいという層が少ないからなんですよ。だから、JABEEをやめたらそれが増えるかというと、どんどん逆に減っていってしまうのではないかと思いますね。
【池田主査】 そこはちょっと我慢ぜざるを得ない。
【奥野委員】 まさに技術士そのものがどう活用されるかというところなんです。
 あと、ほかの資格がありますよね。国家資格でも、経産省では情報関係の資格とか、いろいろあるんですけど、そういうところでJABEEの卒業生は優遇されているというのはあるんですか。
【吉田委員】 ないですね。
【奥野委員】 やはりそこがもう一つ問題だと思いますよね。そこは先ほどおっしゃったように、技術士、あるいは技術士補も含めるかは別でしょうけれども、それとほかのいろいろなところでおやりになっている資格との相互乗り入れ、これはやはり技術士を活用される非常に大きなステップだと思うんですね。そういうことをやっていく中で、この試験を受かればあの試験も受かったと同等の資格だというふうになれば、その前段での第一次試験なり、あるいはJABEEの認定なりが非常にクローズアップされてくるんだろうと思うんですね。やはりそういう働きかけは非常に大事ではないでしょうか。相互乗り入れでね。
【池田主査】 働きかけですね。
【吉田委員】 相互でなくて、多分、一方的な乗り入れだから、難しいとは思うんですが。
【奥野委員】 技術士の方が難しい資格であることは間違いないですね。
【吉田委員】 ただし、例えば、経産省の所管している電気主任技術者という国家資格がありますね。これは第一種から第三種まであるんですが、私が見ている限り、電気電子部門の技術士第一次試験の問題というのは、極めて電験三種に類似しているんですね。そうすると、技術士補というのは、例えば、電気主任技術者第三種と同等だから、経産大臣に届出を出せば、技術士補の登録を持っていれば、それと同等の仕事をしていいと。専業的に、ある電圧以下の保守ができるわけです。例えば技術士を持っていれば、二種以上と同等だから、保安管理をやる。こういう乗り入れができれば、活躍の場が様々できると。
【中谷委員】 それは大賛成ですね。
【池田主査】 そういう活用の考え方はありますよね。
【岸本委員】 でも、その場合、例えば、エンジニアとテクノロジスト、テクニシャンの分け方を具体的にしている中で、特殊な業務に就く人はテクノロジストということになると、技術士の資格とどういう位置付けを包含していると技術士の方が言うんですか。
【池田主査】 技術士補なら別にいいのではないですか。技術士ではないので。
【松尾課長】 そこは技術士にしても、技術士補にしても、コンピテンシーを明確にして、合うところと合わないところが多分あると思うんですけれども、技術士のところを少し包含して。
【岸本委員】 包含関係にするんですかね。
【松尾課長】 そして移していくと。
【池田主査】 下位のものを兼ねるのは可能なんでしょう。
【岸本委員】 それは、今、上下の差ではないと。
【松尾課長】 横ですよね。
【池田主査】 ではないと。
【岸本委員】 横にあると。
【池田主査】 そうなの。
【岸本委員】 要するに、携わる業務が違うので、分けるという。
【池田主査】 でも、あれを読むと、包含できるような印象を持つんですけどね。あのアトリビュートを読むと。
【松尾課長】 そこは国際的には分けておいて、その中での通用性は、国内で通用すればいいわけですよね。
【池田主査】 そこは別に構わないと思うんです。
【吉田委員】 例えば、主任技術者というのは、主権が及ぼす範囲内だけの資格ですからね。だから、国際的に、電気電子部門の技術士が、その仕事を国内でやっているから、テクノロジストだという指弾は受けないと思いますよ。
【松尾課長】 ということにはならないと思います。
【池田主査】 すみません、総監の議論もやらないといけないので、総監に移らせていただいて、その後、またもし全体必要であれば議論をお願いしたいと思いますが。
 それでは、小林さんの方から総監の議論を。
【小林係長】 私が御説明申し上げるのは、資料は特にございません。
【池田主査】 そうですか。
【小林係長】 はい。資料2で、総監について、本日御議論いただきたいところを書いております。
【池田主査】 これですね。これも今まで議論してきましたが。それでは、資料2で整理していただいていますが、これまでの位置付けとして、20プラス1で、上にしてはどうかという議論もありました。それから、これは分科会で報告して、ちょっと異論が出たということで、20プラス1なんだけど、次のステップというのは、現実はこんな感じになっているのではないかと思いますね。
【小林係長】 そうですね。
【池田主査】 それから、先般議論したのは、21のうちの一つだと、同列だということになると、今度は、下に書いてあるような、業務経験年数、20の方は4年で、総監は7年ということになっていますね。それから、同列とすると、いわゆる第一次試験からスタートできるようにしないといけないと、そういう課題があるということなんですが、これについて御議論をお願いしたいと思います。
 そのときに、総監で問われる内容、5事項で十分かということとか、名称もどうするかということになりますが、このあたりについて再度御議論をお願いして、これを分科会の方に御報告したいと思います。
【小林係長】 第一次試験のところに今総監がないというのが、制度上、現状ではあるんですけれども、前回、総合工学分野の話が出ましたので、本日、岸本委員にお時間いただいて、御説明いただくことに。
【池田主査】 そうですね。それでは、岸本委員。
【岸本委員】 まず、総合工学分野というのがどんなものかということで、資料6が用意されておりますけれども、その資料、大分厚い資料ですけれども、そこの「はじめに」というのが、1ページ目にあります。ここに、総合工学がどういう経緯で誕生してきたかということが記載されています。すわなち、1990年代になってこのような言葉が使われるようになってきたということなんですけれども、「我が国の産業の成熟化やグローバル化にともなって」、「工学というものに抜本的な変革が必要であると認識され始めた」ということで、問題が複雑化してきたので、そのためには特定の学問分野だけでは解決できずに、総合的に取り組む必要が出てきているという背景があると述べられています。
 そんな中に、2005年10月に日本学術会議が再編を行ったわけですけれども、そこで30の分野別委員会ができた中で、総合工学という新しい委員会ができてきて、いわゆる縦型の分野ではなくて、総合的な横型の分野という形で誕生したというのが2005年になります。そして、総合工学というのはどういうものであるべきかということで議論されてきて、それを2010年の段階でまとめたのがこの資料になります。
 それで、要旨のところに戻っていただきますと、総合工学が包含する分野という意味で書いてあるのが第1段落なんですが、1行目にありますように、「旧来の工学には見られなかった工学における横型分野」であって、「工学体系や知識を総動員して設計・製造される人工物に関する分野」と定義できるということであります。実際にはどういう分野があるのかということで、下に幾つかの分野が列記されていますが、いずれも学際融合的な分野となっております。
 2のところには、総合工学が果たすべき社会への貢献と役割が書いてありますけれども、そんな中で、これからの科学技術全体を、現在見通しにくくなってきていることに対応するということからも、総合工学というのは大きな役割を果たさなければいけないし、新しい価値を生み出す1つの分野であるということが書かれています。
 その上で、人材育成というのはどんなふうに考えていかなければいけないかというのが、3にまとめられていますが、「個」として考え、計画し、決断し、行動する、多様な価値観と能力を持った科学技術を担う研究者、技術者の質、量両面での確保と育成のためのシステムを築く必要があるとしています。すなわち、国際的な競争力・発展性のある総合工学の基盤構築に向けて、次世代を担う人材育成・教育について充実・強化が最優先課題として取り組まれるべきであるという形で、これは大学教育も変わっていかなければいけないということがこの提言に書いてあります。
 まとめのところを見ていただきますと、25ページのところなんですが、総合工学にはいろいろな分野がありますけれども、まとめの一番下の段落のところで、「工学基礎」という名前がありますけれども、これは知を統合した形で工学の一般的なものを教えていくということになるんですけれども、その一番下の数行のところに書いてありますけれども、大学・大学院の拡充を緊急に図るとともに、「問題解決のための科学・技術」を目指した「知の統合」と「横断基幹科学・技術」の研究を促進することが緊要であるというようなまとめ方になっていまして、要するに、大学教育もこういった形のものが期待されているというレポートになっております。
 それで、そんな中で、具体的にそういうのを目指したカリキュラムとしてどんなのがあるかということで、参考資料2-1から2-3を付けておりますが、ごく簡単に説明いたしますと、2-1は、私どもの大学、東京工業大学の工学部の中にある国際開発工学科でございます。キーワードだけ拾っていきますと、学際教育、混在教育、これは留学生と一緒に教えているとか、経験を持たせるような教育ですが、それと国際教育と書いてあります。
 具体的には、3ページのところにカリキュラムが記載されていますが、少し細かくなりますけれども、1のところだけ見ていただきますと、一番上に書いてあるのが、工学を俯瞰(ふかん)的に統合・理解するための科目ということで、工学基幹科目ということです。2番目が、既存の学問分野にとらわれずに問題解決できる能力のための科目等々書いてありまして、分野を越えて活躍できる技術者を養成するためのカリキュラムという形で体系化して、今実際に教育を行っているということであります。こんな形で、どの分野と特定されずに、機械工学、電気工学、情報工学、化学工学のエッセンスを教えて、あとは問題解決能力を養成するというようなカリキュラムになっています。
 同様のものが参考資料2-2ですが、筑波大学も、専門の枠にこだわらない、幅広い総合力を身に付けるという形で、こちらの方が歴史的に古いかもしれませんが、JABEEの認定プログラムの一つになっています。
 3番目は、最近、神奈川大学の工学部が立ち上げたプログラムですけれども、まさに総合工学プログラムという形で、学科の垣根を取り払った形で教育を行うと。そういった学生たちがどういう分野で活躍されるか期待しているのが、環境・エネルギー工学だとか、生体機能・医用工学だとか、コンピュータ応用工学ということで、こういった新しい分野にチャレンジしていくような技術者を養成していこうということで、各大学、カリキュラムを工夫して立ち上げられているというような状況で、こういったところは、今までの技術士の第一次試験だと、こういう分野というのがないものですから、こういう総合工学という観点から一つ考えていくのもいいのではないかということで御紹介させていただきました。
【池田主査】 ありがとうございます。こういう新しいディシプリンが育ちつつあるということですね。
 やはり技術士がこういう分野を確立するためには、やはり教育のディシプリンがないといけませんので、それが確立しつつあると。東工大の国際開発工学科は、実はこれは土木も乗っていまして、いろいろなところから、やはりこういうのが必要だねということで、人を出して作り上げていって、もう10何年ぐらいになりますかね。
【岸本委員】 10年少し過ぎています。
【池田主査】 10年以上経っていますね。当初はなかなか理解されないところがあったと思うんですけど。寄せ集めみたいな形になったんですが、現在はディシプリンとして育ちつつあるということだろうと思います。
 それでは、総合監理について、御質問。
【岸本委員】 それで、あと、この総監のいわゆる技術体系の本(青本)がありますけれども、こういうような総合的にディシプリンを考えて作っているプログラム、必ずしも一対一ではないんですけれども、ここにあるような経済性管理等々に関して、安全管理も含めて、少し意識したような講義体系になっているので、ある意味、きちんとリンクされている形ではないですけれども、こういった内容を学部の段階で教育していくという指向にはなっていると思います。
【池田主査】 話を伺っていると、単に管理ということではなさそうですね。マネジメントだけではないということですよね。
【岸本委員】 はい。
【池田主査】 だから、少し今までの総合監理とは違うのではないかと。1つの教育、あるいは技術体系としての成立を目指しているということではないかと思います。
 そういう目を技術士の中でもやはり位置付けていく必要があるのではないかと。今までの技術監理部門というのは、それぞれの専門を極めた上で、次のステップとして取りましょうというような   
整理だったのではないかと。基本的にですね。第一次試験がないということは、そういう整理だと思うんですけど。そういう方もいらっしゃるかもしれませんよね。それぞれの部門からここを目指す方もいるし、あるいは、大学を卒業した時点で、もうその部分、それを専門にしていくというような2つの並列した道がひょっとするとあり得るかという気はしますね。そういう制度設計にしていくかどうかということだと思いますね。
 総合工学が、もしそういう部門としてここに位置付けないといけないねということになると、基本的には、21のうちの1つという位置付けになっていくんでしょうか。そのあたりはどうでしょうか。あるいは、20プラス1でいいのか。そのあたりはどうでしょうか。ですから、20プラス1ということになると、今までのようなやり方だけれども、第一次試験も作るということになると思うんですけどね。
【岸本委員】 この資料5に戻りますと、今の最初の議論は、最初の1ページ目のところに、総合工学的なものを作り、第二次試験でも同じような流れで、細かくやっていくという話になっているわけですけれども、むしろ3ページ目のような形を…。
【池田主査】 ここに総合工学というのを1つ入れるという意味ですね。
【岸本委員】 というふうにするのか、もうかなりこれが分野横断的になれば、もともとこの中には自然に総合工学的なものは入ってくるので、改めて総合工学と切り出さなくても、このAからGの中に収まるのかなと私は感じるんですね。
【池田主査】 それでは、総合工学という第一次試験は設置しなくてもよろしいということになる?
【奥野委員】 そうなればですね。
【岸本委員】 そうなればですね。3ページ目のような形になって、2ページ目でもいいですけれども、全体が問題として大くくりになれば、そういうような問題をプールして、受験生がそういった問題を選択して解く道を作っていけば、自然に入ってくるのではないかと。
【池田主査】 自然に入る。
【吉田委員】 第一次試験にはね。
【奥野委員】 ただ、今のお話、前回も申し上げたんですけど、今のこの総合工学というものの理念というか、目指す、あるいは中身と、今までの総合技術監理というのは、大分イメージが違うと思います。
【岸本委員】 そう、違います。
【奥野委員】 ですから、もしこれを位置付けるということであれば、第二次試験の分野に総合工学というのは、しっかりと21番目として位置付けるということが必要になってくるのではないかと思うんですね。
【福山主査代理】 22番目ではないんですか。
【奥野委員】 総合技術監理をどう扱うかということは別としましてね。
【福山主査代理】 現実的には、今21部門ありますよね。
【奥野委員】 そうですよね。だから、22番目の分野として、それはそれとして、総合技術監理はどうするんだというのは、ちょっと別の議論ではないかという気がするんですけれども。
【池田主査】 そうか。それを変えるのではなくて。
【岸本委員】 それと、もう一つは、先ほど申し上げて途中になっているのが、総合技術監理部門の技術体系の中身ですね。これは、ある意味、全ての技術士がこれを身に付けるべきことではないかと。
【奥野委員】 そうなんですよ。私もそう思うんですよ。
【岸本委員】 なので、この内容は、総合技術監理として別に資格としてではなくて、全部の分野に大くくりにした方がいいと。そちらの方に行けば、21なのか20だという議論でなくて、ここへ埋め込んでしまうと。
 特に総合工学というのが、先ほど総合技術監理というのは、プロジェクトのかなりの経験がなければいけないというような話があった中で、学部の段階から勉強すれば、この内容も勉強できるし、試験として合格できるレベルまで行くのではないかということで申し上げたかったので、これを別にしていくのをそろそろやめていいのではないですかということなんですね。
【池田主査】 実態としては、そうですね。私も岸本委員の意見に賛成です。それぞれの分野で、部門で必要な能力なんですよ、これは。機械でも必要だし。
【岸本委員】 全部で必要なんですよ。
【池田主査】 必要なの。だけども、もう一つ問題は、今いる人たちをどう位置付けていくかという課題があって、そのまま残すのか、あるいは、総合工学部門を作るときに、その差をどういうふうにするのかというのは、非常に難しい。
【奥野委員】 ちょっと違うかもしれないんですけど、建築士の資格が、例の姉歯さんの問題から大分構造が変わったはずなんですよ。私もちょっとうろ覚えなので、よく分からないんですけど。大きく分けると、デザインと、いわゆる構造と設備ですね。そういう建築は、大きく分けるとこのぐらい分かれるんですけど、それまでは、どうもあまり明確には分かれていなかったような気がするんです。あれ以後、少し、上下関係というのは別なんですけど、設備と構造に少し上にかぶさるようなのができているのではないかと思うんですけど、それはちょっとチェックしてみる必要があるのかなと思うんですけど。
 要は、ある種、同じ建築士でも、言葉は悪いんですけど、上だという部門があるのではないかと思うんですよ。独立はしているんですよ。それまで未分化だったものを独立させて、構造部門とか、設備部門とかあったんですけど、どうもデザインとか、そういうのは多少その上にくるという、そういうイメージの構造にしたのではないかと思うんですけど。これは正確ではないんで、ちょっとチェックした方がいいと思いますけど。
 そうしますと、同じ技術士の資格の中でも、そういうような位置付け、上か横かは別として、全く同列の21ないし22ではない、そういう総合技術監理部門というのがあり得るかもしれないです。
【岸本委員】 そのように、総合技術監理部門を残していくのか、今ある方は、そのままずっとその資格でいろんなお仕事をされたとして、これ以後、その資格に関しての人間は増やさないとか、というようなことで、大くくりにする段階で、再度見直していくというのであれば、これがあるからこのまま制度として続けるという議論にならなくてもいいのではないかと思うんですよね。
【池田主査】 一方では、当初議論したキャリアパスの話があって、20の部門は早く取っていただこうと。だけど、それを取ってから、例えば、35歳ぐらいで取って、あと10年ぐらい経ってキャリアを積んだ段階で、次の目指す姿があるのではないかという議論だったですよね。そのときに、総合監理というのがその姿としてあり得るかということだったんですが。委員がおっしゃったようなものだと、それが消えてしまうんですよね。今の総合監理の大部分の方は、それをイメージして総合監理を受けているわけですよ。
【奥野委員】 そうですね。
【池田主査】 だから、それを果たしてなくしていいのかどうかということにも。
【岸本委員】 この前の話では、やはり屋上屋にしない方がいいという話になったと…。
【奥野委員】 必ずしもそういう意見だけではないと思いますけど、そういう意見の方が多かったのは事実ですね。
【岸本委員】 この内容は全ての技術士が持つべきものになるということになると、これを知っていることが上の資格にはならないのではないかと。
【松尾課長】 ベースということですよね。
【岸本委員】 ベースとして、全員が持っているべきだというふうな議論になってくるということですね。
【池田主査】 それは程度の問題だと思うんです。それぞれの部門の技術士になったときは、やはり専門の分野で力はあるんだけれども、やはり経験を積んでいっている中で、いろいろな管理をするとか、そういう仕事が出てきますよね。最初から多分しないと思うんですよ。例えば、35歳ぐらいでなったときには、その専門のところで何か設計をしたりとか、計画を立てたりとか、そういうことになるわけですが、だんだんキャリアを積むに従って、全体を見て管理するという能力が付与されてくる。当然、それぞれの技術者にそれは必要ですけれども、私はそのレベルが違うのではないかと思うんですね。
【奥野委員】 それはあると思いますね。
【池田主査】 そこをやはりどうやってはかっておくか。
【岸本委員】 そのレベルが違うことを、本当にこの技術士の資格として区別してはかって、国の資格として出すのかどうかですよね。研さんを積んだ方については、やはり別の道でリスペクトした方がいいかと。
【吉田委員】 よろしいですか。技術士の資格を取って、その後、この技術士資格を活用しながら活動していく中で、今の議論だと、同じ技術士でもレベルがあるのではないかという議論を表立ってしてしまうと、ここの能力で、あなた、技術士取ったけど大した技術士じゃないねというような話になるわけですよ。そうすると、国際同等性の中で、そういう議論があるなら、同等性のある技術士のレベルというのは、技術士の中ではどれなのという議論になってしまいますよね。
 やはり技術士というのは、個人差は当然あるんですけれども、一旦資格を取ったら、今のところは同等ですよね。レベルも同等と。
【岸本委員】 同等以上の仕事ができるということですよね。
【吉田委員】 そうです。ただし、それは個々人によって、クライアントが与えることが違うかもしれない。
【池田主査】 もともと、そういう上の資格を作ろうとしたんですよ。だけど、今おっしゃったような議論があって、それで横にしてしまったんですよね。だけど、受ける人は、意識は違うんですよ。
【吉田委員】 いや、そうでなくて、もともと総合技術監理部門というのは、平成12年の法改正でできたんですが、国土交通省は、その後どう言ったかというと、通達も出ているんですが、平成12年以降技術士資格を取得した技術士は、総合技術監理部門を持っていないと、それ以前に取得した技術士と同等と認めないというようなことをおっしゃっているんです。だから、上でも何でもないんですよ。
【奥野委員】 そうです。それは経験年数の差が特に大きいんです。
【池田主査】 経験年数の差ね。
【中谷委員】 それは、実はある会で聞いたんですけれども、その平成12年以前の技術士とそれ以降の技術士の差別化をするためにどうするかという話がありましたと。
【吉田委員】 いや、そうでなくて、私はそのときにワーキンググループにいた者ですから、説明しますと、平成12年以前の技術士は上級技術士と位置付けようかという言葉があって、それはさんざん議論したはずですよ。ところが、法規制の中で上級というのがなくなったと。そこが分からないんです。その後、全然タッチしていないから分からないんですが。
【池田主査】 今も差別しているんですか。
【吉田委員】 してません。だから、上下じゃないんです。実はこれがそうなんですけどね。こういう建設コンサルタント業務等におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用という中で規定されているんです。それはちゃんと明文化されている。CPDも明文化されているんです。どういう評価をしろと。
【奥野委員】 先ほどレベルの差という話で、前回の議論で、今の総合技術監理部門の5事項がありますよね。それでは、今の技術士はこういう部門の知識を全く持っていないのかというような議論があったときに、それはそうではないでしょうと、やはり通常の試験の中で、このいろいろな5事項は問うているはずだから、それはあるんですけれども、それをある程度の経験を積んで更に磨きをかけたのが、今の総合技術監理部門の方だというふうに私たちは理解しているんです。
【池田主査】 そうですね。現実はそうですよね。
【奥野委員】 現実はそうなんですよ。ですから、今はそんなのはないですけれども、多少経験年数の差はありますけど、将来、非常にある種の大きなプロジェクトなどをお願いするときに、いろいろな部門の方がいてもらわないと困ると。それを束ねるのが総合技術監理の人でないと困ると。そういうような需要は出てくる可能性はあるんですよね。
【池田主査】 そうですよね。
【中谷委員】 ただ、こちらの本を見ますと、そういう束ねるというよりは、技術をいかにうまく社会に対して使っていくかという、そういう面の話のように思うんですね。
【奥野委員】 人的資源管理や、そういうマネジメントというのがかなり前面に出ているわけですね。もちろん、倫理面でもいろいろなことはありますけど。やはりそういう人が、いろんな分野の方を統合して一つのプロジェクトに当たっていくというときに、そういうマネジメント能力は必要とされる。それを資格として保証しているのが総合技術監理だというふうな理解はかなりあるんですよね。
【中谷委員】 それもまた技術であるというふうに考えると、やはり21番目の部門で十分成り立つと思います。
【吉田委員】 実はそういうことを陳情したことがあるんですよ。業界を挙げて。ところが、そういう位置付けはしませんと言っているわけですよ。行政側としては、そんなのややこしいと。
 つまり、多岐の技術分野にわたって、しかも、ある一定の難易度がある委託業務については、監理技術者は、当該技術部門プラス総合技術監理部門も持っている人間とすべしと、この赤本に書いていただけませんか、単純に1行書いてくれませんか、いや、だめですと、そういうふうには認めてませんと、こう言うんです。
【奥野委員】 今、そういうふうにハードルを上げることは、いろいろなところから指摘を受けるものですから、むしろそういうハードルは下げる方向にあるんです。
【吉田委員】 逆にね。
【奥野委員】 だから、おっしゃるように、なかなかそれは難しいんですけれども、ただ、業務の中身によっては、それはあるのではないかと。
【池田主査】 場合によっては、そういうことはあり得ると。
【奥野委員】 と思いますけどね。
【池田主査】 あり得ますよね。何か非常に大きなプロジェクトを任せるときには、ひょっとするとこの資格、それぞれの部門だけではなくて、全体をマネージできる、あるいは、将来にわたってどういうふうにしていかないといけないかということも、これはこの青本の中に書いていますよね。メンテナンスのことも書いているし、そういうことも全て頭の中に入れてマネージする人が必要だと。そうすると、この部門の人というのは、そういう能力を身に付けている可能性が非常に高いということですよね。
【奥野委員】 そうです。
【吉田委員】 よろしいですか。実業界では、そういう認め方をしていないんですよ。
【奥野委員】 ではないですか。
【吉田委員】 全く。実社会では、そんな認め方はしていない。多分、日立も、産業界でもそうだと思います。
 例えば、逆に言えば、産業界では、一般的に言うと、技術士の資格はあろうとなかろうと、そういう能力があるなしの判断というのは、別な評価さえあるわけですよね。その方が実態としては、技術者の数としては多いと思うんですよね。
【池田主査】 でも、そうなんですけれども、それを言い出すと技術士は要らなくなるので、それはやはりちゃんと考えておかないといけない。
【吉田委員】 ですから、技術士の中での、こういう作り込みは、だめだと思うんです。技術士全体を一つの塊として捉えて、制度設計すべきだと。
【福山主査代理】 今の技術士はどうあるべきかというところは、もう本当に大事な議論ですけど、その次の、総合技術監理部門であれ、機械工学部門であれ、そこにあるべきコンピテンシーというのを今から議論していくわけですよね。見直しも含めて。ですから、その議論はその中でやればいいのではないかと
 ただし、その前に、総合技術監理部門というのは何なんだと。つい直近にできた「原子力・放射線部門」は、なぜ第一次試験があって、そして普通の一部門として認められて、運用されているのか。総監だけが何か違う位置付けになっていませんか。それを一つにするのか、位置付けが違うままにするのかという結論を出すことによって、総監が求められるコアコンピテンシーというのも自ずと変わってくるし、この青本でいいのか悪いのかというのも決まってくると思うんですよね。
 ですから、是非この特別委員会では、その総監というのを21の一つにするとかしないとかというところを、こういう判断基準で決めましたというようにする必要があるのではないかと思うんです。
例えば、実務面、国土交通省関係のお仕事で、そういうものがあればいいとか、差があるとかというのは、それは技術士制度を活用されるというか、運用される側の論理であって、そこにきちんとマッチするようにこの技術士制度もあるべきだとは思うんですけど、まず我々が技術士制度というのはこうだよねというのを、特に総合技術監理部門に焦点を絞って決めないと、この議論は先へ進まないのではないかという気がするんですけど、どうでしょうか。
【池田主査】 総合技術監理というのは、これまではそれぞれの分野から、それを身に付けた人が基本的に取るというシステムになっていますよね。これは第一次試験がないですから。だから、その道も私はあり得るかと。それで、プラス、今、いろいろなディシプリンとして総合工学というのが出てきて、全体を俯瞰(ふかん)して見ていきましょうという技術が出てきているわけですよね。それから、教育もやっていると。ですから、そういうルートも設けてあげるという方が、素直かと思うんですけどね。全体としては。
 これをなくするというのは、だって、今1万何千人もいるわけで、これは相当難しい。
【奥野委員】 そうですよね。
【池田主査】 難しい。1万2,000人程度いるでしょう。総監部門がなくなったよなんてなったら、もう袋だたきに遭うし、怒られますよね。
【岸本委員】 いや、なくすかどうかという問題と…。
【奥野委員】 増やさない。
【岸本委員】 増やさないというのもありますし、ほかの部門も含めて、今はこの2ページの話ですけれども、技術がこういう分かれ方をしていないということであれば、3ページの分かれ方になれば、1つだけを取り出して議論するのではなくて、全体的な技術士の分野での見渡した形で、これは難しいかもしれないけれども、やっていく。この3ページの形にしていくというのがあるのではないかと。
【池田主査】 将来的には。
【岸本委員】 その方向が出ていないと、多分、いつまで経ってもこの問題は解決しないのではないかかと思うんですね。
【池田主査】 方向は出ているんですよ。
【奥野委員】 前期分科会・特別委員会では、とりあえず技術部門の再編は、少なくとも第二次試験の技術部門の再編までは、ここ二、三年ではやらないと。選択科目の整理・統合はやりましょうということで、今、別途検討されているはずなんですけど。
 そうしたときに、第二次試験の技術部門をいずれ再編しますという、そうしたときの総合技術監理の扱いだと、位置付けだとか、先ほど総合工学の位置付けがどうなるのかというのと、現在20幾つある段階でどうするのかというのは、ちょっと議論を分けないと混乱するような気がするんですけど。
【岸本委員】 1つは、第一次試験のくくり方は、ある程度独立して進むということで、その中に新しい総合工学とかは入るだろうと。ただ、第二次試験になったときに、1つは、繰り返しになりますけれども、この青本に入っている内容は全ての技術部門で必要だとすれば、レベルの差はあったとしても、これは全部に織り込んでいく必要は、やはり世界的な傾向としてはありますよね。
【池田主査】 それはありますね。そういう知識を全く知らずに、それぞれの技術の部門で働くというのは無理でしょうね。だから、それはやるんだけれども。
【岸本委員】 そうすると、今度は、総合技術監理部門として、特別なものというのを新たに作っていくのか、これがみんなある程度あれば、作らなくてはいけないですよね。作れるかというのがちょっとあって。
【吉田委員】 単純な質問なんですが、この制度検討特別委員会、あるいは技術士分科会のある一定の期間、どこまでやるか知りませんが、どこかでそういう結論を出して、新しい制度に衣替えしようとしているんですか。それとも、逐次方向性を出して、できるところを制度変更していくというふうにするのか。よくその辺が見えないんですが。
 私の考えとしては、今、マクロ的に見ると、IEAのProfessional Competencyに合致しているかどうかと。しかも、これからオブザベーションを受けたらいかんので、国際同等性を担保するとすれば、第二次試験の試験問題もそれに合致する問い方をしているのかどうかということも考えなきゃいかんと。それは多分近い将来のことだろうと思うんですが。
 それと同時に、やはり第二次試験の科目ですね。選択科目は本当にこのままでいいんでしょうかと。今後とも、未来永劫。やはりどこかで第二次試験も大くくりな形にすると。そうなると、それは自動的に、即、技術部門の大くくり化につながると。それに合わせて、総合技術監理部門の位置付けを、ばらけるのか、あるいは残すのか決められるし、総合工学部門を、そういう全体をシャッフルして大くくり化する中で、制度設計するというのは非常に受け入れやすいし、しやすいと思うんで、そういう方向性の議論でとどめておくのかどうなのかだけやらないと、いつも堂々巡りで、総合技術監理部門を、今20プラス1か21、どちらでもいいんですが、延長線にはあるわけですよ。これはこのままとりあえず置いておくのか、それとも、岸本委員のおっしゃるように、この制度設計の中では、将来はこういう方針だから、この総合技術監理部門の技術士を増やさないように、もう一旦止めてしまうのか、そういう議論を一つ一つ詰めて押さえていかないと、常に発散していて、どこに行っちゃうのと。そこはちょっと分からないですけどね。
 まず、今までの意見を聞いていると、第一次試験の大くくり化というのは、大体皆さんオーケーだと。多分、将来は、この技術部門、あるいは、こういう専門家もこれでいいとは思っていらっしゃらないと。で、総合工学という新しい概念の学問もあるし、それを技術士の制度の中ではどうやっていくかと。と同時に、現在の総合技術監理部門をどうするんだと言ったら、やはりこれは第二次試験の、とにかくIEAのPC(プロフェッショナル・コンピテンシー)に合致するかどうかということで、作問と設問の仕方も変わってくるんだろうと思うんですよ。全てではないにしても。そういうときに、一緒に方向付けだけはこう決めておいて、部門の再編を含めてやるというのがやりやすいし、社会も受け入れやすいと思っているんですけれども。
【池田主査】 社会が受け入れるかどうかというのは、ちょっとそこは。
【松尾課長】 社会の定義もいろいろあると。
【岩熊委員】 そこは基本的な考え方をしっかり出しておかないと。
【池田主査】 それは前期の特別委員会で大分議論して、基本的な方向性を出したと思っているんですけど。そのプロセスの中で、それに向けてどうしていくかと、そういう議論ではないかと思っているんですけど。
 だけど、理想的な、かくあるべしというのを作ってやるのは、これは新しく作るときにはできるんだけれども、我々はものすごく過去を引きずっていますので、そこを全く無視してというのはできないものですから、そこでやはり非常にフリクションが起こるんですよね。
【福山主査代理】 先ほど吉田委員がおっしゃった国際同等性という観点から見ますと、例えば、総合技術監理というのは第二次試験はあるけど、第一次試験はないということは、第一次試験でそれなりの学力評価をする仕掛けがないというふうに取られたときに、どういうふうに対応するんですか。
【池田主査】 ほかの部門を持っているから、今はいいんですよ。
【吉田委員】 今はいいんです。だけど、国際同等性の中で、第一次試験の担保というのはないと思うんですよね。各個別の。第一次試験は、日本では工学系を卒業したと同等と認めるために義務化していますよと言ってますから。中身は、大学の工学系を卒業した程度、これを合格すればそういうふうに認めるんですよと言っているだけですから。第二次試験が問題なわけですよ。
【福山主査代理】 逆に言いますと、この総合技術監理部門みたいな部門は、国際同等性はあるんですか。
【岩熊委員】 そこが私も知りたいのですけど。
【吉田委員】 こういう部門ってどうなんですか。
【池田主査】 いや、ないでしょう。
【吉田委員】 ないと思いますね。
【福山主査代理】 それは、例えば、どういうふうに説明することになるんでしょうか。これ、日本独特のものになるのか。
【吉田委員】 ですから、例えば、APECエンジニアにも、このカテゴリーはないと思うんですよね。
【岩熊委員】 ないですね。
【吉田委員】 だから、説明もしないということです。ないから。
【福山主査代理】 そういうことですよね。
【吉田委員】 そういうことです。
【福山主査代理】 それは国際同等性を前面に出して、きちんと議論しようとすると、それに合わないものをまず外していくとか、考え方を整理するとかというのが、一方で議論の中であってもいいような気はするんですよね。
【池田主査】 多分、IEAは、複合的な思考をできると書いてあるんですね。それはいろんなところを俯瞰(ふかん)的に見ようということで。その技術者そのものの中に、やはりもう総合性は必要だということを言っているんですよね。
【吉田委員】 そういうのはないといかんので。
【池田主査】 言っているんですよ。
【福山主査代理】 ということは、これは同等性があると思っていいんですね。
【池田主査】 いや、どうなんでしょう。
【岩熊委員】 部門としてあるということはどうなのですか。
【吉田委員】 こういう部門だけをもって、同等で、例えばマーケットが開放されたから行くったって、これは何ですかと聞かれるだけですよね。プロフェッショナル・エンジニアとして。
【池田主査】 今、総合技術監理を持っているけど、ほかの部門を持っているから、ほかのところで登録をしているというのが実態でしょうね。
【吉田委員】 そう、そういう実態です。だから、実態的には過不足ないと思います。前回言ったんですが、総合技術監理だけを持っている人は何人もいないでしょう。
【池田主査】 3人。さて、困ったな、これ。
【福山主査代理】 ということは、今後ともやはりある一つの専門科目を持った上で、総合技術監理を持っているというような位置付けにきちんとしなくてはいけませんよね。今の仕掛けは、それを求めていないですよね。
【吉田委員】 求めていないけど、現実にはそうなっているんですね。
【福山主査代理】 現下はね。だから…。
【吉田委員】 1万2,000人のうち、3人しかこれだけというのはないですから。
【福山主査代理】 だけども、やはりそれは制度上問題があると思う。やはり受けられないとかしておかないと。それで、しかも、これが7年間の経験が必要だとすると、中身と実態が違う話になるから、整理はしておく必要があると。そういう意味で、現行の技術士制度の中で整理すべき問題というのは、ほかはなくて、やはり総合技術監理だと思うんですよね。そういう意味で、そこのところはきちんと一回整理する必要があるのではないですか。
【岩熊委員】 受験が可能だから横にされてしまう。どうして受験が可能になったのかが分からないのですけど、御存じですか。3人しかいないとの関連でも気になるところです。
【奥野委員】 ですから、先ほどのお話では、当初はこの議論はやはりちょっと上だという議論でやったけど、法的にその位置付けがなかなか難しいということがあったんですよね。
【池田主査】 そう、最初のスタートがやはり複雑なんですよ。
【吉田委員】 この部分が上という議論はしてないですよね。
【奥野委員】 そうですか。
【吉田委員】 平成7年以降の法改正前の技術士はどういう位置付けにするんですかという話から、じゃ、それはシニアだから上級にしましょうかという話なんですよ。
【池田主査】 いや、総合技術監理を作るときも、上に置きたいという意思があったんですよ。
【松尾課長】 ありましたね。
【岩熊委員】 と聞いています。
【池田主査】 意思があったんですよ。
【吉田委員】 だけど、現実には、平成12年以降の技術士資格取得者は、総合技術監理部門を持っていないと、いわゆる国交省ではなかなか平成12年以前の技術士と同等と認めないと。
【岩熊委員】 国交省では。
【奥野委員】 経験の3年の問題ですけど。
【吉田委員】 いや、だけど、そのポイントが大きくて、例えば、そういう業界では、そのために新しく技術士を取った、平成12年以降取った人には、これを取れと奨励しているわけですよ。定数を埋めなくてはならないですから。
【池田主査】 これはなかなか結論が出そうにないですが、どうしましょうか。議論の過程をやはり分科会にもう説明せざるを得ないですね、今の段階では。
【松尾課長】 そうですね。
【池田主査】 そこで御意見をまた集約して決めましょうか。
【松尾課長】 ええ。
【池田主査】 すいません、もう時間がなくなってしまうんですが。あと、まだコンピテンシーがあるんですけど、それから、継続研さん、CPDはもう次回にしましょうか。コンピテンシーだけ。すいません、渥美さん、せっかく用意していただいたんですけど、非常に難しい課題がたくさん出たものですから、そこまでちょっとたどり着けないので。恐縮ですが、それでは、資料7の説明を小林さんの方からお願いします。
【小林係長】 資料7は、前回の特別委員会が終わった後に各委員より頂いた意見や、先日、大中先生にお会いしたときに御指摘を頂くなど、関係する方々から頂いた意見等も含めまして、赤字で修正したものでございます。
 CPDについてですが、「知識及び技能の水準を向上させ」とあったところ、「技能」が、これは技術士法の条文の中で書いてあったものですから、事務局素案としてはこうだったんですが、「知見を深め、技術を修得し」というふうに改めてはどうかと。これは複数の委員から御意見を頂きましたので、こういうふうに修正させていただいております。
 キーワードの内容について、全体的には資質能力を書くところであるので、「できること」ではなく「すること」というふうに統一してはどうかという御意見があったものですから、それは全部そろえております。
 キーワードにつきましては、「判断」のところが「問題解決」のキーワードの中身と類似しているという御意見もございましたので、「判断」の中身を「問題解決」の中に、うまく入れられたかどうかよく分からないんですけれどもお示ししております。
 「マネジメント」につきましては、1ページ目の一番下ですけれども、「工期(納期)」とありますけれども、時間的な制約の中でも品質を確保するという意味で時間軸にかかる表現を入れてはどうかということで、追加しております。
 「コミュニケーション」は、製品のユーザーとのコミュニケーションも大事になってくるということで、「クライアントやユーザー等」を入れまして、「多様な関係者」というふうにまとめさせていただいております。
 また、2ページ目の下の方ですけれども、「リーダーシップ」が技術士になる方は求められる、今後キャリアパスを経ていく過程で必要になってくるということで、キーワードとして入れて、中身も資料「技術者キャリア形成スキーム」の中のものを参考に入れさせていただいております。
 技術者倫理のところにつきましては、やはり公衆の安全、健康、福利を最優先にということをきちんと前提に置いた上で書いておりまして、「公共の安全、環境の保全その他の公益を害することなく」というところは、裏から読めばそういうふうな言い方もあるところ、重複を解消した形で書いております。
以上でございます。本日御議論いただいて、次回分科会で固めていただければという位置付けのものです。
【池田主査】 どうもありがとうございます。
 事務局素案を見ていただいて、それで、こういうふうに修正したいということだと思いますが。
 このリーダーシップのところ、初めて見たんですが、リーダーシップというのは、周囲の技術者を率いてとか、そういうことよりも、むしろステークホルダーみたいな感じではないかと思うんですね。それに関連する人たちを取りまとめるようなことが必要だと思うんですね。それがリーダーシップではないかと思うんですけど。周囲の技術者を率いてというと、ちょっと違うのではないか。
【吉田委員】 そうですよね。チームのリーダーみたいな感じですけどね。
【池田主査】 そうです。だから、いろいろ取りまとめができるというようなことではないかと思うんですけど。
 それから、納期は入れるんですか。括弧として。
【小林係長】 適当な表現が浮かびませんでした。工期でいいのか。納期だけということはないかなと思ってはいるんですけれども。
【池田主査】 要するに、時間を考えなさいということですよね。
【小林係長】 はい。進捗状況とか、そういうのも管理、マネジメントできるという。
【池田主査】 工期というのは、いろいろな分野で使う言葉ですかね。いや、建設では使うんですけど。
【中谷委員】 納期は使う。
【奥野委員】 建設のイメージになってしまいますね。
【吉田委員】 建設でしょうね。
【奥野委員】 我々は納期。
【吉田委員】 建設分野だけでしょうね、工期というのは。
【岸本委員】 我々は納期ですね。
【奥野委員】 納期ですよね。
【吉田委員】 でも、工期(納期)でいいのではないですか。時間を入れるということで。
【池田主査】 「時間」ではだめですか。
【岸本委員】 スケジューリングみたいな。
【松尾課長】 スケジュール。
【池田主査】 工期(納期)というと、ちょっと。
【中谷委員】 ただ、マネジメントで、QCDというぐらいですから、これでデリバー、納期(工期)でいいのではないかと。
【吉田委員】 確かに、管理要件としては、マネジメントにおいては時間は重要な要素ですよね。
【池田主査】 工程管理。
【中谷委員】 それは計画…。
【池田主査】 工期というと、何かものを作って、それでという話になるので。
【中谷委員】 これ、PDCAのことを言っているんですよね。
【池田主査】 もうちょっと広い言葉の方がいいのではないかという気がするんだけど。
【奥野委員】 この文章から言うと、要求事項にかかってきますから、やはり時間…。時間あたりの方がいいのかもしれませんね。時間の制約の中でということだと思いますけど。
【池田主査】 工期はちょっと…。納期というのは、ちょっと狭く限定し過ぎているような。
【奥野委員】 そうですね。時間の方がよろしいのではないでしょうか。
【池田主査】 気がしますね。
【奥野委員】 時間に関する要求事項ということにつながってきますので。
【池田主査】 それで、これでIEAで要求しているコンピテンシーは、一応対照をつけてみて大丈夫ということでしょうか。
【小林係長】 13ある項目は。
【池田主査】 判断も、これは求められます。これはどこで読めばいいんでしょうか。
【小林係長】 問題解決の過程で「判断」はあるんだ。
【池田主査】 そういう読み。
【小林係長】 という考えなのかなと。
【池田主査】 なるほど。これはいかがでしょうか。
【吉田委員】 よろしいのではないですか。
【池田主査】 よろしいですか。これは余り異論がなさそうなので、周囲の技術者を率いてということは、強力なというのは要らないのではないか。リーダーシップだけで分かるのではないかと思うんですけど。
 それから、工期は、やはりちょっと。要求事項として、時間ぐらいにしておいた方がいいかと。工期とか品質にすると、ちょっと生々しいので。
【吉田委員】 それはそうですね。
【池田主査】 それでお願いしたいと思います。
【福山主査代理】 すいません、一般的には、主査、このマネジメントのところは、PDCAとQCDなんですよね。日本語で書いてあるけど。ですから、やはりQCDに対応するのは、品質、コスト、納期ではないかと思うんです。その方が一般的なような気がする。時間というと、すごく広くなりますよね。
【中谷委員】 あるいは、すごく細かくなってしまう。
【福山主査代理】 逆にね。
【中谷委員】 ええ。1つの業務の時間を守るみたいな感じなので。
【福山主査代理】 そういう感じですよね。で、納期の中に工期も入っているのではないですか。違いますか。
【吉田委員】 一つ一つのアクティビティも、そういうことになってしまうか。でも、それもやはりマネジメントすべき事項ですよね。
【中谷委員】 もちろん。でも、それはこのPDCAの中でマネジメントすれば。
【吉田委員】 チェックしてやればいいわけだから。
【中谷委員】 最終的な成果物の品質とコストと納期と。
【池田主査】 納期。
【吉田委員】 では、これは工期(納期)でいいですか。
【岸本委員】 製品として仕上げて、全部をやるところまでを見るというかね。
【吉田委員】 そうそう。
【岸本委員】 こちらだと工程管理になってしまいますよね。青本だとね。工程管理の話を言っているんですかね。要するに、スケジューリングができるということ。
【中谷委員】 それは、このPDCAの計画・実行・検証・是正のところに書いているんです。
【岸本委員】 計画・実行の方。
【中谷委員】 この品質、コスト、工期(納期)というのは、これは最終成果物の話ですよね。
【福山主査代理】 要求事項だ。
【中谷委員】 要求事項ですから。細かな時間の制約ではなくて、最終的な製品を納める時間、つまり、納期という。
【池田主査】 民間の技術者は多分そういう発想だと思うんですけど、官の方もそれでいいんですかね。
【松尾課長】 そう…ですね。いいかと問われると。
【池田主査】 技術士は、官の人も取りますよね。
【松尾課長】 取りますね。
【池田主査】 民間の見方だけでいいのかという気はするんだけど、そのあたりはどうでしょう。
【奥野委員】 工期よりは納期の方が、イメージは広いかもしれませんけどね。というよりは、やはり時間の制約的なイメージがあるんですけど。ここで言っていることは、最終成果物の時間に対する要求事項ということであれば、納期の方がはっきりするのかもしれませんけど、プロセスでやはり時間の制約があるというふうに考えれば、時間の方が。
【池田主査】 計画とか、実行とか、検証。
【吉田委員】 だけど、その前の中で、その過程においてもやっているということですから。
【松尾課長】 その前の方ですね、業務の計画、実行。それでPDCAをやり、そして、QCDというわけだから。
【奥野委員】 過程においてですからね。過程において要求事項が、品質と、コストと、時間と、生産性と、リスク対応に関する要求事項があるという意味だから、プロセスの中の時間管理も、この資料の時間のところで文章的には読めるのではないかという気はしますけど。
【池田主査】 前の文章が、例えば、計画とか、実行とか、検証、是正とか、そういうことになると、納期という言葉は当たらないのではないかという気がするんですけど、どうでしょうね。納期というのは、最終的に製品ができて納める。これはそのプロセスを言っていますので。
【中谷委員】 だから、ここの「過程において」がむしろおかしいのではないかという気がしますけど。
【奥野委員】 ですから、そういう面もあるんですね。これはPDCAとQCDのことを2つ分けて書いているんだということであれば、「過程において」という文章がおかしいということになる。
【吉田委員】 この接続詞がおかしい。
【松尾課長】 並列させればいいということですね。
【中谷委員】 「によって」ということですかね。
【池田主査】 「によって」?
【中谷委員】 ええ。あるいは、「を繰り返すことによって」。
【池田主査】 全部を言ってくれませんか。
【松尾課長】 「業務の計画・実行・検証・是正(変更)等により」。
【池田主査】 「において」ですか。「により」?
【中谷委員】 「によって」じゃないですか。
【池田主査】 「よって」か。
【松尾課長】 「によって、品質、コスト、工期(納期)及び生産性とリスク対応に関する」。
【奥野委員】 それは逆の方がいいのではないですか。納期の方がいいのでは。
【池田主査】 工期はやめて、納期だけにして。
【岩熊委員】 納期だけでも。
【松尾課長】 では、納期だけでもいいですね。
【池田主査】 では、そういうふうに直していただきましょうかね。
これはよろしいですね。あと、リーダーシップのところをちょっと直していただく。
 どうもありがとうございました。ちょっと時間が、私の時間管理が非常にまずくて申し訳ありません。総合技術監理部門が、非常に難しい問題で、理想と現実がありますので、そこをどうやって折り合いをつけるかということを考えないといけないので、結論が非常に難しいです。
本日は、日本技術士会の渥美部長からCPDのお話をしていただくはずだったのですが、そこまではちょっとたどり着けませんで、恐縮ですが次回にさせていただきたいと思います。
 それでは、以上の議論を取りまとめて、次回の技術士分科会で報告したいと思います。報告内容につきましては、事務局と相談して、私から報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【池田主査】 ありがとうございます。
それでは、最後に事務局からお願いしたいと思います。
【小林係長】 議事録につきましては、後ほど照会いたしますので、御確認願います。その後ホームページに公開させていただきます。
 次回の技術士分科会につきましては、既に御案内しておりますとおり、来年1月22日水曜日午前10時より、3階の3F2特別会議室で開催いたします。
 特別委員会につきましては、分科会での御意見等を受けまして、その後に開催させていただきます。
【池田主査】 よろしくお願いします。ありがとうございました。

12時12分閉会

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