第7期 技術士分科会 制度検討特別委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成25年7月12日(金曜日)9時59分から12時02分まで

2.場所

文部科学省東館15階 局1会議室

3.議題

  1. 今後の技術士制度の在り方について(技術士のキャリア形成について他)
  2. その他

4.出席者

委員

池田主査、福山主査代理、岩熊委員、岸本委員、中谷委員、吉田委員

文部科学省

松尾人材政策課長、吉田専門官ほか

オブザーバー

経済産業省、農林水産省、公益社団法人日本技術士会、一般社団法人日本技術者教育認定機構

5.議事録

9時59分開会

【池田主査】 皆さん、おはようございます。ただ今から科学技術・学術審議会技術士分科会の第3回制度検討特別委員会を開催いたします。御多用中、御出席いただきましてありがとうございます。
 初めに、この度委員が交代になりましたので御紹介いたします。公益社団法人日本技術士会会長の吉田克己委員です。一言御挨拶をお願いします。

【吉田委員】 先月、公益社団法人日本技術士会の会長に就任しました吉田でございます。今後ともひとつよろしくどうぞお願いいたします。

【池田主査】 どうぞよろしくお願いします。
 また、事務局におきましては、課名の変更と職員の異動がありましたので御紹介いたします。松尾課長、お願いします。

【松尾人材政策課長】 事務局の方から御紹介させていただきたいと思います。7月1日付で文部科学省の中のいろんな組織の再編がございまして、これまで基盤政策課という組織でございましたけれども、人材政策課というふうに名称を変更いたしました。技術士を初めとする人材育成全般、科学技術系の人材を取り扱うということと、リスクコミュニケーションを含めて取り扱うことになってございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それに併せまして私も1日付で、以前高等教育局の方におりまして、学生・留学生課長をしておりましたけれども、今回7月1日付でこちらの方に参ってございます。もともと科学技術系でございますので、この分野、いろいろ関係してきたわけでございますけれども、今この特別委員会でいろいろ御議論していただいているのを私も自分なりにちょっと消化させていただいて、改めて勉強して、また取り組みさせていただきたいと思っていますので、先生方の御意見、貴重な御審議いただければ有り難いと思っています。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

【池田主査】 よろしくお願いします。
 本日は、議題に関連しまして、大中逸雄APECエンジニア・モニタリング委員会会長にお越しいただくことになっております。先日ソウルで開催されたIEA会合について御報告いただくことになっています。10時半頃到着の予定と伺っています。
 それでは、まず事務局から資料の確認をお願いします。

【小林係長】 おはようございます。お手元の資料の確認をお願いいたします。議事次第の後ですけれども、配付資料が資料1から7までございます。資料1、2、3につきましては、事務局の方で前回までの御議論、主な発言を基にまとめさせていただいたものでございます。資料4以降につきましては、4-1というふうに枝番号を付けておりますけれども、4-1から4-5までございます。4-3、4-4、4-5につきましては両面印刷させていただいております。資料5につきましては片面、A4横判で3枚ホチキスどめにしております。資料6につきましては、共通キャリア・スキルフレームワークに関連しまして資料6-1から6-4まで御用意させていただいております。資料7は、これからいらっしゃる大中先生が作成されたものでございます。
 参考につきましては、いつも御覧いただいております1、2、3、4、5とございまして、机上資料としまして技術士関係法令集と机上資料一覧というふうに紙ファイルにとじたものを置かせていただいております。紙ファイルの中につきましては、前回までに資料として御提示いたしました技術士制度に関するヒアリング結果や、日本技術士会の方で御用意いただきました受験申込者の推移、これまで頂いた答申を追加でファイルしております。御確認をお願いいたします。

【池田主査】 よろしいでしょうか。
 それでは早速ですが、議題1、「今後の技術士制度の在り方について」に入りたいと思います。前回の委員会では、土木学会が作成した土木技術者グレードガイドライン(案)を参考に、技術士のキャリア形成を中心に議論いたしました。本日は、前回の議論を踏まえまして、技術士の複数の技術部門におけるキャリアパスのイメージについて、女性技術士の場合も含めて例示することができればと思っています。また、IEA会合での御報告をお聞きしながら、国際的通用性を有する制度を設計すべく議論を進めたいと思います。
 まず、前回委員会における主な発言内容を含めて事務局から説明をお願いします。では、小林係長、お願いします。

【小林係長】 資料1から3まで、5分程度で説明させていただきます。前回の特別委員会におきまして、岸本委員より高等教育機関における技術者教育の在り方、岩熊委員より女性技術者が技術士資格を取得する支援の取組事例、また、IEAのグラデュエート・アトリビュートとプロフェッショナル・コンピテンシーの翻訳の経緯と技術士の関連について御説明いただきまして、その後、内村前委員より、日本技術士会の方でまとめられた特別委員会の答申やCPDについて課題を御説明いただきました。また、土木学会のコンピューター・ベースド・テスティング、CBTについて池田主査から土木学会にヒアリングしていただいたことを御説明いただきました。
 それらを基に前回議論いたしまして、資料1のようにまとめております。いろんな御議論がありましたが、大きく分けますと五つに分けて御意見を頂戴したかと思っております。技術士のキャリア形成について、技術士に求められる資質能力、仮称でありますけれども総合技術士について、また、CPD、技術士試験の在り方について御意見を頂戴いたしました。
 技術士のキャリア形成につきましては、前回、土木学会が作成された土木技術者のグレードガイドラインを基に御議論いただきまして、技術士は、専門的能力に加えて経験を積み重ねながらキャリアを形成していくものであり、各段階で目標、要件、レベルと技術士に求められる資質能力・役割を示すことが重要であるという御意見を頂きまして、本日の議題の一つでありますけれども、複数の技術部門における技術士のケースを基にこれから御議論をお願いしたいと思っております。
 技術士に求められる資質能力につきましては、技術者としての知識・能力・資質に加えて、複合的な技術問題を解決する能力、自律した判断を行い自立して業務を遂行できる能力、業務遂行過程で倫理的判断を下す能力が必要ではないかという御意見を頂戴しております。
 また、総合技術士につきましては、専門の技術部門の技術士がその後目指すものであって、CPD等による一定の研さんを積んだ上で総合技術士になるための試験を受験することが良いのではないかという御発言がございました。
 さらに、総合技術士の分野をどうするのかということにつきましては、大くくりにするのか、技術分野を分けない一本にするのかという御意見もありまして、総合技術士についてはどういった資質能力が求められたものなのか、今の総合技術監理部門がございますけれども、それとどういうふうにするのかというのを改めて議論して定めた上で、どのような能力を身に付けていくかということを決めていけばいいというような御意見もございました。
 裏の方を説明させていただきますと、CPDにつきまして、技術士に求められる資質能力と、キャリア形成に応じてCPDの内容が変わってきますので、CPDプログラムの構築が必要であると、そんなイメージもあった方がいいのではないかというような御意見もございました。また、これは内村前委員からございましたけれども、CPDの受講機会の拡大、均等化、学協会や高等教育機関との連携、CPD登録システムの改善と学協会との連携、CPDを実際に受講したかどうかということが確認できるような実施状況を把握できるシステムの構築が今後必要になってくるのではないかという御意見がございました。
 技術士試験の位置付け、在り方につきましても簡単に御説明させていただきますと、欧米では、プロフェッショナル・エンジニアになるために教育認定された大学の工学教育を経なければならない。一方日本では、JABEEの認定課程の工学教育があるけれども、その課程を修了していなくとも第一次試験を合格して技術士になるルートが今主流になっているという御発言がございました。高等専門学校や工業高校を卒業して技術士になるルートも実際ありますので、そういったことも考慮した上で第一次試験の在り方を今後考えていくべきだという御意見です。
 また、グローバルスタンダードでは、工学系エンジニア教育(学士課程)の卒業生として身に付けるべき知識・能力を第一次試験において確認することが適切になるのではないかという御意見がございました。また、第一次試験を予備試験、検定試験のようにした場合、必ずしも筆記試験による確認だけでなく、十数年働いたベテラン技術者の方においては、講習を受けてレポートを課すなど、いろいろな形の試験が考えられるのではないかという御意見もございました。
 現行の第二次試験につきましては筆記と口頭試験で構成されておりますけれども、口頭試験に不合格になった方は筆記試験からまた受験しなければならないというのが実情です。受験の負担等を考慮しますと、筆記と口頭を分離して、筆記に合格して口頭に不合格になってもまた口頭試験から再受験できるようにした方が良いのかもしれないという御発言もございました。
 第2回における主な発言を基に、資料2と3につきましては、頂いた御意見を基に事務局の方でまとめまして付け加えております。資料3につきましては、現在の案ではありますけれども、今後のイメージのエッセンスをまとめさせていただいております。以上です。

【池田主査】 どうもありがとうございます。
 前回の特別委員会における主な発言をおまとめいただきましたが、何か御指摘の点はございますか。よろしいでしょうか。大体こういう方向ではなかったかと思います。
 大中先生、どうもお忙しいところありがとうございます。
 それでは次に、技術士のキャリア形成スキームについて、部門が21ございますが、そのうち、登録者数の多い部門である等の理由で、機械、電気電子、建設、農業、情報工学、応用理学における技術士のキャリア形成スキームを例示的に作成していただきました。それぞれについて御説明をお願いしたいと思います。では、まず資料4-1ですが、これは機械部門ですね。金友さんの方からお願いしたいと思います。

【金友技術参与】 では、私の方から資料4-1を用いまして、機械部門の技術士のキャリア形成スキームという案を説明させていただきます。
 キャリア形成というのは、皆さん御存じのように、技術士という技術者が時間とともにどういう形で技術をアップしていくか、そのキャリアを付けていくかという話でございます。資料4-1を見ていただきますと、横軸にステージ1、ステージ2、ステージ3という時間の軸をとっております。それから、縦軸の方に、それぞれのステージにおきまして技術者を評価、チェックするための項目、1番から10番まで、最後の9番と10番については記入がございませんけれども、1番から8番につきまして、その変化していく項目を書くような形にしております。
 ステージ1というのは、5番の資格というところを見ていただきますと、技術士補をターゲットに書かれたステージでございまして、技術士補を、学校を卒業した後取得しまして、20歳代をこの資格を持って仕事をしていただくところでございます。仕事を始めたところでございますから、まず学ぶというキーワードが多く、学力と自分の持っている基礎的な技術、学力、これをもって課題を解決していくことで、この際、もちろん技術士という上位の方の指導を受けながら仕事をしていくというものでございます。民間の技術者といえば、執務員とか企画員という、呼び名はいろいろあると思いますけれども、こういう時期でございます。
 続きましてステージ2、これは、5番の資格を見ていただきますと、技術士というのをターゲットにしているのですけれども、ステージ1で10年間技術士補という形で仕事をしていただいて、その後、技術士という資格を30代前半に取って、10年間をステージ2で仕事をしていくというものでございます。ここにおきましては、基本的には技術者のその分野においてかなり深い知識を付けて仕事をしていくということでございまして、複雑な課題等を自分自身で抽出して、専門的な知識と、あと豊富な経験、これを使ってクライアントの課題を解決していくというものでございます。これに加えまして重要なところは、技術士補というステージ1の技術者を教育するというキーワードでございます。ただ、その次のステップのステージ3から要求される経営とかリスクマネジメントにつきましては、不足な部分はステージ3の技術者に指導を受けながら進めていくというところでございまして、持っている専門的な知識と学力で技術について深く追求していって、仕事をしていくというところでございます。
 それから、続きましてステージ3、これは資格のところを見ていただくと総合技術士という形で書かれているのですけれども、現在の総監技術士の延長上という形でよろしいと思うのですが、40代初めに10年間の技術士の経験を基にこの資格を取るというところでございます。その後の業務につきましては、専門知識等を含めて、経営とか倫理、それから安全とか、総監技術士として手に入れた技術を基に最終的な製品に対して責任を負うような技術者、最後のとりで、こういうところで仕事をしていただく技術者でございます。それで、技術士に求められる能力というところですけれども、先ほど申しました1から7のこういう個々の技術を新たにCPD等を通して付けていただきこのステージに移行いただくという形にスキームを組んでおります。
 以上が機械部門のスキームの内容でございます。

【池田主査】 どうもありがとうございます。
 それぞれの部門が終わりましてから質問を、あるいは御意見を承りたいと思いますので、続きまして電気電子部門、それから農業部門・建設部門を併せて小林係長の方からお願いします。

【小林係長】 資料4-2、4-3につきまして御説明申し上げます。電気電子部門、農業部門、建設部門につきまして、日本技術士会の御協力を頂きながら資料を作成いたしました。建設部門につきましては、前回御覧いただいた土木技術者のグレードガイドラインの場合と大きく変わらないということですので、今回資料には付けておりません。
 それでは、資料4-2、4-3を説明させていただきます。電気電子部門につきましては、ステージ1、2、3という大きなくくりであることは機械部門と変わりありませんが、電気電子部門全体とものづくりという観点からこれを書いていただきました。ステージ1の電気電子部門全体につきましては、機械と似ているところがあるんですけれども、技術士の指導の下で技術者倫理、専門知識、課題を抽出し、解決策を提案できる能力を有すると。業務を遂行する技術者であるということを位置付けております。ものづくりという観点から見ますと、開発、製造、試験、販売、サービス等の過程がありますので、これらの各過程の分担業務を的確に遂行する技術者というのがステージ1だというふうに頂いております。
 ステージ2につきましては、高い技術者倫理と専門職としての高度な知識・能力、複数の技術に関わる複雑な課題を解決できる能力を有すると。また、技術士補を育成する計画的な指導ができる技術者というふうに頂いております。ものづくりという観点から見ますと、各過程のデザインレビュー、技術資料照査等を行い、プロジェクトの責任を負う技術者というのがステージ2に位置付けられるだろうということでございます。
 ステージ3につきましては、技術士を指導監督する者。高い技術者倫理と専門職としての高度な専門能力と技術横断的な複合的課題を解決できる能力、社会に多面的に貢献する技術者というふうに位置付けられるのではないかということでございます。ものづくりの観点からいいますと、技術士を指導する、ものづくりの最終的な責任を負う技術者というふうに位置付けてはどうかということでございます。
 資料4-3の農業部門につきまして、これは、御協力いただいた方からは、農業部門の技術士の中で多数を占める農業土木分野に限定して書いたものと頂いております。ステージ1のところにつきましては、農業部門を専門技術としながら基礎的な専門知識と一定の実務経験、技術者倫理を持って業務を遂行できる技術者ということで、技術士の指導と監督の下、現場条件や要求性能を分析し、課題を抽出し、技術的対応策の検討に参画できる技術者というふうに頂いております。
 ステージ2のところにつきましては、深い専門的知識、豊富な実務経験と高い技術者倫理を有し、責任を持って業務を遂行できる者ということで、こちらにつきましては技術士補を指導する責務を負うと。また、農業部門の学術・技術の発展やその社会的責任の遂行に貢献する意欲を持った技術士というのがステージ2に該当するのではないかということでございます。
 ステージ3のところにつきましては、農業部門を専門技術としつつも、それ以外の多くの分野にわたる幅広い見識と豊富な経験を有し、国際的にもプロフェッショナル・エンジニアとして通用する高い技術力等を有し、責任を持って業務を監理できる技術者というふうに位置付けておりまして、また、技術士を指揮監督する、プロジェクト全体を総合的に監理・遂行し、最終的な責任を負う技術者というふうに位置付けてはどうかというふうに頂いております。以上、簡単でございますけれども、説明いたしました。

【池田主査】 どうもありがとうございました。
 次に、情報工学部門のキャリア形成スキームにつきまして、資料4-4、それから資料6-1から6-4を用いまして中谷委員からお願いしたいと思います。

【中谷委員】 それでは、情報工学部門の技術士のキャリア形成スキームについて説明いたします。まず、この資料4-4ですけれども、頂きました土木技術者のグレードガイドラインを参考にいたしました。ただ、情報工学部門に関しては少し違うところがあるということで、その違いが分かるように、技術士像というところを「共通」、「能力と責任」、「プロセス改善の能力」、それから「後進育成への取り組み」ということで分けて記述してあります。
 情報工学部門についての特徴というのを先に説明した方がよいと思いますけれども、現在、情報処理技術者試験というのが一般の企業に多く取り入れられておりまして、企業に入ってきた技術者というのはまずその情報処理技術者試験を受けて資格を取っていくと。資格といっても認定ですけれども、受けていくということをやっているところです。
 ただ、今こちらの資料6-1に「共通キャリア・スキルフレームワーク」というのがありますが、これは独立行政法人情報処理推進機構が作成してウェブ上で公開している資料ですが、こちらの7ページを見ていただきたいんですが、こちらに情報処理技術者が一生のうちでどういうふうにキャリアを進めていくかという話が載っております。これはレベル1からレベル7まで7段階でキャリアのスキルをどういうふうに上げていくのかということが定義されております。レベル1、2、3、4、5とありますけれども、現在の情報処理技術者試験というのがこのレベル1から7までのどのレベルに相当するかと申しますと、レベル4までということになるんです。
 それが書かれているのが、同じ資料6-1の14ページを見ていただきたいんですが、レベル1、2、3までが共通の試験ということで、いろいろな、例えばユーザー企業における技術者、それから組み込みソフトウエアの技術者、あるいは情報システム、データベースを使ってシステムを作っていくという技術者共通の試験ということになります。これがレベル3までです。この情報処理技術者試験の特徴というのが、レベル4の段階になりましたときに、それぞれの技術者の専門分野に分かれて試験を受けるということになっております。ですので、入社した技術者たちはどのようなことを想定していくかというと、自分はネットワークスペシャリストになっていくのか、あるいはプロジェクトマネジャーとしての技術者としての人生を歩んでいくのか、あるいはITサービスマネジャーとしての資格を取得していくのかということを考えながらそれぞれ進んでいくということになります。
 この共通キャリア・スキルフレームワークの特徴は、情報工学部門の技術者となる人たちを細かく分けて個別の技術に対して認定していくという制度になっているため、フェーズといいますか、技術者の評価の仕方がちょっと違うと。技術士の評価の仕方とは違うということになります。
 それでは、レベル4から先はどのようにキャリアを進めていくかといいますと、再び7ページになりますが、レベル5になりますと社内をリードすると。レベル6になりますと、国内で、ハイエンドプレーヤーというふうに書いてありますけれども、評価されるような技術者となると。そしてレベル7になりますと世界のレベルでも広く認知されるような技術者となるということが定められておりまして、どうもこのレベル1から7を見ますと、レベル4の段階でそれぞれの専門分野を定めたら、その専門分野で技術を更に進化させていく、そういう構成になっているということがよく分かると思います。
 現在、情報処理技術者というのがレベル4までで、実は情報処理学会が中心になって、このレベル5以上の資格認定という試験をやっていかないかということで今会議が進められております。
 情報工学部門の技術士を考えるときに、現在、第一次試験、それから第二次試験という構成になっております。それからもう一つは、JABEE認定の大学を卒業した修了生が第二次試験を目指すということになっているんですけれども、実情はどうなっているかといいますと、企業に入りますと、JABEE認定を受けているか受けていないかというよりも、情報処理技術者試験のどこを受けるかということで社内でも評価されるということなんです。
 このため、このように技術者の評価制度として技術者試験というのがありますので、これにうまく技術士という制度を乗せていけないかということを考えています。そうすると、レベル1から7というのはそれぞれの専門分野で進んでいく技術者ということでよいのですけれども、技術士といいますと、それを横刺しにするような技術士を育てていくという視点になるのではないかと考えます。
 ということで、ステージ1というのは技術士補ですけれども、これはJABEE認定を受けた人たち、あるいは情報処理技術者の技術士試験のレベル4をクリアした方というように設定できないかというふうに考えております。ですので、このステージ1というのは、ある専門分野についての知識は持っていると。それを使うことができるというレベルで考えております。
 例えば、これは能力と責任というところですけれども、製品開発、これは、なぜ情報システムとしなかったかといいますと、組み込みソフトウエアと、あるいはユーザー企業にいまして発注していくという立場の方々もいらっしゃるので、製品開発というふうにあえて抽象的な言葉を使っております。製品開発において自己が担当した部分の成果に対して責任を持つと。仕様に記述された品質を満足する製品を開発することができるということで、こちらは、先ほど見ていただきました情報処理技術者試験の個々の技術分野に特化して責任を持って仕事ができる、そういうレベルに設定してみました。
 ステージ1は技術士補のレベルですので、技術士から指導を受けて、横串をするということはどういうことなのかということを学んでいただくという段階になります。例えばそれは、後進への取り組みという欄になりますけれども、これはまだ技術士補にならない、あるいは情報処理技術者試験を受けて個々の技術の知識を身に付けていこうという人たちに対しても、自分の専門分野というのがありますので、それについては指導することができるだろうということになります。
 ステージ2ですけれども、こちらは技術士という内容になりますので、横串としての視点を持つことができるということになります。ですので、製品の複雑な課題を抽出し、実践に裏打ちされた専門的学識、豊富な実務経験及び高い技術者倫理を持って当該課題を遂行し、更に技術士補を指導するということです。この段階で、最近の情報システムといいますと、やはり安全性であるとか情報セキュリティ、それから法の準拠、経済性といった意識を持たなければ仕事がなかなか進められないのではないかということで、こういう内容も取り込んでおります。
 この段階ではどうかといいますと、お客様の要求に対しての課題を解決してシステムを開発するということになりますけれども、ステージ3といいますと、今度はお客さんに対して、あるいは社会に対しての責任を見ていくということでステージ3を設けました。こちらも土木分野の情報、ステージ3を参考にしているんですけれども、ただ、情報管理であるとかいうものはちょっと書き替えてあります。
 そこで、この資料で強調したいところは何かといいますと、責任を持って技術士あるいは技術士補という資格を持った人たちがソフトウエアあるいは情報システムの開発に関して責任を持てる、はんこを押して、その人たちがはんこを押したもの、仕様が信頼できるものであるというような、そういうお墨付きを持たせるような仕組みが必要なのではないかと考えまして、責任という言葉をステージ1から取り入れてあります。
 ということで、情報工学部門では、現在ある情報処理技術者試験の上に乗せて、それぞれの情報部門の技術を横刺しする知識あるいはスキルということで技術士補、更にそれを使いこなせる技術士、それからさらに、社会、お客様の組織というものを総合的に見て情報工学というものを活用できる総合技術士というものを設定してみました。

【池田主査】 どうもありがとうございます。
 いろいろ御質問、御意見あるかと思いますが、次に、応用理学部門の技術士、女性技術士のキャリア形成スキームにつきまして、岩熊委員から御説明をお願いします。

【岩熊委員】 応用理学部門ですけれども、頂いたフォーマットに基本的に合わせて書いたものですが、応用理学部門ということで、工学と理学、理学と工学のインターフェースという部門の特徴があります。よって、研究職に近い方も応用理学を意識されている方がそれなりにいる。もう一つは、応用理学部門の技術士が扱う成果は、ものづくりとかそういうことではなくて、調査結果とか研究結果、それから製品を設計で扱う方もいらっしゃいますし、物理化学の選択と地質の選択とは業界も非常に違いまして幅が広い。人数的には地質の方が多くて、土木、建設に近いところが多いのですが、それでも工学と理学のインターフェース的な立場の仕事をしている人が多いというのが一つ特徴になっています。
 中身についてはほかの部門の方と余り大きく変わっていないと思います。ステージ1では、技術士の指導の下に、顧客の要求する課題のうち具体的な課題は自ら、複合的又は階層的な課題は指導技術者の協力の下で、基礎的学識、一定の実務経験及び技術者倫理を持ち、これらの課題の解決を提案して実行してクライアントの要求を満足する成果品、ここで調査だとか研究だとか製品を提供する。30代前半ぐらいまでということです。
 ステージ2は、いわゆる技術士となる年齢です。これは、豊富な実務経験があるということ、課題解決をすることができること、それから指導することができるということ、必要に応じて他の技術分野の技術者と協働してクライアントの要求を満足するということ、基本的に技術士としてこのようなことができなければいけないということです。
 ステージ3ですが、総合技術士といわれる段階です。これは、業務全体を俯瞰(ふかん)してクライアントの要求を満足する成果品を出せる。それから、製造過程に係るいろいろな事項についても専門横断として総合的な技術監理をできる、また指導できること。それから、社内外における責任をとれるというようなことで、安全管理とかで、これは頂いたフレームに入っていましたけれども、社会環境との調和、経済性、情報管理、人的資源管理です。
 それからもう一つは、上級技術士。これは意見が出てきたのですが、専門技術士又は上級技術士、ステージ2を包括して、一定以上の継続研さん及び業務実績を有する等、所定の要件を満足する高度の専門的応用能力を有する技術者。資格取得は申請のみでよいのではないかという意見もありました。この辺は、具体的に詳しくどういうことだということは聞いてはいません。
 それから、スキームを2と3で分けましたけれども、実際の業務としてはきちんとこういうふうに線引きできるわけではなくて、特にステージ2と3はオーバーラップしてやっていくということがあります。これはこの部門だけではないのですが、国交省関連のプロポーザル、総合評価の情報、技術士の優位性が余り評価されていない、されなくなっていることです。メリットが余り感じられていないような現状なので、CPD等の認定を受ける等、定期的に継続研さんを行っている技術者にその称号をきちっと与えるべきではないかという意見がありました。
 もう一つ、民間会社等の職位と技術士の関係は、この例示されたものとは必ずしも一致しないのではないかという附帯意見がありました。応用理学部門はここまでです。
 もう一つは女性のキャリアパスということで、頂いた御指示は、必ずしもこのフレームに乗っかっていなくてもいいということでした。女性は1,000人しかいないのですけれども、キャリアステージを考えるときに、どのくらいの年齢で技術士試験を合格されているのか、それから、ライフイベントと両立されているときにどのぐらいの年齢で技術士試験を合格されているのか。数的には非常に少ないですが、わかる限り見てみました。先に2ページ目の図を見ていただくと、30代ぐらいまでで合格数値は高いです。右側の表に、女性合格者数全体のうち25歳から39歳の女性の割合は7割程度で、男女合わせた合格者全体の割合は4割ぐらい、そこに違いが出ていました。数は少ないですけれども、これも特徴と思いました。
 それから次のページが、絵がたくさん描いてありますが、学校を卒業してから、1970年代から90年代、この20年ぐらい、ちょうど制度がいろいろ変わってきて社会が動いてきた時代に、学校を卒業して、ライフイベントと技術士がどういうふうになっているかというのを描いてみました。最近の方は両立して技術士を取っておられるということが分かりました。これは上からだんだん若い方に星印が動いてきます。もちろん独身のままの方もいますけれども、一応ライフイベントとの両立で技術士をどういうふうに取っていっているかというのを見てみました。女性が子供を産まなければ子供は増えないですから、適正な出産年齢までの間に出産を終えるというのが基本的な原則だと思いますので、皆さんそこを理解しておられるということが分かりました。それが先ほどのグラフとも一致しているのかなということが分かりました。
 そういうことを考えながらキャリアフレームのエクセルの表を埋めてみたものです。技術的な能力について、何が必要かというのは当然今お話があったところと同じなのですけれども、女性として見た場合どうなのかというようなことを少し入れてみました。2番目に年齢の目安。20代は修業の時期ですから、この時期に、技術士にふさわしい経歴とは何かと、そういうことをきちっと理解しなければいけない。そのためにはアドバイザーとかメンターとか、必要ではないか。技術士にふさわしい経歴というのが何なのかということをきちっと理解してもらうということが必要で、これは男性も同じだと思います。
 職位等における業務の性格。これはどちらかといえば女性の方が多いと思うのですけれども、指示により業務を遂行して、具体的な技術や手法は先例やマニュアルや手順書などによることが多いと思います。最初の頃の仕事はそうだと思います。その後は自分で調べていかないとやはり技術士にふさわしい経歴にはならない、特に技術士への道という意味ではそう思いました。
 技術士に向けた女性技術者の課題のところでは、やはり先ほど申し上げました技術士の存在を知ることから始まる。まず、受験することを念頭に制度や試験内容を知っておくと、ここが大事で、男性と同じ情報が得られるとは限らないので、ここをやはり何とかしないと女性が技術士というものを身近に感じてくれないのではないかと思っています。
 女性技術者と年齢。やはり修業の時代ですが、本人が望まなくてもアシスタント的な仕事になりがちだろうと。ここも先ほど申しました技術士にふさわしい経歴ということをきちっと理解する。それは本人だけではなくて、上司や先輩もそうですね。それから、女性技術者とライフイベント、パートナーと出会いキャリア形成に影響して、ここは価値観が非常に多様になっていると思われますが、20代後半では周囲から何を期待されているかを考えて、自分に強みがあるはずで、強みを磨き成果を上げる努力をしていくことを考え、そのプロセスの中にきちっと技術士をターゲットとして持つようなことが必要ではないか。30代では、20代と同様にパートナーとの出会いがありますが、経歴がある程度積み重なっている分だけ選択肢が広がると思われます。この時期が出産と育児に直面しますが、経歴が形成されて、技術士試験の受験期と重なりつつも、一直線に走るということでなくて、いろいろくねくねしながらも、自分は技術者としてキャリアを積んでいこうという価値観が受け入れられていると思われるのですが、それでもやはり男性と同じようにやっていくということは望んでいると思います。ですから、技術士をここで頑張って持っているといろんな意味では有利であるというようなこともあると思います。
 女性の技術職の特徴と技術者の収入というところは、生臭い話ですが、アシスタントの補助職に置かれがちで、余り機会を与えられていない。それから、技術士はテクニシャンではないので、テクニシャンの経験を何年続けても技術士には到達しないと。そういうことを女性自身も気付かなければいけないし、上の方もそういう指導をしなければいけない。それから、収入に関して、働く女性の平均年収は300万円くらいが7割という統計があります。女性の技術者とか研究者は決してそうではないです。でも、その辺がミスマッチがあるかなということと、そういう統計とは別に、技術士を持っていれば、例えば、退職や転職で一時的に収入が減っても多分後からもう一度回復してくるなど、男性とは違う価値観を持って、技術士をうまく使ってやっていけるのではないかという感じがします。
 女性にとっての受験しやすさ。第一次試験は頑張ってとるしかないし、JABEE課程を出れば必要ありません。ただ、先ほどから何度も申し上げました技術士にとっての経歴形成が重要な時期で、これは何なのかというところをしっかり女性自身にも企業の管理者にも植え付けなければいけないので、そういうことの支援制度とか情報提供システムとか、何かそういうものがあればよいかなと思いました。
 それから、この年齢で試験を受けるわけです。女性は会社を離れて、おなかに赤ちゃんがいるときは自分の時間が自由だから勉強しやすいとかいう意見もあるのですが、育児に入ればほとんどそういう余裕はないです。そういうことで、筆記試験を留保する、科目を留保する、そういうようなものが検討されてもよいのではないかと思いました。以上です。

【池田主査】 どうもありがとうございます。
 それでは、それぞれの部門のキャリアスキームについてお話を頂きましたが、これにつきまして、30分程度意見交換の時間をとってあります。御質問、御意見等を伺いたいと存じます。それから、今日は「技術士のキャリア形成について」というテーマで、技術士に求められている資質能力、あるいはその資質能力の評価・保証の在り方、例えば技術士試験で何を評価・確認し、どのように位置付けるべきかという点も含めて御意見を頂ければと思います。
 直接のこの議論ではないんですが、今日のいろいろお話を伺っていまして、用意していただいた資料3の5ページに、これは前回議論いたしましたが、ここに、今後技術士を目指す人たちが、技術士がもっとどういうキャリアを描けるかということをもう少し詳しく書いた方がいいんじゃないかなと思います。
今日は、例えば、情報の方から国際的な観点がありました。今までの議論は割とそこがちょっと抜けていて、技術士をこういうふうにキャリアを積んでいったときにどの段階で国際的な活躍ができるのかとか、あるいは展開していけるのかというようなことも必要ですし、それから、女性ならではのやはり事情もありますので、そういうものがこの表の中に入っていると分かりやすいのかなというふうに感じました。
 それで、こういうものをもう少し、一応制度が設計された後、あるいはJABEEとか日本技術士会でこういうパンフレットなんかを作っていただいて、例えば大学で工学系の学生に配付していただくとか、そういうふうにして、技術士を取ったら自分の人生をどのように設計できるのかというのがもう少し分かりやすくなると受験者が増える可能性があるなというふうに感じています。これは全体的な感想ですが、今日のキャリア形成スキームについてもし御質問とか御意見がありましたらお願いをしたいと思います。

【大中会長】 発言してもいいですか。

【池田主査】 どうぞ。

【大中会長】 二、三あるんですけれども、一つは、年齢の目安だからこれでもいいかもしれませんけれども、中小企業では、例えば40歳まで待てない、あるいは国際感覚でもとても40歳まで待てません。もっと早くからやらないといけない。実際、韓国でもほかの国でも30代でばりばりやっている人がいっぱいいるわけですよね。ですから、そういうつもりではないでしょうが、余り限定しない方がいい。
 それから、国際感覚が最後になっていますけれども、これは当然ステージ1、すなわち、JABEE認定が関係するところからやっていくべき課題だと思います。ただ、レベルが違いますよね。
 それから、情報分野の整理は大変目のつけどころが私はいいと思うんですけれども、ちょっと注意していただきたいのは仕様の定義です。曖昧な仕様だったらいいんですが、かなりクリアな仕様になると、これはテクノロジストの領域に入ります。あるいはテクニシャンとか。

【中谷委員】 そうですね。

【大中会長】 そういう意味でこれは注意しないといけないです。日本にはテクノロジスト、テクニシャンの定義がないものですから、どうしてもみんな一緒くたになってしまっていて、大学教育でもテクニシャン的な教育もしているところがありますので、これは気を付けないといけません。国際的に通用するというところでは問題です。
 それから、情報関係では国際的な資格の相互承認でソウル協定というのができています。情報系には、いろんな資格がありますからあまり進んでいません。JABEEも一応会員ですけれども、それを受けるプログラムが余りにも少ない、韓国よりはるかに少ないのが現状です。そういうことで、いろいろまだ問題はありますけれども、やはりどんどん国際化が進む傾向にはありますので、そういうときに国際的に通用する資格に技術士の20代後半ぐらいでもなれるような、そういうシステムは必要だと思います。
 7年というのが多いですし、APECは7年にしていますけれども、これはある意味でレベル調整のためだったんです。非常に教育制度が遅れているような国でもなれるようにと。大学を出て7、8年たてば大学差の問題はあまりないという現実がありますので、そうしていますけれども、これはちょっと長過ぎるのではないのかというのが国際的な意見だと思います。後で報告しますけれども、決めていない国も結構あります。実力次第という国も結構ありますので。

【池田主査】 どうもありがとうございます。
 この議論では、資料3を御覧いただきますと、これをもう少し修正していかないといけないんですが、基本的にJABEEをベースにして、今までの第一次試験は、少しこのやり方を変えてはどうかと思います。国際的なグラデュエート・アトリビュートが確認できるような試験に今後変えていく必要があるのではないでしょうか。それから、年齢はこの中に入っていないんですが、やはり30代が一番働けるときなので、そのときに資格をやっぱりきちんと持っていると、責任ある立場で働ける資格を持っているというのが基本だろうということなんです。
 その後、大中先生の御意見ですと、もう少し早くから国際的な視点も持つようにということですが、APECエンジニアとかそういうものを意識すると、技術士を持っている方が基本的に海外へ展開していける資格を持つということで、これをやはりこの中に位置付けていかないといけないと思います。これは国内だけの資格の発想になっていますので。

【大中会長】 ただ、流れとしては、国内資格と一緒にしましょうということになると思います。それに近い国が既にありますので。

【池田主査】 もう少し国際的な。

【大中会長】 本当に国際的に通用する資格ですからね。

【池田主査】 ええ。国際的な視点というのをやはりこの中に取り入れていく必要がありますよね。どうも国内向けだけの資格で我々これまで議論してきましたので。

【大中会長】 それと、今のシステムを前提にしたものだけを考えていたのでは私はまずいと思います。今はそんな時期ではないと思います。

【池田主査】 どうもありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

【岸本委員】 1点よろしいですか。今回こういう形で整理したことによって、先ほど池田主査がおっしゃっていたこの図をもっときめ細かく作ること、更に第一次試験の在り方だとか第二次試験の在り方の改革を考える手だてになるように思いました。その中で、幾つか大事なことが出てきたように思います。すなわち、キャリアをどう考えるのかという観点をもう少しはっきりさせていき、女性の技術者も含めてステージを上げていくところをきめ細かくすることと、今、大中先生がおっしゃったように、海外からの視点からも見るというのがあるように思います。さらに、もう一つ、この試験そのものをどういう位置付けにするのかということですが、できた人に対して試験をして、できるということを認定するようなやり方なのか、あるいはこれからできるポテンシャルを持った人を認定していくのかです。それによって対象年代だとか試験の在り方は変わってくると思うんです。
例えばJABEEの認定を受けたプログラムを学生が卒業したというのは、業務をできたというわけではなくて、業務ができるというポテンシャルを持って送り出すわけです。そうすると、この技術士の試験というのもそういう考えで、業務上で必ずしもマネジャーとしてやっていなくても、それができるだろうということを認定していくことがいいように思います。そうでないと、試験に受かるときが随分遅くなってしまうわけです。その辺をしっかり、こういうキャリアパスを書いたときに、どこで何を試験するのかというのをもう少し議論してもいいのかなというふうに思います。

【池田主査】 年齢については、試験の中身で合格者の年齢は随分変わると私は思うんです。今第一次試験といっているところは、これは基本的に、基本的な技術者としての能力を、ポテンシャルを持っているかどうかというのをはかるべきだと思うんです。

【岸本委員】 あともう一つ。職位の具体例というのをここに書き込んでいったときに、どうしても管理職系のものが並んできます。けれども、技術者のキャリアとして、例えばステージ3のところで出ているのは、責任を負う立場とか指導的立場とかいったときに、その職位の管理職の体系と技術者の職位が必ずしも一致していないように思います。専門職としてのポジションというのがあると思うんです。管理職を作るための試験に見えてしまうのでは技術者にとってよくないように思います。具体的に何を入れていいかという明確な案はないですが、このような観点で企業の方も考えていただいて、このところを補強していただけると有り難いと思いました。

【池田主査】 これは割と日本の特徴ですよね、ポジションを入れていくというのは。だけれども、どういう仕事ができるのかというのは、これは、例えば建築の分野は、自分はどういう仕事をやってきたかというのを書いていくんです、実績を。だから、どういうものができるかという観点で書くのも必要ですよね。こういう国家としてのビッグプロジェクトの責任者になれるとか、どの部分の仕事をできるかという観点が、やはり資格と対応して書いていった方が私はイメージとして分かりやすいのかなと思います。

【岩熊委員】 先ほど応用理学のところで触れましたけれども、やはり意見が出まして、企業内の職位とはリンクしていない、技術レベルだけが企業における昇進要件になっていないと。企業の規模によって部長とか課長とかの位置付けが違う。もう一つは、専門職として、総合職とは別のラインで歩んでいくというのは最近多いですね。そういうようなことがあるので、必ずしもここにきちっと書くのは少しどうかなという意見がありました。

【池田主査】 そうですね、もともと技術士の技術に携わっているわけですから、こういう資格をとったらどういう仕事を中心に行うのかという観点が必要ですよね。

【岩熊委員】 そうですよね。

【池田主査】 そこをやはり。

【大中会長】 先ほどのポテンシャルの話ですけれども、第一次試験はいいと思いますが、第二次試験はプロフェッショナル・エンジニアとして通用する保証が必要です。従って、能力があるということが必要で、ポテンシャルでは通用しないですね。

【池田主査】 もちろん。

【岸本委員】 でも、それをどう証明するかということですよね。

【大中会長】 証明がデモンストレーションなんですよ。こういうことをやったと。そういう実績です。

【池田主査】 実績ね。技術者はやっぱりそこが勝負ですから。それはやっぱり大事だと思うんです。どういうことをやった、できるかということを測る必要があります。

【岸本委員】 難しいのは、例えばほかの資格を持つ人は、資格を持ってからでなければその仕事ができないですよね。ところが技術士の場合は、できた人に後から称号を与えるものなのか、その資格を持ってその仕事をしてもらうのかによって、鶏が先か卵が先かになってしまうので、そこをどちらかに決めておかないと、混乱のもとになるように思うんです。

【大中会長】 これは建築士が典型的ですけれども、設計ができませんよね、建築士の資格がなければ。しかし、設計できないというよりは、サインできないという意味なのです。実質的に設計していても責任が負えない、そういう意味なのです。ちょっと意味が違います。ですから、資格がないと「できない」という「できない」の意味がいろいろあるんです。

【松尾人材政策課長】 だから、能力の証明の仕方ですよね。要するに、過去にやったから証明できるのか、将来できるという証明を何らかの形で能力として証明すればそれで技術士資格を与えて次のプロジェクトに参加させるかどうかということですね。

【岸本委員】 そうです。

【大中会長】 これは後で私の報告のときにちょっと申し上げたいと思います。

【池田主査】 総合技術士を除いて20部門の、これは専門の分野ですよね。ですから当然その分野で働くわけで、キャリアはそこで積めるわけです。その経験を積んだ上で技術士というものを取って、そこでサインができるようになるということだと私は思うんです。それを仕事をやりながらいろんな経験を積んでいくと、いろんなほかのところに目配りができるようになる、そういう仕事をする機会が増えていくわけです。そういう方に、横串的なことを判断できる、あるいはその企画できるような資格、それが私は総合技術士ではないかなと思うんです。ですから、基本的に、ポジジョンもそれに関連しているんですけれども、どういうキャリアを積んでどういう仕事ができるかという観点で技術士をもう一回眺めてみると、キャリア形成という観点で分かりやすくなるかなという気がします。
 その中にやはり国際的な観点とか、それから女性―女性は特に、先ほど岩熊委員が説明していただいたように、これを見るとなかなか厳しいなと思うんです。30代の前後に子供を産んで育てて、それでしかも資格も取らないといけないということで、なかなかきついんですけれども、こうなるとやはり本人の努力だけじゃなくて、それを支援するシステムがやはり組織の中でないと女性の技術士というのはなかなか増えないなという印象を私も受けましたけどね。そういうものがキャリアのこういうスキームの中に明示できればいいのかなというふうに感じています。

【岩熊委員】 女性にとって受験しやすさのところの一番後に、就職後に初めて職を得た大体10年間というのはみな右往左往して仕事をする時期ですよね。その後、熱中して仕事をする時期と、大体そういうイメージですが、その初職の仕事からやはり所属とか業種を超えた、この場合では女性を対象とした技術士に向けての啓発とか支援の制度というものをきちんと検討したらどうかと思い、女性にとってはそれがいいと書かせていただきました。

【池田主査】 割と若年化していっているというのは、これは何か理由があるんですか。

【岩熊委員】 私は、自分たちが仕事を続けていくためには、技術士とか資格とかそういうものに挑戦していくことで認知度を高めていくという、目的が若干違うような気はしますけれども、やっぱりそういうことで、ここでずっと仕事をしていくために何か必要だということで。

【池田主査】 そういうのを意識されているんですかね。

【岩熊委員】 だと思います。

【池田主査】 随分全体と比べると若い方の合格の割合がすごく高いですよね。

【岩熊委員】 そうです。だから、自分は技術士でやっていくんだということを見せていくというような行動ではないかと思います。ですから、ほかの男性の方もそうであって、若いときに挑戦されると先がすごくよいと。

【池田主査】 そうですね。これを見ると、男性はもうちょっと早く受けなければいけないというのはよく分かりますよね。

【岩熊委員】 そうだと思います。女性は数は少ないですけれども、男女ともこのようにシフトするのが理想的で、更に大中先生はもっと早く取ったらいいというふうにおっしゃいました。大橋先生も、30歳前後で技術士というようなことをおっしゃっていました。

【池田主査】 大体ここの議論はそういう議論に進みつつあるんではないかなと私は思いますけれども。

【岩熊委員】 ええ、そうですね。

【大中会長】 ここに上がっていないステータスの一つは、例えば学協会のフェロー制度です。あのようなものは一つのステータスだと思います。学会だと関係ないと思われる方も多いかもしれないですが、本来あれはプロフェッショナルな世界ですから。

【池田主査】 そうです。土木学会はフェローと特別上級土木技術者をリンクさせているんですね。フェローでも面接を受けないといけないんです。学者だけでは駄目で、ちゃんと技術としての仕事を指導的な立場でやったということを要望していますので。

【大中会長】 技術業績を評価して新たな何かステータスを日本技術士会でも作るとか、そういう方向を取り入れるべきだと思います、係長とか課長とか社長ではなくて。

【池田主査】 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【福山主査代理】 先ほど、それぞれの部門ごとのステージ1、2、3と、それから要件みたいなものの御説明がありましたが、あの議論の延長をちょっとさせていただきたいと思います。ステージ3という総合技術士なるものが技術士の到達点であるという仮定を置いた場合に、もう少し到達点はどういうものであるべきかという要件を定義しておいた方がいいんじゃないでしょうか。大中先生がおっしゃったようなことも含めて。それがあって、例えば総合技術監理部門は一つなのか、若しくは更に幾つかの部門に分かれるべきなのかという議論ももう少し明確になるんじゃないかなと思うんです。
 それからもう一つは、例えば、総合技術士が一つの到達点であり、しかもクライテリアは一つだとすると、そこにいろいろなパスの方が入っていく道はおのずと幾種類かに分かれてくるだろうと思います。女性であるかもしれないし、それから、中小企業の方かもしれない。そういう面で見るとやっぱりこの横軸の年齢というのは少し幅が出てくるような気はするんです。そういう全体像の掘り下げがもう少しできるといいのかなと。逆に、話をバックキャスティングというんでしょうか、総合技術士を前提に置いたときにどういう年齢においてどんなキャリアを積んでいくべきだというようなものができるといいのかなという気はしました。

【池田主査】 ありがとうございます。
 例えば総合技術士というものを考えるとすると、その前の段階の技術士と総合技術士で何ができるのか、どういう能力がお互いに違うのかということをしっかり議論しておかないといけないですよね。

【福山主査代理】 そうですね。

【池田主査】 そうしないと、総合技術士といっても漠としたものになってしまうので、これはどういうことができる人だということをはっきり示しておかないといけないと思うんです。ここで、いろいろキャリア形成スキームの中で、それぞれの部門で書いていただいていますので、こういうことができるんじゃないかと、こういうのは一つ参考になるかなと思います。

【岩熊委員】 整理するときに、情報工学の先生が整理されたような能力と責任というこのカテゴリー、これは非常にポイントになるのかなと思いましたので、全体の中にも取り入れていったらどうかと思います。

【池田主査】 それからもう一つ、総合技術士、一番上位の技術士というのは、どういう仕事ができるかというものに加えて、どういう貢献ができるかということも考えておく必要があります。例えば人材育成、次世代の技術者をどうやって育てるかとか。これはいろいろ書かれていますけれども、そういう観点が大事になるんじゃないかなという気がするんです。仕事上の指導と、それから、次世代をどうやって育てるかという観点が必要のような気がします。そういう能力のプロファイルを、これは、一般の技術士はIEAの能力プロファイルですよね、基本的に。だけれども、総合技術士というのを作ったときに、それに加えて何が必要かというものがないといけないかなと思います。むしろひょっとすると、大中先生にただ今御意見を伺いたいんですが、こういうもうちょっと上のレベルの技術士を日本が設定したときに、それを日本から海外に、外国にこういうのが必要じゃないかというふうに提案するようなことも可能かなと思うんですが、その辺りはどうでしょうか。

【大中会長】 私は、これは試験で決めるというよりは実績で評価すべき領域だと思います、この総合技術監理、普通の技術士の上のところは。やっぱり実績を上げ、これだけのことができたんだと。

【池田主査】 実績と、それから例えば面接とか何かで。

【大中会長】 そうですね。実績に基づく面接です。

【池田主査】 面接ですね。

【大中会長】 そうすれば社会で活躍した人がそれで評価されますから、一般的な認知度が非常に上がるわけです。それと余り関係しない試験でやると、後で申し上げますけれども、キャリア形成には余り貢献しないと思うんです。

【岸本委員】 その実績の中にCPDがしっかりと組み込み、単なるこの仕事をしただけというのではなく、要件に見合うような研さんをしているということが大事になると思います。

【岩熊委員】 そうですね、CPDがないと。

【岸本委員】 それを含めた形の制度設計ですよね。

【大中会長】 CPDも含めてこういう実績でこういう能力があるということを示すわけですね。技術士試験もそうあるべきです。もう一つ上のレベルの資格を作ってもいいと思ますが、レベルの定義の議論が必要です。大きい仕事をコーディネートするような非常に総合的なものと、技術内容が非常に高度なもの、両方一緒というのもあるでしょうけれども、どういうのを高度なレベルというのかという定義を議論しないといけないと思います。

【池田主査】 なるほど。今評価の視点でいろいろやっていただきましたけれども。

【吉田委員】 ちょっとよろしいですか。

【池田主査】 どうぞ。

【吉田委員】 私、今回が初めてなものですから、過去の議論も勉強してきたわけでありますけれども、ちょっと視点が違うんですが、今議論されている現行の技術士の上位にこういう技術士制度を設けたらどうだというような議論だと思うんですが、これを作って、この技術士の資格を有したときに、この資格者に対して社会がどうやって受け入れてくれるのか、その辺の議論がないといわゆる称号を与えるだけの話になってしまわないかと。そうすると、魅力って何でしょうかということになってしまうと思うんです。だからその辺は、過去に議論したのかどうか分かりませんけれども、現行の技術士そのものも、私も長いこと技術士のタイトルを持って、今回日本技術士会の会長になったわけでありますけれども、もう少し社会で活用していただける、そういう場面が様々な局面において作れないだろうかということを考えて、それを何とか任期中に各方面に働きかけて活用の場を広げたいと。
その一つが国際通用性、同等性。同等性を持って、国内の法律でもって規定された資格ではあるが、お互いに交流を深めて、マーケットを一つにして活躍の場は作れないものだろうかと。そういう視点からはFTAだとかTPPだとかはある意味で歓迎しているところですけれども、どういう議論になるか分かりませんけれども、そういう中で日本技術士会の役割というのもあるんだろうと思いますし、技術士の登録者が7万5,000人いるわけでございますから。その人たちの期待があるんだろうと思うんです。そういう期待感を含めて技術士制度の在り方というのを検討していただけると有り難いなと思っております。

【池田主査】 総監を作るときにそういう議論がありましたね。

【大中会長】 今の総合技術監理といえば、位置付けですよね。そういうとき、例えば大きい仕事の責任者を決めるときに、まだ残念ながら日本の資格では決められないですよね。実際の場合、その人が過去どういうことをやってきたのか、成果はどうか、などを丹念に調べて、だからこの人ならできそうだなと判断すると思います。そういう評価とは今なっていないから問題なのです。総合技術監理をビッグプロジェクトの責任者クラスの資格という認定にするのであれば、確かにこの人はこういうことをやったんだからそういうことはできるだろうなと、そういう評価をして認定をすればいいわけですね。そうすればその資格は自然に通用するはずです。

【吉田委員】 ですから、私見ですけれども、ある一定規模の業務、設計業務でも調査業務でもいいんですが、委託する場合に、いわゆるその責任者に対しては、あるいはある高度の業務を委託する。いわゆる当該技術部門の技術士プラス総合技術監理部門を有していることというようなことをどこかに書いていただければ、お客様の要求仕様書か何かに。

【大中会長】 書く前にそういう評価をしないと書けないんですよ。

【吉田委員】 もちろんそうだけれども、そういうことがあればその評価の仕方がおのずから定まってくるんだろうと思っている。

【大中会長】 逆じゃないかと思いますけれども。今…。

【吉田委員】 なかなか、認知度の問題がありましてね。

【大中会長】 いや、それは今…。

【岸本委員】 だから、そういう意味でこの設計を、今回のこの形で技術士制度を決め、もう少し修正して、それを世の中に示していって初めてそういうスタイルになると思うので、やはり何ができるかというのを規定した形で試験も含めて制度設計するのがいいのではないかと思うんです。

【池田主査】 今の総合技術監理は横並びで位置付けは非常に曖昧なんです。しかも、もう今1万2千人いるでしょう、7万5,000のうちの。それだけのボディーがあって、それを十分活用できていないのはちょっと問題ですね。せっかく総合技術監理を作りながら、それを持っているとどういう仕事ができるかということがはっきりしない、それはやはり一種の損失だと思うんです。そこはやはりきっちり位置付けていきたいというのが今回の改革の一つの大きなねらいでもあります。
 さて、皆さんから御意見頂きましたでしょうか。よろしいでしょうか。そろそろ時間が参りましたので、キャリア形成のスキームについて議論を一応終了いたしまして、これにつきましては御意見等を基に必要な修正を加えた上で次回の技術士分科会で報告したいと思います。
 次に、先月ソウルで開催されたIEA会合について大中APECエンジニア・モニタリング委員会会長より御報告を頂きまして、国際的通用性を有する制度を設計するためにどのようにすべきか意見交換してまいりたいと思います。それでは、大中先生、よろしくお願いします。

【大中会長】 資料7に基づいて説明させていただきます。このIEAというのはインターナショナル・エンジニアリング・アライアンスの略でございますけれども、教育及び専門資格に関する国際的相互承認の6団体を会員とする組織です。ワシントン協定というのはプロフェッショナル・エンジニアのための教育、それからシドニー協定はテクノロジストのための教育、ダブリン協定はテクニシャンのための教育、そういう協定です。それから、APECエンジニア、御存じだと思いますが、もう一つ、昔EMFあるいはエンジニアリング・モビリティ・フォーラムというのがございまして、そこからインターナショナル・プロフェッショナル・エンジニアという制度ができました。この相互承認がIPEAです。AはアグリーメントのAです。同様に、テクノロジストの相互承認、IETAというのがあります。テクニシャンもできる予定なんですが、まだ進んでいません。
 6月、ここに記載のとおりソウルで開催されまして、25か国・地域、115名、日本からは小林係長を含めてこういう方々が出席いたしました。
 まずIEAというのは、結局事務の合理化、経費節減のためにできました。特にコモンウェルスの国、イギリスとかそういうところは、技術士協会が教育認定までやっています。全てやっています。ですから、この六つの国際会議をばらばらにやったら大変なことになるので、一緒にやってしまいたいという、そういうのが一番大きい理由でした。また、グラデュエート・アトリビュート、今後GAと呼びますけれども、それからプロフェッショナル・コンピテンシー、PCと呼びますけれども、これらは全部に共通しますので、そういう問題も議論しようということで、今はニュージーランドに事務局を置いております。
 こういう組織は国際的に多分ないと思います。それで、IEAに対して、国際会議に誰か参加して講演してくれとかいろんな要望もありますし、より技術の質的向上を図るためには、このIEAがもう少し統一目標を持った統一的な組織にすべきだという意見が強くて、そういう規定等の整理を進めているところです。また来年ニュージーランドで会議がございますけれども、そこでできたら決めたいということで、名称も含めていろいろ議論いたしました。
 それから、IEAを代表しての活動、あるいはそこでのいろんな活動のために、今費用がありません。事務費しかありません。それで、事業ベースで少し会費に上乗せしたいということで、これも後日打診されます。この会議全体で決まるということはIEAの基本規定ぐらいで、最終的には各協定で決めることになります。
 この相互承認とか協定は、6年ごとに継続審査を受けねばなりません。それをレビューと呼んでいますけれども、方法も少しずつ変わってきているので、それをいつから適用するかとかそういう話がありました。日本もこのレビューに参加しないといけません。ほかの国の監査に参加しないといけません。今年はスリランカ、来年はフィリピンと毎年あります。次はタイ、イギリス、シンガポールなどです。会員が増えていますので大変です。
 それから、決まったのは、教育認定と技術者資格のレビューとは可能な限り同時に実施しましょうということです。可能な限りですけれども。ですから、去年JABEEは継続審査を受けましたが、たまたま同じ年、APECとEMFのレビューも受けました。今後はそれをなるべく一緒にやってしまおうということです。これは日本だと余り関係ないんですけれども、先ほど言ったように一機関が全部やっているところは有り難いわけですよね、一緒にできるのは。
 日本は次は2018年にレビューを受けることになります。APECエンジニアはAPEC特定の要件がありますけれども、EMFあるいはIPEA、こちらでは、IEAが決めたPCを満たす、そういう人に資格を与えようというかなり強い要求があります。それで、国内での資格審査のとき、GA、PCを満足しているかどうかということも確認していこうということになっています。

【池田主査】 それは大事なポイントだ。

【大中会長】 ワシントン協定ではこのGAを満足していないといけませんが、ほかの専門資格の場合にはまだそれを満足していないといけないということにはなっていなくて、かなり幅の広い実質的同等性があればいいということになっていますので、レビューの結果には影響しませんけれども、そういう方向にあります。また、先ほどちょっと言いましたけれども国内資格とAPECエンジニアなどの国際資格をなるべく同じにしていこうという動きがあります。
 また、今後のレビューでは、場合によっては審査の現場に誰かが来てそれを見るかもしれません。ワシントン協定では、授業など現場を見ます。それが非常に重要ですけれども、技術士資格の場合は、日本ではそれは国でやっているから難しいという話があります。しかし、ほかの国では面接のときにもウォッチングしています。ですから、そういうところも含めて今後レビュー時にオブザベーションをどうするかというのが今後の課題となっています。
 共同事務局は4年満期で、今後4年間はニュージーランドになりました。毎年この会議は開かれます。ただ、総会は2年に1回です。
 それから、GAが本質的には変わりませんが、GAの各項目と知識プロフィールの関係がはっきりするように記述が変更されました。これをうまく使うと水準みたいなこともある程度読み取れることになります。
 細かいことは省略いたします。もう一つは2.3という項目が付け加えられまして、GAが書いてあって、それが同じだったらいいというわけではない、実質的同等性には、教育プログラム、カリキュラムのデザインと教育資源、教育・学習プロセス、学生の学びのアセスメント、卒業生がGAを満たしていることの確認、こういうもの全てが含まれるということが明記されました。アウトカムズさえよければいいというような単純なものではないということです。
 APECエンジニアの会議が6月21日に開催されました。そして日本は今後の6年間、メンバーとして承認されました。次回のレビューは2018年です。前に申し上げた通り、GA、PCとの適合性、それから技術士試験への立会い、これは電子的なものでもいいかもしれませんけれども、今後の議論ですけれども、そういうものも含めたオブザベーション等、より今まで以上のレビューが行われる可能性が高いです。また新しいアセスメントステートメントに基づいて審査した結果例を提出せねばなりません。そうすると早めに実施しないといけないということで、できましたら2014年3月のモニタリング委員会で新しいアセスメントステートメントを承認して直ちに事務局へ提出する予定でございます。これに一番影響するのはPCです。日本のPCを早く決めていただく必要があります。それがないとアセスメントステートメントが書けないということになります。
 また、ニュージーランド、それからシンガポール等が継続メンバーとして承認されました。
 APECエンジニアのプロモーションにつきまして、議長のMohさんが、ヒューマン・リソース・ディベロップメント(HRD)委員長(韓国の先生ですけれども)とコンタクトしています。委員長はAPECエンジニアなんて全然知らなかったそうですが、今後協力してくれるということです。どう協力してくれるのか不明ですが、そういうことも含めてワーキンググループでもう少し活発に議論しようということになっています。
 APECエンジニア各国の登録者数がここに書いてございます。日本と韓国とニュージーランドが非常に多いです。ニュージーランドは特に人口比にすると非常に多い。この一番の理由は、国内資格と同等にしていますので、単に希望すれば取ることができ、特別の審査をしないためです。
 このAPECエンジニア制度では、法的に効力を発揮するには相互承認協定を結ばないといけません。二国間の協定が必要です。現在、日本とオーストラリアが協定しておりまして、たった一人ですけれども、オーストラリアの資格を持った人に日本での資格を与えています。日本のAPECエンジニアで、先方の資格を取った人はいません。今年、この協定の期限が切れるので、延長する方向で進めています。オーストラリアでは、TPPのような類いのいろんな協定があって、国から全ての協定類のレビューを要求されているようです。日本とのこの協定をやめるつもりはないようですけれども、手続きを一時保留して、その間申請があったものについてはケース・バイ・ケースで対応するという方向で進んでいます。
 次に、IPEAの協定、これには日本は最初から参加していますが、暫定会員的なメンバーでした。というのは審査がきちんとなかったためです。今回、正式な審査を受けて合格しましたので、オーソライズドステータスという資格になりました。次回のレビューはAPECエンジニアとの同時レビューになります。2018年になります。
 ロシアが暫定メンバーとして承認されました。ウェブベースの資格試験をやっています。また審査委員の研修もやっています。バングラデシュは暫定会員ですけれども、現状報告をしました。インタビューに1時間45分かけているそうです。これは後で申し上げますけれども、PCに関係する自己申告についての口頭試問で、大体コモンウェルスのやり方です。今こういうインタビューで評価する国が増えています。
 議長、副議長改選では、副議長が改選されました。また、レビューの件も、先ほど申し上げましたように、オブザベーション等がある可能性があります。
 ワシントン協定では実態がよく分かりますが、専門資格の審査の実態はよく分かりません。それで、アンケートできちんと調査をしてほしいということを日本から提案しまして、やりましょうということになりました。ですから、これで先ほどの、例えばインタビューだけで評価している国がどの程度あるかなど各国の状況が分かるはずです。本当はもっと早くやっておけばよかったんですけれども。
 名称の問題ですが、日本ではEMF国際エンジニアと呼んでいます。しかし、ほかの国はIPEAエンジニアと呼んでいますので、日本もそう変えた方が良いと思います。
 なお、ワシントン協定では中国が暫定メンバーとして入りました。CASTという組織ですけれども、中国が暫定メンバーとして入りました。それから、ドイツは暫定メンバーでしたが、残念ながら彼らの対応が非常にまずくて、期限切れになりました。
 ここからは会議中に非公式に収集した情報ですけれども、一つは学歴条項です。日本では学歴要件がないですが、オーストラリアでは4年制の学位を持たない者はテクノロジストかテクニシャンの対象で、決してチャータードエンジニアやIPEAエンジニア(IntPE)にはなれません。ところがイギリスでは、非認定学位、あるいは学位なしの申請者もUK-SPECと称するPCへの適合性試験に合格すれば認められるとのことです。これは個別ルートと呼ばれていて、そういう道が開かれているということです。ただし、IntPEはワシントン認定学位あるいはそれと同等の学位に限定しています。チャータードエンジニアにはこの個別ルートでなれますけれども、IntPEにはなれないということです。それから、必要な実務経験には年数の基準はないそうです。ニュージーランドでもありません。
 PC、GAが日本では非常に曖昧です。時間がありませんので最後のページを見て下さい。7ページ目です。私がこれまで約20年、正確に言うと17年ぐらい、このAPECエンジニアを始め国際会議のほとんどに出ていまして、直接関係している生存者は私一人しかいないと思います。皆亡くなられてしまいましたので。これは私のその経験に基づく結論です。
 まず、学校教育のところ、第一次試験の前のところです。大学教育では、やはり主流は認定プログラムになるべきです。そのときに、各プログラムでのGA、すなわちJABEEでは学習教育達成目標と呼んでいます、文科省は学修目標ですか、要するにグラデュエート・アトリビュートが重要です。IEAのGAは抽象的です。ある意味で抽象的です。例えば具体的知識の内容は抽象的です。何も言っていません。しかし、教えるとき、教育するときにはそれを具体化しないとできません。ですから、それはプログラムごとに設定するわけです。それを満足した人を卒業生として出す。GAを満足した人を卒業生として出す。そのような大学教育を受けていない人は学位同等性評価をすべきです。今でもそういう評価制度がありますよね。ただ、そのときに、日本ではどういう力が付けば卒業と言えるのかというのが明確ではありません。これを本当は持つべきです。当然、GAを満足するならば大学教育を受けていなくてもいいはずです。そういう評価をすべきだと思います。
 この評価は、事によると第一次試験と兼ねてもいいのかもしれません。もう少し工夫して、GAが保証されていない人に対して、GAを満足しているかどうかを試験するようにするのです。こうすれば、GAを身に付けることを目指して学習が行われます。
 学校教育の後、日本では、技術士が指導するとか何とか、今日の資料にもいろいろ書いてありますが、システムとして極めて曖昧です。いかなるシステムで、誰が何をどう指導するのか極めて曖昧です。記載してある能力もPCよりもっと抽象的です。ですから、これは見かけはいいんですけれども、実際は余り役に立ちません。もっと具体化したPCが必要です。その一つの標準がIEAのPCです。しかし、それも抽象的ですから、具体的には企業ごとに決めればいいのです。あるいは個人で決めればいいです。とにかくこういう能力を身に付けるべきだということを認識すべきです。一番重要なのは企業です。その企業にとって、うちはこういう能力が必要なんだと決める。ただ、それはIEAのPCや日本のPCを参考にして決めるのです。こういう知識が必要だ、こういう専門問題を解く能力が必要だと、企業に役立つものを決めればいいのです。
 学習訓練で一番効果的なのはOJTですが、研修会に行ったり、大学へ行ってもいいし、方法はいろいろあります。しかし、いかなるPCをどうやって身に付けるかということで教育プログラムを設計すべきです。今はそうなっていません。第二次試験では、統一筆記試験ではなくて、自分たちが設定したPCを、失敗事例を含む自己体験の事例・実績、こういう方法でやった、だからこういう能力がありますということを自己説明して、それに対して口頭試問をすべきです。そうなれば、所属組織に非常に貢献した人は、当然それ相当に評価されるはずです。
 一方、今の統一試験ですと、たとえ問題解決力を筆記試験でやったとしても、それは一種の演習問題です。具体的に今どういう学習訓練になっているかというと、過去問を解くことです。過去問を解くということ、それは大学入試と一緒です。それでは応用力を身に付けるのは非常に困難です。一般知識は増えるでしょう。しかしイノベーションにはつながらない。企業や所属組織で具体的なPCを決めてやれば、その習得は仕事と密接に結び付けられますからオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやりやすいのです。技術士試験のためだけのオン・ザ・ジョブ・トレーニングはとてもできません。よっぽど余裕がない限りできない。自分達で決めたものを、実績で評価するようにすれば、企業での評価に近くなります。しかし、統一試験でやると実際には関係ないところで評価されることになり、その学習訓練は余分な仕事をしていると見做されても仕方がないかも知れません。
 その後のステージも同じです。理想とする技術士像というのは、個人的に多様です。総合技術監理みたいなものを設けたとしても、なおさら統一試験的なものはあり得ない。実績で評価して、これだけのことができたんだから今後こういうことをできるでしょうと、そういう、可能性といっても実績に基づく可能性の評価が必要です。これはちょうど博士の評価と一緒です。博士の評価は、こういう研究をやりました、だから能力があるでしょうと、昔の博士とちょっと違ってポテンシャルを見ていますけれども、一応実績を見てポテンシャルを見ています。筆記試験ですとどうしても演習問題になってしまいます。以上です。

【池田主査】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただ今の御報告につきまして御意見、御質問等ありましたらお願いしたいと思います。

【中谷委員】 では、一つ質問させてください。

【池田主査】 どうぞ。

【中谷委員】 こちらの今御説明いただいた7ページの参考図1「技術者のキャリア形成と資格審査」のお話ですけれども、先ほど申し上げた情報処理技術者試験は非認定あるいは高校等の教育を受けた人たちが実際に受けているんです。ただ、あれは原則ではなくて、面接試験はありません。筆記試験のみです。このため知識を問う試験であるという位置付けですけれども、そういったほかの試験を技術士第一次試験に代用するというようなことは可能でしょうか。

【大中会長】 十分可能です。それは、例えばオーストラリアにしてもニュージーランドにしても、移民しようとして行くと、これと同じことをやるわけです。どういう学びをして、だからこういう知識がありますよと、そういう説明です。ですから、そういう試験を受けて、それはこういう内容で、合格しているからこういう能力がありますよと書けば、これは立派な自己証明の一つです。

【中谷委員】 なるほど。あともう一つですけれども、よろしいですか。

【池田主査】 どうぞ。

【中谷委員】 第二次試験において口頭試問を行うといったときに、自分の設定したPCに対して自分がどれだけの成果を出していたのかということを説明する、あるいは実績があるという。これに対して、所属する組織が、組織の中での技術士に対してどういうことが求められているかということを併せて示す必要があるという気がしますけれども。

【大中会長】 当然そういうことになります。また、実績としての仕事はある仕事の一部をやったことになりますね。どこまで本当にやったのか、そういうことは面接でないとなかなか分からないです。そこで突っ込んでいけば、本当に力があるかどうかというのが分かります。ですから、当然一部でいいんです。

【中谷委員】 なるほど。では、その組織の中で期待されている能力に対して自分がどこまで達成できたのかということは面接の中で聞いていくということですかね。

【大中会長】 そうです。それから、これは成立条件のところに書いていますけれども、それを保証する人が大抵ついています。オーストラリアでは3人とか。会社の上司が、この人の実績は、これで間違いない、この部分はこの人の仕事ですよと、そういうことを確認して、はんこを押すということです。それは必要です。そうすると会社の中でも当然それは評価されるわけですよね、会社に役立つことをやっているわけですから。だから、会社の評価と資格審査の評価がより近くなります。そうすれば当然その資格が使われていくということになりますよね。

【池田主査】 ほかにはいかがでしょう。

【岸本委員】 よろしいですか。

【池田主査】 どうぞ。

【岸本委員】 この大中先生のモデルですけれども、一つの企業の中でずっと企業人として育っていく日本の風土と、職業団体として、それぞれの職業はこういうプロフェッショナルでなければいけないというような中でこういう資格試験をしていくのはちょっと違うような気もします。

【大中会長】 そういうのはあってもいいわけです。

【岸本委員】 日本の場合だと、どちらかというと企業の中で育つというのが今までのものなので、このモデルでやろうとすると企業でという話になるかもしれないですが、むしろエンジニアが企業を転職していくという形になったときには、技術士なら技術士のソサエティーが、その見識で試験をすることになるように思います。その場合には、面接のやり方も含めて変化すると思いますが、そこへ今の状態からすぐ持っていってもなかなかうまく収束しないのかなという気がしていて、ある程度スタンダードの試験というのを一回経ないといけないのかなというような気もします。だから、ここに持っていくためのロードマップが必要ではないかと思います。

【大中会長】 これは併用になると思いますけれども。併用という意味は、所属組織と書いていますけれども、参考図1には会社とは書いていなくて、学会なら学会、学協会なら学協会でもいいわけです。ただし、企業のPCと学協会のPCが一致していれば企業は評価するでしょうけれども、一致していなければそれは個人の問題です。しかし、個人が持っていてもいいわけです。この会社に勤めるつもりはないという人もいますし、この会社は危ないなというところもいっぱいありますから。それから、多くの中小企業ではとても会社で設定なんかできません。ですから個人で設定しないといけない。個人の設定も、個人だけでは難しいですから、そういうときに一つは学協会がそういう手助けをする、学協会で、機械学会なら機械学会で設定したものを、それを満足するようにやるわけです。しかし、その場合は企業の組織的支援は難しいかもしれません。だから、ほかの何かの支援、システムを作るか、学協会でやるか。

【岸本委員】 私は技術士のコミュニティーがやるのかなと思っています。

【大中会長】 それでもいいし。それはいろんな可能性があっていい。

【岸本委員】 ということを考える。

【池田主査】 この能力開発はすごく大事だと私も思うんです。今のCPDというのは何か割と狭いCPDになっていて、もう少し広い概念があってもいいんじゃないかと私は思っているんです。例えば学会で講習を受けるとかそういうのが中心になっていて。それだけじゃなくて、やっぱりその人が育つのは会社、例えばその組織の中だし、それから、自分で学ぶというのはすごく大事だし、そういうところがちょっと今、日本のCPDは概念として狭く捉えられているかなという感じがしていますので、その辺りの議論を、特に総合技術士の受験資格としてCPDを捉えたときには、そこは大事になると思うんです。特に総合技術士というのはこれまでの経験というのがすごく大事になってきますので、必ずしも学会とか学協会での講習だけじゃない。それも大事ですけれども、それだけじゃないような気もするんです。その辺りを今後議論していく必要があるかなと思います。

【大中会長】 それで、そのときもPCが重要なわけです。グラデュエート・アトリビュート・アウトカムズと同じなのです。教育によってどう変わるか、そういうアウトカムズです。CPDでもPCが一つの基準となります、第二次試験までは。その後はいろいろ変わるでしょう。

【池田主査】 テクニカルなことをちょっとお伺いしたいんですけれども、ニュージーランドは国内資格合格時に希望するだけで取得できると書いてあるんですが、APECの資格を取るには幾つかありますよね。

【大中会長】 矛盾するんです。

【池田主査】 では、それで全て満足しているわけですか、国内資格で。例えばCPDは必要要件になっているかどうか。

【大中会長】 CPDは問題ないと思いますが、実務経験がAPECでは7年と決まっています。そこがどうなっているのかなというのは私も疑問なんです。

【池田主査】 そうですね。そこをちゃんとクリアしているのかどうか。日本は一応そこを審査するということになっていますので。

【大中会長】 がっちりやっています。大抵の国はがっちりやっているんですけれども、ニュージーランドの監査はちょっとわかりません。

【池田主査】 分かりました。それから、英国で、非認定学位とか学位なしの申請者もパスがあるということですが、これは国際的な資格へのパスは結局ないということですね。EMFでしたか。

【大中会長】 そうですね。ただ、チャータード・エンジニアはコモンウェルスの間では通用しますから。

【池田主査】 そっちは大丈夫だと。EMFエンジニアへの資格はないということですね。

【大中会長】 ないということです。

【池田主査】 そこで差別化をある程度しているということですね。分かりました。
ほかには御質問いかがでしょうか。よろしいですか。

【大中会長】 そこはきちんと評価をしていれば、だから駄目ということには私はならないと思います。要するにGAを満足しているということを言えればですね。

【岸本委員】 一つ質問よろしいですか。

【池田主査】 どうぞ。

【岸本委員】 ワシントンアコードに今度中国やフィリピンが暫定加入してきて、以前にも増してアジアの国の人たちが入ってきたわけです。そういったときにこのAPECエンジニア、技術士のいろんな制度に対してアジアの国々の発言力が随分大きくなってくるように思います。そういったときに、これから何か変化が起きそうな感じがありますでしょうか。

【大中会長】 むしろ何か多様化している面もあるみたいです。アジアのほかに、東南アジアの資格がありますよね。あそこでまた独自のものを作って。

【岸本委員】 ASEAN。

【池田主査】 ああ、ASEAN。

【大中会長】 ASEANのエンジニアというのを作っています。一方ではインターナショナル・プロフェッショナル・エンジニアに統一しようという動きと、そういうASEANみたいな独自のやり方と両方あって、ちょっと明確には見えないです。

【池田主査】 なかなか、例えばGAとかPCを厳格にやり始めると、ドロップアウトしてくるところもひょっとすると出るかもしれませんよね、アジアの国で。そうでもないですか。

【大中会長】 一部の大学しか認定しない、中国でも全部認定するつもりは全くなくて、やっぱりそれを満足する大学だけしていますからね。

【池田主査】 なるほど。

【福山主査代理】 すみません、ちょっとよろしいですか。

【池田主査】 どうぞ。

【福山主査代理】 大中先生の資料7の参考図1と今回議論の対象になっているキャリアパスのところと今ダブらせて考えているんですけれども、私も企業の出身で来ていますけれども、企業がOJTをやったりして技術者を育てていくときに、必ずしもそれは技術士を作るというふうにはなっていないんです。結果として、最初この分科会に入ったときに私どもの実例で申し上げましたけれども、技術士になることが「あがり」の称号の一つにしかなっていないというようなことがあります。何とか企業側が技術士制度をうまく企業の人事処遇等の体制の中に取り込んで、そして一体にできるような仕掛けができないと、先生がここに書かれたこれはなかなか。

【大中会長】 それは、ですから、統一試験をやる限りできないと。

【福山主査代理】 できないんですね。

【大中会長】 だけど、その企業で決められるようにすればできるわけでしょう。社内教育でも日本はアウトカムズが明確ではないんです。非常に曖昧なんです。そのアウトカムズを設定すると。

【福山主査代理】 例えば私どもの中で社内の技術者教育があるんです。教育部門がちゃんとあって実習場があって。そこで、ある人というのはどういうふうに訓練を受けてきたとか講座を受けてきたとか、そういうのは全部時間も含めて、講座名も履歴が残るわけです。そういうものを認定してもらえるところがあればその人は技術士になるとか、そういう実績を評価していただけるとか。

【大中会長】 いや、その場合は、基礎知識はいいでしょうけれども、例えば問題解決力とかコミュニケーション能力であるとかいろんなほかの能力、それはできないでしょう、なかなか。そういうことを発揮した実績を示さないと。ですから、研修だけでは駄目です。結局、学校教育と一緒ですから、それは。

【福山主査代理】 研修とそれから実務と併行して企業の中では行われているわけですよね。

【大中会長】 実務に関連した研修だったらいいと思いますよ、それは。

【中谷委員】 よく社員の人事査定といいますか、そこでは、今年度の目標は何だったのかと、自分に任せられた責任は何かというのがあって、それに対して自分がどこまでできたかというのを自己評価シートみたいな形で提出していると思いますけれども、それがちょうどこれに当たるのかなという感じがしました。

【福山主査代理】 そうですね。

【大中会長】 似たような感じでね。

【福山主査代理】 でも、先生、その自己評価シートを何らかの形でオーソライズしないと企業活動と技術士認定のところが一致しませんよね。

【中谷委員】 そうですね。

【大中会長】 ですから、オーソライズは自己申告による面接試験となるわけです。

【中谷委員】 ですから、多分、例えば技術士補を取りましたと。技術士について仕事をやっていくに当たって、企業で自分に期待されている仕事の自己評価シートというのは、これは人事制度に乗っていくんでしょうけれども、それに対して、技術士補としてついている技術士の人が評価をして、いいでしょう、できるようになりましたねというような、そういう評価をして最終的に面接をして技術士第二次試験に代えていくということなんでしょうかね。

【大中会長】 というか、やっぱりエビデンスは残さないといけないので、自分はこういうことをやって、こういう能力がありますよという、そういうエビデンスは残しておくということです。

【吉田委員】 今言っておられるのは、大中先生が、そのエビデンスというのは企業なら企業が責任を持ってこの人はこういうことをやってきましたよという証明をする…。

【大中会長】 いや、記述です。自分はこういうことをした、こういう特許を出しましたとかね。

【吉田委員】 それを証明してやると。

【大中会長】 そうです。それで、それは事実ですよという証明を。

【松尾人材政策課長】 企業はそれを裏書すればいいということです。

【大中会長】 そうです。

【松尾人材政策課長】 それが学会でいうところの論文みたいな感じで、ペーパーを何本出したとかと同じように、過去どういう…。

【大中会長】 何本ではないですけれどもね。

【松尾人材政策課長】 ええ。こういう大きな仕事をしたというような評価にして記述して使うと。

【吉田委員】 よろしいですか。現行の技術士の第二次試験の申込みも一応そういう形式はとっておると思うんです。それを口頭試問で確認をすると。

【大中会長】 いや、従来のはものすごく曖昧なんです。このPCを裏付けるこういう実績がありますよという、そういう関連付けたもの。ですから、それによって最終的にはIEAのPCが満足しているという判断ができるような、そういう記述です。そうなっていなかったんです。

【池田主査】 つまり、PCをきちんと並べて、そこでどういうことをやってきたと。こういう実績がありますと。こういうPCは備えていますというエビデンスがあればよろしいということですね。

【大中会長】 そうです。各項目じゃないんです。というのは、例えば問題解決力なんて、分析力も要るし、コミュニケーション能力も、いろいろ要る。ですから…。

【池田主査】 技術士の第二次試験のところでもそこをちゃんと出してもらえばいいわけですね。

【大中会長】 そうです。

【岸本委員】 大中先生はインタビューというのを大事だということを指摘されておられますが、それは一つのやり方ですが、もう一つは、プロフェッショナル・コンピテンシーが、きちんと決められた後で、面接が、本当に海外がやっているように適切なのか、あるいはある部分は筆記でやった方がいいのかというのは、それはもう一度試験の設計のところで考えることができると思います。プロフェッショナル・コンピテンシーを決めるというのが非常に大切だということは皆さん認識できていると思うので。

【池田主査】 そうです。評価の仕方は今後の議論になると思いますので。

【岸本委員】 はい。

【大中会長】 ただ、国際的なマジョリティーは、ナレイティブに(事実に基づいた物語風的に)自分はこういうことをした、だからこういう能力がありますよという説明に対して口頭試問をする。それが流れだと思います。

【岸本委員】 大学入試の頃から海外の多くはそういうやり方できていますけれども、日本の場合は、まだそこにいつ切り替えていくのかというのも検討すべき事項ではないかなと思います。

【大中会長】 過渡期はいろんなことを考えないといけません。けれども、やっぱりこの流れを早くしないと、いつまでたっても変わらないですよ。

【池田主査】 ありがとうございます。そろそろ時間になりましたので。
 各委員から頂きました御意見等を事務局で取りまとめていただきまして次回の技術士分科会で報告したいと思います。報告の内容につきましては事務局と相談して私から報告したいと思いますが、御一任いただけますでしょうか。

(「はい」の声あり)

【池田主査】 どうもありがとうございます。
 それでは、最後に事務局から何かありますでしょうか。

【小林係長】 本日の会議の議事録につきましては、後日こちらからお送りさせていただきまして御確認いただき、御了解の上で文科省ホームページに公開させていただきます。
 次回の分科会につきましては、既に御案内しておりますとおり、7月23日火曜日、午前10時より文科省内で開催させていただきます。分科会での御意見も頂きまして、次回特別委員会につきましては日程をお伺いした上で決めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【池田主査】  どうもありがとうございました。
 以上で本日の会議は終了いたします。どうもお疲れ様でした。


12時02分閉会

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科学技術・学術政策局人材政策課

(科学技術・学術政策局人材政策課)