技術者は、高等教育機関等卒業後、民間企業、公務員、コンサルタント等(「民間企業等」)において、専門の技術分野に関する一定の基礎的学識を有しながら、特定の技術問題を解決できる技術者として日々研さんを積んでいる。実務経験を重ねる中で、専門的見識を兼ね備えて、両者を融合させた高等の専門的応用能力に基づき、様々な次元・性格の技術的問題に対応しなければならない。
国際エンジニアリング連合(IEA)が定めている「エンジニア」に相当する技術者は、資格取得段階において、複合的なエンジニアリング問題を技術的に解決できることが求められている。複合的な問題とは、広範囲な問題を含み、その問題を把握する時点において明白な解決策がなく、重大な結果をもたらすものであり、問題の本質を明確にし調査・分析することによって、創造的思考を通じて、その解決策を導出(提案)しなければならない。
技術士資格は、国際的通用性を確保するとともに、上記「エンジニア」を目指す技術者が取得するにふさわしい資格であるため、IEAの「専門職として身に付けるべき知識・能力」(PC)を踏まえて策定された「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)(平成26年3月7日技術士分科会)」(「技術士コンピテンシー」)(別紙)を念頭に置きながら、第二次試験の在り方を見直した結果、以下とする。
民間企業等において、複合的なエンジニアリング問題を技術的に解決することが求められる技術者が、問題の本質を明確にし調査・分析することによってその解決策を導出できる能力を確認することを目的とする。
複合的なエンジニアリング問題や課題の把握から、調査・分析を経て、解決策の導出までの過程において、多様な視点から、論理的かつ合理的に考察できることを確認することを程度とする。
受験申込者について、受験にあたって必要とされる実務経験年数が4年間又は7年間を超える年数であることを証明する「業務経歴票」に加え、従事した業務における技術的な内容、立場・役割、成果等が、技術士コンピテンシーに掲げる「問題解決」、「マネジメント」、「評価」、「リーダーシップ」等に関する素養や姿勢を備えていることを記載した「業務説明書」(仮称)の提出を求める。
なお、同説明書は後述の口頭試験における試問の際の参考にする。
専門の技術分野の業務に必要な汎用的な専門知識を確認する。
また、これまでに習得した知識や経験に基づき、与えられた条件に合わせて、問題や課題を正しく認識し、必要な分析を行い、業務遂行手順や業務上留意すべき点、工夫を要する点等について説明できる能力(応用能力)を確認する。
さらに、社会的なニーズや技術の進歩に伴い、社会や技術における様々な状況から、複合的な問題や課題を把握し、社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て、解決策の導出にあたって論理的かつ合理的に説明できる能力(問題解決能力、課題遂行能力)を確認する。
なお、筆記試験の解答の一部は口頭試験における試問の際の参考にする。
上記「業務説明書」及び筆記試験の解答の一部に基づき、公衆の福利等を最大限考慮し、社会や環境等に対する影響を予見し、次世代に渡る社会の持続性の確保に努めて倫理的に行動できること、多様な利害を調整できること、他の技術分野の関係者との間で明確かつ効果的に意思疎通できること、2)と同様の問題解決能力・課題遂行能力を確認する。
また、技術士資格取得後の資質向上の責務に鑑みて、これまでの自己研さん(IPD等)に対する取組姿勢や今後の継続研さん(CPD)に対する基本的理解も合わせて確認する。
上記3.を踏まえて、現行の第二次試験筆記試験の試験科目を、以下の通りとする。
専門の技術分野の業務に必要な汎用的な専門知識を確認する。
なお、断片的な知識を確認する問題になっていないか等、平成25年度及び26年度の試験問題の検証を踏まえて、技術部門にかかる業務に必要な汎用的な専門知識を確認する問題とする。
これまでに習得した知識や経験に基づき、与えられた条件に合わせて、問題や課題を正しく認識し、必要な分析を行い、業務遂行手順や業務上留意すべき点、工夫を要する点等について説明できる能力を確認する。
なお、断片的な知識を確認する問題になっていないか等、平成25年度及び26年度の試験問題の検証を踏まえて、選択科目にかかる業務に必要な汎用的な専門知識及び応用能力を確認する問題とする。
社会や技術における様々な状況から、複合的な問題や課題を把握し、多様な視点からの調査・分析を経て、解決策の導出にあたって論理的かつ合理的に説明できる能力を確認する問題とする。
上記3.及び4.を踏まえて、現行の第二次試験の試験方法(筆記試験は択一式/記述式、出題数・回答数、口頭試験は諮問事項)、試験時間、配点、採点等の具体的な内容については、今後検討する。
なお、「必須科目」と「選択科目マル1」については、これらの役割分担を見直した上で、技術部門と選択科目の違いを踏まえた専門知識の確認にあたって、択一式・記述式のいずれによる方法が適当なのか、合わせて検討する。
第二次試験全体を通じた受験者の負担や確認内容のバランスを考慮して、現行制度に比べて、筆記試験にかかる負担軽減を図る方向で検討する。
また、上記2.の試験の程度(レベル、難易度)については、年度間、技術部門間又は選択科目間のばらつきが生じないように、現行の試験問題に関する不断の検証を行い、その結果を適宜反映する。
科学技術・学術政策局人材政策課