第9回制度検討特別委員会における主な発言

今後の第一次試験の在り方

第一次試験で問うべきことは、大学教育を通して知識がどこまで身に付いているのか、第一次試験合格後に技術者としての人生をどのように歩むのか、指導者の下で技術を磨くために必要なものは何か、技術者として学ぶために必要なものは何かということだろう。

・第一次試験で問うべき内容は、技術部門の共通的な内容に加え、各部門を大くくり化(グループ化)した専門群の内容ということになるか。

IEAのGAに定められる an engineering specialization(一つのエンジニアリング専門)と、大くくり化後の技術士第一次試験の技術部門との整合性をどのように考えるのか。

・(GAのポイントの一つ)「公衆の衛生等を配慮したエンジニアリングデザイン能力」や「プロジェクトマネジメントの基本的知識」について、第一次試験では、基本的・概括的な内容(例:エンジニアリングデザイン能力とは何か)を問えばよい
その後の実務経験を経た第二次試験では、エンジニアリングデザイン能力やプロジェクトマネジメントの知識がないと課題が解決できないような問いを設定すればよいのではないか。このようにすれば、第一次試験と第二次試験を明確に区別できるのではないか。

・「エンジニアリングデザイン能力」や「プロジェクトマネジメントの基本的知識」を専門科目で問うことになれば、相当高度な内容になってしまうので、基礎科目で確認することが適当ではないか。

基礎科目は、科学技術全般にわたる基礎知識だけでなく、エンジニアとして必要な基本的な能力(考え方)という二つに分けて構成するという考え方もあろう。この場合、これまで確認していた「科学技術全般にわたる基礎知識」の問題数を減らし、より基礎的な知識に絞って問うようなやり方になるのではないか。

・(GAのポイントの一つ)「生涯継続学習の心構えと能力」が一番大事ではないか。人間性や倫理観のある人が工学を身に付けて、よい技術者になっていくのであり、技術士になるという心構えがないと、(技術士制度が)砂上の楼閣になってしまう。

・「生涯継続学習の心構えと能力」については、第一次試験合格者、修習技術者が実務経験を経る中で、自己研さんをしなくてはいけないという意識が身に付いてくるのではないか。試験で問う必要はないと思う。

・「生涯継続学習の心構えと能力」は、技術者倫理の一つの側面である。適性科目に含まれると思うが、どのような試験問題を作成したらそれを確認したことになるのか。例えば、技術士はどのような役割があるか、どのような心構えが必要か、○×を付けてもらうというやり方になるだろうか。本当に確認するのであれば論文や面接によることも考えられるがそこまでやらなくてもよいと思う。上記例示のような問題を出題すること自体が重要だろう。

・(資料2p3)IEAのGAに定める life long learning (生涯継続学習)を確認しないことが、国際的通用性を有する制度へ変えていくというこれまでの議論と整合性がとれるのか

今後の技術士補資格の在り方

JABEE認定課程修了者に対して、大学等の卒業式に卒業証書とともに、修了証のようなものを授与すると、修了者本人は「技術士補となる資格」を有すること(=第一次試験免除)、技術士になることを意識し、社会に出てからの働き方が異なると思う。

・(現行制度の)技術士補は、メンターやスーパーバイザーのような指導者がいる。しかし、今の若い技術者のメンタリティーに合っているのだろうか。例えば、IPD(=初級技術者の継続能力開発)を導入する場合、このようなメンター等がいなくてもいいのではないか。又は、メンター等とIPDが両方あってもよいか。

・技術士補資格を取得して、指導技術士の下で実務経験4年以上経た第二次試験受験資格申込者の割合(平成25年度、1.6%)が低い理由は何か。技術士補資格を取得することが難しいからか、この資格を取得するメリットがないからか。両方ではないか。

・上記比率(1.6%)を見ると、技術士補制度は要らないのでないかと考えてしまうが、このような制度が過去から維持されており、技術士補資格を取得している方々がいることも事実。低い比率だからこの制度を廃止すると、法定の権利への不利益措置となる。この制度をこのまま維持しながら、別の形にするか、運用上の方策も含めて継続検討することでどうか。

・第一次試験合格者の平均年齢は35歳程度と高齢であるため、合格時点で7年の実務経験年数がある。技術士補資格の登録がなくても第二次試験を受験できている。

今後の継続研さん(CPD)の在り方

・米国や豪州では、CPDをしっかりやっていないと、更新時にPE(プロフェッショナル・エンジニア)の資格を維持できない。国際的通用性を担保した制度にするのであれば、CPDを技術士制度にうまく取り入れる必要がある。

・日本技術士会正会員(約14,300人、平成26年3月末現在)の中で、CPD登録者が60%(約8,600人、同)。このうち、日本技術士会によってCPD内容の審査を受けた人は約800人(同)。今後は何らかの形で内容をチェックすることが必要である。

・技術士法で定める努力義務(責務)であるため、技術士資格者全員に実施してもらうような制度設計ができないか。

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