第1回制度検討特別委員会における主な発言

大学や高等専門学校等の高等教育機関を卒業した後、技術者が技術や知識のレベルを継続的に向上させ、技術者魂を磨き、真に社会に役立つ技術者として成長するキャリア形成スキームを構築することが重要である。
 具体的にはこれらの高等教育機関卒業後、適当な期間、例えば7年程度を経て技術士となり、その後例えば7年程度の研さんを重ねて上位の技術士(以下「総合技術士」)となり、さらにその後継続的な研さんを経て、より高度な総合技術士になるというイメージも考えられる。この場合は、30~35歳の間に技術士、40~45歳の間に総合技術士となることを目安にしてはどうか。

技術者がどのような役割を担ってその役割をどのように果たしていくか、ガイドラインのような大きな筋道があれば、技術者自身としてもキャリア形成のイメージを描けるのではないか。

●技術者を取り巻く環境、例えば大学であれば、技術者になる人材を育てる責任があり、企業であれば、どのようなタイミングで社員に技術士試験を受験させるのか、総合技術士になるようにどのように促すのかなど、ガイドライン、マップのようなものがあった方がよい。
 大学では、学生に対して技術士資格の認知度を高める、学生自身が卒業後は技術者になり、その先に技術士となって責任ある仕事をしていくために、第一次試験を受験する。企業では、第二次試験を目指して経験を積み重ねていくという環境作りができたらよい。

●「技術者」と「技術士」の違いについて、「技術士」は社会に対する倫理的な「責任」を持つことが、技術士に求められる資質能力の一つになるのではないか。

●IEAのGA&PCでは、「エンジニア」「テクノロジスト」「テクニシャン」の違いがわかりにくい。技術士に関して言えば、これら三つの職種に求められる資質能力を具体化した上で、「技術士とはこうあるべきだ」という資質能力を位置付けなくてはならない。

技術士資格は、どのようなことができる人が有するものか、しっかりとしたコンセンサスがないように見受けられるため、もう一度原点に戻って議論した方がよい。
 また、技術士に求められる資質能力を、試験を通してどのようにはかるのか。全ての資質能力を試験ではかることができるのか。
 総合技術士を制度化した場合、我が国独特の制度になるのではないか。技術士と総合技術士の違いを、国際的にどのようにアピールするかという課題も生じる

●現行の技術士試験では学歴を要件としておらず、別ルートで勉強すれば技術士になることができる。第一次試験の在り方をしっかり考えなければならない。
 エンジニアリング・プログラムを学んだ学生は、技術士試験を受験するという流れの中で、第一次試験を「予備試験」「検定試験」のような取扱いにして、大学で身に付けた技術や能力を検定する試験にした方がよい。
 また、第一次試験を年間で何回か実施する機会を設ける方がよいかもしれない。例えば、土木学会では、大学卒業程度の二級土木技術者の資格試験では、コンピュータをベースに、年間で何回か受験できるようになった。

●第一次試験について、JABEE認定課程の修了生でない者で、工学系学部等の卒業者に対しては、例えば基礎科目を免除するなど簡便化を図ってはどうか。

●JABEE認定課程修了者で第二次試験の受験申込者が低調(平成24年度:891人)であったことから、技術士試験の受験を促進させることが必要である。例えば、大学出身技術士や企業内技術士と、大学の教員や学生との交流の場を創出することが必要である。

●平成12年制度改正時も、第一次試験は大学卒業時において身に付けるべき知識や能力をはかる試験にすればよいのではないかという議論になったところ、企業等の現場では、ある程度年齢を重ねた人(ベテラン技術者)が、大学レベルの勉強をするのは大変だから第一次試験の位置付けに関する議論は当時進まなかった。

●ベテラン技術者が第一次試験を受験しにくいからといって、目をかけなければいけないだろうか。

●CPDが努力義務にすぎず、CPD登録を確認する方法がないことが問題である。登録者数を拡大するために、総合技術士に対してはCPDの受講を義務にすべき。

大学を卒業して技術者になった人に対するフォローアップが、大学にとって重要な役割になってくるのではないか。社会が急速に変わりつつあるため、どんどん出てくる新しい分野等について、技術者に理解してもらう必要がある。また、技術者が技術士資格を取得するまでの学習を、大学が社会人向け公開講座等を通じて実施してはどうか。学生に対する刺激にもなる。

●技術者や技術士の能力開発について、平成12年制度改正時は議論されてこなかった。CPDを誰が行うのか、教育機関、学協会、企業それぞれがどのような責任、役割を果たすのかを議論しないと、CPDの実質化につながらない。

●現在のCPDは少し偏りがあるように思う。実施機関(企業、学協会、大学等)や内容も含めて、少しバランスを持たせたCPDを構築していくことが必要である。

●技術士資格の普及拡大・活用促進のためには、女性技術者に対して魅力ある資格にできるかどうかではないか。女性技術者のキャリア形成において、何らかの形で応援できるようにしないといけない。

●企業内技術士会の一つである日立技術士会では、女性技術士の相互研さんと交流機会の創出等を目的とした「チーム技魔女」を設立した。女性技術士の人数が少ないので、どんな団体とも連携していかないと、女性技術士を増やす動きを作り出すことができない。

お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

(科学技術・学術政策局人材政策課)