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2(4)桜島火山噴火総合研究

「桜島火山噴火」総合研究グループリーダー
京都大学防災研究所 井口正人

 桜島噴火・総合研究グループは,桜島火山におけるマグマ活動発展過程の研究を中核として,ミューオンなどの新手法を適用しつつ,火山現象を解明し,低頻度大規模現象の再考も含めた事象分岐論理の構築と火山灰拡散予測研究を行うことにより最終的に火山災害軽減研究を推進する。
火山現象の解明のための研究では,桜島における詳細なマグマの貫入過程と放出過程が明らかとなった。2015年1月から始まった膨張性地盤変動は,2009年,2011年のマグマ貫入イベント同様に,姶良カルデラから桜島へのマグマの供給系における姶良カルデラ下と北岳下の圧力源の等方的膨張と南岳下の圧力源の等方的収縮により近似され,同時に噴火活動が活発化した。一方,2015年8月15日に発生したマグマ貫入イベントは,これまでのマグマ貫入イベントとはその地盤変動のパターンと変動速度及びそれに付随する地震活動の活動度において異なる。地盤変動速度は約300倍速く,昭和火口直下の深さ1kmの開口割れ目によって説明される(京都大学防災研究所[課題番号:1908])。火山性地震の震源も山頂下に集中したが,M2-3級の有感地震を含む火山性地震が1日に1000回近く発生し,これまでよりもはるかに活動度が高かった。また,物質科学的研究からは,ブルカノ式噴火直前の火道浅部の浸透率の低下など,噴火前駆過程の理解が進んだ(東北大学[課題番号:1205])。さらに,ミューオン,アクロス,UAVによる観測により,火山内部構造等に関する新たな知見が蓄積されつつある(東京大学地震研究所[課題番号:1523],名古屋大学[課題番号:1705])。
 XバンドMPレーダーを利用した火山灰の即時把握手法の開発に向けて,室内において噴煙粒子の落下実験を行い,そのアスペクト比と落下速度を測定した。噴煙高度が5000mに達した2013年8月18日の桜島爆発のレーダー画像を解析し,反射因子の強度と降灰量の関係式を暫定的に決定した。また,レーダーパラメータから火山灰と雨滴の識別方法が検討された。ライダー観測においても偏光解消度を用いることで火山灰と水滴の識別の可能性が示された(京都大学防災研究所[課題番号:1913])。
 噴火事象系統図に配置された桜島の噴火の規模と様式について,前駆地震活動と地盤変動速度から事象分岐,さらに避難の要否を検討した。マグマの貫入速度のオーダーから事象分岐の判断が可能であることが示された。既存の火道系の外にマグマが貫入した場合,地震活動度は高く,大正3年噴火に前駆する地震エネルギー積算量は1014J に達したが,2015年8月15日に発生した群発地震活動のエネルギーは109Jのオーダーに過ぎない(京都大学防災研究所[課題番号:1902])。これらのデータに基づき,時系列に沿った地震活動及び地盤変動と避難範囲の対応関係を整理した。
 事象分岐判断の提示や火山灰量の即時的な評価は,避難や復旧計画に徐々に考慮されつつある。鹿児島市街地に被害が及ぶ大規模噴火が発生しうる状況での避難の意向調査を実施し,避難行動を分析した。分析結果は鹿児島市など自治体の避難計画に活用することが可能である(京都大学防災研究所[課題番号:1914])。

成果リスト

Elíasson, J., K. Weber, A. Vogel, T. Pálsson, J. Yoshitani, and D. Miki, 2016, Investigation and separation of turbulent fluctuations in airborne measurements of volcanic ash with optical particle counters, Jour. Disast. Res, 11, 72-84.
Elíasson, J., J. Yoshitani, D. Miki, K. Weber, C. Bölke, and E. Scharifi, 2016, Measurements of particle distribution and ash fluxes in the plume of Sakurajima volcano with optical particle counter, Jour. Disast. Res, 11, 85-95.
Hotta, K., M. Iguchi, T. Ohkura, and K. Yamamoto, 2016, Multiple-pressure-source model for ground inflation during the period of high explosivity at Sakurajima volcano, Japan – Combination analysis of continuous GNSS, tilt and strain data -, Jour. Volcanol. Geotherm. Res., 310, 12-25.
Iguchi, M., 2016, Method for real-time evaluation of discharge rate of volcanic ash – case study on intermittent eruptions at the Sakurajima volcano, Japan –, Jour. Disast. Res, 11, 4-14.
Maki, M., M. Iguchi, T. Maesaka, T. Miwa, T. Tanada, T. Kozono, T. Momotani, A. Yamaji, and I. Kakimoto, 2016, Preliminary results of weather radar observations of Sakurajima volcanic smoke, Jour. Disast. Res, 11, 15-30.
Ohta, Y. and M. Iguchi, 2015, Advective diffusion of volcanic plume captured by dense GNSS network around Sakurajima volcano: A case study of the Vulcanian eruption on July 24, 2012, Earth Planets, Space, 67:157, DOI 10.1186/s40623-015-0324-x.
Oishi, S., M. Iida, M. Muranishi, M. Ogawa, R. I. Hapsari, and M. Iguchi, 2016, Mechanism of volcanic tephra falling detected by X-band multi-parameter radar, Jour. Disast. Res, 11, 43-52.
Tanaka, H. L., M. Iguchi, and S. Nakada, 2016, Numerical simulations of volcanic ash plume dispersal from Kelud volcano in Indonesia on February 13, 2014, Jour. Disast. Res, 11, 31-42.
山本圭吾・吉川 慎・松島 健・大倉敬宏・横尾亮彦・井上寛之・三島壮智・内田和也・園田忠臣・関健次郎・小松信太郎・堀田耕平・藤田詩織, 2015, 水準測量によって測定された桜島火山の地盤上下変動 ―2014年11月測量の結果―, 京都大学防災研究所年報,58B,70-75.


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-- 登録:平成29年07月 --