1(4)地震先行現象・地震活動評価

「地震先行現象・地震活動評価」計画推進部会長 中谷正生(東京大学地震研究所) 

 現行計画には地震発生を予測するためのいくつかのアプローチが含まれている。地震先行現象・地震活動評価部会では,種々のモニタリングデータから断層面の滑り・応力等を推定し滑りの物理的予測モデルと対比するための研究,地震発生との因果関係に合意のとれた物理モデルがなくても,経験則として地震発生の予測に役立つ情報があるのかを統計的に吟味する研究,あるいは先行現象と目される事象の地震発生に対する物理的意義を解明するための研究を行っている。

2.地震・火山現象の予測のための研究

(2)モニタリングによる地震活動予測

 大気中ラドン濃度変化には,地震に短期的に先行した例を含め,地殻活動と関連した変化が指摘されている(岩田ら,2015,JPGU)。大気中ラドン濃度は,一般に放射線管理施設の排気監視モニタデータにバックグランドとして計測されており,医薬系の施設を中心にデータ収集のネットワークを構築し,そのデータを解析している。本年度は,25事業所のデータを解析し,データから大気変動による要因を取り除く手法の改善に努めた。排気監視モニタを大気測定用の高感度ラドンモニタと比較検討した結果,排気監視モニタは大気測定用の高感度ラドンモニタとほぼ同じ精度での測定が可能であることを確認した(南ほか,2016)。大気中ラドン濃度と露点変化の比較から,季節変動は気団変動が主因であり,正弦回帰曲線を季節変動除去に用いることができる(図1)。さらに,都道府県の全サイトを含むこれまでの公表データセットを調べ,日本全国47都道府県のうち72%に相当する都道府県のデータセットが正弦曲線回帰の要件を満たしていることを明らかにした(Kobasyashi et al, 2015)。また,日変化の主因である大気安定度に関して下層大気の熱交換に基づく物理モデル(Omori and Nagahama, 2016)をつくり,測定した気象要素を用いて地表のラドンフラックスを求められるようにした。一方で,リアルタイムでの異常検出にむけて,モデルを仮定せずに直近のデータから異常部位を検知する部分空間法(Ide and Inoue, 2005)を試行し(図2),従来の方法とある程度対応する結果をえた (東北大学[課題番号:1207]) 。
 地殻変動のモニタリングデータは,断層滑りの時空間履歴を計算・予測する物理モデルとあわせて地震発生の予測に使うことが原理的に可能であり,ゆっくり滑りなどの非地震性の滑りのモニターを高度化する努力が行なわれている(産総研[課題番号:5007],気象庁[課題番号:7006])。産業技術総合研究所・防災科学技術研究所・気象庁の3機関のひずみ・地下水・傾斜データをリアルタイムで共有して南海トラフ周辺地域の短期的ゆっくり滑りを解析するシステムの運用を継続し,2014年11月—2015年10月の短期的ゆっくり滑り28個の断層モデルを決定した(図3,落ら, 2015, 2016)。また,中国・四国地方のGNSSデータを解析し,1997年から2010年までのプレート間固着および長期的ゆっくり滑りの履歴を明らかにした(図4,Ochi, 2015)。その結果,長期的ゆっくり滑りにより解放されるプレート間固着は滑り欠損により蓄積した量のたかだか40%程度であり,将来の地震に対する影響は限定的であることがわかった。また,6—7年周期で繰り返す長期的ゆっくり滑りから固着状態への回復は1年程度で完了することがわかった。(産業技術総合研究所[課題番号:5007])。一方,GNSS日値を用いた気象庁による南海トラフ沿いの面的監視処理では,東北地方太平洋沖地震の余効変動を除去したデータを用い,監視範囲を変更して,東海の長期的ゆっくり滑りを検出しやすくした。また,体積ひずみ計の降水補正について,観測点から5km以内のアメダスデータなら観測点設置の雨量計と同程度の補正が可能であるが,10km以遠では解析雨量を用いた方が良いことがわかった。2013年から発生している東海長期的ゆっくり滑りについてはひずみデータのスタッキングを用いてGNSSによるものと調和的な推定(図5)が得られた(宮岡・木村, 2016)。また,高知県の古文書「蕨岡家文書」の再解読から得られた安政南海地震後の井戸の水位低下(弘瀬・中西, 2015)が断層モデルから期待される体積ひずみと調和的であることを見出した (気象庁[課題番号:7006])。
  地震性滑りをより高い分解能で推定するために,小繰り返し地震の活動度が用いられるが,観測例はほぼプレート境界に限られている。南アフリカCooke4鉱山内の地質断層上で,M-4級のきわめて小さな繰り返し相似地震が多数発見され(図6),単位クリープ量当たりの発生レートが,プレート境界でおこる繰り返し地震のスケーリング則 (Nadeau and Johnson, 1998)から期待されるより何桁も高いことがわかった(東北大学[課題番号:1206],Naoi et. al, 2015)。これは,内陸断層の低速のクリープがモニターできる可能性を示唆する。
 活発な前震活動のあった2014年4月チリ北部Iquique地震(M8.2)について,連続波形記録から類似のイベントを検出するテンプレート法を用いた解析を行った(図7,Kato et al., under review)。本震発生の約270日前から,地震活動度,繰り返し地震から推定される非地震性滑り量,ETASモデルの非誘起性地震活動項が間欠的に増加し始め,その増分も時間ととともに大きくなり本震発生に至ったことが明らかとなった。また,震源移動現象の発生頻度も本震発生に向かって増加する傾向が見られた。地震性すべりに加えて非地震性すべりもプレート境界面上で進行し,本震破壊領域の端で固着が間欠的に緩み破壊域への応力集中が生じたことで本震の発生が促進されたと考えられる (東北大学[課題番号:1206])。また,2000年と2005年の銚子付近,千葉市付近の群発地震に伴って発生した非定常な地殻変動は,それぞれ本震の場所での非地震性すべりにより説明できることがわかった(気象庁[課題番号:7006])。
 プレスリップなどの準備過程,特に短期・直前のものについて,その大きさと本震の大きさの関係は非常に不確定なようにみえる。断層のアスペリティの階層的な構造に着目することが提案されており,具体的にアスペリティを配置した数値モデルをつくり,東海ゆっくり滑りや,日本海溝におけるM7-9の地震の共存を再現する試みをはじめた (気象庁[課題番号:7006])。また,模擬断層上に複数の突起を人為的に配置して行った固着—滑り実験(図8,東京大学地震研究所[課題番号:1512],Yamaguchi et al., 2015)では,滑りイベントが断層全体に及ぶ場合と途中で停止する場合の両方を起こすことができた。また,強い不均質性のある系の複雑な挙動を表現できる可能性のある離散ブロック-バネモデルにおける震源核の発展について詳細な理論的解析を行った(東京大学地震研究所[課題番号:1512],Ueda et al., 2015)。一方,東北沖の地震の特徴的発生様式を支配している繰り返し地震について,地震波エネルギーを安定的に推定するための手法を開発し,その時間空間的な変動を定量化した。発生間隔と地震波エネルギーには弱い正の相関が存在し,これは時刻の対数関数として断層の強度が回復するというモデルと調和的であり,地震の階層性が時間と共に回復していく様子をエネルギーを基準にして観察できる可能性がでてきた(東京大学大学院理学系研究科[課題番号:1402])。
 地震の定常的活動度は,例えば沈み込み帯同士でも地域性があり,それを理解することは,地震活動のもつ物理的情報を得るための基礎として重要である。今年度は,世界の沈み込み帯の定常地震発生率について,これまで考えられていなかったプレートの形状の効果を検討した。定常地震発生率は一次的にはプレートの相対運動速度に依存するが,さらにプレートが大きく屈曲していると大きくなることが判明した。これは沈み込み前後のプレート内部への水の輸送過程と関係していると見られる(東京大学大学院理学系研究科[課題番号:1402],Nishikawa and Ide, 2015)。
 地震活動度を定量計測するためにETASモデルで余震の影響を取り除くことが,さまざまな解析で標準的に使われるようになっているが,そのモデルパラメータの時空間的な変化を妥当に推定することは難しい問題であった。新たに重み付け尤度関数を採用した残差解析によるパラメータ推定法を開発し,日本列島の地震活動の地域性を特徴づけた(図9,東北大学[課題番号:1206],Zhuang, 2015)。また,GUIにより直感的に操作しながらETAS解析ができるソフトウエアXETASを開発した(東北大学[課題番号:1206],Tsuruoka and Ogata, 2015)。
 地震の確率予測を実現する代表的な道筋は,ベースとなる地震活動(定常的な地域性,余震活動のような広く認められる時間変化)を統計モデルで表現し,それに先行現象で得られるゲインを組み込むことである。CSEPはベースとなる統計モデルを確立することを主要な目的としており,CSEP -Japanでは本年度も3テストクラス,4テスト領域の合計12のカテゴリーの地震活動予測検証実験を進め,2015年7月には,統計数理研究所において国際研究集会を開催した。東北地方太平洋沖地震から4年の結果が蓄積できたのでその総括を行った。CSEPでは,時間・空間をそれぞれ複数のグリッドに区切った地震数の予測を提出することにしているが,東北地方太平洋沖地震後は,どのモデルでも総地震数の予測成績が相当低下した。しかし,対象地域全体の実際の地震数の推移は,東北地方太平洋沖地震を起点とした大森-宇津則で良好にフィットできるものであり,時空間の関数としての地震確率を与える統計モデルにはまだ大幅な改善の余地があると考えられる(東京大学地震研究所[課題番号:1511], Hirata et al., 2015)。
 CSEPでの時間依存モデルのほとんどが,ETASのように余震的な地震間のトリガー効果をとりこんだ経験的な統計モデルである。余震に関しては,応力変化と摩擦構成則に基づく物理的なモデル(Dieterich, 1994)があるが,実際の地震活動へのフィッティングにおいては,ETASに及ばないと指摘されている。Dieterichモデルを,ETASモデルのように「全ての地震が余震を引き起こす」という仮定を取り入れられるように改良したところ,ETASモデルには及ばないまでも,大幅な改善がみられた(図10,東北大学[課題番号:1206],Iwata, 2016)。Dieterichモデルの基本的な考えは,地震時断層変位によって生じた周囲の応力場の変化により,多数の小断層が破壊条件に近付くというものであり,その影響は受け手の断層の向きによって全く違ってくる。受け手断層の向きを適当に仮定しての解析が一般的だが,実際におこった個々の余震の断層の向きでの応力変化をみることがより本質的と考えられる(Ishibe et al., 2015)。今年度は,先行研究(Miao and Zhu, 2012)で静的応力変化のパターンが余震活動と一致しないと指摘されていた最近の3つの巨大地震(2004年スマトラ沖地震・2010年チリマウレ地震・2011年東北地方太平洋沖地震)について,常時地震・余震のメカニズム節面へのクーロン応力変化(ΔCFF)を計算し,それらの時系列変化を調べた(図11,石辺ほか,投稿準備中)。その結果,3地震ともΔCFFが正の地震の割合が本震後に増加,本震前にはほぼ0であったΔCFFの中央値が本震後には正の値を示し,時間経過と共に徐々に減衰することを見出した。なお,減衰速度は地震毎に特徴があり,スマトラ沖・チリマウレ地震が1—2年程度でもとに戻ったのに対し,東北沖地震では5年以上高い状態が継続している(東北大学[課題番号:1206]) 。
 南アフリカ鉱山地下でおこなっていた微小破壊観測から示唆される準静的に成長した損傷ゾーン(Moriya et al., 2015)や,地下2.9kmでのひずみ・及び地震のモニター点近くまで破壊面が到達したM5.5(大久保ら, 2015, JPGU)の断層面などの掘削を含む計画(小笠原,2015)を議論する国際ワークショップ(2015年10月31日-11月3日)をICDPと共催し,2016年1月にICDPへ掘削計画案を提出した(立命館大学[課題番号:2401])。また,南アフリカMponeng鉱山でおこったMw2.2地震の発生前後に断層周辺で採取したボーリングコアを新しい応力測定法(船戸ら, 2014)で解析し,地震前後あるいは,断層及び地質構造との位置関係によって有意に異る応力値が得られた(立命館大学[課題番号:2401])。
 地震活動のモニタによる統計モデルとは違った視点から,ベースとなる地震発生レートを推定する手法として,断層の個々のセグメントでおこる最大地震(固有地震)の平均的な発生間隔を基礎とする方法が用いられている。しかし,推定に用いることのできる過去の地震の繰り返しの数は,ほとんどの場合において非常に少なく,そのようなデータを最も有効に活用する方法を,中規模,小規模の繰り返し地震を用いた予測実験などを通して模索している(気象庁[課題番号:7006],田中・岡田, 2015 )。2014年長野県北部地震(Mw6.2)のおこった神城断層では,過去の断層活動履歴の調査から,糸静線北部全域が滑るMw7.5の固有地震が推定され,活動間隔は1500年と評価されていたが,今回の地震は神城断層の一部9km程度だけが滑ったもので,断層の再調査(図12)によって,1つ前の地震は1714年小谷地震である可能性が高まった。糸静線の他の断層の古地震データからは,活動間隔や破壊長の大きなゆらぎが示唆され,地震規模や活動間隔の非一様性や地震サイクルの有無や定義などについての再考が必要であろう(東北大学[課題番号:1206],石村ほか, 2015, Okada et al., 2015)。

(3)先行現象に基づく地震活動予測

 本震直前に本震破壊開始点近傍でおこる前震活動は,本震破壊の準静的な始まりともいえるような狭義の震源核によるものであるという解釈が可能であり,様々な研究が行われている。2007年12月に南アフリカMponeng金鉱山内で発生したMw2.2の地震の震源域では,地震発生の6ヵ月前から,本震破壊面上に強く集中した極微小地震(AE)が捉えられていたが,さらに詳細な解析(図13)によって,活動がいくつかのクラスターにわかれており,一部のクラスターの活動は本震発生直前に加速的に活発化したことがわかった(東北大学[課題番号:1206], Yabe et al., 2015)。また,2014年11月22日に発生した長野県北部の地震(M6.7)の約4日前から見られた前震活動に関連し,この地域の過去の地震活動の統計的解析を行い,前震識別の最適パラメータを推定した。その結果,今回のような前震から本震(M≧5.0)に至る割合は11%程度であり,本震のうち前震活動を伴う割合は約45%であることを明らかにした (気象庁[課題番号:7006],前田・弘瀬, 2015)。大地震の直前に顕著な前震がある場合もない場合もあるのは周知の事実であるが,その差が生じる原因はわかっていない。防災科研の試験機による大型二軸せん断試験の際に取得された連続波形記録を用いて,断層全面がすべる大規模な固着すべりイベントに先行した前震の検出及びその震源決定をおこなった。繰り返し実施されたせん断試験において,前回の試験時に生成されたガウジを除去しておこなった場合には前震はほとんど検出されず,ガウジを残置しておこなった実験の際には多くの前震が検出された(立命館大学[課題番号:2402])。近年,普通のカタログにはのらないような小さな繰り返し地震からなる直前前震活動が報告されるようになった。本年度は,2011年長野県中部の地震(M5.4)でそのような例をみつけた(豊本ら, 2015)が,客観的な検出基準の設定法を検討するため相関係数の分布を調べると,かなりきれいな正規分布になっており,これといった閾値設定の手掛かりがえられなかった(立命館大学[課題番号:2402])。
 大地震に先行する中期的な変化としてよくとりあげられるものに,地震活動の静穏化がある。この現象を系統的に評価するために,ISCの地震カタログから1964年1月から2012年6月までに千島海溝,日本海溝および琉球海溝沿いに発生した実体波マグニチュード5.0以上,深さ60km以浅の地震を選択しZhuang et al. (2002)の方法でデクラスタリングしたあとZMAPで地震活動の長期変化を解析した(勝俣, 投稿準備中)。10年以上継続する長期静穏化は11回観測され,うち3回はMw8.25以上の巨大地震に先行した。特に,2011年東北地方太平洋沖地震では,2002年頃開始した長期的ゆっくり滑り(Yokota and Koketsu, 2015)と静穏化領域がほぼ同じ場所である(図14)ことから,両者が密接に関連していると考えられる(東北大学[課題番号:1206])。国内のM7クラス以上の大地震を対象に地震活動の静穏化・活発化解析手法(eMAP法)を適用し,破壊領域(余震域)と静穏化領域を詳細に比較した結果,静穏化事例の約8割で,地震発生前までに静穏化領域が破壊領域を囲むドーナツパターンが見られた(気象庁[課題番号:7006])。静穏化時に地震数が減少するのはある程度以上の大きさの中規模地震であるという指摘(e.g., Smith and Sacks, 2013, AGU)がある。破壊強度がわりふられた個々のセルが破壊を起こすと周囲に応力を再分配するというオートマトンモデル(e.g., Rydelek and Sacks, 1996)を用いた地震サイクルのシミュレーションにおいて,ダイラタンシーハードニングを模擬して最も破壊強度に近い応力がかかっている小数のセルで強度をわずかに増加させるとこの現象が再現されることを見いだした(図15,東海大学[課題番号:2501],Suyehiro et al., 2015)。
 地震活動には,GR則に代表されるように自己組織化臨界現象らしき特徴があり,さまざまな規模のイベントの発生順序をみるナチュラルタイム解析によって大地震の切迫が検出できるという報告もある(e.g., Salris et al., 2015)。粉体層に金属球を押し込んだときにバースト的に発生する弾性波放射イベント(AE)がGR則にしたがうことに着目し,そのナチュラルタイム解析を行った。一般に臨界状態ではナチュラルタイムが0.07に近付くとされているが,AEバーストの実験では様々な値がみられ,GR則が成り立つからといって系が臨界状態にあるとは限らないことが示唆された。一方で,二つの連続するAEの振幅差が,自己組織化臨界現象に特徴的なq-ガウス分布にしたがうことも見出されたが,粉体AEバーストを地震活動のアナログとして用いるには,実験条件等の慎重な検討が必要である (東京大学地震研究所[課題番号:1512], Tsuji and Katsuragi, 2015)。GR則のb値変化も,地震に先行する変化がしばしば報告される統計量である。2014年長野県北部地震(Mw6.2)の震央から半径150km以内の地震全体に対して求めたb値には特段の先行変化はなかったが,断層系にそって近傍の地震だけを用いて求めたb値は,地震の1年半ほど前から顕著に上昇しており,断層系ごとに地震活動をみることの重要性が示唆される (東京大学地震研究所[課題番号:2931],井筒・長尾, 2015)。
 大地震が切迫している時期には地震活動と潮汐の相関が高まる傾向が指摘されているが,色々な例をみてみると,事態は単純ではない(岩田, 2015)。本年度は,トンガ・ケルマデック海溝沿いのプレート境界型地震活動について潮汐相関を調査したが,はっきりした傾向は認められなかった。一方,深部低周波地震(LFE)の潮汐相関を,豊後水道,東海地方,紀伊半島東部で調べ,相関の程度はそれぞれの地域内で空間的に不均質であることがわかった。豊後水道ではLFE活動の特に高い領域において,その潮汐相関の程度が長期的ゆっくり滑りに関連した時間変化を示したが,東海地方では長期的ゆっくり滑りに関連した時間変化はなく,体積収縮時にLFEが発生する傾向があった(気象庁[課題番号:7006])。
 先行時間の短さから,本震破壊の開始への密接な関与が推察される現象の一つに,M8クラス巨大地震の一時間程度前に見られる電離層全電子数(TEC)の変化がある。東北地方太平洋沖地震のときに初めて報告された(Heki, 2011)この現象は,リファレンスラインの決定に津波の影響を受けた地震後データも使われていることによるアーティファクトにすぎないとの反論(Kamogawa and Kakinami, 2013; Masci et al., 2015)を受けたが,地震後のデータを用いない手法による客観的な時系列解析によってもやはり同様の異常が検出できることが示された。解析可能なデータのある最近のM8.2以上の地震8個(2005年Nias地震(M8.6)は,磁気嵐が激しく解析不能)全てについて同様の異常が,地震直前(25-85分前)に検出されている。同程度の異常は,太陽活動によっても頻繁におこっているが,その頻度(20時間に1回程度)を考えると,8個の直前異常の大多数は地震の前兆であったと考えられる。さらに,これらの異常の強さと先行時間は,地震の規模に正の相関をもつことが見出された (図16,東海大学[課題番号:2501],Heki and Enomoto, 2015) 。
 これほどの直前現象でなくても,中規模以上の地震の前数日間に電離層状態の異常出現頻度が増加する傾向が指摘されている(e.g., Liu et al., 2006 )。全世界のGNSS観測点のデータを用いてTECを経度5度,緯度2.5度,2時間毎のグリッドで与えるGIM(Kakinami et al., 2009)を用い,2000年以降の日本で発生した被害地震12個(M6.5 - 9.0)に先行する期間での異常を探した。2007年能登半島地震(M6.9)でTECの先行的な増加,2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)で先行的な減少が見られたが,それ以外の地震では顕著な異常は見られなかった。さらに,1999年1月から2015年3月までの全世界のマグニチュード6.0以上,深さ50km以下の地震1989個の直前15日間のGIM時系列を重ね合せてみたが顕著な異常は見られなかった(東海大学[課題番号:2501])。
 短期的先行現象であることが主張されているVHF帯伝播異常(e.g., Moriya et al., 2010)を試行例として,時空間を「警報ON」「警報OFF」「(データ欠測等による)警報判定不能」の三色にぬりわけた地震発生予測マップを作成し,地震カタログと比較してゲインとp値(偶然によって実績値以上のゲインが得られる確率,この値が0に近いほど相関があることを強く確信できる。)による成績評価を行った(図17)。異常の時系列を予測マップへ変換することによって,定義の曖昧な「異常(あるいは警報)の回数」が「警報ONの時間」におきかえられ,評価段階での恣意性が回避される。さらに,四分割表では異常(あるいは警報)の「回数」を使って定義していた適中率に対応する情報が,警報ONの時期における地震発生レートであること,観測データと地震が無相関である場合との比較であるゲインは,適中率による比較でも予知率による比較でも同じになることを確認した。試行評価に用いた予測マップは,北大えりも観測点での見通し外FM放送局(広尾)の受信強度データ約9年分(2006年3月1日- 2014年12月31日)から,6分平均値が2連続で閾値(全期間の中央値から+3σ)を上回ればその時刻を異常とみなし(Morita and Mogi, 2015, IUGG),その後一定の期間Lは警報をONにするというルールで作成した。最も低いp値(3.6%)が得られたのは,L = 4日で作成した予測マップをM>5の地震と比較した場合で,警報ONの期間の割合が17%に対して,19個の地震のうち7個(37%)が警報ON期間におこっており,2.1倍のゲインが得られた。最も高いゲイン(4.9)がえられたのは,L=2日で作成した予測マップを,M>6の地震と比較した場合であるが,地震数が4しかないため,p値は5.5%にとどまった(東海大学[課題番号:2501])。
 VHF帯伝播異常とDC-ULF帯の電磁気観測については,昨年度に新規設置した高知の観測点に大気電界観測装置を追加するとともに,北海道・伊豆諸島の観測を維持した。また,昨年度開発したVLF帯パルス観測装置を静岡県清水市,東京都小金井市,石川県金沢市に設置し,雷を用いてパルス源の位置評定ができることを確認した(東海大学[課題番号:2501])。一方,電磁気先行現象のメカニズムとしてしばしばとりあげられる岩石中の水流による界面動電現象について,三宅島で2000年にカルデラ陥没に先立って火口付近に繰返し発生した時定数20秒程度の力学的イベントに伴い,全島で観測された時定数100秒程度のコサイスミックな地電位の変化(Sasai et al., 2001, 2002)が,コサイスミックなひずみによる間隙弾性効果による水流がおこした界面動電現象であるとして定量的に説明できることを示した(東海大学[課題番号:2501], Kuwano et al., 2015)。
 先行現象に基づく予測が,上述のVHF帯伝播異常の例のように系統的に出されている場合はゲインとp値によって成績が評価できるが,そのような条件がみたされない場合も多い。そのようなケースを扱える評価法として開発したギャンブルスコア法(Zhuang, 2010)の有用性を取りまとめた。この手法では,地震発生のベースレートにしたがって個々の予測に公正なオッズをつけることで,対象マグニチュード等が一定でなくても一元的に比較できる成績をつけることができる点も重要である (東北大学[課題番号:1206],庄・尾形, 2015)。
 東北地方太平洋沖地震の一週間前に鹿嶋市でカズハゴンドウクジラの大量座礁があったため,(財)日本鯨類研究所が1986年から収集している鯨類の座礁の記録を用いて地震発生との関係を調べたが,鹿島灘で2011年3月以前に発生した座礁と日本周辺の地震発生の間に相関は認められなかった(東海大学[課題番号:2501],織原・野田, 2015)。
 三陸地方では,1933年の大地震時に数ヶ月ほど先行して多くの井戸で水位低下と混濁がみとめられている(吉村, 2004)。昨年度,海岸から遠い被圧地下水である五葉温泉が3ヶ月前から,海岸に近い不圧地下水である正源寺で1ヶ月前から,異常を示したことを報告したが,これは南海地震に関して提案されたプレスリップによる定性的な説明(小泉,2013)にあっている。今年度は,さらに116カ所で聞き取り調査を行ったが,日常的に井戸水を使用していた16カ所のうち先行する異常があったのは,気仙沼紙の満幅寺(5mの浅井戸)のみであった。地震後に濁りと渇水の生じたところが1カ所ずつあったが,残りの13カ所では,地震後にも異常はなかった。また,宮城県のホームページ上で月平均データを公開している地盤沈下監視目的の観測井44本のうち先行する水位低下があったもの2本について,日平均データを入手した。多賀城市の多2観測井では3ヶ月前からの水位低下が確認できたが,もう一本の井戸については,月平均データとの齟齬がみつかり,追加調査中である。(公募研究[課題番号:2930],織原・長尾, 2015, 織原ら, 2015)。台湾・国立成功大学との共同研究の一環として開催している水文学的・地球化学的手法による地震予知研究についての日台国際ワークショップのプロシーディングスの過年度分を公開した。(産業技術総合研究所[課題番号:5007],Shieh et al., 2015)。

これまでの課題と今後の展望

 率表現を用いて地震予測を定量化することは世界的な流れであり,本計画でも強く意識されている。今年度,非常に様々な先行現象候補が検討され,多くの課題で観測事象と地震発生の関係が,否定的な結果も含めて数字で表現された。対象時空間を警報ONとOFFにぬりわけて行う系統だった検証はまだ一部に限られ,今後対象を拡げてゆくことが大事である。そのためには,地震を起点に後ろを振り返って異常を探すのではなく,地震を参照せずにprospectiveなデータ処理で時空間を走査し異常検出を行う必要があるが,現象の性質によってはその方法が自明でなく,そのような方法の開発に挑んでいる課題もある。また,モニタリングの技術ということに関しては,ゆっくり滑りの検出技術が自動監視の実現に大きく近づいている。さらに,長期ゆっくり滑りの繰り返しに伴う固着度の時空間変化が精度よく推定できたことによって,地震サイクルにおける応力蓄積への寄与という重要な問題に一応の解答が与えられた。他部会において中規模以上の地震がゆっくり滑りの時期に集中する傾向(Uchida et al., 2015)が発見されたことをみても,地震発生確率の時間変動の予測にゆっくり滑りの監視はある程度のゲインをもたらすと考えられる。
 確率予測のベースとなるべき統計モデルについては,CSEPの国際的なプロトコルに則って日本でも予測実験が繰返される中で,地震発生の様々な状況が経験され,モデルの具体的な弱点等が見いだされるなど所期の進捗が達成されている。また,新しいアイデアに基づく確率予測モデルや,パラメータ推定の技術も出てきており,順調に発展している。上述したように,先行現象に関しても確率論の枠組みでの評価が浸透してきており,地震予測を確率化するという方向性は,研究コミュニティーに根付いたといえるだろう。情報の社会的価値を冷静に議論するためにも,予測の定量化,及び予測成績の定量的な評価を充実していく必要がある。
 類似の変動パターンがほぼ毎回地震発生に先行するような再現性の高い現象は,短期的なものについてはこれまで知られておらず,それは地震発生の準備過程,特に最終的な破壊規模が決定される道筋の多様性を反映しているというのが大方の解釈であった。しかし,超巨大地震に高い再現性をもって1時間程度先行した電離層擾乱について,今年度,その多くが地震の前兆であっただろうことが説得力をもって示された。動的破壊の直前に何らかの共通の物理プロセスを経た可能性が示唆される。確率予測で暗に期待している「地震のおこりやすい状態」をはるかにこえて,かつて決定論的地震予知が志向された時代に希望された「本震が静かに始まっている」タイプの準備過程が,実は相当の普遍性をもって存在する可能性を考慮にいれて,メカニズムの解明を目指して様々な角度から追求する価値があるだろう。

成果リスト

Cattania, C., S. Hainzl, L. Wang, B. Enescu, and F. Roth, 2015, Aftershock triggering by postseismic stresses: a study based on Coulomb-rate-and-state models, J. Geophys. Res., 120, 4, 2388-2407, doi:10.1002/2014JB011500.
Chen, S., C. Jiang, and J. Zhuang, 2015, Statistical evaluation of efficiency and possibility of earthquake predictions with gravity field variation and its analytic signal in Western China, Pure and Applied Geophysics, 173, 305-319, doi:10.1007/s00024-015-1114-x.
Chu, A. and J. Zhuang, 2016, Multiple linear regression analyses on the relationships among magnitude, rupture length, rupture width, rupture area, and surface displacement. In Rock Anisotropy,Fracture and Earthquake Assessment, edited by Y.-G. Li., 219-237.
Enescu, B., T. Shibutani, K. Ito, S. Ohmi, and H. Wada, 2015, Seismic activity and one-dimensional velocity structure along the Atotsugawa fault, from precise hypocenter relocations, Earth Evolution Sciences, 9, 5-14.
Gardonio, B., D. Marsan, O. Lengline, B. Enescu, M. Bouchon, and J.-L. Got, 2015, Changes in seismicity and stress loading on subduction faults in the Kanto region, Japan, 2011 - 2014, J. Geophys. Res., 120, 4, 2616-2626, doi:10.1002/2014JB011798.
Guo, Y., J. Zhuang, and S. Zhou, 2015, An improved space-time ETAS model for inverting the rupture geometry from seismicity triggering, J. Geophys. Res., 120, 3309-3323, doi:10.1002/2015JB011979.
Guo, Y., J. Zhuang, and S. Zhou, 2015, A hypocentral version of the space-time ETAS model, Geoph. J. Int., 203, 366-372, doi:10.1093/gji/ggv319.
Heidarzadeh, M., S. Murotani, K. Satake, T. Ishibe, A. R. Gusman, 2016, Source model of the 16 September 2015 Illapel, Chile Mw 8.4 earthquake based on teleseismic and tsunami data, Geophys. Res. Lett., 43, 634-650, doi:10.1002/2015GL067297.
Heki, K. and Y. Enomoto, 2015, Mw dependence of the preseismic ionospheric electron enhancements, J. Geophys.Res. Space Phys., DOI: 10.1002/2015JA021353.
Hirata,N., H. Tsuruoka, and D. Schorlemmer, 2015, Five-year Japanese earthquake predictability experiment with multiple runs since 2009 including the 2011 Tohoku-oki earthquake, Abstract of the 9th International Workshop on Statistical Seismology (StatSei9) in Potsdam.
弘瀬冬樹・中西一郎, 2015, 1854年安政南海地震による愛媛県最南端(愛南町)での地震動・津波被害・地下水位変化-庄屋史料と藩史料の比較から分かる庄屋史料の有用性と地殻変動推定の可能性-, 地震 2,68,107-124.
Huang, Q., M. Gestenberger, and J. Zhuang, 2016, Current challenges in statistical seismology, Pure and Applied Geophysics, 173, 1-3, doi:10.1007/s00024-015-1222-7.
Imanishi, K., T. Uchide, and N. Takeda, 2016, Determination of focal mechanisms of nonvolcanic tremor using S wave polarization data corrected for the effects of anisotropy, Geophys. Res. Lett., 43, doi:10.1002/2015GL067249.
Ishibe, T., K. Satake, S. Sakai, K. Shimazaki, H. Tsuruoka, Y. Yokota, S. Nakagawa, and N. Hirata, 2015, Correlation between Coulomb stress imparted by the 2011 Tohoku-Oki earthquake and seismicity rate change in Kanto, Japan, Geophys. J. Int., 201, 112-134, doi: 10.1093/gji/ggv001.
石村大輔・岡田真介・丹羽雄一・遠田晋次, 2015, 2014年11月22日長野県北部の地震(Mw6.2)によって出現した神城断層沿いの地表地震断層の分布と性状,活断層研究,43,95-107.
岩田貴樹, 2015, 地球潮汐と地震活動との相関を用いた地震活動予測, 統計数理, 63, 129-144.
Iwata, T., 2016, A variety of aftershock decays in the rate- and state-friction model due to the effect of secondary aftershocks: Implications derived from an analysis of real aftershock sequences, Pure and Applied Geophysics, 173, 21-33.
岩田大地・長濱裕幸・武藤 潤・安岡由美・三浦 哲・太田雄策, 2015, 地殻変動に起因する大気中ラドン濃度変動, 日本地球惑星科学連合2015年大会, 2015年5月27日.
井筒潤・長尾年恭, 2016, 地震災害予測のためのb値の空間分布マッピングと時系列変化, 東海大学海洋研究所研究報告, 37, 21-28.
Kato, A., T. Terakawa, Y. Yamanaka, Y. Maeda, S. Horikawa, K. Matsuhiro and T. Okuda, 2015, Preparatory and precursory processes leading up to the 2014 phreatic eruption of Mount Ontake, Japan, Earth Planets Space, 67, 111, doi:10.1186/s40623-015-0288-x.
勝間田明男, 2015, 地震・震度観測, 日本地震工学会2014年長野県北部の地震に関する調査団報告, 11-16.
川方裕則・稲葉秀弘・吉光奈奈・高橋直樹・瀬戸井健一, 2015, 封圧下でも使用可能な広帯域型の圧電トランスデューサの開発, 第20回アコースティック・エミッション総合コンファレンス論文集, 81-84.
木口努・松本則夫・小泉尚嗣・北川有一・板場智史・落唯史・佐藤努, 2016, 東海・関東・伊豆地域における地下水等観測結果(2015年5月-2015年10月)(52), 地震予知連絡会会報, 95.
北川有一・板場智史・小泉尚嗣・高橋誠・松本則夫・武田直人・落唯史, 2015, 紀伊半島-四国の歪・傾斜・地下水観測結果(2014年11月-2015年4月), 地震予知連絡会会報, 94, 301-313.
北川有一・板場智史・小泉尚嗣・松本則夫・武田直人・落唯史, 2016, 紀伊半島-四国の歪・傾斜・地下水観測結果(2015年5月-2015年10月), 地震予知連絡会会報, 95.
北川有一・板場智史・小泉尚嗣・松本則夫・武田直人・落唯史, 2016, 近畿地域の地下水位・歪観測結果(2015年5月-2015年10月), 地震予知連絡会会報, 95.
北川有一・小泉尚嗣・高橋誠・佐藤努・松本則夫・板場智史・落唯史・桑原保人・木口努, 2015,近畿地域の地下水位・歪観測結果(2014年11月-2015年4月), 地震予知連絡会会報, 94,  314-317.
気象研究所, 2015, 海溝と直交する方向の全国の基線長変化, 地震予知連絡会会報, 94, 30-34.
気象研究所, 2016, 海溝と直交する方向の全国の基線長変化, 地震予知連絡会会報, 95.
気象研究所, 2015, 内陸部の地震空白域における地殻変動連続観測, 地震予知連絡会会報, 94, 289-292.
気象研究所, 2016, 内陸部の地震空白域における地殻変動連続観測, 地震予知連絡会会報, 95.
Kobayashi, Y., Y. Yasuoka, Y. Omori, H. Nagahama, T. Sanada, J. Muto, T. Suzuki, Y. Homma, H. Ihara, K. Kubota, and T. Mukai, T., 2015, Annual variation in the atmospheric radon concentration in Japan, Journal of Environmental Radioactivity, 146, 110-118.
小泉尚嗣・木口努・高橋誠・松本則夫・北川有一・板場智史・落唯史・佐藤努, 2015, 東海・関東・伊豆地域における地下水等観測結果(2014年11月-2015年4月)(51), 地震予知連絡会会報, 94, 262-268.
Koizumi, N., N. Matsumoto, and C.-L. Shieh eds., 2015, Proceedings of the 13th Japan-Taiwan International Workshop on Hydrological and Geochemical Research for Earthquake Prediction. GSJ Open-file Report, no. 621, 1 CD-ROM, Geol. Surv. Japan, AIST.
熊澤貴雄・尾形良彦・木村一洋・前田憲二・小林昭夫, 2015, 伊豆東部の群発地震活動の推移の短期予測について, 地震予知連絡会会報, 94, 136-144.
Kuwano, O., S. Yoshida, M. Nakatani, and M. Uyeshima, 2015, Origin of transient self-potential signals associated with very long period seismic pulses observed during the 2000 activity of Miyakejima volcano, J.Geophys. Res., 120, 3544-3565, doi: 10.1002/2014JB011740.
南のどか・田中 綾・安岡由美・長濱裕幸・武藤 潤・飯本武志・大森康孝・床次眞司・向 高弘, 2016, Alpha-GUARDを用いた空気中ラドン濃度測定の検討, 日本薬学会第136年会, 2016年3月28日.
前田憲二・弘瀬冬樹, 2015, 前震活動に基づく地震発生の経験的予測(長野県北中部地域への適用), 地震予知連絡会会報, 94, 108-111.
前田憲二・弘瀬冬樹, 2016, 前震活動に基づく地震発生の経験的予測, 地震予知連絡会会報, 95.
Morita, S., T.Mogi, 2015, A statistical study for relationship between anomalous transmission of VHF band radio waves and impending earthquakes at Hidaka area, Hokkaido, Japan, IUGG General Assembly, Prague.
Moriya, H., M. Naoi, M. Nakatani, G. van Aswegen, O. Murakami, T., Kgarume, A. K. Ward, R. J. Durrheim, J. Philipp, Y. Yabe, H. Kawakata, and H. Ogasawara, 2015, Delineation of large localized damage structures forming ahead of an active mining front by using advanced acoustic emission mapping techniques, Int. J. of Rock Mech. Min. Sci., 79, 157-165, doi: 10.1016/j.ijrmms.2015.08.018.
長尾年恭・茂木 透, 2015, 災害の低減に貢献するための地震火山観測研究における高知地震電磁気複合観測点の設置とその科学的背景, 2015年度地球惑星科学連合大会.
長尾年恭・鴨川 仁・馬塲久紀・成嶌友祐・高村直也・櫻田哲生・上原 宏, 2016, 東海大学方式VLF帯パルス電磁波観測装置の開発 -地震先行現象の存在証明にむけて-, 東海大学海洋研究所研究報告,37, 29-36.
Naoi, M., M. Nakatani, T. Igarashi, K. Otsuki, Y. Yabe, T., Kgarume, O. Murakami, T. Masakale, L. Ribeiro, A. Ward, H. Moriya, H., Kawakata,, S. Nakao, R. Durrheim, H. Ogasawara, 2015, Unexpectedly frequent occurrence of very small repeating earthquakes (-5.1<Mw<-3.6) in a South African gold mine: implications for monitoring intraplate faults, J. Geophys. Res., 120, 8478-8493, doi: 10.1002/2015JB012447.
Nishikawa, T., and S. Ide, 2015, Background seismicity rate at subduction zones linked to slab-bending-related hydration, Geophysical. Res. Lett., 42, 7081-7089, doi:10.1002/2015GL064578.
Ochi, T., 2015, Temporal change in plate coupling and long-term slow slip events in southwestern Japan, Earth Planet Sci. Lett. 431, 8-14, 118, 4847-4860, doi: 10.1016/j.epsl.2015.09.012.
落唯史・板場智史・小泉尚嗣・北川有一・高橋誠・松本則夫・武田直人・木村尚紀・木村武志・松澤孝紀・汐見勝彦, 2015, 東海・紀伊半島・四国における短期的スロースリップイベント(2014年11月-2015年4月), 地震予知連絡会会報, 94, 250-261.
落唯史・板場智史・小泉尚嗣・北川有一・松本則夫・武田直人・木村尚紀・木村武志・松澤孝紀・汐見勝彦, 2016, 東海・紀伊半島・四国における短期的スロースリップイベント(2015年5月-2015年10月), 地震予知連絡会会報, 95.
小笠原 宏, 2015, 南アフリカ金鉱山の大深度からマグニチュード2-5の震源を掘削し地震の謎に迫 る, J-DESCニュースレター2015, 12.
小笠原 宏・矢部康男・伊藤高敏・G. ファンアスウェヘン・A. チホビッチ・R. ダーハイム・ICDP 準備諸会議参加者, 2015, 大深度南アフリカ金鉱山のM2-M5.5震源域の科学掘削計画(DSeis),日本地球惑星科学関連学会連合2015大会予稿集, MIS32-14.
Okada, S., D. Ishimura, Y. Niwa, and S. Toda, 2015, The first surface-rupturing earthquake in 20 years on a HERP active fault is not‘characteristic:’ The 2014 Mw=6.2 Nagano event along the northern Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line, Seismol. Res. Lett., 86, 1287-1300, doi: 10.1785/0220150052.
大久保慎人・A. Cichowicz・D. Birch・小笠原宏・村上理・掘内茂木, 2015, 2014年オークニー 地震(ML5.5)の震源破壊過程, 地球惑星科学連合2015大会予稿集, SSS30-27.
Okubo, M., H. Ogasawara, S. Nakao, O. Murakami, H. Ishii, and A.K. Ward, 2015, Dynamic strain in a South African gold mine produced by the 2011 Tohoku Earthquake, Proc. Int. Assoc. Geodesy Symp., Springer International Publishing, Switzerland, doi: 10.1007/1345 2015 207.
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織原義明・野田洋一, 2015, 2011年東北地方太平洋沖地震前に発生したマス・ストランディング -鹿島灘における鯨類のストランディングと日本周辺の地震との関係-, 東海大学海洋研究所研究報告, 36, 39-46.
Shieh, C.-L., N. Koizumi, and N. Matsumoto eds., 2015, Proceedings of the 12th Taiwan-Japan International Workshop on Hydrological and Geochemical Research for Earthquake Prediction. GSJ Open-file Report, no. 620, 1 CD-ROM, Geol. Surv. Japan, AIST.
Suyehiro, K., S. Sacks, T. Takanami, D. Smith, P. Rydelek, and T. Hatano, 2015, Magnitude dependent seismic quiescence and following short-term precursors as dilatancy strengthening and breakdown before large earthquakes and their detection, IUGG General Assembly.
田中昌之・岡田正実, 2015, 中規模繰り返し相似地震の発生状況と発生確率(2015), 地震予知連絡会会報, 94, 372-376.
Toda, S., and R. S. Stein, 2015, 2014 Mw 6.0 South Napa earthquake triggered exotic seismic clusters near several major faults, Seismol. Res. Lett., 86, doi: 10.1785/0220150102.
豊本 大・川方裕則・土井一生, 2015, 2011年6月30日に長野県中部で発生したM5.4の地震の前震活動, 日本地震学会2015年度秋季大会, S09-P05.
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Yamaguchi, T., Y. Himeno, and Y. Sawae, 2015, Collective behavior of multiple asperities in sliding friction between polymer gels, Proceedings of International Tribology Conference Tokyo.
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Zhuang, J., 2015, Weighted likelihood estimators for point processes, Spatial Statistics, 14, 166-178, doi: 10.1016/j.spasta.2015.07.009.
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研究開発局地震・防災研究課

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-- 登録:平成29年07月 --