1(2)内陸地震

「内陸地震」計画推進部会 部会長 松本 聡(九州大学大学院理学研究院)
副部会長 高橋 浩晃(北海道大学大学院理学研究院)

 内陸地震部会では内陸地震発生のモデル化を進め災害軽減に貢献するために,内陸地震の発生場と発生機構の解明,及び発生予測に関する研究を推進した。また,空間的な地震発生ポテンシャルを推定する手法開発へ着手した。
 内陸地震の発生ポテンシャル評価には日本列島内陸にかかる広域的なローディング,それに対する地殻応答,個別の断層への応力集中と断層強度が重要なパラメータとなる。今年度は2011年東北地方太平洋沖地震後の変動場を精密に測定することで,断層へのローディング機構や粘弾性構造などを推定する研究が活発に行われた。同様に,全国各地において地殻活動の時空間変化や地震発生場の構造に関する調査が進められた。また,地震発生ポテンシャル評価の試行も開始された。物質科学的研究により,流体がレオロジー特性や速度構造・比抵抗構造特性に及ぼす役割に関する検討も進んだ。一方,本部会からの情報発信として重要な役割を担う日本列島基本構造モデルのコンパイルが着実に実行されるとともに,関連する研究課題を取りまとめて得られるパラメータを地震活動評価実験などへ利用する手法を検討することで,地震発生予測や災害誘因予測研究への道筋を探求した。以下にこれらの成果の概要を記す。

1.地震・火山現象の解明のための研究

(1)地震・火山現象に関する史料,考古データ,地質データ等の収集と整理

 活断層データベースに収録している活動セグメントの形状やパラメータについて,最新の調査研究の成果に基づいて見直しを行い,28の活動セグメントを新規追加するとともに,37の活動セグメントの位置・形状を変更した。また調査地点データを980地点について追加した(産業技術総合研究所[課題番号:5002])。

(2)低頻度大規模地震・火山現象の解明

ア.史料,考古データ,地質データ及び近代的観測データ等に基づく低頻度大規模地震・火山現象の解明

 低頻度大規模地震現象の解明への一つのアプローチは,過去の大地震の痕跡を詳細に調査し,復元することである。特に,個別断層が連動した活動は大規模地震へ直接つながるものであり,連動の条件を知ることが重要である。
 平成26年11月に長野県で発生した2014年神城断層地震は,地震調査研究推進本部(地震本部)が選定した110の「主要活断層」で起きたものの,予測した地震規模よりも小さい規模の地震であったことから,この地震断層と活断層の対応関係を明らかにする調査研究が実施された。直後に行われた緊急調査データを詳細に解析した結果,地表地震断層の長さは約9kmであり神城断層の一部で出現したこと,最大実変位量は約2mに達すること,主要に活動した区間の南端は飯田付近であり神城盆地内の地表地震断層は副次的であることを明らかにした。また,先行するイベントの発生時期は17世紀以降に限定され,同イベントは1714年正徳小谷地震である可能性が高い。その際の上下変位量は0.5mであり,2014年地震と同程度である。この300年という発生間隔は内陸活断層の地表地震断層を伴う地震としては最も短い。その原因は,2014年地震の震源域西側に蛇紋岩が局所的に分布すること,地震前から指摘されていた震源域周辺の高いひずみ速度(Sagiya et al., 2004)が関連する可能性がある。さらに,2つ前の古地震イベントは,約2000年前以降に生じ,その際の上下変位量は約2m以上である可能性が高い(産業技術総合研究所[課題番号:5005])。活断層の変位地形から算出した平均変位速度分布と,UAVをはじめとする最新測量技術を用いた2014年地震の地表地震断層の稠密変位量分布との比較を行ったところ,過去の活動において破壊域にはばらつきがあること,新たなセグメント境界が存在する可能性があることが指摘された。しかしながら,変位量データの測定箇所が限定されるため,系統的に議論するには変動地形学的な変位量分布図の作成が必要である。また,LiDar測量データは,変位量の比較的小さな地震断層の発見に有用であることも示された(名古屋大学[課題番号:1702])。

(3)地震・火山噴火の発生場の解明

ウ)内陸地震と火山噴火

 内陸地震発生場の解明のためには,日本列島を取り囲むプレート運動や沈み込みによって形成される広域の応力載荷とそれに対する内陸地殻の弾性・非弾性応答を観測・モデル化し,その特性を明らかにすることが求められる。また,地震発生に大きく寄与する,広域の応力載荷に対する個別の断層への応力集中メカニズムや断層強度低下メカニズムも解明する必要がある。特に東北地方においては,東北地方太平洋沖地震の地震時や余効変動に対する地殻変形の応答を観測できることから,応答特性を知りうる重要な機会である。本年度は従来得られている複数の地域における構造や地震活動を対比するための観測及びデータ整理を進めた。また,個別の地域における発生場の推定,それらのモデル化の試みが行われた。

 本部会ではさらに他部会との連携を重視している。その一環として,昨年度,それぞれの内陸地震発生域で遂行されてきた研究結果を統括・整理し,内陸地震発生域と地震波速度構造との対応関係についての検証をおこなった。この結果を「(2) モニタリングによる地震活動予測,ウ. 地震活動評価に基づく地震発生予測・検証実験」へ提供し,その効果の検討を開始した(東京大学地震研究所[課題番号:1504])。

・地震・噴火発生ポテンシャル評価の試み

 地震発生ポテンシャルの評価に向けて,今年度は発震機構解を用いた評価法の開発を行い,福岡県に位置する警固断層域において試行した。仮想アスペリティを配置し,応力集中を評価した結果,警固断層では顕著な応力集中は見られなかった。今後他地域にも同様の手法を適用するとともに,地震発生ポテンシャルの推定を進める予定である。
 阿蘇火山では,2014年11月に約20年ぶりとなるマグマ性噴火が発生した。これを受けて,この噴火以前に観測された地殻変動データから同火山の噴火ポテンシャルを評価した。近年の上下変動量から変動源(Mogi)での体積変化量が推定されており,観測点AVL14における1.0 cmの変動量は1.7x106 m3の体積変化に対応することがわかっている。この経験的な関係から,2012年のマグマ総量が1930年代後半にくらべて約2x107 m3減少したことが示された。

・東北地方の地殻応答

 東北地方太平洋沖地震及びその後も変動が進行している今期計画の研究期間は,これらの現象を観測によりとらえて,定常的な活動下では検出できないレオロジー構造を推定する重要な機会である。今年度も地震,GNSS観測点の展開を進める一方,現有のデータから地殻変動シミュレーションを行い,不均一なひずみ速度分布を説明するレオロジーモデルの検討が進められた。
 Iinuma et al. (2015) による余効変動観測データのうち,東北地方太平洋沖地震の最大滑り域を東西に横切る測線近傍のデータについて,2次元有限要素法で粘弾性緩和解析を行った。海底の西向きの水平変位を粘弾性緩和で説明し,さらに陸域の東向き変位を過大評価しないという拘束条件のもと,有限要素法で観測データを概ね説明できるレオロジーモデルを構築した(図1)。鳴子カルデラ付近に東西幅10 km,上端深さ10 kmの領域に粘性3x1018 Pas程度の低粘性領域を仮定とすると,この付近で観測されている局所的な沈降を再現できる。低粘性領域の形状は,鳴子周辺の稠密地震観測(Okada et al., 2014)やMT観測(Ogawa et al., 2014)でイメージされている鳴子火山直下に垂直に存在する速度・比抵抗異常帯の形状とも一致し,鳴子火山の火道に存在するマグマなどの低粘性物質を見ている可能性がある。また,鳴子火山も含めた東北地方火山フロント周辺では,東北沖地震後の余効変動として短縮ひずみが観測されている(Miura et al., 2014) 。このようなひずみ異常を説明するために,初期の余効滑りを考慮しながら不均質な粘性構造を取り入れた有限要素法を用いてモデル化を試みた。その結果,火山地帯の地殻深部において低粘性領域が存在することが示された(東北大学[課題番号:1203])。
 島弧地殻の粘弾性変形を含む流動-変形場の理解は本研究計画における一つの重要な課題である。そこで,巨大地震後の粘性緩和による変形場をより正しく理解するため,単純な設定でモデル計算を行いその特徴を調べた。その結果,大地震発生後の粘性緩和完了後には,海洋プレートが単純に沈み込むほぼ完全なブロック運動が実現するということが示された。この過程において当初は海溝向きだった内陸の水平変位速度が,時間と共にその運動方向が逆転することが報告された。現在は海域でのみ陸向きの変位が観測されているが (Watanabe et al., 2014),本結果に基づき,いずれ太平洋沿岸部さらには東北内陸まで陸向きにその運動方向を変化させると推察される(京都大学防災研究所[課題番号:1905])。
 平成27年10月~11月(一部は7月から)に新潟県佐渡市から阿賀町におけるGNSS繰り返し観測を実施した。佐渡の観測点2点は平成27年3月より連続観測点化した。新潟県周辺では,東北地方太平洋沖地震の余効変動により東西方向の伸張が卓越していたが,時間と共に伸張は小さくなってきている。2014年10月から2015年10月の1年間では,一部の場所において北西-南東方向の短縮が卓越し,面積ひずみでは短縮になっている場所もあることがわかった(国土地理院[課題番号:6001])。

・応力場・ひずみ速度場等,場の研究

(地殻構造と地震発生場)
 地殻構造の不均質と地震発生の場について,昨年度は各地域の構造をコンパイルし,その特徴を抽出した。今年度はさらに詳細な構造と活断層分布を対比することで,地震時大滑り域や断層セグメントの位置を推定できる可能性を見出した。
 2011年東北地方太平洋沖地震の後に地震活動・火山活動の活発化が観測された宮城・福島県境付近の地殻内地震波速度構造を推定した(図2)。地殻上部において,長町・利府線断層帯〜福島盆地西縁断層帯の上盤側(北西側)は低速度域となっているが,宮城・福島県境付近では高速度となっている。このことは福島盆地西縁断層帯の非連続性を示唆しているが,この断層で大地震が発生した場合には,この高速度域が大滑り域となる可能性を示している。一方,地殻中下部においては,宮城県の火山(蔵王・船形)と福島県の火山(吾妻・安達太良・磐梯)の下に低速度域が分布する。この低速度域は宮城県側と福島県側に分かれて広く分布し,浅部に行くにしたがってそれぞれの火山に向かって分岐していき,長町・利府線断層帯と福島盆地西縁断層帯の境目で高速度となっているように見える。このことは両断層帯がここで切れていることの要因になっている可能性が考えられる(東北大学[課題番号:1203])。
 流体の存在や応力集中メカニズムを検討するうえでその重要性が指摘されている比抵抗構造について,地殻深部~上部マントルまでにいたる広域な構造が推定された。岩手,秋田南部と山形,宮城全域における長周期MT観測により,最上部マントルから下部地殻の大枠を捉えるとともに,特に下部地殻の低比抵抗異常が顕著な宮城県北部地震の震源域,岩手宮城内陸地震の震源域では詳細な3次元地殻比抵抗構造を推定した。最上部マントルの深さでは,低比抵抗体が奥羽脊梁下に南北に縦断して分布するものの,下部地殻の深さでは,低比抵抗体は分岐し月山付近と鳴子・宮城県北部付近へと延びる。これらは流体の分布を示していると推察され,地殻内の応力場に影響を与えていると考えられる。また,1962,2003年宮城県北部地震の震源域において,観測点数を昨年度の12点から54点へと大幅に増やした。その結果,深度5km以深で1962年の震源域に向かう西下がりの低比抵抗異常が検出され,その延長上の高比抵抗域で余震活動が起きていたことが示された。このことから,高比抵抗領域が脆性領域に対応すると推察される。また,低比抵抗領域はこの地域に存在するカルデラ分布と良い対応を示す。特に栗駒山下の火山性流体と考えられる低比抵抗領域から震源域に向かって伸びる低比抵抗領域が見つかり,余震もこの低比抵抗領域を避けるように発生している。Iinuma et al. (2009)による本震の地震時滑り域は高比抵抗領域と一致しており,脆性的なアスペリティを意味すると考えられる。余効滑りの分布は,流体が存在すると考えられる低比抵抗領域と,流体が存在しないと思われる高比抵抗領域のそれぞれに分布する。Iinuma et al. (2009)では余効滑りは,流体によって引き起こされる場合と,応力場の変化によって引き起こされる場合があることが指摘されており,低比抵抗領域と高比抵抗領域で余効滑りが進行したことは,流体と応力変化のそれぞれに起因しているのかもしれない(東北大学[課題番号:1203])。
 余震が高比抵抗域で発生していることは余震が起きている場所が脆性領域であることを示唆する一方,余震の駆動力として流体が重要な役割を担っている場合もある。これは応力,流体の分布形態と物性値との関係でどちらにも取れる可能性が考えられ,この問題自体が地震発生メカニズムを知る上で重要な点であることから,時空間的な分布形態変化や物性の定量的なモデル化を検討する必要がある。余効滑りについても同様な検討が必要である。
 東北沖地震後に活発化した森吉山地域では,臨時地震観測データを用いたS波スプリッティング解析から地殻内の異方性に関する調査が進んだ(弘前大学[課題番号:1101])。また,森吉山を東西に横切る断面での比抵抗構造解析を行った結果,活発化した地震クラスター直下の深さ15 km~30 kmに,明瞭な低比抵抗体の存在が確かめられた(東北大学[課題番号:1203])。
 九州においては地殻流体の分布を推定するために,本年度までに大分県中部-南部地域で合計170点の広帯域MT観測を完了し,得られたデータを領域ごとに分割し3次元比抵抗構造解析を実施した。その結果,大分県南部地域においては,前弧側の深さ10 km付近にスポット状の低比抵抗体が存在することが明らかになった(九州大学[課題番号:2201])。この地域は必ずしも地震活動が活発でない地域に対応することから,流体の存在と地震発生を関連付ける上で重要な情報が得られた。

(応力場)
 応力場は時空間的変動を求めることで載荷機構や絶対応力推定について重要な情報を与え得る。まず,2014年御獄山噴火前後の山頂直下の局所応力場の時間変化について新たな知見が得られた(Terakawa et al., 2016)。山頂直下の局所応力場は,一般に,プレート運動によって形成される広域応力場と,火山活動によって引き起こされる応力変動の重ね合わせとして表現される。解析の結果,2014年9月の噴火直前約2週間は局所応力場が広域応力場から有意にずれていること,つまり火山活動の活発化による有意な応力変動があり,噴火後に急激に元の状態に戻ったことがわかった(図4)(京大防災研[課題番号:1907])。このように,東北地方太平洋沖地震のような巨大地震による広域的な変化だけでなく,応力場に時間的摂動をもたらす火山体などの周辺における局所的な研究は重要である。
 2000年鳥取県西部地震域での稠密地震観測データの整備を行い,震源断層周辺で発生した余震約4000個の発震機構解及びその震源位置を推定した。発震機構解と震源分布の特徴から,本震時に破壊された断層面との関係を調べたところ,ほとんどの余震が破壊面の周辺で発生し,発震機構解のタイプは非常に多様であることがわかった(京都大学防災研究所[課題番号:1905])。
 関東地域で発生したM1以上,深さ25 km以浅の地震を対象に応力テンソルインバージョンを適用し応力場推定を行った。そして,応力テンソルインバージョン結果に加え,既存の原位置応力測定結果(地殻応力場データベース,https://gbank.gsj.jp/crstress /),活褶曲(地質調査総合センター,1997)のデータをコンパイルし,当該地域の応力マップを作成した。原位置応力測定結果は広域応力場に一致しないケースがしばしば報告されているが,細かい空間スケールで見ると,地震データの結果と調和的な場合が多いことがわかった。活褶曲も含め,地震活動が少ない地域の応力場を補間する上で重要な情報であるといえる(産業技術総合研究所[課題番号:5008])。

(断層の詳細構造)
 東北地方太平洋沖地震直後に地震活動が活発化した茨城県北部域からいわき地域にかけて,2011年7月から2014年6月までに発生した地震の震源再決定を行った。連続波形記録から自動震源処理により地震を検出し初期震源を決定した。その後,近接イベント間の相対走時差データを自動読み取り値と波形相関法から抽出し,両者を用いてDD 法により震源再決定を実施した。その結果,約208,000個の高精度な震源が決定された。地震は大小様々なクラスターに分かれて分布し,多くの場合,傾斜角約45 度の面状分布を呈する。断層の長さは,最短なものが約500m,一方,最長は約10kmにも及び,桁で変化する。本震源域の中央部付近では,1枚の薄い断層面が良く発達しているが,北部や南部では,共役構造や折れ曲がり構造が多数見られ,領域によって断層の分布が複雑に変わる。このように,本震源域では小断層と大断層の両者が動くことでひずみを解放していると考えられる(東北大学[課題番号:1203])。これらは大量のイベントを検出することで断層の複雑な形態を浮き上がらせることができることを示した重要な結果である。

(地震発生場のモデル化)
 地殻変形の時空間発展は地殻内の脆性-塑性領域の応答を反映していることから,地震発生場のモデル化をする上で重要である。今年度は,地殻内の不均質構造との対応関係についての知見が各地で得られた。東北沖地震発生直後9時間のGNSSデータのキネマティック精密単独測位を行ってひずみ分布を調べた。得られた座標値時系列について主成分分析を用いることで本震直後の余効滑りの影響,脊梁山地沿いや日本海側での伸張ひずみの局在を見出すことができた。伸長ひずみが局在する場所は,Nakajima et al.(2001)による深さ10 kmにおけるP波速度の低速度域と良く対応する。さらに,Ozawa and Fujita (2013)によって見出された火山周辺域における地震時の局所的な沈降域は,上記の解析によって得られた伸長ひずみ域と相補的な位置関係にあることが明らかとなった(東北大学[課題番号:1203])。
 南海トラフにおける固着と滑りや東北日本と西南日本間の東西圧縮,内陸活断層における滑り相互作用を考慮して,南海トラフ巨大地震と西南日本内陸地震の活発化・静穏化の因果関係をモデル化するために,前年度に引き続きブロック断層モデルを用いて,西南日本のGEONET速度場を説明する内陸断層の滑り・滑り欠損速度と南海トラフの滑り・滑り欠損速度の同時推定を行った。ブロック分割及び断層ジオメトリの改良により,九州や北陸・中部地方の観測データへのフィッティングが向上した。平成26年度モデルからの具体的な改善点は以下のとおりである。九州においては,別府ー阿蘇ー日奈久断層にブロック境界を設定,別府-水縄断層-佐世保にも境界を設定,中部と琵琶湖ブロックの境界を柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯から濃尾断層帯へ変更,北陸地方を独立のブロックにしたことである。その結果,濃尾断層系では約4-6 mm/年,北陸沖の断層では約5mm/年,水縄断層では約4mm/年程度のブロック相対運動が推定された(京都大学防災研究所[課題番号: 1907])。一方,モデル化に重要な地殻応答のうち,非弾性変形に寄与する地震活動によるひずみの見積もりを行った。これにより,九州内ではひずみレート換算で10-7/yr 相当地域が別府,熊本などに見られた。この値はGNSSによるひずみレートと同程度であり,地震活動による変形が無視できない大きさであることを示した。また,非弾性・散乱構造解析から,別府―九重地域には強い減衰構造が存在することを見出し,地殻変形のモデル化のための要素を提供した(九州大学[課題番号:2201])。さらに,断層近傍の変形場はInSARとGNSS双方のデータを用いて地殻変動パターンを面的に把握することを試みられた。例えば,跡津川断層系の牛首断層近傍及び富山平野との境界付近に変位勾配の大きな領域が見られた(京都大学防災研究所[課題番号: 1907])。
 顕著な不均質構造推定から得られた知見を基にしたモデル化のアプローチも進められた。近畿地方中北部では,いわゆる「満点地震計」による稠密地震観測が行われている。広域に展開された稠密な観測網の特長を生かして,地震波速度不連続面の面的な分布を求めることが出来た。ここで推定されたモホ面の形状は非常になめらかなものである。内陸の活断層は下部地殻内に延長部を持っているという仮説があるが(例えば,Iio & Kibayashi, 2002),ここで得られた知見は,下部延長はモホ面を食い違わせていない可能性を示唆している。地殻の最深部では,変形はより広範囲に広がっている可能性が指摘でき,地震発生層の断層に対する応力載荷メカニズムを考える上で重要な結果である。また,S波の反射法解析では深さ30 km付近に反射強度の大きな領域があり,その近傍に低周波地震の震源が決まっている(図3)。低周波地震の震源域の付近にある反射強度の大きな領域の上には,S波速度が小さな領域がある。さらに,その直上において,地震分布の下限が20 km程度と非常に深くなっていることがわかる。この下限の水平変化は温度構造の不均質によると考えられていたが(例えば,Ito, 1990),深さ20 kmという深い領域で温度を局所的に下げることは難しいことから,温度が原因ではなく,高間隙水圧により,断層の摩擦強度が局所的に下がったためである可能性が考えられる(京都大学防災研究所[課題番号: 1907])。このように複数の方法によって推定された構造不均質をモデル化に有機的に取り込めるようになってきた。

(地震火山相互作用)
 御嶽山の火山活動と周辺域の地震活動との相互作用を調べることを目的に,御嶽山南東麓の群発地震活動域の応力場の時間変化(2014年8月~2015年3月)を調べた。応力場の時間変化の検出は,前述の山頂直下の局所応力場の場合と同様に,対象地域で発生する地震のメカニズム解と広域応力場の関係から,ミスフィット角を指標として評価した(図4)。この結果,2014年御嶽山噴火の約1週間前,群発地震活動域の応力状態が広域応力場からずれている可能性があることがわかった。しかし,ずれの量は閾値を10度程度上回るに過ぎないため,今後,長い時間スケールでミスフィット角の時間変化を調べ,火山活動と内陸地震発生の相互作用を理解する必要がある(京都大学防災研究所[課題番号:1907])。
 富士山においては2011年東北地方太平洋沖地震発生後に起こったMw5.9の地震の震源域には,低比抵抗体が存在し流体の通路となっていることが示された。通路の形状とガス分析から,地震時に離脱した気体の上昇による間隙水圧上昇によって地震が発生したモデルを提案した(図5)。また,このような気体の離脱現象を解明するために,アナログ実験を行い,1) 気泡の離脱は,気泡のneckingによって起こる。2) 離脱気泡のサイズは表面張力の平方根に比例する。3) 地下の熱水流体中での気泡の離脱による移流増圧は,表面張力が小さくなる臨界点近傍で起こりやすくなる,などの重要な性質が明らかになった(九州大学[課題番号:2201])。

(地殻強度低下メカニズム)
 地殻の強度低下は主に地震発生域における流体の挙動によって引き起こされると考えられる。流体の関与を示す地震活動や構造については上記述べたとおりであるが,直接的な証拠として,中央構造線沿いに湧出する深部由来流体の調査,分析,解析を行った。従来の解析法に加えて,レアアースエレメントを詳細に調べることで,流体の上昇や物質混合についての知見が深まった。それによると,深部由来流体が地表近く(深さ数百メートル)まで直接上昇している可能性を示唆する(京都大学防災研究所[課題番号:1905])。

(4)地震現象のモデル化

ア)構造共通モデルの構築

 構造共通モデル(コミュニティモデル)は,シミュレーション研究などでの活用をめざし,従来までに得られているさまざまな情報から作成される統一的な構造モデルである。既往の成果を可能な限り収集・整理し,下記の6つの要素についてのデジタルモデル(grid データ)の構築を進めた(東京大学地震研究所[課題番号:1505])。
 (1)地形・海溝軸モデルの構築
 (2)プレート境界モデルの構築
 (3)日本列島及びその周辺の震源断層モデルの構築
 (4)日本列島下のモホ面及び脆性・延性域境界モデルの構築
 (5)リソスフェア・アセノスフェア境界の構築
 (6)日本列島下の岩石モデル・レオロジーモデルの構築

1. 地形・海溝軸モデルの構築

 国土地理院,水路部の地形・水深データを合わせて,日本列島及びその周辺海域の500m メッシュのtopography data (範囲:N12°-54°,E118°-164°)を確定し,このデータから千島-日本-伊豆小笠原海溝及び相模トラフ,駿河トラフ-南海トラフ- 琉球海溝の位置と水深モデルを作成・確定した(東京大学地震研究所[課題番号:1505])。

2. プレート境界モデル

2.1 自然地震を用いた広域プレート境界モデル

 上記のモデル範囲において,気象庁一元化震源・USGS・ISCの震源データをもとに,広域的プレート境界を定義した。震源分布からプレート形状をspline函数によって補間し,太平洋プレート(図6)とフィリピン海プレートの3次元形状をgridデータとして構築した(東京大学地震研究所[課題番号:1505])。

2.2 海溝軸から陸側斜面下におけるプレート境界モデル

 日本列島周辺においては,構造探査・tomography解析等の既往成果をコンパイルし,プレート上面の位置(緯度・経度・深さ)のデータを作成した。これらのデータは,日本列島周辺においては広域モデルに比べてより短波長のプレート形状変化を与えるものである。この短波長変化を広域モデルに重畳する形でより高精度のプレートモデルを構築中である。フィリピン海プレートについても,同様の構築が進行中である(東京大学地震研究所[課題番号:1505])。

3. 日本列島及びその周辺の震源断層モデルの構築

 日本列島及びその周辺域のMoho面形状及び脆性・延性境界形状モデル構築のため,tomography解析及びレシーバ関数解析に関する既往論文成果5編に対してgridデータを作成し,手法による結果の差違を調べるとともに共通の特徴抽出等に関する検討を開始した。また,北陸・関東地域の地下構造データを基に,震源断層モデルを構築した(東京大学地震研究所[課題番号:1505])。

イ)断層滑りと破壊の物理モデルの構築

 断層滑りの物理モデル構築のためには断層周辺の応力や強度の振る舞いを知る必要がある。本年度は,実験及び観測・観察においてこれらの基本的な挙動の解明が進展した。

(電気伝導度と物性等の関係解明)
 分子動力学(MD)シミュレーションによって,塩水(NaCl aq)の高温高圧高濃度での電気伝導度の定量的な振る舞いを明らかにした(Sakuma and Ichiki, 2016b)。実験データが存在しない高温高圧下での塩水の電気伝導度がMDシミュレーションから求められたことにより,地殻の地震発生域や断層帯の電気伝導度構造と今回のMDシミュレーション結果を比較することで,断層帯や地震発生域にどの程度の流体が存在するかを定量的に議論する足掛かりとなると期待される(東北大学[課題番号:1204])。また,地震波速度・電気伝導度構造統合インヴァージョンによる流体分布の推定を目指して,封圧下で含水花崗岩の弾性波速度及び電気伝導度測定を行い,クラック閉鎖に伴う弾性波速度,電気伝導度の変化を調べた。BIB-SEMによる微細構造観察は,一つのクラックが,開口の異なる多数のクラック・セグメントから構成されることを示している。この観察に基づき,弾性波速度,電気伝導度のモデルを作成した。モデルは弾性波速度の封圧依存性をよく再現したが,電気伝導度の封圧依存性の再現は十分ではなかった。電気伝導度の再現には,開口の量的な分布だけではなく,空間的な分布も必要であると考えられる(京都大学防災研究所[課題番号:1905])。

(岩石の変形特性に及ぼす高間激水・フュガシティの効果)
 昨年度に引き続き,メルトを含まない斜長石多結晶体を使用し,含水条件下での変形実験を行った。昨年度のせん断変形実験では,強度の低下とともに著しいひずみ局所化が認められたので,今年からは幾何学的に簡単な軸圧縮実験を行った。得られた応力−ひずみ曲線(図7)から,dry試料(赤点線)に比べて,wet試料(青線)は顕著な強度弱化を示す。また同一試料でひずみ速度を変えた実験(Wet 1GPaの最も軸ひずみ量の多い実験)では,同一条件にも関わらず変形量または変形時間が多いほど強度が低下した。一定ひずみ速度(10-5 s-1) では,データのばらつきが大きいものの,強度は封圧(フュガシティ)と共に下がるように見える(図7b)。本試料の変形機構は拡散クリープ・転位クリープのどちらが卓越するかはまだ不明だが,どちらであっても構成則(黒実線)の振る舞いとしては,本実験条件下では圧力硬化が予測される。実験結果はいずれの構成則より低い強度を示す。また同一条件でも変形量(時間)の増加とともに強度が低下することも観察された。また,同一ひずみ速度条件での比較では,実験時間とともに強度が低下する現象も見られた(東北大学[課題番号:1204])。

(地震発生帯における地殻流体の熱力学情報の精密化と実フィールドでの検証)
 岩石中の炭質物の空中反射率(Ra)に基づく断層温度計を開発した。この温度計では温度 (T) は T (℃) = 5800 Ra - 93 の関係式で推定される。この温度計は,数秒〜数百秒間の被熱に対応可能で,炭質物の熟成の程度や被熱のT-t経路に依存せず,最高被熱温度のみに依存する。IODP NanTro SEIZEのコア中のメガスプレー断層とプレート境界断層の炭質物にこの温度計を適用した結果,これらの断層ではそれぞれ350℃と310℃の温度に到達したことが示された。また,久礼メランジュ中のシュードタキライト近傍の炭質物への適用により,シュードタキライトメルトの注入は1秒以下の短時間で起きたことが推察された。
 チリ北部Atacama断層系Bolfin断層南端の,方解石と石英で充填された亀裂とその周辺の熱水変質の解析により,亀裂先端の進展方向は北北西であり,その亀裂中を浸透した流体の移動方向の側方成分もまた同方向であったことを明らかにした。変質鉱物組成と流体包有物の解析から,亀裂中を浸透した流体はCaCl2を主とする塩水であり,その温度は330℃程度で流体圧は69 MPa程度と見積られた。この条件で浸透流体が340℃から330℃に温度低下した場合に,亀裂を方解石と石英で充填するために必要な流体量をシミュレートした結果,1 Lの亀裂スペースの充填には86 kgの流体が必要であることが示された。したがって,Bolfin断層中軸部に向けて,膨大な量の流体が移動したことが考えらえる(東北大学[課題番号:1204])。

(断層面の不均質性と内陸地震の多様性の起源)
 封圧下での断層成長実験(Otsuki and Dilov, 2005)によれば,断層帯の形態は階層的に自己相似で,自己相似性を保って進化する。そこで,断層トレースと地震時滑り量分布が良く調査されている世界の純粋な横ずれ地表地震断層21個の形態を調べ,発達様式をまとめた結果,自然の断層帯も階層的な自己相似性を保って進化している証拠が得られた(東北大学[課題番号:1204])。

(断層周辺の流体挙動)
 野島断層におけるこれまでの注水実験(1800m深度及び540m深度)やアクロス連続運転データの解析を進め,断層近傍でのクラック密度の減少による長期的な地震波速度の増加(強度回復)を示唆する結果が得られ,1999年~2000年,及び2011年以降の注水実験で,S波走時の変化が小さい一方,P波走時が速くなっており,これらの期間ではクラック密度は変化しないままクラックの水飽和率が増加した等,水の動きが関与している可能性が示唆される(京都大学防災研究所[課題番号:1906])。

2. 地震・火山噴火発生の予測のための研究

(1)地震発生長期評価手法の高度化

 2014年11月に発生した長野県北部の地震の平均変位速度分布と最新測量技術を用いた稠密変位量分布との比較を試みた。最近発生した何回かの地震は,2014年地震同様に塩島や大出付近の変位量が大きく,今回の地震と同様な破壊が北方へ連続する傾向を示す地震であった可能性がある。Lidarデータの解析により発見された地変の地形調査から,平均活動間隔は586-880年であり,比較的短い間隔で地表地震断層が出現する地震があることが明らかになった(名古屋大学[課題番号:1702])。この地震の地表地震断層上でトレンチ調査を実施し,先行するイベントは1714年正徳小谷地震である可能性が高く,この300年の発生間隔は内陸活断層の地表地震断層を伴う地震としては最も短いことが明らかになった。2つ前の古地震イベントは,約2000年前以降に生じ,その際の上下変位量は約2m以上である可能性が高いことから,神城断層では,それぞれの地震規模に対応して地震時変位量が変化した可能性が高い(産業技術総合研究所[課題番号:5005])。

(2)モニタリングによる地震活動予測

 関東地域で発生した地震を対象に発震機構解の精査を行い,応力テンソルインバージョンによる応力場推定結果と原位置応力測定結果,活褶曲のデータをコンパイルし応力マップを作成した。原位置応力測定結果は,細かい空間スケールで見ると地震データの結果と調和的な場合が多いことがわかった。これは,地震活動,応力測定,活構造によるデータが互いに相補的であり,地震活動の有無にかかわらず応力マップを広範囲で推定できることを意味し,重要な結果である。内陸地震震源域の地震発生様式を調査するため,2011年いわきの地震の詳細な解析を行い,ω2モデルで説明できない地震が多数発生していることが見出され,破壊過程の複雑性を示唆している。2014年長野県北部の地震の本震4日前から始まった前震活動を詳細に調べ,前震が主に2つの断層で構成されていることを明らかにした(産業技術総合研究所[課題番号:5008])。

3.地震・火山噴火の災害誘因予測のための研究

(1)地震・火山噴火の災害事例の研究

 日本では気象庁により津波警報システムが整備されているが,それ以外の警報システム,特に警報を出す対象地点周辺のデータを利用してリアルタイムに警報を出すシステムを考えることは有意義である。2011年東北地方太平洋沖地震について,地殻変動の沈下量と津波高さに強い線形性があるとの先行研究がある。 しかしこの研究におけるデータは十分ではないので,より多くのデータを用いて,水平変動も含めた地殻変動と津波高さとの関係を調査した。検討の結果,沈下量と津波高さの関係には線形性が見られたが,例外となる地点も少なくない。その例外は水平変動量を利用すると少なくなった。2003年十勝沖地震についても調べると,地殻変動量と津波高さの関係は地震に固有であるように見える。したがって,ある地震から得られた関係を用いて,一般的な法則 として津波高さを推定することは困難と考えられる。地殻変動量と津波高さの関係は数値計算でも確認できるので,これは今後の検討対象となる(弘前大学[課題番号:1101])。

(4)地震・火山噴火の災害誘因の即時予測手法の高度化

 内陸地震研究を進める中で得られた情報を即時予測手法の高度化にフィードバックすることは極めて重要である。輻射伝達理論を用いて,九州地方の地殻における散乱乱減衰と内部減衰とを定量的に分離推定した。その結果,散乱減衰及び内部減衰は強い水平不均質を示し,特に火山体周辺で散乱減衰及び内部減衰が大きいことが明らかになった。ここで推定した散乱減衰及び内部減衰の不均質構造を使用して,モンテカルロシミュレーションによる地震動エネルギーの伝播の予測を行った。既存の地震データに適用した結果,予測される地震動エネルギーは,均質な散乱減衰及び内部減衰を仮定した時よりも実際の地震動エネルギーをよりよく再現することが確かめられ,即時予測手法の高度化に詳細な不均質構造推定が貢献することを実証した(九州大学[課題番号:2935])。

4.研究を推進するための体制の整備

(2)研究基盤の開発・整備

ウ. 観測・解析技術の開発

 「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」において,レーザー技術を利用した広帯域地震計及び傾斜計が開発された。変位センサーとしてレーザー干渉計を用いたものを製作し,所期の高い検出性能を確認した。また,レーザー干渉計の高温試験を実施し,少なくとも290 ℃までの高温環境下で使用可能であることがわかった(東京大学地震研究所[課題番号:1522])。
 第2世代の制御震源装置について,2015年12月9日より長期連続運転試験を開始した。中心周波数は前年度と同様に10.0015Hzで±5Hzとして,連続運転を行った。ところが,震源装置から約1メートルの場所に設置した加速度計の振幅が,12月11日午後から次第に大きくなり,同時に高調波成分が増大し始めた。その後,12月12日に震源が停止した。原因は,震源装置本体ではなく,基礎周辺地盤の破壊(剪断滑り)であることが判明した。そのため,基礎周辺地盤に石英砂を充填し,破壊亀裂面に砂が入り込んで自動的に補修できるように補修作業を行った。現在,補修前と補修後の振動記録の解析中である。また海底掘削孔内震源については,長期連続試験のための機材を調達し,準備を行っているところである(名古屋大学[課題番号:1705])。
 地下水溶存ガスのうちヘリウム濃度を高精度で分析するために,第二安定領域で動作する四重極質量分析計の駆動電源を製作し,動作の調整を行った。分析結果の精度を向上させるために,分析管内の残留ガスを除去するシステムの開発を行った。地下水に溶存するガスを効率的かつ大気の混入がないように準連続的に抽出する装置を完成させた。溶存ガス中の大気補正されたHe-Ar-N2三成分比の連続観測が,マントル・地殻・大気の混合挙動を監視する指標になる可能性を見出した(東京大学大学院理学研究科[課題番号:1401])。

これまでの課題と今後の展望

 これまで,内陸地震による災害軽減に資するために,全国の大学及び関係機関は協力して,地震の発生場や発生機構を解明し,発生予測へ向けた観測・研究を順調に進展させた。また,それらの成果を災害誘因の評価・予測研究への橋渡しするための研究にも着手した。
 今後も2011年東北地方太平洋沖地震に伴う地殻応答を対象とした高精度の観測を継続し,断層強度の時間変化や応力集中機構のモデル化に資するデータを着実に取得することが重要である。特に,誘発地震の発生と地殻流体の関係,粘弾性構造による余効変動場の空間的不均質性,震源メカニズムによる応力場の時空間特性,などの内陸地震発生に影響を与えるパラメータの推定を引き続き実施することが必須である。
 内陸地震発生域において,下部地殻も含めた地殻構造や地殻流体との関係を検討するためのデータ整理を行ったところ,地震波速度構造や比抵抗構造などの構造パラメータが個別の断層運動の特徴を規定する場合があることが示された。しかしながら,その解釈は定性的なものに過ぎない。低地震波速度・低比抵抗領域と流体との関係,流体圧と地震活動との関係を定量的に比較していく必要がある。特に,大滑り域や余震,誘発地震域と流体圧の関係を統一的に説明できる物理モデルを構築していくことが重要である。断層への応力集中機構に大きな役割を果たす地殻の弾性・非弾性構造のモデル化を進め,観測・実験・シミュレーション研究等を有機的に結合して様々な条件下における地殻の応答特性の解明が期待される。
 地震発生ポテンシャルを考える上で重要な地震活動のリニアメントや活断層との空間的,力学的関連性について,地震のソースフォルト推定の緻密化を含めた研究が必要である。その際には,地震波速度,比抵抗構造,重力,地質等のさまざまなデータを統合し,着実にコミュニティモデルの構築を進めることが必要である。
 内陸地震研究からは,詳細な地震波速度・比抵抗構造,応力場などのアウトプットが得られつつある。これらのデータを地震発生予測や災害誘因予測研究で活用するために,内陸地震研究から得られる成果を予測研究で活用できるよう,関連部会との連携体制を継続することが求められる。また,データや構造モデルなどのコミュニティー内での利用促進への道筋が十分でないことから,情報発信を効率的に進める体制整備が必須である。
 内陸地震発生メカニズムの物理モデル構築には多くの課題が残されているが,それらを解決していく過程で得られたさまざまな成果を発信することを目指す。特に,今年度から進めている地震活動と地殻構造との対応関係を手掛かりに,統計的手法による地震発生予測研究や災害即時予測研究との連携を強めていく方針である。

成果リスト

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-- 登録:平成29年07月 --