「海溝型地震」計画推進部会 部会長 小原一成 (東京大学地震研究所)
副部会長 西村卓也 (京都大学防災研究所)
海溝型地震の発生機構を科学的に解明することは,それらの発生予測やそれに伴う地震動,津波などによる災害に備えるための基本として重要である。2011年東北地方太平洋沖地震(以下,東北沖地震)は,プレート境界が摩擦特性の固有な空間分布を有するという単純なアスペリティモデルの限界を露呈し,アスペリティの多様性,階層性,相互作用,摩擦特性の動的変化を考慮する必要を示した。また,海溝軸近傍における滑りの挙動が沿岸地域を襲う津波災害を考える上で極めて重要であることも示した。それらを踏まえ,海溝型地震計画推進部会では,主としてプレート境界で発生する海溝型地震を対象に,地震現象に関する過去データの収集と整理,地震現象の解明,地震発生場の解明,地震現象のモデル化,モニタリングによる地震活動予測,先行現象に基づく地震活動予測,及び観測・解析技術の開発を進めてきた。さらに,海洋プレート内部で発生するスラブ内地震についても発生機構の解明に関する研究を行ってきた。以下では,これらの項目において,平成27(2015)年度の成果の概略と今後の展望について述べる。
千島・日本海溝,相模トラフ,南海トラフ,琉球海溝で発生した巨大地震の履歴と発生様式を明らかにするため,津波堆積物,地形地質調査等に基づいたデータ収集と整理が行われた(北海道大学[課題番号:1002],名古屋大学[課題番号:1703],公募研究[課題番号:2933],公募研究[課題番号:2934],産業技術総合研究所[課題番号:5004])。
千島海溝沿いの巨大地震の震源域を把握するためには,北方四島での津波堆積物調査が重要である。ロシアの研究者と共同で,国後島の湿原における津波堆積物の調査が実施され,津波の痕跡と考えられる連続した薄い砂層として100m 以上内陸まで追跡できるものが見つかった。これは,先史時代の津波のうち特に大きなものは地層に記録されている可能性が高いことを示す。また,北海道沖で発生した可能性が指摘されている1611 年慶長三陸津波地震について,史料データに基づき解析を実施し,暫定的な震源モデルを明治三陸津波地震の震源モデルを参考にしながら推定した。その結果,慶長三陸津波地震は明治三陸津波地震よりも南側のプレート境界も破壊している可能性が高いことがわかった(北海道大学[課題番号:1002])。
陸水学的な調査手法により,巨大地震・津波の痕跡を調査する試みも行われている。北海道十勝地方の太平洋沿岸域には,砂州によって外海から閉塞された潟湖(せきこ)が存在し,大規模な津波が来襲した際に,砂州の破壊や湖への土砂流入が起きていたと推測される。潟湖の1つである生花苗沼の砂州中央で採取された14 m 長コアでは,7.2~7.4 m 深に逆級化層をもつレキ質の津波堆積物(C14 年代は約4300 年BP)が見出され,先行研究で指摘された津波堆積層に対応することがわかった(北海道大学[課題番号:2933])。
(東北沖)
東北地方太平洋沖地震の震源域その周辺では,海底や陸上における地震・地殻変動観測,海底掘削から得られた断層物質試料やプレート境界断層での温度・圧力条件などを模した摩擦実験により断層の摩擦特性が明らかになった。
東北地方太平洋沖地震発生後の平成23年3月から平成27年8月までのGPS音響結合方式による海底地殻変動観測結果(図1)によると,東北沖地震により24 m 東南東へ移動した「宮城沖1」海底基準点で62cm西北西に移動しているのをはじめとして,東北沖地震の震源域周辺では陸域のGNSS観測結果とは整合しない複雑な変動を示している。一方,「福島沖」や「銚子沖」など陸域と同様に東南東に向かって移動している観測点もある(海上保安庁[課題番号:8001])。
東北地方太平洋沖地震断層掘削で得られた断層物質の超低速摩擦実験の結果,プレート運動(年間10cm程度) という超低速において,摩擦挙動が不安定滑りを起こしていることが測定された(海洋研究開発機構[課題番号:4001],Ikari et al., 2015)。日本海溝に沈み込む太平洋プレート表層部の想定試料を粉砕したガウジ試料(チャート,玄武岩,半遠洋性粘土,遠洋性粘土層)を使用して,IODP日本海溝緊急掘削により掘削されたプレート境界断層深度(海底下約820 m)の圧力・間隙水圧・温度条件における摩擦実験を行った。その結果,遠洋性粘土層が摩擦強度が最も小さいため,プレート境界断層が形成されやすく,地震発生に至るような断層運動は起こらないと考えられるが,チャート層や玄武岩層中に形成されたプレート境界断層は強度が大きく,浅部でも地震発生に至るような断層運動が起こる可能性があることが示された(東京大学地震研究所[課題番号:1503])。
(南海トラフ)
GPS音響結合方式による海底地殻変動観測から,東北沖地震の地震時及び余効変動の影響を除去し,アムールプレートに対する変位速度を推定した(図2)。海底基準点は概ね北西方向に移動しており,フィリピン海プレートの沈み込み及び陸域のGEONET の観測結果と整合している。各点の移動速度は,「東海沖1」や「足摺沖2」において大きな移動速度を示している一方,「室戸沖2」や「日向灘2」においては小さな移動速度を示しており,プレート間カップリングが不均一であることが示唆された(海上保安庁[課題番号:8001])。また,熊野灘に設置した3つの観測点(KMN,KMC,KMS)においては,1〜3回の観測を行い,合計の観測回数は,KMNが18回,KMCが9回,KMSが22回となった。どの観測点においても,変位速度ベクトルはアムールプレートに対して西北西方向に年間3〜4 cmである。南海トラフ軸近傍の観測点では,黒潮による海中音速の傾斜構造が存在し,海底局位置にバイアスが生じる。そのような場合でも逆問題を解いて海底局位置を求める際に,走時の残差二乗和と推定音速変化率の滑らかさの重み付けに用いるハイパーパラメータの制約方法を新たに確立し,傾斜構造を有する海域での海底地殻変動観測の高精度化の目処が付いた(名古屋大学[課題番号:1703])。
浅部プレート境界断層(デコルマ)の発達過程において沈み込む堆積物の影響を解明するため,海洋研究開発機構が取得した四国海盆マルチチャンネル反射法地震探査(MCS)データとIODP南海トラフ地震発生帯掘削計画の深海掘削データとの統合解析を行い,沈み込む堆積層の3次元間隙率を求めた。3次元間隙率と岩相層序の解釈の結果,四国海盆の合計7つの層準において間隙率の著しい変化が認められた(図3)。間隙率は概ね海底面から深度を増すにしたがい低下する傾向を示すが,一部において間隙率の逆転を伴う間隙率異常域が見られ,この異常域は陸側に向かって発達する傾向を示す。また,南海トラフに直交する測線に沿って四国海盆から南海トラフに近づくにしたがい間隙率が低下する傾向を示し,その傾向は南海トラフ近傍で特に顕著である。間隙率が陸側に向かって低下する要因としては,トラフの最上部に堆積するタービダイトの荷重効果により,沈み込む四国海盆堆積層の脱水が進行し,間隙率が低下することが考えられる。このような間隙率の低下により,南海トラフ近傍においてデコルマの剪断強度が強くなっている可能性が高い(東京大学大気海洋研究所[課題番号:2801])。
また,摩擦構成則を用いた数値シミュレーションに基づき,南海地震が日向灘の地震によって誘発されるシナリオを提案した(海洋研究開発機構[課題番号:4002],Hyodo et al., 2016)。
(プレート間相対運動)
南西諸島北部の内部変形を明らかにするため,島嶼部に独自に設置したGNSS観測点と国土地理院GEONETのデータから,南西諸島のプレート運動を求めた。観測点日座標値の時系列より,年周・半年周変化,東北沖地震の地震時変動,GEONET観測点のアンテナ交換による変動とともに各観測点の変位速度を最小二乗法により求めた。九州南部から八重山諸島までを一つのプレートした場合と渡瀬線と慶良間海裂を境として3つのプレートに分けた場合でオイラー極を求めて(図4),AICを比較したところ,3つに分けた場合のAICが小さく,南西諸島は3プレートで構成されることが示された(鹿児島大学[課題番号:2301])。
また,相模トラフ沿いにおいて,GPS音響結合方式とGEONETから得られた東北沖地震以前の変位速度からは,相模トラフの南側の伊豆前弧にある海底基準点の動きは,フィリピン海プレートの動きとは有意に異なっており,背弧側リフトの影響を考慮したNishimura (2011) による伊豆前弧ブロックの動きと一致していることが確認された(海上保安庁[課題番号:8001],Watanabe et al., 2015)。
(プレート境界滑り現象を規定する構造的特徴)
西南日本下に沈み込むフィリピン海プレートの複雑な形状を把握するため,紀伊半島と中部地方南部において2007年8月から2015年3月までに発生したM3.5以上,深さ26~67 kmの地震54個を用いて,低速度の海洋性地殻に捕捉されたトラップ波を解析した。特に,愛知県直下で発生した地震に見られるトラップ波について琵琶湖周辺を通過する複数の波線を調べたところ,波線が南下するにつれてトラップ波が観測できる震央距離の範囲が短くなることがわかった(図5)。この結果は,沈み込む海洋性地殻と陸側の地殻が琵琶湖周辺で面的に接触しており,かつ琵琶湖下では南に向かうほどフィリピン海プレートの西方向への沈み込み角度が高角になることを意味する。波動伝播数値シミュレーションを行ったところ,琵琶湖周辺下のフィリピン海プレートの上面深度をHirose et al. (2008)よりも約1km深く設定した方がトラップ波が観測される震央距離の範囲をよく説明できることがわかった(名古屋大学[課題番号:1703])。
四国地域について,P波の地震波減衰構造の推定を行った。その結果,長期的ゆっくり滑りの上盤側の地殻内では,減衰が大きいことが示された。加えて,深部低周波微動活動のセグメント境界付近は,地震波減衰が大きく変化する領域と対応していることが明らかになった。さらに,地表の隆起量との比較を行うと,上盤側の減衰が大きな領域は,隆起量の大きな領域と一致し,地形形成,地殻の減衰構造,プレート境界における微動のセグメント形成が関連している可能性が示唆された(防災科学技術研究所[課題番号:4001])。
レシーバ関数解析やトモグラフィ解析のために,南九州,四国及び紀伊半島においてリニアアレイ観測を継続・拡充した。南九州の宮崎-阿久根測線と宮崎-桜島測線のレシーバ関数イメージに共通して見られる特徴としては,(1)島弧の大陸モホ面が,測線の中~西部では深さ30~35 kmに明瞭に見られるが,東部のウェッジ域では不明瞭になること,(2)深さ80~100kmまで明瞭に見られるスラブ内の海洋モホ面が,深さ60 km付近で折れ曲がること,の2つが挙げられる。(1)は,ウェッジ部がスラブ起源流体の影響で低速度化し,モホ面が高速度層上面ではなくなっているためと考えられる。このウェッジ部には流体が存在するか,強度の弱い蛇紋岩に変成していると考えられ,ここに接するプレート境界面は安定滑り域である可能性が高い。一方,(2)は脱水後の海洋地殻がbasaltのeclogite化により重くなったことを示している。また,宮崎-阿久根測線において,霧島山新燃岳直下の低周波地震発生域は強い低速度層となっており,火山活動に関係する流体の存在が示唆される(京都大学防災研究所[課題番号:1904])。
南海トラフ沿いに設置された地震・津波観測監視システム網(DONET)を用いて,観測網周辺の構造や地震活動に関する調査研究が行われ,沈み込むプレートの厚さは約30 ㎞であることや,DONET設置域周辺の微小地震が3つのクラスターで構成され静穏化が進んでいることがわかった(海洋研究開発機構[課題番号:4002])。
(プレート境界浅部での滑り)
房総半島において,Out-of-Sequence Thrust (OST)を初めて確認した。断層ガウジに摩擦熔融組織が確認され,東北沖地震時のように海底表層付近まで地震破壊が伝播していたことが明らかになった(海洋研究開発機構[課題番号:4001])。
海洋プレート内部の温度は,鉱物の脱水反応などを支配し,プレート内の地震の発生と密接に関係していると考えられる。そのため,数値シミュレーションを用いて北海道・東北地方下の3次元温度構造を定量化した(図6)。3次元的なマントル対流を考慮してモデル推定した結果,東北地方の温度構造は,2次元モデルの結果と大差ないが,千島・日本海溝会合部の深部延長及び北海道ではスラブの斜め沈み込みによる3 次元的なマントル対流の影響のために2次元モデルでは推定されない温度構造であることがわかった(東北大学[課題番号:1201],Wada et al., 2015)。
日高山脈西部の観測点で観測される後続波の観測走時を用いて,北海道東部下に沈み込む海洋性地殻の地震波速度を推定した。その結果,深さ50-100 kmのP波速度は6.5-7.5 km/s,S波速度は3.6-4.2 km/s,Vp/Vsは1.80程度であった。特に深さ80 km以浅では地殻を構成する含水鉱物から期待される値よりも遅いP波・S波速度が推定された。これらの速度低下は,地殻内部に含水鉱物とともに1vol%程度の流体の水が存在することで説明できる。また,深さ80-100 kmではP波・S波速度の増加が観測された。この深さ範囲では,地殻内の地震活動が活発であることから,これらの速度増加は含水鉱物の脱水を伴う相転移の進行とともに,脱水により生じた水が地殻内の地震発生に寄与していることを示唆している(東北大学[課題番号:1201])。
2011年東北沖地震の震源近傍のスラブ内部で2011年7月10日に発生した横ずれ型地震(MW7.0)について,震源域直上に設置された海底圧力計の記録を用いて震源断層モデルを推定した。その結果,共役な2枚の断層が同時に横ずれ破壊を起こしたと仮定しても観測波形を説明することが可能であり,このことから海溝軸陸側斜面下において東北沖地震に伴う応力の平衡域の深さの変化はさほど大きくないことが示唆される(東北大学[課題番号:1201],Kubota et al., 2015)。
室内実験により断層物質の摩擦特性を解明することが重要である。
沈み込みプレート境界に多量に存在するスメクタイトと石英を様々な割合で混合した模擬物質を用いて,含水条件で変位速度30μm/s~1.3 m/sの摩擦実験を行い,各変位速度におけるスメクタイト量比が摩擦挙動に与える影響を調べた結果,中速域(〜150 μm/s)においてスメクタイトの量比を20%から50%に増やすと,定常摩擦係数μssが0.6から0.1へと徐々に減少することが明らかとなった(図7)。一方,高速域(1.3m/s)ではスメクタイトの量比にかかわりなくμssは0.2以下の小さな値を示した。この結果は,日本海溝ではスメクタイトが40%以上の遠洋性堆積物が沈み込むため,低速でも摩擦強度が小さく地震時に大きな応力降下をもたらさないのに対し,スメクタイトが40%未満と比較的少ない半遠洋性堆積物が沈み込む南海トラフでは,大きな応力降下が発生する可能性を示唆している(東京大学地震研究所[課題番号:1503],Oohashi et al., 2015)。
防災科学技術研究所が所有する大型振動台を利用した岩石の二軸摩擦実験を実施した。これまで使用してきた変はんれい岩同士の実験に加え,大理石同士及び変はんれい岩と大理石とを組み合わせたバイマテリアルの摩擦実験を行い,摩擦滑りにともなって生じる条線の形状が岩石によって大きく異なることを確認した。また,大型二軸摩擦試験機で得られた定常滑りの摩擦特性と高速せん断摩擦試験機で得られた摩擦特性との間に違いが見られることについて,両試験機の実験における断層面の粗さや摩擦滑り時の垂直変位等に大きな違いがないことから,摩擦特性の違いは滑りにともなって断層面上で生成・成長する応力の空間的不均質に起因することを確認した(防災科学技術研究所[課題番号:3001],Yamashita et al., 2015)。
沈み込むプレート境界の起伏の影響が地震サイクルにどのように影響するのか,法線応力の変化を考慮した地震サイクルシミュレーションを行った。A-B<0となる円形の速度弱化領域(アスペリティ)内に2種類の形状(球・台形モデル)で海山を模し,凸部境界での滑りに起因する法線応力変化を考慮した地震サイクルを実行した。境界に凸部を設けると法線応力が低下し,強度が下がって破壊しやすくなり,地震の繰り返し間隔が短くなることがわかった。海山のような凸部があると破壊のバリアになるという考えがあるが,凸部内部の浅部と深部で法線応力が逆の振る舞いを示し,単純ではない。よって,海山のような幾何学的形状だけでは必ずしもバリアにならず,海山がバリアになりうるとすれば,凸部が沈み込むことによる圧縮変形,及び海山による浮力や間隙流体圧の減少といった要因を考える必要があることがわかった(京都大学[課題番号:1801])。一方,東北沖地震の震源域を念頭に凸部のあるプレート境界モデルを設定し,Hok and Fukuyama (2011)の境界積分方程式法を用いた数値シミュレーションを実施した結果,2011年東北沖地震と同様に海溝付近における大きな滑りが再現された(防災科学技術研究所[課題番号:3001],Fukuyama and Hok, 2015)。
ゆっくり滑りや繰り返し地震,及び地震活動には卓越した活動周期が存在することが報告されており,地球・海洋潮汐などの周期的外力及び単独の繰り返し間隔を持つアスペリティの相互作用より生じる同期現象である可能性がある。そこで,最も単純な場合として,1自由度のバネ・スライダーからなる固着滑り振動子への周期的外力の応答を数値シミュレーションにより調べた。底面に速度状態依存摩擦則にしたがう摩擦力が働くブロックにバネを付けローディング速度Vplで引っ張る系に周期的外力(振幅E,周期Te)が加わる状態を考える。外力がない場合の滑りの繰り返し間隔をTo(自然周期)とし,サイクル中の応力降下(6MPa)の1/10の振幅(E)の外力を加え,Teを変化させて,滑りの繰り返し間隔Tcを調べた(図8)。Tc:Teがm:n(m,nは互いに素の整数)となる場合には,系の周期がシフトして同期する現象(m:n同期現象)が生じている。この同期はサイクル中の応力降下量の1/100の大きさの振幅(E)を持つ外力でも生じる。このことから,地球・海洋潮汐が引き起こす応力レベルは数kPa程度なので,数10~100kPa程度の応力変化を伴うゆっくり滑りでは同期現象が生じる可能性がある(京都大学大学院理学研究科[課題番号:1801])。
プレート境界型地震の発生数日前といった直前期間に大きな地殻変動が起こったと推察されるケースがあり,それがプレスリップによるなら,地殻変動のパターンから地震時滑り域の深部延長で起こったと推定される。プレスリップの挙動を詳しく調べるために,高時間分解能で準動的地震サイクルシミュレーションを行った。摩擦則としてはaging 則を用い,モデルは傾斜角30度の2次元断層である。深さ20km以浅(便宜上,脆性域と呼ぶ)には一定の負のA-B値を設定し,地震の繰り返しが130年程度になるようにした。摩擦が速度弱化から速度強化に転じるカットオッフ滑り速度Vcの有無と臨界滑り距離Lを6mmと9mmの合計4つの場合を試した結果を図9に示す。プレスリップは,地震前1年間の滑りのうちプレート速度を超えた分として定義した。Vcなし,L=6mm (case1)では,たしかに小さなプレスリップしか生じない(Kato and Hirasawa, 1999)が,L=9mmではVcなし(case3)でも20 kmくらいの範囲で平均1m近い相当大きなプレスリップが生じる (図12)。これはaging則での臨界核サイズの理論値(Ampuero and Rubin, 2008)と合致している。case3のプレスリップ域は,脆性域深部だけでなく遷移域浅部までも含むが,それでもプレスリップ主要部での平均サイスミックカップリング率χは7割近く,また,プレスリップのモーメント成長も,本震にむかって一本調子で加速する典型的な脆性破壊の様相を示している。一方,L=6mmでVcを仮定したcase2のプレスリップ域は遷移領域内に限られ,この部分のχは0.17である。L=9mmでVcのあるcase4では,遷移域と脆性域深部にまたがる,さらに大きなプレスリップが生じている。このケースでは2日前から17時間前までの間に大きなスローイベントが生じて,浅部での震源核形成を促進し,1日ほどで地震に至った。このようなプレスリップの挙動の違いが,臨界滑り距離によることの理由が判明せず,必然性のある現象なのかはわからないため,今後も引き続き研究を続ける予定である(東京大学地震研究所[課題番号:1507])。
(日本海溝・千島海溝)
北海道〜関東地方の沖合のプレート境界断層の広い範囲で,周期的なゆっくり滑りが発生していることを相似地震及び地殻変動データから発見した (図10,11)。このゆっくり滑りは,地域によって異なり,1〜6年の発生間隔を持つ場所が多かった。また,その発生に同期してその地域でのM5以上の規模の大きな地震の活動が活発化しており,東北地方太平洋沖地震が発生した時期にも,三陸沖ではゆっくり滑りが発生していた (図11)。周期的なゆっくり滑りが発生しているときに大地震が起こりやすくなる傾向を活用すれば,それを地震・地殻変動観測で検知することによって,大地震発生時期の予測の高度化に貢献できる可能性がある(東京大学地震研究所[課題番号:1510],Uchida et al., 2016)。
従来短期的ゆっくり滑りが検出されていない千島海溝沿いの沈み込みプレート境界での短期的ゆっくり滑りを対象として,GEONETのGNSSデータを用いた網羅的検出を行った。その結果,ゆっくり滑りと疑われるイベント数は約20年間で2回だけであり,その1つは2007年4月12日頃に発生した。この地域はGNSSによるプレート境界面上での滑りの検知能力が低いと考えられるが,M6程度の検知能力がある海岸線付近の領域では,短期的ゆっくり滑りの発生は珍しい現象であると考えられる(京都大学防災研究所[課題番号:1910])。
東北地方太平洋沖地震の領域においても,超低周波地震が発生していることがこれまで防災科研の研究によって明らかにされていたが(Matsuzawa et al., 2015),従来の解析期間に加えて2014~2015年について解析を行った。東北地方太平洋沖の超低周波地震活動は大きく分けて3つのクラスター状の領域で発生している。東北沖地震後,大滑り域における活動は引き続き検出されておらず,静穏化が継続している状況と見られる。一方で,福島・茨城県沖や岩手県沖では,超低周波地震の活動度は全体として徐々に減少しているものの,活動が活発化する時期と比較的低調な時期が見られる。東北地方太平洋沖地震後は,この活発化が顕著に見られるようになっており,ゆっくり滑りが発生している可能性を示唆する(防災科学技術研究所[課題番号:3002])。
(南海トラフ)
豊後水道域から四国西部における過去の微動活動を調査したところ,微動域上端側の領域において,2003年及び2010年に発生した豊後水道長期的ゆっくり滑りに伴う微動活動の活発化が,非常にゆっくりした速度(約25km/年)で豊後水道から内陸方向に伝播したことが明らかになった。さらに,GNSSデータを解析したところ,1946年南海地震の破壊域と微動域とのギャップの領域で,2003年と2010年の豊後水道ゆっくり滑り以降の2~3年間に微小な長期的ゆっくり滑りが発生し,しかも上述の微動活動変化と同様に,ゆっくり滑りの滑り領域が西から東にゆっくり移動した(図12)。したがって,このゆっくり滑りがその深部側に位置する微動活動に影響を及ぼしたものと考えられる。ただし,これまで明らかになった2回の小規模ゆっくり滑りの時空間発展の様子は異なり,さらに1997年の豊後水道長期的ゆっくり滑りの後には同様の小規模ゆっくり滑りが認められないことから,その発生様式は単純ではないことが明らかになった(東京大学地震研究所[課題番号:1509],Takagi et al., 2016)。
GNSSデータにより観測されている東海地域,紀伊水道における非定常地殻変動について,時間依存インバージョンによる解析を行った。東海地方の浜名湖付近を中心として,2013年から2015年にかけて最大4 cm程度のプレート間滑りが発生していると推定された。紀伊水道では,2014年初頭からほぼ一定速度でプレート間滑りが発生していると推定された。解放されたモーメントは,Mw 6.6に相当する(国土地理院[課題番号:6003])。
(日本列島及びその周辺)
日本列島及び世界で発生した小・中規模相似地震活動を用いて,その空間分布・時間変化の特徴及び,各プレート境界における滑りの特徴を調べた(図13)。その結果,スマトラ,日本,千島列島で発生したプレート境界型巨大地震発生後,その余震発生域では相似地震の再来間隔が短くなっており,余効滑りの発生が示唆された。一方,その影響がない地域・期間では,数年~十数年の再来間隔を持つ相似地震活動が見られた。多くの領域では,プレート間の相対速度と同じかより小さい滑り速度が推定された一方,背弧拡大域では,プレートの沈み込みから想定される速度よりも速い滑り速度が推定された。相似地震を広い領域で抽出し,活用することにより,世界各地のプレート間固着状態がモニタリング可能となることが期待される(東京大学地震研究所[課題番号:1510])。
(誘発微動)
西南日本の微動発生域において,これまで遠地地震表面波によって誘発された微動を調べたところ,誘発微動の発生回数は,自然発生的な微動活動に概ね比例することがわかった。また,沈み込みプレート境界以外の場所を含めて全国的に遠地地震による誘発微動の検索を行い,内陸活断層に対応する場所でも微動が検出された(図14)。これらの誘発微動の振幅は,遠地表面波による動的応力変化におおよそ比例する。プレート境界とそれ以外の領域を含めて同様の結果が得られたことは,プレート境界以外で検出された誘発微動の場所でも自然発生的な微動が起きている可能性を示すものである(東京大学地震研究所[課題番号:1509],Chao and Obara, 2016)。
(断層滑りシミュレーションのデータ同化)
大地震の発生予測へとつながる地震サイクルシミュレーションを行うにあたっては,摩擦構成則中の摩擦パラメータをどのように設定するかが重要である。観測データから摩擦パラメータを推定するために,複数のデータ同化アルゴリズムを用い,設定された物理モデルに対する各アルゴリズムの特性や適用上の問題点を調査するとともに,その結果に基づいてアルゴリズムの改良が行われた。
速度状態依存摩擦法則に基づく断層滑りのシミュレーションにおいて,アジョイント法を用いて摩擦パラメータを推定する手法を,摩擦パラメータが空間的に不均質である場合にも適用可能な手法に拡張し,2003年十勝沖地震後にGNSSで推定された地震後15日間の余効滑り速度に適用した。はじめに,推定の対象となる余効滑り発生域を60-100 km四方程度の9つの領域に分割し,各小領域内では摩擦パラメータが一様である断層モデル(coarse-mesh model)を仮定した。このモデルに開発した手法を適用したところ,空間分割の恣意性に伴う不自然な滑り速度分布が推定された。そこで,摩擦パラメータが一様となる領域を30 km四方に分割した新たな断層モデル(fine-mesh model)を構築した。この領域サイズはGNSSデータに基づくプレート境界面の滑り速度の空間分解能と同程度と考えられる。新たな断層モデルに対して推定した摩擦パラメータの空間分布を図15に示す。さらに得られた,摩擦パラメータの空間分布を用いて,その後15日間の余効滑りの時空間発展を予測した。予測された時空間発展を,実際に観測データから推定された滑り速度と比較すると,同化しない場合に比べて予測精度が向上し,fine-mesh modelを用いた場合の滑り速度の予測が,coarse-mesh modelを用いた場合に比べて大幅に改善されていることがわかった(京都大学[課題番号:1803],Kano et al., 2015)。
一方,摩擦パラメータと初期条件を同時推定する手法として,アンサンブルカルマンフィルタによる同化手法をゆっくり滑りに対して適用することを念頭においた数値実験を実施した。断層面に円形の条件付き不安定領域,遷移域,その外側を安定領域となるような摩擦特性と12.5 cm/年の沈み込みを与え,繰り返しゆっくり滑りが発生するようなモデルを設定して,数値実験を行った。まず観測値として断層面の滑り速度を用い,観測点が断層面に一様にあるとして実験を行った。摩擦パラメータは状態ベクトルに含め,ランダムウォークにしたがい確率論的に時間発展させた。データを同化して更新された状態から次の予測ステップに移る際の数値発散を避けるため,予測分布の平均からの距離によってシステムノイズの振幅を小さくするという工夫を行った。その結果,3回目のゆっくり滑りに摩擦パラメータが真の値に近づき,4回目のゆっくり滑り以降もイベント中は真の値に近い推定値が得られた。また,イベント発生中の滑り速度と状態変数も真の結果とよく一致した。その一方,イベント終了後は直後に摩擦パラメータAの分散がやや大きくなることも確認された。次に,地表面に,断層直上の範囲で観測点を配置し,そこでの変位速度を観測値として実験を行った。その結果,断層面の滑り速度を観測値としたときと同様の結果を得るためには8km×10 kmごとに合計100点で3回以上のゆっくり滑りを観測することが必要であることがわかった。この結果から,豊後水道で発生している長期的ゆっくり滑りに適用できる可能性が示唆された(京都大学大学院理学研究科[課題番号:1803])。
微小地震活動の時間変化をモニタリングし,巨大地震の発生を検知する手法の開発を目指し,ISCの地震カタログから1964年1月から2012年6月までに千島海溝沿いに発生した実体波マグニチュード5.0以上,深さ60 km以浅の地震を選択し,デクラスタリング処理した後,ZMAPで地震活動の長期変化を解析した。1963年択捉沖地震の震源域では,1964年以降3.8個/年のペースで地震が定常的に発生していたが,1998年5月から2007年2月までは地震がまったく発生しない状態が続いた。2007年2月以降は地震活動が徐々に回復しつつあるが,1998年以前のレートには戻っていない。地震活動がポアソン過程にしたがってランダムに変動していると仮定すると,このような静穏化が偶然発生する確率は,10-9程度と非常に小さい。したがって,この静穏化は地震活動度の単なる揺らぎであるとは考えられないことがわかった(北海道大学[課題番号:1002])。
表層地盤の地震波の増幅特性を検討するために,地表と地下の両方に地震計が設置されているMeSO-netの3観測点における連続観測データの中から,いくつかの有感地震時のデータを選び,伝達関数を求めた。(東京大学地震研究所[課題番号:1514])。
(海域観測機器)
2014年から2015年にかけて,東北地方太平洋沖地震時の大滑り域付近の日本海溝において,海溝軸を跨ぐ形での210日間の海底間音響測距観測が行われた(図16)。10kmの基線(ADM1-3) では前年度の先行観測と同様短縮は見られなかったが,7kmの基線(ADM1-2) に210日で2cm程度の「伸長」が見られる結果となった(図17)。また,新規に開発した機器を用いて,ほぼ同じ箇所で2015年9月より3回目の観測を再開した。収束境界であることから,実際に伸長していた可能性は低く,局所的な変形か音速補正精度の低下が原因と考えられ,プレート収束速度に見合う短縮は見られないという結論を得た。音響測距自体は,10 kmの超長基線でも,観測期間全体を通して安定して通信が行われ,機器の基本性能は十分期待するレベルに達したことを実証できた(東北大学[課題番号:1210])。
東北沖地震の津波により被災し,観測が中断していた三陸沖海底光ケーブル式地震津波観測システムの復旧の一環として,対象領域での観測継続のために,新規開発したケーブルシステム(図18)の敷設を実施し,データ伝送を開始した。新規に開発したケーブルシステムは,インターネット技術を用いた通信回線の冗長化による観測の信頼性の向上,最新半導体技術を用いた観測装置の小型化などが特徴である。今回設置した新規開発システムは,観測ノード3台が一本のケーブルで接続されており,ケーブルの一端を既設システムの陸上局に陸揚げした。海底ケーブルの全長は105 kmである。観測ノードは30kmまたは40kmの間隔に接続されている。観測ノード3台のうち,陸側に近い2台(YOB1,YOB2)は,地震計と水圧計を搭載しており,先端の1台は,地震計と拡張ポートを搭載している(YOB3)(東京大学地震研究所[課題番号:1521])。
2014年5月に日・NZ・米の共同研究により,ニュージーランド北島のGisborne沖合のヒクランギ沈み込み帯に海底観測機器を設置し,2015年6月に回収した。2014年9月から10月にかけて,これまでに観測されている中で2番目に大きい規模ゆっくり滑りが発生し,設置された海底観測網により,このゆっくり滑りの観測に成功した。速報的な解析によると,ゆっくり滑りの滑り領域はほぼ観測網の海側全域を覆うように発生しており,また一部,北東側に飛んだ場所で滑りが起こっている。この境界部分には,これまでに行われている人工震源地震波構造調査で,海山が沈み込んでいることが明らかとなっており,プレート境界の構造がゆっくり滑りにおけるプレート境界面上の滑り運動に影響を与えている可能性があることがわかった(東京大学地震研究所[課題番号:1524])。
インドネシア・フィリピン・チリ北部地域の地震を対象に実施しているSWIFT解析結果とそれに連動した津波自動予測結果のWeb 公開に関して,チリ全域が対象領域に加わった(防災科学技術研究所[課題番号:3001])。
本観測研究計画の2年目である平成27年度においては,東北沖地震が我々に突きつけた大きな課題のうち,プレート境界浅部の滑り特性に関して,海底観測の充実によりプレート境界浅部の滑りと固着について,多くの成果が得られた。GPS音響測距結合方式地殻変動観測からは,南海トラフ沿いのプレート間固着にかなりの不均質があることが示唆されており,沈み込む海山などの構造との関連性も指摘されている。また,プレート境界浅部における構造探査からこの地域の間隙率の推定が行われたり,海底掘削による断層物質を用いたり,プレート境界での温度・圧力条件を模した室内実験によってプレート境界浅部の摩擦特性が明らかになりつつある。DONETの完成や日本海溝海底地震津波観測網(S-net)の整備に加え,繰り返し観測型の地震計による地震観測や水圧計,GPS音響測距結合方式による海底地殻変動観測を今後も継続・増強することにより,海底観測のデータは飛躍的に増加し,プレート境界浅部の滑りに関して大きく理解が深まることが期待できる。
ゆっくり滑りや超低周波地震・微動などのスロー地震に関しても前年度に引き続き多くの成果が得られている。日本海溝・千島海溝沿いにおいては,ゆっくり滑りが周期的に発生していることが示され,プレート境界の固着が周期的な揺らいでいることがわかった。摩擦構成則を用いた数値シミュレーションやデータ同化においても,実際の余効滑りやゆっくり滑りを対象にした研究や周期的な外力を与えた研究が成果を挙げており,今後も実際の現象を説明し,予測していくために,さらなる研究をすすめる必要がある。
本計画は,地震現象の理解や発生予測にとどまらず,災害誘因の予測研究につなげることを目的としている。本部会を構成している課題だけでは十分に災害誘因の研究を行うことは難しいが,分野横断型のグループである東北沖地震や南海トラフ巨大地震の総合研究グループとの連携を促進するとともに,地震動・津波等の事前予測・即時予測部会や地震・火山災害部会との交流も深めて,災害軽減のために必要な本部会としての成果を整理していくことが今後必要になると思われる。
南海トラフ沿いにおいては,現在,東海地方,紀伊水道での長期的ゆっくり滑りに加えて,2015年12月より豊後水道においても長期的ゆっくり滑りが開始したことがGNSSデータにより示されている。このようなゆっくり滑りと大地震の関係性についてはシミュレーションや摩擦実験を通した研究が進められており,必ずしも単純な関係は得られていないが,大地震の発生にも何らかの影響を与えることは否定できない。例えば,今年度の成果として日向灘の地震が南海トラフ地震の発生を促進し西側から破壊が伝播するシナリオが提案されているが,現状のモニタリング状況を反映した多様なシナリオを想定しておくことは,大地震が発生した場合の推移予測や災害軽減に有効であり,今後部会でも進めていきたい。
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研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成29年07月 --